(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】バッテリーセルの冷却装置と、これを備えるバッテリーパック及びこれを用いたバッテリーセルの冷却方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/6552 20140101AFI20240712BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240712BHJP
H01M 10/643 20140101ALI20240712BHJP
H01M 10/647 20140101ALI20240712BHJP
H01M 10/6551 20140101ALI20240712BHJP
【FI】
H01M10/6552
H01M10/613
H01M10/643
H01M10/647
H01M10/6551
(21)【出願番号】P 2023501306
(86)(22)【出願日】2021-11-15
(86)【国際出願番号】 KR2021016673
(87)【国際公開番号】W WO2022103231
(87)【国際公開日】2022-05-19
【審査請求日】2023-01-06
(31)【優先権主張番号】10-2020-0152784
(32)【優先日】2020-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ウク・リュ
(72)【発明者】
【氏名】ジン・ハク・コン
(72)【発明者】
【氏名】ミン・ホ・クウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジェ・ヒョク・カン
(72)【発明者】
【氏名】ジャ・オン・グ
【審査官】田中 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-216410(JP,A)
【文献】特表2020-521305(JP,A)
【文献】特表2013-516739(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0171532(US,A1)
【文献】特開2012-015112(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0024187(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2016-0043761(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/6552
H01M 10/613
H01M 10/643
H01M 10/647
H01M 10/6551
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位バッテリーセルと一対一にて対応して組み立てられるように一方の側が突設されるボディ部と、
前記ボディ部の内部に配備され、外部から隔離される中空部と、
前記中空部に収容されて孤立される冷媒と、
前記単位バッテリーセルと接触可能なように前記ボディ部の前記一方の側に配備される熱伝導材料と、
を備えてなる、バッテリーセルの冷却装置。
【請求項2】
前記ボディ部は、
内部に前記中空部が配備される筒体と、
前記単位バッテリーセルの外周面と結合可能なように前記筒体の一面から突設されるホルダーと、
を備えてなる、請求項1に記載のバッテリーセルの冷却装置。
【請求項3】
前記ホルダーは、前記筒体の底板の周縁から突設され、
前記熱伝導材料は、前記筒体の前記底板と前記単位バッテリーセルとの間に介在して前記筒体の前記底板及び前記単位バッテリーセルと接触するように前記ホルダーの内側において前記底板に取り付けられることを特徴とする、請求項2に記載のバッテリーセルの冷却装置。
【請求項4】
前記冷媒の体積が前記中空部の容積よりも小さなことを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のバッテリーセルの冷却装置。
【請求項5】
前記中空部の内部の空き空間は、大気圧よりも低圧であることを特徴とする、請求項4に記載のバッテリーセルの冷却装置。
【請求項6】
複数のバッテリーセルと、
前記複数のバッテリーセルが収容されるハウジングと、
前記複数のバッテリーセルをそれぞれ別々に冷却させられるように前記複数のバッテリーセルと一対一にて対応して組み立てられる前記複数のバッテリーセルの冷却装置と、
を備えてなり、
前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置は、空冷式により冷却可能なように前記ハウジングの内部に配置され、前記ハウジングの内部面から離れ
ており、
前記複数のバッテリーセルの冷却装置は、
一面が前記バッテリーセルと接触され、且つ前記一面と対向する他面が前記ハウジングの内部空間に晒されるボディ部であって、前記バッテリーセルの端部を包み込みながら着脱自在に結合可能なように一方の側が突設されるボディ部と、
前記ボディ部の内部に形成され、前記ハウジングの内部空間から隔離される中空部と、
前記中空部に収容されて孤立される冷媒と、
前記バッテリーセルと接触されるように前記ボディ部に取り付けられる熱伝導材料と、
を備えてなることを特徴とする、バッテリーパック。
【請求項7】
前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置は、それぞれの位置に応じて異なる冷却容量を有することを特徴とする、請求項6に記載のバッテリーパック。
