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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-11
(45)【発行日】2024-07-22
(54)【発明の名称】電源装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240712BHJP
【FI】
H02M3/28 S
H02M3/28 Q
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2024529117
(86)(22)【出願日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 JP2023038715
【審査請求日】2024-05-15
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 友哉
(72)【発明者】
【氏名】松田 善秋
【審査官】安池 一貴
(56)【参考文献】
【文献】特開昭54-001819(JP,A)
【文献】特開2017-093179(JP,A)
【文献】特開2017-038456(JP,A)
【文献】特開平07-322613(JP,A)
【文献】特開2009-060747(JP,A)
【文献】国際公開第2018/229853(WO,A1)
【文献】特開2004-274864(JP,A)
【文献】特開2008-011665(JP,A)
【文献】特開平07-327366(JP,A)
【文献】国際公開第2022/190925(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の1次巻線及び第2の1次巻線と、第1の2次巻線及び第2の2次巻線とを有し、前記第1の2次巻線と前記第2の2次巻線とが直列に接続されたトランス部と、
第1の電源線と第2の電源線との間に2つのスイッチング素子の組を少なくとも1組有し、当該2つのスイッチング素子の組が前記第1の1次巻線に接続される第1のスイッチング回路と、
前記第1の電源線と前記第2の電源線との間に2つのスイッチング素子の組を少なくとも1組有し、当該2つのスイッチング素子の組が前記第2の1次巻線に接続される第2のスイッチング回路と、
前記直列に接続された前記第1の2次巻線及び前記第2の2次巻線に流れる交流電圧を整流する整流部と、
チョークコイルを有し、前記整流部の出力を平滑化するチョークインプット型平滑回路と、
前記第1のスイッチング回路のスイッチング素子を、ZVS(Zero Volt Switching)可能な固定のデューティ比でスイッチングさせ、前記第2のスイッチング回路のスイッチング素子を、前記固定のデューティ比で位相をシフトさせてスイッチングさせるシフト制御を行う電源制御部と
直列に接続されている前記第1の2次巻線と前記第2の2次巻線との間に配置され、前記第1の2次巻線と前記第2の2次巻線と直列に接続されている共振インダクタンスと
を備える電源装置。
【請求項2】
前記第1のスイッチング回路及び前記第2のスイッチング回路が、ハーフブリッジ回路である
請求項1に記載の電源装置。
【請求項3】
前記トランス部は、前記第1の1次巻線と前記第1の2次巻線とを有する第1トランスと、前記第2の1次巻線と前記第2の2次巻線とを有する第2トランスとを含む
請求項1に記載の電源装置。
【請求項4】
前記第1の1次巻線が、前記第1のスイッチング回路の出力と前記第2の電源線との間で、直流遮断コンデンサと直列に接続されており、
前記第2の1次巻線が、前記第2のスイッチング回路の出力と前記第2の電源線との間で、直流遮断コンデンサと直列に接続されている
請求項3に記載の電源装置。
【請求項5】
前記直流遮断コンデンサが、前記第1の1次巻線及び前記第2の1次巻線と、前記第2の電源線との間で、共通に配置されている
請求項に記載の電源装置。
【請求項6】
前記第1のスイッチング回路及び前記第2のスイッチング回路を複数備え、
前記トランス部は、前記第1トランスと前記第2トランスとの組を複数備える
請求項3に記載の電源装置。
【請求項7】
複数の前記第1トランスと前記第2トランスとの組の全ての2次巻線は、直列に接続され、1つの整流部に接続されている
請求項に記載の電源装置。
【請求項8】
並列に接続された複数の前記整流部を備え、
複数の前記第1トランスと前記第2トランスとの組のそれぞれの2次巻線は、複数の前記整流部のそれぞれに接続されている
請求項に記載の電源装置。
【請求項9】
前記第1のスイッチング回路及び前記第2のスイッチング回路が、フルブリッジ回路、及びプッシュプル方式いずれかのスイッチング回路である
請求項1に記載の電源装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ZVS(Zero Voltage Switching)を用いた電源装置が広く普及している(例えば、特許文献1を参照)。例えば、電動車で使用される高電圧バッテリから低電圧バッテリへの電力変換に使用する電源装置では、位相シフトフルブリッジ回路構成が主流である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-38456号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述のような従来の電源装置では、広負荷変動範囲、及び広入力範囲で使用しようとすると、軽負荷時にZVSに必要な励磁電流が確保できずに、損失が大きくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる電源装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題を解決するために、本発明の一態様は、第1の1次巻線及び第2の1次巻線と、第1の2次巻線及び第2の2次巻線とを有し、前記第1の2次巻線と前記第2の2次巻線とが直列に接続されたトランス部と、第1の電源線と第2の電源線との間に2つのスイッチング素子の組を少なくとも1組有し、当該2つのスイッチング素子の組が前記第1の1次巻線に接続される第1のスイッチング回路と、前記第1の電源線と前記第2の電源線との間に2つのスイッチング素子の組を少なくとも1組有し、当該2つのスイッチング素子の組が前記第2の1次巻線に接続される第2のスイッチング回路と、前記直列に接続された前記第1の2次巻線及び前記第2の2次巻線に流れる交流電圧を整流する整流部と、チョークコイルを有し、前記整流部の出力を平滑化するチョークインプット型平滑回路と、前記第1のスイッチング回路のスイッチング素子を、ZVS(Zero Voltage Switching)可能な固定のデューティ比でスイッチングさせ、前記第2のスイッチング回路のスイッチング素子を、前記固定のデューティ比で位相をシフトさせてスイッチングさせるシフト制御を行う電源制御部とを備える電源装置である。
【0007】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記第1のスイッチング回路及び前記第2のスイッチング回路が、ハーフブリッジ回路であってもよい。
【0008】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記トランス部は、前記第1の1次巻線と前記第1の2次巻線とを有する第1トランスと、前記第2の1次巻線と前記第2の2次巻線とを有する第2トランスとを含んでもよい。
【0009】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、直列に接続されている前記第1の2次巻線と前記第2の2次巻線との間に、配置され、前記第1の2次巻線と前記第2の2次巻線と直列に接続されている共振インダクタンスを備えてもよい。
【0010】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記第1の1次巻線が、前記第1のスイッチング回路の出力と前記第2の電源線との間で、直流遮断コンデンサと直列に接続されており、前記第2の1次巻線が、前記第2のスイッチング回路の出力と前記第2の電源線との間で、直流遮断コンデンサと直列に接続されていてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記直流遮断コンデンサが、前記第1の1次巻線及び前記第2の1次巻線と、前記第2の電源線との間で、共通に配置されていてもよい。
【0012】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記トランス部は、2次側にセンタタップを有し、前記整流部は、前記センタタップを用いて、両波整流を行ってもよい。
