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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】適合速度モデム
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/50 20130101AFI20240712BHJP
   H04B 10/11 20130101ALI20240712BHJP
【FI】
H04B10/50
H04B10/11
【請求項の数】 22
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023028501
(22)【出願日】2023-02-27
(62)【分割の表示】P 2021532321の分割
【原出願日】2020-01-13
(65)【公開番号】P2023078163
(43)【公開日】2023-06-06
【審査請求日】2023-03-28
(31)【優先権主張番号】62/793,108
(32)【優先日】2019-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/415,028
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516326438
【氏名又は名称】エックス デベロップメント エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ブリンクリー,デビン
(72)【発明者】
【氏名】モイション,ブルース
(72)【発明者】
【氏名】チョンカ,ポール
(72)【発明者】
【氏名】エルクメン,バリス
【審査官】鴨川 学
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0183516(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0219253(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0005385(US,A1)
【文献】特開2006-135514(JP,A)
【文献】特開2006-101345(JP,A)
【文献】国際公開第2011/018850(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 10/50
H04B 10/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信リンクを介して、データを伝える信号を第2の通信装置に送信するように構成された送信機と、
1つまたは複数のプロセッサと、を含む第1の通信装置であって、
前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記第2の通信装置から、第1の時間間隔にわたって前記通信リンクの受信電力量の表示を受信し、
前記受信した表示に基づいて、前記受信電力量が第2の時間間隔内に最小受信電力を下回ることを予測し、
前記受信電力量が前記第2の時間間隔内に前記最小受信電力を下回ると予測した後、前記送信機によって送信される前記信号のデータ速度を変更するための調整技術を選択し、前記選択した調整技術は、前記信号が前記通信リンクを介して前記データを送信し続けることを可能にし、
前記選択した調整技術を使用して前記信号の前記データ速度を調整するように構成される、第1の通信装置。
【請求項2】
前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信し、
前記受信した1つまたは複数の測定値および前記受信した表示に基づいて、前記第1の通信装置の複数のコンポーネントの状態を推定し、
前記推定に基づいて、送信可能な情報量を決定するように構成され、前記調整技術は、前記決定した送信可能な情報量に基づいて選択される、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項3】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信するように構成され、前記調整技術は、前記選択した調整技術に関連するコンポーネントの動作能力に基づいて選択される、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項4】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信するように構成され、前記調整技術は、前記選択した調整技術に必要な移行時間の量に基づいて選択される、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項5】
前記1つまたは複数のプロセッサは、前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信するように構成され、前記調整技術は、前記選択した調整技術において、前記第1の通信装置に対する動作によって消費される電力消費の量に基づいて選択される、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項6】
前記調整技術は、前記信号のデューティサイクルを変更することを含む、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項7】
前記調整技術は、前記信号の変調フォーマットを変更することを含む、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項8】
前記調整技術は、前記信号のボーレートを変更することを含む、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項9】
前記調整技術は、前記信号の帯域幅を変更することを含む、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項10】
送信通信信号を調整する方法であって、
第1の通信装置の1つまたは複数のプロセッサによって、第2の通信装置から、第1の時間間隔にわたって通信リンクの受信電力量の表示を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記受信した表示に基づいて、前記受信電力量が第2の時間間隔内に最小受信電力を下回ることを予測することと、