【請求項8】
外郭側のバッテリーセルに組み立てられた前記バッテリーセルの前記冷却装置は、内側のバッテリーセルに組み立てられた前記バッテリーセルの前記冷却装置よりも表面積及び貯留された冷媒量のうちの少なくともどちらか一方が小さいことを特徴とする、請求項7に記載のバッテリーパック。
【請求項9】
前記冷媒は、前記中空部の一部を満たすことを特徴とする、請求項
6~8のいずれか一項に記載のバッテリーパック。
【請求項10】
複数のバッテリーセルと一対一にて対応するように接続された前記複数のバッテリーセルの冷却装置を用いて、前記複数のバッテリーセルのそれぞれから熱を吸収して前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置のそれぞれに収容された冷媒に放熱するバッテリーセル個別冷却ステップと、
前記複数のバッテリーセルが収容されるハウジングの内部に前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置が吸収した熱を放熱するバッテリーセル全体冷却ステップと、
を含んでな
り、
前記複数のバッテリーセルの冷却装置は、
一面が前記バッテリーセルと接触され、且つ前記一面と対向する他面が前記ハウジングの内部空間に晒されるボディ部であって、前記バッテリーセルの端部を包み込みながら着脱自在に結合可能なように一方の側が突設されるボディ部と、
前記ボディ部の内部に形成され、前記ハウジングの内部空間から隔離され、前記冷媒を保持する中空部と、
前記バッテリーセルと接触されるように前記ボディ部に取り付けられる熱伝導材料と、を備えてなる、バッテリーセルの冷却方法。
【請求項11】
前記バッテリーセル個別冷却ステップは、
前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置のそれぞれに収容された前記冷媒を前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置のそれぞれの内部に孤立させた状態で気化させるものであることを特徴とする、請求項
10に記載のバッテリーセルの冷却方法。
【請求項12】
バッテリーセルを冷却させる方法において、
前記バッテリーセルの一方の端部と冷媒を保持する中空部を有するバッテリーセルの冷却装置との間に熱伝導材料を介在させて前記バッテリーセルの前記冷却装置を前記バッテリーセルと接触させる冷却装置構成ステップ
であって、
前記バッテリーセルの前記冷却装置は、前記バッテリーセルと一対一にて対応して組み立てられるように一方の側が突設されるボディ部を備える、ステップと、
前記バッテリーセルの発熱を前記冷媒の温度または前記冷媒の気化熱を用いて冷却させるバッテリーセル冷却ステップと、
を含む、バッテリーセルの冷却方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーセルの冷却装置、バッテリーパック、及びバッテリーセルの冷却方法に関するものであって、装置の構成を単純化させることのできるバッテリーセルの冷却装置と、これを備えて単純な構造にて複数のバッテリーセルのそれぞれを有効に冷却させることのできるバッテリーパックと、これを用いたバッテリーセルの冷却方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池は、充放電可能な電池であって、電気自動車からスマートフォンに至るまで多種多様なデバイスにおいて用いられる。このような二次電池は、それが用いられるデバイスの種類に応じて、単一のバッテリーセルの形態で用いられるか、あるいは、複数のバッテリーセル付きバッテリーパックの形態で用いられる。
【0003】
すなわち、スマートフォンなどの小型のデバイスにおいて用いられる二次電池は、単一のバッテリーセルの形態で用いられる。なお、電気自動車などの中大型のデバイスにおいて用いられる二次電池は、複数のバッテリーセル付きバッテリーパックの形態で用いられる。
【0004】
中大型のデバイスにおいて用いられるバッテリーパックとしては、主として缶型二次電池またはポーチ状二次電池が挙げられる。中でも、缶型二次電池は、ポーチ状二次電池よりも相対的に剛性及び耐久性に優れていることから、電気自動車のバッテリーパックには缶型二次電池が主として用いられる。一方、缶型二次電池は、バッテリーパックのハウジングの内部に密集しているが故に、相互が邪魔物として働いて熱が溜まり易い。これをいち早く解消しなければ、缶型二次電池が長時間に亘って高温の熱に晒されてしまう結果、早期に熱化される虞がある。
【0005】
したがって、缶型二次電池の温度が急激に高まらないようにバッテリーパックのハウジングの内部の熱を管理することが、バッテリーパックの性能を管理する上で非常に肝要である。
【0006】
本発明の背景となる技術は、下記の特許文献に掲載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、構成を単純化させることのできるバッテリーセルの冷却装置を提供する。
【0009】
本発明は、単純な構造にて複数のバッテリーセルのそれぞれをそれぞれ別々に冷却させることのできるバッテリーパック及びバッテリーセルの冷却方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却装置は、単位バッテリーセルと一対一にて対応して組み立てられるように一方の側が突設されるボディ部と、前記ボディ部の内部に配備され、外部から隔離される中空部と、前記中空部に収容されて孤立される冷媒と、前記単位バッテリーセルと接触可能なように前記ボディ部の前記一方の側に配備される熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)と、を備えてなる。
