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特許7520207大気圧センサーを用いた高度に応じたバッテリー診断システム及び方法
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  • 特許-大気圧センサーを用いた高度に応じたバッテリー診断システム及び方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】大気圧センサーを用いた高度に応じたバッテリー診断システム及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 31/367 20190101AFI20240712BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240712BHJP
   H01M 10/48 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
G01R31/367
H02J7/00 Y
H01M10/48 P
H01M10/48 301
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023501855
(86)(22)【出願日】2021-11-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-07
(86)【国際出願番号】 KR2021016083
(87)【国際公開番号】W WO2022098181
(87)【国際公開日】2022-05-12
【審査請求日】2023-01-12
(31)【優先権主張番号】10-2020-0148733
(32)【優先日】2020-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ドゥ・ジン・パク
【審査官】永井 皓喜
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-98032(JP,A)
【文献】特開2007-185074(JP,A)
【文献】特開2020-88993(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0249053(US,A1)
【文献】特開2014-11156(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/367
H02J 7/00
H01M 10/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
高度に応じた軽電気車両(LEV)のバッテリーパックの状態を診断するシステムであって、
直列及び/又は並列に接続された二つ以上のバッテリーセルを有するバッテリーパックと、
前記バッテリーパックの所定の位置に取り付けられて、一定の周期で外部の大気圧状態を測定する大気圧センサーと、
前記大気圧センサーから入力される大気圧測定値を用いて、高度情報を算出する高度情報算出部と、
高度が高くなるにつれて診断レベルが上がる診断レベル情報を含むルックアップテーブルを格納する第1の格納部と、
各診断レベルごとに対応して前記バッテリーパックの過充電と過放電と過電流のうちの一つ以上の状態を診断する基準データを含む所定の診断基準範囲データを格納する第2の格納部と、
前記第1の格納部に格納されたルックアップテーブルから、前記高度情報算出部において算出された現在の高度値に対応する診断レベルを取り出す診断レベル取出部と、
前記第2の格納部に格納された診断基準範囲データのうち、前記診断レベル取出部において取り出された診断レベルに対応する所定の診断基準範囲データを適用して現在のバッテリーパックの過充電と過放電と過電流のうちの一つ以上の状態を診断する診断部と、
を備えるバッテリーパック状態の診断システム。
【請求項2】
一定の周期で前記バッテリーパックの電圧、電流及び温度の状態を測定するパック状態情報測定部をさらに備え、
前記診断部は、前記診断レベル取出部において取り出された診断レベルに対応する診断基準範囲データに基づいて、前記パック状態情報測定部において測定される電圧、電流及び温度の値を用いて現在のバッテリーパックの状態を診断することを特徴とする請求項1に記載のバッテリーパック状態の診断システム。
【請求項3】
前記第2の格納部に格納された診断基準範囲データは、各診断レベルに応じて差等をつけて設定されることを特徴とする請求項1または2に記載のバッテリーパック状態の診断システム。
【請求項4】
高度に応じた軽電気車両(LEV)のバッテリーパックの状態を診断する方法であって、
バッテリーパックの所定の位置に取り付けられた大気圧センサーにおいて、一定の周期で大気圧状態を測定する大気圧状態測定ステップと、
