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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】検査システム
(51)【国際特許分類】
   E02D 27/00 20060101AFI20240716BHJP
   G01C 11/10 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
E02D27/00 B
G01C11/10
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020057250
(22)【出願日】2020-03-27
(65)【公開番号】P2021156013
(43)【公開日】2021-10-07
【審査請求日】2022-12-12
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】505466295
【氏名又は名称】株式会社イクシス
(74)【代理人】
【識別番号】100137589
【弁理士】
【氏名又は名称】右田 俊介
(72)【発明者】
【氏名】山崎 文敬
(72)【発明者】
【氏名】狩野 高志
【審査官】小倉 宏之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-066242(JP,A)
【文献】特開2019-152533(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 27/00
G01C 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の基礎に取り付けられるアンカーボルトを検査する検査システムであって、
前記建物の基礎に関する設計データを取得するデータ取得手段と、
前記建物の基礎を異なる撮影角度から撮影した複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段が取得した複数の画像を用いて、前記建物の基礎の三次元形状モデルを生成するモデル生成手段と、
前記三次元形状モデルに含まれるアンカーボルトについて、前記三次元形状モデル上に基準となる高さに設定される基礎面における当該アンカーボルトの第一位置と、前記基礎面を上回る高さにおける当該アンカーボルトの第二位置と、を求める位置演算手段と、
前記位置演算手段が求めた前記第一位置と前記第二位置に基づいて、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトに関する異常の有無を判定するエラー判定手段と、
前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトの位置と、前記位置演算手段が求めた前記第一位置と、を照合する位置照合手段と、
前記位置照合手段による照合において前記第一位置と適合したアンカーボルトについて、前記位置演算手段が求めた前記第一位置と前記第二位置に基づいて、当該アンカーボルトの傾斜角度を求める傾斜演算手段と、
を備え、
前記エラー判定手段は、前記傾斜演算手段が求めた傾斜角度が所定の閾値を超えるとき、当該アンカーボルトが異常である旨を判定する、ことを特徴とする検査システム。
【請求項2】
建物の基礎に取り付けられるアンカーボルトを検査する検査システムであって、
前記建物の基礎に関する設計データを取得するデータ取得手段と、
前記建物の基礎を異なる撮影角度から撮影した複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段が取得した複数の画像を用いて、前記建物の基礎の三次元形状モデルを生成するモデル生成手段と、
前記三次元形状モデルに含まれるアンカーボルトについて、前記三次元形状モデル上に基準となる高さに設定される基礎面における当該アンカーボルトの第一位置と、前記基礎面を上回る高さにおける当該アンカーボルトの第二位置と、を求める位置演算手段と、
前記位置演算手段が求めた前記第一位置と前記第二位置に基づいて、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトに関する異常の有無を判定するエラー判定手段と、
前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトの位置と、前記位置演算手段が求めた前記第一位置及び前記第二位置と、を照合する位置照合手段、
を備え、
前記エラー判定手段は、前記位置照合手段による照合において前記第一位置及び前記第二位置の一方のみに適合するアンカーボルトが存在する場合、当該アンカーボルトが異常である旨を判定する、ことを特徴とする検査システム。
【請求項3】
前記エラー判定手段は、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトの中に、前記位置照合手段による照合において前記第一位置と適合しないアンカーボルトが存在する場合、当該アンカーボルトが異常である旨を判定する、
請求項1又は2に記載の検査システム。
【請求項4】
前記設計データに基づく出力を行う出力手段を備え、
前記出力手段は、前記エラー判定手段によって異常と判定されたアンカーボルトが存在する場合、当該アンカーボルトが異常である旨を示すエラー報知出力を行う、
