(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】面ファスナーの製造方法及び面ファスナー
(51)【国際特許分類】
A44B 18/00 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
A44B18/00
(21)【出願番号】P 2023563417
(86)(22)【出願日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 JP2021043226
(87)【国際公開番号】W WO2023095251
(87)【国際公開日】2023-06-01
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000006828
【氏名又は名称】YKK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004152
【氏名又は名称】弁理士法人お茶の水内外特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100187193
【氏名又は名称】林 司
(74)【代理人】
【識別番号】100181766
【氏名又は名称】小林 均
(72)【発明者】
【氏名】横山 翔一
(72)【発明者】
【氏名】川野 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】三橋 研人
(72)【発明者】
【氏名】猶原 雅之
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-051226(JP,A)
【文献】特開2020-162940(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A44B 18/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに反対向きに配される第1面及び第2面を備えたベース部(10)と、前記ベース部(10)の前記第1面から突出する複数の係合素子(20)とを有する合成樹脂製の面ファスナー(1)を製造する製造方法であって、
溶融した前記合成樹脂を用いて、仮ベース部(10a)と前記係合素子(20)とを備えたプレファスナー体(40)を成形する成形工程と、
前記成形工程で得られる前記プレファスナー体(40)を搬送しながら加熱する第1加熱ローラー(83)、第2加熱ローラー(84)、及び延伸ローラー(85)の少なくとも3つの回転ローラー(81)を機械方向(MD)に沿って有し、前記延伸ローラー(85)が前記第2加熱ローラー(84)よりも早い回転速度で回転する延伸装置(80)を用いて、前記第2加熱ローラー(84)と前記延伸ローラー(85)との間で前記プレファスナー体(40)を機械方向(MD)に沿って延伸することにより、前記仮ベース部(10a)を前記ベース部(10)に変形させ、前記ベース部(10)と前記係合素子(20)とを備えた前記面ファスナー(1)を得る延伸工程と
を含み、
前記延伸工程は、前記第1加熱ローラー(83)に前記プレファスナー体(40)における前記仮ベース部(10a)の第2面を接触させて前記仮ベース部(10a)を加熱すること、前記第2加熱ローラー(84)に前記プレファスナー体(40)における前記係合素子(20)を接触させて加熱すること、及び、前記第2加熱ローラー(84)の加熱温度を前記第1加熱ローラー(83)の加熱温度よりも低く設定することを含む
ことを特徴とする面ファスナーの製造方法。
【請求項2】
前記成形工程は、
溶融した前記合成樹脂を供給して、前記仮ベース部(10a)と、前記仮ベース部(10a)の第1面から突出する複数の一次素子(31)とを有する一次成形体(30)を成形する一次成形工程と、
前記一次素子(31)の少なくとも一部を押圧して変形させることにより、前記係合素子(20)を有する二次成形体(40)を前記プレファスナー体(40)として成形する二次成形工程と
を含む請求項1記載の面ファスナーの製造方法。
【請求項3】
前記延伸工程は、
前記延伸ローラー(85)の下流側に設けられる緩和ローラー(86)を、前記延伸ローラー(85)よりも遅い回転速度で回転させること、
前記緩和ローラー(86)に前記プレファスナー体(40)における前記係合素子(20)を接触させること、及び、
前記緩和ローラー(86)の加熱温度を、前記合成樹脂の融点より90℃低い温度以下に設定すること
を含む請求項1又は2記載の面ファスナーの製造方法。
【請求項4】
前記延伸工程は、
前記第2加熱ローラー(84)の加熱温度を100℃未満に設定すること、及び、
前記緩和ローラー(86)の加熱温度を80℃以下に設定すること
を含む請求項3記載の面ファスナーの製造方法。
【請求項5】
前記延伸工程は、
前記延伸ローラー(85)の加熱温度を、前記合成樹脂の融点より30℃低い温度以上に設定すること
を含む請求項1又は2記載の面ファスナーの製造方法。
【請求項6】
前記延伸工程は、
前記第2加熱ローラー(84)の加熱温度を、前記合成樹脂の融点より100℃低い温度以上、前記合成樹脂の融点より70℃低い温度以下に設定すること
を含む請求項5記載の面ファスナーの製造方法。
【請求項7】
前記延伸工程は、
前記第2加熱ローラー(84)の加熱温度を、100℃未満の温度で、且つ、前記延伸ローラー(85)の加熱温度よりも40℃低い温度以下に設定すること
を含む請求項5又は6記載の面ファスナーの製造方法。
【請求項8】
互いに反対向きに配される第1面及び第2面を備えたベース部(10)と、前記ベース部(10)の前記第1面から突出する複数の係合素子(20)とを有する合成樹脂製の面ファスナー(1)であって、
前記ベース部(10)の前記第2面は、低位部(12)と、前記低位部(12)に対して前記第1面から離れる方向に膨出する複数の膨出部(13)とを有し、
前記膨出部(13)は、前記第1面に設けた前記係合素子(20)の位置に対応する前記第2面側の位置に配され
、
1つの前記係合素子(20)に対して、1つの前記膨出部(13)が設けられている
ことを特徴とする面ファスナー。
【請求項9】
前記膨出部(13)は、前記ベース部(10)を前記第2面側から見たときに円形を呈する
請求項8記載の面ファスナー。
【請求項10】
前記ベース部(10)の前記低位部(12)における厚さ方向の寸法は、前記ベース部(10)の前記膨出部(13)における厚さ方向の寸法の最大値の65%以上85%以下である
請求項8又は9記載の面ファスナー。
【請求項11】
前記ベース部(10)は、前記ベース部(10)と前記係合素子(20)とが互いに連結する連結領域を有し、
前記ベース部(10)の前記第2面における前記膨出部(13)の形成領域は、前記連結領域を前記ベース部(10)の前記第2面側に対応させて仮想的に配置したときに、前記第2面側の仮想的な前記連結領域が前記膨出部(13)の形成領域内に含まれるように設けられている
請求項8~10の何れかに記載の面ファスナー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、面ファスナーの製造方法、及びその製造方法で製造される面ファスナーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のループを有する雌型の面ファスナー(以下、ループ部材と言う)と、そのループ部材に対して着脱可能な雄型の面ファスナーとが組み合わされて用いられる面ファスナー製品が知られている。雄型の面ファスナーは、例えば、平板状のベース部と、そのベース部から突出するとともにきのこ状等の形態を有する複数の係合素子とを有する。
