(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】プログラム可能な核酸プローブを用いた高スループット及び高度多重化イメージング
(51)【国際特許分類】
G01N 33/536 20060101AFI20240712BHJP
C12Q 1/6841 20180101ALI20240712BHJP
C12Q 1/6811 20180101ALI20240712BHJP
C12Q 1/6876 20180101ALI20240712BHJP
【FI】
G01N33/536 D
C12Q1/6841 Z ZNA
C12Q1/6811 Z
C12Q1/6876 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023027120
(22)【出願日】2023-02-24
(62)【分割の表示】P 2020144012の分割
【原出願日】2015-03-11
【審査請求日】2023-03-24
(32)【優先日】2014-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】507044516
【氏名又は名称】プレジデント アンド フェローズ オブ ハーバード カレッジ
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】イン,ペン
(72)【発明者】
【氏名】アガスティ,サリット
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シ
(72)【発明者】
【氏名】ユングマン,ラルフ
【審査官】中村 直子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-507941(JP,A)
【文献】特表2013-539867(JP,A)
【文献】R Jungmann et al,Multiplexed 3D cellular super-resolution imaging with DNA-PAINT and Exchange-PAINT,Nature Methods,2014年02月02日,vol11, no3,p.313-318
【文献】Thiery, G. et al.,Multiplex target protein imaging in tissue sections by mass spectrometry - TAMSIM,RAPID COMMUNICATINS IN MASS SPECTROMETRY,2007年02月12日,Vol.21/No.6,pp.823-829,https://doi.org/10.1002/rcm.2895
【文献】Schubert, W. et al.,Analyzing proteome topology and function by automated multidimensional fluorescence microscopy,NATURE BIOTECHNOLOGY,2006年10月01日,Vol.24,pp.1270-1278,https://doi.org/10.1038/nbt1250
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48-33/98
C12Q 1/6816-1/6818
C12Q 1/6811
C12Q 1/6876
C12Q 1/6841
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング鎖に連結され、一又は複数の標的特異的結合パートナーに結合した一又は複数の標的を生成するステップ、
(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、
(3)前記サンプルを、ドッキング鎖に結合する標識イメージャー鎖に接触させるステップ、
(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー鎖を除去するステップ、
(5)前記サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー鎖を検出するステップ、
(6)前記イメージャー鎖全体を除去することなく、前記結合した標識イメージャー鎖のシグナル放出部分を除去又は修飾することにより、前記結合した標識イメージャー鎖を不活性化するステップ、及び
(7)ステップ(3)の少なくとも一つの他の標識イメージャー鎖に対してユニークな組成物を有する標識イメージャー鎖を少なくとも一回用いてステップ(3)~(6)の少なくともいくつかを繰り返すステップ
を含む、方法。
【請求項2】
ステップ(1)で、前記サンプルが2つ以上の標的特異的結合パートナーに接触される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記標的特異的結合パートナーが抗体又は抗体断片である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記標的特異的結合パートナーが、リガンド、小分子、アプタマー、ペプチド、又はオリゴヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記標識イメージャー鎖が同一に標識される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記標識イメージャー鎖がそれぞれ異なる標識を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記標識イメージャー鎖が、蛍光標識イメージャー鎖である、請求項1から6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上の標的がタンパク質である、請求項1から7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記サンプルが、細胞、細胞溶解物、又は組織溶解物である、請求項1から8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルが、共焦点又は落射蛍光顕微鏡検査法を用いてステップ(5)でイメージングされる、請求項1
から9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記結合しなかったドッキング鎖が部分的に二本鎖である、請求項1
から10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記結合しなかったイメージャー鎖が部分的に二本鎖である、請求項1
から11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記イメージャー鎖が、分子指標であるか、又はヘアピン二次構造を含む、請求項1
から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記イメージャー鎖が、分子指標であるか、又は自己消光性であるヘアピン二次構造を含む、請求項1
から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記イメージャー鎖が半二重鎖である、請求項1
から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記半二重鎖が自己消光性である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ドッキング鎖がヘアピン二次構造を含む、請求項1
から16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記イメージャー鎖が、デンドリマー構造又はポリマー構造によって複数のシグナル放出部分に結合される、請求項1
から12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ステップ(6)の前記シグナル放出部分を除去又は修飾することが、前記イメージャー鎖と前記シグナル放出部分の間のリンカーを切断することを含む、請求項1
から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ステップ(6)の前記シグナル放出部分を除去又は修飾することが、前記シグナル放出部分を化学的又は光化学的に修飾することを含む、請求項1
から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(6)の前記シグナル放出部分を除去又は修飾することが、化学物質による退色を含む、請求項1
から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
ステップ(6)の前記シグナル放出部分を除去又は修飾することが、光退色を含む、請求項1
から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
ステップ(6)が、切断物質の導入により、化学的に切断可能なリンカーを切断することを含む、請求項1
から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記化学的に切断可能なリンカーがジスルフィド結合を含み、前記切断物質が還元剤であ
る、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記還元剤が、ジチオトレイトール(DTT)又はトリス(2-カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)である、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
ステップ(6)が、UV暴露により光切断可能なリンカーを切断することを含む、請求項1
から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記イメージャー鎖及び前記ドッキング鎖が、少なくとも30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、又は60分間、又は少なくとも2時間、互いに結合し続けることができる、請求項1
から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記イメージャー鎖及び前記ドッキング鎖が、30から60分間、30から120分間、40から60分間、40から120分間、又は60から120分間、互いに結合し続けることができる、請求項1から26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
1つ以上の標的特異的結合パートナーで1つ以上の標的の存在について試験するためのキットであって、
(1)1つ以上の標的特異的結合パートナーであって、当該標的特異的結合パートナーのそれぞれがドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング鎖に連結されている、1つ以上の標的特異的結合パートナーと、
(2)前記ドッキング鎖に相補的な
核酸を有する標識イメージャー鎖
であって、
前記核酸とシグナル放出部分の間の切断可能なリンカーを含む標識イメージャー鎖と、
(3)
前記切断可能なリンカーを切断するための物質と、
を備え、
少なくとも2つのユニークなイメージャー鎖を備える、
キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照によりその全内容が本明細書に組み入れられる、2014年3月11日出願の米国仮特許出願第61/951,461号明細書の利益を主張するものである。
【0002】
本発明は、概して、分析物(例えば、標的)の検出及び定量の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
蛍光顕微鏡検査法は、例えば、生物系における分子を研究するための強力なツールである。しかしながら、区別可能に同時に視覚化され得る異なる種の数(即ち、多重化能)が、フルオロフォア間のスペクトルの重複によって限定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、とりわけ、目的の標的(例えば、生体分子)を検出、イメージング、及び/又は定量するための方法及び組成物を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書に記載される一部の方法は、(1)分析されるべきサンプル(例えば、1つ以上の目的の標的を含む疑いのあるサンプル)を、標的に特異的に結合する部分(各部分が、所与の標的の結合パートナーである)に接触させるステップであって、各部分が、核酸(本明細書ではドッキング鎖と呼ばれる)にコンジュゲートされ、異なる特性の結合パートナーが異なるドッキング鎖にコンジュゲートされる、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった結合パートナーを除去するステップ、(3)1つのドッキング鎖に相補的であり、従って1つのドッキング鎖に特異的なヌクレオチド配列を有する標識(例えば、蛍光標識)核酸にサンプルを接触させるステップ(このような標識核酸は、本明細書では標識イメージャー鎖(labeled imaer strand)と呼ばれる)、(4)任意選択的に、結合しなかったイメージャー鎖を除去するステップ、(5)サンプルの全体又は一部をイメージングして結合イメージャー鎖の位置及び数を検出するステップ、(6)サンプルの標識イメージャー鎖からのシグナルを(例えば、光退色を含む退色によって)消光するステップ、及び(7)この方法に使用される他の全てのイメージャー鎖に対してユニークなヌクレオチド配列を有するイメージャー鎖を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む。
【0006】
イメージャー鎖は、同一に蛍光標識することを含め、同一に標識することができる。他の実施形態では、同一の配列を有するイメージャー鎖は、同一に標識することができる。第1のアプローチは、1つの励起波長と検出器とを必要とするのみであるため、より便利であり得る。
