(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】包装袋へタイトな被包装物を包装する包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 5/08 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
B65B5/08
(21)【出願番号】P 2020061970
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000142850
【氏名又は名称】株式会社古川製作所
(72)【発明者】
【氏名】隅田 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】原田 史紀
【審査官】種子島 貴裕
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-093569(JP,A)
【文献】特開昭50-102491(JP,A)
【文献】特開平06-298205(JP,A)
【文献】特開2003-261119(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 5/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
包装袋内に、複数の小袋を収納、包装する包装機であって、受け渡された包装袋の左右両側を挟持するクランプと、クランプに挟持された前記包装袋の表裏面を一対の吸盤で吸着し、前記吸盤間を広げて包装袋を開口させる開口機構と、前記包装袋の袋口の開口上部両側に配置され、開口された包装袋内に向けて傾斜できるように軸支され、小袋を落とし込むシュート板と、袋口が開口された包装袋の開口部から袋内に挿入し、小袋を袋底へ案内する仕切り板と、を備え、
仕切り板を他方の側に傾斜して包装袋の上方から挿入し、一方側のシュート板を傾け
てこの一方側のシュート板の先端で包装袋の袋口を拡開し、前記一方側のシュート板上の小袋を包装袋内に投入し、
前記仕切り板を一方の側に傾斜し、他方側のシュート板を傾け
てこの他方側のシュート板の先端で包装袋の袋口を拡開し、前記他方側のシュート板上の小袋を包装袋内に投入する
、
ことを特徴とする包装機。
【請求項2】
包装袋がガセット袋であって、複数の小袋をガセット袋に収納、包装する包装機であって、前記包装機は、
一対のクランプ間にガセット袋の左右両側を挟持させてガセット袋をクランプアームに支持させる袋供給セクションと、
クランプアームに支持されたガセット袋の表裏面を開口機構の一対の吸盤で吸着し、吸盤間を広げてガセット袋を開口させ、クランプアームに代わってガセット袋を支持する袋開口セクションと、
前記袋開口セクションで開口されたガセット袋の開口部からガセット袋内に他方の側に傾斜させた仕切り板を挿入し、ガセット袋の上部に配置された一方側のシュート板をガセット袋内に向けて傾け
てこの一方側のシュート板の先端でガセット袋の袋口を拡開し、前記一方側のシュート板上の小袋をガセット袋内に投入後、前記仕切り板を一方の側に傾斜し、他方側のシュート板を傾け
てこの他方側のシュート板の先端でガセット袋の袋口を拡開し、前記他方の側のシュート板上の小袋をガセット袋内に投入する小袋投入セクションと、
小袋投入後、折込みレバーでガセット袋の両側を折り込んで袋口を閉じ、閉じた袋口を前記クランプで挟持し、吸盤から再びクランプにガセット袋を受け渡す折込みセクションと、
クランプにより挟持されたガセット袋の閉じられた袋口をシールするシールセクションと、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載する包装機。
【請求項3】
クランプアームの先端部には、支持部材に支持されて一対の吸盤が対向配置された開口機構が配置され、この開口機構はローターの外周を周回することを特徴とする請求項2に記載する包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ガセット袋に複数の小袋を隙間なく自動的に収納するための包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の包装等で、小分けにした複数個の小袋を、一つのガゼット袋に包装して市場に提供することが多い。例えば、特許文献1に開示されたパッケージは、海苔の佃煮を小袋に包装し、この小袋を複数個一つの大きいパッケージに収納したものである。前記の小袋は、透明又は半透明の合成樹脂シートの四角片を2つに折り曲げて、互いに向き合う側縁と側縁を溶着することにより小袋を形成し、この小袋の袋口から海苔の佃煮を詰め込んでいる。
