(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】ディスプレイ装置、およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
G09F 9/30 20060101AFI20240712BHJP
C23C 14/04 20060101ALI20240712BHJP
G02B 5/30 20060101ALI20240712BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20240712BHJP
G09F 9/302 20060101ALI20240712BHJP
H10K 50/15 20230101ALI20240712BHJP
H10K 50/16 20230101ALI20240712BHJP
H10K 50/17 20230101ALI20240712BHJP
H10K 50/818 20230101ALI20240712BHJP
H10K 50/828 20230101ALI20240712BHJP
H10K 50/844 20230101ALI20240712BHJP
H10K 50/86 20230101ALI20240712BHJP
H10K 59/12 20230101ALI20240712BHJP
H10K 59/35 20230101ALI20240712BHJP
H10K 59/38 20230101ALI20240712BHJP
H10K 59/40 20230101ALI20240712BHJP
H10K 71/16 20230101ALI20240712BHJP
H10K 71/20 20230101ALI20240712BHJP
H10K 85/60 20230101ALI20240712BHJP
【FI】
G09F9/30 349Z
C23C14/04 A
G02B5/30
G09F9/00 338
G09F9/00 366Z
G09F9/30 349E
G09F9/30 365
G09F9/302 Z
H10K50/15
H10K50/16
H10K50/17
H10K50/818
H10K50/828
H10K50/844
H10K50/86
H10K59/12
H10K59/35
H10K59/38
H10K59/40
H10K71/16
H10K71/20
H10K85/60
(21)【出願番号】P 2023110389
(22)【出願日】2023-07-05
(62)【分割の表示】P 2022079921の分割
【原出願日】2020-12-03
【審査請求日】2023-07-06
(31)【優先権主張番号】10-2019-0160708
(32)【優先日】2019-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】501426046
【氏名又は名称】エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】イム, ヨンナム
(72)【発明者】
【氏名】チェ, ヒョンチョル
(72)【発明者】
【氏名】キム, グァンス
(72)【発明者】
【氏名】キム, ソクヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジェホン
【審査官】石本 努
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0089485(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0233289(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0214003(US,A1)
【文献】特表2016-507131(JP,A)
【文献】特開2009-228076(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0181345(US,A1)
【文献】国際公開第2018/198052(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C14/00-14/58
G09F9/00-9/46
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の第1サブピクセルを有するディスプレイ領域、ならびに、複数の第2サブピクセルおよび複数の透明サブピクセルを有する透明領域を含む基板と、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記基板の上部にある第1電極と、
前記第1電極の上部にある第1発光補助層と、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記第1発光補助層の上部にある発光物質層と、
前記発光物質層の上部にある第2発光補助層と、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記第2発光補助層の上部にある第2電極と、を含み、
前記第1発光補助層は、前記第1電極の上部にある、正孔注入層および正孔輸送層のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2発光補助層は、前記発光物質層の上部にある、電子輸送層および電子注入層のうちの少なくとも1つを含み、
前記複数の第2サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第1発光補助層の厚さは、前記複数の透明サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第1発光補助層の厚さよりも小さい、
ディスプレイ装置。
【請求項2】
複数の第1サブピクセルを有するディスプレイ領域、ならびに、複数の第2サブピクセルおよび複数の透明サブピクセルを有する透明領域を含む基板と、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記基板の上部にある第1電極と、
前記第1電極の上部にある第1発光補助層と、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記第1発光補助層の上部にある発光物質層と、
前記発光物質層の上部にある第2発光補助層と、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記第2発光補助層の上部にある第2電極と、を含み、
前記第1発光補助層は、前記第1電極の上部にある、正孔注入層および正孔輸送層のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2発光補助層は、前記発光物質層の上部にある、電子輸送層および電子注入層のうちの少なくとも1つを含み、
前記複数の第2サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第2発光補助層の厚さは、前記複数の透明サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第2発光補助層の厚さよりも小さい、ディスプレイ装置。
【請求項3】
複数の第1サブピクセルを有するディスプレイ領域、ならびに、複数の第2サブピクセルおよび複数の透明サブピクセルを有する透明領域を含む基板と、
前記ディスプレイ領域および前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記基板上部にあるゲート絶縁層、層間絶縁層、および保護層のうちの少なくとも1つと、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記ゲート絶縁層、前記層間絶縁層、および前記保護層のうちの少なくとも1つの上部にある第1電極と、
前記第1電極の上部にある第1発光補助層と、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記第1発光補助層の上部にある発光物質層と、
前記発光物質層の上部にある第2発光補助層と、
前記複数の第1サブピクセルのそれぞれにおいて、および、前記複数の第2サブピクセルのそれぞれにおいて、前記第2発光補助層の上部にある第2電極と、
前記第2電極の上部にある封止層と、を含み、
前記第1発光補助層は、前記第1電極の上部にある、正孔注入層および正孔輸送層のうちの少なくとも1つを含み、
前記第2発光補助層は、前記発光物質層の上部にある、電子輸送層および電子注入層のうちの少なくとも1つを含み、