【0007】
このように、2つ以上の標的からのシグナルが同時に観察されたときにサンプル中の標的の位置が区別できないほど互いに近接しているか否かにかかわらないこと含め、サンプル中の標的の位置にかかわらず、サンプル中の2つ以上の標的を検出、イメージング、及び/又は定量することが可能である。従って、2つ以上の標的間の距離は、標的を検出するために使用されるイメージングシステムの解像度距離よりも短くすることができ、本明細書に記載される方法をなお使用すると、2つ以上の標的を互いに区別することが可能であり得、従って、このような標的のより正確でロバストな検出及び定量が容易になる。場合によっては、解像度距離は、一例として、約50nmであり得る。
【0008】
サンプルの「標的内容」は、方法を行う前に、既知である若しくは疑いがあっても良く、又は未知である若しくは疑いがなくても良いことを理解されたい。サンプルに接触する結合パートナーは、標的が存在するか否かによって、サンプルに結合することもあり、又は結合しないこともある(例えば、標的が存在する場合は、結合パートナーはサンプルに結合し得る)。サンプルに接触するイメージャー鎖は、標的が存在するか否かによって、サンプルに結合することもあり、又は結合しないこともある(例えば、標的が存在する場合は、イメージャー鎖は、標的に結合した対応するドッキング鎖に結合し得る)。「サンプルに結合する」は、結合パートナー又はイメージャー鎖が、それぞれの標的又はドッキング鎖に結合することを意味する。
【0009】
結合パートナーは、本来はタンパク質、例えば、抗体又は抗体断片であり得る。抗体又は抗体断片である結合パートナーに関連して、ドッキング鎖は、一定の領域で結合パートナーにコンジュゲートし得る。結合パートナーは、抗体、例えば、モノクローナル抗体であっても良く、又は抗原結合抗体断片、例えば、モノクローナル抗体からの抗原結合断片であっても良い。一部の実施形態では、結合パートナーは受容体である。
【0010】
結合パートナーは、中間リンカーによってドッキング鎖に連結され得る。一部の実施形態では、中間リンカーは、ビオチン及び/又はストレプトアビジンを含む。
【0011】
イメージャー鎖は、蛍光標識され得る(即ち、イメージャー鎖がフルオロフォアにコンジュゲートされる)。異なるヌクレオチド配列のイメージャー鎖にコンジュゲートされたフルオロフォアは、互いに同一であっても良く、又は他方のフルオロフォアの放出プロフィールと重複するか、又は重複しない放出プロフィールを有しても良い。蛍光標識イメージャー鎖は、少なくとも1つのフルオロフォアを含み得る。
【0012】
場合によっては、蛍光標識イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖は、1つ、2つ、3つ、又はそれを超えるフルオロフォアを含み得る。
【0013】
サンプルは、細胞、細胞集団、又は細胞若しくは細胞集団の細胞溶解物であり得る。標的はタンパク質であり得る。
【0014】
従って、本発明は、任意選択的に同一に標識される(例えば、同一に蛍光標識される)イメージャー鎖に繰り返し結合し、検出し、および消光すること(例えば、退色、例えば、光退色)によって、分析物をそれぞれの結合パートナーに結合させて、このような結合パートナーの存在を連続的に検出することにより、分析物を検出する方法を提供することを理解されたい。
【0015】
従って、本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング鎖に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング鎖に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー鎖に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー鎖を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー鎖の位置及び数を検出するステップ、(6)結合した標識イメージャー鎖からのシグナルを消光するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー鎖に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー鎖を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法を提供する。
【0016】
一部の実施形態では、サンプルは、ステップ(1)で2つ以上の標的特異的結合パートナーに接触される。
【0017】
一部の実施形態では、標的特異的結合パートナーは抗体又は抗体断片である。
【0018】
一部の実施形態では、標識イメージャー鎖は同一に標識される。一部の実施形態では、標識イメージャー鎖はそれぞれ異なる標識を含む。一部の実施形態では、標識イメージャー鎖は、蛍光標識イメージャー鎖である。
【0019】
一部の実施形態では、1つ以上の標的はタンパク質である。一部の実施形態では、サンプルは、細胞、細胞溶解物、又は組織溶解物である。
【0020】
一部の実施形態では、サンプルは、ステップ(5)で共焦点又は落射蛍光顕微鏡検査法を用いてイメージングされる。
【0021】
一部の実施形態では、ステップ(6)のシグナルの消光は光退色を含む。
【0022】
本開示は、組成物であって、2つ以上の標的認識部分、例えば、標的特異的結合パートナーに結合したサンプルであって、各標的認識部位がドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖に結合している、サンプル、及び標識イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖に安定に結合した少なくとも1つのドッキング核酸を含む、組成物をさらに提供する。
【0023】
本開示は、組成物であって、2つ以上の標的特異的結合パートナーに結合したサンプルであって、各結合パートナーがドッキング鎖に結合している、サンプル、及び標識イメージャー鎖に安定に結合した少なくとも1つのドッキング鎖を含む、組成物をさらに提供する。
【0024】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的認識部分、例えば、標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的認識部分がドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的認識部分が異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標識認識部分を除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、(6)結合した標識イメージャー核酸を、温度及び/又は緩衝液の条件を変更することによってドッキング核酸から除去するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。イメージャー核酸は、このような条件下でドッキング核酸から自然に解離する。
【0025】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング核酸に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、(6)結合した標識イメージャー核酸を、温度及び/又は緩衝液の条件を変更することによってドッキング核酸から除去するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。イメージャー核酸は、このような条件下でドッキング核酸から自然に解離する。
【0026】
一部の実施形態では、標識イメージャー核酸は、塩濃度の低下、変性剤の添加、又は温度の上昇によってドッキング核酸から除去される。一部の実施形態では、塩はMg++である。一部の実施形態では、変性剤は、ホルムアミド、尿素、又はDMSOである。
【0027】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的認識部分、例えば、標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的認識部分がドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的認識部分が異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的認識部分を除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、(6)結合した標識イメージャー核酸をドッキング核酸から除去するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。
【0028】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング核酸に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、(6)結合した標識イメージャー核酸をドッキング核酸から除去するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。
【0029】
一部の実施形態では、ステップ(6)で、標識イメージャー核酸は、競合核酸の存在下で、鎖置換によってドッキング核酸から除去されない。
【0030】
一部の実施形態では、ステップ(6)で、標識イメージャー核酸は、この標識イメージャー核酸を化学的切断、光化学的切断、若しくは酵素的切断、修飾、又は変性によってドッキング核酸から除去される。
【0031】
一部の実施形態では、標識イメージャー核酸が、それぞれのドッキング核酸に結合されると、イメージャー核酸又はドッキング核酸に一本鎖領域が存在しない。一部の実施形態では、ドッキング核酸は、足掛かり配列(toehold sequence)を有していない。一部の実施形態では、イメージャー核酸は、足掛かり配列を有していない。
【0032】
一部の実施形態では、標識イメージャー核酸は自己消光性ではない。
【0033】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的認識部分、例えば、標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的認識部分がドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的認識部分が異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的認識部分を除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、(6)このイメージャー核酸全体を除去することなく、結合した標識イメージャー核酸のシグナル放出部分を除去又は修飾することにより、結合した標識イメージャー核酸を不活性化するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。
【0034】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング核酸に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、(6)このイメージャー核酸全体を除去することなく、結合した標識イメージャー核酸のシグナル放出部分を除去又は修飾することにより、結合した標識イメージャー核酸を不活性化するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。
【0035】
様々な実施形態が、上述の方法に等しく適用される。これらの実施形態は以下の通りである:
一部の実施形態では、サンプルは、ステップ(1)で2つ以上の標的特異的結合パートナーに接触される。一部の実施形態では、標的特異的結合パートナーは抗体又は抗体断片である。一部の実施形態では、標的特異的結合パートナーは、天然若しくはエンジニアリングされたリガンド、小分子、アプタマー、ペプチド、又はオリゴヌクレオチドである。
【0036】
一部の実施形態では、標識イメージャー核酸は同一に標識される。一部の実施形態では、標識イメージャー核酸は、蛍光標識イメージャー核酸である。
【0037】
一部の実施形態では、1つ以上の標的はタンパク質である。一部の実施形態では、サンプルは、細胞、細胞溶解物、又は組織溶解物である。
【0038】
一部の実施形態では、サンプルは、ステップ(5)で共焦点又は落射蛍光顕微鏡検査法を用いてイメージングされる。
【0039】
一部の実施形態では、結合しなかったドッキング核酸は部分的に二本鎖である。一部の実施形態では、結合しなかったイメージャー核酸は部分的に二本鎖である。
【0040】
一部の実施形態では、イメージャー核酸は、分子指標であるか、又はヘアピン二次構造を含む。一部の実施形態では、イメージャー核酸は、分子指標であるか、又は自己消光性であるヘアピン二次構造を含む。一部の実施形態では、イメージャー核酸は、半二重鎖(hemiduplex)である。一部の実施形態では、半二重鎖は自己消光性である。一部の実施形態では、イメージャー核酸は、デンドリマー構造又はポリマー構造によって複数のシグナル放出部分に結合される。イメージャー核酸は、線状又は分岐型であり得る。
【0041】
一部の実施形態では、ドッキング核酸はヘアピン二次構造を含む。
【0042】
これら及び他の実施形態は、本明細書でより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】本開示に記載される高スループット及び本質的にスケーラブルな多重化イメージングアプローチの一実施形態の概略図である。細胞が、プローブハイブリダイゼーション後にイメージングされ、およびイメージングの次の回の前に光退色される。
【