【0003】
面ファスナーは、現在、多種多様な商品に広く使用されており、例えば使い捨ておむつ、乳幼児のおむつカバー、手足の関節などを保護するサポーター、腰用コルセット(腰痛ベルト)、手袋などのような身体に着脱するような商品にも多く用いられている。また、使い捨ておむつ等に用いられる面ファスナーの一例が、国際公開第2017/109902号(特許文献1)に開示されている。
【0004】
特許文献1に記載されている面ファスナーは、薄板状のベース部と、ベース部から突出する複数の係合素子とを有する。特許文献1の各係合素子は、ベース部から立ち上がるステム部と、ステム部の上端部に一体的に形成される円盤状の係合頭部とをそれぞれ有する。また、係合頭部には、係合頭部の外周縁部から突出する複数の微小な爪部が設けられている。
【0005】
このような特許文献1の面ファスナーでは、係合素子の係合頭部に微小な爪部が設けられていることにより、各係合素子にループ部材のループを引っ掛かり易くすることができ、また、引っ掛かったループを係合素子から外れ難くすることができる。それによって、面ファスナーのループ部材に対する係合強度(剥離強度)を高めることができる。また特許文献1では、係合強度の増大に寄与する爪部が、係合頭部の外周縁部に微小な大きさで形成されているため、爪部が面ファスナーの触り心地に与える影響を小さくできる。従って、高い係合強度を有すると同時に表面の肌触りが良好な面ファスナーを提供することが可能となる。
【0006】
このような特許文献1の面ファスナーを製造する場合、先ず、一次成形工程が行われる。この一次成形工程では、溶融した熱可塑性樹脂を、回転するダイホイールの外周面部に連続的に押し出すことにより、ベース部と、そのベース部上に設けられる複数の一次素子とを有する一次成形体を成形する。
【0007】
続いて、複数の一次素子を有する一次成形体は、二次成形工程を行う加熱押圧装置に向けて搬送される。この二次成形工程では、加熱押圧装置の上下一対のローラー間に一次成形体を導入することにより、上側のローラーによって一次素子の上端部が押圧されて変形するため、一次素子から係合頭部を備えた係合素子を成形できる。この二次成形工程が行われることにより、特許文献1の面ファスナーが製造される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
近年、面ファスナーの製造コストの削減、また、面ファスナーの柔軟性の向上のために、ベース部における上面(第1面)及び下面(第2面)間の厚さを低減することが求められてきている。しかし、上述したダイホイールを用いる一次成形工程において、ダイホイールの外周面上で成形されるベース部の厚さを薄くすることには限界があり、更に薄くすることが要望されている。
【0010】
また、ベース部の厚さを薄くするために、例えば二次成形工程が行われて得られた面ファスナーを延伸装置に送り、その延伸装置で、面ファスナーを加熱しながらベース部を機械方向(搬送方向)に沿って引っ張る一軸延伸加工を行うことが考えられる。しかし、このような一軸延伸加工を行った場合、ベース部を機械方向に容易に延ばすことができるものの、一方で、係合素子のベース部からの高さ寸法と、ベース部の機械方向に直交する直交方向(幅方向)の寸法とを、一軸延伸加工前よりも小さくさせる。
【0011】
係合素子の高さ寸法は、一次成形工程における金型のキャビティ形状および二次成形工程における一次素子の潰し量(押圧による高さ寸法の減少量)で制御されるものであるため、一軸延伸加工後の係合素子の高さ寸法の低下は、可能な限り抑えることが望まれる。また、ベース部の幅方向の寸法が小さくなる場合、生産量の低下、製造コストの増大、材料の原単位の増大等の問題を招く虞がある。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、延伸加工によりベース部を薄く形成することが可能で、且つ、延伸加工に起因して係合素子の高さ寸法が小さくなること及びベース部が幅方向へ収縮することを抑制可能又は防止可能な面ファスナーの製造方法と、その製造方法で製造される面ファスナーとを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明により提供される面ファスナーの製造方法は、互いに反対向きに配される第1面及び第2面を備えたベース部と、前記ベース部の前記第1面から突出する複数の係合素子とを有する合成樹脂製の面ファスナーを製造する製造方法であって、溶融した前記合成樹脂を用いて、仮ベース部と前記係合素子とを備えたプレファスナー体を成形する成形工程と、前記成形工程で得られる前記プレファスナー体を搬送しながら加熱する第1加熱ローラー、第2加熱ローラー、及び延伸ローラーの少なくとも3つの回転ローラーを機械方向に沿って有し、前記延伸ローラーが前記第2加熱ローラーよりも早い回転速度で回転する延伸装置を用いて、前記第2加熱ローラーと前記延伸ローラーとの間で前記プレファスナー体を機械方向に沿って延伸することにより、前記仮ベース部を前記ベース部に変形させ、前記ベース部と前記係合素子とを備えた前記面ファスナーを得る延伸工程とを含み、前記延伸工程は、前記第1加熱ローラーに前記プレファスナー体における前記仮ベース部の第2面を接触させて前記仮ベース部を加熱すること、前記第2加熱ローラーに前記プレファスナー体における前記係合素子を接触させて加熱すること、及び、前記第2加熱ローラーの加熱温度を前記第1加熱ローラーの加熱温度よりも低く設定することを含む製造方法である。
【0014】
本発明に係る製造方法において、前記成形工程は、溶融した前記合成樹脂を供給して、前記仮ベース部と、前記仮ベース部の第1面から突出する複数の一次素子とを有する一次成形体を成形する一次成形工程と、前記一次素子の少なくとも一部を押圧して変形させることにより、前記係合素子を有する二次成形体を前記プレファスナー体として成形する二次成形工程とを含むことが好ましい。
【0015】
本発明の製造方法において、前記延伸工程は、前記延伸ローラーの下流側に設けられる緩和ローラーを、前記延伸ローラーよりも遅い回転速度で回転させること、前記緩和ローラーに前記プレファスナー体における前記係合素子を接触させること、及び、前記緩和ローラーの加熱温度を、前記合成樹脂の融点より90℃低い温度以下に設定することを含むことが好ましい。
この場合、前記延伸工程は、前記第2加熱ローラーの加熱温度を100℃未満に設定すること、及び、前記緩和ローラーの加熱温度を80℃以下に設定することを含むことが好ましい。
【0016】
また、本発明の製造方法において、前記延伸工程は、前記延伸ローラーの加熱温度を、前記合成樹脂の融点より30℃低い温度以上に設定することを含むことが好ましい。
この場合、前記延伸工程は、前記第2加熱ローラーの加熱温度を、前記合成樹脂の融点より100℃低い温度以上、前記合成樹脂の融点より70℃低い温度以下に設定することを含むことが好ましい。
また、前記延伸工程は、前記第2加熱ローラーの加熱温度を、100℃未満の温度で、且つ、前記延伸ローラーの加熱温度よりも40℃低い温度以下に設定することを含むことが好ましい。
【0017】