【0011】
前記ボディ部は、内部に前記中空部が配備される筒体と、前記単位バッテリーセルの外周面と結合可能なように前記筒体の一面から突設されるホルダーと、を備えていてもよい。
【0012】
前記ホルダーは、前記筒体の底板の周縁から突設され、前記熱伝導材料は、前記筒体の前記底板と前記単位バッテリーセルとの間に介在して前記筒体の前記底板及び前記単位バッテリーセルと接触するように前記ホルダーの内側において前記底板に取り付けられてもよい。
【0013】
前記冷媒の体積が前記中空部の容積よりも小さくてもよい。
【0014】
前記中空部の内部の空き空間は、大気圧よりも低圧であってもよい。
【0015】
本発明の実施形態に係るバッテリーパックは、複数のバッテリーセルと、前記複数のバッテリーセルが収容されるハウジングと、前記複数のバッテリーセルを個別的に冷却させられるように前記複数のバッテリーセルと一対一にて対応して組み立てられる前記複数のバッテリーセルの冷却装置と、を備えてなり、前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置は、空冷式により冷却可能なように前記ハウジングの内部に配置され、前記ハウジングの内部面から離れる。
【0016】
前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置は、それぞれの位置に応じて異なる冷却容量を有してもよい。
【0017】
外郭側のバッテリーセルに組み立てられた前記バッテリーセルの前記冷却装置は、内側のバッテリーセルに組み立てられた前記バッテリーセルの前記冷却装置よりも表面積及び貯留された冷媒量のうちの少なくともどちらか一方が小さくてもよい。
【0018】
前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置は、一面が前記バッテリーセルと接触され、且つ前記一面と対向する他面が前記ハウジングの内部空間に晒されるボディ部であって、前記バッテリーセルの端部を包み込みながら着脱自在に結合可能なように一方の側が突設されるボディ部と、前記ボディ部の内部に形成され、前記ハウジングの内部空間から隔離される中空部と、前記中空部に収容されて孤立される冷媒と、前記バッテリーセルと接触されるように前記ボディ部に取り付けられる熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)と、を備えていてもよい。
【0019】
前記冷媒は、前記中空部の一部を満たしてもよい。
【0020】
本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法は、複数のバッテリーセルと一対一にて対応するように接続された前記複数のバッテリーセルの冷却装置を用いて、前記複数のバッテリーセルのそれぞれから熱を吸収して前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置のそれぞれに収容された冷媒に放熱するバッテリーセル個別冷却ステップと、前記複数のバッテリーセルが収容されるハウジングの内部に前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置が吸収した熱を放熱するバッテリーセル全体冷却ステップと、を含んでなる。
【0021】
前記バッテリーセル個別冷却ステップは、前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置のそれぞれに収容された前記冷媒を前記複数のバッテリーセルの前記冷却装置のそれぞれの内部に孤立させた状態で気化させるものであってもよい。
【0022】
本発明の他の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法は、前記バッテリーセルを冷却させる方法において、前記バッテリーセルの一方の端部と冷媒を保持する中空部を有するバッテリーセルの冷却装置との間に熱伝導材料を介在させて前記バッテリーセルの前記冷却装置を前記バッテリーセルと接触させる冷却装置構成ステップと、前記バッテリーセルの発熱を前記冷媒の温度または前記冷媒の気化熱を用いて冷却させるバッテリーセル冷却ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0023】
本発明の実施形態によれば、バッテリーセルの冷却装置を単位バッテリーセルと一対一にて対応させて組み立てることができる。また、バッテリーセルの冷却装置の内部に収容されて孤立される冷媒を用いて、バッテリーセルの冷却装置が組み立てられているバッテリーセルを有効にそれぞれ別々に冷却させることができる。したがって、バッテリーセルの冷却のための構成を単純化させることができ、単純な構造だけで複数のバッテリーセルのそれぞれから熱を効率よく放熱することにより、複数のバッテリーセルのそれぞれを速やかにそれぞれ別々に冷却させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施形態に係るバッテリーパックの分解図である。
【
図2】本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却装置の断面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係るバッテリーパックの断面図である。