【0013】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記第1のスイッチング回路と前記第2のスイッチング回路との組を複数備え、前記トランス部は、前記第1トランスと前記第2トランスとの組を複数備えていてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、複数の前記第1トランスと前記第2トランスとの組の全ての2次巻線は、直列に接続され、1つの整流部に接続されていてもよい。
【0015】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、並列に接続された複数の前記整流部を備え、複数の前記第1トランスと前記第2トランスとの組のそれぞれの2次巻線は、複数の前記整流部のそれぞれに接続されていてもよい。
【0016】
また、本発明の一態様は、上記の電源装置において、前記第1のスイッチング回路及び前記第2のスイッチング回路が、フルブリッジ回路、プッシュプル方式、及びアクティブクランプ方式のいずれかのスイッチング回路であってもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、電源装置は、第1の1次巻線及び第2の1次巻線と、第1の2次巻線及び第2の2次巻線とを有し、第1の2次巻線と第2の2次巻線とが直列に接続されたトランス部とを備え、電源制御部が、第1の1次巻線に接続されている第1のスイッチング回路のスイッチング素子を、ZVS可能な固定のデューティ比でスイッチングさせ、第2の1次巻線に接続されている第2のスイッチング回路のスイッチング素子を、固定のデューティ比で位相をシフトさせてスイッチングさせるシフト制御を行う。これにより、電源装置は、ZVSに必要な励磁電流を確保した状態でシフト制御を行うため、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の実施形態による電源装置の一例を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態による電源装置の動作の一例を示す図である。
図3】第2の実施形態による電源装置の一例を示すブロック図である。
図4】第3の実施形態による電源装置の一例を示すブロック図である。
図5】第4の実施形態による電源装置の一例を示すブロック図である。
図6】第5の実施形態による電源装置の一例を示すブロック図である。
図7】第6の実施形態による電源装置の一例を示すブロック図である。
図8】第6の実施形態におけるスイッチング回路の第1の変形例を示す図である。
図9】第6の実施形態におけるスイッチング回路の第2の変形例を示す図である。
図10】第6の実施形態におけるスイッチング回路の第3の変形例を示す図である。
図11】第6の実施形態におけるスイッチング回路の第4の変形例を示す図である。
図12】第6の実施形態における整流部の第1の変形例を示す図である。
図13】第6の実施形態における整流部の第2の変形例を示す図である。
図14】第7の実施形態による電源装置の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態による電源装置について、図面を参照して説明する。
【0020】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態による電源装置1の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、電源装置1は、直流電源2から供給する入力電圧Vinの直流電圧から、負荷部3に供給する出力電圧Voutの直流電圧を生成するDC/DCコンバータである。
【0021】
電源装置1は、コンデンサ(11、12)と、スイッチング回路(21、22)と、トランス部30と、整流部40と、平滑回路50と、電源制御部60とを備える。
【0022】
直流電源2は、例えば、電動車で使用される高電圧バッテリであり、電源装置1に入力電圧Vinの直流電圧を供給する。直流電源2は、正極側の電源端子に、正極側の電源線L1が接続され、負極側の電源端子に、負極側の電源線L2が接続されている。
【0023】
負荷部3は、例えば、電動車で使用される低電圧バッテリや各種負荷であり、電源装置1から出力電圧Voutの直流電圧を供給する。負荷部3は、電源装置1の2次側の負極の電源線L4と、出力端子VOとの間に接続される。
【0024】
コンデンサ11と、コンデンサ12とは、電源線L1(第1の電源線)と、電源線L2(第2の電源線)との間に直列に接続されている。直列に接続されているコンデンサ11とコンデンサ12との中点(ノードN3)が、後述するトランス31及びトランス32の1次側の一端に接続されている。
【0025】
スイッチング回路21(第1のスイッチング回路の一例)は、例えば、ハーフブリッジ回路であり、2つのスイッチング素子(211、212)を備える。スイッチング回路21では、電源線L1(電力供給線)と電源線L2(1次側GND線)との間に2つのスイッチング素子(211、212)が直列に接続されている。スイッチング回路21は、直列に接続された当該2つのスイッチング素子(211、212)の中点(ノードN1)を出力として1次コイル311に接続される。スイッチング回路21は、電源線L1(電力供給線)と電源線L2(1次側GND線)との間に少なくとも1つのスイッチング素子(211、212)が含まれ、当該スイッチング素子(211、212)が1次コイル311に接続される。
【0026】
スイッチング素子211及びスイッチング素子212は、例えば、nMOSFET(n型MOS電界効果トランジスタ)であり、電源線L1と電源線L2との間に、直列に接続されている。
【0027】
スイッチング素子211は、ソース端子がノードN1に、ドレイン端子が電源線L1に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G1の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G1は、スイッチング素子211を制御するパルス信号である。
【0028】
また、スイッチング素子212は、ソース端子が電源線L2に、ドレイン端子がノードN1に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G2の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G2は、スイッチング素子212を制御するパルス信号である。
【0029】
スイッチング回路21は、電源制御部60によりスイッチング素子(211、212)がスイッチングされることにより、ノードN1から交流信号を出力して、交流信号をトランス31の1次コイル311に供給する。
【0030】
スイッチング回路22(第2のスイッチング回路の一例)は、例えば、ハーフブリッジ回路であり、2つのスイッチング素子(221、222)を備える。スイッチング回路22では、電源線L1と電源線L2との間に2つのスイッチング素子(221、222)が直列に接続されている。スイッチング回路22は、直列に接続された当該2つのスイッチング素子(221、222)の中点(ノードN2)を出力として1次コイル321に接続される。スイッチング回路22は、電源線L1と電源線L2との間に少なくとも1つのスイッチング素子(221、222)が含まれ、当該スイッチング素子(221、222)が1次コイル321に接続される。
【0031】
スイッチング素子221及びスイッチング素子222は、例えば、nMOSFETであり、電源線L1と電源線L2との間に、直列に接続されている。
【0032】
スイッチング素子221は、ソース端子がノードN2に、ドレイン端子が電源線L1に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G3の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G3は、スイッチング素子221を制御するパルス信号である。
【0033】
また、スイッチング素子222は、ソース端子が電源線L2に、ドレイン端子がノードN2に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G4の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G4は、スイッチング素子222を制御するパルス信号である。
【0034】
スイッチング回路22は、電源制御部60によりスイッチング素子(221、222)がスイッチングされることにより、ノードN2から交流信号を出力して、交流信号をトランス32の1次コイル321に供給する。
【0035】
トランス部30は、1次コイル311(第1の1次巻線)及び1次コイル321(第2の1次巻線)と、2次コイル312(第1の2次巻線)及び2次コイル322(第2の2次巻線)とを有し、2次コイル312と2次コイル322とが直列に接続されている。