図2】僅かな変性特性、例えば、塩濃度の低下、ホルムアミド濃度の上昇、又は高い温度を有する溶液を用いた緩衝液交換に基づいた高スループット及び本質的にスケーラブルな多重化イメージングアプローチの一実施形態の概略図である。
【
図3】本開示に記載される方法を用いてイメージャー鎖を除去することによるイメージャー鎖の不活性化の一実施形態の概略図である。
【
図4】イメージャー鎖の核酸部分を除去することなくフルオロフォアを不活性化することによるイメージャー鎖の不活性化の一実施形態の概略図である。
【
図5】分子指標様自己消光性イメージャー鎖の概略図である。
【
図6】半二重鎖自己消光性イメージャー鎖の一実施形態の概略図である。
【
図7】非一本鎖ドッキング鎖の一実施形態の概略図である。
【
図8】シグナル放出部分の複数のコピーをドッキング鎖にリクルートするイメージャー鎖の一実施形態の概略図である。
【
図9】非一本鎖イメージャー鎖の一実施形態の概略図である。
【
図10】3つの異なる条件での、10の異なるオリゴヌクレオチドのそれぞれの逆相補鎖との予測解離定数を示すグラフである。配列a1:5’-CATCTAAAGCC-3’(配列番号1);配列a2:5’-GAATTTCCTCG-3’(配列番号2);配列a3:5’-GTTTAATTGCG-3’(配列番号3);配列a4:5’-ACAATTCTTCG-3’(配列番号4);配列a5:5’-TTTCTTGCTTC-3’(配列番号5);配列a6:5’-GCATTGTTACT-3’(配列番号6);配列a7:5’-ATATACAAGCG-3’(配列番号7);配列a8:5’-GCTGTCTATTG-3’(配列番号8);配列a9:5’-TCTTTATGCTG-3’(配列番号9);配列a10:5’-CAATCTCATCC-3’(配列番号10)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明は、とりわけ、核酸ベースのイメージングプローブ(例えば、DNAベースのイメージングプローブ)を使用して、例えば、細胞環境内で多重化蛍光イメージングするための組成物及び方法を提供する。本明細書に記載される方法は、核酸のドッキング鎖及びイメージャー鎖のプログラマビリティにある程度基づいている。即ち、例えば、ドッキング鎖及びイメージャー鎖は、一定の条件下で一定期間、互いに結合するように設計することができる。このプログラマビリティにより、本明細書に記載されるように、イメージャー鎖とドッキング鎖との安定な結合が可能となる。一般に、本明細書に記載される方法は、特定のサンプル(例えば、生物学的サンプル)中で1つ以上の標的(例えば、生体分子、例えば、タンパク質又は核酸)を同定することに関する。場合によっては、1つ以上の標的がサンプル中に存在するか否かは未知である。従って、本開示の方法を使用して、標的を含むと疑われるサンプル中の1つ以上の標的の存在又は非存在を決定することができる。本明細書に記載される態様及び実施形態のいずれか1つにおいて、サンプルは、1つ以上の標的を含み得るか、又は1つ以上の標的を含むと疑われ得る。
【0045】
従って、本発明は、プログラム可能な核酸(例えば、DNA)プローブに基づいて、高スループット及び高度多重化イメージング並びに分析物/標的の検出を行うための方法を提供する。これらの方法は、結合パートナー、例えば、抗体に固定された相補的なドッキング鎖に安定に付着することができる直交イメージャー鎖を利用する順次イメージングアプローチに依存する(
図1)。イメージャー鎖を用いたハイブリダイゼーション及びイメージング後に、消光ステップ(例えば、光退色ステップ)が、ハイブリダイズした(結合した)イメージャー鎖から蛍光を除去/低減するために行われる。
【0046】
別の実施形態では、方法は、シグナルを除去するためにドッキング鎖とイメージャー鎖との間の弱い結合を利用する。例えば、ドッキング鎖間又はイメージャー鎖間に形成される二重鎖の融点が、室温(例えば、25℃)又はイメージング温度よりも僅かに高くなるようにハイブリダイゼーション条件を変更することができる。標識化ステップ(即ち、イメージャー鎖がそれぞれのドッキング鎖に結合されるステップ)及びイメージングステップが上記のように行われる。一例として、第1の標的がイメージングされた後に、サンプルが変性条件に曝される。この変性条件は、例えば、低い塩濃度の溶液、変性剤、例えば、ホルムアミドの存在又はホルムアミド濃度の上昇、又は温度の上昇を用いる緩衝液交換ステップで提供することができる(
図2)。別法又はこれに加えて、サンプルを高温に曝すことができる。上述の上昇又は低下は、標識化ステップ(即ち、イメージャー鎖がドッキング鎖に結合されるとき)に存在する条件に対してである。緩衝液交換の場合は、サンプルを洗浄し、緩衝液交換を繰り返し、サンプルを再び洗浄し、次のイメージャー鎖をサンプルに加えることができる。
【0047】
多重化する場合は、例えば、シグナルを消光するための光退色若しくは他の方法、又はイメージャー鎖の不活性化若しくは除去の各ステップの後に、異なるレザバーの直交イメージャー鎖が、無数の標的を潜在的にイメージングするために同じサンプルに連続的に加えられる。多重化がカラーチャネル間のスペクトル重複によって限定される従来のイメージングアプローチとは異なり、本明細書に記載される方法は、(ドッキング鎖或いはイメージャー鎖の)可能な直交ヌクレオチド配列の数によってのみ限定される。多数の直交ヌクレオチド配列を容易に設計することができるため、このアプローチは、単一フルオロフォアを使用するだけで本質的にスケーラブル多重化能力を有する。この方法は、標準的な顕微鏡検査装置(例えば、共焦点顕微鏡又は落射蛍光顕微鏡)と容易に組み合わせることができ、サンプルの高スループット分析が可能となる。
【0048】
方法は、例えば、高スループットスクリーニングアッセイ、例えば、薬物スクリーニングアッセイに適用性を有する。このイメージングアプローチにより、標準的な共焦点顕微鏡又は落射蛍光顕微鏡を用いてイメージングしながら、超多重化形式で細胞の大集団(約1,000~10,000)又は組織サンプルを分析することが可能となる。同じサンプルの多数の標的、例えば、タンパク質の高スループット方式でのスクリーニングは、新しい薬物又は変性剤についての情報を提供すると共に、細胞の不均質性の情報を提供する。高スループットでの組織サンプルの大規模スクリーニング及び超多重化イメージング能力は、例えば、病院又は他のサービス提供施設における病理分析に有用であろう。
【0049】
本明細書に記載される方法は、単一標的(例えば、特定のタンパク質など)の絶対量又は1つ以上の他の標的に対する単一標的の量を確認するために使用することもできる。
【0050】
さらに、本明細書に提供される方法は、サンプル内又はサンプル中の他の標的に対する標的の位置を確認するために使用することができる。
【0051】
従って、本開示は、方法であって、(1)サンプルを複数の配列標識標的認識部分に同時に接触させるステップ、(2)配列相補性によってドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖のサブセットを認識するイメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖を配列標識標的認識部分に導入するステップ、(3)イメージャー核酸を除去若しくは不活性化するか、又はイメージャー核酸からのシグナルを消光するステップ、及び(4)1つ以上の追加のドッキング核酸をイメージング及び検出するために少なくとも1回、ステップ(2)を繰り返し、且つ任意選択的に、ステップ(3)を繰り返すステップを含む、方法を提供する。
【0052】
方法は、任意選択的に、複数の標的認識部分をドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖で標識して配列標識標的認識部分を形成するステップを含み得る。
【0053】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング鎖に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング鎖に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー鎖に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー鎖を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして結合標識イメージャー鎖の位置及び数を検出するステップ、(6)結合した標識イメージャー鎖からのシグナルを消光するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー鎖に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー鎖を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。
【0054】
ステップ(3)~(6)は、1回又は複数回繰り返すことができる。例えば、ステップ(3)~(6)は、1~10回以上繰り返すことができる。一部の実施形態では、ステップ(3)~(6)は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回繰り返される。
【0055】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを、1つ以上の標的認識部分、例えば、標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的認識部分がドッキング核酸に連結され、異なる特異性の標的認識部分が異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的認識部分を除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、(6)結合した標識イメージャー核酸をドッキング核酸から除去するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。
【0056】
ステップ(3)~(6)は、1回又は複数回繰り返すことができる。例えば、ステップ(3)~(6)は、1~10回以上繰り返すことができる。一部の実施形態では、ステップ(3)~(6)は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回繰り返される。
【0057】
本開示は、方法であって、(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを、1つ以上の標的認識部分、例えば、標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的認識部分がドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的認識部分が異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、(2)任意選択的に、結合しなかった標的認識部分を除去するステップ、(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖に接触させるステップ、(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、(6)イメージャー核酸全てを除去することなく、結合した標識イメージャー核酸のシグナル放出部分を除去又は修飾することにより、結合した標識イメージャー核酸を不活性化するステップ、及び(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップを含む、方法をさらに提供する。
【0058】
ステップ(3)~(6)は、1回又は複数回繰り返すことができる。例えば、ステップ(3)~(6)は、1~10回以上繰り返すことができる。一部の実施形態では、ステップ(3)~(6)は、1回、2回、3回、4回、5回、6回、7回、8回、9回、又は10回繰り返される。
【0059】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、ドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖に結合したイメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖を、鎖置換以外の方法を用いて除去するステップを含む。
【0060】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、ドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖に結合したイメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖を除去するステップを含み、このイメージャー核酸は、ドッキング核酸に結合する前にシグナルを放出する(即ち、このようなシグナルは消されない)。
【0061】
一部の実施形態では、本明細書に記載される方法は、ドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖に結合したイメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖を除去するステップを含み、このイメージャー核酸は、消光剤を含まない核酸を用いて除去される。
【0062】
前述の方法のそれぞれにおいて、ドッキング鎖を含むドッキング核酸は、一本鎖ドッキング核酸若しくはドッキング鎖であっても良く、又は二本鎖ドッキング核酸若しくはドッキング鎖であっても良く、又は部分的に二本鎖のドッキング核酸若しくはドッキング鎖(例えば、一本鎖領域及び二本鎖領域を含む)であっても良い。
【0063】
一部の実施形態では、複数の結合パートナーを含む複数の標的認識部分が使用される場合、この複数の標的認識部分をサンプル、従って目的の標的に同時に接触させることができる。標的認識部分、例えば、結合パートナーは、サンプルに連続的に接触させることができるが、必ずしもそうする必要はない。