【
図4】本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法における熱の放熱の流れを示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態についてより詳しく説明する。しかしながら、本発明は以下に開示される実施形態に何ら限定されるものではなく、異なる様々な形態に具体化される筈である。単に本発明の実施形態は本発明の開示を完全たるものにし、通常の知識を有する者に発明の範囲を完全に知らせるために提供されるものである。本発明の実施形態について説明するに当たって、図面は誇張されていてもよく、説明と無関係な部分は図面から省略されていてもよく、図中、同じ符号は、同じ構成要素を指し示す。
【0026】
以下、添付図面に基づいて、本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0027】
1.本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却装置
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るバッテリーパックの分解図である。また、
図2は、本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却装置の断面図である。
【0029】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却装置は、単位バッテリーセル40と一対一にて対応して組み立てられるように一方の側が突設されるボディ部600と、ボディ部600の内部に配備され、外部から隔離される中空部Cと、中空部Cに収容されて孤立される冷媒700と、単位バッテリーセル40と接触可能なようにボディ部600の一方の側に配備される熱伝導材料500と、を備えてなる。
【0030】
1.1.単位バッテリーセル40
【0031】
単位バッテリーセル40は、缶型二次電池であってもよい。単位バッテリーセル40は、円筒状の電池缶及び電池缶に内蔵されている電極組立体(図示せず)を備えていてもよい。
【0032】
電池缶は、伝導性金属材質を含んでいてもよい。電池缶は、上下方向に延設されてもよい。電池缶は、下側の端部にキャップ組立体(図示せず)と電極端子が配備されてもよい。一方、電池缶は、角型電池缶をはじめとして形状が様々であってもよい。
【0033】
電極組立体は、互いに重なり合いながらジェリーロール(jelly-roll)の形状に巻き取られている正極板と、セパレータ―及び負極板を備えていてもよい。正極板及び負極板には電極タップが配備されてもよい。電極タップは、電極端子とそれぞれ接続されてもよい。
【0034】
1.2.ボディ部600
【0035】
ボディ部600は、単位バッテリーセル40の上側の端部と接続されてもよい。具体的に、ボディ部600は、単位バッテリーセル40の上側の端部を包み込むように配置されてもよい。このとき、ボディ部600は、単位バッテリーセル40の上側の端部に嵌合されるか、あるいは、螺合されるか、あるいは、取り付けられる方式により、単位バッテリーセル40の上側の端部に着脱自在に組み立てられてもよい。このため、ボディ部600の内周面と単位バッテリーセル40の外周面とが向かい合う部分には、これらを組み立てる手段として、例えば、溝、突起、ねじ山及び構造用接着剤などが種々に配備されてもよい。一方、構造用接着剤は、内部に熱伝導性ペースト粒子が混入されてもよい。
【0036】
ボディ部600は、ヒートパイプの役割を果たしてもよい。例えば、ボディ部600は、銅及びアルミニウムなどのように熱伝導性の金属材質を含んでいてもよい。ボディ部600を単位ヒートパイプ、もしくは単独型ヒートパイプ、もしくは独立型ヒートパイプと称することがある。
【0037】
1.3.ボディ部600の構造の詳細
【0038】
ボディ部600は、内部に中空部Cが配備される筒体610と、単位バッテリーセル40の上側の端部の外周面と結合可能なように筒体610の一面、例えば、下面から突設されるホルダー620と、を備えていてもよい。このとき、筒体610をフレームと称することがある。
【0039】
筒体610は、単位バッテリーセル40の形状に対応する形状であってもよい。例えば、単位バッテリーセル40の円筒の形状に対応して、筒体610もまた円筒の形状であってもよい。いうまでもなく、単位バッテリーセル40が角型であれば、筒体610もまた角型であってもよい。また、筒体610は、単位バッテリーセル40よりも直径が大きくてもよい。あるいは、筒体610の直径は、単位バッテリーセル40の直径に等しくてもよい。すなわち、筒体610の直径は様々であってもよい。
【0040】
筒体610は、上下方向に互いに対向するように互いに離れて配置される天板及び底板と、天板と底板との間に中空部Cが形成されるように天板の周縁及び底板の周縁をつなぐ側板と、を備えていてもよい。底板は、熱伝導材料500を介して単位バッテリーセル40の上面と熱的に接続されてもよい。なお、天板は、単位バッテリーセル40の上面から所定の高さだけ離れていてもよい。
【0041】
筒体610は、内部に収容された冷媒700の少なくとも一部が単位バッテリーセル40の温度に応じて気化及び液化されることにより、内部の圧力が経時的に変わることができる。このため、筒体610は、このような所定の圧力の変化に耐えられるように、天板、底板及び側板が所定の厚さになり得る。
【0042】
