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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】LED駆動回路及びLED照明回路
(51)【国際特許分類】
   H05B 45/50 20220101AFI20240712BHJP
   H05B 45/38 20200101ALI20240712BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20240712BHJP
【FI】
H05B45/50
H05B45/38
H02M3/155 C
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2023565362
(86)(22)【出願日】2022-04-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(86)【国際出願番号】 EP2022060237
(87)【国際公開番号】W WO2022228935
(87)【国際公開日】2022-11-03
【審査請求日】2023-12-01
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2021/089720
(32)【優先日】2021-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】21185224.9
(32)【優先日】2021-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】516043960
【氏名又は名称】シグニファイ ホールディング ビー ヴィ
【氏名又は名称原語表記】SIGNIFY HOLDING B.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 48,5656 AE Eindhoven,The Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100163821
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 沙希子
(72)【発明者】
【氏名】フー ジェ
(72)【発明者】
【氏名】スン シグァン
(72)【発明者】
【氏名】チェン チークァン
(72)【発明者】
【氏名】ジュ フェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユー
(72)【発明者】
【氏名】ワン ガン
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/007783(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第107969048(CN,A)
【文献】中国特許第108123418(CN,B)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 45/50
H05B 45/38
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光源のための駆動回路であって、
電源を受けるよう適合される入力と、
前記電源を変換し、変換された電力を供給するよう適合される変換回路であって、電源スイッチを含む変換回路と、
前記変換された電力を出力するよう適合される出力と、
前記出力に接続される出力コンデンサと、
前記出力に結合され、前記電源スイッチに接続される第1制御回路であって、前記出力コンデンサにおける電圧に対応する電圧を検知し、前記第1制御回路によって検知される前記出力コンデンサにおける電圧に対応する前記電圧が第1レベルを超えるときに、前記変換された電力を低減させるために、電力低減モードで動作するよう前記電源スイッチを制御するよう適合される第1制御回路と、
前記出力コンデンサに接続され、前記電源スイッチの制御端子に接続される第2制御回路であって、
前記出力コンデンサにおける電圧を検知し、