トランス部30は、トランス31と、トランス32とを備える。
【0036】
トランス31(第1トランスの一例)は、スイッチング回路21に接続されている。トランス31は、1次コイル311と2次コイル312とを備える。
1次コイル311は、第1端が漏れインダクタンスLr1を介して、スイッチング回路21のノードN1に、第2端がノードN3に接続されている。なお、漏れインダクタンスLr1は、1次コイル311の漏れインダクタンスである。
【0037】
なお、漏れインダクタンスLr1は、ZVSのための共振回路として利用される。漏れインダクタンスLr1は、共振インダクタンス(共振チョーク)として、挿入されていてもよいし、外付けの共振チョークでもよい。
【0038】
2次コイル312は、後述する整流部40に接続されている。2次コイル312は、第1端が後述するノードN4に、第2端が2次コイル322の第1端に接続されている。
【0039】
トランス32(第2トランスの一例)は、スイッチング回路22に接続されている。トランス32は、1次コイル321と2次コイル322とを備える。
1次コイル321は、第1端が漏れインダクタンスLr2を介して、スイッチング回路22のノードN2に、第2端がノードN3に接続されている。なお、漏れインダクタンスLr2は、1次コイル321の漏れインダクタンスである。
【0040】
なお、漏れインダクタンスLr2は、ZVRのための共振回路として利用される。漏れインダクタンスLr2は、共振インダクタンス(共振チョーク)として、挿入されていてもよい。
【0041】
2次コイル322は、後述する整流部40に接続されている。2次コイル322は、第1端が2次コイル312の第2端に、第2端が後述するノードN5に接続されている。
【0042】
整流部40は、直列に接続された2次コイル312及び2次コイル322に流れる交流電圧を整流する。整流部40は、例えば、同期整流回路であり、スイッチング素子41、スイッチング素子42、スイッチング素子43、及びスイッチング素子44を備える。整流部40は、トランス部30の出力を整流した直流電圧を、電源線L3と電源線L4(2次側GND線)との間に出力する。
【0043】
スイッチング素子41及びスイッチング素子42は、例えば、nMOSFETであり、電源線L3と電源線L4との間に、直列に接続されている。また、直列に接続されたスイッチング素子41とスイッチング素子42との中点(ノードN4)が、トランス31の2次コイル312の第1端に接続されている。
【0044】
スイッチング素子41は、ソース端子がノードN4に、ドレイン端子が電源線L3に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G5の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G5は、スイッチング素子41を制御するパルス信号である。
【0045】
また、スイッチング素子42は、ソース端子が電源線L4に、ドレイン端子がノードN4に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G6の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G6は、スイッチング素子42を制御するパルス信号である。
【0046】
スイッチング素子43及びスイッチング素子44は、例えば、nMOSFETであり、電源線L3と電源線L4との間に、直列に接続されている。また、直列に接続されたスイッチング素子43とスイッチング素子44との中点(ノードN5)が、トランス32の2次コイル322の第2端に接続されている。
【0047】
スイッチング素子43は、ソース端子がノードN5に、ドレイン端子が電源線L3に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G7の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G7は、スイッチング素子43を制御するパルス信号である。
【0048】
また、スイッチング素子44は、ソース端子が電源線L4に、ドレイン端子がノードN5に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G8の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G8は、スイッチング素子44を制御するパルス信号である。
【0049】
平滑回路50は、整流部40の出力を平滑化する。平滑回路50は、例えば、チョークインプット型平滑回路であり、チョークコイル51と、コンデンサ52とを有する。平滑回路50は、平滑化した直流電圧を、出力端子VOから負荷部3に出力する。
【0050】
チョークコイル51は、電源線L3と、出力線L5との間に接続され、チョークインプット型平滑回路に利用される。
コンデンサ52は、例えば、平滑コンデンサであり、出力線L5と、電源線L4との間に接続されている。
【0051】
電源制御部60は、例えば、CPU(Central Processing Unit)を含むプロセッサであり、電源装置1を統括的に制御する。電源制御部60は、スイッチング回路21のスイッチング素子(211、212)を、固定のデューティ比(例えば、デューティ比50%)でスイッチングさせ、スイッチング回路22のスイッチング素子(221、222)を、同様の固定のデューティ比(例えば、デューティ比50%)で位相をシフトさせてスイッチングさせるシフト制御を行う。
【0052】
ここで、固定のデューティ比は、軽負荷時でもZVS可能なデューティ比である。また、ZVSが可能な条件は、下記の式(1)により表される。
【0053】
(1/2)・Lr・(io+iLm)>(1/2)・(2Coss・Vin)… (1)
【0054】
ここで、Lrは、漏れインダクタンスLr1(Lr2)のインダクタンス値であり、iは、漏れインダクタンスLr1(Lr2)に流れる電流である。また、Cossは、スイッチング素子211(212、221、222)の出力容量値であり、Vinは、直流電源2による入力電圧である。また、ioは、負荷電流の1次側換算値であり、iLmは、励磁電流である。
【0055】
電源制御部60では、直流電源2による入力電圧Vinの使用範囲、及び電源装置1の使用負荷範囲において、上記の式(1)を満たすように、スイッチング素子(211、212、221、222)のデューティ比が、固定で設定されている。
【0056】
また、電源制御部60は、入力電圧Vin及び負荷部3の負荷に応じて、出力電圧Voutが、設定電圧(目標電圧)になるように、スイッチング回路22の位相のシフト量を変更するシフト制御を行う。具体的に、電源制御部60は、シフト制御による制御信号G1から制御信号G4を出力する。
【0057】
また、電源制御部60は、スイッチング回路21及びスイッチング回路22のスイッチング素子(211、212、221、222)のスイッチングタイミングに応じて、整流部40の同期整流を制御する制御信号G5~制御信号G8を出力する。すなわち、電源制御部60は、整流部40のスイッチング素子41~スイッチング素子44のスイッチングを制御する制御信号G5~制御信号G8を出力する。
【0058】
次に、図面を参照して、本実施形態による電源装置1の動作について説明する。
図2は、本実施形態による電源装置1の動作の一例を示す図である。
【0059】
図2において、波形W1~波形W7の各波形は、上から順に、制御信号G1、制御信号G2、制御信号G3、制御信号G4、トランス31の出力電圧Vs1、トランス32の出力電圧Vs2、及び整流部40の出力電圧Vs3の波形を示している。
【0060】
また、波形W8~波形W11の各波形は、上から順に、スイッチング素子211のドレイン電流ID_Q1、スイッチング素子212のドレイン電流ID_Q2、スイッチング素子221のドレイン電流ID_Q3、及びスイッチング素子222のドレイン電流ID_Q4の波形を示している。
【0061】
また、波形W12~波形W15の各波形は、上から順に、スイッチング素子211のドレイン-ソース電圧VDS_Q1、スイッチング素子212のドレイン-ソース電圧VDS_Q2、スイッチング素子221のドレイン-ソース電圧VDS_Q3、及びスイッチング素子222のドレイン-ソース電圧VDS_Q4の波形を示している。
また、上述した波形W1~波形W15の各波形の横軸は、時間を示している。
【0062】
図2に示すように、時刻T1において、電源制御部60は、制御信号G2をH状態(High状態)からL状態(Low状態)に変更して、スイッチング素子212をオフ状態(非接続状態)にする。また、時刻T2において、電源制御部60は、制御信号G1をL状態からH状態に変更して、スイッチング素子211をオン状態(接続状態)にする。なお、時刻T2において、電源制御部60は、制御信号G3をL状態にしており、制御信号G4をH状態にしている。これにより、スイッチング素子221は、オフ状態であり、スイッチング素子222は、オン状態である。