次に、本発明により提供される面ファスナーは、互いに反対向きに配される第1面及び第2面を備えたベース部と、前記ベース部の前記第1面から突出する複数の係合素子とを有する合成樹脂製の面ファスナーであって、前記ベース部の前記第2面は、低位部と、前記低位部に対して前記第1面から離れる方向に膨出する複数の膨出部とを有し、前記膨出部は、前記第1面に設けた前記係合素子の位置に対応する前記第2面側の位置に配され、1つの前記係合素子に対して、1つの前記膨出部が設けられている面ファスナーである。
【0018】
本発明の面ファスナーにおいて、前記膨出部は、前記ベース部を前記第2面側から見たときに円形を呈することが好ましい。
また、前記ベース部の前記低位部における厚さ方向の寸法は、前記ベース部の前記膨出部における厚さ方向の寸法の最大値の65%以上85%以下であることが好ましい。
【0019】
更に、前記ベース部は、前記ベース部と前記係合素子とが互いに連結する連結領域を有し、前記ベース部の前記第2面における前記膨出部の形成領域は、前記連結領域を前記ベース部の前記第2面側に対応させて仮想的に配置したときに、前記第2面側の仮想的な前記連結領域が前記膨出部の形成領域内に含まれるように設けられていることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、延伸加工によりベース部を薄く形成でき、且つ、延伸加工に起因して係合素子の高さ寸法が小さくなること及びベース部が幅方向へ収縮することを抑制又は防止できる面ファスナーの製造方法と、その製造方法で製造される面ファスナーとを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施例に係る面ファスナーを示す斜視図である。
【
図2】
図1に示した面ファスナーの係合素子を機械方向から見た正面図である。
【
図3】
図1に示した面ファスナーの機械方向に直交する断面を示す断面図である。
【
図4】
図1に示した面ファスナーを製造する製造装置を模式的に説明する模式図である。
【
図5】
図4に示した製造装置の成形装置に配される外側円筒体及び内側円筒体を模式的に示す斜視図である。
【
図6】
図4に示した製造装置の延伸装置を模式的に説明する模式図である。
【
図7】成形装置を用いた一次成形工程で成形される一次成形体を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施の形態について、実施例を挙げて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下で説明する実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明と実質的に同一な構成を有し、かつ、同様な作用効果を奏しさえすれば、多様な変更が可能である。例えば、以下の実施例において、面ファスナーのベース部に配される係合素子の個数、大きさ(太さ及び高さ)、並びに形成密度などは特に限定されるものではなく、変更可能である。
【実施例】
【0023】
本実施例に係る面ファスナーの製造方法によれば、
図1~
図3に示す面ファスナーが製造される。ここで、
図1は、本実施例に係る面ファスナーを示す斜視図である。
図2は、面ファスナーの係合素子を機械方向から見た正面図である。
図3は、面ファスナーの機械方向に直交する断面を示す断面図である。
【0024】
なお、以下の説明において、前後方向は、長尺に成形される面ファスナー、一次成形体、及び二次成形体の長さ方向である。また、前後方向は、面ファスナーの製造工程において面ファスナー、一次成形体、又は二次成形体が搬送される機械方向(M方向又はMD)に沿った方向である。
【0025】
左右方向は、長さ方向に直交し、且つ、面ファスナーにおけるベース部の略平坦な又は平坦な上面(第1面)に沿った幅方向を言う。この場合、左右方向及び幅方向は、機械方向に直交する直交方向(C方向又はCD)に沿った方向である。上下方向は、ベース部の略平坦な又は平坦な上面に直交する方向に沿った高さ方向(又はベース部の厚さ方向)であり、また、前後方向と左右方向とに直交する方向である。この場合、ベース部に対して係合素子が突出する側の向きを上下方向の上側とし、その反対の向きを下側とする。
【0026】
先ず、本実施例の製造方法で製造される面ファスナー1について説明する。
【0027】
面ファスナー1は、熱可塑性樹脂により形成されている。この面ファスナー1は、平面視において、製造装置50の機械方向MDに沿って長く形成されている。なお、本発明において、面ファスナー1を形成する合成樹脂の種類は限定されず、面ファスナー1の材質としては、例えばポリプロピレン、ポリエステル、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、又はそれらの共重合体などの熱可塑性樹脂を採用することができる。例えば、本実施例の面ファスナー1はポリプロピレンにより形成されている。また、面ファスナー1の長さ寸法(前後方向の寸法)及び幅寸法(左右方向の寸法)も特に限定されず、面ファスナー1を切断すること等により変更可能である。
【0028】
本実施例の面ファスナー1は、前後方向に長尺で薄板状のベース部10と、ベース部10の上面から上方に突出する複数の係合素子20とを有する。ベース部10は、
図3に示すように、上面(第1面)と、上面の反対側に配される下面(第2面)とを有する。
【0029】
本実施例におけるベース部10の上面は、上下方向に直交する方向に略平坦な面に形成されている。具体的に説明すると、ベース部10の上面には、前後方向及び左右方向に隣接する係合素子20間に亘って下方に向けて僅かに凹状に湾曲する複数の凹面部11が、ベース部10及び係合素子20に連続して設けられている。このため、ベース部10の上面は、上述した複数の浅い凹面部11の存在によって略平坦な面で形成されている。なお、略平坦な面とは、小さな凹凸を有するものの、平坦面に近い面のことを言う。
【0030】
本実施例において、上面の凹面部11は、ベース部10に後述する延伸加工が施されることにより形成される。各凹面部11において、ベース部10の上面と係合素子20の外周面とは、それらの境界部が明確に判別できないように、互いに滑らかに連続して設けられている。このため、凹面部11は、係合素子20の後述するステム部22の少なくとも一部を含んで形成されている。なお本発明では、延伸加工の加工条件を変更することにより、ベース部10の上面は、下方に窪む凹面部11が形成されずに平坦に形成されていてもよく、又は、本実施例よりも深く窪んだ凹面部が設けられた面に形成されていてもよい。また本実施例において、ベース部10の上面と、係合素子20の外周面との間には、表面形状の違い又は変化により判別可能な境界部が形成されていてもよい。また、凹面部は、ベース部と係合素子との境界部が明確な場合、係合素子の少なくとも一部を含まずに、前後方向又は左右方向に隣接する係合素子の境界部間の領域で凹状に湾曲する部分のみによって形成されていてもよい。
【0031】
ベース部10の下面は、上面に近付いて配される低位部12と、低位部12に対してベース部10の上面から離れる方向(すなわち、下方)に膨らむ複数の膨出部13とを有する。下面の低位部12は、下面の膨出部13を除いた範囲に、途切れることなく連続的に形成されている。また、低位部12と膨出部13は、滑らかに連続している。ベース部10の低位部12は、面ファスナー1の製造工程でベース部10に延伸加工が施されることにより形成されている。また、低位部12は、ベース部10において、前後方向に隣接する係合素子20間の部分と、左右方向に隣接する係合素子20間の部分とを含む範囲に設けられている。