前記第2制御回路によって検知される前記出力コンデンサにおける電圧が第2レベルを超えるときに、前記電源スイッチに損傷を与え、前記電源スイッチを恒久的に動作不能にするように、前記出力コンデンサと前記制御端子とを電気的に接続し、前記制御端子と前記電源スイッチの電流出力端子の間に、前記出力コンデンサにおける電圧の第1部分であって、前記制御端子及び前記電流出力端子の最大定格電圧より高い第1部分を印加するよう適合される第2制御回路とを有する駆動回路。
【請求項2】
公差を考慮した、前記第2制御回路の第2レベルの最高値が、公差を考慮した、前記出力コンデンサの許容最大電圧の最低値よりも小さく、前記許容最大電圧を超える、前記出力コンデンサにおける電圧が、前記出力コンデンサを爆発させる可能性があり、
前記第1レベルの公称値が、前記出力コンデンサを爆発させる可能性がある前記許容最大電圧未満であり、
前記第2レベルの公称値が、前記第1レベルの公称値よりも高い請求項1に記載の駆動回路。
【請求項3】
前記第2制御回路が、前記出力コンデンサの陽極と前記電源スイッチの前記制御端子との間に接続される電圧トリガ構成要素を有し、前記電源スイッチの前記電流出力端子と、前記出力コンデンサの陰極とが、実質的に同じ電位にあり、前記電圧トリガ構成要素が、降伏し、前記出力コンデンサにおける電圧の前記第1部分を、前記電源スイッチの前記制御端子と前記電流出力端子との間に印加するよう適合される請求項1に記載の駆動回路。
【請求項4】
前記電圧トリガ構成要素が、降伏後、前記出力コンデンサにおける電圧の前記第1部分が前記電源スイッチの前記制御端子及び前記電流出力端子の前記最大定格電圧よりも高くなるように、最大でも、前記出力コンデンサにおける電圧の第2部分をクランプするよう適合され、随意に、前記最大定格電圧が、約20Vである請求項3に記載の駆動回路。
【請求項5】
前記電圧トリガ構成要素が、
TSS、
DIAC、
ガス放電管、及び
VDRのうちの少なくとも1つを有する請求項3に記載の駆動回路。
【請求項6】
前記第1制御回路が、少なくとも部分的にICによって実施される請求項1又は2に記載の駆動回路。
【請求項7】
前記第1制御回路が、前記出力コンデンサにおける電圧を検知するための分圧器を有し、前記分圧器が、第1公差を持つものであり、
前記第1制御回路が、基準電圧を生成するための回路、及び前記分圧器によって検知される電圧を前記基準電圧と比較するための比較器を有し、前記基準電圧を生成するための前記回路が、第2公差を持つものである請求項1又は5に記載の駆動回路。
【請求項8】
前記第1制御回路が、前記出力コンデンサにおける電圧を検知するために、
前記出力コンデンサに接続されるか、
前記変換回路の電力転流構成要素であって、前記電力転流構成要素の電圧が前記出力コンデンサにおける電圧を反映している電力転流構成要素に結合されるかのいずれかである請求項7に記載の駆動回路。
【請求項9】
前記電力転流構成要素が、パワーインダクタを有し、前記第1制御回路が、前記パワーインダクタに磁気的に結合される検知巻線を介して前記変換回路の前記パワーインダクタに結合され、前記検知巻線が、前記出力コンデンサにおける電圧を反映する際に第3公差を持つ請求項8に記載の駆動回路。
【請求項10】
請求項1乃至5のいずれか一項に記載の駆動回路を有し、前記駆動回路の前記出力に接続される前記発光源を更に有する照明回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED駆動回路に関する。とりわけ、本発明は、過電圧に対して改善された安全性を備えるLED駆動回路に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDドライバにおいては、LED故障時の電解コンデンサ(E-CAP)の爆発を防止するなどの安全性を確保するために、過電圧保護(OVP)が広く使用されている。電解コンデンサが爆発させられる場合には、電解液が回路に流れ込み、人の電気的短絡を引き起こし得る短絡などの深刻な問題をもたらし得る。OVPの実施においては、E-CAPにおける電圧(通常は出力電圧)が検出され、前記電圧が高すぎる場合には、ドライバは、LEDドライバの電力変換/出力を停止/低減させ、E-CAPへのエネルギの更なる流れ込みを防止する/低減させるよう、LEDドライバの主スイッチが開状態にされる、又はそのデューティサイクルが低減される電力削減モードで動作し、それ故、前記電圧は安全レベルを超えない。図1は、OVPのための既存の通常の方法を示している。LEDドライバは、ダイオードD2乃至D5によって形成される整流器と、インダクタL1によって形成されるブーストコンバータと、主スイッチM1と、出力ダイオードD1とを有する。出力コンデンサはC1であり、LEDはD13である。抵抗器R1乃至R4によって形成される分圧器を介して、出力コンデンサC1の陽極における出力電圧が、直接、検知されて、IC CMPの一部であり得るオペアンプU2によって基準電圧Vrefと比較される。コンデンサC1における電圧が基準電圧Vrefを超える場合には、駆動を停止させ、主スイッチM1を開いたままにするよう、主スイッチM1の駆動部DRVに信号が出力される。