【0063】
また、時刻T2において、電源装置1は、モードMD1に移行し、1次側で、トランス31の1次コイル311からノードN1を介して、スイッチング素子211に電流が流れるとともに、スイッチング素子222からノードN2を介して、トランス32の1次コイル321に電流が流れる。また、電源制御部60は、制御信号G5及び制御信号G8をH状態にし、制御信号G6及び制御信号G7をL状態にすることで、2次側において、スイッチング素子41及びスイッチング素子44をオン状態にし、スイッチング素子42及びスイッチング素子43をオフ状態にする。ここでは、波形W7が示すように、整流部40の出力電圧Vs3は、0Vとなる。
【0064】
次に、時刻T3において、電源制御部60は、制御信号G4をH状態からL状態に変更して、スイッチング素子222をオフ状態にする。また、時刻T4において、電源制御部60は、制御信号G3をL状態からH状態に変更して、スイッチング素子221をオン状態にする。
【0065】
また、時刻T4において、電源装置1は、モードMD2に移行し、1次側で、トランス31の1次コイル311からノードN1を介して、スイッチング素子211に電流が流れるとともに、スイッチング素子221からノードN2を介して、トランス32の1次コイル321に電流が流れる。また、電源制御部60は、モードMD2において、モードMD1と同様に、制御信号G5及び制御信号G8をH状態にし、制御信号G6及び制御信号G7をL状態にすることで、2次側において、スイッチング素子41及びスイッチング素子44をオン状態にし、スイッチング素子42及びスイッチング素子43をオフ状態にする。ここでは、波形W7が示すように、整流部40の出力電圧Vs3は、(電圧Vs1+電圧Vs2)となる。
【0066】
次に、時刻T5において、電源制御部60は、制御信号G1をH状態からL状態に変更して、スイッチング素子211をオフ状態にする。また、時刻T6において、電源制御部60は、制御信号G2をL状態からH状態に変更して、スイッチング素子212をオン状態にする。
【0067】
また、時刻T6において、電源装置1は、モードMD3に移行し、1次側で、トランス31の1次コイル311からノードN1を介して、スイッチング素子212に電流が流れるとともに、スイッチング素子221からノードN2を介して、トランス32の1次コイル321に電流が流れる。また、電源制御部60は、モードMD3において、制御信号G5及び制御信号G8をL状態にし、制御信号G6及び制御信号G7をH状態にすることで、2次側において、スイッチング素子41及びスイッチング素子44をオフ状態にし、スイッチング素子42及びスイッチング素子43をオン状態にする。ここでは、波形W7が示すように、整流部40の出力電圧Vs3は、0Vとなる。
【0068】
次に、時刻T7において、電源制御部60は、制御信号G3をH状態からL状態に変更して、スイッチング素子221をオフ状態にする。また、時刻T8において、電源制御部60は、制御信号G4をL状態からH状態に変更して、スイッチング素子222をオン状態にする。
【0069】
また、時刻T8において、電源装置1は、モードMD4に移行し、1次側で、トランス31の1次コイル311からノードN1を介して、スイッチング素子212に電流が流れるとともに、トランス32の1次コイル321からノードN2を介して、スイッチング素子221に電流が流れる。また、電源制御部60は、モードMD4において、モードMD3と同様に、制御信号G5及び制御信号G8をL状態にし、制御信号G6及び制御信号G7をH状態にすることで、2次側において、スイッチング素子41及びスイッチング素子44をオフ状態にし、スイッチング素子42及びスイッチング素子43をオン状態にする。ここでは、波形W7が示すように、整流部40の出力電圧Vs3は、(電圧Vs1+電圧Vs2)となる。
【0070】
次に、時刻T9及び時刻T10は、上述した時刻T1及び時刻T2と同様な状態である。
このように、図2において、モードMD1は、時刻T2から時刻T3までの期間であり、モードMD2は、時刻T4から時刻T5までの期間である。また、モードMD3は、時刻T6から時刻T7までの期間であり、モードMD4は、時刻T8から時刻T9までの期間である。
【0071】
また、図2において、期間Tは、電源装置1の1周期の処理機関を示し、位相シフト量ΔPHは、シフト制御の位相シフト値を示している。電源装置1は、出力電圧Voutが設定された目標電圧値になるように、位相シフト量ΔPHを変更する。
【0072】
また、図1及び図2において、トランス31の出力電圧Vs1は、下記の式(2)により表される。また、トランス32の出力電圧Vs2は、下記の式(3)により表される。
【0073】
Vs1=Vp1×N2/N1 … (2)
Vs2=Vp2×N2/N1 … (3)
【0074】
ここで、電圧Vp1は、トランス31の入力電圧であり、電圧Vp2は、トランス32の入力電圧である。なお、電圧Vp1の絶対値と、電圧Vp2の絶対値とは、等しいものとする(|Vp1|=|Vp2|)。また、N1は、1次コイル311及び1次コイル321のコイルの巻き数を示し、N2は、2次コイル312及び2次コイル322のコイルの巻き数を示している。
【0075】
また、整流部40の出力電圧Vs3は、下記の式(4)により表される。
【0076】
Vs3=Vs1+Vs2 … (4)
【0077】
また、本実施形態による電源装置1の出力電圧Voutは、下記の式(5)により表される。
【0078】
Vout=Vs3の平均値 … (5)
【0079】
なお、電源制御部60は、出力電圧Voutが、設定された目標電圧より低い場合に、上述したモードMD2及びモードMD4の期間が長くなるように、スイッチング回路22の位相のシフトを変更する。また、電源制御部60は、出力電圧Voutが、設定された目標電圧より低い場合に、上述したモードMD2及びモードMD4の期間が短くなるように、スイッチング回路22の位相のシフトを変更する。
【0080】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1は、トランス部30と、スイッチング回路21(第1のスイッチング回路)と、スイッチング回路22(第2のスイッチング回路)と、整流部40と、平滑回路50(チョークインプット型平滑回路)と、電源制御部60とを備える。トランス部30は、1次コイル311(第1の1次巻線)及び1次コイル321(第2の1次巻線)と、2次コイル312(第1の2次巻線)及び2次コイル322(第2の2次巻線)とを有し、2次コイル312と2次コイル322とが直列に接続されている。スイッチング回路21は、電源線L1(第1の電源線)と電源線L2(第2の電源線)との間に2つのスイッチング素子(211、212)の組を少なくとも1組有し、当該2つのスイッチング素子(211、212)の組が1次コイル311に接続される。スイッチング回路22は、電源線L1と電源線L2との間に2つのスイッチング素子(221、222)の組を少なくとも1組有し、当該2つのスイッチング素子(221、222)の組が1次コイル321に接続される。整流部40は、直列に接続された2次コイル312及び2次コイル322に流れる交流電圧を整流する。平滑回路50は、チョークコイル51を有し、整流部40の出力を平滑化するチョークインプット型平滑回路である。電源制御部60は、スイッチング回路21のスイッチング素子(211、212)を、ZVS可能な固定のデューティ比(例えば、デューティ比50%)でスイッチングさせ、スイッチング回路22のスイッチング素子(221、222)を、固定のデューティ比(例えば、デューティ比50%)で位相をシフトさせてスイッチングさせるシフト制御を行う。
【0081】
これにより、本実施形態による電源装置1は、ZVSに必要な励磁電流を確保した状態でシフト制御を行うため、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる。本実施形態による電源装置1は、例えば、電動車で使用される高電圧バッテリから低電圧バッテリへの電力変換に使用する場合のように、広負荷変動範囲、及び広入力範囲で使用しても、軽負荷時にZVSに必要な励磁電流が確保することができ(図2参照)、損失を低減することができる。
【0082】
また、本実施形態による電源装置1は、出力側(2次側)に、チョークインプット型平滑回路である平滑回路50を備えるため、単純にコンデンサで平滑化する場合に比べて、電流リプルを低減することができる。
【0083】
