(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】オムツ交換用椅子
(51)【国際特許分類】
A61G 5/10 20060101AFI20240716BHJP
A47K 17/02 20060101ALI20240716BHJP
A61G 7/10 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61G5/10 704
A47K17/02 A
A61G7/10
(21)【出願番号】P 2020136015
(22)【出願日】2020-08-11
【審査請求日】2023-04-05
(73)【特許権者】
【識別番号】517289251
【氏名又は名称】株式会社ブラニコ
(74)【代理人】
【識別番号】100091269
【氏名又は名称】半田 昌男
(72)【発明者】
【氏名】須田 行雄
【審査官】永冨 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-103124(JP,A)
【文献】特開2001-000362(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0198946(US,A1)
【文献】米国特許第05586343(US,A)
【文献】特開2015-154835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 5/10
A47K 17/02
A61G 7/00- 7/16
A47K 11/00-11/12
A47C 4/00- 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
オムツを着用している利用者がそのオムツを交換する際に用いるオムツ交換用椅子であって、
中央に開口部が形成された、前記利用者が着座する座部と、
前記座部を支える二つ又は四つの脚部と、
前記座部の前記開口部の下に着脱可能に装着される、前記座部に着座した前記利用者のオムツを前記開口部を介して収容するためのオムツ収容部と、
前記座部の高さを調整する高さ調整手段と、
前記座部の横幅を調整する横幅調整手段と、
前記座部の奥行を調整する奥行調整手段と、
を具備
し、
前記各脚部の下部には、回転防止機構を有する車輪が設けられ、
前記座部を便器の便座として使用するために、前記座部が前記便器よりも高い位置に位置するように前記座部の高さが設定されており、
前記利用者が前記座部を前記便器の便座として使用する際には、前記利用者又はその介護者が、前記オムツ収容部を前記オムツ交換用椅子から取り外した後、前記車輪を利用して前記オムツ交換用椅子を前記便器まで移動させ、前記座部を前記便器の上に配置することを特徴とするオムツ交換用椅子。
【請求項2】
前記オムツ収容部は、前記オムツを入れるための袋と、枠状部材と、前記枠状部材に設けられた、前記袋の口部を上向きに広げた状態で前記袋が前記枠状部材の下に位置するように前記袋を取り付けるための複数の取着手段とを有するものであることを特徴とする請求項1記載のオムツ交換用椅子。
【請求項3】
前記枠状部材を前記オムツ交換用椅子の横から水平方向に沿って前記座部の下に差し込むように入れたときに前記枠状部材の各角部を支持するための支持部材が前記各脚部に設けられていることを特徴とする請求項2記載のオムツ交換用椅子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オムツを使用している大人がオムツ交換時に利用することができるオムツ交換用椅子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、高齢者や介護を受ける者の中には、尿漏れ対策や排泄ケア等のために紙オムツを使用する者が増えている。現在では、大人用の紙オムツとして様々な種類のものが販売されている。例えば、下着のように履いて装着するパンツタイプの紙オムツや、お尻の下に敷いた後に局部を覆うように前側に折り返し、両サイドをテープで固定するテープタイプの紙オムツ等がある。パンツタイプの紙オムツは、自分でトイレに行くことができる者や、介助があればトイレに行って便座に座ったり立ったりすることができる者等が使用するのに適している。一方、テープタイプの紙オムツは、ベッド等で寝て過ごす時間の長い者や、寝たきりの者等が使用するのに適している。
【0003】
テープタイプの紙オムツの使用者は自分で紙オムツを交換することができないので、通常、介護者がベッド等の上で紙オムツの交換を行う。特に、紙オムツに排尿や排便をしていれば、介護者は肛門等の局部を清潔に洗浄する必要がある。このようなオムツ交換作業及び局部洗浄作業は介護者にとって大きな負担となっている。最近では、かかる介護者の負担軽減を図るために、おむつカッターを備える開閉式便座付き自立介護ベッド(特許文献1参照。)や、使用済おむつの収納密閉容器を備える介護老人用肛門洗浄装置(特許文献2参照。)等、さまざまな装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-276147号公報