【0064】
これらの様々な方法は、回転盤共焦点顕微鏡検査法での高スループットイメージングを容易にする。単色全細胞3Dイメージングプロセスには平均約30秒かかるであろうと推定される。この方法は、適合性の10倍又は20倍の対物レンズを用いて大きい面積(例えば、最大mm単位)をイメージングすることが可能である。約30~50マイクロメートルのイメージング深さを達成することができる。本明細書に記載される方法は、とりわけ、アクチン、Ki-67、クラスリン、サイトケラチンを染色するために使用された(データは不図示)。
【0065】
結合パートナー
方法は、核酸(例えば、ドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖)にコンジュゲートした結合パートナーを利用する。これらは、本明細書では、結合パートナー-核酸コンジュゲート(「BP-NAコンジュゲート」)と呼ばれることもある。これらはまた、配列標識標的認識部分とも呼ばれることがある。本明細書で使用される「結合パートナー-核酸コンジュゲート」又は「BP-NAコンジュゲート」は、一本鎖核酸(例えば、DNA)ドッキング鎖に(例えば、N-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)リンカーを介して)連結された分子を指す。
【0066】
コンジュゲートの結合パートナーは、目的の標的、例えば、生体分子(例えば、タンパク質又は核酸)に対して親和性を有する(例えば、結合する)任意の部分(例えば、抗体又はアプタマー)であり得る。一部の実施形態では、結合パートナーはタンパク質である。ドッキング鎖に連結されたタンパク質(又はペプチド)を含むBP-NAコンジュゲートは、本明細書では、「タンパク質-核酸コンジュゲート」又は「タンパク質-NAコンジュゲート」と呼ばれることもある。本発明のコンジュゲートに使用されるタンパク質の例としては、限定されるものではないが、抗体(例えば、モノクローナル抗体)、抗原-結合抗体断片(例えば、Fab断片)、受容体、ペプチド、及びペプチドアプタマーが挙げられる。他の結合パートナーも、本発明に従って使用することができる。本明細書では、例えば、静電気(例えば、静電粒子)、疎水性、又は磁気(例えば、磁気粒子)相互作用によって標的に結合する結合パートナーが企図される。
【0067】
本明細書で使用される「抗体」は、完全長抗体及び任意の抗原結合断片(例えば、「抗原-結合部分」)又はその一本鎖を含む。「抗体」という語は、限定されるものではないが、ジスルフィド結合によって相互に連結された少なくとも2つの重(H)鎖及び2つの軽(L)鎖を含む糖タンパク質又はその抗原結合部分を含む。抗体は、ポリクローナル又はモノクローナル;異種、同種、若しくは同系;又はその修飾型(例えば、ヒト化、キメラ)であり得る。
【0068】
本明細書で使用される、抗体の「抗原-結合部分」は、抗原に特異的に結合する能力を保持した抗体の1つ以上の断片を指す。抗体の抗原-結合機能は、完全長抗体の断片によって果たされ得る。抗体の「抗原-結合部分」という語に包含される結合断片の例としては、(i)Fab断片、VH、VL、CL、及びCH1ドメインからなる1価断片、(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む2価断片、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片、(iv)抗体の単一アームのVH及びVLドメインからなるFv断片、(v)VHドメインからなるdAb断片(Ward et al.,Nature 341:544 546,1989)、及び(vi)単離された相補性決定領域(CDR)、又は(vii)合成リンカーによって任意に接合され得る2つ以上の単離されたCDRの組み合わせが挙げられる。さらに、Fv断片、VH、及びVLの2つのドメインは、別個の遺伝子よってコードされるが、これらのドメインは、組換え法を用いて、合成リンカーによって接合することができ、この合成リンカーは、これらのドメインを、VH領域とVL領域が対になって1価分子を形成する単一タンパク質鎖として形成することを可能にする(単一鎖Fv(scFv)として知られる;例えば、Bird et al.Science 242:423 426,1988;及びHuston et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879-5883,1988を参照されたい)。このような一本鎖抗体もまた、抗体の「抗原-結合部分」という語に包含される。これらの抗体断片は、当業者に公知の従来の技術を用いて得られ、これらの断片は、無傷の抗体と同じ要領で有用性についてスクリーニングされる。
【0069】
本明細書で使用される「受容体」は、リガンド、例えば、ペプチド又は小分子(例えば、低分子量(900ダルトン未満)の有機又は無機化合物)に結合する細胞由来分子(例えば、タンパク質)を指す。
【0070】
本明細書で使用される「ペプチドアプタマー」は、不変足場タンパク質(constant scaffold protein)に挿入される可変ペプチド配列を有する分子を指す(例えば、Baines IC,et al.Drug Discov.Today 11:334-341,2006を参照されたい)。
【0071】
一部の実施形態では、BP-NAコンジュゲートの分子は、核酸、例えば、核酸アプタマーである。本明細書で使用される「核酸アプタマー」は、タンパク質又は他の細胞標的に特異的に結合可能な二次及び三次構造を形成し得る小さいRNA又はDNA分子を指す(例えば、Ni X,et al.Curr Med Chem.18(27):4206-4214,2011を参照されたい)。従って、一部の実施形態では、BP-NAコンジュゲートは、アプタマー-核酸コンジュゲートであり得る。
【0072】
本発明の一部の実施形態は、標的を特定して標識するために標的認識部分を使用する。標的認識部分は、サンプル中の目的の標識を特異的に認識する化学物質(agent)である。標的認識部分の例としては、結合パートナー、例えば、本明細書で言及される結合パートナーが挙げられる。標的認識部分は、(例えば、手順、例えば、蛍光in situハイブリダイゼーション又はFISHで目的の核酸を検出するために)抗体、抗体断片、及び抗体誘導体、例えば、一本鎖抗体、一本鎖Fvドメイン、Fabドメイン、及びナノボディなど、ペプチド、アプタマー、及びオリゴヌクレオチドを含む。
【0073】
ドッキング核酸、例えば、ドッキング鎖
本発明の特定の実施形態は、ドッキング核酸について述べることがある。ドッキング核酸は、本明細書に記載されるドッキング鎖を含む。ドッキング核酸は、相補配列を有する核酸(例えば、イメージャー核酸)に結合可能な線状核酸である。ドッキング核酸は、DNA、RNA、又は他のリン酸-糖主鎖(例えば、2’-O-メチルRNA、2’-フルオラールRNA、LNA、XNA)若しくは非リン酸-糖部分(例えば、ペプチド核酸及びモルホリノ)を構成する主鎖を有する核酸様構造から構成され得るか、又はこれらからなり得る。核酸塩基は、天然に存在する核酸塩基、例えば、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、イノシン、及びこれらの誘導体、並びに天然に存在しない核酸塩基、例えば、isoC、isoG、dP、及びdZを含み得る。ドッキング核酸は、その相補イメージャー核酸に結合しない場合は、安定な二次構造を有していない一本鎖であり得る。別法では、ドッキング核酸は、二次構造、例えば、ヘアピンループを含み得る(
図7の上側)。ドッキング核酸は、複数鎖複合体の一部であり得る(
図7の下側)。
【0074】
本明細書で使用される「ドッキング鎖」は、その相補イメージャー鎖に安定に結合可能な一本鎖核酸(例えば、DNA)を指す。安定な結合は、ドッキング鎖(及び逆にイメージャー鎖)の長さの結果であり得るか、又はハイブリダイゼーションが起こる特定の条件(例えば、塩濃度、温度など)の結果であり得る。一部の実施形態では、ドッキング鎖は、約20~約60以上のヌクレオチド長である。ドッキング鎖は、(同一の配列及び同一に標識された)1つ以上の同一のイメージャー鎖に結合可能であり得る。
【0075】
イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖
本発明の特定の実施形態は、イメージャー核酸について述べることがある。イメージャー核酸は、本明細書に記載されるイメージャー鎖を含む。イメージャー核酸は、(1)配列特異的相補性によってドッキング核酸と相互作用し得る核酸、及び(2)共有結合性又は非共有結合性相互作用によってシグナル放出部分又はシグナル放出部分の複数のコピーをリクルートし得る核酸である。イメージャー核酸は、本明細書に記載される線状核酸又は分岐核酸であり得る。1つのイメージャー核酸は、ポリマー構造(
図8の上側)又はデンドリマー構造(dendrimeric structure)(
図8の下側)によってシグナル放出部分の複数のコピーをリクルートし得る。例えば、ポリマー構造又はデンドリマー構造は、Nazemi A.et al.Chemistry of Bioconjugates:Synthesis,Characterization,and
Biomedical Applications,Published Online:13 Feb.2014)及びこの文献に記載の参考文献で論じられるような方法を用いて化学的に合成することができる。別法では、ポリマー構造又はデンドリマー構造は、例えば、それぞれ参照により本明細書に組み入れられるDirks R.et al.Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A.,2004;1010(43):15275-78;及びUm S.H.et al.Nat.Protocols 2006;1:995-1000に示されているDNAハイブリダイゼーションによって形成することができる。
【0076】
イメージャー核酸は、DNA、RNA、又は他のリン酸-糖主鎖(例えば、2’-O-メチルRNA、2’-フルオラールRNA、LNA、XNA)若しくは非リン酸-糖部分(例えば、ペプチド核酸及びモルホリノ)を構成する主鎖を有する核酸様構造から構成され得るか、又はこれらからなり得る。核酸塩基は、天然に存在する核酸塩基、例えば、アデニン、チミン、グアニン、シトシン、イノシン、及びこれらの誘導体、並びに天然に存在しない核酸塩基、例えば、isoC、isoG、dP、及びdZを含み得る。
【0077】
一部の実施形態では、イメージャー核酸は、30、35、40、45、50、55、又は60ヌクレオチド長を含む、約30~約60ヌクレオチド長以上である。一部の実施形態では、イメージャー核酸は、30~40、30~50、40~50、40~60、又は50~60ヌクレオチド長である。
【0078】
イメージャー核酸は、その相補ドッキング核酸に結合しない場合は、安定な二次構造を有していない一本鎖であり得る。別法では、イメージャー核酸は、二次構造、例えば、ヘアピンループを含み得る(
図9の上側)。イメージャー核酸は、複数鎖複合体の一部であり得る(
図9の下側)。
【0079】
一部の実施形態では、イメージャー鎖は自己消光性とすることができ、結合しなかったイメージャー核酸は、シグナル放出部分、例えば、フルオロフォアに近接した消光部分を輸送し得ることを意味する。これを達成するために、イメージャー核酸を、分子指標様構造(
図5)又は半二重鎖構造(
図6)のいずれかをとるように設計することができる。
【0080】
この自己消光性のバリエーションを使用して、バックグラウンドを軽減し、且つ/又は洗浄ステップを回避することができる。加えて、又は別法では、結合及びイメージング緩衝液は、非特異的な結合を低減するためにFISH、ノーザンブロット法、及びサザンブロット法で日常的に使用される添加剤(例えば、負に帯電したポリマー、例えば、硫酸デキストラン及びヘパリン)を含み得る。
【0081】
本明細書で使用される「シグナル放出部分」は、一定の条件下で、検出可能なシグナル、例えば、光子、放射線、陽電子、電磁波、及び核磁気共鳴を放射する部分である。
【0082】
本明細書で使用される「イメージャー鎖」は、約30~約60ヌクレオチド長以上の一本鎖核酸(例えば、DNA)である。本発明のイメージャー鎖は、ドッキング鎖に相補的であり、且つドッキング鎖に安定に結合する。安定な結合とは、イメージャー鎖とドッキング鎖が、アッセイの期間、又は少なくとも30分間、又は少なくとも60分間、又は少なくとも2時間以上にわたって互いに結合を維持することを意味する。このような結合は、可逆的であってもそうでなくても良く、又は不可逆的であってもそうでなくても良い。
【0083】
一部の実施形態では、ドッキング核酸は、このドッキング核酸とイメージャー核酸とが、30分間、35分間、40分間、45分間、50分間、55分間、若しくは60分間(又は少なくとも30分間、少なくとも35分間、少なくとも40分間、少なくとも45分間、少なくとも50分間、少なくとも55分間、若しくは少なくとも60分間)(分)互いに結合し続ける場合は、イメージャー核酸、例えば、イメージャー鎖に安定に結合すると見なされる。一部の実施形態では、ドッキング核酸は、このドッキング核酸とイメージャー核酸とが、30~60分間、30~120分間、40~60分間、40~120分間、若しくは60~120分間(又は少なくとも30~60分間、少なくとも30~120分間、少なくとも40~60分間、少なくとも40~120分間、若しくは少なくとも60~120分間)互いに結合し続ける場合は、イメージャー核酸に安定に結合すると見なされる。このような結合は、可逆的であってもそうでなくても良く、又は不可逆的であってもそうでなくても良い。
【0084】
本明細書で使用される「結合」は、任意に物理的条件下での、例えば、静電気、疎水性、イオン、及び/又は水素結合の相互作用による少なくとも2つの分子間の結合を指す。
【0085】
2つの核酸、又は核酸ドメインは、これらがワトソン・クリック相互作用によって互いに塩基対を形成する場合又は結合して二本鎖核酸分子を形成する場合は互いに「相補的」である。