【0003】
図1における実施例は、直接、高い出力電圧を扱うためにOVP検出抵抗器を必要とする。従って、選択される検出抵抗器は、R1乃至R4のような高電圧定格である必要があり、それらの検出抵抗器は、大きなサイズを有することがある、又は直列に多くの低電圧定格抵抗器を有する必要があり、これも、全体では大きなサイズを有する。小さなサイズのアプリケーションの場合は、図2における実施例が提案される。LEDドライバは、ダイオードD7乃至D10によって形成される整流器と、インダクタL2によって形成されるブーストコンバータと、主スイッチM2と、出力ダイオードD6とを有する。出力コンデンサはC2であり、LEDはD12である。インダクタL3は、n:1というコイル比(coil ratio)でブーストインダクタL2に磁気的に結合され、ここで、nは、インダクタL2におけるコイルの数をインダクタL3におけるコイルの数で割ったものを表している。ダイオードD14及びコンデンサC3によって電圧加算器が形成される。スイッチM2が閉じているときのブーストコンバータの充電フェーズにおいては、インダクタL3に、インダクタL2における入力電圧/(左端子が正である)正電圧の1/nの電圧が誘起され、インダクタL3は、それをコンデンサC3において蓄積する。また、フリーホイーリングフェーズ(freewheeling phase)においては、インダクタL3に、インダクタL2における(左端子が負である)負電圧フリーホイール電圧(negative voltage freewheeling voltage)の1/nの電圧が誘起される。この電圧は、コンデンサC3において以前に蓄積された電圧を加算され、ダイオードD11を介してバッファコンデンサC4に出力され、電圧Vccを形成する。出力電圧Voは、インダクタL2における入力電圧及びフリーホイール電圧の合計であることから、電圧Vccは、出力電圧Voに1/n比例する。そして、この電圧Vccが、OVP目的のために検知され、これも、オペアンプと基準refとを含み、上記と同様に動作する。Vccのレベルは、出力電圧Voのレベルよりもかなり小さいことから、OVPのための低電圧定格分圧器を形成するために、2つの0402サイズの抵抗器R5及びR6しか必要とされないのに対して、図1においては、出力電圧が、非常に高く、400Vを超えることから、OVPのために、3つの1206サイズの構成要素(R1、R2、R3)と1つの0402サイズの構成要素(R4)が必要とされる。
【0004】
上記の2種類の過電圧保護は、電源スイッチが、まだ損傷を受けておらず、単に、オフにされているだけである、又はより低いデューティサイクルで切り替えられているだけであることから、回復可能であることに留意されたい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図2における回路は、サイズを縮小するのに役立ち得るが、インダクタL2及びL3の結合係数の公差が、非常に大きく、例えば>10%であることから、保護ポイントの公差が非常に大きい。また、分圧器の公差及び電圧基準の公差を考慮すると、合計公差は、+/-18%に達する可能性がある。400Vの出力電圧を持つ、LEDのためのブーストコンバータの場合、公差は、80Vに近くなる。電圧基準ref及び比較器は、多くの場合、ICに組み込まれることができ、それらも、ディスクリート部品のソリューションと同様の公差を有する。同様に、分圧器及び電圧基準refの公差は、図1における回路にも影響を及ぼす。このような大きな公差は、回路を危険にさらす。より具体的には、出力E-CAPは、E-CAPを爆発させる可能性があるほど高い、図5において示されているような過電圧Aを受けなければならない可能性があるが、この過電圧Aは、公差により、依然として、第1制御回路のOVP閾値未満であり、従って、OVP(第1制御回路)の不正確な測定によって過電圧とみなされず、従って、第1制御回路は、出力E-CAPが過電圧によって爆発することを防止するためにトリガされない。