請求項1からのいずれか一項に記載の検査システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建物基礎に埋設されたアンカーボルト位置を検査する検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
建物基礎に埋設されたアンカーボルトが設計図面通りに埋設されているか否かは建物工事において、重要な事項であり、正確に検査する必要がある。
【0003】
そこで、アンカーボルトが埋設された建物基礎を撮影し、撮影した画像から三次元モデルを生成し、生成した三次元モデルの中から自動又は手動によりアンカーボルトの頭を検出し、アンカーのボルト芯位置、アンカーボルトの頭の高さ、アンカーボルトの芯軸を検出し、アンカーボルトの整合判別を行う技術がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-066242号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の技術の場合、生成した三次元モデルの中からアンカーボルトの頭を検出する際に、アンカーボルトを1つずつ検出することとなるため、多大な時間を要するという問題があった。
【0006】
本発明は、上述のような課題に鑑みてなされたものであり、建物基礎に埋設されたアンカーボルトを効率的に検査できる検査システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、建物の基礎に取り付けられるアンカーボルトを検査する検査システムであって、前記建物の基礎に関する設計データを取得するデータ取得手段と、前記建物の基礎を異なる撮影角度から撮影した複数の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段が取得した複数の画像を用いて、前記建物の基礎の三次元形状モデルを生成するモデル生成手段と、前記三次元形状モデルに含まれるアンカーボルトについて、前記三次元形状モデル上に基準となる高さに設定される基礎面における当該アンカーボルトの第一位置と、前記基礎面を上回る高さにおける当該アンカーボルトの第二位置と、を求める位置演算手段と、前記位置演算手段が求めた前記第一位置と前記第二位置に基づいて、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトに関する異常の有無を判定するエラー判定手段と、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトの位置と、前記位置演算手段が求めた前記第一位置と、を照合する位置照合手段と、前記位置照合手段による照合において前記第一位置と適合したアンカーボルトについて、前記位置演算手段が求めた前記第一位置と前記第二位置に基づいて、当該アンカーボルトの傾斜角度を求める傾斜演算手段と、を備え、前記エラー判定手段は、前記傾斜演算手段が求めた傾斜角度が所定の閾値を超えるとき、当該アンカーボルトが異常である旨を判定する、ことを特徴とする検査システムが提供される。
また、本発明によれば、建物の基礎に取り付けられるアンカーボルトを検査する検査システムであって、前記建物の基礎に関する設計データを取得するデータ取得手段と、前記建物の基礎を異なる撮影角度から撮影した複数の画像を取得する画像取得手段と、前記画像取得手段が取得した複数の画像を用いて、前記建物の基礎の三次元形状モデルを生成するモデル生成手段と、前記三次元形状モデルに含まれるアンカーボルトについて、前記三次元形状モデル上に基準となる高さに設定される基礎面における当該アンカーボルトの第一位置と、前記基礎面を上回る高さにおける当該アンカーボルトの第二位置と、を求める位置演算手段と、前記位置演算手段が求めた前記第一位置と前記第二位置に基づいて、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトに関する異常の有無を判定するエラー判定手段と、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトの位置と、前記位置演算手段が求めた前記第一位置及び前記第二位置と、を照合する位置照合手段、を備え、前記エラー判定手段は、前記位置照合手段による照合において前記第一位置及び前記第二位置の一方のみに適合するアンカーボルトが存在する場合、当該アンカーボルトが異常である旨を判定する、ことを特徴とする検査システムが提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、生成した三次元モデルに含まれるアンカーボルトについて、アンカーボルトの基部である第一位置とアンカーボルトの上端である第二位置とを抽出し、第一位置と第二位置に基づいて、設計データが示すアンカーボルトの位置との異常有無を判定するため、埋設されたアンカーボルトの検査を効率的に行える。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】アンカーボルトAが埋設された建物基礎を示した図面である。
図2】アンカーボルトAが埋設された建物基礎を撮影するイメージ図である。
図3】建物基礎検査システムのブロック図である。
図4】基礎アンカーボルト検査のフロチャートである。