前記受信電力量が前記第2の時間間隔内に前記最小受信電力を下回ると予測した後、前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記第1の通信装置の送信機によって前記第2の通信装置に送信される信号のデータ速度を変更するための調整技術を選択することであって、前記選択した調整技術は、前記信号が前記通信リンクを介してデータを送信し続けることを可能にする、前記調整技術を選択することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記選択した調整技術を使用して前記信号の前記データ速度を調整することと、を含む、方法。
【請求項11】
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記1つまたは複数の測定値および前記受信した表示に基づいて、前記第1の通信装置の複数のコンポーネントの状態を推定することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記推定することの結果に基づいて、送信可能な情報量を決定することと、をさらに含み、
前記調整技術は、前記決定した送信可能な情報量に基づいて選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、コンポーネントの動作能力を決定することと、をさらに含み、前記調整技術は、前記決定した動作能力に基づいて選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記選択した調整技術に必要な移行時間の量を決定することと、をさらに含み、前記調整技術の前記選択は、前記決定した移行時間の量に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信することと、
前記1つまたは複数のプロセッサによって、前記選択した調整技術において、前記第1の通信装置に対する動作によって消費される電力消費の量を決定することと、をさらに含み、前記調整技術の前記選択は、前記決定した電力消費の量に基づく、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
プログラムのコンピュータ可読命令が格納されている非一時的な有形コンピュータ可読記憶媒体であって、前記命令は、第1の通信装置の1つまたは複数のプロセッサによって実行されるとき、前記1つまたは複数のプロセッサに方法を実行させ、前記方法は、
第2の通信装置から、第1の時間間隔にわたって通信リンクの受信電力量の表示を受信することと、
前記受信した表示に基づいて、前記受信電力量が第2の時間間隔内に最小受信電力を下回ることを予測することと、
前記受信電力量が前記第2の時間間隔内に前記最小受信電力を下回ると予測した後、前記第1の通信装置の送信機によって前記第2の通信装置に送信される信号のデータ速度を変更するための調整技術を選択することであって、前記選択した調整技術は、前記信号が前記通信リンクを介してデータを送信し続けることを可能にする、前記調整技術を選択することと、
前記選択した調整技術を使用して前記信号の前記データ速度を調整することと、を含む、媒体。
【請求項16】
前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信することと、
前記1つまたは複数の測定値および前記受信した表示に基づいて、前記第1の通信装置の複数のコンポーネントの状態を推定することと、
前記推定することの結果に基づいて、送信可能な情報量を決定することと、をさらに含み、
前記調整技術は、前記決定した送信可能な情報量に基づいて選択される、請求項15に記載の媒体。
【請求項17】
前記調整技術は、前記送信される信号のデューティサイクルを変更すること、前記送信される信号の変調フォーマットを変更すること、前記送信される信号のボーレートを変更すること、または前記送信される信号の帯域幅を変更することのうち少なくとも1つを含む、請求項15に記載の媒体。
【請求項18】
前記第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信することと、
前記受信した1つまたは複数の測定値および前記受信した表示に従って、所定の時間枠における前記第1の通信装置に対する複数の外乱値を推定することであって、各外乱値は、前記第1の通信装置のコンポーネントのセットに関連付けられる、前記複数の外乱値を推定することと、をさらに含む、請求項15に記載の媒体。
【請求項19】
前記調整技術は、前記受信電力量に対応する前記送信機の電力設定またはそれを下回る電力設定で可能な最高のデータ速度に基づいて選択される、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項20】
前記1つまたは複数のプロセッサは、
前記第1の時間間隔にわたる前記受信電力量の傾向を識別し、
前記第2の時間間隔にわたって前記傾向を外挿するようにさらに構成される、請求項1に記載の第1の通信装置。
【請求項21】
前記予測することは、
前記第1の時間間隔にわたる前記受信電力量の傾向を識別すること、および
前記第2の時間間隔にわたって前記傾向を外挿することによって行われる、請求項10に記載の方法。
【請求項22】
前記予測することは、
前記第1の時間間隔にわたる前記受信電力量の傾向を識別すること、および
前記第2の時間間隔にわたって前記傾向を外挿することによって行われる、請求項15に記載の媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2019年5月17日に提出された米国特許出願公開第16/415,028号の出願日の利益を主張し、この出願は2019年1月16日に提出された米国特許出願公開第62/793,108号の出願日の利益を主張しており、これらの開示は参照により本明細書に組み入れられる。
【背景技術】
【0002】