【0032】
このような低位部12がベース部10に設けられていることにより、ベース部10の厚さを薄くでき、それによって、面ファスナー1の柔軟性が向上し、面ファスナー1が軽量化し、及び、生産性の向上と製造コストの削減が図れるといった効果が得られる。更に、低位部12及び膨出部13がベース部10の下面に形成されることによってベース部10の下面に凹凸形状が設けられている。これにより、面ファスナー1の下面を例えば不織布又は生地等の部材に接着剤を用いて固定するときに、面ファスナー1を接着する接着強度を高めることができる。
【0033】
ベース部10の各膨出部13は、ベース部10の下面において、ベース部10の上面に突出する各係合素子20の突出位置に対応して設けられている。ここで、膨出部13は、例えば面ファスナー1の上下方向に平行な断面を見た場合(
図3を参照)、ベース部10の下面に設けられた少なくとも2つの低位部12の平坦部分(又は最も凹んだ底部)を結ぶように仮想的な下面側直線14を延ばしたときに、その下面側直線14よりも下側に円弧状又は略円弧状に膨出する部分を言う。
【0034】
各膨出部13は、面ファスナー1を下方から見た底面視(不図示)において円形を呈する形状を有する。この場合、膨出部13の円形には、真円、略真円、楕円、及び略楕円の形状が含まれる。なお、略真円及び略楕円とは、真円又は楕円に見えるような真円又は楕円に近い形状を意味する。本実施例の場合、各膨出部13は、底面視において、機械方向MDに長い楕円形又は略楕円形に形成されている。
【0035】
ここで、ベース部10の上面側において、例えばベース部10と係合素子20とが互いに連結する部分を連結領域とする。この場合、連結領域は、例えば面ファスナー1の上下方向に平行な断面を示す断面視(
図3を参照)において、係合素子20を間に挟んで配されるベース部10の2箇所の上面の位置(具体的には、凹面部11の底面の位置)を結ぶように仮想的な上面側直線15を延ばしたときに、2箇所の上面に挟まれる上面側直線15の線分の領域を言う。なお、上面側直線15は、上下方向に直交する方向に沿って延ばされることが好ましい。
【0036】
この場合、膨出部13の形成領域は、ベース部10と係合素子20との連結領域をベース部10の下面側に対応させて仮想的に配置したときに、その下面側の仮想的な連結領域が膨出部13の形成領域内に含まれるように設けられている。言い換えると、例えば面ファスナー1の上下方向に平行な断面を見たときに(
図3を参照)、上下方向に直交する方向に関し、ベース部10と係合素子20との連結領域における一端部及び他端部(すなわち、上面側直線15の線分における一端部及び他端部)の位置が、膨出部13における一端部と他端部との間に配置される。なお、膨出部13における一端部及び他端部は、2つの低位部12に挟まれる下面側直線14の線分における一端部及び他端部を意味する。このように膨出部13が設けられることにより、ベース部10が薄く形成されていても、係合素子20の強度を確保し易くすることができる。なお本発明において、面ファスナーは、ベース部及び係合素子間の上述した連結領域が、面ファスナーの断面視から確定できない形状に形成されていてもよい。
【0037】
本実施例において、面ファスナー1の上下方向に平行な断面を見たときに(
図3を参照)、係合素子20のステム部22と係合頭部23との接続位置からステム部22の外周面に沿ってステム仮想線16を下方に向けて延ばしたときに、そのステム仮想線16と上面側直線15との交点17が、膨出部13の形成領域内に含まれている。更に本実施例において、ステム仮想線16と下面側直線14との交点18が、膨出部13の形成領域内に含まれている。面ファスナー1の断面視において、上述したような連結領域と膨出部13の形成領域との関係、又は、ステム仮想線16の交点17,18と膨出部13の形成領域との関係を確かめることにより、後述する製造工程において、ベース部10の下面が積極的に延伸されていることを確認できる。その結果、その延伸に起因して係合素子20の高さ寸法が小さくなること、また、ベース部10の幅寸法が小さくなることが抑制又は防止されていることを、製造された面ファスナー1から確認することが可能である。
【0038】
本実施例のベース部10は、低位部12の厚さ寸法(上下方向の寸法)が、膨出部13の厚さ寸法の最大値の65%以上85%以下となるように形成されている。低位部12の厚さ寸法は、上述した上面側直線15と下面側直線14の間の上下方向における寸法である。膨出部13の厚さ寸法は、上述した上面側直線15から膨出部13の下面までの上下方向における寸法である。また、低位部12及び膨出部13の各厚さ寸法は、例えば面ファスナー1を前後方向又は左右方向に沿って切断し、その切断面の低位部12及び膨出部13を、それぞれデジタルマイクロスコープを用いて撮影することによって測定可能である。
【0039】
本実施例において、低位部12の厚さ寸法が、膨出部13の厚さ寸法の最大値の65%以上であることにより、面ファスナー1の使用に耐え得るベース部10の強度を適切に確保できる。また、低位部12の厚さ寸法が、膨出部13の厚さ寸法の最大値の85%以下であることにより、ベース部10の柔軟性を高めることができ、また、面ファスナー1の軽量化を図ることができる。更に、低位部12の厚さ寸法と膨出部13の厚さ寸法との差は、40μm以上80μm以下、特に50μm以上70μm以下であることが好ましい。
【0040】
複数の係合素子20は、ベース部10の上面に千鳥状の配置パターンで規則的に整列して設けられている。具体的に説明すると、係合素子20は、前後方向に沿って一定のピッチ(間隔)で配置されることにより、係合素子列21が形成されている。また、複数の係合素子列21が、左右方向に一定の間隔で配置されている。更に、係合素子20は、左右方向に互いに隣接する係合素子列21間において、係合素子20の位置を前後方向に1/2ピッチの大きさでずらして、互い違いに又はジグザグ状に配置されている。なお本発明において、係合素子20の配置は特に限定されず、例えば複数の係合素子20は、前後方向と左右方向とに整列した格子状の配置パターンで整列していても良いし、ランダムに配置されていても良い。
【0041】
各係合素子20は、ベース部10から立ち上がる略円錐台状のステム部22と、ステム部22の上端部に一体的に形成される円盤状又は皿状の係合頭部23と、係合頭部23の外周縁部から外側に向けて突出する2つの微小な係合爪部24とを有する。なお本発明において、係合素子20の形状は限定されないが、係合素子20は、ベース部10から略錐台状に突出するステム部22と、係合素子20を上方から見た平面視において放射方向(半径方向)の外側に向けて突出する少なくとも1つの微小な係合爪部24とを有していることが好ましい。
【0042】
次に、上述のような面ファスナー1を製造する製造装置50について、
図4~
図6を参照しながら説明する。
本実施例の製造装置50は、一次成形を行う成形装置60と、成形装置60により成形された一次成形体30に対して二次成形を行って二次成形体(プレファスナー体)40を成形する加熱押圧装置70と、得られた二次成形体(プレファスナー体)40に延伸加工を行う延伸装置80とを有する。なお本発明において、プレファスナー体とは、延伸加工を行って面ファスナー1を製造する場合に、延伸加工が施される前の成形体又は部材を意味する。