図5】三次元形状モデル生成処理のフロチャートである。
図6】位置算出処理のフロチャートである。
図7】三次元形状モデルから位置算出処理を行う概念図である。
図8】アンカーボルトAが埋設された建物基礎の設計図である。
図9】アンカーボルトAが埋設された建物基礎の設計図に対し、三次元形状モデルから算出されたアンカーボルト位置を示した図面である。
図10】三次元形状モデルから位置算出処理を行う概念図(変形例)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同一の符号を付し、適宜に説明を省略する。
【0011】
<概要>
本実施形態に係る建物基礎検査システム100の詳細を説明する前に、本実施形態の特徴の概要を説明する。
本実施形態に係る建物基礎検査システム100は、建物の基礎に関する設計データを取得するデータ取得手段と、建物の基礎を異なる撮影角度から撮影した複数の画像を取得する画像取得手段と、画像取得手段が取得した複数の画像を用いて、建物の基礎の三次元モデルを生成するモデル生成手段と、三次元モデルに含まれるアンカーボルトについて、基準となる高さに設定される基礎面における当該アンカーボルトの第一位置と、基礎面を上回る高さにおける当該アンカーボルトの第二位置と、を求める位置演算手段と、位置演算手段が求めた第一位置と第二位置に基づいて、データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトに関する異常の有無を判定するエラー判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0012】
ここで、「設計データ」とは、検査対象となる建物の基礎に含まれる各構成要素の形状や位置等を示すデータであって、人間の設計行為によって生成されたもの(人間がコンピュータを設計ツールとして用いて生成されたものを含む)をいう。本発明を実施するにあたって「設計データ」は少なくとも設計上のアンカーボルト位置を示すデータ(図2等に図示する建物基礎10のどの位置にアンカーボルトAを埋設するように設計しているかを示すデータ)を含んでいる必要がある。「設計データ」は、二次元で表現される形式のものであってもよいし、三次元で表現される形式のものであってもよい。
「データ取得手段」は、設計データを取得する機能であり、例えば、ステップS40の設計データを取得する処理である。「データ取得手段」は、建物基礎検査システム100の外部構成(例えば、クラウドサーバ等)から設計データを受信する機能であってもよいし、建物基礎検査システム100の内部構成(例えば、記憶装置等)から設計データを入力する機能であってもよい。
「画像取得手段」は、画像を取得する機能であり、例えば、ステップS20の撮影画像を取得する処理である。「画像取得手段」は、撮影手段(カメラ)が撮影した画像を当該撮影手段から直接的に又は他の構成を介して間接的に受け付ける機能であってもよいし、被写体を撮影してその画像を入手する機能(撮影手段そのもの)であってもよい。
「モデル生成手段」は、撮影画像を用いて建物基礎10の三次元モデルを生成する機能であり、例えば、ステップS30の三次元形状モデルを生成する処理である。ここで「三次元モデル」とは、検査対象となる建物の基礎に含まれる各構成要素の形状や位置等を三次元空間上に表現するデータであって、撮影画像を用いたコンピュータ処理によって機械的に生成されたもの(設計データではないもの)をいう。また、本実施形態の説明において「三次元モデル」と「三次元形状モデル」とは同じ意味として扱う。
【0013】
ここで、「第一位置」とは、三次元モデル上に設定される基礎面(基準となる高さに設定される仮想面)に交差するアンカーボルトの位置である。本実施形態においては建物基礎10の上端面10a(C1~C4を結ぶ仮想面)を基礎面として扱い、アンカーボルトAの基部Aaが「第一位置」に相当する。
また、「第二位置」とは、上記の基礎面を上回る高さに設定される仮想面に交差するアンカーボルトの位置である。本実施形態においては建物基礎10の上端面10aからZ軸方向に所定長h分上回る位置に設定される仮想面(C1′~C4′を結ぶ仮想面)に交差するアンカーボルトAの位置(アンカーボルトAの上方部Ab)である。ここで「所定長h」とは、建物基礎10の設計上で少なくとも要求されるアンカーボルトAの突出長さ(建物基礎10の上端面10aから上方向へのアンカーボルトAの寸法)である。「所定長h」は、一律に定まる値であってもよいし、アンカーボルトごとに異なる値であってもよい。また、「所定長h」は、設計データによって示される値であってもよいし、建物基礎検査システム100のユーザが任意に定める値であってもよい。
【0014】
「位置演算手段」は、生成された三次元形状モデルから第一位置および第二位置を求める機能であり、例えば、ステップS50の位置算出処理である。
「エラー判定手段」は、上記の第一位置および第二位置に基づいて設計データが示すアンカーボルトAに関する異常の有無を判定する機能であり、例えば、ステップS60の設計データと一致しているかを判定する処理である。ここで、エラー判定手段によって判定される「設計データが示すアンカーボルトに関する異常」には、(イ)三次元形状モデル上に示されるアンカーボルトの位置が設計データ上のアンカーボルトの位置とずれていること、(ロ)三次元形状モデル上に示されるアンカーボルトの位置が設計データ上に存在しないこと、(ハ)三次元形状モデル上に示されるアンカーボルトの傾斜角度が設計データで規定されている許容範囲を超えていること、等が含まれてもよい。
