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特許7520181プレス装置、プレス方法、および電子部品の製造方法
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  • 特許-プレス装置、プレス方法、および電子部品の製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】プレス装置、プレス方法、および電子部品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
H01L21/60 321Y
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2023068514
(22)【出願日】2023-04-19
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000110859
【氏名又は名称】キヤノンマシナリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100148987
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 礼子
(72)【発明者】
【氏名】吉井 星
(72)【発明者】
【氏名】石田 幸生
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-185577(JP,A)
【文献】特開2014-175315(JP,A)
【文献】特開平08-321568(JP,A)
【文献】特開2000-040766(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60 - H01L 21/607
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上プレスヘッドによる押圧にて、基板上のバンプを平坦化するプレス装置であって、
前記上プレスヘッドを加熱する加熱機構と、
前記上プレスヘッドの温度を調整する温度調整機構と、
を備え、
前記温度調整機構は、上プレスヘッドに接触する接触体を有し、
前記上プレスヘッドの押圧による平坦化加工をおこなわない状態で、前記接触体が前記上プレスヘッドに接触することで前記上プレスヘッドの温度を所定適正範囲内の温度に調整し、製品プレス可能温度になっていれば、前記上プレスヘッドの平坦化加工を行い、製品プレス可能温度になっていなければ、前記接触体の前記上プレスヘッドへの接触を継続することを特徴とするプレス装置。
【請求項2】
前記接触体は、上プレスヘッドの熱量を奪って上プレスヘッドの温度を調整することを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項3】
前記接触体は、上プレスヘッドのバンプ押圧面に接触して温度を調整することを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項4】
前記接触体は、上プレスヘッドの側面に接触して温度を調整することを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項5】
前記接触体は、熱伝導率が0.1(W/m・K)~300(W/m・K)の金属製のブロック体であることを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項6】
前記温度調整機構は、前記接触体を、基板の供給・排出ルートと相違するルートで、上プレスヘッドに接触・非接触状態とする接触体移動機構を備えたことを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項7】
前記温度調整機構の前記接触体が上プレスヘッドの清掃機構を有することを特徴とする請求項1に記載のプレス装置。
【請求項8】
加熱機構にて上プレスヘッドを加熱した状態で、基板上のバンプを前記上プレスヘッドで押圧して平坦化するプレス方法であって、
前記上プレスヘッドの平坦化加工をおこなわないときに、接触体を前記上プレスヘッドに接触させて、上プレスヘッドの温度を所定範囲内の温度に調整し、製品プレス可能温度になっていれば、前記上プレスヘッドの平坦化加工を行い、製品プレス可能温度になっていなければ、前記接触体の前記上プレスヘッドへの接触を継続することを特徴とするプレス方法。