前記ゲート絶縁層、前記層間絶縁層および前記保護層のうちの少なくとも1つの側面が、前記第1発光補助層と直接接触している、ディスプレイ装置。
【請求項4】
前記ディスプレイ領域において前記封止層の上部に配置される偏光層と、
前記透明領域において前記基板の下部に配置され、カメラ、又は指紋センサである補助装置と、
をさらに含む、請求項
3に記載のディスプレイ装置。
【請求項5】
前記複数の第2サブピクセルの少なくとも1つは、前記複数の透明サブピクセルの少なくとも2つの間にある、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項6】
前記複数の第2サブピクセルおよび前記複数の透明サブピクセルは、前記透明領域内で交互に配置される、請求項5に記載のディスプレイ装置。
【請求項7】
前記透明領域内に
蒸着防止層をさらに含み、
前記第2電極および前記
蒸着防止層は、同じ層の上部にあ
り、
前記第2電極は、前記蒸着防止層の配置されていない領域に配置される、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のディスプレイ装置。
【請求項8】
前記
蒸着防止層は、前記透明領域内にのみ配置される、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項9】
前記第2発光補助層の表面エネルギーは、前記
蒸着防止層の表面エネルギーより大きく、
前記第2電極の表面エネルギーより小さい、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第2発光補助層は、0.5J/m
2以上の表面エネルギーを有し、
前記
蒸着防止層は、0.2J/m
2以下の表面エネルギーを有し、
前記第2電極は、0.5J/m
2以上の表面エネルギーを有する、請求項9に記載のディスプレイ装置。
【請求項11】
前記
蒸着防止層は、550nmの波長の光に対して1.7以上の屈折率および0.02以下の光吸収率を有し、40℃以下のガラス転移温度と20Å~300Åの厚さを有する、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【請求項12】
前記
蒸着防止層は、以下の化学式(1)で表される開環異性体ジアリールエテン(open‐ring isomer DAE(diarylethene))を含む、請求項7に記載のディスプレイ装置。
【化1】
【請求項13】
前記第2電極の上部にある封止層をさらに含み、
前記第2電極の1つの側面が前記封止層と直接接触している、請求項1または請求項2に記載のディスプレイ装置。
【請求項14】
前記第2電極の1つの側面が前記封止層と直接接触している、請求項3に記載のディスプレイ装置。
【請求項15】
前記第2電極の上部に配置されるカラーフィルタ層をさらに含む、請求項1または請求項2に記載のディスプレイ装置。
【請求項16】
前記ゲート絶縁層、前記層間絶縁層、および前記保護層のうちの少なくとも1つは、前記複数の透明サブピクセルに存在していない、請求項3に記載のディスプレイ装置。
【請求項17】
前記複数の第2サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第2発光補助層の厚さは、前記複数の透明サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第2発光補助層の厚さよりも小さい、請求項1に記載のディスプレイ装置。
【請求項18】
前記複数の第2サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第1発光補助層の厚さと、前記複数の透明サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第1発光補助層の厚さとの差は、前記複数の第2サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第2発光補助層の厚さと、前記複数の透明サブピクセルのうちの少なくとも1つにおける前記第2発光補助層の厚さとの差よりも大きい、請求項17に記載のディスプレイ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスプレイ装置に関するものであって、特に、カメラ、または指紋センサのような補助装置のための透明領域を含むディスプレイ装置およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、携帯用端末とは、無線通信を介し、音声や文字、および映像データなどを送受信することができる携帯可能な端末であるが、有機発光ダイオード(organic light emitting diode:OLED)ディスプレイ装置のようなフラットディスプレイ装置が携帯用端末に用いられる。
【0003】
近年、撮影や認証のため、カメラ、または指紋センサのような補助装置を含む携帯用端末が提案された。
【0004】
かかる携帯用端末には、補助装置がディスプレイパネルの背面に配置されるが、補助装置がディスプレイパネルの前面にある被写体を認識するためには、ディスプレイパネルの補助装置に対応する部分を透明領域にしなければならない。
【0005】
また、非ディスプレイ領域であるベゼルを減少させ、ディスプレイ領域を拡張するため、補助装置用透明領域をディスプレイ領域内に配置するが、この場合、ディスプレイパネルを完成させた後、レーザートリミングのような切断工程によって、透明領域における基板、アレイ層、発光ダイオード、封止層、偏光層などを除去することで、透明領域の透過率を増加させることができる。
【0006】
しかしながら、切断工程を追加することで、製造コストが増加し、生産性が低下するという問題があった。
【0007】
また、基板の上部に配置された発光ダイオードおよび封止層を切断して除去することで、発光ダイオードおよび封止層の側面が外部に露出される。その結果、外部の酸素や水分が、発光ダイオードおよび封止層の露出された側面から流入し、異物のような不良が生じるという問題があった。
【0008】
かかる問題を防ぐため、発光ダイオードの下部のアレイ層に溝を設け、発光ダイオードを断絶することができるが、溝を形成することで、製造コストがさらに増加し、生産性がさらに低下するという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、かかる問題を解決するために提示されたものであって、蒸着防止層を利用し、発光ダイオードの第2電極を、透明領域を除いたディスプレイ領域に選択的に形成することで、異物のような不良を最小にし、製造コストが節減されて生産性が向上する、透明領域を含むディスプレイ装置、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0010】
また、本発明は、蒸着防止層を利用し、発光ダイオードの第2電極を、ディスプレイ領域および透明領域の一部に選択的に形成することで、異物のような不良を最小にし、製造コストが節減されて生産性が向上する上に、透明領域においても映像がディスプレイされる、透明領域を含むディスプレイ装置、およびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した課題を解決するため、本発明は、複数の第1カラーサブピクセルを有するディスプレイ領域、および前記ディスプレイ領域内に配置される透明領域を含む基板と、前記ディスプレイ領域において前記基板の上部に配置されるアレイ層と、前記複数の第1カラーサブピクセルのそれぞれにおいて前記アレイ層の上部に配置される第1電極と、前記第1電極の上部に配置される第1発光補助層と、前記複数の第1カラーサブピクセルのそれぞれにおいて前記第1発光補助層の上部に配置される発光物質層と、前記発光物質層の上部に配置される第2発光補助層と、前記透明領域において前記第2発光補助層の上部に配置される蒸着防止層と、前記第2発光補助層の上部に、前記蒸着防止層の配置されていない領域に選択的に配置される第2電極と、前記蒸着防止層および前記第2電極の上部に配置される封止層と、前記ディスプレイ領域において前記封止層の上部に配置される偏光層と、前記透明領域において前記基板の下部に配置される補助装置と、を含むディスプレイ装置を提供する。
【0012】
また、前記第1発光補助層は、前記第1電極の上部に順次配置される正孔注入層および正孔輸送層を含み、前記第2発光補助層は、前記発光物質層の上部に順次配置される電子輸送層および電子注入層を含むことができる。
【0013】
また、前記電子注入層の表面エネルギーは、前記蒸着防止層の表面エネルギーより大きく、前記第2電極の表面エネルギーより小さい値であり得る。
【0014】