【0043】
成形装置60は、一方向(図面では反時計回り方向)に駆動回転するダイホイール61と、ダイホイール61の周面に対向して配され、溶融した合成樹脂材料を連続して押し出す(又は流し出す)供給ノズル65と、供給ノズル65よりもダイホイール61の回転方向下流側に配されるピックアップローラー66とを有する。
【0044】
ダイホイール61は、金型となる円筒状の外側円筒体(外側スリーブ)62と、外側円筒体62の内側に密接して配される円筒状の内側円筒体(内側スリーブ)63と、外側円筒体62及び内側円筒体63を一方向に回転させる回転駆動ローラー64とを備える。回転駆動ローラー64の内部には、冷却液を流通させる図示しない冷却ジャケットが設けられている。
【0045】
外側円筒体62には、外側円筒体62の外周面から内周面に貫通する複数の貫通孔62aが、一次成形体30の後述する一次ステム部32を成形するキャビティとして形成されている。複数の貫通孔62aの形成位置は、作製される二次成形体40において係合素子20が配設される位置に対応している。各貫通孔62aは、外側円筒体62の外周面における円形が、外側円筒体62の内周面における円形よりも大きく形成される略円錐台の形状を有する。
【0046】
内側円筒体63の外周面には、複数の凹溝部63aが形成されている。各凹溝部63aは、内側円筒体63の中心軸と平行な方向(直交方向CD)に沿って直線状に、また、溶融した合成樹脂が流入可能な大きさで凹設されている。凹溝部63aは、内側円筒体63の周方向(機械方向MD)に沿って一定の間隔で形成されている。また、内側円筒体63の凹溝部63aの少なくとも一部は、ダイホイール61が組み立てられたときに、外側円筒体62の内周面に形成された貫通孔62aの外周縁に交わるように設けられている。
【0047】
ピックアップローラー66は、ダイホイール61の外周面部で成形される一次成形体30を上下から挟持して引っ張る一対の上側挟持ローラー66a及び下側挟持ローラー66bを有する。上側挟持ローラー66a及び下側挟持ローラー66bの各外周面部には、ポリウレタンエラストマー等のエラストマーにより形成される図示しない表面層が設けられている。
【0048】
加熱押圧装置70は、ピックアップローラー66の下流側に配される上下一対の押圧ローラー(カレンダローラー)71,72を有する。上側押圧ローラー71と下側押圧ローラー72とは、所定の間隔を開けて対向して配されている。上側押圧ローラー71及び下側押圧ローラー72間の間隔は、図示しない高さ調整手段により調整可能である。
【0049】
上側押圧ローラー71は、内部に図示しない加熱源を備えており、上側押圧ローラー71の表面温度は、面ファスナー1(一次成形体30)を形成する合成樹脂を軟化させることが可能な温度に設定される。なお本発明において、加熱押圧装置70は、後述するように一次成形体30の少なくとも一部を押圧して係合素子20を形成することが可能であれば、その構造は特に限定されない。
【0050】
延伸装置80は、
図4に示したように、加熱押圧装置70で成形された二次成形体40に延伸加工を行うために、加熱押圧装置70の下流側に設置されている。この延伸装置80は、
図6に示したように、加熱押圧装置70で成形された二次成形体40を延伸装置80内に導入する図示しない供給部と、延伸加工が施されて形成される面ファスナー1を下流側に送り出す図示しない排出部と、供給部及び排出部間に二次成形体40の搬送路に沿って配される複数の回転ローラー81とを有する。
【0051】
各回転ローラー81は、二次成形体40を接触させながら回転することにより、二次成形体40をその回転速度に応じた速度で下流側に向けて搬送可能に形成されている。また、各回転ローラー81は、図示しない制御部により加熱温度が設定され、二次成形体40を接触させることによってその二次成形体40を加熱温度で加熱することが可能である。
【0052】
本実施例の回転ローラー81は、二次成形体40を加熱する予備加熱ローラー82、第1加熱ローラー83、及び第2加熱ローラー84と、第2加熱ローラー84の下流側に配されるとともに第2加熱ローラー84との間で二次成形体40を延伸加工する延伸ローラー85と、延伸ローラー85の下流側に設けられる緩和ローラー86とを有する。また、予備加熱ローラー82、第1加熱ローラー83、第2加熱ローラー84、延伸ローラー85、及び緩和ローラー86は、延伸装置80の供給部(上流側)から排出部(下流側)に向けて、二次成形体40の搬送路に沿って順番に設置されている。
【0053】
予備加熱ローラー82、第1加熱ローラー83、及び延伸ローラー85は、二次成形体40の後述する仮ベース部10aを仮ベース部10aの下面(裏面)側から直接接触させるように、二次成形体40の搬送路の下側に回転可能に設置される。すなわち、延伸ローラー85で延伸加工する前に、第1加熱ローラー83と第2加熱ローラー84とにより、二次成形体40の表側(係合素子20側)と裏側(係合素子20を有さない面側)とをそれぞれ主に温めている。第1加熱ローラー83の上流側に位置する予備加熱ローラー82では、二次成型体40を予備的に加熱している。延伸加工では、係合素子20の形状の変形を抑制又は防止するために仮ベース部10aの下面側を延伸ローラー85に接触させて延伸することから、仮ベース部10aの下面側を予備的に加熱することによって延伸し易くすることが必要になる。そのため、予備加熱ローラー82は仮ベース部10aの下面側に接触させて予備加熱している。第2加熱ローラー84、及び緩和ローラー86は、二次成形体40を係合素子20側から直接接触させるように、二次成形体40の搬送路の上側に回転可能に設置される。また、延伸装置80内で二次成形体40の搬送路を上下に蛇行させるように、第2加熱ローラー84、及び緩和ローラー86が、予備加熱ローラー82、第1加熱ローラー83、及び延伸ローラー85の設置位置よりも鉛直方向の下側に設置されている。なお、緩和ローラー86は、延伸ローラー85より下流側に位置していればよく、延伸ローラー85の直後に配置されていなくてもよい。緩和ローラー86が延伸ローラー85の直後に配置されない場合には、緩和ローラー86は、二次成形体40を仮ベース部10aの下面側から直接接触させる場合もある。
【0054】
予備加熱ローラー82及び第1加熱ローラー83は、二次成形体40の仮ベース部10aの下面に接触して回転することにより、二次成形体40を搬送するとともに、二次成形体40を仮ベース部10a側から加熱する。本実施例において、予備加熱ローラー82及び第1加熱ローラー83は、互いに同じ回転速度で回転するとともに、二次成形体40を同じ加熱温度で加熱するように制御される。なお本実施例において、予備加熱ローラー82の加熱温度は、第1加熱ローラー83の加熱温度よりも低い温度に設定することで仮ベース部10aの下面を徐々に温めてもよい。ここで、回転ローラー81の加熱温度は、熱源により加熱された各回転ローラー81のローラー表面(外周面)における温度である。なお、予備加熱では、加熱したローラーに直接二次成形体40を接触させる方法以外にも、例えば熱風や赤外線照射等の加熱手段を用いることもできる。
【0055】
また本実施例の延伸装置80には、第1加熱ローラー83の上流側に1つの予備加熱ローラー82が設置されているが、本発明の延伸装置は、予備加熱ローラーを設けずに形成されていてもよく、又は、第1加熱ローラーの上流側に複数の予備加熱ローラーを設けて形成されていてもよい。
【0056】