【文献】実開平5-68528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これに対し、パンツタイプの紙オムツの使用者は、自分で又は介助を受けてトイレに行き、トイレで紙オムツの交換を行う。具体的に、パンツタイプの紙オムツの使用者は、オムツ交換時にトイレの便座に座って紙オムツを脱ぎ、その脱いだ紙オムツをビニール袋等に入れて廃棄している。このとき、便器に局部洗浄装置が備わっていれば、その局部洗浄装置を利用して自分の局部を洗浄する。そして、新たな紙オムツに履き替える。ところで、もしパンツタイプの紙オムツの使用者がその紙オムツの中で排便をしてしまった場合には、もはや本人だけでオムツ交換作業を行うことは難しく、介護者(介助者を含む。以下同様。)にオムツ交換作業を手伝ってもらう必要がある。実際、介護者は、本人の服や身体に便が付かないように紙オムツを取り外し、その紙オムツをビニール袋等に入れなければならない。しかしながら、本人を便座に座らせた状態でこのような作業を行うことは困難であり、介護者は紙オムツの使用者を立たせた状態で紙オムツの交換作業を行わなければならないので、作業に手間がかかるという問題があった。このため、たとえ紙オムツの使用者がその紙オムツの中で排便をしてしまった場合でも、オムツ交換に際して介護者の負担を軽減することができるような機能を有する器具の実現が望まれている。
【0006】
本発明は上記事情に基づいてなされたものであり、オムツ交換に際して介護者の負担の軽減を図ることができるオムツ交換用椅子を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するための本発明は、オムツを着用している利用者がそのオムツを交換する際に用いるオムツ交換用椅子であって、中央に開口部が形成された、利用者が着座する座部と、座部を支える二つ又は四つの脚部と、座部の開口部の下に着脱可能に装着される、座部に着座した利用者のオムツを開口部を介して収容するためのオムツ収容部と、を具備することを特徴とするものである。
【0008】
本発明に係るオムツ交換用椅子は、座部の開口部の下に着脱可能に装着されるオムツ収容部を備えることにより、オムツを着用している高齢者や要介護者等の利用者がオムツを交換する場合、本発明のオムツ交換用椅子の座部に着座した状態で本人又はその介護者がオムツを開口部を介して落下させるだけで、本人の服や身体に便が付くのを最小限に抑えつつ、座部の下に装着されているオムツ収容部にオムツを収容することができる。このようにオムツの取り外し作業を簡単に行うことができるので、オムツ交換に際して介護者の負担の軽減を図ることができる。
【0009】
また、本発明に係るオムツ交換用椅子では、オムツ収容部は、オムツを入れるための袋と、枠状部材と、枠状部材に設けられた、袋の口部を上向きに広げた状態で袋が枠状部材の下に位置するように袋を取り付けるための複数の取着手段とを有するものであってもよい。オムツ収容部をこのように構成することにより、利用者が本発明のオムツ交換用椅子の座部に着座した状態で、利用者又はその介護者がオムツを開口部を介して落下させると、そのオムツをオムツ収容部の袋の中に直接入れることができる。このため、介護者はその袋を取着手段から取り外し、袋の口部を閉じるだけで、オムツを簡単に処分することができる。しかも、介護者はそのオムツを直接手で触れる必要がないので、オムツ処分の作業はとても衛生的である。
【0010】
この場合、枠状部材をオムツ交換用椅子の横から水平方向に沿って座部の下に差し込むように入れたときに枠状部材の各角部を支持するための支持部材が各脚部に設けられていることが望ましい。これにより、オムツ収容部をオムツ交換用椅子の横から差し込むように入れれば、座部の開口部の下に簡単に配置することができ、また、オムツ収容部をオムツ交換用椅子の横から引き出せば、オムツ交換用椅子から簡単に取り出すことができる。
【0011】
更に、本発明に係るオムツ交換用椅子において、各脚部の下部には回転防止機構を有する車輪が設けられ、座部を便器の便座として使用するために座部が上記便器よりも高い位置に位置するように座部の高さが設定されていることが望ましい。利用者が座部を上記便器の便座として使用する際には、利用者又はその介護者が、オムツ収容部をオムツ交換用椅子から取り外した後、車輪を利用してオムツ交換用椅子を上記便器まで移動させ、座部を上記便器の上に配置することになる。
【0012】
このように、本発明のオムツ交換用椅子において、各脚部の下部に車輪を設け、座部が便器よりも高い位置に位置するように座部の高さを設定したことにより、オムツ収容部をオムツ交換用椅子から取り外した後、車輪を利用して本発明のオムツ交換用椅子を便器まで移動し、その便器に被さるように配置すれば、本発明のオムツ交換用椅子をその便器の便座として使用することができる。このため、利用者は、その便器に設けられた局部洗浄装置を使用して自らの局部を洗浄することができる。したがって、介護者は利用者のお尻を拭き取る等の作業を行う必要がなくなり、介護者の負担を一層軽減することができると共に、利用者にとっても尊厳が保たれるという効果がある。