【0015】
このように構成することで、生成した三次元形状モデルに含まれるアンカーボルトAの位置と、設計データが示すアンカーボルトAの位置との異常有無を容易に判定することができ、埋設されたアンカーボルトAの検査を効率的に行える。
【0016】
上述の特徴を有する建物基礎検査システム100について、以下の実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0017】
<建物基礎検査システム100の概要>
まず、図1図3を用いて、建物基礎検査システム100の概要について説明する。なお、図1はアンカーボルトAが埋設された建物基礎10の斜視図であり、図2はアンカーボルトAが埋設された建物基礎10を撮影手段200で撮影するイメージ図であり、図3は建物基礎検査システム100のブロック図である。
【0018】
図1に示すように、建物基礎10に対し、所定の位置に複数のアンカーボルトA(A1~A10)が埋設されている。ここで、本実施形態において、X軸方向、Y軸方向およびZ軸方向と説明する場合は、図1に示すX軸方向、Y軸方向およびZ軸方向のことである。
図1に示すように、アンカーボルトAの特定の長さ(図示しない)を建物基礎10に埋設し、建物基礎10の上端面10aに対し所定長分(図1に示すh分)、Z軸上方向に突出させて埋設する。ここで、図1に示すように、建物基礎10の上端面10aに相当するアンカーボルトAの位置をアンカーボルトAの基部Aaとし、所定長h分Z軸上方向に相当するアンカーボルトAの位置をアンカーボルトAの上方部Abとする。
なお、アンカーボルトA7にのみ所定長hを図示したが、特に言及しない限り図1に記載された全てのアンカーボルトAは、建物基礎10に対し所定長分(h分)、Z軸上方向に突出させて埋設しているものとする。
また、図1にはアンカーボルトA1~A10にのみ符号を付与しているが、アンカーボルトA1~A10と同様の形状のものは全てアンカーボルトAであり、他の図面についても特に言及しない限り同様である。
【0019】
図2は、アンカーボルトAが埋設された建物基礎10を撮影手段200で撮影するイメージ図である。図2に示すように、図1の建物基礎10を上方から撮影手段200で撮影できるように撮影手段200を脚立210に設置する。本実施形態では、撮影手段200として市販のカメラを用い、当該カメラで撮影した静止画を用いて三次元形状モデルを作成するが、例えば、ビデオカメラで撮影した動画を用いてもよい。
【0020】
図3は、建物基礎検査システム100のブロック図である。建物基礎検査システム100には、三次元形状モデルの生成や位置演算処理などを実行可能なパーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理端末であり、図示してはいないが、キーボード、ポインティングデバイスなどの入力装置、演算処理装置、記憶部等を備えている。
アンカーボルトAの検査を行うには、建物基礎検査システム100の他に、撮影手段(カメラ)200と表示手段(ディスプレイ)300も必要である。これらの装置は、建物基礎検査システム100が備えるように構成してもよい。
【0021】
データ取得手段110は、建物基礎10に関する設計データを取得する手段であり、当該データを所定の記憶領域に記憶させる機能も有する。
【0022】
画像取得手段120は、撮影手段(カメラ)200によって撮影された写真のデータ(多視点画像データ)を取得する手段であり、当該データを所定の記憶領域に記憶させる機能も有する。
また、画像取得手段120は、撮影手段(カメラ)200のカメラパラメータを所定の記憶領域に記憶させる。このカメラパラメータは、外部パラメータと内部パラメータとを含み、外部パラメータが世界座標系におけるレンズの中心座標、レンズの光軸の方向などであり、内部パラメータが焦点距離、画像中心、画像の分解能(画素数)及び歪収差係数などである。
【0023】
モデル生成手段130は、取得した写真のデータから三次元形状モデルを生成する手段である。三次元形状モデルの生成方法については後述する。
位置演算手段140は、生成された三次元形状モデルから第一位置および第二位置を求める手段である。それぞれの位置の演算方法については後述する。
エラー判定手段150は、取得した設計データおよび算出した第一位置及び第二位置に基づいて建物基礎10に埋設されているアンカーボルトAに関するエラーを判定する手段である。エラーの判定方法については後述する。
【0024】
建物基礎検査システム100は、撮影手段(カメラ)200および表示手段(ディスプレイ)300と通信可能に接続されている。
撮影手段(カメラ)200は、上述したように、建物基礎10を上方の様々な異なる視点から撮影する手段である。本実施形態では、撮影手段200を脚立210に固定し撮影しているが、撮影方法はこれに限らず、例えば、移動撮影装置によって撮影した写真でもよく、撮影装置および撮影方法はどのようなものでもよい。また、撮影手段(カメラ)200は、撮影した多視点画像データを記憶する手段を備えていてもよい。
表示手段(ディスプレイ)300は、エラー判定手段150によって判定した結果を検査者等が視覚的に確認できるようにする手段である。