【0006】
CN107969048Aは、バックインダクタ(buck inductor)の両端の電圧を検出して、過電圧保護をトリガすることを開示している。CN108123418Aは、カレントミラーを使用してOVP信号を処理することを開示している。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態のアイデアは、既存の過電圧制御ループに別の制御ループを加えるものであり、前記別の制御ループは、出力コンデンサと主スイッチの制御端子とを電気的に直接接続する。この制御ループは、前記出力コンデンサの最小公差「許容最大電圧」で又はそれよりわずかに下でトリガされ、前記出力コンデンサにおける電圧の少なくとも一部を、前記主スイッチの制御端子に直接印加する。「許容最大電圧」は、電気コンデンサの爆発を引き起こす可能性がある電圧である。このことは、前記主スイッチに損傷を与え、前記主スイッチが、それ以上、切り替わること、及び前記出力コンデンサにエネルギを出力することを防止し、従って、前記出力コンデンサの電圧はそれ以上増加せず、前記出力コンデンサが爆発する可能性は低い。本出願人は、このような二重過電圧保護、主制御ループのより大きな公差による前記主制御ループの不活性化のリスクを補うための、より小さな公差を持つ第2制御ループは、従来技術に対して自明でない発明であると確信している。
【0008】
本発明の或る態様においては、発光源のための駆動回路であって、電源を受けるよう適合される入力と、前記電源を変換し、変換された電力を供給するよう適合される変換回路であって、電源スイッチを含む変換回路と、前記変換された電力を出力するよう適合される出力と、前記出力に接続される出力コンデンサと、前記出力に結合され、前記電源スイッチに接続される第1制御回路であって、前記出力コンデンサにおける電圧に対応する電圧を検知し、前記第1制御回路によって検知される前記出力コンデンサにおける電圧に対応する前記電圧が第1レベルを超えるときに、前記変換された電力を低減させるために、電力低減モードで動作するよう前記電源スイッチを制御するよう適合される第1制御回路と、前記出力コンデンサに接続され、前記電源スイッチの制御端子に接続される第2制御回路であって、前記出力コンデンサにおける電圧を検知し、前記第2制御回路によって検知される前記出力コンデンサにおける電圧が第2レベルを超えるときに、前記電源スイッチに損傷を与え、前記電源スイッチを恒久的に動作不能にするように、前記出力コンデンサと前記制御端子とを電気的に接続し、前記制御端子と前記電源スイッチの電流出力端子の間に、前記出力コンデンサにおける電圧の第1部分であって、前記制御端子及び前記電流出力端子の最大定格電圧より高い第1部分を印加するよう適合される第2制御回路とを有する駆動回路が提案されている。
【0009】
上記の態様においては、過電圧に対する安全性を更に向上させるために、前記第2制御回路が追加される。前記出力コンデンサが、爆発し、液体が流れ出した場合には、回路は、使用できないどころか、より危険ですらあり、従って、前記出力コンデンサが爆発寸前である状況下では、前記電源スイッチを破壊し、前記変換器/駆動回路を恒久的に無効にすることは、許容可能である。
【0010】
更なる実施形態においては、公差を考慮した、前記第2制御ユニットの第2レベルの最高値は、公差を考慮した、前記出力コンデンサの前記「許容最大電圧」の最低値よりも小さく、前記「許容最大電圧」を超える、前記出力コンデンサにおける電圧は、前記出力コンデンサを爆発させる可能性がある。
【0011】
この実施形態は、前記出力コンデンサにおける任意の実際の電圧が、爆発の最も低い「許容最大電圧」よりも高い限り、前記第2制御回路をトリガすることを確実にする。この実施形態は、コンデンサの爆発からの信頼性の高い保護を提供する。
【0012】
更なる実施形態においては、前記第1レベルの公称値は、前記出力コンデンサを爆発させる可能性がある前記許容最大電圧未満である。これは、OVPのための前記第1制御回路の通常の要件である。
【0013】