前記大気圧状態測定ステップにおいて測定された大気圧測定値を用いて高度値を算出する高度値算出ステップと、
予め用意された高度が高くなるにつれて診断レベルが上がる診断レベルを含むルックアップテーブルから前記高度値算出ステップにおいて算出された高度値に対応する診断レベルを取り出す診断レベル取出ステップと、
予め用意された各診断レベルごとに対応して前記バッテリーパックの過充電と過放電と過電流のうちの一つ以上の状態を診断する基準データを含む所定の診断基準範囲データのうち、前記診断レベル取出ステップにおいて取り出された診断レベルに相当する診断基準範囲データに基づいて現在のバッテリーパックの過充電と過放電と過電流のうちの一つ以上の状態を診断するパック状態診断ステップと、
を含むバッテリーパック状態の診断方法。
【請求項5】
一定の周期でバッテリーパックの電圧、電流及び温度の状態をそれぞれ測定するパック状態情報測定ステップをさらに含み、
前記パック状態診断ステップは、前記診断レベル取出ステップにおいて取り出された診断レベルに相当する診断基準範囲データを基に、前記パック状態情報測定ステップにおいて測定される電圧、電流及び温度の値を用いて現在のバッテリーパックの状態を診断することを特徴とする請求項に記載のバッテリーパック状態の診断方法。
【請求項6】
前記診断基準範囲データは、各診断レベルに応じて差等をつけて設定されることを特徴とする請求項またはに記載のバッテリーパック状態の診断方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大気圧センサーを用いた高度に応じたバッテリー診断システム及び方法に係り、さらに詳しくは、大気圧センサーを通じて測定される高度に応じたアルゴリズムを適用してバッテリーの状態を診断するシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電気スクーターまたは電気自転車などの近距離移動に利用可能な軽電気車両(LEV:Light Electric Vehicle)には、電気モーターに電力を供給する充電可能な電源装置であるバッテリーパック及び前記バッテリーパックの作動状態をモニタリングしかつ制御する管理システムであるバッテリー管理システム(BMS:Battery Management System)が搭載される。
【0003】
一般に、軽電気車両(LEV:Light Electric Vehicle)のバッテリー管理システム(BMS)は、一定の単一診断アルゴリズムに基づいて、バッテリーパックの測定電圧、電流、温度の値を用いてバッテリーパックの過充電、過放電、過電流などといった状態を診断する。
【0004】
軽電気車両(LEV:Light Electric Vehicle)は、電気自動車とは異なり、標高が高い地帯や狭くて勾配の急な小道などといった地理的特性を有する地域においても運転し易いというメリットを有していることから、高地において多用されている。
【0005】
一方、大気の圧力により高さに応じた重力の影響が異なるため、高さに応じて大気圧は異なるように現れる。これにより、高い高度においてLEVを運転する場合、その内部に取り付けられたバッテリーパックは、高度の上昇に伴う大気圧の変化により急激な放電現象が生じたり膨らんだりするなどといったバッテリー特性の変化が起きてしまう。
【0006】
しかしながら、既存の軽電気車両(LEV)のバッテリー管理システム(BMS)は、一定の単一診断アルゴリズムに基づいてバッテリーパックの状態を診断するが故に、高度に応じて異なってくるバッテリー特性を全く反映することができず、その結果、バッテリーパックの状態に正確に対応することができないという不都合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】韓国登録特許第2092324号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述した不都合を解決するために案出されたものであり、高度に応じたバッテリー特性の変化を考慮してバッテリーパックの状態を診断することのできる診断システム及び方法を提供することをその目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る高度に応じたバッテリーパックの状態を診断するシステムは、直列および/または並列に接続された二つ以上のバッテリーセルを有するバッテリーパックと、前記バッテリーパックの所定の位置に取り付けられて、一定の周期で外部の大気圧状態を測定する大気圧センサーと、前記大気圧センサーから入力される大気圧測定値を用いて、高度情報を算出する高度情報算出部と、各大気圧区間に対応する診断レベル情報を含むルックアップテーブルを格納する第1の格納部と、各診断レベルごとに対応する所定の診断基準範囲データを格納する第2の格納部と、前記第1の格納部に格納されたルックアップテーブルから、前記高度情報算出部において算出された現在の高度値に対応する診断レベルを取り出す診断レベル取出部と、前記第2の格納部に格納された診断基準範囲データのうち、前記診断レベル取出部において取り出された診断レベルに対応する所定の診断基準範囲データを適用して現在のバッテリーパックの状態を診断する診断部と、を備えてなる。
