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  • 特許-空気移送型ペレット移送機構 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】空気移送型ペレット移送機構
(51)【国際特許分類】
   B65G 53/40 20060101AFI20240716BHJP
   F23K 3/02 20060101ALI20240716BHJP
   F23G 5/44 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B65G53/40
F23K3/02 Z
F23G5/44 B
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020093751
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021172519
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】500410123
【氏名又は名称】株式会社エルコム
(72)【発明者】
【氏名】相馬 督
【審査官】森林 宏和
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-106537(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第105417175(CN,A)
【文献】特開2003-072945(JP,A)
【文献】実開昭50-002987(JP,U)
【文献】実公昭32-009534(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 53/00 - 53/66
F23K 3/00 - 3/22
F23G 5/44 - 5/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流通のための通気管を設けるとともに、該通気管壁の適所にペレット提供体取り付け部を設け、該取り付け部に挿通固定される上下部開放のペレット提供体を設け、このペレット提供体下端は該通気管の中程までとし、ペレット提供体側壁の一部に、該側壁近傍に位置する円弧状上縁部と該側壁より離れた中央部に位置する水平直線状上縁部との連続による切除部を設けるとともに、この切除部は該通気管の下流方向に設けられ、該切除部において、ペレット提供体の円弧状上縁部と該切除部下端間距離に比べて該切除部の中央部近傍の水平直線状上縁部と該切除部下端間距離は上記の円弧状上縁部と該切除部下端間距離より大きな距離を有するよう該切除部を形成して、ペレット提供体内に供給されるペレットを効率よく通気管内を移送できるよう構成したことを特徴とする空気移送型ペレット移送機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空気移送型の合成樹脂燃料ペレット(以下、ペレットと略称する)の移送機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、種々のペレット移送機構が用いられているが。本発明にて示すように、空気移送型のものは見当たらない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
廃プラスチックの処理方法の一つとして焼却処理がある。この焼却処理は一般的にはペレットを焼却炉内に送り込んで燃焼させる場合が多いが、このペレット移送手段として従来からスクリューコンベアが多用されている。しかし、高温の炉内への移送のために水冷手段が必要となって、高コスト化を招いている。
本発明は以上に鑑み、空気流移送方式を用いることにより、上記課題を解決することを目的として発明されたものであり、従来にない新規かつ有用なる手段を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
課題を解決する手段として本発明は以下の構成とした。すなわち、
空気流通のための通気管を設けるとともに、該通気管壁の適所にペレット提供体取り付け部を設け、該取り付け部に挿通固定される上下部開放のペレット提供体を設け、このペレット提供体下端は該通気管の中程までとし、ペレット提供体側壁の一部に、該側壁近傍に位置する円弧状上縁部と該側壁より離れた中央部に位置する水平直線状上縁部との連続による切除部を設けるとともに、この切除部は該通気管の下流方向に設けられ、該切除部において、ペレット提供体の円弧状上縁部と該切除部下端間距離に比べて該切除部の中央部近傍の水平直線状上縁部と該切除部下端間距離は上記の円弧状上縁部と該切除部下端間距離より大きな距離を有するよう該切除部を形成して、ペレット提供体内に供給されるペレットを効率よく通気管内を移送できるよう構成する。
本発明は以上の構成よりなる空気移送型ペレット移送機構である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は下記の効果を有する。
1.空気移送方式のため、従来方式のスクリューコンベアを用いる方法に比べてより効率よくペレットを移送することができる。
2.ペレット提供体に切除部を設けたので、ペレット提供体内における空気の上方移動を防止することができる。
3.斜板を設けることにより、通気管の管路抵抗を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明のペレット提供体の平面図