更に他の実施形態においては、前記第2レベルの公称値は、前記第1レベルの公称値よりも高い。これにより、過電圧は、より一般的には、前記第1制御回路をトリガして出力電力を低減させ、前記第2制御回路をトリガせず、従って、前記駆動回路の電源スイッチは、必ずしも破壊されるわけではなく、過電圧から回復可能である。
【0014】
実施形態においては、前記第2制御回路は、前記出力コンデンサの陽極と前記電源スイッチの前記制御端子との間に接続される電圧トリガ構成要素を有し、前記電源スイッチの前記電流出力端子(前記電流出力端子は、n型MOSFET、GaN HEMETのソース端子、NPN BJTのエミッタなどを含むが、これらに限定されない)と、前記出力コンデンサの陰極とが、実質的に同じ電位にあり、前記電圧トリガ構成要素は、降伏し(breakdown)、前記出力コンデンサにおける電圧の第1部分を、前記電源スイッチの前記制御端子と前記電流出力端子との間に印加するよう適合される。
【0015】
この実施形態は、前記過電圧を検出し、前記過電圧自体を印加して前記電源スイッチを破壊するために、相対的に単純で低コストの構成要素を使用する。
【0016】
更なる実施形態においては、前記電圧トリガ構成要素は、降伏後、前記出力電圧の前記第1部分が前記電源スイッチの前記制御端子及び前記電流出力端子の最大定格電圧よりも高くなるように、最大でも、前記出力電圧の第2部分をクランプする(clamp)よう適合され、随意に、前記制御端子の最大定格電圧は、約20Vである。通常、前記電圧トリガ構成要素は、降伏後には前記電圧トリガ構成要素において小さな電圧又はゼロ電圧しか取得せず、従って、残りの過電圧は、前記電源スイッチを破壊するのに十分である。
【0017】
実施形態においては、前記電圧トリガ構成要素は、DIAC(交流用ダイオード)、TSS(過渡サージ抑制器)、ガス放電管及びVDR(電圧依存抵抗器)のうちの少なくとも1つを有する。
【0018】
これらは、小さい公差を持つ、非常に一般的な電圧トリガ構成要素であり、従って、本アプリケーションにおいて使用されるのに適している。TSS、DIAC、及びガス放電管は、降伏後には、それ自体には、たとえあったとしても、非常に小さな電圧しか課さない可能性が高く、前記出力コンデンサにおける前記過電圧の大部分は、前記電源スイッチを非常に迅速に破壊するよう、前記電源スイッチの前記制御端子に印加される。VDRに関しては、そのクランプ電圧が適切に選択されている限り、(クランプ電圧を差し引いた前記出力コンデンサにおける前記過電圧に等しい)残りの電圧は、依然として、前記電源スイッチに対して効率的である。
【0019】
実施形態においては、前記第1制御回路は、少なくとも部分的にICによって実施される。ICは、過電圧保護を実現する際に、より大きな公差を持つ傾向があり、従って、過電圧保護を二重にするための補完的保護手法として本願のアイデアを使用することは有益である。
【0020】
更なる実施形態においては、前記第1制御回路は、前記出力電圧を検知するための分圧器を有し、前記分圧器は、第1公差を持つものであり、前記第1制御回路は、基準電圧を生成するための回路、及び前記分圧器によって検知される電圧を前記基準電圧と比較するための比較器を有し、前記基準電圧を生成するための前記回路は、第2公差を持つものである。
【0021】
前記実施形態は、前記第1制御回路の必須部分、及び公差の元(original)を列挙している。
【0022】
代替実施形態においては、前記第1制御回路は、前記出力コンデンサにおける電圧を検知するために、
前記出力コンデンサに接続されるか、
前記変換回路の電力転流構成要素(power commutation component)であって、前記電力転流構成要素の電圧が前記出力コンデンサにおける電圧を反映している電力転流構成要素に結合されるかのいずれかである。
【0023】
本発明のアイデアは、OVPにおける直接的な電圧検出と間接的な電圧検出との両方に適用可能である。
【0024】
更なる実施形態においては、前記電力転流構成要素は、パワーインダクタ(power inductor)を有し、前記第1制御回路は、前記パワーインダクタに磁気的に結合される検知巻線を介して前記変換回路の前記パワーインダクタに結合され、前記検知巻線は、前記出力コンデンサにおける電圧を反映する際に第3公差を持つ。間接的な電圧検出を使用するOVPは大きな公差を持ち、従って、本願は、それに対する補完をするのに非常に適している。
【0025】