【請求項9】
前記接触体を、基板の供給・排出ルートと相違するルートで、上プレスヘッドに接触・非接触状態とすることを特徴とする請求項8に記載のプレス方法。
【請求項10】
プレス加工初期段階において、前記接触体を前記上プレスヘッドに接触させて、上プレスヘッドの温度を調整する工程を行い、上プレスヘッドの温度を所定適正範囲内の温度として、製品プレス加工を行うことを特徴とする請求項8に記載のプレス方法。
【請求項11】
前記接触体を前記上プレスヘッドに接触させて、上プレスヘッドの温度を所定適正範囲内の温度に調整する工程は、基板交換時に行うことを特徴とする請求項8に記載のプレス方法。
【請求項12】
半導体素子をバンプを介して基板に接続されてなる電子部品の製造方法であって、
前記請求項8~請求項11のいずれかのプレス方法で、基板上のバンプを平坦化して、この平坦化したバンプを介して前記基板に前記半導体素子を接続することを特徴とする電子部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス装置、プレス方法、および電子部品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上にICチップ等の半導体素子を搭載する場合、基板上にバンプ(はんだバンプや金バンプ等)を設け、このバンプを介して基板上に半導体素子を搭載する場合がある。この際、バンプの頂部が球形状となっており、しかも複数個が設けられているので、バンプの頂部の高さにばらつきが生じているおそれがあった。このように、高さにばらつきが生じていれば、半導体素子を接触できないバンプが生じる場合があった。
【0003】
そこで、従来には、バンプの頂部を、押さえ体(プレス装置の上プレスヘッド)の平坦面で押圧して、各バンプの頂部の平坦化を図って、各バンプの高さの均一化を図る装置が提案されている(特許文献1や特許文献2)。
【0004】
このようにバンプを平坦化する場合、通常は、上プレスヘッドを加熱する。このため、ヘッドの押圧面(平坦面)にはんだ等が付着する場合があり、これを防止するため、特許文献1に記載のもので、ヘッドをセラミックス等のようにはんだ等が付着しにくい材質のものを使用している。
【0005】
また、特許文献2に記載のものでは、複数の領域毎におけるはんだバンプの密度を測定し、その測定した密度に応じてはんだバンプに対するヘッドの押し込み量および押し込み荷重を設定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2002-270630号公報
【文献】特開2022-150593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、バンプの平坦化加工において、初回のプレス開始時は、基板側とヘッドとの温度差が大きく、急激にヘッド側の温度が低下する。奪われる熱に対してヒータ等の加熱機構から供給される熱の伝わる速度が間に合わず、ヘッドが持つ熱量が徐々に奪われていくことになり、適切な温度でプレス加工(平坦化)を行えない場合が生じる。このため、このプレス加工初期段階において、不良品が発生することになり、初期段階の加工品を廃棄する必要があった。また、ワーク(バンプが設けられた基板)の交換を行う際に、交換中に、加熱機構によりヘッドが加熱されて、平坦化に最適になっていたヘッドの温度が上昇することになって、適切な温度でバンプを押圧できないおそれがあった。
【0008】
基板側を事前(プレス加工する前)に加熱しておくことで、基板側とヘッド側の温度差を小さくし、ヘッド側の温度低下を抑制する方法も提案できる。しかしながら、このような場合、基板側の加熱機構や温度調整システムが別途必要となる。また、複数回プレスを行う大判基板の場合においては温度を均一に加熱することは難しく、順々にプレスを実施している間に徐々に温度が低下する為、初回と複数回後のプレス加工で基板に温度差が生じ、ヘッドとの温度差にも変化が生じるおそれがある。