【0010】
一方、システムは、一定の周期で前記バッテリーパックの電圧、電流及び温度の状態を測定するパック状態情報測定部をさらに備えてなり、前記診断部は、前記診断レベル取出部において取り出された診断レベルに対応する診断基準範囲データに基づいて、前記パック状態情報測定部において測定される電圧、電流及び温度の値を用いて現在のバッテリーパックの状態を診断することを特徴とする。
【0011】
ここで、前記バッテリーパックの状態は、過充電、過放電、過電流のうちの少なくともいずれか一つを含んでなることを特徴とする。
【0012】
一方、前記第2の格納部に格納された診断基準範囲データは、各診断レベルに応じて差等をつけて設定されることを特徴とする。
【0013】
ここで、前記診断基準範囲データは、前記バッテリーパックの過充電、過放電、過電流のうち一つ以上の状態を診断する基準データを含むことを特徴とする。
【0014】
本発明に係る高度に応じたバッテリーパックの状態を診断する方法は、バッテリーパックの所定の位置に取り付けられた大気圧センサーにおいて、一定の周期で大気圧状態を測定する大気圧状態測定ステップと、前記大気圧状態測定ステップにおいて測定された大気圧測定値を用いて高度値を算出する高度値算出ステップと、予め用意された各高度区間に対応する診断レベルを含むルックアップテーブルから前記高度値算出ステップにおいて算出された高度値に対応する診断レベルを取り出す診断レベル取出ステップと、予め用意された各診断レベルごとに対応する所定の診断基準範囲データのうち、前記診断レベル取出ステップにおいて取り出された診断レベルに相当する診断基準範囲データに基づいて現在のバッテリーパックの状態を診断するパック状態診断ステップと、を含んでなる。
【0015】
一方、方法は、一定の周期でバッテリーパックの電圧、電流及び温度の状態をそれぞれ測定するパック状態情報測定ステップをさらに含んでなり、前記パック状態診断ステップは、前記診断レベル取出ステップにおいて取り出された診断レベルに相当する診断基準範囲データを基に、前記パック状態情報測定ステップにおいて測定される電圧、電流及び温度の値を用いて現在のバッテリーパックの状態を診断するものであることを特徴とする。
【0016】
ここで、前記診断基準範囲データは、各診断レベルに応じて差等をつけて設定されることを特徴とする。
【0017】
一方、前記バッテリーパックの状態は、過充電、過放電、過電流のうちの一つ以上を含んでなることを特徴とする。
【0018】
一方、前記診断基準範囲データは、バッテリーパックの過充電、過放電、過電流のうちの一つ以上の状態を診断する基準データを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、高度に応じて診断レベル/アルゴリズムに差等をつけて設定し、現在の高度値に対応する診断レベル/アルゴリズムを適用してバッテリーパックの状態を診断する。
【0020】
したがって、高度に応じて異なってくるバッテリー特性に効果的に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明に係るバッテリー診断システムの構成を示す図である。
図2】高度‐診断レベルのルックアップテーブルの例を示す図である。
図3】本発明に係るバッテリー診断方法の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、添付図面に基づいて、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者が容易に実施できるように本発明の実施形態について詳しく説明する。しかしながら、本発明は、種々の異なる形態に具体化可能であり、ここで説明する実施形態に何ら限定されるものではない。なお、図中、本発明を明確に説明するために、説明とは無関係な部分は省略し、明細書の全般に亘って、類似の部分には類似の図面符号を付している。
【0023】
以下、添付図面に基づいて、本発明について詳しく説明する。
【0024】
1.本発明に係るバッテリー診断システム
【0025】
図1は、本発明に係る大気圧センサーを用いた高度に応じたバッテリー診断システムの構成を概略的に示す図である。図1を参照すると、本発明に係るバッテリー診断システムは、バッテリーパック100と、大気圧センサー200と、パック状態情報測定部300と、高度情報算出部400と、第1の格納部500と、第2の格納部600と、診断レベル取出部700と、診断部800を備えてなる。
【0026】
1.1.バッテリーパック100
【0027】