また、前記電子注入層は、0.5J/m2以上の表面エネルギーを有し、前記蒸着防止層は、0.2J/m2以下の表面エネルギーを有して、前記第2電極は、0.5J/m2以上の表面エネルギーを有することができる。
【0015】
また、前記蒸着防止層は、550nmの波長の光に対して1.7以上の屈折率および0.02以下の光吸収率を有し、40℃以下のガラス転移温度(Tg)と、20Å~300Åの厚さを有することができる。
【0016】
また、前記蒸着防止層は、化学式(1)で表される開環異性体ジアリールエテン(open‐ring isomer DAE(diarylethene))を含むことができる。
【0017】
【0018】
また、前記透明領域は、複数の第2カラーサブピクセル、および前記複数の第2カラーサブピクセルと交互に配置される複数の透明サブピクセルを有する。そして、前記アレイ層は、前記複数の第2カラーサブピクセルにおいて前記基板の上部にさらに配置し、前記発光物質層は、前記複数の第2カラーサブピクセルにおいて前記第1発光補助層の上部にさらに配置し、前記蒸着防止層は、前記複数の透明サブピクセルにおいて前記第2発光補助層の上部に配置して、前記第2電極は、前記ディスプレイ領域および前記複数の第2カラーサブピクセルにおいて前記第2発光補助層の上部に配置することができる。
【0019】
また、前記ディスプレイ装置は、前記透明領域において前記封止層の上部に配置される非反射層をさらに含むことができる。
【0020】
また、前記ディスプレイ装置は、前記封止層と前記偏光層との間に配置されるタッチ層と、前記偏光層の上部に配置されるカバーガラスと、前記基板と前記補助装置との間に配置されるバックプレートと、前記ディスプレイ領域において前記バックプレートの下部に配置されるシステム部とを、さらに含むことができる。
【0021】
また、前記蒸着防止層は、前記透明領域にのみ配置し、前記第2電極は、前記ディスプレイ領域にのみ配置することができる。
【0022】
一方、本発明は、複数の第1カラーサブピクセルを有するディスプレイ領域、および前記ディスプレイ領域内に配置される透明領域を含む基板の前記ディスプレイ領域において前記基板の上部にアレイ層を形成する段階と、前記複数の第1カラーサブピクセルのそれぞれにおいて前記アレイ層の上部に第1電極を形成する段階と、前記第1電極の上部に第1発光補助層を形成する段階と、前記複数の第1カラーサブピクセルのそれぞれにおいて前記第1発光補助層の上部に発光物質層を形成する段階と、前記発光物質層の上部に第2発光補助層を形成する段階と、前記透明領域において前記第2発光補助層の上部に蒸着防止層を形成する段階と、前記第2発光補助層の上部に、前記蒸着防止層の配置されていない領域に選択的に配置されるように第2電極を形成する段階と、前記蒸着防止層および前記第2電極の上部に封止層を形成する段階と、前記ディスプレイ領域において前記封止層の上部に偏光層を形成する段階と、前記透明領域において前記基板の下部に補助装置を配置する段階と、を含むディスプレイ装置の製造方法を提供する。
【0023】
また、前記蒸着防止層を形成する段階は、前記第2発光補助層の上部に、前記ディスプレイ領域および前記透明領域にそれぞれ対応する遮断部および開口部を有するシャドーマスクを配置する段階と、前記シャドーマスクの前記開口部を介し、前記第2発光補助層の上部に有機物質を蒸着する段階と、を含むことができる。
【0024】
また、前記第2電極を形成する段階は、前記第2発光補助層および前記蒸着防止層の上部に金属物質を蒸着する段階を含み、前記金属物質は、前記蒸着防止層から脱離し、前記第2発光補助層に吸着されることができる。
【0025】
また、前記透明領域は、複数の第2カラーサブピクセル、および前記複数の第2カラーサブピクセルと交互に配置される複数の透明サブピクセルを有し、前記アレイ層を形成する段階は、前記複数の第2カラーサブピクセルにおいて前記基板の上部に前記アレイ層を形成する段階をさらに含み、前記発光物質層を形成する段階は、前記複数の第2カラーサブピクセルにおいて前記第1発光補助層の上部に前記発光物質層を形成する段階をさらに含むことができる。そして、前記蒸着防止層を形成する段階は、前記複数の透明サブピクセルにおいて前記第2発光補助層の上部に前記蒸着防止層を形成する段階を含み、前記第2電極を形成する段階は、前記ディスプレイ領域および前記複数の第2カラーサブピクセルにおいて前記第2発光補助層の上部に前記第2電極を形成する段階を含むことができる。
【0026】
また、前記ディスプレイ装置の製造方法は、前記透明領域において前記封止層の上部に配置される非反射層を形成する段階をさらに含むことができる。
【0027】
また、前記ディスプレイ装置の製造方法は、前記封止層と前記偏光層との間にタッチ層を形成する段階と、前記偏光層の上部にカバーガラスを形成する段階と、前記基板の下部にバックプレートを貼り付ける段階と、前記ディスプレイ領域において前記バックプレートの下部にシステム部を配置する段階と、をさらに含むことができる。
【0028】
また、前記蒸着防止層は、前記透明領域にのみ配置し、前記第2電極は、前記ディスプレイ領域にのみ配置することができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、蒸着防止層を利用し、発光ダイオードの第2電極を、透明領域を除いたディスプレイ領域に選択的に形成することで、異物のような不良を最小にし、製造コストが節減されて生産性が向上する効果を奏する。
【0030】
また、本発明は、蒸着防止層を利用し、発光ダイオードの第2電極を、ディスプレイ領域、および透明領域の一部に選択的に形成することで、異物のような不良を最小にし、製造コストが節減されて生産性が向上する上に、透明領域においても映像がディスプレイされる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【
図1】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置を示すブロック図である。
【
図2】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置のサブピクセルを示す回路図である。
【
図3】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置を示す平面図である。
【
図4】
図3のディスプレイ領域と透明領域との境界部を示す拡大平面図である。
【
図6a】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6b】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6c】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6d】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図6e】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置の製造方法を説明する断面図である。
【
図7】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置を構成する複数の物質の表面エネルギーによる吸着有無を示す図である。
【
図8】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置を構成する複数の物質の動きを示す図である。
【
図9】本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置の透過率を示すグラフである。
【
図10】本発明の第2実施例に係るディスプレイ装置のディスプレイ領域と透明領域との境界部を示す拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照し、本発明に係るディスプレイ装置、およびその製造方法について説明する。
【0033】
図1は、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置を示すブロック図であり、
図2は、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置のサブピクセルを示す回路図であって、有機発光ダイオードディスプレイ装置を例に挙げて説明する。
【0034】
図1に示すように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110は、タイミング制御部180と、データ駆動部182と、ゲート駆動部184と、ディスプレイパネル186を含む。