【0086】
一部の実施形態では、本発明の核酸、例えば、ドッキング核酸及びイメージャー核酸は、「完全な相補性」で互いに結合し、この完全な相補性は、100%相補性を指す(例えば、5’-ATTCGC-3’が5’-GCGAAT-3’に対して完全に相補的である)。
【0087】
本発明のイメージャー鎖は、検出可能な標識で標識することができる(例えば、蛍光標識、従って「蛍光標識された」と見なされる)。例えば、一部の実施形態では、イメージャー鎖は、少なくとも1つの(即ち、1つ以上の)フルオロフォアを含み得る。本発明に従って使用されるフルオロフォアの例としては、限定されるものではないが、キサンテン誘導体(例えば、フルオレセイン、ローダミン、オレゴングリーン、エオシン、及びテキサスレッド)、シアニン誘導体(例えば、シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニン、チアカルボシアニン、及びメロシアニン)、ナフタレン誘導体(例えば、ダンシル及びプロダン誘導体)、クマリン誘導体、オキサジアゾール誘導体(例えば、ピリジルオキサゾール、ニトロベンゾオキサジアゾール、及びベンゾオキサジアゾール)、ピレン誘導体(例えば、カスケードブルー)、オキサジン誘導体(例えば、ナイルレッド、ナイルブルー、クレシルバイオレット、及びオキサジン170)、アクリジン誘導体(例えば、プロフラビン、アクリジンオレンジ、及びアクリジンイエロー)、アリールメチン誘導体(例えば、オーラミン、クリスタルバイオレット、及びマラカイトグリーン)、及びテトラピロール誘導体(例えば、ポルフィン、フタロシアニン、及びビリルビン)が挙げられる。
【0088】
イメージャー鎖を含むイメージャー核酸は、検出可能な標識、例えば、本明細書に記載又は当技術分野で公知の標識を用いて共有結合で標識することができる。場合によっては、イメージャー鎖を含むイメージャー核酸は、2つ、3つ、4つ、又はそれを超える検出可能な標識、例えば、フルオロフォアを含み得る。
【0089】
イメージャー鎖を含む直交イメージャー核酸は、異なる標識(例えば、赤色フルオロフォア、青色フルオロフォア、又は緑色フルオロフォア)を含んでも良く、又はこの直交イメージャー核酸は全て、たとえヌクレオチド配列が異なっても同じ標識(例えば、赤色フルオロフォア)を含んでも良い。
【0090】
配列標識標的認識部分、例えば、結合パートナーとドッキング鎖のコンジュゲート
本発明のBP-NAコンジュゲート(例えば、タンパク質-核酸コンジュゲート)は、一部の実施形態では、結合パートナーをドッキング鎖に(例えば、共有結合又は非共有結合で)連結する中間リンカーを含む。中間リンカーは、ビオチン及び/又はストレプトアビジンを含み得る。例えば、一部の実施形態では、抗体及びドッキング鎖は、それぞれビオチン標識(例えば、少なくとも1つのビオチン分子に連結)することができ、ビオチンの中間ストレプトアビジン分子への結合によって互いに連結することができる。他の中間リンカーも、本発明に従って使用することができる。一部の実施形態、例えば、分子が核酸である実施形態では、中間リンカーが必要ないこともある。例えば、BP-NAコンジュゲートのドッキング鎖は、核酸分子、例えば、核酸アプタマーの伸長部(例えば、5’又は3’伸長部)であり得る。同様のアプローチを使用して、本明細書に記載される配列標識標的認識部分を作製することができる。
【0091】
複数のBP-NAコンジュゲート(例えば、タンパク質-核酸コンジュゲート)及びイメージャー鎖が本明細書に記載される。複数は、同じ種又は異なる種の集団であり得る。同じ種の複数のBP-NAコンジュゲートは、全て同じ標的(例えば、生体分子)(例えば、同じエピトープ又は領域/ドメイン)に結合するコンジュゲートを含み得る。逆に、異なる種の複数のBP-NAコンジュゲートは、コンジュゲート、又はコンジュゲートのサブセットを含み得、それぞれのコンジュゲート又はコンジュゲートのサブセットは、同じ標的又は異なる標的の異なるエピトープに結合する。同じ種の複数のイメージャー鎖は、同じヌクレオチド配列及び同じ蛍光標識(例えば、Cy2、Cy3、又はCy4)を有するイメージャー鎖を含み得る。逆に、異なる種の複数のイメージャー鎖は、異なるヌクレオチド配列(例えば、DNA配列)及び異なる蛍光標識(例えば、Cy2、Cy3、又はCy4)を有するか、又は異なるヌクレオチド配列及び同じ蛍光(例えば、全てCy2)を有するイメージャー鎖を含み得る。所与の複数のBP-NAコンジュゲートにおける異なる種の数は、結合パートナー(例えば、抗体)の数及び異なるヌクレオチド配列のドッキング鎖(従って相補的なイメージャー鎖)の数によって限定される。一部の実施形態では、複数のBP-NAコンジュゲート(例えば、タンパク質-核酸コンジュゲート)は、少なくとも10、50、100、500、1000、2000、3000、4000、5000、104、50000、105、105、106、107、108、109、1010、1011のBP-NAコンジュゲートを含む。同様に、一部の実施形態では、複数の蛍光標識イメージャー鎖は、少なくとも10、50、100、500、1000、2000、3000、4000、5000、104、50000、105、105、106、107、108、109、1010、1011の蛍光標識イメージャー鎖を含む。一部の実施形態では、複数は、1~約200、又はそれを超える異なる種のBP-NAコンジュゲート及び/又はイメージャー鎖を含み得る。例えば、複数は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200、又はそれを超える異なる種を含み得る。一部の実施形態では、複数は、約5~約200未満の異なる種のBP-NAコンジュゲート及び/又はイメージャー鎖を含み得る。例えば、複数は、5未満、6未満、7未満、8未満、9未満、10未満、15未満、20未満、25未満、30未満、35未満、40未満、45未満、50未満、55未満、60未満、65未満、70未満、75未満、80未満、85未満、90未満、95未満、100未満、125未満、150未満、175未満、又は200未満の異なる種を含み得る。これらの実施形態は、本明細書に記載される配列標識標的認識部位に適用される。
【0092】
シグナル又はイメージャー核酸の不活性化
本明細書に記載される一部の方法においてイメージャー核酸の不活性化を達成するために、イメージャー鎖を含むイメージャー核酸を、例えば、限定されるものではないが、温度の上昇;対イオン(例えば、遊離Mg++)の濃度の低下;変性剤(例えば、ホルムアミド、尿素、及びDMSOなど)の導入又は変性剤の濃度の上昇;及びイメージャー鎖の化学的切断、光化学的切断、若しくは酵素的切断、修飾、又は分解、又はこれらの任意の組合せによって結合パートナーを含む標的認識部分(
図3)から除去することができる。
【0093】
本明細書に記載される一部の方法においてイメージャー核酸の不活性化を達成するために、イメージャー鎖を含むイメージャー核酸は、ドッキング鎖からイメージャー核酸の核酸部分全体を除去することなく、シグナル放出部分を除去及び/又は修飾することによって不活性化させ得る(
図4)。
【0094】
一例として、イメージャー核酸の除去は、イメージャー鎖を複数の部分に切断することによって容易にすることができる。一部の実施形態では、イメージャー核酸は、化学的に切断可能な部分に作用する化合物の導入によって切断され得るこのような切断可能な部分を含む。このような化学的に切断可能な部分の例としては、限定されるものではないが、特定のPd系試薬(参照により本明細書に組み入れられるJu J.et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2006 Dec 26;103(52):19635-40)によって切断され得るアリール基;特定のリン系試薬、例えば、TCEP(参照により本明細書に組み入れられるGuo J et al.Proc Natl Acad Sci U S A.2008 Jul 8;105(27):9145-50)によって切断され得るアジド基;銀系試薬(参照により本明細書に組み入れられるMag M.et al.Nucleic Acids Res.1991 Apr 11;19(7):1437-41)によって切断され得る架橋ホスホロチオレート;還元剤、例えば、DTT及びTCEPによって切断され得るジスルフィド結合;及び様々な求核試薬、例えば、水酸化物及びイミダゾールによって切断され得るリボースが挙げられる。
【0095】
一部の実施形態では、イメージャー核酸は、(例えば、UV暴露によって)光化学的に切断され得る光切断可能なリンカーを含む。一部の実施形態では、イメージャー核酸は、酵素によって切断され得る部分を含む。このような酵素的に切断可能な部分の例としては、限定されるものではないが、様々なRNA分解酵素によって切断され得るリボヌクレオチド、酵素の組み合わせ、例えば、USER(New England Biolabs)によって切断され得るデオキシウリジン;及び配列特異的切断酵素又は制限酵素によって切断され得る制限部位が挙げられる。一部の実施形態では、制限酵素は、イメージャー核酸及びドッキング核酸の両方を切断し得る。なお他の実施形態では、イメージャー核酸の除去は、ドッキング核酸に結合して、安定性が低下した(又は溶融温度が低い)二重鎖を形成する形態にイメージャー核酸を修飾することによって容易にすることができる。
【0096】
一例として、イメージャー核酸は、光異性化され得るアゾベンゼンを含み、異なる異性体は、イメージャー核酸のドッキング核酸への結合強度に異なって影響を与える(参照により本明細書に組み入れられるAsanuma H.et al.Angew Chem
Int Ed Engl.2001 Jul 16;40(14):2671-2673)。一部の実施形態では、イメージャー核酸は、ウラシル基がウラシル-DNAグリコシラーゼによって切断され得るデオキシウリジンを含む。ウラシルが除去された後に、イメージャー鎖の結合強度が弱くなる。
【0097】
別法では、シグナル放出部分の除去は、イメージャー核酸とシグナル放出部分との間にリンカーが存在する場合は、このようなリンカーを切断することによって達成することができる。本明細書に記載される化学は、この目的にも使用することができる。
【0098】
シグナル放出部分の不活性化は、シグナル放出部分を化学的又は光化学的に修飾することによって達成することができる。例えば、シグナル放出部分がフルオロフォアである場合は、シグナル放出部分は、化学物質(例えば、過酸化水素など、参照により本明細書に組み入れられるGerdes M.et al.Proc Natl Acad Sci
U S A.2013 Jul 16;110(29):11982-87)によって退色させるか、又は(例えば、参照により本明細書に組み入れられるSchubert W.et al.Nat.Biotech.2006;24:1270-78に記載されているソフト多波長励起(soft multiwavelength excitation)を用いて)光退色させることができる。
【0099】
当技術分野で理解されるように、「光退色」は、色素又はフルオロフォア分子が蛍光できなくなるようなこのような分子の光化学的変更を指す。これは、蛍光分子と周囲分子との間の共有結合又は非特異的な反応の切断によって引き起こされる。光退色によって引き起こされる活性の喪失は、一部の実施形態では、光暴露の強度を低下若しくはその期間を短縮することによって、フルオロフォアの濃度を上昇させることによって、入力光の周波数を下げる、従って光子エネルギーを減少させることによって、又は退色しにくいよりロバストなフルオロフォア(例えば、Alexa Fluors又はDyLight Fluors)を利用することによって制御することができる。例えば、Ghauharali R.et al.Journal of Microscopy 2001;198:88-100;及びEggeling C.et al.Analytical Chemistry 1998;70:2651-59を参照されたい。
【0100】
従って、光退色を使用して、シグナルをシグナル放出部分から除去するか、変更するか、又は場合によっては消光することができる。光退色は、フルオロフォアを適切な波長、エネルギー、及び期間の光の波長に暴露して、フルオロフォアがさらなるシグナルを放出する能力を永久的且つ不可逆的に失わせることによって行うことができる。光退色技術は当技術分野で公知である。
【0101】
また、生理的温度(即ち、0℃~37℃)未満の様々な温度で通常は標的に結合することができ、且つ塩濃度の軽度の変動(即ち、一価の陽イオンが10mM~1Mの濃度;二価の陽イオンが0~10mMの濃度)を許容することができる抗体とは異なり、短い核酸のハイブリダイゼーションの親和性は、温度及び塩濃度に依存することが分かった。例えば、ssDNA 5’-CATCTAAAGCC-3’とその逆相補鎖 5’-GGCTTTAGATG-3’との間の予測解離定数(参考文献PMID 15139820で概説されているパラメーターセットを用いて)は、23℃、500mM[Na+]及び10mM[Mg++]濃度で、約90pMである。言い換えれば、この条件では、結合が非常に強い。ssDNAのこの対の予測解離定数は、37℃、150mM[Na+]及び0mM[Mg++]で、約500nMと高い。言い換えれば、この条件下では、結合がかなり弱い。これらの2つの条件の解離定数は、たとえ殆どの抗体が両方の条件でそれらの標的に強力に結合すると予想されるとしても、ほぼ4桁異なる。同様の傾向が、他のDNA配列でも観察される(
図10)。さらなる例として、イメージング条件は、23℃、500mM[Na+]及び10mM[Mg++]とすることができ、および色素不活性化条件は、37℃、150mM[Na+]及び0mM[Mg++]とすることができる。
【0102】
一部の実施形態では、分析されるサンプルは、培養組織、組織切片、又は生体からの他のサンプルである。
【0103】