【0013】
また、本発明のオムツ交換用椅子は、座部の高さを調整する高さ調整手段と、座部の横幅を調整する横幅調整手段と、座部の奥行を調整する奥行調整手段とを更に備えることが望ましい。これにより、本発明のオムツ交換用椅子における座部の高さ・大きさを、使用する便器のサイズに合わせて調整することができるので、本発明のオムツ交換用椅子は、どのような既存の便器に対してもその便座として使用することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るオムツ交換用椅子は、中央に開口部が形成された、利用者が着座する座部と、座部を支える二つ又は四つの脚部と、座部の開口部の下に着脱可能に装着される、座部に着座した利用者のオムツを開口部を介して収容するためのオムツ収容部とを備えることにより、高齢者や要介護者等の利用者がオムツを交換する場合、利用者が本発明のオムツ交換用椅子の座部に着座した状態で、本人又はその介護者がオムツを開口部を介して落下させるだけで、座部の下に装着されているオムツ収容部にオムツを収容することができる。このため、オムツの取り外し作業をとても簡単に行うことができる。
【0015】
また、本発明に係るオムツ交換用椅子において、各脚部の下部に回転防止機構を有する車輪が設けられ、座部が便器よりも高い位置に位置するように座部の高さが設定されていることにより、オムツ収容部をオムツ交換用椅子から取り外した後、車輪を利用して本発明のオムツ交換用椅子を便器まで移動し、その便器に被さるように配置すれば、本発明のオムツ交換用椅子をその便器の便座として使用することができる。このため、利用者は、その便器に設けられた局部洗浄装置を使用して自らの局部を洗浄することができる。したがって、介護者は利用者のお尻を拭き取る等の作業を行う必要がなくなり、介護者の負担を一層軽減することができると共に、利用者にとっても尊厳が保たれるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態であるオムツ交換用椅子の概略斜視図である。
【
図2】
図2はそのオムツ交換用椅子の概略正面図である。
【
図3】
図3はそのオムツ交換用椅子の概略側面図である。
【
図4】
図4はそのオムツ交換用椅子におけるオムツ収容部の概略斜視図である。
【
図5】
図5はそのオムツ収容部の概略平面図である。
【
図6】
図6はそのオムツ収容部の概略正面図である。
【
図7】
図7は本実施形態のオムツ交換用椅子を便座として使用する場合の、専用の局部洗浄装置を備える水洗便器の概略側面図である。
【
図8】
図8は本実施形態のオムツ交換用椅子を便座として使用する場合の、温水洗浄便座を有する水洗便器の概略側面図である。
【
図9】
図9は本実施形態のオムツ交換用椅子における高さ調整手段の一例を説明するための図である。
【
図10】
図10は本実施形態のオムツ交換用椅子における高さ調整手段の他の例を説明するための図である。
【
図11】
図11は本実施形態のオムツ交換用椅子における横幅調整手段及び奥行調整手段の例を説明するための図である。
【
図12】
図12は本実施形態のオムツ交換用椅子を利用して紙オムツを取り外す際の様子を説明するための図である。
【
図13】
図13は本実施形態のオムツ交換用椅子を便器の便座として利用して局部洗浄装置を使用する際の様子を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、図面を参照して、本願に係る発明を実施するための形態について説明する。
図1は本発明の一実施形態であるオムツ交換用椅子の概略斜視図、
図2はそのオムツ交換用椅子の概略正面図、
図3はそのオムツ交換用椅子の概略側面図である。
【0018】
本実施形態のオムツ交換用椅子は、オムツ(特に紙オムツ)を使用している大人がオムツ交換時に利用することを目的に開発されたものである。特に、本実施形態では、このオムツ交換用椅子を、便器の便座としても使用可能であるように構成している。このオムツ交換用椅子の主な利用者としては、紙オムツを使用している者であって、自分でトイレに行くことができる者、又は介助があればトイレに行って便座に座ったり立ったりすることができる者を想定している。このため、本実施形態のオムツ交換用椅子は、例えば、特別養護老人ホーム、病院、公共施設等のトイレに配置される。また、利用者が使用している紙オムツは、下着のように履いて装着するパンツタイプの紙オムツ、両サイドをテープで固定するテープタイプの紙オムツのいずれであってもよい。また、紙オムツに限らず、例えば布オムツであってもよい。
【0019】
本実施形態のオムツ交換用椅子1は、
図1乃至
図3に示すように、座部10と、四つの脚部20,20,20,20と、四つの車輪30,30,30,30と、背部40と、オムツ収容部50と、オムツ収容部50を支持するための複数の支持部材60を備える。このうち座部10、脚部20、背部40の材質としては、例えば、木や金属等、通常の椅子で使用されるものが用いられる。
【0020】