【0035】
タイミング制御部180は、グラフィックカード、若しくはテレビシステムのような外部システムから伝達された映像信号と複数のタイミング信号を用いて、ゲート制御信号とデータ制御信号、および映像データを生成し、生成されたデータ制御信号および映像データをデータ駆動部182に供給し、生成されたゲート制御信号をゲート駆動部184に供給する。
【0036】
データ駆動部182は、タイミング制御部180から供給されたデータ制御信号および映像データを用いて、データ信号(データ電圧)を生成し、生成されたデータ信号をディスプレイパネル186のデータ配線DLに供給する。
【0037】
ゲート駆動部184は、タイミング制御部180から供給されたゲート制御信号を用いて、ゲート信号(ゲート電圧)を生成し、生成されたゲート信号をディスプレイパネル186のゲート配線GLに供給する。
【0038】
ディスプレイパネル186は、ゲート信号およびデータ信号を用いて映像を表示するが、互いに交差するゲート配線GLおよびデータ配線DLと、ゲート配線GLおよびデータ配線DLに接続されるサブピクセル(
図2のSP)を含む。
【0039】
例えば、サブピクセルSPは、互いに交差するゲート配線GLおよびデータ配線DLによって画定され、それぞれが赤色、緑色および青色に対応する赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbを含むことができる。
【0040】
サブピクセルSPは、複数の薄膜トランジスタを含むが、例えば、サブピクセルSPは、スイッチング薄膜トランジスタ、駆動薄膜トランジスタ、ストレージキャパシタおよび発光ダイオードを含むことができる。
【0041】
図2に示すように、本発明の第1実施例に係る有機発光ダイオードディスプレイ装置110のサブピクセルSPは、スイッチング薄膜トランジスタTs、駆動薄膜トランジスタTd、ストレージキャパシタCsおよび発光ダイオードDeを含む。
【0042】
スイッチング薄膜トランジスタTsは、ゲート配線GLのゲート信号に応じてデータ配線DLのデータ信号を駆動薄膜トランジスタTdに供給し、駆動薄膜トランジスタTdは、スイッチング薄膜トランジスタTsを介してゲート電極に印加されたデータ信号に応じ、高電位電圧ELVDDを発光ダイオードDeに供給する。
【0043】
発光ダイオードDeは、データ信号の電圧と低電位電圧ELVSSとの差による異なる電流を利用し、様々な階調(グレースケール)を表示する。
【0044】
図3は、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置を示す平面図であり、
図4は、
図3のディスプレイ領域と透明領域との境界部を示す拡大平面図であり、
図5は、
図4の切断線V‐Vに沿った断面図であって、オンセルタッチ方式およびトップエミッション方式の有機発光ダイオードディスプレイ装置を例に挙げて説明する。
【0045】
図3、
図4および
図5に示すように、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置110は、映像の表示、およびタッチの感知に使用されるディスプレイ領域DAと、ディスプレイ領域DA内の透明領域TAと、ディスプレイ領域DAを取り囲む非ディスプレイ領域NDAを含む。
【0046】
かかるディスプレイ装置110は、ディスプレイパネル186と、システム部170と、補助装置172を含むが、ディスプレイパネル186は、映像を表示することでユーザに情報を伝達し、タッチを感知することでユーザからの情報を受信することができる。システム部170は、ディスプレイパネルおよび補助装置172との間で信号および電源を送受信し、また、補助装置172は、ディスプレイパネルを介し、被写体の形状のような情報を受信することができる。
【0047】
具体的に説明すると、バックプレート162は、基板120を支持して保護する役割を果たす。そして、バックプレート162は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなプラスチックからなり得る。また、約1.6の屈折率を有することができる。
【0048】
バックプレート162の上部の全面には基板120が配置され、基板120の上部のディスプレイ領域DAには、ゲート絶縁層122、層間絶縁層124、および保護層126が配置される。
【0049】
基板120は、ディスプレイ領域DAと透明領域TAを含むが、ディスプレイ領域DAは、赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbのような複数の第1カラーサブピクセルを含み、透明領域TAは、ディスプレイ領域DA内に配置される。
【0050】
基板120は、ガラスからなってもよく、ポリイミド(PI)のような可撓性物質(フレキシブルな物質)からなってもよい。また、約1.6の屈折率を有することができる。
【0051】
赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbのそれぞれにおけるゲート絶縁層122、層間絶縁層124、そして保護層126の間には、スイッチング薄膜トランジスタ(
図2のTs)および駆動薄膜トランジスタ(
図2のTd)のような複数の薄膜トランジスタと、ストレージキャパシタ(
図2のCs)を配置することができる。
【0052】
例えば、ゲート絶縁層122は、スイッチング薄膜トランジスタTsおよび駆動薄膜トランジスタTdにおいて、ゲート電極と半導体層の間に配置し、層間絶縁層124は、スイッチング薄膜トランジスタTsおよび駆動薄膜トランジスタTdにおいて、ゲート電極とソース電極の間、およびゲート電極とドレイン電極の間に配置し、保護層126は、スイッチング薄膜トランジスタTsおよび駆動薄膜トランジスタTdにおいて、ソース電極およびドレイン電極の上部に配置することができる。
【0053】
保護層126の上部の赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbには、それぞれ第1電極128が配置され、第1電極128の上部の全面には、第1発光補助層130が配置される。
【0054】
第1電極128は、相対的に反射率の大きい金属物質の第1層と、相対的に仕事関数の大きい透明導電物質の第2層を含むことができる。
【0055】
例えば、第1電極128は、発光物質層132に正孔(hole)を供給する陽極(anode)であり得る。そして、駆動薄膜トランジスタTdに接続することができる。
【0056】
第1発光補助層130は、発光物質層132へ正孔を注入する正孔注入層(hole injecting layer)と、発光物質層132へ正孔を輸送する正孔輸送層(hole transporting layer)を含むことができ、正孔注入層および正孔輸送層は、第1電極128の上部に順次配置することができる。
【0057】
第1発光補助層130の上部の赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbには、それぞれ発光物質層(emitting material layer)132が配置され、発光物質層132の上部の全面には、第2発光補助層134が配置される。
【0058】
発光物質層132では、第1電極128から供給される正孔と、第2電極140から供給される電子とが結合し、光が放出される。
【0059】
第1実施例では、赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbの発光物質層132が互いに異なる物質からなり、それぞれ赤色・緑色・青色光を放出することを例に挙げたが、他の実施例では、赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbの発光物質層132が同一物質からなり、同一構造を持って白色光を放出することもできる。この場合は、第2電極140の上部にカラーフィルタ層を配置することができる。
【0060】
第2発光補助層134は、発光物質層132へ電子を輸送する電子輸送層(electron transporting layer)と、発光物質層132へ電子を注入する電子注入層(electron injecting layer)を含むことができ、電子輸送層および電子注入層は、発光物質層132の上部に順次配置することができる。
【0061】
電子注入層は、例えば、約10Å~約40Åの厚さを有することができる。
【0062】
第1発光補助層130および第2発光補助層134は、それぞれ約1.8の屈折率を有することができる。
【0063】