第2加熱ローラー84は、二次成形体40の係合素子20に接触して回転することにより、二次成形体40を搬送するとともに、二次成形体40を係合素子20側から加熱する。本実施例において、第2加熱ローラー84は、第1加熱ローラー83と同じ回転速度で回転するように制御される。本実施例のように予備加熱ローラー82、第1加熱ローラー83、及び第2加熱ローラー84を同じ回転速度で回転させることにより、二次成形体40に延伸を生じさせることなく、延伸装置80の供給部から第2加熱ローラー84まで加熱しながら搬送できる。
【0057】
第2加熱ローラー84の加熱温度は、第1加熱ローラー83の加熱温度よりも低く設定される。更に本実施例では、第2加熱ローラー84の加熱温度は、100℃未満の温度に設定される。このように第2加熱ローラー84の加熱温度を第1加熱ローラー83の加熱温度よりも低く設定することにより、二次成形体40を第2加熱ローラー84と延伸ローラー85との間で延伸する前に、二次成形体40に温度差を上下方向に適切に設けることができる。すなわち、第2加熱ローラー84を通過する二次成形体40に対し、仮ベース部10aの下面の温度を最も高くするとともに、係合素子20の温度を低くすることにより、仮ベース部10aの下面と係合素子20の上端部との間に温度差を設けることができる。更に本実施例では、仮ベース部10aの下面と上面との間にも温度差を設けることができる。その結果、後述するように、延伸装置80による延伸加工において、係合素子20の高さ寸法が小さくなること、また、ベース部10の幅寸法が小さくなることを抑制又は防止できる。
【0058】
延伸ローラー85は、二次成形体40の仮ベース部10aの下面に接触して回転することにより、二次成形体40を搬送するとともに、二次成形体40を仮ベース部10a側から加熱する。また、延伸ローラー85は、第2加熱ローラー84よりも早い回転速度で回転するように制御される。例えば本実施例において、延伸ローラー85の回転速度は、第2加熱ローラー84の回転速度に対して110%以上200%以下の速度に、好ましくは140%以上170%以下の速度に設定される。これによりに、第2加熱ローラー84と延伸ローラー85との間で、二次成形体40に延伸加工を行うことができる。また、第2加熱ローラー84はニップロールである。二次成形体40は、回転速度の速い延伸ローラー85に引っ張られるため、第2加熱ローラー84にニップロールを用いることにより、第2加熱ローラー84上で滑りが発生して延伸加工が不十分になることを防止できる。
【0059】
延伸ローラー85の加熱温度は、面ファスナー1(二次成形体40)を形成する合成樹脂の融点より30℃低い温度以上で、且つ、その合成樹脂の融点よりも低く設定される。好ましくは、延伸ローラー85の加熱温度は、その合成樹脂の融点より15℃低い温度以下に設定される。例えば、面ファスナー1がポリプロピレンにより形成される本実施例の場合、ポリプロピレンの融点が160℃~170℃であるため、延伸ローラー85の加熱温度は130℃以上155℃以下の範囲に設定されることが好ましい。合成樹脂の融点より30℃低い温度以上とすることにより、二次成形体40が延伸ローラー85に接触したときに、二次成形体40が軟らかくなって延伸ローラー85の表面に貼り付き易くなり、二次成形体40と延伸ローラー85との間の摩擦抵抗を高めることができる。その結果、仮ベース部10aが延伸する際に仮ベース部10aに幅方向への収縮を生じさせ難くすることができる。
【0060】
また、第2加熱ローラー84と延伸ローラー85の間で仮ベース部10aを前後方向に延伸する延伸加工において、例えば延伸ローラー85の加熱温度を合成樹脂の融点に近づけ過ぎた場合、仮ベース部10aが延伸する際に、係合素子20の仮ベース部10aに連結する基端部の一部が変形して係合素子20の合成樹脂が仮ベース部10aに移動し、それによって、係合素子20の高さ寸法の低下を招く可能性がある。これに対し、延伸ローラー85の加熱温度を合成樹脂の融点より15℃低い温度以下にすることにより、二次成形体40が延伸ローラー85との接触位置及びその近傍位置で温まり過ぎることを抑制し、係合素子20の合成樹脂の移動による係合素子20の高さ寸法の低下をより効果的に抑制又は防止できる。
【0061】
また、第2加熱ローラー84の加熱温度は、面ファスナー1(二次成形体40)を形成する合成樹脂の融点より100℃低い温度以上で、且つ、その合成樹脂の融点より70℃低い温度以下に設定されることが好ましい。例えば面ファスナー1がポリプロピレンにより形成される本実施例の場合、第2加熱ローラー84の加熱温度は、60℃以上100℃以下の範囲に設定されることが好ましい。さらにこの場合、第2加熱ローラー84と延伸ローラー85の加熱温度の差を40℃以上にすることが好ましい。係合素子20が接触する第2加熱ローラー84と仮ベース部10aの下面が接触する延伸ローラー85との間の加熱温度差が40℃以上あることにより、仮ベース部10aの下面と係合素子20の上端部との間に温度差を設けるだけでなく、仮ベース部10aの下面と上面との間にも温度差を設けることができる。それによって、仮ベース部10aの上面は、下面に比べて変形しづらくなり、幅方向への収縮を生じさせ難くすることができる。
【0062】
緩和ローラー86は、本実施例において、延伸ローラー85よりも遅い回転速度で回転するように制御される。また、緩和ローラー86が延伸ローラー85の直後に配置される場合、二次成形体40の係合素子20に接触して回転することにより、延伸加工が行われた二次成形体40(すなわち、面ファスナー1)を搬送するとともに、その二次成形体40を係合素子20側から加熱する。
【0063】
例えば本実施例において、緩和ローラー86の回転速度は、延伸ローラー85の回転速度に対して80%以上100%未満の速度に、好ましくは90%以上99%以下に設定される。これにより、延伸ローラー85と緩和ローラー86との間で、面ファスナー1に加えられる張力を弱めて、面ファスナー1の形状(特に、ベース部10の前後方向の寸法)を安定させることができる。
【0064】
本実施例において、緩和ローラー86が二次成形体40の係合素子20側に直接接触する場合、緩和ローラー86の加熱温度は、面ファスナー1を形成する合成樹脂の融点より90℃低い温度以下に設定されることが好ましい。例えば面ファスナー1がポリプロピレンにより形成される本実施例の場合、緩和ローラー86の加熱温度は、室温以上80℃以下の範囲内に設定されることが好ましい。
【0065】
緩和ローラー86の加熱温度を、合成樹脂の融点より90℃低い温度以下にすることにより、緩和ローラー86が面ファスナー1に係合素子20側から接触しても、係合素子20の高さ寸法が低下することを抑制又は防止できる。
【0066】
上述のような成形装置60、加熱押圧装置70、及び延伸装置80を有する製造装置50を用いて面ファスナー1を製造する場合、先ず、成形装置60で一次成形体30を成形する一次成形工程を行う。この一次成形工程では、溶融した合成樹脂材料を供給ノズル65からダイホイール61の外周面に向けて連続的に供給する。
【0067】
これにより、供給ノズル65とダイホイール61との間で仮ベース部10aを連続的に成形する。成形装置60は、例えば対向する2つのダイホイールの隙間に向けて供給ノズルから溶融した合成樹脂材料を供給する構造で形成されていてもよい。この場合、仮ベース部10aは一対のダイホイールの間で形成される。また本実施例では、仮ベース部10aを成形するとともに、ダイホイール61の外側円筒体62及び内側円筒体63により、複数の一次素子(仮素子)31を仮ベース部10aの上面に一体的に成形する。それによって、