また、本実施形態では、スイッチング回路21は、電源線L1(第1の電源線)と電源線L2(第2の電源線)の間に2つのスイッチング素子(211、212)が直列に接続され、直列に接続された当該2つのスイッチング素子(211、212)の中点(ノードN1)を出力として1次コイル311に接続される。スイッチング回路22は、電源線L1(第1の電源線)と電源線L2(第2の電源線)との間に2つのスイッチング素子(221、222)が直列に接続され、直列に接続された当該2つのスイッチング素子(221、222)の中点(ノードN2)を出力として1次コイル321に接続される。スイッチング回路21及びスイッチング回路22が、ハーフブリッジ回路である。
これにより、本実施形態による電源装置1は、ハーフブリッジ回路という簡易なスイッチング回路により、広負荷変動範囲及び広入力範囲で高効率化を実現することができる。
【0084】
また、本実施形態では、トランス部30は、1次コイル311と2次コイル312とを有するトランス31(第1トランス)と、1次コイル321と2次コイル322とを有するトランス32(第2トランス)とを含む。
【0085】
これにより、本実施形態による電源装置1は、2つのトランス(31、32)を用いて、2つの2次コイル(312、322)を直列に接続することで、汎用の部品を用いて簡単に、広負荷変動範囲及び広入力範囲で高効率化を実現することができる。
【0086】
[第2の実施形態]
次に、図面を参照して、第2の実施形態による電源装置1aについて説明する。
第2の実施形態では、トランス部30の1次側に、DCカットコンデンサを挿入する変形例について説明する。
【0087】
図3は、第2の実施形態による電源装置1aの一例を示すブロック図である。
図3に示すように、電源装置1aは、コンデンサ10と、コンデンサ13と、コンデンサ14と、スイッチング回路(21、22)と、トランス部30と、整流部40と、平滑回路50と、電源制御部60とを備える。
【0088】
なお、図3において、図1と同一の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0089】
コンデンサ10は、電源線L1と電源線L2との間に接続された平滑コンデンサである。コンデンサ10は、直流電源2からの入力電圧を平滑化する。
【0090】
コンデンサ13は、ノードN1と、漏れインダクタンスLr1との間に接続されたDCカットコンデンサ(直流遮断コンデンサ)である。すなわち、1次コイル311が、スイッチング回路21の出力と電源線L2(第2の電源線)との間で、コンデンサ13と直列に接続されている。
【0091】
コンデンサ13は、スイッチング回路21から、漏れインダクタンスLr1を介して、1次コイル311に、スイッチング回路21の出力の直流成分を遮断し、交流成分を伝達する。
【0092】
コンデンサ14は、ノードN2と、漏れインダクタンスLr2との間に接続されたDCカットコンデンサ(直流遮断コンデンサ)である。すなわち、1次コイル321が、スイッチング回路22の出力と電源線L2(第2の電源線)との間で、コンデンサ14と直列に接続されている。
【0093】
コンデンサ14は、スイッチング回路22から、漏れインダクタンスLr2を介して、1次コイル321に、スイッチング回路22の出力の直流成分を遮断し、交流成分を伝達する。
【0094】
その他の構成及び電源装置1aの動作は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0095】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1aは、コンデンサ13と、コンデンサ14と、スイッチング回路(21、22)と、トランス部30と、整流部40と、平滑回路50と、電源制御部60とを備える。1次コイル311が、スイッチング回路21の出力と電源線L2(第2の電源線)との間で、コンデンサ13(直流遮断コンデンサ)と直列に接続されている。また、1次コイル321が、スイッチング回路22の出力と電源線L2(第2の電源線)との間で、コンデンサ14(直流遮断コンデンサ)と直列に接続されている。
【0096】
これにより、本実施形態による電源装置1aは、第1の実施形態による電源装置1と同様の効果を奏し、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる。
【0097】
[第3の実施形態]
次に、図面を参照して、第3の実施形態による電源装置1bについて説明する。
第3の実施形態では、トランス部30の1次側に、DCカットコンデンサを挿入する別の変形例について説明する。第3の実施形態では、1次側GND線(電源線L2)側に、DCカットコンデンサを挿入する例を説明する。
【0098】
図4は、第3の実施形態による電源装置1bの一例を示すブロック図である。
図4に示すように、電源装置1bは、コンデンサ10と、コンデンサ15と、スイッチング回路(21、22)と、トランス部30と、整流部40と、平滑回路50と、電源制御部60とを備える。
【0099】
なお、図4において、図3と同一の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略する。本実施形態では、電源装置1bは、図3のコンデンサ13及びコンデンサ14の代わりに、コンデンサ15を備える。
【0100】
コンデンサ15は、1次コイル311及び1次コイル321(ノードN6)と電源線L2との間に接続されたDCカットコンデンサ(直流遮断コンデンサ)である。すなわち、1次コイル311が、スイッチング回路21の出力と電源線L2との間で、コンデンサ15と直列に接続されているとともに、1次コイル321が、スイッチング回路22の出力と電源線L2との間で、コンデンサ15と直列に接続されている。すなわち、コンデンサ15が、1次コイル311及び1次コイル321と、電源線L2との間で、共通に配置されている。
【0101】
その他の構成及び電源装置1bの動作は、上述した第1の実施形態と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0102】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1bは、コンデンサ15と、スイッチング回路(21、22)と、トランス部30と、整流部40と、平滑回路50と、電源制御部60とを備える。1次コイル311が、スイッチング回路21の出力と電源線L2(第2の電源線)との間で、コンデンサ15(直流遮断コンデンサ)と直列に接続されている。また、1次コイル321が、スイッチング回路22の出力と電源線L2(第2の電源線)との間で、コンデンサ15(直流遮断コンデンサ)と直列に接続されている。
【0103】
これにより、本実施形態による電源装置1bは、第1の実施形態による電源装置1と同様の効果を奏し、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる。なお、本実施形態による電源装置1bでは、電源線L2側に、DCカットコンデンサ(コンデンサ15)を接続あいているため、1次コイル311と1次コイル321とで、DCカットコンデンサを共通化することができる。
【0104】
[第4の実施形態]
次に、図面を参照して、第4の実施形態による電源装置1cについて説明する。
第4の実施形態では、トランス部30の2次側をセンタタップ方式に変更した変形例について説明する。
【0105】
図5は、第4の実施形態による電源装置1cの一例を示すブロック図である。
図5に示すように、電源装置1cは、コンデンサ(11、12)と、スイッチング回路(21、22)と、トランス部30aと、整流部40aと、平滑回路50と、電源制御部60aとを備える。
【0106】
なお、図5において、図1と同一の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略する。本実施形態では、トランス部30aの2次側がセンタタップ方式に変更されている点と、整流部40aが、センタタップを用いて、両波整流を行う点、及び電源制御部60aの整流部40aに対する制御が異なる点が、第1の実施形態と異なる。
【0107】
トランス部30aは、トランス31a(第1トランス)と、トランス32a(第2トランス)とを備える。トランス部30aは、1次コイル311及び1次コイル321と、2次コイル312A及び2次コイル312Bと、2次コイル322A及び2次コイル322Bとを有している。また、トランス部30aでは、2次コイル312Aと2次コイル322Aとが直列に接続されているとともに、2次コイル312Bと2次コイル322Bとが直列に接続されている。
【0108】
トランス31aは、1次コイル311と、2次コイル312A及び2次コイル312Bとを備える。
2次コイル312A(第1の2次巻線の一例)は、第1端が整流部40aのスイッチング素子42のドレイン端子に、第2端が2次コイル322Aの第1端に接続されている。
【0109】
また、2次コイル312B(第1の2次巻線の一例)は、第1端が2次コイル322Aの第2端(ノードN7)に、第2端が2次コイル322Bの第1端に接続されている。