第1実施例では、同一物質からなる第1発光補助層130および第2発光補助層134が基板120の全面に配置されることを例に挙げたが、他の実施例では、第1発光補助層130と第2発光補助層134が互いに異なる物質からなり、赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbに選択的に配置されてもよい。
【0064】
第2発光補助層134の上部のディスプレイ領域DAと透明領域TAには、それぞれ第2電極140と、蒸着防止層142が配置される。
【0065】
すなわち、第2電極140は、蒸着防止層142が形成されない部分に選択的に配置される。その結果、第2電極140と蒸着防止層142は、排他的に配置されることができる。
【0066】
第2電極140は、半透過性を有し、相対的に仕事関数の小さい金属物質からなり得る。
【0067】
例えば、第2電極140は、発光物質層132に電子を供給する陰極(cathode)であり得る。そして、第2電極140は、約100Å~約200Åの厚さを有することができ、また、マグネシウム銀(MgAg)からなり得る。
【0068】
第1電極128と、第1発光補助層130と、発光物質層132と、第2発光補助層134と、第2電極140は、発光ダイオードを構成する。
【0069】
蒸着防止層142は、相対的に表面エネルギーの小さい有機物質からなり得る。そして、第2電極140を形成するにあたり、第2電極140用金属物質が蒸着防止層142の上部に吸着されず、脱離するようにすることができる。
【0070】
蒸着防止層142は、例えば、約20Å~約300Åの厚さを有することができる。
【0071】
蒸着防止層142については、後で詳細に説明する。
【0072】
第2電極140および蒸着防止層142の上部の全面には、封止層(encapsulation layer)150が配置され、封止層150の上部の全面には、タッチ層152が配置される。
【0073】
封止層150は、外部からの酸素や水分が浸透することを防止する役割を果たすが、複数の有機物質層と複数の無機物質層を含むことができ、約1.8の屈折率を有することができる。
【0074】
タッチ層152は、タッチを感知する役割を果たすが、複数のタッチ電極と絶縁層を含むことができ、絶縁層は、約1.5の屈折率を有することができる。
【0075】
第1実施例では、タッチ層152が封止層150の上部に配置されることを例に挙げたが、他の実施例では、タッチ層152が、ゲート絶縁層122、層間絶縁層124、そして保護層126を含むアレイ層の内部に配置されてもよく、省略されてもよい。
【0076】
タッチ層152の上部のディスプレイ領域DAには、偏光層154が配置され、偏光層154の上部のディスプレイ領域DAには、接着層156が配置される。
【0077】
偏光層154は、外部光がアレイ層および発光ダイオードで反射され、再び外部へ放出されることを最小化する役割を果たすが、タッチ層152の上部に順次配置される1/4波長層と線偏光層を含むことができる。
【0078】
接着層156の上部の全面には、カバーガラス160が配置されるが、カバーガラス160は、タッチ層152と発光ダイオード、および複数の薄膜トランジスタを保護する役割を果たす。
【0079】
バックプレート162と、基板120と、複数の薄膜トランジスタと、発光ダイオードと、カバーガラス160は、ディスプレイパネルを構成する。
【0080】
バックプレート162の下部のディスプレイ領域DAと透明領域TAには、それぞれシステム部170と、補助装置172が配置される。
【0081】
かかる本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置110では、レーザートリミングのような切断工程によって、透明領域TAの発光ダイオードおよび封止層150を除去する代わりに、蒸着防止層142を利用し、発光ダイオードの第2電極140を、ディスプレイ領域DAに選択的に形成することで、発光ダイオードおよび封止層150の側面が外部に露出されないようにすることができる。その結果、外部からの酸素や水分の流入が最小限になり、異物のような不良が最小となる。
【0082】
また、レーザートリミングのような切断工程や、溝の形成工程を省略することにより、製造工程が単純となり、製造コストが節減され、生産性が向上する。
【0083】
かかるディスプレイ装置110の製造方法について、図面を参照して説明する。
【0084】
図6a~
図6eは、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置の製造方法を説明する断面図であり、
図7は、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置を構成する複数の物質の表面エネルギーによる吸着有無を示す図であり、
図8は、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置を構成する複数の物質の動きを示す図である。
図1~
図5を共に参照して説明する。
【0085】
図6aに示すように、基板120の上部のディスプレイ領域DAに、ゲート絶縁層122と、層間絶縁層124と、保護層126を形成し、保護層126の上部の赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbに、それぞれ第1電極128を形成する。
【0086】
ゲート絶縁層122と、層間絶縁層124、そして保護層126の間には、スイッチング薄膜トランジスタ(
図2のTs)および駆動薄膜トランジスタ(
図2のTd)のような複数の薄膜トランジスタと、ストレージキャパシタ(
図2のCs)が配置されることができる。
【0087】
複数の薄膜トランジスタおよび第1電極128は、フォトリソグラフィ工程によって形成することができる。
【0088】
次に、第1電極128の上部における基板120の全面に第1発光補助層130を形成し、第1発光補助層130の上部における赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbに、それぞれ発光物質層132を形成して、発光物質層132の上部における基板120の全面に第2発光補助層134を形成する。
【0089】
第1発光補助層130、発光物質層132、および第2発光補助層134は、微細金属マスク(fine metal mask)のようなシャドーマスクを用いる熱蒸着(thermal evaporation)工程によって形成することができる。
【0090】
その際、基板120の最上面には、第2発光補助層134の電子注入層が形成され得る。
【0091】
電子注入層用金属物質は、相対的に大きい表面エネルギー(surface energy)を有することができる。例えば、電子注入層用金属物質は、約0.5J/m2以上の表面エネルギーを有することができる。
【0092】
また、電子注入層用金属物質は、相対的に低温下で蒸着が可能であるように相対的に低い融点を有することができる。例えば、電子注入層用金属物質は、約1000℃以下の融点を有することができる。
【0093】
また、電子注入層用金属物質は、相対的に大きい電気伝導度を有することができる。例えば、電子注入層用金属物質は、約4.0×106Ω‐1m‐1以上の電気伝導度を有することができる。
【0094】
また、電子注入層用金属物質は、相対的に小さい仕事関数(work function)を有することができる。例えば、電子注入層用金属物質は、約2.4~約2.8eVの仕事関数を有することができる。
【0095】
また、電子注入層は、約10Å~約40Åの厚さを有することができ、約0.05Å/sec以上の蒸着率(deposition rate)で形成することができる。
【0096】
次に、
図6bに示すように、遮断部SAおよび開口部OAを有するシャドーマスク144を、第2発光補助層134の上部に配置し、開口部OAを介して第2発光補助層134の上部に有機物質を蒸着する。
【0097】
その結果、第2発光補助層134の上部における透明領域TAに蒸着防止層142が形成され、ディスプレイ領域DAの第2発光補助層134は露出される。
【0098】
ここで、遮断部SAと開口部OAが、それぞれディスプレイ領域DAと透明領域TAに対応するよう、シャドーマスク144を位置決めすることができる。
【0099】
蒸着防止層142用有機物層は、相対的に小さい表面エネルギーと、相対的に低いガラス転移温度(glass transition temperature:Tg)を有することができる。例えば、蒸着防止層142用有機物質は、約0.2J/m2以下の表面エネルギーと、約40℃以下のガラス転移温度(Tg)を有することができる。
【0100】