座部10は利用者が着座する部位であるが、その中央には開口部15が形成されている。オムツ交換用椅子1に着座した利用者は、オムツ交換時に、着用しているオムツを取り外し、この開口部15を介して下に落下させることになる。具体的に、本実施形態では、座部10を、略四角形状の座枠11と、市販されているU型便座12とで構成している。このU型便座12の後部はヒンジ部となっており、そのヒンジ部が座枠11の後側の部分(後座枠)11bに取り付けられている。そして、U型便座12の前側は座枠11の前側の部分(前座枠)11aで支持されている。これにより、U型便座12は座枠11の上に安定して載置されている。したがって、本実施形態では、U型便座12の中央開口部が開口部15である。また、U型便座12はそのヒンジ部の周りに回動自在である。このように座部10の一構成要素として市販の便座を用いたのは、本実施形態のオムツ交換用椅子1を通常の便器の便座として使用しても利用者にとって違和感がないようにするにするためである。
【0021】
四つの脚部20,20,20,20は座部10を支えるものである。各脚部20は、座枠11の角部又はその近傍に取り付けられている。また、各脚部20の下部には、車輪30が設けられている。この車輪30としては、回転防止機構(ストッパー)を有するキャスターを用いることができる。これにより、利用者は、車輪30を利用して本実施形態のオムツ交換用椅子1に着座したまま移動することができる。また、車輪30には回転防止機構(ストッパー)が設けられているので、このストッパーで車輪30の回転を止めることにより、オムツ交換時に椅子が勝手に動いてしまうことを防ぐことができる。
【0022】
また、背部40は、通常の椅子の背もたれ部に対応するものであり、二つの背柱41,41と、背板42とから構成される。四つの脚部20,20,20,20のうち後ろの二つの脚部20,20は座部10から上方に延びており、それらの延びた部分が背柱41である。背板42は、二つの背柱41,41の間を連結するものである。
【0023】
オムツ収容部50は、座部10に着座した利用者が開口部15を介して落下させたオムツを収容するものである。このオムツ収容部50は、座部10の開口部15の下に着脱可能に装着される。
図4は本実施形態のオムツ交換用椅子1におけるオムツ収容部50の概略斜視図、
図5はそのオムツ収容部50の概略平面図、
図6はそのオムツ収容部50の概略正面図である。オムツ収容部50は、
図1乃至
図6に示すように、オムツを入れるための袋51と、略長方形の枠状に形成された枠状部材52と、袋51を取り付けるための四つの取着手段53,53,53,53とを有する。袋51としては、例えばレジ袋等のビニール製の袋を用いることができる。枠状部材52の高さ(厚さ)は約2~3cmである。また、取着手段53としては、例えば目玉クリップやマグネットクリップ等の簡易固定器を用いることができる。四つの取着手段53,53,53,53はそれぞれ、枠状部材52の各辺の内側中央に設けられている。各取着手段53が袋51の口部を挟むことにより、袋51はその口部を上向きに広げた状態で枠状部材52の下に位置するようにオムツ収容部50に取り付けられる。また、枠状部材52の一方の側面には把手54が取り付けられている。オムツ収容部50をオムツ交換用椅子1に装着したり装脱したりする作業は、この把手54を掴んで行われることになる。
【0024】
また、各脚部20には、枠状部材52の各角部を支持するための支持部材60が設けられている。本実施形態では、各支持部材60として例えば板状の部材を用いている。これらの板状の部材はそれぞれ、座部10の下面から例えば約5cm程度下に位置する脚部20の内側部位に取り付けられている。オムツ収容部50の枠状部材52をオムツ交換用椅子1の横から水平方向に沿って座部10の下に差し込むように入れて、枠状部材52の各角部をそれに対応する支持部材60の上に載置することにより、オムツ収容部50が座部10の開口部15の下に装着される。ここでは、各支持部材60を座部10から約5cm程度下に位置する脚部20の部位に取り付けているので、枠状部材52の各角部を各支持部材60の上に載せたときに枠状部材52は座部10のすぐ下側に安定して位置することになる。
【0025】
このように、枠状部材52の各角部を支持するための支持部材60を各脚部20に設けたことにより、介護者だけでなく、利用者本人であっても、オムツ収容部50をオムツ交換用椅子1の横から差し込むように入れれば、座部10の開口部15の下に簡単に配置することができ、また、オムツ収容部50をオムツ交換用椅子1の横から引き出せば、オムツ交換用椅子1から簡単に取り出すことができる。
【0026】
また、本実施形態のオムツ交換用椅子1では、通常の水洗便器の便座としても使用することができるように、座部10の高さは、座部10が上記便器よりも高い位置に位置するように設定されている。具体的に、本実施形態では、オムツ交換用椅子1における座部10の下面の高さ位置は、上記便器の高さより若干高い位置になるように設定されている。利用者がオムツ交換用椅子1の座部10を上記便器の便座として使用する場合には、利用者又はその介護者が、オムツ収容部50をオムツ交換用椅子1から取り外した後、車輪30,30,30,30を利用して本実施形態のオムツ交換用椅子1を上記便器まで移動し、座部10が上記便器に被さるように配置する。これにより、座部10は上記便器の上に位置するようになるので、本実施形態のオムツ交換用椅子1をその便器の便座として使用することができる。