通信端末は、自由空間光通信(FSOC)リンクを通じて光信号を送受信することができる。これを達成するために、そのような端末は、一般に、取得および追跡システムを使用して、光ビームを互いに向けることによって光リンクを確立する。例えば、送信端末はビーコンレーザーを使用して受信端末を照明し、一方で受信端末は位置センサを使用して送信端末の位置を特定し、ビーコンレーザーを監視することができる。ステアリング機構は、端末を操作して、端末を相互に向けたり、取得が確立されるとその方向を追跡したりすることができる。光信号を正しく受信するのを確実にするためには、高い方向付けの精度が必要になる場合がある。
【0003】
通信端末の機構やコンポーネントは、時間の経過による動作の違いにより、物理的に異なる場合がある。例えば、機構は広い温度の範囲で循環し、大幅に変化するプラント(機構)の特性を経る可能性がある。コンポーネントは使用に伴って摩耗したりその他の方法で変化したりする場合があり、これにより光学スループットや適合速度の要件が変わる可能性がある。機構にはまた、従来の制御技術を使用してパフォーマンスを低下させるコンポーネントが含まれている場合もある。これらの状況では、通信端末の信頼性の高い動作を得るために、コンポーネントの変更によって引き起こされる変動を補償することが困難な場合がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
開示の諸態様は、アウトバウンド信号を遠隔通信システムに送信するように構成された通信システムを提供する。通信システムは、通信システムの状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信するように構成された1つまたは複数のセンサ、複数のコンポーネント、および1つ以上のセンサと通信する1つ以上のプロセッサを含む。1つまたは複数のプロセッサは、遠隔通信システムから、遠隔通信システムにおける受信電力量の表示を受信し;受信した1つまたは複数の測定値および受信した表示に基づいて、複数のコンポーネントの状態を推定し;受信した表示と複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、受信電力量が所定の時間間隔内に最小受信電力を下回る可能性があるかどうかを判断し;受信電力量が所定の時間間隔内に最小受信電力を下回る可能性が高いと判断された場合、アウトバウンド信号のデータ速度を調整するための複数の調整技術のうちの調整技術を選択し;また選択した調整技術を使用して通信システムの所定のコンポーネントを調整し、アウトバウンド信号のデータ速度を変更するよう構成される。
【0005】
一例では、複数のコンポーネントの推定された状態に基づいて調整技術が選択され、所定の調整技術を使用して送信可能な情報量を決定する。別の例では、複数のコンポーネントの推定された状態に基づいて調整技術が選択され、所定の調整技術に関連するコンポーネントの動作能力が決定される。さらなる例では、調整技術は、所定の調整技術に必要な移行時間の量を決定するために、複数のコンポーネントの推定された状態に基づいて選択される。さらに別の例では、調整技術は、所定の調整技術に対する通信システムへの電力消費を決定するために、複数のコンポーネントの推定された状態に基づいて選択される。
【0006】
さらに別の例では、調整技術は、所定の調整技術に関連するコンポーネントの動作能力、所定の調整技術に必要な移行時間の量、所定の調整技術を使用して送信され得る情報量、または所定の調整技術のための通信システムへの電力消費のうちの1つ以上に従って選択される。別の例では、複数の調整技術は、少なくとも、アウトバウンド信号のデューティサイクルの変更、アウトバウンド信号の変調フォーマットの変更、アウトバウンド信号のボーレートの変更、またはアウトバウンド信号の帯域幅の変更を含む。さらなる例では、複数のコンポーネントの状態は、受信された1つまたは複数の測定値および受信された表示に従って、所定の時間枠における通信システムに対する推定された複数の外乱値に従って推定され、各外乱値は、通信システムのコンポーネントのセットに関連付けられている。
【0007】
開示の他の態様は、第1の通信装置を操作する方法を提供する。この方法は、第1の通信装置の1つまたは複数のプロセッサによって、第2の通信装置における受信電力量の表示を受信することと、1つまたは複数のプロセッサによって、第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信することと、1つまたは複数のプロセッサによって、受信した1つまたは複数の測定値および受信した表示に基づいて、第1の通信装置の複数のコンポーネントの状態を推定することと、受信した表示および複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、1つまたは複数のプロセッサは、受信電力量が所定の時間間隔内に最小受信電力を下回る可能性があるかどうかを判断することと、受信電力量が所定の時間間隔内に最小受信電力を下回る可能性が高いと判断された場合、1つまたは複数のプロセッサは、第1の通信装置からのアウトバウンド信号のデータ速度を調整するための複数の調整技術のうちの調整技術を選択することと、1つまたは複数のプロセッサによって、選択された調整技術を使用して第1の通信装置の所定のコンポーネントを調整して、アウトバウンド信号のデータ速度を変更することと、を含む。
【0008】
一例では、調整技術を選択することが、複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、所定の調整技術を使用して送信可能な情報の量を決定することを含む。別の例では、調整技術を選択することが、複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、所定の調整技術に関連するコンポーネントの動作能力を決定することを含む。さらなる例では、調整技術を選択することが、複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、所定の調整技術に必要な移行時間の量を決定することを含む。さらに別の例では、調整技術を選択することが、複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、所定の調整技術について第1の通信装置への電力消費を決定することを含む。
【0009】