また、蒸着防止層142用有機物層は、相対的に大きい屈折率と、相対的に小さい光吸収率を有することができる。例えば、蒸着防止層142用有機物質は、約550nmの波長の光に対し、約1.7以上の屈折率と、約0.02以下の光吸収率を有することができる。
【0101】
また、蒸着防止層142用有機物質は、シャドーマスク144を用いるパターニングが可能な物質であり得る。例えば、シャドーマスク144を用いて、約300ppiの解像度を持つ画素に対応するパターンを形成することができる物質を、蒸着防止層142用有機物質に用いることができる。
【0102】
また、蒸着防止層142用有機物質は、相対的に大きい高温保管信頼性を有することができる。例えば、約300Åの厚さを有する蒸着防止層142が、約100℃の温度下で約500時間以上配置された場合でも不良が生じないよう、蒸着防止層142用有機物質を決めることができる。
【0103】
そして、蒸着防止層142は、約20Å~300Åの厚さを有することができる。
【0104】
かかる蒸着防止層142用有機物質は、ゲート絶縁層122や層間絶縁層124、保護層126に用いられるフォトアクリル、ポリイミドのような有機絶縁物質、またはシリコンナイトライド(SiNx)、シリコンオキサイド(SiO2)、シリコンオキシナイトライド(SiON)のような無機絶縁物質と異なる物質であり得る。
【0105】
すなわち、ゲート絶縁層122や層間絶縁層124、保護層126に用いられる有機絶縁物質と無機絶縁物質は、フォトリソグラフィ工程によるパターニングが可能である一方、蒸着防止層142用有機物質は、フォトリソグラフィ工程によるパターニングが不可であり、シャドーマスクを用いる熱蒸着工程によるパターニングが可能である。
【0106】
例えば、蒸着防止層142用有機物質は、化学式(1)で表される開環異性体ジアリールエテン(open‐ring isomer DAE(diarylethene))であり得る。
【0107】
【0108】
図6cに示すように、ディスプレイ領域DAにおける第2発光補助層134の上部、および透明領域TAにおける蒸着防止層142の上部に金属物質を蒸着する。
【0109】
その際、金属物質の原子146は、透明領域TAの蒸着防止層142には吸着されず、脱離し、ディスプレイ領域DAにおける第2発光補助層134に選択的に吸着されて、第2電極140がディスプレイ領域DAに選択的に形成される。
【0110】
第2電極140用金属物質は、相対的に大きい表面エネルギーを有することができる。例えば、第2電極140用金属物質は、約0.5J/m2以上の表面エネルギーを有することができる。
【0111】
特に、第2電極140用金属物質は、第2発光補助層134の電子注入層用金属物質より大きい表面エネルギーを有することができる。
【0112】
また、第2電極140用金属物質は、相対的に低温下で蒸着が可能であるように相対的に低い融点を有することができる。例えば、第2電極140用金属物質は、約1000℃以下の融点を有することができる。
【0113】
また、第2電極140用金属物質は、相対的に大きい電気伝導度を有することができる。例えば、第2電極140用金属物質は、約1.0×107Ω‐1m‐1以上の電気伝導度を有することができる。
【0114】
また、第2電極140用金属物質は、相対的に小さい屈折率と、相対的に小さい光吸収率を有することができる。例えば、第2電極140用金属物質は、約550nmの波長の光に対し、約1.0の屈折率と、約5.5以下の光吸収率を有することができる。
【0115】
第2電極140は、約100Å~約200Åの厚さを有することができ、約0.1Å/sec~約100Å/secの蒸着率で形成することができる。
【0116】
図7および
図8に示すように、第2発光補助層134の電子注入層用金属物質、蒸着防止層142用有機物質、そして第2電極140用金属物質は、それぞれ第1表面エネルギーSE1、第2表面エネルギーSE2、第3表面エネルギーSE3を有するが、第1表面エネルギーSE1は、第2表面エネルギーSE2より大きくて、第3表面エネルギーSE3より小さい値であり得る(SE2<SE1<SE3)。
【0117】
ここで、蒸着防止層142は、相対的に小さい第2表面エネルギーSE2と、相対的に低いガラス転移温度を有する有機物質からなるので、表面の分子運動が活発である。
【0118】
そのため、相対的に大きい第3表面エネルギーSE3を有する第2電極140用金属物質の原子146は、透明領域TAにおいて、相対的に小さい第2表面エネルギーSE2と、相対的に低いガラス転移温度を有する蒸着防止層142の表面に吸着されず、脱離した後、ディスプレイ領域DAに移動する。
【0119】
そして、相対的に大きい第3表面エネルギーSE3を有する第2電極140用金属物質の原子146は、ディスプレイ領域DAにおいて、相対的に大きい第1表面エネルギーSE1を有する第2発光補助層134の電子注入層の表面に選択的に吸着され、核の形成が進む。核を種にして第2電極140用金属物質の原子146が漸次溜まり、ディスプレイ領域DAに選択的に第2電極140が形成される。
【0120】
第1実施例では、第2発光補助層134の電子注入層用金属物質、蒸着防止層142用有機物質、そして第2電極140用金属物質の表面エネルギーを調節することで、第2電極140をディスプレイ領域DAに選択的に形成したが、他の実施例では、第2発光補助層134の電子注入層用金属物質、蒸着防止層142用有機物質、そして第2電極140用金属物質の蒸着温度や蒸着率などを調節することで、第2電極140をディスプレイ領域DAに選択的に形成することもできる。
【0121】
次に、
図6dに示すように、第2電極140および蒸着防止層142の上部における基板120の全面に封止層150を形成し、封止層150の上部における基板120の全面にタッチ層152を形成する。
【0122】
その後、封止層150の上部におけるディスプレイ領域DAに偏光層154を形成するが、例えば、偏光層154を、ディスプレイ領域DAに対応する大きさのフィルム状に形成し、ディスプレイ領域DAの封止層150の上部に取り付けることができる。
【0123】
次に、偏光層154の上部におけるディスプレイ領域DAに接着層156を形成し、接着層156の上部における基板120の全面にカバーガラス160を形成する。
【0124】
カバーガラス160は、例えば、接着層156を介し、偏光層154に取り付けることができる。
【0125】
その後、基板120の下部の全面にバックプレート162を形成する。
【0126】
カバーガラス160を含む基板120は、例えば、接着層156を介し、バックプレート162に取り付けることができる。
【0127】
次に、
図6eに示すように、バックプレート162の下部におけるディスプレイ領域DAと透明領域TAに、それぞれシステム部170と補助装置172を配置する。
【0128】
かかる本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置110の製造方法によると、レーザートリミングのような切断工程によって、透明領域TAの発光ダイオードおよび封止層150を除去する代わりに、第2電極140用金属物質が、透明領域TAの蒸着防止層142には吸着されず、ディスプレイ領域DAの第2発光補助層134にのみ吸着されるようにすることで、発光ダイオードおよび封止層150の側面が外部に露出されないように発光ダイオードの第2電極140をディスプレイ領域DAに選択的に形成することができる。その結果、外部からの酸素や水分の流入が最小限になり、異物のような不良が最小となる。
【0129】
また、レーザートリミングのような切断工程、および溝の形成工程を省略することにより、製造工程が単純になって製造コストが節減され、また、生産性が向上する。
【0130】
図9は、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置の透過率を示すグラフであるが、カバーガラス160の省略されたディスプレイ装置の透過率を示す。
図1~
図8を共に参照して説明する。
【0131】
図5に示すように、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置110においては、蒸着防止層142のため、透明領域TAには第2電極140が形成されず、ディスプレイ領域DAに第2電極140が形成される。
【0132】
比較例に係るディスプレイ装置においては、蒸着防止層を備えることなく、ディスプレイ領域DAおよび透明領域TAに、半透過性の第2電極140が形成される。
【0133】
ここで、第2電極140はマグネシウム銀(MgAg)からなり、その厚さが約140Åである。
【0134】
第1実施例に係るディスプレイ装置110の透明領域TAは、約400nm~約800nmの波長の光に対し、比較例に係るディスプレイ装置の透明領域TAより大きい透過率を有する。