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みて、ヘッド(上プレスヘッド)をバンプ平坦化に適した温度にてバンプに押圧付与できて、平坦化が安定するプレス装置、バンプが安定して平坦化して半導体素子が接続不良部位を生じさせない電子部品、バンプ平坦化に適した温度にてバンプに押圧付与できるプレス方法、およびバンプが安定して平坦化して半導体素子が接続不良部位を生じさせない電子部品の製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のプレス装置は、上プレスヘッドによる押圧にて、基板上のバンプを平坦化するプレス装置であって、前記上プレスヘッドを加熱する加熱機構と、前記上プレスヘッドの押圧による平坦化加工を行わない状態で、前記上プレスヘッドに接触して、上プレスヘッドの温度を所定適正範囲内の温度に調整する温度調整機構とを備えたものである。ここで、所定適正範囲とは、バンプの変形量に差を生じさせない範囲である。すなわち、温度が高すぎると変形量が大きくなり、低すぎると変形量が少なくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上プレスヘッドの温度を所定適正範囲内の温度でプレス加工(平坦化加工)を行うことができ、製品の不良の発生を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に係るプレス装置の全体構成を示す簡略ブロックである。
図2】本発明に係るプレス装置の要部簡略断面図である。
図3】本発明に係るプレス装置の上プレスヘッドを温度調整する接触体を上プレスヘッドに接触させる直前の簡略図である。
図4】本発明に係るプレス装置を用いたプレス方法を示すフローチャート図である。
図5】本発明に係るプレス装置を用いたプレス方法におけるプレス加工時間と上プレスヘッドの温度との関係を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下本発明の実施の形態を図1図5に基づいて説明する。
【0014】
図2は、本発明に係るプレス装置の要部簡略図を示し、このプレス装置は、例えば、ICチップ、チップコンデンサ、チップ抵抗、あるいはこれらを搭載する基板(粒子部材形成体)1の粒子部材2の頂部を平坦化するコイニングに用いる装置である。この実施形態において、粒子部材2をバンプと呼び、粒子部材形成体1をバンプ形成体と呼ぶ場合がある。基板1は、複数の回路パターンを形成したものである。すなわち、このプレス装置は、電子部品を製造する際に使用される。ここで、電子部品とは電子回路を構成する部品であり、このなかで、半導体を用いたもの物を半導体装置と呼ぶことができる。半導体装置とは、半導体特性を利用した装置であり、半導体素子(例えば、トランジスタ、ダイオード、及びフォトダイオード)を含む回路、同回路を有する装置等をいう。また、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般をいう。例えば、集積回路、集積回路を備えたチップ、及びパッケージにチップを収納した電子部品のそれぞれは半導体装置の一例である。さらに、記憶装置、表示装置、発光装置、照明装置及び電子機器は、それ自体が半導体装置である場合があり、半導体装置を有している場合がある。また、半導体チップを基板に接続した電気光学装置、半導体回路基板及びこれらを含む電子部品は全て半導体装置に含まれる。
【0015】
プレス装置は、図2に示すように、上プレスヘッド5と、下プレスヘッド6を備え、下プレスヘッド6の載置面6aに基板1が載置される。上プレスヘッド5には、上プレスヘッド5を加熱する加熱機構7が付設されている。加熱機構7は、電熱線8が内蔵された加熱ブロック体9で構成されている。上プレスヘッド5および加熱ブロック体9が一体に、図1に示す上プレスヘッド側上下動機構10にて上下動する。この場合、上プレスヘッド5は、下面が平坦面であるバンプ押圧面11を有する。
【0016】
また、下プレスヘッド6としては、上下動しないものであっても、図1に示すように下プレスヘッド側上下動機構12にて上下動が可能に構成されたものであってもよい。このため、上プレスヘッド側上下動機構10および下プレスヘッド側上下動機構12は、公知公用のシリンダ機構等の往復動機構で構成できる。基板1は、図1に示すように、基板搬送機構13にて下プレスヘッド6の載置面6a上に供給され、このプレス装置にてプレス加工(バンプ2の頂部を平坦化するコイニング加工)した基板1が、この上下プレスヘッド5、6間から排出される。なお、基板搬送機構13は、水平面内の相対的直交するXY方向およびXY方向に対して直交する鉛直方向であるZ方向に、基板1を搬送することができる、XYZ方向駆動部を備える。