バッテリーパックは、電気エネルギーを蓄えて提供する。前記バッテリーパックは、充電及び放電可能な複数のバッテリーセル(図示せず)を備えていてもよい。また、前記バッテリーパックは、所定の数のバッテリーセル(図示せず)がバッテリーモジュールをなしてもよい。すなわち、バッテリーパックは、少なくとも一つのバッテリーモジュールを備えていてもよく、バッテリーモジュールは、複数のバッテリーセル(図示せず)を備えていてもよい。本発明におけるバッテリーパックは、例えば、電気スクーターまたは電気自転車などといったように近距離移動に利用可能な電気二輪車に取り付けられてその運転のために駆動される電気モーターに電力を供給する電源装置としての軽電気車両(LEV:Light Electric Vehicle)用のバッテリーパックであってもよい。
【0028】
1.2.大気圧センサー(Barometric pressure sensor)200
【0029】
大気圧センサーは、バッテリーパック100の所定の位置に取り付けられて一定の周期で外部の大気圧状態を測定する。
【0030】
大気の圧力により高さに応じた重力の影響が異なるため、高さに応じて大気圧は異なるように現れる。特定の国は、高度が非常に高い地帯が多数存在するが、このような環境下において軽電気車両(LEV:Light Electric Vehicle)を運転する場合、その内部に取り付けられたバッテリーパックは、高度の上昇に伴う大気圧の変化により急激な放電現象が生じたり膨らんだりするなどといったバッテリー特性の変化が起きてしまう。
【0031】
このため、本発明においては、高度に応じて変化するバッテリーパックの状態を精度よくモニタリングしかつ診断するために、バッテリーパックに大気圧センサーを取り付けるのである。
【0032】
1.3.パック状態情報測定部300
【0033】
パック状態情報測定部は、一定の周期でバッテリーパック100の電圧、電流及び温度の状態を測定する構成要素である。パック状態情報測定部は、電圧測定部、電流測定部、温度測定部(以下、図示せず)を備えていてもよく、様々な公知の技術を用いて電圧、電流及び温度の状態をそれぞれ測定することができる。
【0034】
1.4.高度情報算出部400
【0035】
高度情報算出部は、前記大気圧センサー200から入力される大気圧測定値を用いて高度情報を算出する構成要素である。
【0036】
高度情報を算出する方式としては、例えば、後述する第1の格納部500及び第2の格納部600のうちのどちらか一方に各大気圧の値に対応する高度値を含むルックアップテーブルを予め用意して、前記ルックアップテーブルから現在の大気圧値に対応する高度値を取り出す方式を用いることができる。他の例の方式としては、大気圧センサーから入力された大気圧力をアナログ電圧に変換した信号を用いて気圧の高度を計算する方式を用いることもできる。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、バッテリーパック100に取り付けられた大気圧センサー200からの測定値に対応する現在の高度情報を算出可能な種々の公知の技術を用いることができる。
【0037】
1.5.第1の格納部500
【0038】
第1の格納部は、各大気圧区間に対応する診断レベル情報を含むデータをルックアップテーブルの形で格納する。例えば、図2に示すようなルックアップテーブルであって、高度が高くなれば高くなるほど診断レベルが上昇する形態に設定されてもよい。
【0039】
1.6.第2の格納部600
【0040】
第2の格納部は、各診断レベルごとにそれに対応する所定の診断基準範囲データを格納する。ここで、診断基準範囲データは、バッテリーパックの過充電、過放電、過電流などの状態を診断する診断基準データであって、バッテリーパックの電圧、電流及び温度のそれぞれの診断基準値を含む。このような診断基準範囲データは、診断レベルに応じて差等をつけて設定される。
【0041】
例えば、高い高度では低い高度や平地に比べて過電圧または過電流の診断の基準範囲を下向きに調節して設定するといったような形態で、高度に応じて診断基準範囲データを段階的に差等をつけて設定するのである。
【0042】
1.7.診断レベル取出部700
【0043】
診断レベル取出部は、前記第1の格納部500に格納されたルックアップテーブルを基に、前記高度情報算出部400において算出された高度値に対応する診断レベルを取り出す構成要素である。
【0044】
より具体的に、前記第1の格納部500に格納されたルックアップテーブルから前記高度情報算出部400において算出された高度値が属する高度区間を検出し、検出された高度区間に対応する診断レベルを取り出す。
【0045】
例えば、図2を参照すると、現在の高度値が720メートルである場合、それに対応する診断レベルは「LV2」として取り出されるのである。
【0046】
1.8.診断部800
【0047】