図7に示すような一次成形体30を成形する。
【0068】
この成形装置60で成形される一次成形体30は、薄板状の仮ベース部10aと、仮ベース部10aの上面に突出する複数の一次素子31とを有する。仮ベース部10aの上面及び下面は、平坦面に形成されている。一次素子31は、二次成形工程で押圧成形されることにより係合素子20に変形する。各一次素子31は、仮ベース部10aから立ち上がる円錐台状の一次ステム部32と、一次ステム部32の上面から上方に局部的に膨出する棒状のリブ部33と、リブ部33と一体的に形成されるとともに一次ステム部32の外側に突出する2つの突出部(一次爪部)34とを有する。
【0069】
この一次素子31において、リブ部33及び突出部34は、一次成形工程で合成樹脂が外側円筒体62の貫通孔62aから内側円筒体63に設けた凹溝部63aに流入し、更に、凹溝部63aに沿って貫通孔62aを超える部分まで入り込むことにより成形されている。この場合、リブ部33は、一次ステム部32の上面に直交する方向に沿って形成される。2つの突出部34は、リブ部33の両端部から一次ステム部32の外側に突出している。
【0070】
この一次成形工程では、溶融した合成樹脂が、ダイホイール61の外周面に担持されて冷却されながら半回転することにより、上述した一次成形体30が成形される。その後、一次成形体30は、ピックアップローラー66によってダイホイール61の外周面部から連続的に引き剥がされる。
【0071】
次に、ダイホイール61から引き剥がされた一次成形体30は、二次成形工程を行う加熱押圧装置70に向けて搬送され、加熱押圧装置70の上側押圧ローラー71と下側押圧ローラー72の間に導入される。
【0072】
この二次成形工程では、一次成形体30の仮ベース部10aが下側押圧ローラー72によって下方から支持される。また、一次成形体30の各一次素子31の少なくとも上端部が、上側押圧ローラー71によって加熱されて軟化するとともに上方から押圧される。これにより、一次素子31における一次ステム部32の上端部と、リブ部33と、突出部34とが熱変形して係合頭部23が成形される。更に、一次素子31の突出部34から、微小な爪部が係合頭部23の外周側面に成形される。これによって、
図1に示した形状を備える複数の係合素子20が仮ベース部10aの上面に成形されるため、複数の係合素子20を有する二次成形体(プレファスナー体)40が作製される。
【0073】
その後、加熱押圧装置70から送り出された二次成形体40は、延伸加工を行う延伸装置80に搬送され、図示しない供給部から延伸装置80内に導入される。
延伸加工を行う延伸工程では、先ず、予備加熱ローラー82、第1加熱ローラー83、及び、第2加熱ローラー84によって、二次成形体40の加熱処理91を行う(
図6を参照)。
【0074】
この加熱処理91について具体的に説明すると、最初に、予備加熱ローラー82及び第1加熱ローラー83によって二次成形体40を搬送しながら、二次成形体40の仮ベース部10aの下面を予備加熱ローラー82及び第1加熱ローラー83に接触させる。これによって、二次成形体40を仮ベース部10aの下面側から延伸加工が可能な温度に加熱する。例えば本実施例の場合、予備加熱ローラー82及び第1加熱ローラー83によって、ポリプロピレンからなる二次成形体40を、70℃以上110℃以下の加熱温度で二次成形体40の仮ベース部10aを加熱する。
【0075】
続いて、加熱処理91では、予備加熱ローラー82及び第1加熱ローラー83を通過した二次成形体40を、第2加熱ローラー84に向けて搬送し、その二次成形体40の係合素子20を第2加熱ローラー84に接触させる。これによって、二次成形体40を係合素子20の上端部側から加熱する。このとき、係合素子20が接触する第2加熱ローラー84の加熱温度を、第1加熱ローラー83の加熱温度よりも低く、且つ、100℃未満の温度に設定する。これにより、二次成形体40が第2加熱ローラー84を通過するときに、二次成形体40における仮ベース部10aの下面における温度が最も高くなり、また、仮ベース部10aの下面から係合素子20の上端部に向けて温度が低くなるように上下方向の温度差を発生させる。
【0076】
二次成形体40が第2加熱ローラー84を通過した後、二次成形体40に対し、第2加熱ローラー84と第2加熱ローラー84よりも早い回転速度で回転する延伸ローラー85との間で、二次成形体40を機械方向MDに沿って延伸する一軸延伸処理92を行う。このとき、延伸ローラー85の回転速度を、第2加熱ローラー84の回転速度に対して110%以上200%以下の速度に、好ましくは140%以上170%以下の速度に設定する。これにより、二次成形体40に対し、第2加熱ローラー84と延伸ローラー85との間で機械方向MDに沿って引っ張る張力を安定して加えることができる。
【0077】
また本実施例の一軸延伸処理92において、第2加熱ローラー84を通過した二次成形体40には、上述したような上下方向の温度差が発生している。これにより、第2加熱ローラー84から延伸ローラー85に向けて搬送される二次成形体40では、係合素子20よりも仮ベース部10aを変形させ易くすることができる。このため、第2加熱ローラー84から延伸ローラー85に搬送される二次成形体40に対し、二次成形体40の仮ベース部10aを機械方向MDに沿って長くする延伸加工を行うことができる。これによって、仮ベース部10aを機械方向MDに伸張させてベース部10の厚みを二次成形工程後の仮ベース部10aの厚みよりも薄くできる。それとともに、ベース部10の係合素子20間に配される部分における厚みの低減率(二次成形後のベース部10の厚みに対する低減率)を、ベース部10の係合素子20が配される部分における厚みの低減率よりも大きくすることにより、ベース部10に低位部12を形成できる。一方、ベース部10の係合素子20が連結されている部分では合成樹脂の移動が生じ難くなるため、ベース部10に低位部12よりも下方に膨らむ膨出部13を、係合素子20が形成されている位置に形成できる。更に、ベース部10より温度を低くした係合素子20では、ベース部10よりも熱変形が抑えられるため、ベース部10の延伸加工に伴って係合素子20の高さ寸法が低下することを抑制又は防止できる。
【0078】
更に本実施例の一軸延伸処理92では、二次成形体40に上下方向の温度差を設けたことにより、仮ベース部10aの上面と下面との間にも温度差が設けられる。これにより、二次成形体40の仮ベース部10aが延伸するときに、仮ベース部10aの上面及びその近傍を幅方向(直交方向CD)に変形させ難くし、その結果、仮ベース部10aの形状を拘束し易くすることができる。従って、例えば従来では、仮ベース部に機械方向MDに沿った一軸延伸処理が行われる場合に、仮ベース部が機械方向MDに直交する直交方向CDに収縮する変形が生じるものの、本実施例では、仮ベース部10aの上面及びその近傍での熱変形が抑えられるため、仮ベース部10aの延伸に伴って仮ベース部10aが直交方向CDに収縮することを抑制又は防止できる。
【0079】
更に、本実施例の延伸ローラー85は、二次成形体40の仮ベース部10aの下面を接触させながら回転する。このとき、延伸ローラー85の加熱温度が、合成樹脂の融点より30℃低い温度以上で、且つ、その合成樹脂の融点より15℃低い温度以下に設定されている。これにより、係合素子20の高さ寸法の低下、及び仮ベース部10aの幅方向の収縮をより効果的に抑制又は防止できる。