なお、本実施形態では、撮影手段(カメラ)200および表示手段(ディスプレイ)300は、建物基礎検査システム100に包含されない外部構成として説明するが、本発明の検査システムに包含される内部構成としてもよい。
【0025】
図4を用いて、基礎アンカーボルト検査の流れを説明する。
【0026】
<撮影(ステップS10)>
撮影手段(カメラ)200は、建物基礎10を上方の様々な異なる視点から撮影する。
【0027】
<撮影画像の取得(ステップS20)>
画像取得手段120は、ステップS10で撮影された写真のデータ(多視点画像データ)を取得し、当該データを所定の記憶領域に記憶させる。
【0028】
<三次元形状モデルの生成(ステップS30)>
モデル生成手段130は、取得した多視点画像データを元に、三次元形状モデルを生成する。三次元形状モデルの生成の流れについては後述する。
【0029】
<設計データの取得(ステップS40)>
データ取得手段110は、建物基礎10に関する設計データを取得し、当該データを所定の記憶領域に記憶させる。
【0030】
<位置算出(ステップS50)>
位置演算手段140は、ステップS30で生成した三次元形状モデルおよびステップS40で取得した設計データを用いて、建物基礎10に埋設されているアンカーボルトAの位置を算出する。アンカーボルトAの位置算出の流れについては後述する。
【0031】
<設計データとの比較(ステップS60)>
エラー判定手段150は、ステップS50で算出した埋設されているアンカーボルトAの位置と、設計データを用いて、各アンカーボルトAの位置が正しいか否か判定する。そして、全てのアンカーボルトAの位置が設計データと一致していれば基礎アンカーボルト検査処理を終了し(ステップS60でYESの場合)、設計データと一致していないアンカーボルトAがあれば、表示手段(ディスプレイ)300にその旨を示すデータを出力する(ステップS60でNOの場合)。設計データとの比較方法については後述する。
【0032】
<エラー表示(ステップS70)>
表示手段300は、ステップS60で出力されたデータに基づき、エラー表示を行う。エラー表示の表示態様については後述する。
【0033】
次に、図5を用いて、ステップS30の三次元形状モデルの生成方法について説明する。三次元形状モデルは、異なる複数の多視点画像から、デプスマップを生成した後、三次元点群を生成し、この三次元点群に基づいて生成される。なお、本実施形態では、以下に説明する生成方法で三次元形状モデルを生成するが、あくまでも三次元形状モデルの生成方法の一例であって、他の生成方法で三次元形状モデルを生成してもよい。
【0034】
<多視点画像入力(ステップS301)>
画像取得手段120によって取得し、記憶した異なった複数の視点で撮影手段(カメラ)200により撮像した複数の多視点画像を入力し、多視点画像を撮像した視点の各々に視点識別情報を付与する。そして、モデル生成手段130は、画像取得手段120によって入力した多視点画像の各々を、書き込んで記憶し、多視点画像の各々を書き込んだ領域のアドレスを取得する。モデル生成手段130は、多視点画像の各々に付与した視点識別情報に対応させ、視点の視点座標、視点の視点方向、撮影手段(カメラ)200のカメラパラメータ及び多視点画像を書き込んだ領域のアドレスそれぞれを、画像インデックスとして多視点画像テーブルに書き込んで記憶させる。
【0035】
<デプスマップ生成(ステップS302)>
モデル生成手段130は、ステップS301で作成し、記憶した多視点画像テーブルから、視点座標、視点方向、カメラパラメータ及び多視点画像インデックスの各々を読み出し、多視点画像インデックスに基づき、多視点画像の各々を読み出す。モデル生成手段130は、視点座標、視点方向、カメラパラメータ及び多視点画像の各々を用いて、各視点に対応するデプスマップ及び法線ベクトルマップを生成する。モデル生成手段130は、生成したデプスマップ及び法線ベクトルマップの各々を書き込んで記憶させる。モデル生成手段130は、デプスマップ及び法線ベクトルマップの各々を書き込んだ領域のアドレスを取得し、デプスマップインデックス及び法線ベクトルマップインデックスとして、視点識別情報に対応させて三次元点群生成テーブルに書き込んで記憶させる。
【0036】
<三次元点群生成(ステップS303)>
モデル生成手段130は、三次元点群生成テーブルを参照して、全視点のデプスマップインデックスを読み出す。そして、モデル生成手段130は、デプスマップインデックスの各々により、視点それぞれのデプスマップを読み出す。モデル生成手段130は、全視点のデプスマップを統合して、多視点画像の各々のピクセルに対応した三次元点からなる、対象物の三次元形状を示す三次元点群を生成する。
【0037】
<三次元点群調整処理(ステップS304)>
モデル生成手段130は、生成された三次元点群に対して、ボクセルグリッドフィルタを用いた、同一三次元点と見なされる複数の三次元点の選択による統合、ノイズとされる外れ点である三次元点の除去、及び複数視点間においてデプスマップとの整合性の取れない三次元点の除去などの調整処理を行なう。そして、モデル生成手段130は、生成した三次元点群を書き込んで記憶させ、書き込んだ領域のアドレスを取得する。モデル生成手段130は、取得したアドレスを三次元点群インデックスとして、三次元点群テーブルに対して書き込んで記憶させる。また、モデル生成手段130は、作成した三次元点群における三次元点の各々の法線ベクトルを推定し、三次元点群を書き込んで記憶させ、書き込んだ領域のアドレスを取得する。モデル生成手段130は、取得したアドレスを法線ベクトルマップインデックスとして、三次元点群テーブルに対して書き込んで記憶させる。