【0110】
トランス32aは、1次コイル321と、2次コイル322A及び2次コイル322Bとを備える。
2次コイル322A(第2の2次巻線の一例)は、第1端が2次コイル312Aの第2端に、第2端が2次コイル312Bの第1端(ノードN7)に接続されている。
【0111】
また、2次コイル322B(第2の2次巻線の一例)は、第1端が2次コイル312Bの第2端に、第2端が整流部40aのスイッチング素子44のドレイン端子に、接続されている。
なお、トランス部30aにおいて、ノードN7が、センタタップに相当する。
【0112】
整流部40aは、トランス部30aの2次側に流れる交流電圧を整流する。整流部40aは、例えば、同期整流回路であり、センタタップ(ノードN7)を用いて、両波整流を行う。
整流部40aは、スイッチング素子42及びスイッチング素子44を備える。整流部40aは、トランス部30の出力を整流した直流電圧を、電源線L3と電源線L4(2次側GND線)との間に出力する。
【0113】
スイッチング素子42は、例えば、nMOSFETであり、2次コイル312Aの第1端と電源線L4との間に接続されている。スイッチング素子42は、ソース端子が電源線L4に、ドレイン端子が2次コイル312Aの第1端に、ゲート端子が電源制御部60aから出力される制御信号G6の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G6は、スイッチング素子42を制御するパルス信号である。
【0114】
スイッチング素子44は、例えば、nMOSFETであり、2次コイル322Bの第2端と電源線L4との間に接続されている。スイッチング素子44は、ソース端子が電源線L4に、ドレイン端子が2次コイル322Bの第2端に、ゲート端子が電源制御部60aから出力される制御信号G8の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G8は、スイッチング素子44を制御するパルス信号である。
【0115】
本実施形態における平滑回路50は、トランス部30aの2次側のセンタタップ(ノードN7)である電源線L3に接続され、整流部40aの出力を平滑化する。
【0116】
電源制御部60aは、第1の実施形態の電源制御部60と同様に、スイッチング回路21のスイッチング素子(211、212)及びスイッチング回路22のスイッチング素子(221、222)を制御する。すなわち、電源制御部60aは、スイッチング回路21のスイッチング素子(211、212)を、固定のデューティ比(例えば、デューティ比50%)でスイッチングさせ、スイッチング回路22のスイッチング素子(221、222)を、同様の固定のデューティ比(例えば、デューティ比50%)で位相をシフトさせてスイッチングさせるシフト制御を行う。
【0117】
また、電源制御部60aは、スイッチング回路21及びスイッチング回路22のスイッチング素子(211、212、221、222)のスイッチングタイミングに応じて、整流部40aの同期整流を制御する制御信号G6及び制御信号G8を出力する。すなわち、電源制御部60aは、整流部40aのスイッチング素子42及びスイッチング素子44のスイッチングを制御する制御信号G6及び制御信号G8を出力する。
【0118】
なお、本実施形態による電源装置1cの動作は、トランス部30aのセンタタップ(ノードN7)を用いる点を除いて、第1の実施形態とどうようであるため、ここではその説明を省略する。
【0119】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1cは、スイッチング回路(21、22)と、トランス部30aと、整流部40aと、平滑回路50と、電源制御部60aとを備える。トランス部30aは、2次側にセンタタップ(ノードN7)を有する。整流部40aは、センタタップ(ノードN7)を用いて、両波整流を行う。
【0120】
これにより、本実施形態による電源装置1cは、第1の実施形態による電源装置1と同様の効果を奏し、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる。
【0121】
[第5の実施形態]
次に、図面を参照して、第5の実施形態による電源装置1dについて説明する。
第5の実施形態では、電源装置1dが、ハーフブリッジ回路であるスイッチング回路20を、4個以上の複数備える場合の変形例について説明する。
【0122】
図6は、第5の実施形態による電源装置1dの一例を示すブロック図である。
図6に示すように、電源装置1dは、複数のスイッチング回路20と、トランス部30dと、整流部40と、平滑回路50と、電源制御部60bとを備える。
【0123】
なお、図6において、図1と同一の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
スイッチング回路20は、上述したスイッチング回路21又はスイッチング回路22と同様のハーフブリッジ回路である。電源装置1dは、スイッチング回路20-1~スイッチング回路20-NのN個のスイッチング回路20を備える。ここで、Nは、偶数であり、例えば、4以上の偶数である。
【0124】
また、N個のスイッチング回路20のうち、スイッチング回路21とスイッチング回路22とのいずれとして機能させるかは、任意であり、電源装置1dの仕様に応じて、決定される。例えば、N個のスイッチング回路20のうち、スイッチング回路21とスイッチング回路22とのが、同数になるようにしてもよい。この場合、電源装置1dは、スイッチング回路21とスイッチング回路22との組を、(N/2)個備える。
【0125】
トランス部30dは、トランス33-1~トランス33-NのN個のトランス33を備える。なお、N個のトランス33の2次コイルは、直列に接続され、1つの整流部40に接続されている。この場合、N個のトランス33の2次コイルが全て直列に接続されるため、電源装置1dの出力の高電圧化を実現することいができる。
【0126】
トランス33は、上述したトランス31又はトランス32と同様のトランスである。N個のトランス33のうち、半分のトランス33が、トランス31として機能し、残りの半分のトランス33が、トランス32として機能する。すなわち、トランス部30dは、トランス31とトランス32との組を、(N/2)個備えている。
【0127】
電源制御部60bは、N個のスイッチング回路20のスイッチング素子に対して、スイッチング回路21のスイッチング素子(211、212)及びスイッチング回路22のスイッチング素子(221、222)と同様の位相シフト制御を行う。
【0128】
なお、上述した例では、1つの整流部40を備える例を説明したが、複数((N/2)個)の整流部40を備え、トランス31とトランス32との組のそれぞれに、整流部40が接続されるようにしてもよい。この場合、整流部40の各出力が並列に接続されるため、電源装置1dの出力の大容量化を実現することができる。
【0129】
以上説明したように、本実施形態による電源装置1dは、N個のスイッチング回路20と、トランス部30dと、整流部40と、平滑回路50と、電源制御部60bとを備える。N個のスイッチング回路20のうち、スイッチング回路21とスイッチング回路22とのいずれとして機能させるかは、電源装置1dの仕様(例えば、出力電圧、出力容量、等)に応じて、決定される。電源制御部60bは、N個のスイッチング回路20を、(N/2)個のスイッチング回路21及び(N/2)個のスイッチング回路22として制御する。電源制御部60bは、(N/2)個のスイッチング回路21のスイッチング素子(211、212)を、ZVS可能な固定のデューティ比(例えば、デューティ比50%)でスイッチングさせ、(N/2)個のスイッチング回路22のスイッチング素子(221、222)を、固定のデューティ比(例えば、デューティ比50%)で位相をシフトさせてスイッチングさせるシフト制御を行う。
【0130】
すなわち、本実施形態による電源装置1dは、スイッチング回路21(第1のスイッチング回路)とスイッチング回路22(第2のスイッチング回路)との組を複数備え、トランス部30bは、トランス31(第1トランス)とトランス32(第2トランス)との組を複数備える。複数のトランス31とトランス32との組の全ての2次コイル(312、322)は、直列に接続され、1つの整流部40に接続されている。
【0131】
これにより、本実施形態による電源装置1dは、第1の実施形態による電源装置1と同様の効果を奏し、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる。
また、本実施形態による電源装置1dは、N個のスイッチング回路20及びトランス33を備え、トランス33の全ての2次コイル(312、322)が直列に接続されているため、高電圧の出力に対応することができる。
【0132】