【0027】
本実施形態のオムツ交換用椅子1を水洗便器の便座としても使用する主な目的は、その便器に備わっている局部洗浄装置を利用するためである。実際、多くの利用者が、着用していたオムツを取り外した際に、局部洗浄装置を利用して自分の局部を洗浄してから、新たなオムツに履き替えることを望んでいる。ここで、局部洗浄装置とは、利用者が排泄した後に洗浄水(温水)を洗浄ノズルに供給し、その洗浄ノズルから利用者の局部に噴射させるものであり、便器の後部に取り付けられている。一般に、このような局部洗浄装置としては、便器後方に設置される専用の局部洗浄装置と、局部を洗浄する機能を有する温水洗浄便座とがある。いずれの局部洗浄装置も、温水洗浄器本体と、洗浄ノズルとを備えている。本実施形態のオムツ交換用椅子1は、専用の局部洗浄装置を備える便器、温水洗浄便座を有する便器のいずれに対してもその便座として使用することができる。
【0028】
本実施形態のオムツ交換用椅子1を水洗便器の便座として用いる場合は、その水洗便器に予め設けられている便座として機能するものは、可能な限り、その水洗便器から取り外しておくことが望ましい。この点について具体的に説明する。
図7は本実施形態のオムツ交換用椅子1を便座として使用する場合の、専用の局部洗浄装置を備える水洗便器の概略側面図である。
図7に示す水洗便器100は、便器本体110と、便器本体110の洗浄に用いられる洗浄水を貯水する水タンク120と、専用の局部洗浄装置130とを備えている。ここで、専用の局部洗浄装置130は、便器本体110の後部に設置されている。この専用の局部洗浄装置130は、温水発生部131と、洗浄ノズル132とを有する。また、便器本体110は、この便器を利用する者の排泄物を受けるボウル部を有する。このボウル部には、一定水位の溜水が溜められている。この溜水は、排水管とボウル部との連絡を遮断し、臭気が排水管の側から上がっているのを防ぐ役割を有している。便器本体110内の排泄物は水タンク120からの洗浄水により流して排水管に排出される。
図7に示すように、本実施形態のオムツ交換用椅子1を、専用の局部洗浄装置130を備える水洗便器100の便座として使用する場合には、その水洗便器100から、それに予め設けられていた便座を取り外しておく。また、
図8は本実施形態のオムツ交換用椅子1を便座として使用する場合の、温水洗浄便座を有する水洗便器の概略側面図である。
図8に示す水洗便器200は、便器本体210と、便器本体210の洗浄に用いられる洗浄水を貯水する水タンク220と、温水洗浄便座230とを備えている。この温水洗浄便座230は、便座本体231と、温水発生部232と、洗浄ノズル233とを有する。
図8に示すように、本実施形態のオムツ交換用椅子1を、温水洗浄便座230を有する水洗便器200の便座として使用する場合には、その水洗便器200に予め設けられている温水洗浄便座230から、その便蓋を取り外しておく。但し、その温水洗浄便座230として、温水発生部232と便座本体231とが分離可能に構成されているものが用いられているのであれば、便蓋だけでなく便座本体231をも取り外すことが望ましい。
【0029】
また、本実施形態のオムツ交換用椅子1は、座部10の高さを調整する高さ調整手段70と、座部10の横幅を調整する横幅調整手段80と、座部10の奥行を調整する奥行調整手段90とを更に備えている。これは、本実施形態のオムツ交換用椅子1における座部10の高さ・大きさを、使用する便器のサイズに合わせて調整することができるようにすることにより、本実施形態のオムツ交換用椅子1を、どのような既存の便器に対してもその便座として使用することができるようにするためである。尚、
図1乃至
図3では、高さ調整手段70、横幅調整手段80及び奥行調整手段90の図示を省略している。
【0030】
いま、高さ調整手段70の具体例を説明する。
図9は本実施形態のオムツ交換用椅子1における高さ調整手段70の一例を説明するための図である。この
図9に示す例では、高さ調整手段70として、キャスター30のビス31に取り付けるナットを用いている。キャスター30のビス31は脚部20の下面に形成された雌ネジ32にねじ込むことにより、キャスター30が脚部20に取り付けられる。そのビス31に高さ調整手段70としてのナットを嵌め込んだ状態で、キャスター30を脚部20に取り付けると、そのナットの厚さ分だけ座部10の高さ位置を高くすることができる。例えば、予め厚さの異なる複数のナットを用意しておき、所望の厚さのナットを用いることにより、座部10の高さを調整することができる。また、
図10は本実施形態のオムツ交換用椅子1における高さ調整手段70の他の例を説明するための図である。この