【0038】
<視点選択(ステップS305)>
モデル生成手段130は、三次元点群における各三次元点のマッチングを行なうための複数、例えば2個の視点を選択する。このとき、モデル生成手段130は、マッチングを行なう対象の三次元点のなるべく正面にあり、かつ三次元点に対応するピクセルがなるべく中央にある視点であり、この三次元点に対応するピクセルが存在する多視点画像を撮像した視点を選択する。すなわち、モデル生成手段130は、三次元点群におけるマッチング対象の三次元点の法線ベクトルを、ステップS302で記憶した法線ベクトルマップから読み出す。そして、モデル生成手段130は、多視点画像テーブルから、順次、この多視点画像テーブルに記載された順番に視点を選択し、選択した視点の視点座標及び視点方向の各々を読み出す。
【0039】
<マッチング処理(ステップS306)>
モデル生成手段130は、三次元点群におけるマッチング対象の三次元点の法線ベクトルを、ステップS302で記憶した法線ベクトルマップから読み出す。そして、モデル生成手段130は、三次元点の三次元座標及び法線ベクトルの各々から、選択された複数の視点における多視点画像の各々において同一サイズの局所領域を設定する。モデル生成手段130は、選択された多視点画像の各々の局所領域の画像の位相スペクトルから位相限定相関関数を計算し、相関値のピークを求めることにより、多視点画像間の微少な(サブピクセル単位の)平行移動量を推定する。これにより、モデル生成手段130は、対象の三次元点の三次元座標をサブピクセルの単位で高い精度で再計算する。
【0040】
<マッチングスコアの判定(ステップS307)>
モデル生成手段130は、選択された多視点画像の各々の局所領域における画像の位相スペクトルから上記ステップS306において位相限定相関関数を計算することで求められた相関値(マッチングスコア)が、予め設定された閾値以上か否かの判定を行なう。このとき、モデル生成手段130は、上記マッチングスコアが閾値以上の場合、処理をステップS308へ進める。一方、モデル生成手段130は、上記マッチングスコアが閾値未満の場合、処理をステップS309へ進める。
【0041】
<三次元点として記憶(ステップS308)>
モデル生成手段130は、マッチングスコアが閾値以上の場合、上記ステップS306において再計算された対象の三次元点の三次元座標を、一旦、自身内の記憶部に再計算点群における三次元点として書き込む。
【0042】
<三次原点の削除(ステップS309)>
モデル生成手段130は、マッチングスコアが閾値未満の場合、この対象の三次元点を三次元点群から除去する。
【0043】
<全ての三次元点群の計算は終了したかの判定(ステップS310)>
モデル生成手段130は、三次元点群における全ての三次元点の三次元座標の再計算が終了したか否かの判定を行なう。このとき、三次元点群における全ての三次元点の三次元座標の再計算が終了した場合、処理をステップS311へ進める。三次元点群における全ての三次元点の三次元座標の再計算が終了していない場合、処理をステップS306へ進め、三次元点群における次の三次元点の三次元座標の再計算を行なう。
【0044】
<再計算三次元点群として記録(ステップS311)>
モデル生成手段130は、三次元点群インデックスの示すさきに記憶されている三次元点群における三次元点の全ての再計算が終了した後、自身内の記憶部に記憶されている再計算点群を、書き込んで記憶させる。そして、モデル生成手段130は、上記再計算点群を書き込んだ領域のアドレスを取得し、再計算点群インデックスとして三次元点群テーブルに書き込んで記憶させる。
【0045】
<三次元形状モデル生成(ステップS312)>
モデル生成手段130は、ステップ311で記憶した三次元点群テーブルを参照し、再計算点群インデックスを読み出す。そして、モデル生成手段130は、再計算点群インデックスに基づき、再計算点群のデータを読み出す。モデル生成手段130は、読み出した再計算点群から、三次元形状モデルを例えば、メッシュ再構築の手法を用いて三次元メッシュモデルとして生成する。モデル生成手段130は、生成した三次元形状モデルに形状モデル識別情報を付与し、この三次元形状モデルのデータを書き込んで記憶させる。モデル生成手段130は、三次元形状モデルのデータを書き込んだアドレスを取得し、形状モデル識別情報に対応させ、三次元形状モデルインデックスとして、三次元形状モデルテーブルに書き込んで記憶させる。
【0046】
次に、図6を用いて、ステップS50の位置算出処理について説明する。
【0047】
<三次元形状モデルの読込(ステップS501)>
位置演算手段140は、三次元形状モデル生成処理(ステップS30)で作成し、記憶されている三次元形状モデルのデータを読み込み、当該データを表示手段(ディスプレイ)300に出力し、表示手段(ディスプレイ)300に表示させる。
【0048】
<特徴点の指定(ステップS502)>
位置演算手段140は、ステップS501で表示した三次元形状モデルを用いて特徴点(C1~C4)の指定を行う。