【0017】
また、このプレス装置は、図1に示すように、上プレスヘッドの温度を所定適正範囲内の温度に調整する温度調整機構15を備えている。温度調整機構15は上プレスヘッド5に接触する接触体16と、この接触体16を移動させる接触体移動機構17とを備える。この場合の接触体16は、図3に示すように、金属製平板体からなり、接触体移動機構17は水平面内で相対的直交するXY方向およびXY方向に対して直交する鉛直方向であるZ方向に、接触体16を移動させて、この接触体16を上プレスヘッド5の平坦面からなる押圧面11に接触させることができるXYZ方向駆動部を備える。そして、接触体移動機構17のXYZ方向駆動部にて接触体16を上プレスヘッド5の押圧面11から離間させることができる。なお、接触体16の移動ルートを、基板1の搬送ルートに重ならないように設定する必要がある。
【0018】
ところで、上プレスヘッド側上下動機構10、下プレスヘッド側上下動機構12、加熱機構7、接触体移動機構17、及び基板搬送機構13は、コンピュータ20にて制御される。
【0019】
ここで、コンピュータは、基本的には、入力機能を備えた入力手段と、出力機能を備えた出力手段と、記憶機能を備えた記憶手段と、演算機能を備えた演算手段と、制御機能を備えた制御手段にて構成される。入力機能は、外部からの情報を、コンピュータに読み取るためのものであって、読み込まれたデータやプログラムは、コンピュータシステムに適した形式の信号に変換される。出力機能は、演算結果や保存されているデータなどを外部に表示するものである。記憶手段は、プログラムやデータ、処理結果などを記憶して保存するものである。演算機能は、データをプログラムの命令に随って、計算や比較して処理するものである。制御機能は、プログラムの命令を解読し、各手段に指示を出すものであり、この制御機能はコンピュータの全手段の統括をする。入力手段には、キーボード、マウス、タブレット、マイク、ジョイスティック、スキャナ、キャプチャーボード等がある。また、出力手段には、モニタ、スピーカー、プリンタ等がある。記憶手段には、メモリ、ハードディスク、CD・CD-R,PD・MO等がある。演算手段には、CPU等があり、制御手段には、CPUやマザーボード等がある。
【0020】
次に、上述のように構成されたプレス装置にて、基板1上のバンプ2の頂部を平坦化するコイニング加工について図4及び図5を用いて説明する。まず、加熱機構7を構成する電熱線8に電流を印加して上プレスヘッド5を加熱する(ステップS1)。この場合、設定温度としては、バンプ2の頂部を平坦化するのに所定適正範囲の温度(加工温度)よりも高く設定している。
【0021】
そして、接触体移動機構17を介して、接触体16を上プレスヘッド5に接触させて(ステップS2)、温度が高くなっている上プレスヘッド5の押圧面11の温度を低下させる。(すなわち、加熱機構7の設定温度を所定適正温度よりも高くしているので、上プレスヘッド5の押圧面11の温度が高くなっている。)そして、製品プレス可能(加工可能に低下した)か否かを判断する(ステップS3)。製品プレス可能な温度になっていれば、ステップS4へ移行して、製品プレス加工を開始する。ここで、製品プレス可能とは、所定適正範囲の温度(加工温度)であり、バンプ2に材質、大きさ、高さ等に応じて種々設定できる。また、接触体16としては、アルミニウムやステンレス等の金属や基板と近い材質であるエポキシガラス等の材料で構成でき、接触体16の熱伝導率が0.1(W/m・K)~300(W/m・K)程度とされる。
【0022】
ステップS3で製品プレス可能な温度でない場合には、製品プレス可能な温度になるまで、接触体16を上プレスヘッド5の押圧面11に接触した状態を継続する。ところで、製品プレス加工を開始する場合、接触体移動機構17にて接触体16を上下プレスヘッド間から移動させ、基板搬送機構13にて製品となる基板1を上下プレスヘッド間へ移動させる。この状態で、上プレスヘッド5を下降させて、上プレスヘッド5の押圧面11をバンプ2の頂部に押圧する。そして、所定時間(例えば、0.5秒から5秒程度)押圧して、バンプ2の頂部を平坦化することになる。このプレス加工は、1枚の基板1に対して、相違する複数箇所を行うことになる。すなわち、図5に示す設定温度から加工温度まで、上プレスヘッド5の温度を低下させて、製品プレス加工を開始する。この図5では、設定温度から加工温度までを非製品プレス区間と呼び、加工温度になった後、製品プレス区間と呼ぶことができる。