【0003】
他方、前記小袋をまとめて収納する包装袋(ガセット袋)は、透明又は半透明の合成樹脂シートを適宜に加工して袋状に既に形成したもので、上部を開口し、この包装袋の中に複数の小袋を投入、収納し、この後に上側開口部をシールしたものである。
【0004】
前記のような、マチ部を有するガセット袋へ複数の小袋を充填した包装は、美しい包装形態として商品価値を高め、好ましい包装態様と言える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1のように、複数の小袋をガセット袋内に収納して包装する場合、ガゼット袋の内容積が複数の小袋の合計容積に対して十分大きい、言い換えればゆったりとしたサイズである場合は、ガセット袋の袋口を開いて、袋口から小袋の投入は容易に行える。しかし、
図12に示すように、小袋の外周が包装袋の内周に対しそれほど余裕のない場合、言い換えればタイトな場合は、単に包装袋の袋口を開いただけでは内容物の充填が困難で、そのため機械化が難しく、この部分の工程は手作業での包装に頼らざるを得なかった。
【0007】
さらに、ガセット袋にタイトな小袋を収納して外観を良くしようとすれば、
図12に示した2個の小袋8、8の外周寸法をガセット袋4の内周寸法にほぼ等しくし、ガセット袋4内に2個の小袋8、8を強く押し込んで、ガセット袋の外面に皺がないようにする必要がある。このため、
包装の自動化の難易度がさらに高くなってくるという課題がある。
【0008】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたもので包装袋へタイトな小袋を容易に包装する包装機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記のような課題を解決するため、本発明は、包装袋内に、複数の小袋を収納、包装する包装機であって、受け渡された包装袋の左右両側を挟持するクランプと、クランプに挟持された前記包装袋の表裏面を一対の吸盤で吸着し、前記吸盤間を広げて包装袋を開口させる開口機構と、前記包装袋の袋口の開口上部両側に配置され、開口された包装袋内に向けて傾斜できるように軸支され、小袋を落とし込むシュート板と、袋口が開口された包装袋の開口部から袋内に挿入し、小袋を袋底へ案内する仕切り板と、を備え、
仕切り板を他方の側に傾斜して包装袋の上方から挿入し、一方側のシュート板を傾けてこの一方側のシュート板の先端で包装袋の袋口を拡開し、前記一方側のシュート板上の小袋を包装袋内に投入し、
前記仕切り板を一方の側に傾斜し、他方側のシュート板を傾けてこの他方側のシュート板の先端で包装袋の袋口を拡開し、前記他方側のシュート板上の小袋を包装袋内に投入する、
ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明は、包装袋がガセット袋であって、複数の小袋をガセット袋に収納、包装する包装機であって、前記包装機は、
一対のクランプ間にガセット袋の左右両側を挟持させてガセット袋をクランプアームに支持させる袋供給セクションと、
クランプアームに支持されたガセット袋の表裏面を開口機構の一対の吸盤で吸着し、吸盤間を広げてガセット袋を開口させ、クランプアームに代わってガセット袋を支持する袋開口セクションと、
前記袋開口セクションで開口されたガセット袋の開口部からガセット袋内に他方の側に傾斜させた仕切り板を挿入し、ガセット袋の上部に配置された一方側のシュート板をガセット袋内に向けて傾けてこの一方側のシュート板の先端でガセット袋の袋口を拡開し、前記一方側のシュート板上の小袋をガセット袋内に投入後、前記仕切り板を一方の側に傾斜し、他方側のシュート板を傾けてこの他方側のシュート板の先端でガセット袋の袋口を拡開し、前記他方の側のシュート板上の小袋をガセット袋内に投入する小袋投入セクションと、
小袋投入後、折込みレバーでガセット袋の両側を折り込んで袋口を閉じ、閉じた袋口を前記クランプで挟持し、吸盤から再びクランプにガセット袋を受け渡す折込みセクションと、