ここで、特徴点について図7を用いて説明する。特徴点とは、三次元形状モデルの建物基礎10の上端面(図7の10aが相当)を示す点であり、位置演算を行う際のZ軸方向の基準位置となる。本実施形態では、建物基礎10の角部(図7のC1~C4が相当)の上端面を特徴点として用いているが、これに限らず、例えば、建物基礎10に特徴点用のマーカを設けるなどしてもよい。ただし、本実施形態のように、建物基礎10の角部を特徴点とするほうが、新たにマーカを設けるよりも作業工程を簡素化できる。
本実施形態では、特徴点の指定方法としては、表示手段(ディスプレイ)140に表示された三次元形状モデルに対して、検査者等がC1~C4についてポインティングシステム等を用いて手動で指定する方法を採用している。しかし、特徴点の指定方法はこれに限らず、例えば、位置演算手段が生成された三次元モデルに対し、建物基礎10の設計図から取得したC1~C4の位置情報に基づき特徴点C1~C4を指定するようにしてもよい。また、何れの方法で特徴点の指定を行うかを建物基礎10に埋設されたアンカーボルトAの位置検査を行う際に検査者等が選択できるようにしてもよい。
【0049】
<基準面を設定(ステップS503)>
位置演算手段140は、ステップS502で指定した特徴点(本実施形態の場合、C1~C4が相当)を結ぶことにより形成される仮想面を建物基礎10の上端面10a(基準面)として設定する。
なお、本実施形態では特徴点をC1~C4の4箇所設け、当該4箇所の点を結ぶことにより形成される仮想面を建物基礎10の上端面10aとしたが、特徴点の数はこれに限らない。
【0050】
<第一位置を記憶(ステップS504)>
位置演算手段140は、ステップS503で設定した建物基礎10の上端面10aに交差するアンカーボルトAの位置(アンカーボルトAの基部Aa)を第一位置として記憶する。
【0051】
<基準面から所定長h分Z軸上方向の位置に仮想面を設定(ステップS505)>
位置演算手段140は、特徴点(C1~C4)各々に対し、所定長h分、Z軸上方向の位置に仮想点を設け(図7のC1′~C4′)、仮想点を結ぶことにより形成される仮想面を設定する。
【0052】
<第二位置を記憶(ステップS506)>
位置演算手段140は、ステップSS505で設定した仮想面に交差するアンカーボルトAの位置(アンカーボルトAの上方部Ab)を第二位置として記憶する。
【0053】
上述した位置算出処理で算出した第一位置と第二位置を用いて、エラー判定手段150は、設計データとの比較(ステップS60)を行う。そして、比較結果を検査者等が視覚的に把握できるように表示手段(ディスプレイ)300に表示する。なお、図8はアンカーボルトAが埋設された建物基礎10の設計図を示し、図9は当該設計図に対し、ステップS60の設計データとの比較結果を示した図である。
1)位置演算手段140がステップS504で記憶した第一位置(アンカーボルトAの基部Aa)と、設計データ上のアンカーボルトAの位置と、が等しい場合、エラー判定手段150は、アンカーボルトAが設計データ通りの位置に埋設されていると判定する。この場合、図9のA1、A3、A4・・・のように表示することで、検査者等にアンカーボルトAが設計データ通りの位置に埋設されていることを表している。
2)位置演算手段140がステップS506で記憶した第一位置(アンカーボルトAの基部Aa)と、設計データ上のアンカーボルトAの位置と、が等しくない場合、エラー判定手段150は、アンカーボルトAが設計データ通りの位置に埋設されていない(位置ずれのエラー)と判定される。この場合、図9のA2′、A6′、A10′のようなアラート表示することで、検査者等にアンカーボルトAが設計データ通りの位置に埋設されていないことを表している。ここで、アンカーボルトAが設計データ通りの位置に埋設されていない判定する場合、三次元形状モデルのアンカーボルトAの上方部Abが設計データと所定値以上異なる場合はエラーと判定するようにすることが好ましい。なお、当該所定値については建築物の形状、素材などによって適切な値が異なるため、検査者等が設定できるようにすることが好ましい。
【0054】
また、データ取得手段110が取得した設計データが示すアンカーボルトAの位置と、位置演算手段140が位置算出処理で算出した第一位置と、を照合し、当該照合が一致したアンカーボルトAについて、位置演算手段140は、位置算出処理で算出した第一位置と第二位置に基づいて当該アンカーボルトAの傾斜角度を求めてもよい。そして、傾斜角度が所定の閾値を超えるとき、エラー判定手段150は、当該アンカーボルトAの傾きが異常である(傾きのエラー)と判定し、表示手段300にアラート表示させてもよい。この場合、上記の位置ずれのエラーとは、異なるアラート表示にしてもよい。異なるアラート表示とすることで、位置ずれのエラーか傾きのエラーかを、検査者が把握しやすくなる。なお、位置算出処理で算出した第一位置と設計データが示すアンカーボルトAの位置を照合し、当該照合が一致したアンカーボルトAについて、位置算出処理で算出した第二位置が存在しない場合は、傾斜角度を求めずに、当該アンカーボルトAが異常であるものと判定としてもよい。
【0055】
以上の説明で記載されていない変形例について、以下に列挙する。