図10に示す例では、高さ調整手段70として、脚部20の長さを伸縮する伸縮機構を用いている。具体的に、この伸縮機構を有する脚部20は二つの部分、すなわち上脚部21と下脚部22とからなり、下脚部22が上脚部21の内部に挿入されている。下脚部22には、一定間隔で形成された複数の係止孔24が形成され、上脚部21には、その係止孔23の径と略同じ又は若干大きい径を有する一つの係止孔23が形成されている。下脚部22を所望の長さだけ上脚部21から引き出し、下脚部22の所望の係止孔24と上脚部21の係止孔23とを一致させた状態で、重なる係止孔23,24にピン25を差し込むことにより、下脚部22と上脚部21とはしっかりと固定される。このような脚部20の伸縮機構を用いて脚部20の長さを変えることにより、座部10の高さを簡単に調整することができる。
【0031】
次に、横幅調整手段80及び奥行調整手段90の具体例を説明する。
図11は本実施形態のオムツ交換用椅子1における横幅調整手段80及び奥行調整手段90の例を説明するための図である。この
図11では、横幅調整手段80及び奥行調整手段90と直接関係のないU型便座12やオムツ収容部50等は省略している。
図11に示す例では、横幅調整手段80及び奥行調整手段90としてそれぞれ、
図10に示す脚部20の伸縮機構と同様の伸縮機構を用いている。このため、ここでは、その構造の詳しい説明は省略する。横幅調整手段80は、前座枠11a及び後座枠11bに設けられた伸縮機構から構成される。これらの伸縮機構を用いて前座枠11a及び後座枠11bの長さを伸ばす(又は縮める)と、それに伴い、左右に設けた脚部20,20間の間隔も広がる(又は狭まる)。また、前座枠11a及び後座枠11bの長さの伸縮にしたがって背板42の一部が横方向にスライドするように、背板42が構成されている。このような横幅調整手段80を用いることにより、座部10の横幅を簡単に調整することができる。一方、奥行調整手段90は、座枠11の左側の部分(左座枠)11cと座枠11の右側の部分(右座枠)11dとに設けられた伸縮機構から構成される。横幅調整手段80と同様に、奥行調整手段90を用いることにより座部10の奥行を簡単に調整することができる。
【0032】
尚、高さ調整手段70を用いた座枠10の高さ調整、横幅調整手段80及び奥行調整手段90を用いた座枠11のサイズの調整は、本実施形態のオムツ交換用椅子1を初めて使用する際に行われる。特に、
図7に示すような、専用の局部洗浄装置120を備える水洗便器100に対しては、その便座が取り外されているので、座枠11の下面の高さを、便器本体110の上面と略同じ高さになるように調整する。一方、
図8に示すような、温水洗浄便座230を有する水洗便器200に対しては、座枠11の下面の高さは、便蓋が取り外された温水洗浄便座230の上面と略同じ高さになるように調整する。
【0033】
次に、本実施形態のオムツ交換用椅子1を用いて利用者が自力で又は介護者の介助を受けて紙オムツを交換する方法・手順を説明する。
図12は本実施形態のオムツ交換用椅子1を利用して紙オムツを取り外す際の様子を説明するための図、
図13は本実施形態のオムツ交換用椅子1を便器の便座として利用して局部洗浄装置を使用する際の様子を説明するための図である。ここで、
図12及び
図13では、便器として、
図8に示すような温水洗浄便座230を有する水洗便器200を用いる場合を示している。
【0034】
まず、オムツの交換を行う前の準備作業として、利用者又は介護者は、オムツ収容部50に袋51を取り付ける作業を行う。具体的に、利用者又は介護者は、オムツ収容部50の枠状部材52に設けられた四つの取着手段53,53,53,53で袋51を挟む。ここでは、袋51を小さな力で引くだけでその袋51をスムースに取り外すことができるように、袋51を取着手段53,53,53,53で挟んでおくことが望ましい。これにより、
図4乃至
図6に示すように、その袋51は、その口部を上向きに広げた状態で袋51が枠状部材52の下に位置するようにオムツ収容部50に取り付けられる。その後、利用者又は介護者は、その袋51が取り付けられたオムツ収容部50の枠状部材52をオムツ交換用椅子1の座部10の下に差し込むように入れ、その枠状部材52の各角部をそれに対応する支持部材60の上に載せる。こうして、
図1乃至
図3に示すように、オムツ収容部50が座部10の開口部15の下に装着される。このようにオムツ収容部50がオムツ交換用椅子1に装着されると、オムツ交換用椅子1に対する準備作業が完了する。
【0035】
次に、利用者は本実施形態のオムツ交換用椅子1を利用してオムツの交換作業を開始する。まず、利用者は下の衣服を脱ぎ、
図12に示すようにオムツ交換用椅子1に着座する。この時点では、オムツ交換用椅子1は、水洗便器200とは少し離れた位置に置かれている。利用者がテープタイプの紙オムツを使用している場合には、利用者は、その紙オムツの両脇の固定テープを剥がし、その紙オムツを下に落とす。一方、利用者がパンツタイプの紙オムツを使用している場合には、利用者は、その紙オムツの両脇を手で切断し、その紙オムツを下に落とす。いずれの場合でも、紙オムツが下に落ちないときには、介護者が利用者の身体を揺すったりして、紙オムツが落下するように手助けをする。こうして紙オムツが完全に袋51内に落下したら、介護者は、オムツ収容部50をオムツ交換用椅子1から引き出す。そして、オムツの入った袋51を枠状部材52から取り外し、その袋51の口部を縛る。こうして袋51に入れられた使用済みの紙オムツは自治体等の指示にしたがった方法で処分されることになる。