ホルダー620は、筒体610の底板の周縁から下方に突設されてもよい。ホルダー620の内径は、単位バッテリーセル40が嵌入可能なように所定の大きさであってもよい。ホルダー620は、中空のパイプの形状であってもよい。ホルダー620の内周面には、例えば、溝、突起、ねじ山及び構造用接着剤などが種々に配備されてもよい。ホルダー620の内周面に溝または突起が配備されれば、単位バッテリーセル40の上側の端部の外周面には突起または溝が配備されてもよい。ホルダー620の内周面にねじ山が配備されれば、単位バッテリーセル40の上側の端部の外周面にもまたねじ山が配備されてもよい。構造用接着剤は、ホルダー620の内周面にのみ配備されてもよく、あるいは、単位バッテリーセル40の上側の端部の外周面にのみ配備されてもよく、あるいは、両面ともに配備されてもよい。このため、ホルダー620の内周面が単位バッテリーセル40の上側の端部の外周面に結合されることが可能になる。いうまでもなく、ホルダー620の内周面が単位バッテリーセル40の上側の端部の外周面に嵌合されてもよい。
【0043】
1.4.熱伝導材料(TIM:Thermal Interface Material)500
【0044】
熱伝導材料500は、筒体610の底板と単位バッテリーセル40との間に介在して筒体610の底板及び単位バッテリーセル40と接触するようにホルダー620の内側において筒体610の底板に取り付けられてもよい。このとき、熱伝導材料500は、円板の形状であってもよい。いうまでもなく、単位バッテリーセル40が角型二次電池セルであれば、単位バッテリーセル40の断面の形状に合わせて熱伝導材料500の形状もまた異なってくる可能性がある。
【0045】
熱伝導材料500の上下方向の厚さは、ホルダー620の上下方向の長さよりも小さくてもよい。熱伝導材料500の下面は、単位バッテリーセル40の上面と接触されてもよい。なお、熱伝導材料500の上面は、筒体610の底板と接触されてもよい。
【0046】
熱伝導材料500は、単位バッテリーセル40の内部から上面へと伝わる所定の熱をホルダー620に伝えてもよい。このために、熱伝導材料500は、所定の熱伝導度を有する物質を含んでいてもよい。所定の熱伝導度を有する物質は、例えば、ポリマー、エポキシ、シリコン、ウレタン及びアクリルなどをはじめとして様々であってもよい。
【0047】
一方、熱伝導材料500は、内部に炭素チューブ(図示せず)を備えていてもよい。熱伝導材料500は、様々なパターンで内蔵された炭素チューブを用いて、その内部における熱伝導速度と熱分布などを所望の方式により制御してもよい。
【0048】
1.5.冷媒700
【0049】
冷媒700は、単位バッテリーセル40が発熱することにより単位バッテリーセル40から加えられる所定の熱を吸収して気化可能な所定の冷媒であってもよい。したがって、冷媒700は、気化熱を用いて単位バッテリーセル40を冷却させることができる。
【0050】
このような冷媒700は、常温において液体であってもよく、単位バッテリーセル40が発熱する温度において気体であってもよい。
【0051】
冷媒は、気化熱ではなく、後述する空冷式筒体により温度を保ち、保たれた温度にて発熱する単位バッテリーセルの温度を下げる方式が適用されてもよい。
【0052】
冷媒700は、筒体610の内部に配備された中空部Cに収容されてもよい。このとき、冷媒700は、その体積が中空部Cの容積よりも小さくてもよい。このため、中空部Cには、冷媒700が液状で詰められている部分である冷媒貯留空間と、冷媒700が気体の状態で存在するか、あるいは、冷媒700が存在しない部分である空き空間S1と、が共存することができる。
【0053】
すなわち、冷媒700の体積を中空部Cの容積よりも小さくして、中空部Cの内部に空き空間S1を形成することにより、冷媒700が気化可能な余裕空間を確保することができる。すなわち、中空部Cの下部において熱を吸収して気化された冷媒700は、空き空間S1に流れ込んでもよい。
【0054】
このとき、空き空間S1とは、いかなるものも存在しない空間を意味するわけではなく、液状の冷媒700が存在しない空間を意味する。すなわち、空き空間S1は、空気などの各種の気体が存在する空間であってもよい。中空部Cの内部の空き空間S1は、大気圧よりも高圧であってもよい。あるいは、中空部Cの内部の空き空間S1は、大気圧よりも低圧であってもよい。空き空間S1の圧力に応じて、冷媒700の蒸発温度が定められてもよい。
【0055】
例えば、中空部Cの内部の空き空間S1は、大気圧よりも低圧であってもよい。このとき、中空部Cに収容される冷媒700の蒸発温度は、空き空間S1が大気圧であるときよりも所定の温度だけ低くてもよい。このため、空き空間S1を大気圧よりも低圧にして、冷媒700の蒸発温度を下げることができ、バッテリーセルの温度が上がることにつれて、中空部Cの内部において冷媒700をなお一層円滑に気化させることにより、単位バッテリーセル40をなお一層円滑に冷却させることができる。バッテリーセルが正常の温度に冷却される場合、気化された冷媒は再び液状に戻って中空部の内部に残留する。
【0056】
一方、中空部Cの内部の空き空間S1を大気圧よりも高くすれば、空き空間S1が大気圧であるときよりも冷媒700の蒸発温度が高くなることがある。すなわち、冷媒700の蒸発温度が常温よりは高いものの、単位バッテリーセル40の発熱温度よりも低いときに、空き空間S1の圧力を大気圧よりも高くして、冷媒700の蒸発温度を単位バッテリーセル40の発熱温度の近くに合わせることができる。したがって、単位バッテリーセル40の発熱温度の近くにおいて冷媒700の気化が盛んに行われることが可能になり、単位バッテリーセル40を冷却させる効率を高めることができる。