さらに別の例では、調整技術は、所定の調整技術に関連するコンポーネントの動作能力、所定の調整技術に必要な移行時間の量、所定の調整技術を使用して送信され得る情報量、または所定の調整技術のための第1の通信装置への電力消費のうちの1つ以上に従って選択される。別の例では、複数の調整技術は、アウトバウンド信号のデューティサイクルの変更、アウトバウンド信号の変調フォーマットの変更、アウトバウンド信号のボーレートの変更、またはアウトバウンド信号の帯域幅の変更を含む。
【0010】
本開示のさらなる態様は、プログラムのコンピュータ可読命令が記憶されている非一時的な有形コンピュータ可読記憶媒体を提供する。命令が、第1の通信装置の1つ以上のプロセッサによって実行されるとき、1つ以上のプロセッサに、方法を実行させる。この方法は、第2の通信装置から、第2の通信装置における受信電力量の表示を受信することと、第1の通信装置の状態に関連する1つまたは複数の測定値を受信することと、受信した1つまたは複数の測定値および受信した表示に基づいて、第1の通信装置の複数のコンポーネントの状態を推定することと、受信した表示および複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、受信電力量が所定の時間間隔内に最小受信電力を下回る可能性があるかどうかを判断することと、受信電力量が所定の時間間隔内に最小受信電力を下回る可能性が高いと判断された場合、第1の通信装置からのアウトバウンド信号のデータ速度を調整するための複数の調整技術のうちの調整技術を選択することと、アウトバウンド信号のデータ速度を変更するために、選択された調整技術を使用して、第1の通信装置の所定のコンポーネントを調整することとを含む。
【0011】
一例では、調整技術を選択することが、1つまたは複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、所定の調整技術を使用して送信可能な情報の量を決定することを含む。この例では、調整技術を選択することは、決定された情報量に基づいている。別の例では、複数の調整技術は、アウトバウンド信号のデューティサイクルの変更、アウトバウンド信号の変調フォーマットの変更、アウトバウンド信号のボーレートの変更、またはアウトバウンド信号の帯域幅の変更を含む。さらなる例では、複数のコンポーネントの状態を推定することは、受信された1つまたは複数の測定値および受信された表示に従って、所定の時間枠における第1の通信装置に対する複数の外乱値を推定することを含み、各外乱値は、第1の通信装置の構成要素のセットに関連付けられる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本開示の態様による第1の通信装置および第2の通信装置のブロック図100である。
図2】本開示の態様によるネットワーク200の絵図である。
図3】本開示の態様による方法を示すフロー図300である。
図4】本開示の態様による通信装置を動作させる方法を示すグラフ400である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
概要
この技術は、受信電力に応じて送信データ速度を調整する適合速度モデムに関する。特に、適合データ速度モデムは、通信システムの状態を決定し、状態に従って複数の調整技術から調整技術を選択するように構成されてもよい。
【0014】
上記の機能は、全体的なスループットとより優れた可用性とをトレードオフするように設計された通信システムを提供することができる。システムは、システムコンポーネントの影響だけでなく、もやや霧などの大気の影響にも調整することができる。結果として、外乱中に望ましいデータスループットレベルがより適切に維持され、固定速度のモデムを使用するときよりもより緩やかに低下する可能性がある。通信リンクの可用性が向上すると、ネットワークの堅牢性が高まり、ユーザーエクスペリエンスの一貫性が高められる。
【0015】
例示的なシステム
図1は、例えば自由空間光通信(FSOC)システムなどのシステムの一部として、第2の通信端末の第2の通信装置122と1つ以上のリンクを形成するように構成された第1の通信端末の第1の通信装置102のブロック図100である。例えば、第1の通信装置102は、構成要素として、1つまたは複数のプロセッサ104、メモリ106、送信機112、受信機114、ステアリング機構116、および1つまたは複数のセンサ118を含む。第1の通信装置102は、図1に示されていない他のコンポーネントを含むことができる。
【0016】
1つ以上のプロセッサ104は、市販されているCPUなど任意の従来のプロセッサであってもよい。代替的に、1つ以上のプロセッサは、特定用途向け集積回路(ASIC)またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)などの他のハードウェアベースプロセッサなどの専用装置であってもよい。図1は、1つ以上のプロセッサ104およびメモリ106を同じブロック内にあるものとして機能的に図解しているが、1つ以上のプロセッサ104およびメモリ106は、実際は、同じ物理的筐体内に格納されても、または同じ物理的筐体内に格納されなくてもよい多数のプロセッサおよびメモリを備えてもよい。よって、プロセッサまたはコンピュータへの言及は、並列に動作しても、または並列に動作しなくてもよいプロセッサまたはコンピュータまたはメモリの集合体への言及を含むことが理解されるであろう。
【0017】
メモリ106は、1つ以上のプロセッサ104によって実行されてもよいデータ108および命令110を含む、1つ以上のプロセッサ104によってアクセス可能な情報を格納してもよい。メモリは、ハードドライブ、メモリカード、ROM、RAM、DVD、または他の光ディスクなどのコンピュータ可読媒体、ならびに他の書き込み可能および読み取り専用メモリを含む、プロセッサによってアクセス可能な情報を格納することができる任意の種類のメモリであってもよい。システムおよび方法は、上記の様々な組み合わせを含んでもよく、それによって、データ108および命令110の様々な部分が、様々な種類の媒体に格納される。メモリ106などの各通信装置のメモリには、信号を追跡するために決定された1つまたは複数のオフセットなどの較正情報が格納されてもよい。
【0018】
データ108は、命令110に従って、1つ以上のプロセッサ104によって検索、格納、または修正されてもよい。例えば、技術はいかなる特定のデータ構造にも限定されないが、データ108は、コンピュータレジスタ内で、複数の異なるフィールドおよびレコードを有する表、XMLドキュメント、またはフラットファイルとして、リレーショナルデータベース内に格納されてもよい。