【0023】
ステップS4からステップS5へ移行して、基板1を交換するか否かを判断し、ステップS5で、基板1を交換する場合、ステップS6へ移行して交換することになる。交換しない場合は、この加工作業か終了することになる。ここで、交換する場合とは、1枚の基板1のうち、すべてのバンプの平坦化加工がなされて、又は、所望のバンプの平坦化加工がなされ、次の基板1のバンプの平坦化加工を行う場合である。
【0024】
このため、基板交換後は、ステップS2へ戻って、接触体16を上プレスヘッド5の押圧面11に接触させて、上プレスヘッド5の温度を低下させる。すなわち、基板1を交換している間に上プレスヘッド5の温度が上昇している。これは、設定温度を製品プレス可能な温度よりも高く設定しているためである。
【0025】
その後は、ステップS3へ移行して以下同様の工程を順次行うことになって、多数の基板1に対して順次、バンプ2の頂部の平坦化加工を行うことができる。
【0026】
本発明のプレス装置では、上プレスヘッドの温度を所定適正範囲内の温度でプレス加工(平坦化加工)を行うことができる。これにより、製品の不良の発生を抑えることができる。
【0027】
また、温度調整機構15は、上プレスヘッド5に接触して、この上プレスヘッド5の熱量を奪って上プレスヘッド5の温度に下降させる接触体16を有するもので構成できる。このような接触体16を有するもので、温度調整機構15で構成すれば、簡単な構造で構成できる。なお、1枚の基板1に、複数の半導体素子が接続されるので、複数回プレス加工される。このため、図5の製品プレス区間では、温度が上下動している。
【0028】
接触体16は、熱伝導率が0.1(W/m・K)~300(W/m・K)の金属製や樹脂座材のブロック体で構成できる。このようなブロック体で構成すれば、素早く安定して上プレスヘッド5の熱を奪って、上プレスヘッド5を所定適正範囲内の温度とすることができる。また、温度調整機構15の接触体16に温度が蓄熱し温度調整効果が低下する場合は、次のように対策することができる。例えば、接触体16を冷却する空冷や水冷による冷却機構等を設ける構成、接触体16に放熱フィンを備える構成、接触体16を複数備え、1つの接触体16が連続しての上プレスヘッド5に接触しないようにする構成等が考えられるが、これらに限られるものではない。また、これらの構成をすべて具備するものであっても、これらの構成のうち、少なくともいずれか1つの構成を具備するものであってもよい。
【0029】
温度調整機構15は、接触体16を上プレスヘッドに接触・非接触状態とする接触体移動機構17を備えたものが好ましい。このような接触体移動機構17を備えたものでは、接触体16を上プレスヘッド5に対して、確実に、接触状態と非接触状態とに切り換えられる。この場合、基板1の供給・排出ルートと相違するルートで、基板1を移動させるのが好ましい。接触に関しては押し圧面11に限らず、上プレスヘッド5の側面など、上プレスヘッドから熱を奪うことができる位置であればよい。
【0030】
また、プレスを繰り返し行うと、基板1に搭載されたバンプ2の一部がバンプ押し圧面11に付着し、次の基板1のプレスの品質に影響を与える可能性がある。このため、接触体16が清掃機構18を有するのが好ましい。このように清掃機構18を有すると、上プレスヘッド5に接触させた際、温度を奪うと同時にヘッド表面の清掃を行うことができる。清掃機構18としては、例えば、ポリエステル製ウェスなど、クリーン度が高く、上プレスヘッド5のバンプ押し圧面11に傷がつかない材質のもので構成できる。このため、接触体移動機構17の動作にてバンプ押し圧面11の清掃を安定して行うことができる。また、清掃機構18にアルコール(清掃用アルコール)を吹き付けたり、別途回転機構を付加し、清掃機構18を回転させながらバンプ押し圧面11の清掃を行ってもよい。
【0031】