【0057】
このように、バッテリーセルの発熱温度の範囲に応じて、中空部Cの内部の圧力を調節することにより、冷媒の気化温度を調節することができる。冷媒の気化温度は、冷媒それ自体の特性及び中空部の圧力に応じて調節可能である。
【0058】
ここで、上述した単位バッテリーセル40の発熱温度は、単位バッテリーセル40の正常的な作動温度範囲よりも大きく、単位バッテリーセル40が熱化により損なわれる所定の温度範囲よりも小さな温度区間内において選択される所定の温度であってもよい。
【0059】
冷媒700は、筒体610の底板から熱を伝えられて液状から気相へと相変化をしてもよく、相変化に用いられる所定の熱に見合う分だけ筒体610の底板を放熱してもよい。気相の冷媒700は、筒体610の天板と接触されてもよく、筒体610の天板に熱を放熱しながら液化されてもよい。筒体610の天板に収容される熱は、筒体610の外部に放熱されてもよい。一方、筒体610の天板と側板との間には、断熱リングが設けられてもよい。冷媒700の種類は、様々であってもよい。冷媒700は、単位バッテリーセル40が発熱する温度において簡単に相変化可能な様々な揮発性の物質を含んでいてもよい。いうまでもなく、冷媒700として水が用いられてもよい。
【0060】
1.6.バッテリーセルの冷却装置の作動
【0061】
上述したところによれば、バッテリーセルの冷却装置は、単位バッテリーセル40に一対一にて組み立てられて単位バッテリーセル40をそれぞれ別々に冷却させてもよい。すなわち、単位バッテリーセル40の内部において生じた熱は電池缶に伝導され、電池缶の上側の端部から熱伝導材料500を介してボディ部600に放熱されてもよい。
【0062】
ボディ部600に放熱された熱は、冷媒700を液状から気相へと気化させ、このとき、気化に用いられる熱に見合う分だけボディ部600の底板が冷却されてもよい。気化された液状の冷媒700は、空き空間S1に乗って上昇してボディ部600の天板と接触して熱を失って液化されてもよい。ボディ部600の天板から伝えられた熱は、ボディ部600の外部の大気中に放熱されてもよい。
【0063】
このように、本発明の実施形態によれば、熱伝導材料500を介してバッテリーセルの熱をボディ部600に伝えつつ、ボディ部600の内部の中空部Cに孤立されている冷媒700を相変化させてボディ部600の底板から天板への熱的移動を成し遂げることができる。このことにより、例えば、ポンプなどの冷媒循環用の動力機構を用いなくても、バッテリーセルの冷却を円滑に行うことができ、冷却装置の構成を単純化させることができる。
【0064】
2.本発明の実施形態に係るバッテリーパック
【0065】
図3は、本発明の実施形態に係るバッテリーパックの断面図である。
【0066】
以下、
図1から
図3に基づいて、本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却装置を備えるバッテリーパックについて説明する。
【0067】
このとき、本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却装置の上述した説明と重なる内容は、以下において省略したり簡単に説明したりする。
【0068】
本発明の実施形態に係るバッテリーパックは、複数のバッテリーセル40と、複数のバッテリーセル40が収容されるハウジング10と、バッテリーセル40をそれぞれ別々に冷却可能なように複数のバッテリーセル40と一対一にて対応して組み立てられる複数のバッテリーセルの冷却装置500、600、700、Cと、を備えてなる。
【0069】
また、バッテリーパックは、ハウジング10に結合されるカバー20及びハウジング10の内部に配置され、バッテリーセル40を固定するトレイ30をさらに備えていてもよい。
【0070】
2.1.複数のバッテリーセル40
【0071】
複数のバッテリーセル40は、円筒状の缶型二次電池であってもよい。いうまでもなく、複数のバッテリーセル40は、角型の缶型二次電池であってもよい。複数のバッテリーセル40は、上下方向と交わる水平方向に並べられてもよい。複数のバッテリーセル40は、電極端子が下を向くように配置されてもよい。複数のバッテリーセル40は、バスバー(図示せず)により電気的に接続されてもよい。
【0072】
2.2.ハウジング10
【0073】
ハウジング10は、所定の面積の底面部と、底面部の周縁から上方に向かって所定の高さだけ延設される側壁部と、を備えていてもよい。ハウジング10は、上部が開かれた四角筒の形状であってもよい。いうまでもなく、ハウジング10の形状は、様々であってもよい。
【0074】
2.3.カバー20
【0075】
カバー20は、ハウジング10の側壁の上端に装着できるようにする所定の面積にて延設されてもよい。カバー20がハウジング10に結合されることにより、カバー20とハウジング10との間に複数のバッテリーセル40を収容可能な内部空間が形成されることが可能になる。このとき、内部空間は、必ずしも密閉された空間のみを意味するとは限らない。すなわち、必要に応じて、内部空間の一部が大気中に開かれてもよいということはいうまでもない。内部空間には、複数のバッテリーセル40が収容されてもよい。
【0076】
このようなカバー20は、四角い板の形状であってもよい。いうまでもなく、ハウジング10の形状に応じて、カバー20の形状もまた異なってきてもよい。例えば、ハウジング10が円筒の形状であれば、カバー20は、円板の形状であってもよい。
【0077】