また、本実施形態による電源装置1dは、並列に接続された複数の整流部40を備え、複数のトランス31とトランス32との組のそれぞれの2次コイル(312、322)は、複数の整流部40のそれぞれに接続されてもよい。
これにより、本実施形態による電源装置1dは、複数の整流部40が並列に接続されているため、大容量の出力に対応することができる。
【0133】
[第6の実施形態]
次に、図面を参照して、第6の実施形態による電源装置1eについて説明する。
第6の実施形態では、電源装置1eを用いて、スイッチング回路20及び整流部40の変形例について説明する。
【0134】
図7は、第6の実施形態による電源装置1eの一例について説明するブロック図である。
図7に示すように、電源装置1eは、スイッチング回路20-1(20a~20d)と、スイッチング回路20-2(20a~20d)と、トランス部30と、整流部40(40b、40c)と、平滑回路50(50a)と、電源制御部60cとを備える。
【0135】
なお、図7において、図1及び図6と同一の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0136】
図7において、スイッチング回路20-1(20)及びスイッチング回路20-2(20)は、スイッチング回路20の代わりに、スイッチング回路20a~スイッチング回路20dの変形例の適用が可能であり、図8図11を参照して、スイッチング回路20の変形例について説明する。
【0137】
また、図8は、本実施形態におけるスイッチング回路20の第1の変形例を示す図である。
図8に示すように、第1の変形例のスイッチング回路20aは、フルブリッジ回路であり、スイッチング回路20は、フルブリッジ回路を適用してもよい。
【0138】
図8に示すように、スイッチング回路20aは、スイッチング素子201~スイッチング素子204と、コンデンサC21~コンデンサC24とを備える。
なお、図8において、スイッチング回路20aの入力端子IN1は、電源線L1に接続され、スイッチング回路20aの入力端子IN2は、電源線L2に接続されている。
【0139】
スイッチング素子201及びスイッチング素子202は、電源線L1と電源線L2との間に、直列に接続されており、スイッチング素子201とスイッチング素子202との中点(ノードN11)が、出力端子OUT1に接続されている。
【0140】
また、スイッチング素子203及びスイッチング素子204は、電源線L1と電源線L2との間に、直列に接続されており、スイッチング素子203とスイッチング素子204との中点(ノードN12)が、出力端子OUT2に接続されている。
【0141】
また、スイッチング素子201~スイッチング素子204は、例えば、nMOSFETであり、スイッチング素子201~スイッチング素子204の各素子の制御端子に、電源制御部60cから出力された制御信号G11、制御信号G12、制御信号G21、制御信号G22の信号線がそれぞれ接続されている。
【0142】
コンデンサC21~コンデンサC24は、スイッチング素子201~スイッチング素子204の寄生容量でもよいし、外付けコンデンサを使用してもよい。すなわち、コンデンサC21は、スイッチング素子201と並列に接続され、コンデンサC22は、スイッチング素子202と並列に接続されている。また、コンデンサC23は、スイッチング素子203と並列に接続され、コンデンサC24は、スイッチング素子204と並列に接続されている。
【0143】
また、図9は、本実施形態におけるスイッチング回路20の第2の変形例を示す図である。
図9に示すように、第2の変形例のスイッチング回路20bは、アクティブクランプ方式のスイッチング回路(アクティブクランプ回路)であり、スイッチング回路20は、アクティブクランプ方式のスイッチング回路(スイッチング回路20b)を適用してもよい。
【0144】
図9に示すように、スイッチング回路20bは、スイッチング素子201及びスイッチング素子202と、コンデンサC21及びコンデンサC22と、コンデンサC25とを備える。
なお、図9において、スイッチング回路20bの入力端子IN1は、電源線L1に接続され、スイッチング回路20bの入力端子IN2は、電源線L2に接続されている。
【0145】
また、スイッチング素子201及びスイッチング素子202と、コンデンサ25とは、電源線L1と電源線L2との間に、直列に接続されており、スイッチング素子201とスイッチング素子202との中点(ノードN11)が、出力端子OUT2に接続されている。
また、電源線L1は、そのまま出力端子OUT2に接続されている。
【0146】
また、スイッチング素子201及びスイッチング素子202と、コンデンサC21及びコンデンサC22とは、図8と同様であるため、ここではその説明を省略する。
【0147】
なお、スイッチング素子201及びスイッチング素子202の各素子の制御端子に、電源制御部60cから出力された制御信号G1、及び制御信号G2の信号線がそれぞれ接続されている。スイッチング回路20bは、制御信号G1及び制御信号G2により、スイッチング素子201及びスイッチング素子202を交互にスイッチングさせることで、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に交流信号を出力する。
【0148】
また、図10は、本実施形態におけるスイッチング回路20の第3の変形例を示す図である。
図10に示すように、第3の変形例のスイッチング回路20cは、プッシュプル方式のスイッチング回路(プッシュプル回路)であり、スイッチング回路20は、プッシュプル方式のスイッチング回路(スイッチング回路20c)を適用してもよい。
【0149】
図10に示すように、スイッチング回路20cは、スイッチング素子201及びスイッチング素子202と、コンデンサC21及びコンデンサC22と、チョークL21及びチョークL22とを備える。
【0150】
なお、図10に示すように、プッシュプル方式では、スイッチング回路20cの入力端子IN1は、直列に接続されたスイッチング素子201とスイッチング素子202との中点(ノードN11)に接続され、入力端子IN2は、直列に接続されたチョークL21とチョークL22との中点(ノードN13)に接続されている。なお、本実施形態では、スイッチング素子201とスイッチング素子202とは、逆向きに接続されており、ソース端子が中点(ノードN11)に接続されている。
【0151】
また、スイッチング素子201及びスイッチング素子202と、コンデンサ25とは、電源線である出力端子OUTと出力端子OUT2との間に、直列に接続されている。
また、チョークL21とチョークL22とは、電源線である出力端子OUTと出力端子OUT2との間に、直列に接続されている。
【0152】
スイッチング回路20cは、制御信号G1及び制御信号G2により、スイッチング素子201及びスイッチング素子202を交互にスイッチングさせることで、出力端子OUT1と出力端子OUT2との間に交流信号を出力する。
【0153】
また、図11は、本実施形態におけるスイッチング回路20の第4の変形例を示す図である。
図11に示すように、第4の変形例のスイッチング回路20dは、プッシュプル方式のスイッチング回路(プッシュプル回路)の変形例であり、スイッチング回路20は、プッシュプル方式のスイッチング回路(スイッチング回路20d)を適用してもよい。
【0154】
図11に示すプッシュプル回路の変形例では、入力端子IN2が、トランス33の一次コイル(コイル331A及びコイル331B)の中点(ノードN14)に接続され、共振チョークLr3が、2次コイル332に接続されている点を除いて、上述した図10に示すスイッチング回路20cと同様であるため、説明を省略する。
【0155】
再び、図7の説明にも戻り、整流部40は、同期整流回路の代わりに、整流素子にダイオードを用いた整流部40b及び整流部40cの変形例の適用が可能である。ここで、図12及び図13を参照して、整流部40の変形例について説明する。
【0156】
図12は、第6の実施形態における整流部40の第1の変形例を示す図である。
図12に示すように、第1の変形例の整流部40bは、ダイオードによる全波整流方式の整流回路(ダイオードフルブリッジ回路)の変形例であり、整流部40は、全波整流方式の整流回路(整流部40c)を適用してもよい。
【0157】
整流部40cは、上述したスイッチング素子41、スイッチング素子42、スイッチング素子43、及びスイッチング素子44の代わりに、ダイオード41a、ダイオード42a、ダイオード43a、及びダイオード44aを備える。
整流部40bは、トランス部30の出力を整流した直流電圧を、電源線L3と電源線L4(2次側GND線)との間に出力する。
【0158】
ダイオード41a及びダイオード42aは、出力端子OUT3と出力端子OUT4との間に、直列に接続されている。また、直列に接続されたダイオード41a及びダイオード42aとの中点(ノードN41)が、入力端子IN3に接続されている。