【0019】
命令110は、1つ以上のプロセッサ104によって直接的に(マシンコードなど)または間接的に(スクリプトなど)実行される任意の命令の組であってもよい。例えば、命令110は、コンピュータ可読媒体にコンピュータコードとして格納されてもよい。その点において、「命令」および「プログラム」という用語は、本明細書では、区別なく使用され得る。命令110は、1つ以上のプロセッサ104による直接的な処理のためにオブジェクトコード形式で格納されてもよく、あるいは要求に応じて解釈されるか、または事前にコンパイルされる独立したソースコードモジュールのスクリプトまたはコレクションを含む、任意の他のコンピュータ言語で格納されてもよい。命令110の機能、方法、およびルーチンは、以下でさらに詳細に説明される。
【0020】
1つ以上のプロセッサ104は、送信機112および受信機114と通信する。送信機112および受信機114は、第1の通信装置102におけるトランシーバ構成の一部であってもよい。したがって、1つ以上のプロセッサ104は、送信機112を介して、信号でデータを送信するように構成されてもよく、また、受信機114を介して、信号で通信およびデータを受信するように構成されてもよい。受信された信号は、1つ以上のプロセッサ104によって処理されて、通信およびデータを抽出してもよい。
【0021】
送信機112は、デジタルアナログ変換器を含むことができる。さらに、送信機112は、1つの通信装置が別の通信装置の位置を特定できるようにするビーコンビーム20を出力するように構成され得る。送信機は、通信リンク22を介して通信ビームを出力するように構成することもできる。したがって、送信機112から出力される信号は、ビーコンビーム20、通信信号、またはその両方を含むことができる。通信ビームは、例えば、無線周波数信号または光信号など、自由空間を介して信号を伝えるように構成されてもよい。場合によっては、送信機は、ビーコンビームを送信するように構成された別個のビーコン送信機と、通信ビームを送信するように構成された1つまたは複数の通信リンク送信機とを含み得る。あるいは、送信機112は、ビーコンビームと通信信号の両方を出力するように構成された1つの送信機を含んでもよい。ビーコンビーム20は、通信リンク22で使用される通信ビームよりも大きな立体角を空間に照明することができ、ビーコンビームを受信する通信装置がビーコンビームをより適切に位置特定することを可能にする。例えば、ビーコン信号を伝えるビーコンビームは、平方ミリラジアンのオーダーの角度領域をカバーすることができ、通信信号を伝える光通信ビームは、平方ミリラジアンの100分の1のオーダーの角度領域をカバーすることができる。
【0022】
図1に示すように、第1の通信装置102の送信機112は、ビーコンビーム20aを出力して、ビーコンビーム20aを受信する第2の通信装置122との通信リンク22aを確立するように構成される。第1の通信装置102は、ビーコンビーム20aよりも狭い立体角を有し、通信信号24を伝える通信ビーム(図示せず)と同一直線上に、ビーコンビーム20aを位置合わせすることができる。したがって、第2の通信装置122がビーコンビーム20aを受信すると、第2の通信装置122は、第1の通信装置102と見通し内リンクを確立するか、またはその他の方法で第1の通信装置と位置合わせすることができる。その結果、第1の通信装置102から第2の通信装置122への通信ビーム(図示せず)の送信を可能にする通信リンク22aが確立され得る。
【0023】
受信機114は、光信号を検出するように構成された光ファイバおよび追跡システムを含むことができる。追跡システムは、少なくとも追跡センサを含むことができる。さらに、追跡システムは、レンズ、ミラー、または受信した光ビームの一部を追跡センサに方向転換させ、受信した光ビームの残りの部分を光ファイバと結合させるように構成された他のシステムも含み得る。追跡センサは、位置感知検出器(PSD)、電荷結合素子(CCD)カメラ、焦点面アレイ、光検出器、クワッドセル検出器アレイ、またはCMOSセンサを含み得るが、これらに限定されない。追跡センサは、追跡センサで信号の位置を検出し、かつ光電効果を使用して受信した光ビームを電気信号に変換するように構成されている。受信機114はまた、アナログデジタル変換器を含むことができる。受信機114は、受信した光信号を追跡することができ、これを使用して、ステアリング機構116を、シンチレーションおよび/またはプラットフォームの動きによる外乱に対抗するように方向付けることができる。
【0024】
さらに、1つまたは複数のプロセッサ104は、送信機112、受信機114、および/または光信号の指向方向を調整するために、ステアリング機構116と通信している。ステアリング機構116は、通信装置に対して送信機112および/または受信機114を動かすように構成された固定レンズおよび/またはジンバルを通して光信号を操縦する1つまたは複数のミラーを含むことができる。特に、ステアリング機構116は、MEMS2軸ミラー、2軸ボイスコイルミラー、またはピエゾ電子2軸ミラーであってもよい。ステアリング機構116は、送信機、受信機、および/または光信号を、例えば、ヨーおよびピッチなどの少なくとも2つの自由度で操縦するように構成され得る。指向方向の調整は、第1の通信装置102と第2の通信装置122との間の、通信リンク22などの通信リンクを取得するために行うことができる。通信リンクの検索を実行するために、1つまたは複数のプロセッサ104は、ステアリング機構116を使用して、通信リンクが取得されるまで一連の変化する方向に送信機112および/または受信機114を向けるように構成され得る。さらに、調整は、送信機112からの光の送信および/または受信機114での光の受信を最適化することができる。
【0025】