2.4.トレイ30
【0078】
トレイ30は、ハウジング10の底面部に載置されてもよい。トレイ30は、複数のバッテリーセル40の下側の端部の外周面を支持してもよい。すなわち、トレイ30を上下方向に貫通するように複数の孔が形成されてもよく、複数の孔に複数のバッテリーセル40がそれぞれ嵌入して支持されてもよい。このとき、複数のバッテリーセル40のそれぞれを単位バッテリーセル40と称してもよい。トレイ30の上面または下面には、所定のパターンにバスバーが配備されてもよく、バスバーは、複数のバッテリーセル40同士を互いにつなぎ合わせてもよい。バスバーは、ハウジング10に配備された所定の入出力端子(図示せず)と接続されてもよい。
【0079】
2.5.バッテリーセルの冷却装置500、600、700、C
【0080】
バッテリーセルの冷却装置は、空冷式により冷却可能なようにハウジング10の内部に配置され、ハウジング10の内部面から離れていてもよい。
【0081】
バッテリーセルの冷却装置は、一面がバッテリーセル40と接触され、一面と対向する他面がハウジング10の内部空間S2に晒されるボディ部600と、ボディ部600の内部に形成され、ハウジング10の内部空間S2から隔離される中空部Cと、中空部Cに収容されて孤立される冷媒700と、を備えていてもよい。
【0082】
ボディ部600は、バッテリーセル40の上側の端部を包み込みながら着脱自在に結合可能なように一方の側が突設されてもよい。冷媒700は、ボディ部600の内部に配備されている中空部Cに収容されてもよい。このとき、冷媒700は、中空部Cの一部を満たすように充填され、中空部Cの残りは、空き空間S1として存在してもよい。ここで、空き空間S1は、液状の冷媒700が存在しない空間であって、所定のガスにより満たされてもよい。いうまでもなく、必要に応じて、空き空間S1が真空引きされていてもよい。
【0083】
バッテリーセルの冷却装置は、ボディ部600とバッテリーセル40との間に配備される熱伝導材料500をさらに備えていてもよい。熱伝導材料500は、バッテリーセル40の上面と接触されるようにボディ部600の下面に取り付けられてもよい。また、バッテリーセルの冷却装置は、ボディ部600の表面積を増やすようにボディ部600の表面に突設される放熱フィン(図示せず)をさらに備えていてもよい。これらの他にも、種々の方式によりボディ部600の表面積を増やすことができる。例えば、ボディ部600の表面に蛇腹構造を形成して表面積を増やしてもよい。
【0084】
一方、バッテリーセルの冷却装置の構成の詳細は、叙上の通りであるため、以下では、説明の重複を避けるためにその説明を省略する。
【0085】
複数のバッテリーセルの冷却装置は、それぞれの位置に応じて冷却容量が異なっていてもよい。具体的に、外郭側のバッテリーセルに組み立てられたバッテリーセルの冷却装置は、内側のバッテリーセルに組み立てられたバッテリーセルの冷却装置よりも表面積及び貯留された冷媒量のうちの少なくともどちらか一方が小さくてもよい。
【0086】
例えば、複数のバッテリーセル40は、バッテリーパックのハウジング10の内部に密集しているため、相互が邪魔物として働いて熱が溜まりやすい。特に、複数のバッテリーセル40は、所定の行と所定の列をなして配置されるが、中でも、外郭側に位置するバッテリーセルよりも内側に位置するバッテリーセルの方が、熱の放出に相対的に不利であるため、温度がさらに高いことがある。
【0087】
したがって、外郭側のバッテリーセルに組み立てられるバッテリーセルの冷却装置のボディ部600を、例えば、上下方向に短くし、内側のバッテリーセルに組み立てられるバッテリーセルの冷却装置のボディ部600を、例えば、上下方向に相対的に長くして、これらの間に表面積の差分を与えることができ、このため、内側のバッテリーセルがより早く冷却されるようにして、全体のバッテリーセルの視点からみると、水平方向にバッテリーセルが一様に冷却されるという効果を奏することができる。
【0088】
これと同様に、外郭側のバッテリーセルに組み立てられるバッテリーセルの冷却装置のボディ部600に相対的に冷媒700を少なめに貯留し、内側のバッテリーセルに組み立てられるバッテリーセルの冷却装置のボディ部600に相対的に冷媒700を多めに貯留することにより、これらの間に冷媒量の差分を与えることにより、内側のバッテリーセルが外郭側のバッテリーセルよりも早く冷却されるようにして、水平方向に複数のバッテリーセルを一様に冷却させることができる。
【0089】
すなわち、大きさを異ならせたり、冷媒量を異ならせたりするという簡単な方式によりハウジングの内部のバッテリーセルの熱の分布を所望の通りに簡単に調節することができる。
【0090】
3.本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法
【0091】
図4は、本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法における熱の放熱の流れを示す概念図である。
【0092】
図1から
図4に基づいて、本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法について詳しく説明する。このとき、上述した内容と重複する説明は省略する。
【0093】
本発明の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法は、バッテリーセル個別冷却ステップ(S100)と、バッテリーセル全体冷却ステップ(S200)と、を含んでなる。
【0094】