【0135】
具体的に説明すると、第1実施例に係るディスプレイ装置110の透明領域TAは、約430nm、約550nm、約620nmの波長の光に対し、それぞれ約107.6%、約107.2%、約108.0%の強度を示す一方、比較例に係るディスプレイ装置の透明領域TAは、約430nm、約550nm、約620nmの波長の光に対し、それぞれ約75.7%、約75.8%、約63.2%の強度を示す。
【0136】
すなわち、第1実施例に係るディスプレイ装置110の透明領域TAは、比較例に係るディスプレイ装置の透明領域TAに比べ、その透過率が30%以上大きい。そのため、輝度が向上する。
【0137】
また、第1実施例に係るディスプレイ装置110の透明領域TAは、全波長帯において均一で高い透過率を有するので、色ずれ(color shift)のような不良が最小となる。
【0138】
一方、カバーガラス160を含む第1実施例に係るディスプレイ装置110の透明領域TAは、約430nm、約550nm、約620nmの波長の光に対し、それぞれ約97.6%、約97.2%、約98.0%の強度を示す一方、カバーガラス160を含む比較例に係るディスプレイ装置の透明領域TAは、約430nm、約550nm、約620nmの波長の光に対し、それぞれ約76.7%、約65.8%、約53.2%の強度を示す。
【0139】
以上のように、本発明の第1実施例に係るディスプレイ装置110においては、レーザートリミングのような切断工程によって、透明領域TAの発光ダイオードおよび封止層150を除去する代わりに、第2電極140用金属物質が、透明領域TAの蒸着防止層142には吸着されず、ディスプレイ領域DAの第2発光補助層134にのみ吸着されるようにすることで、発光ダイオードおよび封止層150の側面が外部に露出されないように発光ダイオードの第2電極140をディスプレイ領域DAに選択的に形成することができる。
【0140】
その結果、外部からの酸素や水分の流入が最小限になり、異物のような不良が最小となる。
【0141】
例えば、レーザートリミングの切断工程によって、透明領域TAにおける発光ダイオードおよび封止層150を除去した比較例に係るディスプレイ装置は、保存信頼性テスト(温度:約85℃、湿度:約85%)を行った結果、200時間以内に透湿の面で不良が多発発生したが、蒸着防止層142を利用し、第2電極140をディスプレイ領域DAに選択的に形成した第1実施例に係るディスプレイ装置110は、保存信頼性テスト(温度:約85℃、湿度:約85%)を行った結果、408時間が経過するまで透湿の面で不良が全く発生しなかった。
【0142】
また、レーザートリミングのような切断工程、および溝の形成工程を省略することにより、製造工程が単純になって製造コストが節減され、生産性が向上する。
【0143】
さらに、透明領域TAが、全波長帯において均一で高い透過率を有するので、輝度が向上し、色ずれのような不良が最小となる。
【0144】
一方、他の実施例では、透明領域TAの一部に、赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbのようなカラーサブピクセルを配置し、映像の表示品質を向上させることができるが、これについて図面を参照し、説明する。
【0145】
図10は、本発明の第2実施例に係るディスプレイ装置におけるディスプレイ領域と透明領域との境界部を示す拡大平面図であり、
図11は、
図10の切断線XI‐XIに沿った断面図であって、オンセルタッチ方式およびトップエミッション方式の有機発光ダイオードディスプレイ装置を例に挙げて説明する。
【0146】
図10および
図11に示すように、本発明の第2実施例に係るディスプレイ装置210は、映像の表示、およびタッチの感知に使用されるディスプレイ領域DAと、ディスプレイ領域DA内の透明領域TAと、ディスプレイ領域DAを取り囲む非ディスプレイ領域(不図示)を含む。
【0147】
かかるディスプレイ装置210は、ディスプレイパネルと、システム部270と、補助装置272を含むが、ディスプレイパネルは、映像を表示することでユーザに情報を伝達し、タッチを感知することでユーザからの情報を受信することができる。システム部270は、ディスプレイパネルおよび補助装置272との間で信号および電源を送受信し、また、補助装置272は、ディスプレイパネルを介し、被写体の形状のような情報を受信することができる。
【0148】
具体的に説明すると、バックプレート262は、基板220を支持して保護する役割を果たす。そして、バックプレート262は、ポリエチレンテレフタレート(PET)のようなプラスチックからなり得る。また、約1.6の屈折率を有することができる。
【0149】
バックプレート262の上部の全面には基板220が配置され、基板220の上部におけるディスプレイ領域DAの複数の第1カラーサブピクセル、および透明領域TAの複数の第2カラーサブピクセルには、ゲート絶縁層222、層間絶縁層224、そして保護層226が配置される。
【0150】
基板220は、ディスプレイ領域DAと透明領域TAを含むが、ディスプレイ領域DAは、赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbのような複数の第1カラーサブピクセルを含み、ディスプレイ領域DA内に配置される透明領域TAは、赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbのような複数の第2カラーサブピクセル、および複数の第2カラーサブピクセルと交互に配置される複数の透明サブピクセルSPtを含む。
【0151】
第2実施例では、透明領域TAにおける複数の第2カラーサブピクセルの赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbと、複数の透明サブピクセルSPtとが、1対1で横方向に交互に配置されることを例に挙げたが、他の実施例では、透明領域TAにおける複数の第2カラーサブピクセルの赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbと、複数の透明サブピクセルSPtとが、1対多数で交互に配置されてもよい。
【0152】
例えば、透明領域TAにおける複数の第2カラーサブピクセルの赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbと、複数の透明サブピクセルSPtとが、1対3で交互に配置され、透明領域TAが、約75%の開口率を有することができる。
【0153】
基板220は、ガラスからなってもよく、ポリイミド(PI)のような可撓性物質(フレキシブルな物質)からなってもよい。また、約1.6の屈折率を有することができる。
【0154】
赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbのそれぞれにおけるゲート絶縁層222、層間絶縁層224、そして保護層226の間には、スイッチング薄膜トランジスタ(
図2のTs)および駆動薄膜トランジスタ(
図2のTd)のような複数の薄膜トランジスタと、ストレージキャパシタ(
図2のCs)を配置することができる。
【0155】
例えば、ゲート絶縁層222は、スイッチング薄膜トランジスタTsおよび駆動薄膜トランジスタTdにおいて、ゲート電極と半導体層の間に配置し、層間絶縁層224は、スイッチング薄膜トランジスタTsおよび駆動薄膜トランジスタTdにおいて、ゲート電極とソース電極の間、およびゲート電極とドレイン電極の間に配置し、保護層226は、スイッチング薄膜トランジスタTsおよび駆動薄膜トランジスタTdにおいて、ソース電極およびドレイン電極の上部に配置することができる。
【0156】
保護層226の上部におけるディスプレイ領域DAおよび透明領域TAの赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbには、それぞれ第1電極228が配置され、第1電極228の上部の全面には、第1発光補助層230が配置される。
【0157】
第1電極228は、相対的に反射率の大きい金属物質の第1層と、相対的に仕事関数の大きい透明導電物質の第2層を含むことができる。
【0158】
例えば、第1電極228は、発光物質層232に正孔(hole)を供給する陽極(anode)であり得る。そして、駆動薄膜トランジスタTdに接続することができる。
【0159】
第1発光補助層230は、発光物質層232へ正孔を注入する正孔注入層(hole injecting layer)と、発光物質層232へ正孔を輸送する正孔輸送層(hole transporting layer)を含むことができ、正孔注入層および正孔輸送層は、第1電極228の上部に順次配置することができる。