1つまたは複数のプロセッサ104は、1つまたは複数のセンサ118とも通信している。1つまたは複数のセンサ118または推定器は、第1の通信装置102の状態を監視するように構成され得る。1つまたは複数のセンサは、姿勢、角度、速度、トルク、および他の力のうちの1つまたは複数を測定するように構成された慣性計測ユニット(IMU)、エンコーダ、加速度計、またはジャイロスコープを含むことができる。さらに、1つ以上のセンサ118は、例えば、温度、風、放射、降水、湿度などの1つ以上の環境条件を測定するように構成された1つ以上のセンサを含むことができる。この点で、1つ以上のセンサ118は、温度計、気圧計、湿度計などを含むことができる。1つ以上のセンサ118は、図1では、第1の通信装置102の他のコンポーネントと同じブロック内にあるように示されているが、いくつかの実装では、1つ以上のセンサのいくつかまたはすべてが、第1の通信装置102と別個であり、離れていてもよい。
【0026】
第2の通信装置122は、1つまたは複数のプロセッサ124、メモリ126、送信機132、受信機134、ステアリング機構136、および1つまたは複数のセンサ138を含む。1つ以上のプロセッサ124は、上で説明される1つ以上のプロセッサ104と同様であってもよい。メモリ126は、プロセッサ124によって実行されてもよいデータ128および命令130を含む、1つ以上のプロセッサ124によってアクセス可能な情報を格納してもよい。メモリ126、データ128、および命令130は、上で説明されるメモリ106、データ108、および命令110と同様に構成されてもよい。さらに、第2の通信装置122の送信機132、受信機134、およびステアリング機構136は、上述の送信機112、受信機114、およびステアリング機構116と同様であり得る。
【0027】
送信機112と同様に、送信機132は、デジタルアナログ変換器を含むことができ、通信ビームとビーコンビームの両方を出力するように構成することができる。例えば、第2の通信装置122の送信機132は、ビーコンビーム20bを出力して、ビーコンビーム20bを受信する第1の通信装置102との通信リンク22bを確立することができる。第2の通信装置122は、ビーコンビーム20bを、ビーコンビームより狭い立体角を有し、かつ別の通信信号を伝える通信ビーム(図示せず)と同一直線上に位置合わせさせることができる。したがって、第1の通信装置102がビーコンビーム20aを受信すると、第1の通信装置102は、第2の通信装置122と見通し内を確立するか、またはその他の方法で第2の通信装置と位置合わせすることができる。その結果、第2の通信装置122から第1の通信装置102への通信ビーム(図示せず)の送信を可能にする通信リンク22bが確立され得る。
【0028】
受信機114と同様に、受信機134は、光ファイバと、受信機114に関して上で説明したのと同じまたは類似の特徴を有する光信号を検出するように構成された追跡システムとを含む。さらに、追跡システムは、レンズ、ミラー、または受信した光ビームの一部を追跡センサに方向転換させ、受信した光ビームの残りの部分を光ファイバと結合させるように構成された他のシステムも含み得る。受信機134はまた、アナログデジタル変換器を含むことができる。受信機134は、受信した光信号を追跡することもでき、これは、シンチレーションおよび/またはプラットフォームの動きによる外乱に対抗するようにステアリング機構136を方向付けるために使用することができる。
【0029】
1つまたは複数のプロセッサ124は、ステアリング機構116に関して上述したように、送信機132、受信機134、および/または光信号の指向方向を調整するために、ステアリング機構136と通信することができる。指向方向の調整は、第1の通信装置102と第2の通信装置122との間に、通信リンク22などの取得および接続リンクを確立するために行うことができる。さらに、1つまたは複数のプロセッサ124は、1つまたは複数のセンサ118に関して上述したように、1つまたは複数のセンサ138と通信することができる。1つまたは複数のセンサ138は、1つまたは複数のセンサ118が第1の通信装置102の状態を監視するように構成されるのと同じまたは同様の方法で、第2の通信装置122の状態を監視するように構成され得る。
【0030】
図1に示すように、通信リンク22aおよび22bは、第1および第2の通信装置の送信機および受信機が位置合わせされるとき、またはリンクされた指向方向にあるとき、第1の通信装置102と第2の通信装置122との間に形成され得る。通信リンク22aを使用して、1つまたは複数のプロセッサ104は、通信信号を第2の通信装置122に送信することができる。通信リンク22bを使用して、1つまたは複数のプロセッサ124は、通信信号を第1の通信装置102に送信することができる。いくつかの例では、第1の通信装置102と第2の通信装置122との間に1つの通信リンク22を確立するだけで十分であり、このことが2つの装置間でデータの双方向伝送を可能にする。これらの例における通信リンク22はFSOCリンクである。他の実装形態では、通信リンク22のうちの1つまたは複数は、無線周波数通信リンクまたは自由空間を通って移動できる他のタイプの通信リンクであり得る。
【0031】
図2に示すように、第1の通信装置102および第2の通信装置122などの複数の通信装置は、複数の通信端末間に複数の通信リンク(矢印として示される)を形成し、それによってネットワーク200を形成するように構成されてもよい。ネットワーク200は、クライアント装置210および212、サーバ装置214、ならびに通信装置102、122、220、222、および224を含むことができる。クライアント装置210、212、サーバ装置214、ならびに通信装置220、222、および224のそれぞれは、1つまたは複数のプロセッサ、メモリ、送信機、受信機、および上述のものと同様のステアリング機構を含み得る。送信機および受信機を使用して、ネットワーク200内の各通信装置は、矢印で示すように、別の通信装置と少なくとも1つの通信リンクを形成することができる。通信リンクは、光周波数、無線周波数、他の周波数、または異なる周波数帯域の組み合わせに対するものであり得る。図2では、クライアント装置210ならびに通信装置122、220、および222との通信リンクを有する通信装置102が示されている。通信装置122は、通信装置102、220、222、および224との通信リンクを有するように示されている。
【0032】