【0036】
次に、介護者は、利用者がオムツ交換用椅子1に着座した状態のまま、そのオムツ交換用椅子1を水洗便器200のところまで移動する。そして、介護者は、オムツ交換用椅子1が水洗便器200を跨ぎ、オムツ交換用椅子1の座部10が便器本体210のボウル部の直上に位置するところまでオムツ交換用椅子1を移動する(
図13参照)。その後、介護者は、オムツ交換用椅子1の車輪30,30,30,30をストッパーで固定する。
【0037】
次に、利用者はその便器に設けられている温水洗浄便座(局部洗浄装置)230を使用して、自分の局部を温水洗浄・温風乾燥する。このとき、介護者は、利用者の前に、
図13に示すような上半身レスト(rest)台300を持ってくるようにしてもよい。上半身レスト台300とは、利用者が自分の肘を付いて体重を前方に移動し、前かがみの状態になるための支持台のことである。この上半身レスト台300は簡単に動かないように設置される。利用者は、
図13に示すように、この上半身レスト台を用いて前かがみの状態になることにより、局部を温水洗浄・温風乾燥をしている間中、姿勢を安定して維持することができる。これにより、介護者は利用者のお尻を拭き取る等の作業を行う必要がなくなる。このため、介護者の負担を軽減することができると共に、利用者も自らの尊厳を保つことができる。尚、当然のことであるが、利用者は、必要に応じて、トイレットペーパーで自分の局部を拭くことができる。
【0038】
利用者が自分の局部を洗浄、乾燥し終わると、介護者は上半身レスト台300を元の位置に戻す。次に、介護者は、オムツ交換用椅子1の各車輪30のストッパーを外し、利用者が着座した状態のままオムツ交換用椅子1を便器から少し離れた場所に移動する。そして、介護者は、その移動した場所でオムツ交換用椅子1の車輪30をストッパーで固定する。その後、利用者は、新しい紙オムツを穿く。このとき、利用者が自力で紙オムツを穿くことが困難な場合は、介護者が利用者のオムツ装着を手伝う。
【0039】
こうして、利用者は、新しい紙おむつを穿いた後、オムツ交換用椅子1から立ち上がる。その後、利用者又は介護者は、オムツ交換用椅子の車輪30のストッパーを外し、そのオムツ交換用椅子1を移動して所定の位置に戻す。以上で、本実施形態のオムツ交換用椅子1を利用したオムツ交換作業が完了する。
【0040】
本実施形態のオムツ交換用椅子は、座部の開口部の下に着脱可能に装着されるオムツ収容部を備えることにより、オムツを着用している高齢者や要介護者等の利用者がオムツを交換する場合、オムツ交換用椅子の座部に着座した状態で本人又はその介護者がオムツを開口部を介して落下させるだけで、本人の服や身体に便が付くのを最小限に抑えつつ、座部の下に装着されているオムツ収容部にオムツを収容することができる。このようにオムツの取り外し作業を簡単に行うことができるので、オムツ交換に際して介護者の負担の軽減を図ることができる。
【0041】
また、本実施形態のオムツ交換用椅子では、オムツ収容部として、オムツを入れるための袋と、枠状部材と、枠状部材に設けられた、袋の口部を上向きに広げた状態で袋が枠状部材の下に位置するように袋を取り付けるための複数の取着手段とを有するものを用いている。このような構成のオムツ収容部を用いたことにより、利用者が本実施形態のオムツ交換用椅子の座部に着座した状態で、利用者又はその介護者がオムツを開口部を介して落下させると、そのオムツをオムツ収容部の袋の中に直接入れることができる。このため、介護者はその袋を取着手段から取り外し、袋の口部を閉じるだけで、オムツを簡単に処分することができる。しかも、介護者はそのオムツを直接手で触れる必要がないので、オムツ処分の作業はとても衛生的である。
【0042】
更に、本実施形態のオムツ交換用椅子では、各脚部の下部には回転防止機構を有する車輪が設けられ、座部を便器の便座として使用するために座部が上記便器よりも高い位置に位置するように座部の高さが設定されている。これにより、利用者又はその介護者が、オムツ収容部をオムツ交換用椅子から取り外した後、車輪を利用してオムツ交換用椅子を上記便器まで移動し、その便器に被さるように配置すれば、オムツ交換用椅子をその便器の便座として使用することができる。このため、利用者は、その便器に設けられた局部洗浄装置を使用して自らの局部を洗浄することができる。したがって、介護者は利用者のお尻を拭き取る等の作業を行う必要がなくなり、介護者の負担を一層軽減することができると共に、利用者にとっても尊厳が保たれるという効果がある。
【0043】
尚、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
【0044】
上記の実施形態では、本発明のオムツ交換用椅子における座部を、略四角形状の座枠と市販のU型便座とで構成した場合について説明したが、座部には必ずしも既存の便座を用いる必要はない。例えば、座部は、その中央に開口部が形成された平板状部材であってもよい。