【0160】
第1発光補助層230の上部におけるディスプレイ領域DAおよび透明領域TAの赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbには、それぞれ発光物質層(emitting material layer)232が配置され、発光物質層232の上部の全面には、第2発光補助層234が配置される。
【0161】
発光物質層232では、第1電極228から供給される正孔と、第2電極240から供給される電子とが結合し、光が放出される。
【0162】
第2実施例では、ディスプレイ領域DAおよび透明領域TAにおける赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbの発光物質層232が、互いに異なる物質からなり、それぞれ赤色・緑色・青色光を放出することを例に挙げたが、他の実施例では、ディスプレイ領域DAおよび透明領域TAにおける赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbの発光物質層232が同一物質からなり、同一構造を持って白色光を放出することもできる。この場合は、第2電極240の上部にカラーフィルタ層を配置することができる。
【0163】
第2発光補助層234は、発光物質層232へ電子を輸送する電子輸送層(electron transporting layer)と、発光物質層232へ電子を注入する電子注入層(electron injecting layer)を含むことができ、電子輸送層および電子注入層は、発光物質層232の上部に順次配置することができる。
【0164】
電子注入層は、例えば、約10Å~約40Åの厚さを有することができる。
【0165】
第1発光補助層230および第2発光補助層234は、それぞれ約1.8の屈折率を有することができる。
【0166】
第2実施例では、同一物質からなる第1発光補助層230および第2発光補助層234が基板220の全面に配置されることを例に挙げたが、他の実施例では、第1発光補助層230および第2発光補助層234が互いに異なる物質からなり、ディスプレイ領域DAおよび透明領域TAにおける赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbに選択的に配置されてもよい。
【0167】
第2発光補助層234の上部におけるディスプレイ領域DAおよび透明領域TAの赤色・緑色・青色のサブピクセルSPr、SPg、SPbには、第2電極240が配置され、第2発光補助層234の上部における透明領域TAの複数の透明サブピクセルSPtには、蒸着防止層242が配置される。
【0168】
すなわち、第2電極240は、蒸着防止層242が形成されない部分に選択的に配置される。その結果、第2電極240と蒸着防止層242は、排他的に配置されることができる。
【0169】
第2電極240は、半透過性を有し、相対的に仕事関数の小さい金属物質からなり得る。
【0170】
例えば、第2電極240は、発光物質層232に電子を供給する陰極(cathode)であり得る。そして第2電極240は、約100Å~約200Åの厚さを有することができ、また、マグネシウム銀(MgAg)からなり得る。
【0171】
第1電極228と、第1発光補助層230と、発光物質層232と、第2発光補助層234と、第2電極240は、発光ダイオードを構成する。
【0172】
蒸着防止層242は、相対的に表面エネルギーの小さい有機物質からなり得る。そして、第2電極240を形成するにあたり、第2電極240用金属物質が蒸着防止層242の上部に吸着されず、脱離するようにすることができる。
【0173】
蒸着防止層242は、例えば、約20Å~約300Åの厚さを有することができる。
【0174】
蒸着防止層242は、第1実施例と同一物質を用いて、同一工程によって形成することができる。
【0175】
ここで、透明領域TAの複数の透明サブピクセルSPtに、第2電極240は形成されず、蒸着防止層242が形成されるので、透過領域TAの透過率が向上する。
【0176】
例えば、透明領域TAの複数の透明サブピクセルSPtは、約94%の透過率を有し、透明領域TAは、約75%の開口率を有して、非反射層258の省略された透明領域TAは、約71%の透過率を有し、非反射層258の形成された透明領域TAは、約75%の透過率を有することができる。
【0177】
第2電極240および蒸着防止層242の上部の全面には、封止層250が配置され、封止層250の上部の全面には、タッチ層252が配置される。
【0178】
封止層250は、外部からの酸素や水分が浸透することを防止する役割を果たすが、複数の有機物質層と複数の無機物質層を含むことができ、約1.8の屈折率を有することができる。
【0179】
タッチ層252は、タッチを感知する役割を果たすが、複数のタッチ電極と絶縁層を含むことができ、絶縁層は、約1.5の屈折率を有することができる。
【0180】
第2実施例では、タッチ層252が封止層250の上部に配置されることを例に挙げたが、他の実施例では、タッチ層252が、ゲート絶縁層222、層間絶縁層224、そして保護層226を含むアレイ層の内部に配置されてもよく、省略されてもよい。
【0181】
タッチ層252の上部のディスプレイ領域DAには、偏光層254が配置され、偏光層254の上部のディスプレイ領域DAには、接着層256が配置される。
【0182】
偏光層254は、外部光が複数の薄膜トランジスタおよび発光ダイオードで反射され、再び外部へ放出されることを最小化する役割を果たすが、タッチ層252の上部に順次配置される1/4波長層と線偏光層を含むことができる。
【0183】
タッチ層252の上部の透明領域TAには、非反射層258が配置される。
【0184】
非反射層258は、タッチ層252との界面における反射による干渉を調節し、透明領域(TA)の透過率を増加させる役割を果たす。
【0185】
他の実施例では、非反射層258を省略してもよい。
【0186】
接着層256の上部の全面には、カバーガラス260が配置されるが、カバーガラス260は、タッチ層252、発光ダイオード、およびアレイ層を保護する役割を果たす。
【0187】
バックプレート262と、基板220と、複数の薄膜トランジスタと、発光ダイオードと、カバーガラス260は、ディスプレイパネルを構成する。
【0188】
バックプレート262の下部のディスプレイ領域DAと透明領域TAには、それぞれシステム部270と、補助装置272が配置される。
【0189】
かかる本発明の第2実施例に係るディスプレイ装置210では、レーザートリミングのような切断工程によって、透明領域TAの発光ダイオードおよび封止層250を除去する代わりに、蒸着防止層242を利用し、発光ダイオードの第2電極240を、ディスプレイ領域DAの複数の第1カラーサブピクセルおよび透明領域TAの複数の第2カラーサブピクセルに選択的に形成することで、発光ダイオードおよび封止層250の側面が外部に露出されないようにすることができる。その結果、外部からの酸素や水分の流入が最小限になり、異物のような不良が最小となる。
【0190】
また、レーザートリミングのような切断工程や、溝の形成工程を省略することにより、製造工程が単純となり、製造コストが節減され、生産性が向上する。
【0191】
また、透明領域TAに複数の第2カラーサブピクセルを配置することで、ディスプレイ装置210の表示面積が拡大され、映像の表示品質が向上する。
【0192】
さらに、透明領域TAの複数の第2カラーサブピクセルに、半透過性の第2電極240を含む発光ダイオードを配置することで、マイクロキャビティ効果により、色再現率が向上し、寿命が増加する。
【0193】
また、透明領域TAの複数の透明サブピクセルSPtに、第2電極240は形成されず、蒸着防止層242のみが形成されるため、透明領域TAの透過率が向上する。
【0194】
以上、本発明の好適な実施例を参照して説明したが、当該技術分野における熟練者であれば、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想および領域から逸脱しない範囲で、本発明を様々に修正および変更することができることを理解することができるであろう。
【符号の説明】
【0195】
110、210…ディスプレイ装置、120、220…基板、122、222…ゲート絶縁層、124、224…層間絶縁層、126、226…保護層、128、228…第1電極、130、230…第1発光補助層、132、232…発光物質層、134、234…第2発光補助層、140、240…第2電極、142、242…蒸着防止層