図2に示すネットワーク200は、単なる例示であり、いくつかの実装形態では、ネットワーク200は、追加のまたは異なる通信端末を含むことができる。ネットワーク200は、複数の通信装置が複数の地上通信端末上にある地上ネットワークであってもよい。他の実装形態では、ネットワーク200は、1つまたは複数の高高度プラットフォーム(HAP)を含み得、気球、小型飛行船、または他の飛行船、飛行機、無人航空機(UAV)、衛星、または任意の他の形式の高高度プラットフォームまたは他のタイプの移動可能または固定通信端末であり得る。いくつかの実装形態では、ネットワーク200は、携帯電話、ラップトップコンピュータ、デスクトップコンピュータ、ウェアラブル装置、またはタブレットコンピュータなどのクライアント装置用のアクセスネットワークとして機能することができる。ネットワーク200は、インターネットなどのより大きなネットワークに接続することもでき、より大きなコンピュータネットワークに保存された、またはより大きなコンピュータネットワークを通じて提供されるリソースへのアクセスをクライアント装置に提供するように構成することができる。
【0033】
例示的な方法
接続されている間、第1の通信装置102の1つまたは複数のプロセッサ104は、送信信号を使用して、設定されたデータ速度で第2の通信装置122にデータを送信することができる。1つまたは複数のプロセッサ104は、以下に説明するように、第2の通信装置122との通信リンクを介して送信信号のデータ速度、変調、または他の特徴を調整することもできる。いくつかの実装形態では、第2の通信装置122の1つまたは複数のプロセッサ124も、送信信号のデータ速度、変調、または他の特徴を同じ方法で調整するように構成され得る。図3では、1つまたは複数のプロセッサ104および/または1つまたは複数のプロセッサ124によって実行され得る開示の態様に従って、フロー図300が示されている。図3は、特定の順序でブロックを示しているが、順序は変更されてもよく、その多数の動作が同時に実行されてもよい。また、動作が追加または省略されてもよい。
【0034】
ブロック302において、第1の通信装置102の1つまたは複数のプロセッサ104は、第2の通信装置122から通信リンクの受信電力量の表示を受信するように構成される。この表示は、相対的な受信信号強度の指標、受信エラー率、または他のタイプの測定値であり得る。表示は、第2の通信装置122から光信号、RF信号などを介して受信されてもよい。表示は、継続的に、または0.1秒ごとなどの定期的な間隔で、またはそれ以上またはそれ以下で受信することができる。各表示は、第1の通信装置102のメモリに格納することができる。
【0035】
ブロック304において、1つまたは複数のプロセッサ104は、第1の通信装置102の状態および第1の通信装置102を取り巻く環境に関連する測定値も受信する。測定値は、第1の通信装置102の1つまたは複数のセンサ118から、または遠隔データベースから受信することができる。測定値には、例えば、第1の通信装置102の向き、第1の通信装置102の振動周波数、出力電力、シンチレーション、チャネル減衰、第2の通信装置122からの受信電力、第2の通信装置122からの受信エラー率、高度、湿度、温度、風のパターン、天候のパターンなどが含まれる。測定値は、継続的に、または0.1秒以上またはそれ以下などの規則的な間隔で受信され得る。各測定値は、第1の通信装置102のメモリに保存することができる。
【0036】
ブロック306において、1つまたは複数のプロセッサ104は、第1の通信装置102の1つまたは複数のコンポーネントの状態を推定する。状態を推定することは、受信した表示および受信した測定値に従って、第1の通信装置102に対する1つまたは複数の外乱値を決定することを含むことができる。各外乱値は、所定の時間枠における電力の平均変化量であり得る。例えば、第1の外乱値は、例えば、数ヶ月、数週間、または数日、またはそれらより長いまたは短いオーダーであり得る、第1の時間枠にわたる表示の平均変化量を決定することによって推定され得る。第1の時間枠は、第1の通信装置102のコンポーネントの変動に対する第1の時定数に従って選択されてもよい。第1の時定数は、コンポーネントに関連する測定値が1-1/e(または約0.6321)の係数などの所定の係数によって変化する時間の長さであり得る。第1の時定数は、既知であってもよいし、受信した測定値を使用して決定されてもよい。第1の時間枠は、第1の時定数に等しくてもよい。1つまたは複数のコンポーネントの状態を推定することは、1つまたは複数のコンポーネントの将来の状態を予測するために、1つまたは複数の外乱値を将来の時間に外挿することも含むことができる。
【0037】
ブロック308において、1つまたは複数のコンポーネントの受信された表示および推定された状態を使用して、1つまたは複数のプロセッサ104は、受信電力の量が時間間隔内に最小受信電力を下回る可能性があるかどうかを判断する。最小受信電力は、設定されたデータ速度、現在のデューティサイクル、現在の変調方式、現在のボーレート、現在の波長数など、現在の設定で通信リンクが動作するために必要な量であり得る。例えば、最小受信電力は、第2の通信装置122の受信機に必要な設定電力量、あるいは第1の通信装置102および第2の通信装置122の環境に存在する電力量であってもよい。1つまたは複数のプロセッサ104は、1秒、5分、1時間、またはそれ以上またはそれ以下などの設定時間間隔にわたって受信電力量を追跡して、設定時間間隔にわたる受信電力量の第1の傾向を識別し得る。第1の傾向は、例えば、設定された時間枠における平均的な変化であり得る。受信電力量が次の時間間隔で最小受信電力閾値を下回るかどうかを予測するために、次の時間間隔にわたって第1の傾向を外挿することができる。
【0038】
いくつかの実装では、1つまたは複数の他の最小受信電力は、第2のデータ速度、第2のデューティサイクル、第2の変調方式、第2のボーレート、および/または第2の波長数などの1つまたは複数の異なる設定に対して決定できる。例えば、1つまたは複数の他の最小受信電力は、可能な設定の複数の組み合わせに対して決定され得る。以下でさらに説明するように、複数の組み合わせのそれぞれは、第1の通信装置102からの送信信号のデータ速度を調整するための調整技術で使用される少なくとも1つの設定で変化し得る。
【0039】