図2】A-A断面図
図3】本発明のペレット提供体の左側面図
図4】本発明のペレット提供体の右側面図
図5】本発明のペレット提供体の取り付け状態図(左側面視)
図6】従来例の全体説明図
図7】本発明の全体構造説明図
図8】本発明の他例の全体構造説明図
図9】本発明の他例の全体構造説明図
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態について説明する。
図において、1は通気管で、所定径所定長の金属管体であって、その上部適所にペレット提供体取り付け部としての角穴2が形成されている。3はペレット提供体である。このペレット提供体は、角形中空でその上部にホッパー等に取り付けのための有孔角形のフランジ4を有して、該フランジ下方は無底の角形となり、その左方には左壁5が、右方には右壁6を有し、該右壁下部は切除されて切除部7となっている。
8はペレット提供体と通気管間の空気漏れを防ぐための遮蔽板部で、上記右壁と一体に設けられる。
このペレット提供体は、図7のごとく前記通気管に設けた角穴に挿入され、通気管の中心と該提供体の下端とが同一水平面上となるよう配置され、溶接にて固着される。
上記フランジには、ペレットを内蔵したホッパーが、ペレット供給装置(図示略)を介して接続され、通気管左方には適宜管路を介してブロワーが接続され、右方は適宜管体を介して燃焼炉に通じている。
【0008】
次ぎに、本発明の使用について説明する。
ホッパーにペレットを収容し、前記ペレット供給装置を駆動させると同時にブロワーを駆動する。ブロワー駆動にて外気は通気管内を移動して右方へと抜けて燃焼炉に至り噴出する。ペレット供給装置駆動にてペレットは前記のペレット提供体を通過して通気管内へと落下し、空圧にて右方移動して燃焼炉へと供給されて燃焼する。
ブロワーからの気流は空圧にて圧縮されて大気圧より高い正圧となるが、その一部はペレット提供体下方を通過して負圧方向へと変化する。しかし、正圧が負圧方向へ向かうものの、まだ大気圧より若干高いため、このままではペレット提供体より上方へ抜ける空気が存在するため、好ましくない。これを解決するために、前記の切除部を設けている。
すなわち、通気管内下部は流速が高くなって負圧方向へ向かうため、この切除部からペレット提供体内の空気が吸い出され、そのために該提供体内は大気圧以下となり、前記した上方へ抜ける空気が相殺され、順調にペレットを通気管を経て燃焼炉内へと移動させることができる。
【0009】
従来方式のペレット移送は以下の通りである。
図6において、10は燃焼炉、11は該燃焼炉壁に連通しているスクリューコンベア、12はスクリューコンベア上方に位置するホッパーで、該スクリューコンベアと連通している。13は燃焼炉に外気流を送り込むためのブロワー、14は着火バーナーである。
なお、上記燃焼炉壁上部には排気口15が設けられる。
着火バーナー点火にて高温気流は炉内に入り、ブロワー駆動にて旋回流が炉内に発生する。ホッパー内のペレットはスクリューコンベアにて炉内へと送り込まれ、ペレット燃焼が開始される。一度燃焼が起きると、その燃焼熱にて炉内は高温に保たれてペレットは連続的に燃焼するので、バーナー使用は不要となる。燃焼後の高温気体は上記排気口より外部へ排出される。旋回流燃焼方式のため、燃焼効率は向上する。
【0010】
図8図9は本発明の他例を示すものである。初例ではペレット提供体の左壁が通気管内に垂直に位置しており、ここに気流が当たるため、管路抵抗が増大し、また渦流も発生しやすくなる。これを避けるために、図8の例では通気管上部の適所を斜方に切断して、ここに気流制御板20を固着して、この気流制御板にペレット提供体の左方下部を固着したものである。この気流制御板にて通気管内の気流は大きな抵抗を受けることなく、自然にペレット提供体下方へと移動することができて、管路抵抗等を少なくすることができる。
【0011】
図9は通気管の斜方切断を回避した例である。21は折曲気流制御板で、ペレット提供体の左壁と同幅の角板部22の下端から斜方上方に突出する内板部23を一体に設けたものである。角板部は初例で説明した角穴に垂直に固着され、内板部は通気管内上部に内接している。従って、図8の例と同様の効果が得られるが、通気管の斜方切断がないので、加工はより容易となる。なお、図8図9の例ともに、斜方の気流制御板先端箇所は楕円形状となる。
【0012】
以上、本発明について記したが、本発明は気流にてペレットを移送するところにその特徴を有し、スクリューコンベアを用いた従来例に比べてその移送効率が高く、また製造コスト面でも有利なものである。さらに通気管内気圧はペレット提供体に設けた切除部にて低下させることができ、ホッパーからのペレット下方移動をスムースに行うことができるものである。
本発明は、合成樹脂ペレットの燃焼炉への移送を目的としたものであるが、本発明機構はこれに限らず、種々の場面での応用ができるものである。なお、既述の例は実施の例示であって、近似の他の構成としてもよい。
以上のごとく、本発明によってペレット移送に有効なる新規な機構を得ることができる。
【符号の説明】
【0014】
1 通気管
1’中空部
2 角穴
3 ペレット提供体
4 フランジ
5 左壁
6 右壁
7 切除部
8 遮蔽板部
10 燃焼炉
11 スクリューコンベア
12 ホッパー
13 ブロワー
14 着火バーナー
15 排気口
20 気流制御板
21 折曲気流制御板
22 角板部
23 内板部
24 ペレット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9