【0045】
また、上記の実施形態では、オムツ収容部をオムツ交換用椅子の横から差し込むように入れて座部の開口部の下に配置する場合について説明したが、オムツ収容部は、オムツ交換用椅子の奥側から又は手前側から差し込む又は引き出すようにしてもよい。
【0046】
また、上記の実施形態では、本発明のオムツ交換用椅子を便器の便座としても使用する場合について説明したが、本発明のオムツ交換用椅子は、便器の便座としては使用せず、利用者が座部に着座した状態でオムツを取り外すためだけに使用することも可能である。この場合、オムツ交換用椅子には必ずしも車輪を設ける必要はない。
【0047】
また、上記の実施形態では、本発明のオムツ交換用椅子における高さ調整手段として、車輪(キャスター)のビスに取り付けるナットを用いる場合や、脚部の伸縮機構を利用する場合を説明したが、もちろん、部品の交換等、他の方法・機構により高さ調整手段を実現することが可能である。この点は、横幅調整手段及び奥行調整手段についても同様である。
【0048】
更に、上記の実施形態では、本発明のオムツ交換用椅子が、高さ調整手段と、横幅調整手段と、奥行調整手段とを備えている場合について説明した。しかしながら、本発明のオムツ交換用椅子を特定の便器の便座として使用するような場合には、本発明のオムツ交換用椅子における便座の高さ位置やサイズを、予めその特定の便器に応じて設計しておけば、高さ調整手段、横幅調整手段、奥行調整手段は必ずしも設ける必要はない。
【0049】
また、上記の実施形態では、本発明のオムツ交換用椅子を、専用の局部洗浄装置を備える水洗便器の便座として使用する際に、その水洗便器から、それに予め設けられていた便座を取り外しておく場合について説明し、一方、本発明のオムツ交換用椅子を、温水洗浄便座を有する水洗便器の便座として使用する際に、その温水洗浄便座から、その便蓋を取り外しておく場合について説明した。しかし、上記便座や便蓋は必ずしも取り外す必要がない。すなわち、上記便座や便蓋を取り外さない場合には、その便座を上げた後に、本発明のオムツ交換用椅子をその便器まで移動させ、座部を便器の上に配置すればよい。
【0050】
加えて、上記の実施形態では、本発明のオムツ交換用椅子における各脚部の下部に車輪(キャスター)を取り付けた場合について説明したが、これらの車輪を設ける代わりに、左右に一つずつ大きな車輪を取り付けることにより、本発明のオムツ交換用椅子を車いす型に構成するようにしてもよい。尚、このような車いす型のオムツ交換用椅子を用いる場合等には、左右の両側にそれぞれ平板状の脚部を設けることにより、座部を支える脚部を二つで構成することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上説明したように、本発明に係るオムツ交換用椅子は、中央に開口部が形成された、利用者が着座する座部と、座部を支える二つ又は四つの脚部と、座部の開口部の下に着脱可能に装着される、座部に着座した利用者のオムツを開口部を介して収容するためのオムツ収容部とを備えることにより、高齢者や要介護者等の利用者がオムツを交換する場合、利用者が本発明のオムツ交換用椅子の座部に着座した状態で、本人又はその介護者がオムツを開口部を介して落下させるだけで、座部の下に装着されているオムツ収容部にオムツを収容することができる。このため、オムツの取り外し作業をとても簡単に行うことができる。また、本発明に係るオムツ交換用椅子において、各脚部の下部に回転防止機構を有する車輪が設けられ、座部が便器よりも高い位置に位置するように座部の高さが設定されていることにより、オムツ収容部をオムツ交換用椅子から取り外した後、車輪を利用して本発明のオムツ交換用椅子を便器まで移動し、その便器に被さるように配置すれば、本発明のオムツ交換用椅子をその便器の便座として使用することができる。このため、利用者は、その便器に設けられた局部洗浄装置を使用して自らの局部を洗浄することができる。したがって、介護者は利用者のお尻を拭き取る等の作業を行う必要がなくなり、介護者の負担を一層軽減することができると共に、利用者にとっても尊厳が保たれるという効果がある。本発明は、特に、特別養護老人ホーム、病院、公共施設等のトイレ等に配置して、利用者のオムツ交換時に使用するのに適している。
【符号の説明】
【0052】
1 オムツ交換用椅子
10 座部
11 座枠
11a 前座枠
11b 後座枠
11c 左座枠
11d 右座枠
12 U型便座
15 開口部
20 脚部
21 上脚部
22 下脚部
23,24 係止孔
25 ピン
30 車輪(キャスター)
31 ビス
32 雌ネジ
40 背部
41 背柱
42 背板
50 オムツ収容部
51 袋
52 枠状部材
53 取着手段
54 把手
60 支持部材
70 高さ調整手段
80 横幅調整手段
90 奥行調整手段
100 水洗便器
110 便器本体
120 水タンク
130 専用の局部洗浄装置
131 温水発生部
132 洗浄ノズル
200 水洗便器
210 便器本体
220 水タンク
230 温水洗浄便座
231 便座本体
232 温水発生部
233 洗浄ノズル
300 上半身レスト台