一部の実施形態では、サンプルは、個々に固定されることを含む、固体表面(例えば、スライドガラス又はカバーガラス)に固定された解離細胞である。例えば、サンプルは、血中の細胞であり得る。例えば、サンプルは、血中を循環する癌細胞(循環癌細胞又はCTCとしても知られる)を含み得る。サンプルは、浮遊状態で成長する細胞であり得る。サンプルは、固形組織からばら撒かれた細胞であり得る。
【0104】
サンプル
「サンプル」は、複数の細胞(又は1つの細胞)、組織、又は体液、例えば、血液(血清及び/又は血漿)、尿、精液、リンパ液、脳脊髄液、又は羊水を含み得る。サンプルは、限定されるものではないが、ヒト、動物、細菌、ウイルス、微生物、及び植物を含む任意の供給源から得ることができる(又はこのような供給源に由来し得る)。一部の実施形態では、サンプルは、細胞溶解物又は組織溶解物である。サンプルは、1つの供給源又は異なる供給源からの材料の混合物も含み得る。サンプルは、空間領域又は体積(例えば、アレイの格子、又はプレート若しくは皿のウェル)であり得る。サンプルは、一部の実施形態では、標的、BP-NAコンジュゲート、及びイメージャー鎖を含む。細胞は、散在性(又は解離)細胞であり得る。
【0105】
標的
「標的」は、観察又は定量が望まれる、結合パートナーが存在する任意の部分である。標的は、一部の実施形態では、天然に存在しなくても良い。標的は、一部の実施形態では、生体分子であり得る。本明細書で使用される「生体分子」は、超巨大分子、例えば、タンパク質、多糖、脂質、及び核酸(例えば、DNA及びRNA、例えば、mRNA)、並びに小分子、例えば、一次代謝産物、二次代謝産物、及び天然産物を含む、生体によって産生される任意の分子である。生体分子の例としては、限定されるものではないが、DNA、RNA、cDNA、又は逆転写されたRNAのDNA産物、A23187(カルシマイシン、カルシウムイオノフォア)、アバメクチン、アビエチン酸、酢酸、アセチルコリン、アクチン、アクチノマイシンD、アデノシン、アデノシン二リン酸(ADP)、アデノシン一リン酸(AMP)、アデノシン三リン酸(ATP)、アデニル酸シクラーゼ、アドニトール、アドレナリン、エピネフリン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、エクオリン、アフラトキシン、寒天、アラメチシン、アラニン、アルブミン、アルドステロン、糊粉、α-アマニチン、アラントイン、アレスリン、α-アマニチン、アミノ酸、アミラーゼ、アナボリックステロイド、アネトール、アンジオテンシノーゲン、アニソマイシン、抗利尿ホルモン(ADH)、アラビノース、アルギニン、アスコマイシン、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスパラギン、アスパラギン酸、非対称ジメチルアルギニン、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、オーキシン、アビジン、アザジラクチンA-C35H44O16、バクテリオシン、ビューベリシン、ビククリン、ビリルビン、バイオポリマー、ビオチン(ビタミンH)、ブレフェルジンA、ブラシノライド、ブルシン、カダベリン、カフェイン、カルシフェロール(ビタミンD)、カルシトニン、カルモジュリン、カルモジュリン、カルレティキュリン、カンフル-(C10H16O)、カンナビノール、カプサイシン、カルボヒドラーゼ、炭水化物、カルニチン、カラギーナン、カゼイン、カスパーゼ、セルラーゼ、セルロース-(C6H10O5)、セルレニン、セトリモニウムブロミド(セトリミド)-C19H42BrN、ケレリスリン、クロモマイシンA3、シャパロニン(Chaparonin)、キチン、α-クロラロース、クロロフィル、コレシストキニン(CCK)、コレステロール、コリン、コンドロイチン硫酸、シンナムアルデヒド、シトラール、クエン酸、シトリニン、シトロネラール、シトロネロール、シトルリン、コバラミン(ビタミンB12)、コエンザイム、コエンザイムQ、コルヒチン、コラーゲン、コニイン、コルチコステロイド、コルチコステロン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン(CRH)、コルチゾール、クレアチン、クレアチンキナーゼ、クリスタリン、α-シクロデキストリン、シクロデキストリングリコシルトランスフェラーゼ、シクロパミン、シクロピアゾン酸、システイン、シスチン、シチジン、サイトカラシン、サイトカラシンE、シトクロム、シトクロムC、シトクロムcオキシダーゼ、シトクロムcペルオキシダーゼ、サイトカイン、シトシン-C4H5N3O、デオキシコール酸、DON(デオキシニバレノール)、デオキシリボフラノース、デオキシリボース、デオキシリボース核酸(DNA)、デキストラン、デキストリン、DNA、ドーパミン、酵素、エフェドリン、エピネフリン-C9H13NO3、エルカ酸-CH3(CH2)7CH=CH(CH2)11COOH、エリスリトール、エリスロポエチン(EPO)、エストラジオール、オイゲノール、脂肪酸、フィブリン、フィブロネクチン、葉酸(ビタミンM)、卵胞刺激ホルモン(FSH)、ホルムアルデヒド、ギ酸、フォルムノシ(Formnoci)、フルクトース、フモニシンB1、γグロブリン、ガラクトース、γグロブリン、γ-アミノ酪酸、γ-ブチロラクトン、γ-ヒドロキシ酪酸(GHB)、ガストリン、ゼラチン、ゲラニオール、グロブリン、グルカゴン、グルコサミン、グルコース-C6H12O6、グルコースオキシダーゼ、グルテン、グルタミン酸、グルタミン、グルタチオン、グルテン、グリセリン(グリセロール)、グリシン、グリコーゲン、グリコール酸、糖タンパク質、ゴナドトロピン放出ホルモン(GnRH)、グランザイム、緑色蛍光タンパク質、成長ホルモン、成長ホルモン放出ホルモン(GHRH)、GTPアーゼ、グアニン、グアノシン、グアノシン三リン酸(+GTP)、ハプトグロビン、ヘマトキシリン、ヘム、ヘムエリトリン、ヘモシアニン、ヘモグロビン、ヘムタンパク質、ヘパラン硫酸、高密度リポタンパク質、HDL、ヒスタミン、ヒスチジン、ヒストン、ヒストンメチルトランスフェラーゼ、HLA抗原、ホモシステイン、ホルモン、ヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG)、ヒト成長ホルモン、ヒアルロン酸、ヒアルロニダーゼ、過酸化水素、5-ヒドロキシメチルシトシン、ヒドロキシプロリン、5-ヒドロキシトリプタミン、インジゴ染料、インドール、イノシン、イノシトール、インスリン、インスリン様成長因子、内在性膜タンパク質、インテグラーゼ、インテグリン、インテイン、インターフェロン、イヌリン、イオノマイシン、イオノン、イソロイシン、鉄-硫黄クラスター、K252a、K252b、KT5720、KT5823、ケラチン、キナーゼ、ラクターゼ、乳酸、乳糖、ラノリン、ラウリン酸、レプチン、レプトマイシンB、ロイシン、リグニン、リモネン、リナロール、リノール酸、リノレン酸、リパーゼ、脂質、脂質アンカー型タンパク質、リポアミド、リポタンパク質、低密度リポタンパク質、LDL、黄体形成ホルモン(LH)、リコピン、リジン、リゾチーム、リンゴ酸、マルトース、メラトニン、膜タンパク質、金属タンパク質、メタロチオネイン、メチオニン、ミモシン、ミトラマイシンA、マイトマイシンC、モノマー、ミコフェノール酸、ミオグロビン、ミオシン、天然フェノール、核酸、オクラトキシンA、エストロゲン、オリゴペプチド、オリゴマイシン、オルシン、オレキシン、オルニチン、シュウ酸、オキシダーゼ、オキシトシン、p53、PABA、パクリタキセル、パルミチン酸、パントテン酸(ビタミンB5)、副甲状腺ホルモン(PTH)、パラプロテイン、パルダキシン、パルテノライド、パツリン、パキシリン、ペニシリン酸、ペニシリン、ペニトレムA、ペプチダーゼ、ペプシン、ペプチド、ペリマイシン、末梢膜タンパク質、ペロサミン、フェネチルアミン、フェニルアラニン、ホスファゼン、ホスファターゼ、リン脂質、フェニルアラニン、フィチン酸、植物ホルモン、ポリペプチド、ポリフェノール、多糖、ポルフィリン、プリオン、プロゲステロン、プロラクチン(PRL)、プロリン、プロピオン酸、プロタミン、プロテアーゼ、タンパク質、プロテノイド、プトレシン、ピレトリン、ピリドキシン又はピリドキサミン(ビタミンB6)、ピロリジン、ピルビン酸、キノン、ラディシコール、ラフィノース、レニン、レチネン、レチノール(ビタミンA)、ロドプシン(視紅)、リボフラビン(ビタミンB2)、リボフラノース、リボース、リボザイム、リシン、RNA-リボ核酸、RuBisCO、サフロール、サリチルアルデヒド、サリチル酸、サルビノリン-A-C23H28O8、サポニン、セクレチン、セレノシステイン、セレノメチオニン、セレノプロテイン、セリン、セリンキナーゼ、セロトニン、スカトール、シグナル認識粒子、ソマトスタチン、ソルビン酸、スクワラン、スタウロスポリン、ステアリン酸、ステリグマトシスチン、ステロール、ストリキニーネ、ショ糖(砂糖)、糖(一般に)、スーパーオキシド、T2毒素、タンニン酸、タンニン、酒石酸、タウリン、テトロドトキシン、ソーマチン、トポイソメラーゼ、チロシンキナーゼ、タウリン、テストステロン、テトラヒドロカンナビノール(THC)、テトロドトキシン、タプシガルジン、ソーマチン、チアミン(ビタミンB1)-C12H17ClN4OS?HCl、スレオニン、トロンボポエチン、チミジン、チミン、ト
リアクシンC、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)、チロキシン(T4)、トコフェロール(ビタミンE)、トポイソメラーゼ、トリヨードサイロニン(T3)、膜貫通受容体、トリコスタチンA、栄養ホルモン、トリプシン、トリプトファン、チューブリン、ツニカマイシン、チロシン、ユビキチン、ウラシル、尿素、ウレアーゼ、尿酸-C5H4N4O3、ウリジン、バリン、バリノマイシン、バナビン、バソプレシン、ベルクロゲン、ビタミン(一般に)、ビタミンA(レチノール)、ビタミンB、ビタミンB1(チアミン)、ビタミンB2(リボフラビン)、ビタミンB3(ナイアシン又はニコチン酸)、ビタミンB4(アデニン)、ビタミンB5(パントテン酸)、ビタミンB6(ピリドキシン又はピリドキサミン)、ビタミンB12(コバラミン)、ビタミンC(アスコルビン酸)、ビタミンD(カルシフェロール)、ビタミンE(トコフェロール)、ビタミンF、ビタミンH(ビオチン)、ビタミンK(ナフトキノン)、ビタミンM(葉酸)、ワートマニン、及びキシロースが挙げられる。
【0106】
一部の実施形態では、標的は、タンパク質標的、例えば、細胞環境のタンパク質(例えば、細胞内タンパク質又は膜タンパク質)であり得る。タンパク質の例としては、限定されるものではないが、繊維状タンパク質、例えば、細胞骨格タンパク質(例えば、アクチン、arp2/3、コロニン、ジストロフィン、FtsZ、ケラチン、ミオシン、ネブリン、スペクトリン、タウ、タイチン、トロポミオシン、チューブリン、及びコラーゲン)、及び細胞外マトリックスタンパク質(例えば、コラーゲン、エラスチン、f-スポンジン、ピカチュリン、及びフィブロネクチン);球状タンパク質、例えば、血漿タンパク質(例えば、血清アミロイドP成分及び血清アルブミン)、血液凝固因子(例えば、補体タンパク質、C1インヒビター及びC3-コンバターゼ、第VIII因子、第XIII因子、フィブリン、プロテインC、プロテインS、プロテインZ、プロテインZ関連プロテアーゼ阻害剤、トロンビン、フォン・ヴィレブランド因子)、及び急性期タンパク質、例えば、C反応性タンパク質;ヘムタンパク質;細胞接着タンパク質(例えば、カドヘリン、エペンジミン(ependymin)、インテグリン、Ncam、及びセレクチン);膜貫通輸送タンパク質(例えば、CFTR、グリコホリンD、及びスクランブラーゼ)、例えば、イオンチャネル(例えば、ニコチン性アセチルコリン受容体及びGABAa受容体のようなリガンド依存性イオンチャネル、及びカリウム、カルシウム、及びナトリウムチャネルのような電位依存性イオンチャネル)、シンポート(synport)/アンチポートタンパク質(例えば、グルコーストランスポーター);ホルモン及び成長因子(例えば、上皮成長因子(EGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、血管内皮増殖因子(VEGF)、ペプチドホルモン、例えば、インスリン、インスリン様成長因子、及びオキシトシン、並びにステロイドホルモン、例えば、アンドロゲン、エストロゲン、及びプロゲステロン);受容体、例えば、膜貫通受容体(例えば、Gタンパク質共役受容体、ロドプシン)、及び細胞内受容体(例えば、エストロゲン受容体);DNA結合タンパク質(例えば、ヒストン、プロタミン、CIタンパク質);転写調節因子(例えば、c-myc、FOXP2、FOXP3、MyoD、及びP53);免疫系タンパク質(例えば、免疫グロブリン、主要組織適合性抗原、及びT細胞受容体);栄養貯蔵/輸送タンパク質(例えば、フェリチン);シャペロンタンパク質;及び酵素が挙げられる。
【0107】
一部の実施形態では、標的は、核酸標的、例えば、細胞内環境の核酸であり得る。標的、ドッキング鎖、及びイメージャー鎖に関して本明細書で使用される場合、「核酸」は、任意の長さのポリマー型のヌクレオチド、例えば、デオキシリボヌクレオチド、又はリボヌクレオチド、又はこれらの類似体を指す。例えば、核酸は、DNA、RNA、又は逆転写されたRNAのDNA産物であり得る。核酸の非限定的な例としては、遺伝子又は遺伝子断片のコード領域又は非コード領域、リンケージ分析から特定される複数の遺伝子座(1つの遺伝子座)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換え核酸、分岐核酸、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、及びプライマーが挙げられる。核酸の他の例としては、限定されるものではないが、cDNA、アプタマー、ペプチド核酸(「PNA」)、2’-5’DNA(DNAのAコンフォメーション(A conformation)に一致する塩基空間を有する、主鎖が短縮された合成物質;2’-5’DNAは、B型のDNAとは通常はハイブリダイズしないが、RNAとは容易にハイブリダイズする)、ロックド核酸(LNA)、及び修飾された主鎖を有する核酸(例えば、天然に存在する核酸の塩基修飾型又は糖修飾型)が挙げられる。核酸は、修飾ヌクレオチド、例えば、メチル化ヌクレオチド及びヌクレオチド類似体(プリン及びピリミジンの「類似体」型が当技術分野で周知である)を含み得る。ヌクレオチド構造の修飾が存在する場合、この修飾は、ポリマーの構築の前又は後に付与することができる。核酸は、一本鎖、二本鎖、部分的に一本鎖、又は部分的に二本鎖のDNA又はRNAであり得る。