3.1.バッテリーセル個別冷却ステップ(S100)
【0095】
バッテリーセル個別冷却ステップ(S100)は、複数のバッテリーセル40と一対一にて対応するように接続された複数のバッテリーセルの冷却装置を用いて、複数のバッテリーセル40のそれぞれから熱を吸収して複数のバッテリーセルの冷却装置のそれぞれに収容された冷媒700に放熱するステップである。
【0096】
ここで、バッテリーセルの内部において生成された熱は、電池缶を経て熱伝導材料500に伝えられ、冷却装置の下面、例えば、ボディ部600の下面を介して液状の冷媒Lに伝えられる。このため、液状の冷媒Lは、気相の冷媒Vに相変化をし、冷却装置の上面、例えば、ボディ部600の上面に排出される。
【0097】
このように、バッテリーセル個別冷却ステップにおいては、複数のバッテリーセルの冷却装置のそれぞれに収容された冷媒を複数のバッテリーセルの冷却装置のそれぞれの内部に孤立させた状態で気化させる方式により熱を冷媒に吸収させることができる。
【0098】
3.2.バッテリーセル全体冷却ステップ(S200)
【0099】
バッテリーセル全体冷却ステップ(S200)は、複数のバッテリーセル40が収容されるハウジング10の内部に複数のバッテリーセルの冷却装置が吸収した熱をすべて放熱するステップである。
【0100】
すなわち、気相の冷媒Vに相変化をし、冷却装置の上面、例えば、ボディ部600の上面に排出された熱をハウジング10の内部空間S2に排出してもよい。
【0101】
さらに、ハウジング10の内部に放熱された熱をハウジング10の外部に排出してもよい。このとき、その方式は、様々であってもよい。
【0102】
例えば、カバー20を介してハウジング10の内部から外部へと熱を放熱してもよい。あるいは、ハウジング10及びカバー20のうちの少なくともどちらか一方に配備される換気口(図示せず)を介して熱気を外部に放出してもよい。いうまでもなく、ハウジング10の内部の熱気を外部に排出しなくても、ハウジング10の内部空間S2に存在する気体が収容可能な所定の温度に見合う分だけ、ボディ部600の上面に排出された熱をハウジング10の内部空間S2が収容してもよい。このとき、熱を収容する度合いは、バッテリーセルとハウジング10の内部空間S2との温度差と、ハウジング10の内部空間S2に収容される気体の種類と、に応じて定められてもよい。
【0103】
4.本発明の他の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法
【0104】
本発明の他の実施形態に係るバッテリーセルの冷却方法は、冷却装置構成ステップと、バッテリーセル冷却ステップと、を含んでなる。
【0105】
4.1.冷却装置構成ステップ
【0106】
冷却装置構成ステップは、バッテリーセル40の一方の端部と冷媒700を保持する中空部Cを有するバッテリーセルの冷却装置との間に熱伝導材料500を介在させてバッテリーセルの冷却装置をバッテリーセル40と接触させるステップである。すなわち、バッテリーセル40の上側の端部に熱伝導材料500付きバッテリーセルの冷却装置を接触させ、熱伝導材料500を介してバッテリーセルの冷却装置のボディ部600とその内部の冷媒700をバッテリーセル40と接触させてもよい。
【0107】
4.2.バッテリーセル冷却ステップ
【0108】
バッテリーセル冷却ステップは、バッテリーセル40の発熱を冷媒700の温度または冷媒700の気化熱を用いて冷却させるステップである。
【0109】
4.2.1.冷媒700の温度を用いたバッテリーセル冷却ステップ
【0110】
冷媒700の温度を用いたバッテリーセル冷却ステップは、空冷式の筒体を用いた冷却ステップである。ボディ部600の筒体610をバッテリーパックのハウジング10の内部において空冷式にて冷却させることにより、筒体610及びその内部の冷媒700の温度を保ち、発熱する単位バッテリーセル40と温度を保っている冷媒700とを熱接触させることにより、熱を単位バッテリーセル40から冷媒700へと移動させることができ、冷媒700の保たれた温度に単位バッテリーセル40の発熱する温度を下げることができる。
【0111】
4.2.2.冷媒700の気化熱を用いたバッテリーセル冷却ステップ
【0112】
冷媒700の気化熱を用いたバッテリーセル冷却ステップにおいては、発熱する単位バッテリーセル40と温度を保っている液状の冷媒700とを熱接触させたとき、液状の冷媒700を気化させて、気相の冷媒700が吸収する気化熱を用いて単位バッテリーセル40を冷却させてもよい。このとき、気化された冷媒700は、筒体610の天板と熱接触をして所定の熱を筒体610の天板を介してバッテリーパック内に排出し、液状に戻って中空部Cの下部に再び収容されてもよい。
【0113】
本発明の前記実施形態は本発明の説明のためのものであり、本発明の制限のためのものではない。本発明の前記実施形態に開示されている構成と方式は、互いに結合したり交差したりして種々の形態に変形される筈であり、これらの変形例もまた、本発明の範囲に収まるものとみなせるということに留意すべきである。すなわち、本発明は、請求範囲及びこれと均等な技術的思想の範囲内において互いに異なる種々の形態に具体化される筈であり、本発明が該当する技術分野における業者は、本発明の技術的思想の範囲内において種々の実施形態が可能であるということが理解できる筈である。
【符号の説明】
【0114】
10:ハウジング
20:カバー
30:トレイ
40:バッテリーセル
500:熱伝導材料
600:ボディ部
610:筒体
620:ホルダー
700:冷媒
C:中空部
S1:空き空間
S2:内部空間