診断部は、前記第2の格納部600から前記診断レベル取出部700において取り出された現在の高度値に相当する診断レベルに対応する所定の診断基準範囲データを取り出して、取り出された診断基準範囲データを基に、前記パック状態情報測定部300において測定される電圧、電流及び温度の値を用いて現在のバッテリーパックの状態を診断することができる。
【0048】
上述したように、高度に応じた影響によりバッテリーパックの特性に変化が起きるため、このような変化を考慮してバッテリーパックの状態を診断するために、高度に応じてバッテリーパックの状態を診断する診断基準範囲データに差等をつけ、現在の高度に対応する診断レベルに相当する診断基準範囲データを適用してバッテリーパックの状態を診断しようとするのである。
【0049】
このように、バッテリーパックの過充電、過放電、過電流などの状態を診断する診断基準範囲データを高度に応じて差等をつけて設定した後、現在のバッテリーパックが位置する高度に対応する診断基準範囲データを適用してバッテリーパックの状態を診断するようにすることにより、高度に応じて変化するバッテリー特性を考慮してバッテリーパックの状態をさらに精度よくモニタリングすることができる。
【0050】
一方、上述したパック状態情報測定部300、高度情報算出部400、第1の格納部500、第2の格納部600、診断レベル取出部700及び診断部800は、バッテリー管理システム(BMS)内に実現されてもよい。
【0051】
2.本発明に係るバッテリー診断方法
【0052】
図3は、本発明に係る大気圧センサーを用いた高度に応じたバッテリー診断方法の手順を示す図である。図3を参照すると、本発明のバッテリー診断方法は、下記のように構成されてもよい。
【0053】
2.1.大気圧状態測定ステップ(S100)
【0054】
大気圧状態測定ステップは、一定の周期でバッテリーパック外部の大気圧状態を測定するステップである。このようなステップは、バッテリーパック100の所定の位置に取り付けられた大気圧センサー200により行われる。
【0055】
2.2.パック状態情報測定ステップ(S200)
【0056】
パック状態情報測定ステップは、一定の周期でバッテリーパックの電圧、電流及び温度の状態を測定するステップである。上述したパック状態情報測定部300により公知の方式を用いてバッテリーパックの電圧、電流及び温度の状態をそれぞれ測定することができる。
【0057】
2.3.高度値算出ステップ(S300)
【0058】
高度値算出ステップは、前記大気圧状態測定ステップ(S100)において測定された大気圧測定値を用いて高度値を算出するステップである。これは、前記高度情報算出部400により行われる。
【0059】
高度値を算出する方式においては、例えば、予め用意された各大気圧の値に対応する高度値を含むルックアップテーブルを用いて算出することができる。しかしながら、本発明はこれに何ら限定されるものではなく、現在の大気圧測定値に対応する高度値を算出できる方式であれば、いかなる方式も採用可能である。
【0060】
2.4.診断レベル取出ステップ(S400)
【0061】
診断レベル取出ステップは、前記高度値算出ステップ(S300)において算出された現在の高度値に対応する診断レベルを取り出すステップである。バッテリーパックの状態の診断に際して高度の変化に伴い起きるバッテリーの特性の変化を考慮するために、高度に応じて差等をつけて設定された診断レベル情報を含むルックアップテーブルを用いて現在の高度値に対応する診断レベルを取り出す。このようなステップは、上述した診断レベル取出部700により行われて、現在の高度値に相当する診断レベルを取り出すことができる。
【0062】
2.5.パック状態診断ステップ(S500)
【0063】
パック状態診断ステップは、前記診断レベル取出ステップ(S400)において取り出された診断レベルに相当する所定の診断基準範囲データに基づいて、前記パック状態情報測定ステップ(S200)において測定される電圧、電流及び温度の値を用いて現在のバッテリーパックの状態を診断するステップである。
【0064】
高度に応じた影響によりバッテリーパックの特性に変化が起きるため、このような変化を考慮してバッテリーパックの状態を診断できるように高度に応じてバッテリーパックの状態を診断する診断基準範囲データに差等をつけて設定し、現在の高度に対応する診断レベルに相当する診断基準範囲データに基づいてバッテリーパックの状態を診断するのである。
【0065】
一方、本発明の技術的思想は、前記実施形態に基づいて具体的に説明されているが、前記実施形態はその説明のためのものであり、その限定のためのものではないということに留意されたい。なお、本発明の技術分野における当業者であれば、本発明の技術思想の範囲内において種々の実施形態が実施可能であるということが理解できるものである。
【符号の説明】
【0066】
100:バッテリーパック
200:大気圧センサー
300:パック状態情報測定部
400:高度情報算出部
500:第1の格納部
600:第2の格納部
700:診断レベル取出部
800:診断部
図1
図2
図3