【0108】
一部の実施形態では、核酸(例えば、核酸標的)は天然に存在する。本明細書で使用される「天然に存在する」は、ヒトの介入なしで天然に存在する生物又はウイルス中に存在する核酸を指す。一部の実施形態では、核酸は、生物又はウイルスで自然に発生する。一部の実施形態では、核酸は、ゲノムDNA、メッセンジャーRNA、リボソームRNA、micro-RNA、pre-micro-RNA、pro-micro-RNA、ウイルスDNA、ウイルスRNA、又はpiwi-RNAである。一部の実施形態では、核酸標的は、合成DNAナノ構造(例えば、ワトソン・クリック相互作用によって互いにハイブリダイズして2D又は3Dナノ構造を形成する2つ以上の核酸を含む二次元(2D)又は三次元(3D)DNAナノ構造)ではない。
【0109】
本明細書に記載される核酸ドッキング鎖及びイメージャー鎖は、上記の核酸のいずれか1つ(例えば、DNA、RNA、修飾された核酸、核酸類似体、天然に存在する核酸、合成核酸)とすることができる。
【0110】
組成物
本発明の少なくとも1つ又は少なくとも2つ(例えば、複数)のBP-NAコンジュゲート(例えば、タンパク質-核酸コンジュゲート)を含む組成物が本明細書に記載される。BP-NAコンジュゲートは、目的の標的(例えば、生体分子)に結合し、且つ/又は相補的な蛍光標識イメージャー鎖に安定に結合し得る。組成物は、複数の同じ種又は異なる種のBP-NAコンジュゲートを含み得る。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも10、50、100、500、1000、2000、3000、4000、5000、104、50000、105、105、106、107、108、109、1010、1011のBP-NAコンジュゲートを含み得る。一部の実施形態では、組成物は、少なくとも10、50、100、500、1000、2000、3000、4000、5000、104、50000、105、105、106、107、108、109、1010、1011の相補的な蛍光標識イメージャー鎖を含み得る。一部の実施形態では、組成物は、1~約200以上の異なる種のBP-NAコンジュゲート及び/又はイメージャー鎖を含み得る。例えば、組成物は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、125、150、175、200以上の異なる種を含み得る。一部の実施形態では、組成物は、約5~約200未満の異なる種のBP-NAコンジュゲート及び/又はイメージャー鎖を含み得る。例えば、組成物は、5未満、6未満、7未満、8未満、9未満、10未満、15未満、20未満、25未満、30未満、35未満、40未満、45未満、50未満、55未満、60未満、65未満、70未満、75未満、80未満、85未満、90未満、95未満、100未満、125未満、150未満、175未満、又は200未満の異なる種を含み得る。
【0111】
組成物中の相補的な蛍光標識イメージャー鎖イメージャー鎖の数は、組成物中のBP-NAコンジュゲートの数よりも少なくても良く、この数に等しくても良く、又はこの数よりも多くても良いことを理解されたい。
【0112】
キット
本発明は、本発明の1つ以上の構成要素を含むキットをさらに提供する。キットは、例えば、BP-NAコンジュゲート及び/又は蛍光標識イメージャー鎖を含み得る。キットは、BP-NAコンジュゲートを作製するため又はイメージャー鎖を標識するための構成要素も含み得る。例えば、キットは、結合パートナー(例えば、抗体)、ドッキング鎖、及び中間リンカー、例えば、ビオチン及びストレプトアビジン分子など、及び/又はイメージャー鎖を含み得る。キットは、上記の目的を含め、当業者に明らかなあらゆる目的に使用することができる。
【0113】
キットは、他の試薬、例えば、ハイブリダイゼーション反応を行うための緩衝液も含み得る。キットはまた、キットの構成要素の使用、及び/又はBP-NAコンジュゲート及び/又は標識イメージャー鎖の作製及び/又は使用についての取扱説明書も含み得る。
【0114】
適用
本発明のBP-NAコンジュゲート(例えば、タンパク質-核酸コンジュゲート又は抗体-核酸コンジュゲート)を、とりわけ、従来の標的検出技術が使用されるアッセイで使用することができる。
【0115】
典型的には、アッセイは、診断アッセイ、予後アッセイ、患者監視アッセイ、スクリーニングアッセイ、生物戦アッセイ(bio-warfare assay)、法医学的分析アッセイ、及び出生前ゲノム診断アッセイなどを含む検出アッセイを含む。アッセイは、in vitroアッセイ又はin vivoアッセイであり得る。本発明は、多くの異なる標的を、たとえ先行技術のイメージング法を用いて空間的に溶解できなくても(従って空間的に不明確でも)、このような標的を、本発明の方法を用いて1つのサンプルで一度に分析できるという利点を提供する。これにより、例えば、1つのサンプルに対していくつかの診断試験を行うことが可能となる。
【0116】
BP-NAコンジュゲートを使用して、単純に範囲又は領域を観察することもできる。
【0117】
本発明の方法は、病変細胞型がサンプル中に存在するか否かを決定するため、及び/又は疾患を分類するために、患者から得たサンプル又は患者に由来するサンプルの分析に適用することができる。例えば、血液サンプルを、本明細書に記載されるいずれかの方法に従ってアッセイして、サンプル中の癌性細胞型のマーカーの存在及び/又は量を決定し、これにより癌を診断又は分類することができる。
【0118】
別法では、本明細書に記載される方法を使用して、サンプル中の細菌又はウイルスのそれぞれのマーカーの存在及び/又は量を決定することによって、病原体感染、例えば、細胞内細菌及びウイルスによる感染を診断することができる。従って、本発明の組成物及び方法を使用して検出される標的は、患者マーカー(例えば、癌マーカー)、又は外来病原体の感染のマーカー、例えば、細菌マーカー又はウイルスマーカーのいずれかであり得る。
【0119】
本発明の定量的なイメージング方法を使用して、例えば、豊富な存在が生物学的状態又は病状を示唆する標的(例えば、標的生体分子)を定量することができる(例えば、疾患の状態の結果として上方制御又は下方制御される血液マーカー)。
【0120】
さらに、本発明の組成物及び方法を使用して、患者の治療コースの決定に役立つ予後情報を提供することができる。例えば、腫瘍の特定のマーカーの量を、たとえ患者からのサンプルが少量でも正確に定量することができる。乳癌のような特定の疾患では、特定のタンパク質、例えば、Her2-neuの過剰発現は、より積極的な治療コースが必要であることを示唆する。
【0121】
本発明の方法はまた、化合物、突然変異、温度変化、成長ホルモン、成長因子、疾患、又は培養条件の変化を含む摂動の様々な標的に対する効果を決定し、これにより、存在、非存在、又はレベルが特定の生物学的状態を示唆する標的を特定することに使用することもできる。一部の実施形態では、本発明は、疾患の状態の構成要素及び経路を解明及び発見するために使用される。例えば、「正常」組織中に存在する標的の量と疾患組織中に存在する標的の量とを比較することにより、疾患に関与する重要な標的の解明が可能となり、従って、疾患の処置に使用することができる新たな薬物候補の発見/スクリーニングのための標的が特定される。
【0122】
分析されるサンプルは、生物学的サンプル、例えば、血液、痰、リンパ液、粘液、便、及び尿などであり得る。サンプルは、環境サンプル、例えば、水サンプル、空気サンプル、及び食物サンプルなどであり得る。アッセイは、固定された結合反応の1つ以上の構成成分で行うことができる。従って、標的又はBP-NAコンジュゲートを固定することができる。アッセイは、固定されていない結合反応の1つ以上の構成成分で行うことができる。アッセイは、本発明のBP-NAコンジュゲート及び蛍光標識イメージャー鎖によって提供される多重化の可能性を考慮して、本質的に同時にサンプル中の多数の標的の検出を含み得る。一例として、アッセイを使用して、(例えば、特定の細胞表面受容体に基づいて)特定の細胞型及びその特定の細胞型における特定の遺伝子突然変異を検出することができる。このようにして、末端利用者は、一例として、特定の細胞型のいくつの細胞が目的の突然変異を有するかを決定することができるであろう。
【0123】
様々な実施形態
本開示は、限定されるものではないが、以下の付番した実施形態を含む様々な実施形態を提供する:
1.方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング鎖に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング鎖に連結される、ステップ、
(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、
(3)サンプルを、ドッキング鎖に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー鎖に接触させるステップ、
(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー鎖を除去するステップ、
(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー鎖の位置及び数を検出するステップ、
(6)結合した標識イメージャー鎖からのシグナルを消光するステップ、及び
(7)他の全ての標識イメージャー鎖に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー鎖を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップ
を含む、方法。
【0124】
2.ステップ(1)で、サンプルが2つ以上の標的特異的結合パートナーに接触される、実施形態1に記載の方法。
【0125】
3.標的特異的結合パートナーが抗体又は抗体断片である、実施形態1又は2に記載の方法。
【0126】
4.標識イメージャー鎖が同一に標識される、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0127】
5.標識イメージャー鎖がそれぞれ異なる標識を含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
6.標識イメージャー鎖が、蛍光標識イメージャー鎖である、実施形態1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
7.1つ以上の標的がタンパク質である、実施形態1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
8.サンプルが、細胞、細胞溶解物、又は組織溶解物である、実施形態1~7のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
9.サンプルが、共焦点又は落射蛍光顕微鏡検査法を用いてステップ(5)でイメージングされる、実施形態1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
10.ステップ(6)のシグナルの消光が光退色を含む、実施形態1~9のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
11.組成物であって、
2つ以上の標的特異的結合パートナーに結合したサンプルであって、各結合パートナーがドッキング鎖に結合している、サンプル、及び
標識イメージャー鎖に安定に結合した少なくとも1つのドッキング鎖
を含む、組成物。
【0134】
12.方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング核酸に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、
(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、
(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸に接触させるステップ、
(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、
(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、
(6)結合した標識イメージャー核酸をドッキング核酸から除去するステップ、及び
(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップ
を含む、方法。
【0135】
13.ステップ(1)で、サンプルが2つ以上の標的特異的結合パートナーに接触される、実施形態12に記載の方法。
【0136】
14.標的特異的結合パートナーが抗体又は抗体断片である、実施形態12又は13に記載の方法。
【0137】
15.標的特異的結合パートナーが、天然若しくはエンジニアリングされたリガンド、小分子、アプタマー、ペプチド、又はオリゴヌクレオチドである、実施形態12又は13のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
16.標識イメージャー核酸が同一に標識される、実施形態12~15のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
17.標識イメージャー核酸がそれぞれ異なる標識を含む、実施形態12~15のいずれか1つに記載の方法。
【0140】
18.標識イメージャー核酸が、蛍光標識イメージャー核酸である、実施形態12~17のいずれか1つに記載の方法。
【0141】
19.1つ以上の標的がタンパク質である、実施形態12~18のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