【0080】
二次成形体40が延伸ローラー85を通過した後、その延伸された二次成形体40に緩和処理93を行う。この緩和処理93では、延伸した二次成形体40を、延伸ローラー85と、延伸ローラー85よりも遅い回転速度で回転する緩和ローラー86との間で、二次成形体40に加えられる張力が弱められた状態で搬送する。これにより、延伸ローラー85と緩和ローラー86との間で、延伸した二次成形体40の形状を安定させることができる。
【0081】
また、本実施例の緩和ローラー86に二次成形体40の係合素子20を接触させながら緩和ローラー86を回転させる場合、緩和ローラー86の加熱温度を、室温以上で、且つ、合成樹脂の融点より90℃低い温度以下に設定する。特に、緩和ローラー86の加熱温度を80℃以下に設定することが好ましい。このように係合素子20が接触する緩和ローラー86の加熱温度を、合成樹脂の融点より90℃低い温度以下にすることによって、係合素子20の高さ寸法が緩和ローラー86から受ける応力で低下することをより効果的に抑制又は防止できる。
【0082】
その後、緩和ローラー86を通過した二次成形体40は、延伸装置80の図示しない排出部から外側に送り出される。
【0083】
二次成形体40に上述のような延伸工程を行うことにより、二次成形体40の仮ベース部10aをベース部10に変形させることができる。その結果、
図1~
図3に示した本実施例1の面ファスナー1が製造される。
なお、延伸装置80から排出された面ファスナー1は、例えば回収ローラー等にロール状に巻き取られて回収される。また、面ファスナー1は、延伸装置80から図示しない切断部に向けて搬送され、その切断部にて所定の幅寸法及び/又は長さ寸法に切断された後に回収されてもよい。
【0084】
上述のようにして製造される本実施例の面ファスナー1では、延伸装置80による機械方向MDに沿った一軸延伸加工が施されることにより、ベース部10に低位部12が安定して設けられている。このため、本実施例の面ファスナー1は、例えば延伸加工を施さない従来の面ファスナーに比べて、ベース部10の厚さを薄くできる。従って、本実施例の面ファスナー1では、上述したように、柔軟性の向上、軽量化、生産性の向上、及び、製造コストの削減といったベース部10を薄くしたことによる効果を得ることができる。
【0085】
また、本実施例によれば、二次成形体(プレファスナー体)40の延伸工程において、第2加熱ローラー84の加熱温度を第1加熱ローラー83の加熱温度よりも低く設定している。これによって、二次成形体40に上下方向の温度差を発生させ、その温度差が設けられた二次成形体40に対して一軸延伸処理92を行うことができる。これにより、仮ベース部10aが延伸されるときに、上述したように係合素子20の高さ寸法が低下することを抑制又は防止でき、且つ、ベース部10が直交方向CDに収縮して細くなることを抑制又は防止できる。
【0086】
特に本実施例では、延伸工程において、係合素子20の上面が直接接触する第2加熱ローラー84の加熱温度を100℃未満に設定している。また、仮ベース部10aの下面が直接接触する延伸ローラー85の加熱温度を、合成樹脂の融点より30℃低い温度以上、合成樹脂の融点より15℃低い温度以下に設定している。更に、緩和ローラー86の加熱温度を合成樹脂の融点より90℃低い温度以下(特に、加熱温度を80℃以下)に設定している。このような延伸条件を第1延伸条件と規定した場合、この第1延伸条件で延伸工程が行われることにより、仮ベース部10aを機械方向MDに沿って延伸するときに、係合素子20から仮ベース部10aへの樹脂の移動をより生じさせ難くして、係合素子20の高さ寸法が低下することをより効果的に抑制又は防止できる。その結果、係合素子20の高さ寸法を、一次成形工程における金型であるダイホイール61のキャビティ形状と、二次成形工程における一次素子の潰し量とによって、制御することができる。なお、第1延伸条件において、延伸ローラー85の加熱温度は、係合素子20の高さ寸法の低下をより効果的に抑制するために、合成樹脂の融点より25℃低い温度以下に設定されてもよく、合成樹脂の融点より30℃低い温度以下に設定されてもよい。
【0087】
一方、本実施例の延伸工程では、上述した第1延伸条件の代わりに又は第1延伸条件を満たすと同時に、第2加熱ローラー84の加熱温度を、合成樹脂の融点より100℃低い温度以上、合成樹脂の融点より70℃低い温度以下に設定し、また、延伸ローラー85の加熱温度を合成樹脂の融点より30℃低い温度以上に設定する第2延伸条件が採用されてもよい。更にこの第2延伸条件では、第2加熱ローラー84の加熱温度を、100℃未満の温度で、且つ、延伸ローラー85の加熱温度よりも40℃低い温度以下に設定することが好ましい。また、緩和ローラー86の加熱温度を、延伸ローラー85の加熱温度以下に設定することが好ましい。
【0088】
上述のような第2延伸条件で延伸工程が行われることにより、仮ベース部10aが機械方向MDに沿って延伸するときに、仮ベース部10aの上面及びその近傍を直交方向CDに変形させ難くし、仮ベース部10aの形状を直交方向CDでより拘束し易くすることができる。このため、仮ベース部10aの機械方向MDに沿った延伸に伴って仮ベース部10aが直交方向CDに収縮して細くなることをより効果的に抑制又は防止できる。その結果、面ファスナー1のベース部10が細くなることに起因して生産量が低下すること、製造コストが増大すること、及び、材料の原単位が増大すること等の不具合を生じさせ難くすることができる。
【0089】
なお、上述した実施例において、二次成形体40であるプレファスナー体40は、成形装置60を用いる一次成形工程と、加熱押圧装置70を用いる二次成形工程とを行うことによって作製されている。しかし本発明において、延伸加工が施されるプレファスナー体を成形する方法及び手段は特に限定されない。本発明では、例えば、上述した実施例のような熱変形を生じさせる二次成形工程を行うことなく、ステム部及び係合頭部を備えた係合素子を成形可能なキャビティが設けられた成形装置で成形工程を行うによって、延伸加工が施されるプレファスナー体を作製してもよい。
【符号の説明】
【0090】
1 面ファスナー
10 ベース部
10a 仮ベース部
11 凹面部
12 低位部
13 膨出部
14 下面側直線
15 上面側直線
16 ステム仮想線
17 ステム仮想線と上面側直線との交点
18 ステム仮想線と下面側直線との交点
20 係合素子
21 係合素子列
22 ステム部
23 係合頭部
24 係合爪部
30 一次成形体
31 一次素子(仮素子)
32 一次ステム部
33 リブ部
34 突出部(一次爪部)
40 二次成形体(プレファスナー体)
50 製造装置
60 成形装置
61 ダイホイール
62 外側円筒体(外側スリーブ)
62a 貫通孔
63 内側円筒体(内側スリーブ)
63a 凹溝部
64 回転駆動ローラー
65 供給ノズル
66 ピックアップローラー
66a 上側挟持ローラー
66b 下側挟持ローラー
70 加熱押圧装置
71 上側押圧ローラー(上側カレンダローラー)
72 下側押圧ローラー(下側カレンダローラー)
80 延伸装置
81 回転ローラー
82 予備加熱ローラー
83 第1加熱ローラー
84 第2加熱ローラー
85 延伸ローラー
86 緩和ローラー
91 加熱処理
92 一軸延伸処理
93 緩和処理
CD 直交方向
MD 機械方向