【0159】
また、ダイオード43a及びダイオード44aは、出力端子OUT3と出力端子OUT4との間に、直列に接続されている。また、直列に接続されたダイオード43a及びダイオード44aとの中点(ノードN42)が、入力端子IN4に接続されている。
【0160】
また、スイッチング素子42は、ソース端子が電源線L4に、ドレイン端子がノードN4に、ゲート端子が電源制御部60から出力される制御信号G6の信号線に、それぞれ接続されている。ここで、制御信号G6は、スイッチング素子42を制御するパルス信号である。
【0161】
スイッチング素子43及びスイッチング素子44は、例えば、nMOSFETであり、電源線L3と電源線L4との間に、直列に接続されている。また、直列に接続されたスイッチング素子43とスイッチング素子44との中点(ノードN5)が、トランス32の2次コイル322の第2端に接続されている。
【0162】
また、図13は、第6の実施形態における整流部40の第2の変形例を示す図である。
図13に示すように、第2の変形例の整流部40cは、ダイオードによる倍整流方式の整流回路の変形例であり、整流部40は、倍整流方式の整流回路(整流部40c)を適用してもよい。
【0163】
整流部40cは、ダイオード41bと、ダイオード42bとを備える。
ダイオード41b及びダイオード42bは、入力端子IN3及び入力端子IN4と、出力端子OUT3及び出力端子OUT4とに接続され、さらに、平滑回路50aのチョークコイル511及びチョークコイル512に接続されている。
【0164】
平滑回路50aは、チョークコイル511及びチョークコイル512と、コンデンサ52とを備える。平滑回路50aは、整流部40cが整流した信号を、チョークコイル511及びチョークコイル512と、コンデンサ52とにより平滑化した直流電圧を出力する、
【0165】
再び、図7の説明に戻り、電源制御部60cの基本的な機能は、上述した電源制御部60と同様である。電源制御部60cは、上述したスイッチング回路20(20a~20d)及び整流部40に対応した制御信号(G*)を生成する。電源制御部60cは、上述した電源制御部60と同様に、位相シフト制御により、スイッチング回路20―1(20a~20d)と、スイッチング回路20―2(20a~20d)とを制御する、
【0166】
以上説明したように、本実形態によるスイッチング回路20(20a~20d)は、電源線L1と電源線L2との間に2つのスイッチング素子の組を少なくとも1組有し、当該2つのスイッチング素子が交互にスイッチングすることで、交流信号を生成する。
これにより、本実施形態による電源装置1eは、第1~第5の実施形態と同様の効果を奏し、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる。
【0167】
また、図8図11に示すように、スイッチング回路20-1(第1のスイッチング回路)及びスイッチング回路20-2(第2のスイッチング回路)が、フルブリッジ回路(図8参照)、プッシュプル方式(図10及び図11)、及びアクティブクランプ方式(図9参照)のいずれかのスイッチング回路であってもよい。
【0168】
これにより、本実施形態による電源装置1eは、第1~第5の実施形態と同様の効果を奏し、様々な方式のスイッチング回路により、広負荷変動範囲及び広入力範囲においてZVSを実現することができ、高効率化することができる。
【0169】
[第7の実施形態]
次に、図面を参照して、第7の実施形態による電源装置1fについて説明する。
第7の実施形態では、電源装置1fを用いて、2次側に共振チョークLr3を備える変形例について説明する。
【0170】
図14は、第7の実施形態による電源装置1fの一例について説明するブロック図である。
図14に示すように、電源装置1fは、スイッチング回路20-1(20a~20d)と、スイッチング回路20-2(20a~20c)と、トランス部30cと、整流部40(40b、40c)と、平滑回路50(50a)と、電源制御部60cとを備える。
【0171】
なお、図14において、図7と同一の構成には、同一の符号を付与して、その説明を省略する。
【0172】
トランス部30cは、一次側の共振チョーク(共振インダクタンス)である漏れインダクタンス(Lr1、Lr2)の代わりに、2次側に1個の共振チョークLr3(共振インダクタ)を備えるようにしてもよい。なお、共振チョークLr3は、下記の式(6)のようなインダクタンスを挿入してもよい。
【0173】
LL3=(LL1+LL2)/n … (6)
【0174】
ここで、LL3は、2次側に挿入する共振チョークLr3(共振インダクタンス)のインダクタンス値であり、LL1は、漏れインダクタンスLr1のインダクタンス値である。また、LL2は、漏れインダクタンスLr2のインダクタンス値である。また、nは、トランスの巻き数比であり、n=(一次側巻き数/2次側巻き数)である。
【0175】
また、本実施形態による電源装置1fは、漏れインダクタンス(Lr2、Lr3)を用いないため、トランスの結合係数を高めることができ、出力効率を高めることできる。
【0176】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
例えば、上記の各実施形態において、スイッチング回路(21、22)は、ハーフブリッジ回路である例を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、図8図11に示すように、フルブリッジ回路、プッシュプル回路、アクティブクランプ回路、等の他の方式の回路を用いてもよい。
【0177】
また、上記の各実施形態において、漏れインダクタンス(Lr1、Lr2)の代わりに、共振チョークを用いてもよい。
【0178】
また、上記の各実施形態において、固定のデューティ比が50%である例を説明したが、これに限定されるものではなく、励磁電流が十分確保される固定のデューティ比であれば、他のデューティ比であってもよい。
【0179】
また、上記の各実施形態において、電源制御部60(60a、60b、60c)は、ハードウエアにより実現されてもよいし、ソフトウエアにより実現されてもよい。また、電源制御部60(60a、60b、60c)は、ハードウエアとソフトウエアとの組み合わせにより実現されてもよい。また、CPUにプログラムが実行されることにより、コンピュータが、電源制御部60(60a、60b、60c)の一部として機能してもよい。プログラムは、コンピュータ読み取り可能な媒体に記憶されていてもよく、ネットワークに接続された記憶装置に記憶されていてもよい。
【0180】
なお、上述の電源装置1(1a、1b、1c、1d、1e、1f)は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した電源制御の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0181】
1、1a、1b、1c、1d、1e、1f 電源装置
2 直流電源
3 負荷部
10、11、12、13、14、15、52 コンデンサ
20、20-1、20-N、21、22、20a、20b、20c、20d スイッチング回路
30、30a、30b トランス部
31、31a、32、32a、33、33-N トランス
40、40a、40b、40c 整流部
41、42、43、44、201、202、203、204、211、212、221、222 スイッチング素子
41a、41b、42a、42b、43a、44a ダイオード
50、50a 平滑回路
51、511、512 チョークコイル
60、60a、60b、60c 電源制御部
311、321 1次コイル
312、312A、312B、322、322A、322B 2次コイル
C21、C22、C23、C24、C25 コンデンサ
Lr1、Lr2、Lr2-N 漏れインダクタンス
Lr21,Lr22、Lr3 共振チョーク
【要約】
電源装置は、第1の2次巻線と第2の2次巻線とが直列に接続されたトランス部と、第1の電源線と第2の電源線との間に少なくとも1つのスイッチング素子が含まれ、当該スイッチング素子が第1の1次巻線に接続される第1のスイッチング回路と、第1の電源線と第2の電源線との間に少なくとも1つのスイッチング素子が含まれ、当該スイッチング素子が第2の1次巻線に接続される第2のスイッチング回路と、直列に接続された第1の2次巻線及び第2の2次巻線に流れる交流電圧を整流する整流部と、チョークコイルを有し、整流部の出力を平滑化するチョークインプット型平滑回路と、第1のスイッチング回路のスイッチング素子を、ZVS可能な固定のデューティ比でスイッチングさせ、第2のスイッチング回路のスイッチング素子を、固定のデューティ比で位相をシフトさせてスイッチングさせるシフト制御を行う電源制御部とを備える。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14