ところで、本発明のプレス装置は、電子部品に対して行うものであり、電子部品は半導体素子をバンプを介して基板に接続されてなるものである。このため、このプレス装置を用いて平坦化されたバンプ2を介して基板に半導体素子が接続される。このため半導体素子が、基板1に非接続となる部位が有していない電子部品となる。
【0032】
本発明のプレス方法によれば、上プレスヘッド5の温度を所定適正範囲内の温度でプレス加工(平坦化加工)を行うことができる。
【0033】
接触体16を上プレスヘッド5に接触させて、上プレスヘッド5の温度を所定範囲内の温度に調整する(下降させる)工程は、平坦化加工開始初期段階に行うことができる。このように構成することにより、上プレスヘッド5の温度が安定してから製品プレス加工を行うことができる。
【0034】
接触体16を上プレスヘッド5に接触させて、上プレスヘッド5の温度を所定範囲内の温度に調整する工程は、基板交換時に行うことができる。このように構成することによって、基板1を交換しても、上プレスヘッド5の温度が安定した状態で製品プレス加工を行うことができる。
【0035】
本発明の電子部品の製造方法によれば、上プレスヘッド5の温度を所定適正範囲内の温度でプレス加工(平坦化加工)を行うことができ、半導体素子が、基板1に非接続となる部位が有していない電子部品を製造することができる。
【0036】
本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能であって、下プレスヘッド6側の下プレスヘッド側上下動機構12にて上下動が可能となっているので、プレス加工時に、下プレスヘッド6を上昇させるようにしてもよい。すなわち、プレス加工する際に、実施形態のように、上プレスヘッド5のみが上下動したり、上下プレスヘッド5,6が上下動したり、下プレスヘッド6のみが上下動するものであってもよい。また、プレス加工時に限らず、基板交換時等において、上下プレスヘッド5,6が相対的に離間して、上下プレスヘッド間隔を大きくして、交換しやすくするようにしてもよい。
【0037】
また、接触体移動機構17のXYZ方向駆動部にて接触体16を上プレスヘッド5の押圧面11へ接触および離間させる構成例を示したが、これに限られるものではない。上プレスヘッド5をXYZ方向へ駆動可能な上プレスヘッド移動機構を備え、上ヘッド移動機構が上プレスヘッド5を移動させることにより接触体16を上プレスヘッド5の押圧面11へ接触および離間させてもよい。または、接触体移動機構17による接触体16のXYZ方向のうち少なくとも一方への移動と、上ヘッド移動機構による上プレスヘッド5のXYZ方向のうち少なくとも一方への移動と、を組み合わせることにより接触体16を上プレスヘッド5の押圧面11へ接触および離間させてもよい。
【0038】
さらに、下プレスヘッド6側にも加熱機構を設けて、基板1を加熱するものであってもよい。この加熱機構としても電熱線等で構成できる。上プレスヘッド側の加熱機構であっても、下プレスヘッド側の加熱機構であっても、熱媒体が循環する機構であってもよい。
【0039】
温度調整機構15として、実施形態では、温度を下降させるものであったが、逆に、上昇させるものであっても、一定の温度に維持させるものであってもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 粒子部材形成体(基板)
2 粒子部材(バンプ)
5 上プレスヘッド
6 下プレスヘッド
6a 載置面
7 加熱機構
11 バンプ押圧面
13 基板搬送機構
15 温度調整機構
16 接触体
17 接触体移動機構
18 清掃機構
【要約】
【課題】ヘッド(上プレスヘッド)をバンプ平坦化に適した温度にてバンプに押圧付与できて、平坦化が安定するプレス装置、バンプが安定して平坦化して半導体素子が接続不良部位を生じさせない電子部品、バンプ平坦化に適した温度にてバンプに押圧付与できるプレス方法、およびバンプが安定して平坦化して半導体素子が接続不良部位を生じさせない電子部品の製造方法を提供する。
【解決手段】上プレスヘッドによる押圧にて、基板上のバンプを平坦化するプレス装置である。上プレスヘッドを加熱する加熱機構と、上プレスヘッドの押圧による平坦化加工をおこなわない状態で、上プレスヘッドに接触して、上プレスヘッドの温度を所定適正範囲内の温度に調整する温度調整機構とを備える。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5