本発明の第2態様においては、第1態様による駆動回路を有し、前記駆動回路の前記出力に接続される前記発光源を更に有する照明回路が提供される。この態様は、全体として、前記発光源と提案OVP回路とを備える照明回路を提供する。
【0026】
下記の実施形態を参照して、本発明のこれら及び他の態様を説明し、明らかにする。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のより良い理解のために、及び本発明がどのようにして実施され得るかをより明確に示すために、ここで、ほんの一例として、添付図面を参照する。
図1】電圧フィードバックループを備える既知のLED駆動回路を示す。
図2】別の電圧フィードバックループを備える別の既知のLED駆動回路を示す。
図3】本発明の実施形態によるLED照明回路を示す。
図4】第2制御回路の電圧トリガ構成要素のV-I曲線を示す。
図5】出力コンデンサの許容最大電圧、第1制御回路の第1レベル、及び第2制御回路の第2レベルの(公差による)広がりを示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図を参照して本発明について説明する。
【0029】
詳細な説明及び特定の例は、装置、システム及び方法の例示的な実施形態を示しているが、説明の目的のためのものでしかなく、本発明の範囲を限定しようとするものではないことは理解されたい。本発明の装置、システム及び方法のこれら及び他の特徴、態様及び利点は、以下の説明、添付の特許請求の範囲及び添付の図面からよりよく理解されるようになるだろう。図は、単に概略的なものに過ぎず、縮尺通りには描かれていないことは、理解されたい。図の全体を通して、同じ参照符号は、同じ又は同様のパーツを示すために使用されていることも、理解されたい。
【0030】
図3は、本発明の或る実施例を示している。図2における構成要素と同じ参照符号を持つ構成要素は、同じ/同様の機能を有し、特に、OVPのための第1制御回路は、図2のものと同様であり、従って、ここでは冗長な説明はしない。
【0031】
追加の第2制御回路が、本願の本質的な革新である。前記第2制御回路は、出力コンデンサC2に接続され、電源スイッチM2の制御端子に接続され、出力コンデンサC2における電圧を検知し、第2制御回路によって検知される出力コンデンサC2における電圧が第2レベルを超えるときに、電源スイッチM2に損傷を与え、電源スイッチM2を恒久的に動作不能にするよう適合される。第2レベルは、出力コンデンサの許容最大電圧以下であり、故に、出力コンデンサの許容最大電圧を超える過電圧は、防止されることができる。第1制御回路に加えて、第2制御回路は、第1制御回路が、例えば前記第1制御回路の故障又は公差により、アクティブにならない極端な状況において、過電圧保護の最後の砦として機能する。
【0032】
第2制御回路は、好ましくは、降伏し、出力コンデンサC2における電圧の第1部分を、電源スイッチM2の制御端子と電流出力端子との間に印加するよう適合される電圧トリガ構成要素を有する。
【0033】
好ましくは、電圧トリガ構成要素は、サイリスタサージサ抑制器(TSS)D9によって実施される。図4は、TSSの一般的な特性を示している。コンデンサC1における通常の出力電圧においては、TSSは降伏せず、TSSの漏れ電流は、非常に小さく、5uAであり、主スイッチM1の通常の動作に影響を及ぼさない。LEDが、故障し、オープンになる場合、ブーストコンバータは、コンデンサC2を充電するために、依然として、電流を出力する。既存の電圧フィードバックループ/第1制御回路の上述の公差により、コンデンサC2の電圧が爆発の危険な閾値に達する前に、それが間に合うようにアクティブにならない可能性があり、その代わりに、第2制御回路が間に合うようにアクティブにされ得る。TSSにおける電圧がVDRMを超えると、TSSを流れる電流が劇的に増加し、MOSFET M2のゲートにおける電圧が、非常に急速に増加し、ゲートの安全な電圧レベル20Vを超え、MOSFETスイッチのゲートを破壊する。M2が破壊されることから、それ以上スイッチングは実行されず、それ以上エネルギはC2に流れ込まず、このことは、C2が爆発することを防止する。電圧トリガ構成要素の実施例に関しては、ジエジエ・マイクロエレクトロニクス株式会社製の2個のP3500DMが、D9として使用されることができる。このTSS D9の公差は、容易に+/-10%未満に制御される。2個のP3500DMは、1つにパッケージに統合されることもできる。TSSは、ガス放電管、VDR、又は電圧によってトリガされる可変インピーダンスを持つ、換言すれば、構成要素の両端の電圧が閾値に達すると、構成要素のインピーダンス、構成要素の両端の電圧がより少なくなる、若しくは構成要素を通る電流が非常に大きくなる、任意の他の構成要素に置き換えられることもできる。ガス放電管も、400又は600ボルト近くの電圧においては、40Vだけのような小さな公差を持つ。