20.サンプルが、細胞、細胞溶解物、又は組織溶解物である、実施形態12~19のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
21.サンプルが、ステップ(5)で共焦点又は落射蛍光顕微鏡検査法を用いてイメージングされる、実施形態12~20のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
22.標識イメージャー核酸が、塩濃度の低下、変性剤の添加、又は温度の上昇によってドッキング核酸から除去される、実施形態12~21のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
23.塩がMg++である、実施形態22に記載の方法。
【0146】
24.変性剤が、ホルムアミド、尿素、又はDMSOである、実施形態22に記載の方法。
【0147】
25.標識イメージャー核酸が、競合核酸の存在下で、鎖置換によってドッキング核酸から除去されない、実施形態12~21のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
26.標識イメージャー核酸が、この標識イメージャー核酸を化学的切断、光化学的切断、若しくは酵素的切断、修飾、又は変性によってドッキング核酸から除去される、実施形態12~21のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
27.標識イメージャー核酸が、それぞれのドッキング核酸に結合されると、イメージャー核酸又はドッキング核酸に一本鎖領域が存在しない、実施形態12~21のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
28.標識イメージャー核酸が自己消光性ではない、実施形態12~21のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
29.結合しなかったドッキング核酸が部分的に二本鎖である、実施形態12~28のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
30.結合しなかったイメージャー核酸が部分的に二本鎖である、実施形態12~28のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
31.イメージャー核酸が、分子指標であるか、又はヘアピン二次構造を含む、実施形態12~28のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
32.イメージャー核酸が、分子指標であるか、又は自己消光性であるヘアピン二次構造を含む、実施形態12~27及び29~31のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
33.イメージャー核酸が半二重鎖である、実施形態12~28のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
34.半二重鎖が自己消光性である、実施形態33に記載の方法。
【0157】
35.ドッキング核酸がヘアピン二次構造を含む、実施形態12~34のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
36.イメージャー核酸が、デンドリマー構造又はポリマー構造によって複数のシグナル放出部分に結合される、実施形態12~35のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
34.方法であって、
(1)1つ以上の標的の存在について試験されるサンプルを1つ以上の標的特異的結合パートナーに接触させるステップであって、各標的特異的結合パートナーがドッキング核酸に連結され、異なる特異性の標的特異的結合パートナーが異なるドッキング核酸に連結される、ステップ、
(2)任意選択的に、結合しなかった標的特異的結合パートナーを除去するステップ、
(3)サンプルを、ドッキング核酸に相補的なヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸に接触させるステップ、
(4)任意選択的に、結合しなかった標識イメージャー核酸を除去するステップ、
(5)サンプルをイメージングして、結合した標識イメージャー核酸の位置及び数を検出するステップ、
(6)このイメージャー核酸全体を除去することなく、結合した標識イメージャー核酸のシグナル放出部分を除去又は修飾することにより、結合した標識イメージャー核酸を不活性化するステップ、及び
(7)他の全ての標識イメージャー核酸に対してユニークなヌクレオチド配列を有する標識イメージャー核酸を毎回用いてステップ(3)~(6)を繰り返すステップ
を含む、方法。
【0160】
35.ステップ(1)で、サンプルが2つ以上の標的特異的結合パートナーに接触される、実施形態34に記載の方法。
【0161】
36.標的特異的結合パートナーが抗体又は抗体断片である、実施形態34又は35に記載の方法。
【0162】
37.標的特異的結合パートナーが、天然若しくはエンジニアリングされたリガンド、小分子、アプタマー、ペプチド、又はオリゴヌクレオチドである、実施形態34又は35に記載の方法。
【0163】
38.標識イメージャー核酸が同一に標識される、実施形態34~37のいずれか1つに記載の方法。
【0164】
39.標識イメージャー核酸がそれぞれ異なる標識を含む、実施形態34~37のいずれか1つに記載の方法。
【0165】
40.標識イメージャー核酸が、蛍光標識イメージャー核酸である、実施形態34~39のいずれか1つに記載の方法。
【0166】
41.1つ以上の標的がタンパク質である、実施形態34~40のいずれか1つに記載の方法。
【0167】
42.サンプルが、細胞、細胞溶解物、又は組織溶解物である、請求項34~41のいずれか1つに記載の方法。
【0168】
43.サンプルが、ステップ(5)で共焦点又は落射蛍光顕微鏡検査法を用いてイメージングされる、実施形態34~42のいずれか1つに記載の方法。
【0169】
44.結合しなかったドッキング核酸が部分的に二本鎖である、実施形態34~43のいずれか1つに記載の方法。
【0170】
45.結合しなかったイメージャー核酸が部分的に二本鎖である、実施形態34~43のいずれか1つに記載の方法。
【0171】
46.イメージャー核酸が、分子指標であるか、又はヘアピン二次構造を含む、実施形態34~45のいずれか1つに記載の方法。
【0172】
47.イメージャー核酸が、分子指標であるか、又は自己消光性であるヘアピン二次構造を含む、実施形態34~45のいずれか1つに記載の方法。
【0173】
48.イメージャー核酸が半二重鎖である、実施形態34~45のいずれか1つに記載の方法。
【0174】
49.半二重鎖が自己消光性である、実施形態48に記載の方法。
【0175】
50.ドッキング核酸がヘアピン二次構造を含む、実施形態34~49のいずれか1つに記載の方法。
【0176】
51.イメージャー核酸が、デンドリマー構造又はポリマー構造によって複数のシグナル放出部分に結合される、実施形態34~50のいずれか1つに記載の方法。
【0177】
均等物
いくつかの本発明の実施形態を本明細書で説明し例示したが、当業者であれば、機能を果たすため、及び/又は本明細書に記載される結果及び/又は1つ以上の利点を得るための様々な他の手段及び/又は構造に容易に想到し、このような変形形態及び/又は変更形態はそれぞれ、本明細書に記載される本発明の実施形態の範囲内であると考えられる。より一般的には、当業者であれば、本明細書に記載される全てのパラメーター、寸法、材料、及び構造が例示目的であり、実際のパラメーター、寸法、材料、及び/又は構造が、本発明の教示が使用される1又は複数の特定の適用例によって異なることを容易に理解されよう。当業者であれば、単なる日常の実験を用いて、本明細書に記載される特定の本発明の実施形態の多数の均等物を認識するか、又はこのような均等物を確認することができるであろう。従って、上記の実施形態が、単なる例として示され、添付の特許請求の範囲及びその均等物の範囲内で、本発明の実施形態を、具体的に説明され且つ特許請求される以外の方法で実施できることを理解されたい。本開示の本発明の実施形態は、本明細書に記載されるそれぞれの個々の特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法に関する。加えて、2つ以上のこのような特徴、システム、物品、材料、キット、及び/又は方法のあらゆる組み合わせは、互いに矛盾するものではなく、本開示の本発明の範囲内に含まれる。
【0178】
本明細書で定義され使用される全ての定義は、辞書の定義、参照により本明細書に組み入れられる文献の定義、及び/又は定義される用語の通常の意味に優先されることを理解されたい。
【0179】
本明細書に開示される全ての参照文献、特許、及び特許出願は、それぞれが言及される主題についての参照により組み入れられ、このような主題は、場合によっては文献の全てを包含し得る。
【0180】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される不定冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、明確に反対の指示がなければ、「少なくとも1つの」を意味することを理解されたい。
【0181】
本明細書及び特許請求の範囲において本明細書で使用される「及び/又は」という句は、このようにつなげられる要素、即ち、ある場合には接続的に存在し、別の場合には離接的に存在する要素の「一方又は両方」を意味することを理解されたい。「及び/又は」で列記される複数の要素は、同様に、即ち、そのようにつなげられる要素の「1つ以上」と解釈されるべきである。他の要素は、具体的に特定される要素に関連するかしないかにかかわらず、「及び/又は」の節で具体的に特定される要素以外に任意に存在し得る。従って、非限定的な例として、「A及び/又はB」については、オープンエンドランゲージ、例えば、「含む(cmoprising)」と共に使用される場合は、一実施形態ではAのみ(B以外の要素を任意に含む);別の実施形態ではBのみ(A以外の要素を任意に含む);さらに別の実施形態ではAとBの両方(他の要素を任意に含む)などを指し得る。
【0182】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される「又は」は、上で定義された「及び/又は」と同じ意味を有することを理解されたい。例えば、リストにある項目を区切る場合は、「又は」又は「及び/又は」は、包含的である、即ち、多数又はリストの要素の少なくとも1つを含むが、2つ以上も含み、且つ任意に追加のリストにない項目も含むことを理解されたい。逆に明確に示される、のみという語、例えば、「~の1つのみ(only
one of)」又は「~の正確に1つのみ(exactly one of)」、又は特許請求の範囲で使用される場合の「~からなる(consisting of)」は、多数又はリストの要素の1つの要素のみを含むことを意味する。一般に、本明細書で使用される「又は」という語は、排他的な語、例えば、「いずれか」、「~の1つ」、「~の1つのみ(only one of)」、又は「~の正確に1つのみ(exactly
one of)」が先行する場合は、排他的選択(即ち、「一方又は他方であるが両方ではない」)としてのみ解釈されるべきである。「~から本質的になる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲で使用される場合、特許法の分野で使用される通常の意味を有するものとする。
【0183】
本明細書及び特許請求の範囲において使用される、リストの1つ以上の要素に関しての「少なくとも1つ」という句は、要素のリストにおけるいずれか1つ以上の要素から選択される少なくとも1つの要素を意味するが、要素のリストの中で具体的に列記される1つ1つの要素の少なくとも1つを必ずしも含まなくても良く、且つ要素のリストにおける要素のいずれの組み合わせも排除するものではないことを理解されたい。この定義はまた、具体的に明示された要素に関連するかしないかにかかわらず、「少なくとも1つ」という句が指す要素のリスト内で具体的に明示された要素以外の要素が任意に存在し得ることを許容する。従って、非限定的な例として、「A及びBの少なくとも1つ」(又は同様に「A又はBの少なくとも1つ」、又は同様に「A及び/又はBの少なくとも1つ」は、一実施形態では、Bを含まず、少なくとも1つ、任意に2つ以上のA(及び任意にB以外の要素を含む)を指し;別の実施形態では、Aを含まず、少なくとも1つ、任意に2つ以上のB(及び任意にA以外の要素を含む)を指し;さらに別の実施形態では、少なくとも1つ、任意に2つ以上のA、及び少なくとも1つ、任意に2つ以上のB(及び任意に他の要素含む)などを指し得る。
【0184】
また、明確に反対の指示がない限り、2つ以上のステップ又は動作を含む本明細書で特許請求されるあらゆる方法において、このような方法のステップ又は動作の順序は、このような方法のステップ又は動作が列挙される順序に必ずしも限定されるものではないことを理解されたい。
【0185】
特許請求の範囲及び上述の本明細書において、全ての移行句、例えば、「~を含む(comprising)」、「~を含む(including)」、「~を所有する(carrying)」、「~を有する(having)」、「含む(containing)」、「~を含む(involving)」、「~を保持する(holding)」、及び「~から構成される(composed of)」などは、オープンエンド、即ち、含むが限定されるものではないことを意味することを理解されたい。移行句「~からなる(consisting of)」及び「~から本質的になる(consisting essentially of)」のみが、米国特許商標局の特許審査便覧のセクション2111.03にそれぞれ記載されているクローズ又はセミクローズ移行句であるものとする。
【配列表】