本実施形態では、特徴点をC1~C4とし、図7に示したようにC1~C4を結んだ仮想面およびC1′~C4′を結んだ仮想面に基づき位置演算手段140がアンカーボルトAの位置を算出したが、建物基礎10の角全てを特徴点として指定し、図10に示したように建物基礎10の形状と同様の形状の仮想面に基づき位置演算手段140がアンカーボルトAの位置を算出してもよい。この場合、特徴点を指定する工程の負荷は高くなるが、例えば、建物基礎10の高さが複数設けられる場合でも、アンカーボルトAの位置を正確に算出することができる。
【0056】
本実施形態では、特徴点(C1~C4)各々に対し、Z軸上方方向の位置に設ける仮想点(図7のC1′~C4′)を所定長hとしたが、所定長hより長い長さとしてもよい。このようにすることで、Z軸下方向に特定の長さ埋設されていないアンカーボルトAの異常を判定することができる。
また、特徴点からの仮想面をZ軸方向に複数設定するようにし、X軸方向またはZ軸方向の位置ずれだけでなく、アンカーボルトAがZ軸方向垂直に埋設されているか、Z軸下方向に特定の長さ埋設されているかなど複数の異常を判定することができる。
【0057】
本実施形態では、三次元形状モデルにおける第一位置と照合して一致するアンカーボルトAについて傾斜角度を求めて、傾きのエラーを判定する旨を説明したが、これに代えて、以下のような手法を用いて傾きのエラーを判定してもよい。
例えば、エラー判定手段150は、データ取得手段110が取得した設計データが示すアンカーボルトAの位置と、位置演算手段140が位置算出処理で算出した第一位置及び第二位置と、を照合し、設計データの中に第一位置及び第二位置の一方のみに適合するアンカーボルトAが存在する場合、傾きのエラーと判定し、表示手段300にアラート表示させてもよい。
【0058】
本実施形態では、設計データと比較して異常のアンカーボルトAがあった場合、設計データに基づく表示上にアラートマークを表示するようにしたが、設計データに基づく表示とは分けて一覧形式でエラーを表示させてもよいし、これらの表示に代えて又は追加して音声によるエラー報知を行ってもよい。
【0059】
上述の実施形態は、上述の説明に限定されるものではなく、種々の変形、改良等が可能である。
【0060】
<付記>
本実施形態は、次のような技術思想を包含する。
(1)
建物の基礎に取り付けられるアンカーボルトを検査する検査システムであって、
前記建物の基礎に関する設計データを取得するデータ取得手段と、
前記建物の基礎を異なる撮影角度から撮影した複数の画像を取得する画像取得手段と、
前記画像取得手段が取得した複数の画像を用いて、前記建物の基礎の三次元形状モデルを生成するモデル生成手段と、
前記三次元形状モデルに含まれるアンカーボルトについて、基準となる高さに設定される基礎面における当該アンカーボルトの第一位置と、前記基礎面を上回る高さにおける当該アンカーボルトの第二位置と、を求める位置演算手段と、
前記位置演算手段が求めた前記第一位置と前記第二位置に基づいて、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトに関する異常の有無を判定するエラー判定手段と、
を備える検査システム。
(2)
前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトの位置と、前記位置演算手段が求めた前記第一位置と、を照合する位置照合手段と、
前記位置照合手段による照合において前記第一位置と適合したアンカーボルトについて、前記位置演算手段が求めた前記第一位置と前記第二位置に基づいて、当該アンカーボルトの傾斜角度を求める傾斜演算手段と、
を備え、
前記エラー判定手段は、前記傾斜演算手段が求めた傾斜角度が所定の閾値を超えるとき、当該アンカーボルトが異常である旨を判定する、
(1)に記載の検査システム。
(3)
前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトの位置と、前記位置演算手段が求めた前記第一位置及び前記第二位置と、を照合する位置照合手段、
を備え、
前記エラー判定手段は、前記位置照合手段による照合において前記第一位置及び前記第二位置の一方のみに適合するアンカーボルトが存在する場合、当該アンカーボルトが異常である旨を判定する、
(1)に記載の検査システム。
(4)
前記エラー判定手段は、前記データ取得手段が取得した前記設計データが示すアンカーボルトの中に、前記位置照合手段による照合において前記第一位置と適合しないアンカーボルトが存在する場合、当該アンカーボルトが異常である旨を判定する、
(2)又は(3)に記載の検査システム。
(5)
前記設計データに基づく出力を行う出力手段を備え、
前記出力手段は、前記エラー判定手段によって異常と判定されたアンカーボルトが存在する場合、当該アンカーボルトが異常である旨を示すエラー報知出力を行う、
(1)から(4)のいずれかに記載の検査システム。
【符号の説明】
【0061】
10 建物基礎
10a 上端面
100 建物基礎検査システム
110 データ取得手段
120 画像取得手段
130 モデル生成手段
140 位置演算手段
150 エラー判定手段
200 撮影手段
210 脚立
300 表示手段
A アンカーボルト
Aa 基部
Ab 上方部
C1~C4 特徴点
C1′~C4′ 仮想特徴点
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10