【0034】
留意されるべきことは、TSS選択の場合、VDRMの公称値は、特にICの場合、定格OVP設定ポイントよりも高くなければならないことである(但し、製品ごとの、第1制御回路の実際のOVPポイントは、公差により異なる可能性があり、幾つかは、VDRMよりも高くなる可能性がある)。この目的は、可能な限り、理想的な状況での通常の過電圧保護は、まず、第1制御回路によって担われるようにすることであり、このような保護は回復可能である。第1回路の実際のOVPポイントが公差によりVDRMより高くドリフトしている極端な状況での過電圧保護は、まず、第2制御回路によって処理される。
【0035】
また、VDRMの最小値も、E-CAPの許容最大パルス許容最大電圧の最小公差値を下回る必要がある。従って、(許容最大パルス電圧の実際の値が、公差により、第1制御回路の実際のOVP設定ポイントよりも低い)極端な状況において、VDRMの最大値は、依然として、許容最大パルス電圧の実際の値よりも低く、故に、E-CAPにおける電圧は、許容最大パルス電圧の最小値よりも高い場合でも、依然として、VDRMを超えており、スイッチを破壊するようTSSを迅速にアクティブにすることができる。出力コンデンサは、許容最大パルス電圧よりも高い電圧に短時間だけさらされる可能性があるが、これは、出力コンデンサによってすぐに爆発することなく許容され得る。
【0036】
再び図5を例にとると、破線によって示されているように、VDRMである第2レベルは、公差を考慮した、その最高値が、公差を考慮した、出力コンデンサC2の許容最大電圧の最低値よりも小さいように決定される。更にポイントAを例にとると、出力コンデンサC2の最低許容最大電圧を超え、第2レベルを超える過電圧点Aが発生する場合、それは、第2制御回路をトリガして、E-CAPを爆発させられないように保護する。この場合には、ポイントAが、公差により第1制御回路のあり得る最大トリガポイントを依然として下回る可能性があることから、第1制御回路は、依然として、アクティブにされない。
【0037】
出力コンデンサの許容最大電圧の範囲/スケール、第1制御回路の公差範囲である第1レベル、及び第2制御回路の公差範囲である第2レベルは、単に説明のためのものであり、実際の値及び/又はスケールをそのようなものとして限定するものではないことに留意されたい。
【0038】
図3の実施形態は、検知巻線を有する図2の回路を改良したものである。本願は、そのようなものとして限定されるものではなく、図1の非巻線ソリューションにも適用されることができる。更に、本発明のアイデアは、完全ディスクリート部品/非ICソリューション、又はディスクリート部品及びICの組み合わせたソリューションのいずれかに適用されることもできる。
【0039】
当業者は、請求項記載の発明の実施において、図面、明細及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示されている実施形態に対する変形を、理解し、達成することができる。特許請求の範囲において、「有する」という単語は、他の要素又はステップを除外せず、単数形表記は、複数性を除外しない。
【0040】
単に、或る特定の手段が、相互に異なる従属請求項において挙げられているという事実は、これらの手段の組み合わせは有利になるようには使用されることができないことを示すものではない。
【0041】
特許請求の範囲又は明細書において「~するよう適合される」という用語が使用されている場合には、「~するよう適合される」という用語は、「~するよう構成される」という用語と同等であるよう意図されていることに留意されたい。
【0042】
特許請求の範囲における如何なる参照符号も、範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5