ブロック310において、受信電力量が時間間隔内に最小受信電力を下回る可能性が高いと決定された場合、1つまたは複数のプロセッサ104は、第1の通信装置102からの送信信号のデータ速度を調整するための複数の調整技術のうちの調整技術を選択する。複数の調整技術には、例えば、送信機のデューティサイクルの変更、ボーレートの変更、コードレートの変更(エラー訂正コードのレートの変更などによる)、変調フォーマットの変更(例えば、OOKまたはPAM-4)、送信信号の帯域幅(波長数など)の変更などが含まれ得る。
【0040】
調整技術の選択は、1つまたは複数のコンポーネントの推定された状態に基づくことができる。すなわち、1つまたは複数のコンポーネントの推定された状態を使用して、所定の調整技術に対するデータ送信の効率を決定することができる。データ送信の効率は、設定されたデータ速度、または設定された時間間隔における受信電力量または次の時間間隔における受信電力の予測量で可能な最高のデータ速度に基づいて決定され得る。推定された状態を使用して効率を決定することは、所定の調整技術に必要な移行時間、所定の調整技術に関連するコンポーネントの動作能力、実装コスト、現在のチャネル利用メトリック、および/または調整技術のための第1の通信装置102への電力消費の量を決定することを含み得る。特に、所定の調整技術を使用して送信可能な情報量を決定することは、設定された時間間隔における受信電力量または次の時間間隔における受信電力の予測量について、所定の調整技術を使用して可能な最大チャネル容量を決定することを含み得る。データ送信の効率の向上は、コンポーネントがより大きな容量で動作すること、より高速な実装、より多くの情報を送信する能力、より少ない電力消費、またはこれらの組み合わせと関連している可能性がある。所定の調整技術がデータをより効率的に送信すると決定されるとき、所定の調整技術は、複数の調整技術のうちの他の調整技術にわたって選択され得る。この例では、デューティサイクルの変更は、迅速で電力効率が高く、実装コストが低いため、調整技術として選択できる。
【0041】
ブロック312において、1つまたは複数のプロセッサ104は、送信信号のデータ速度を変更するために、選択された調整技術を使用して第1の通信装置102の所定のコンポーネントを調整する。データ速度は、設定された時間間隔における受信電力量、または次の時間間隔における受信電力の予測量に対して可能な最高のデータ速度に変更されてもよい。所定のコンポーネントを調整することは、送信機112を制御して、出力信号のデューティサイクル、ボーレート、コードレート、または帯域幅を増加または減少させることを含み得る。所定のコンポーネントを調整することは、オプションで、ある変調フォーマットから別の変調フォーマットへの切り替えを含む場合がある。次に、さらなる調整が行われなくなる、または1つまたは複数のプロセッサ104が、受信した測定値に基づいて通常動作を再開できると判断して、より好ましい状態に戻るまで、プロセスを繰り返すことができる。このプロセスは、ミリ秒またはそれ以上またはそれ以下のオーダーの間隔で繰り返される場合がある。
【0042】
プロセスが繰り返されるとき、選択された調整技術は、以前に実行された調整技術と同じであり得るが、選択された調整技術を使用して1つまたは複数のプロセッサ104によって実行された調整は、以前の調整とは異なり得る。例えば、第1の調整は、デューティサイクルの減少、または「オン」サイクル対「オフ」サイクルの比の減少として実行することができ、第2の調整は、デューティサイクルのさらなる減少とすることができる。あるいは、異なる調整技術が以前に実行された調整技術よりも効率的であると判定された場合、選択された調整技術は、以前に実行された調整技術とは異なる調整技術であり得る。例えば、第1の調整技術は、デューティサイクルを調整することであり得る。1つまたは複数のプロセッサ104は、変調フォーマットを変更することが、次の時間間隔のデューティサイクルを調整するよりも効率的であると判断でき、変調フォーマットを変更することを次の時間間隔の第2の調整技術として選択することができる。
【0043】
図4に示すように、受信電力量が減少するときに、各調整技術を実行することができる。上述したように、ブロック302に示すように、受信電力量は、第2の通信装置122から受信することができる。固定速度10Gモデムの場合、1つまたは複数のプロセッサ104は、破線402で示すように、データ速度を段階的に調整することはできない。破線402は、固定速度10Gモデムが10Gでのみ動作可能であり、受信電力が約-47デシベルミリワットなどの所定の受信電力を下回っている場合には動作しないことを示している。本明細書で説明するように、適合速度モデムを使用すると、理論的に達成可能な能力は、一点鎖線404で示すように、固定速度10Gモデムよりも拡張できる。一点鎖線404は、1つまたは複数のプロセッサ104が、固定速度10Gモデムの-47デシベルミリワット限界を超えて、少なくとも-55デシベルミリワットまで、通信装置を理論的に動作させることができることを示す。実際の動作では、1つまたは複数のプロセッサ104は、受信電力の所定の範囲内で所定の調整技術を実行することができ、線406によって示されるような階段状の折れ線グラフが得られる。線406は、1つまたは複数のプロセッサ104が、所定の受信電力範囲に対する各調整で送信信号のデータ速度を下げることができることを示している。図4に示すように、線406は、理論的に達成可能な能力について一点鎖線404の傾きに概ね従う。したがって、1つまたは複数のプロセッサ104は、破線402で示される固定速度10Gモデムの動作のように、より高い所定の受信電力で急峻に遮断されるのではなく、受信電力が減少するにつれて、通信リンクのより緩やかな減衰を提供することができる。
【0044】
特段の記述がない限り、前述の代替的な例は、相互に排他的ではないが、独自の有益点を達成するために様々な組み合わせで実施され得る。上で考察される特徴のこれらおよび他の変形および組み合わせは、特許請求の範囲によって規定される主題から逸脱することなく利用することができるので、実施形態の前述の説明は、特許請求の範囲によって規定される主題の限定としてではなく、例示としてみなされるべきである。加えて、本明細書に記載された例、ならびに「など」、「含む」などと表現された語句の提供は、特許請求の範囲の主題を特定の例に限定するものと解釈されるべきではなく、むしろ、例は、多くの可能な実施形態のうちの1つだけを例示することが意図される。さらに、異なる図面中の同じ参照番号は、同じまたは類似の要素を特定することができる。
図1
図2
図3
図4