クランプにより挟持されたガセット袋の閉じられた袋口をシールするシールセクションと、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の包装機は前記構成により、包装袋は開口機構の吸盤で開口された状態に支持され、同時に包装袋の両側内部はシュート板の先端で拡開され、片側ずつ仕切り板で小袋が案内されて包装袋に投入され、包装袋に対してタイトな小袋であっても確実に包装可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施例1を応用したロータリー包装機の平面図
【
図2】ガセット袋供給セクションにおけるクランプアームの平面図
【
図3】吸盤によりガセット袋の袋口を開口した状態の平面図
【
図4】ガセット袋内に小袋を充填した状態を示す平面図
【
図5】ガセット袋の袋口を閉じてクランプでつかみ直した状態の平面図
【
図6】実施例2の仕切り板をガセット袋内に挿入する正面図
【
図7】シュート板により小袋をガセット袋内に投入する正面図
【
図8】実施例3の
傾斜した仕切り板を用いた例を示す正面図
【
図9】
傾斜した仕切り板をガセット袋内に挿入した状態を示す正面図
【
図10】シュート板により一方の小袋をガセット袋内に充填する正面図
【
図11】シュート板により他方の小袋をガセット袋内に充填する正面図
【
図12】ガセット袋内に小袋をタイトに充填した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施例1)
まず、本発明の一例として、ロータリー包装機Mに応用した例を説明するが、本発明は、ロータリー包装機Mに限定されるものではなく、直線式包装機であってもよい。また、包装袋4もガセット袋4で説明するが、ガセット袋4に限定されるものではない。
【0014】
図1はロータリー包装機Mの平面図である。このロータリー包装機Mは、ローター1の 周縁に2本一組のクランプアーム2が8組支持され、各クランプアーム2の先端には包装 袋4の左右両側を挟持するクランプ3、3が設けられている。
【0015】
前記ローター1は図示しない間欠駆動装置により8組のクランプアーム2の円周方向に45度のピッチで、括弧付きの数字(1)~(8)で示すセクションごとに時計回りに間歇回転する。
【0016】
さらに、前記クランプアーム2、2の先端部には、支持部材22に支持されて一対の吸盤21、21が対向配置された開口機構20が備えられている。この開口機構20はローター1の外周を周回する。図示は省略されているが吸盤21、21は、吸引管を介して吸引装置に接続されている。
【0017】
前記ロータリー包装機Mの袋供給セクション(1)では、ガセット包装袋供給装置5から扁平に畳まれたガセット袋4が受け渡し装置10によりクランプアーム2のクランプ3に一枚ずつ供給され、その左右両側が、クランプアーム2、2のクランプ3に挟持される。なお、ガセット袋4は、吸盤21、21間に配置される(
図2参照)。
【0018】
次いで、ローター1は45度回転し、ガセット袋4を
保持したクランプ
アーム2は袋開口セクション(2)に移動する。同時に、前記吸盤21、21を備えた開口機構20も前記クランプ
アーム2に追従しながら周回する。そして、
図3に示すように、ガセット袋4の前後から一対の吸盤21、21が近接し、ガセット袋4の表裏面
に吸着する。次いで、吸盤21、21が矢印Pで示すように互いに逆方向に移動し、ガセット袋4の袋口が広げられる。同時にそれまでガセット袋4を挟持していたクランプ3、3はガセット袋4を開放する。
【0019】
次いで、ローター1は45度間欠回転し、開口したガセット袋4を吸盤21、21で保持した状態で小袋投入セクション(3)へ移動する。この小袋投入セクション(3)では 、
図4に示すように、小袋8がガセット袋4内に左右に分けて2個投入される。
図4では、投入する機構は図示していないが、
この実施例1の投入する機構のシュート板7、7を図7に示す実施例2のシュート板7、7を用いて説明する。
【0020】
図7に示すシュート板7、7がガセット袋4内に傾けられると、シュート板7上に載置された小袋8、8がガセット袋4内に滑り落ちて充填される。この時、ガセット袋4は表裏面が吸盤21、21で開口された状態に支持され、同時にガセット袋4の両側内部はシュート板7、7の先端71、71で拡開されているので 、袋口の開口状態が確実になり、ガセット袋4に対して少々タイトな小袋8であっても互いに干渉することなく滑らかにガセット袋4内に落下する。
【0021】
その投入が完了すればローター1
が45度間歇回転
し、折込みセクション(4)へと移動する。ここで、
図5に示すように、折込みレバー9、9でガセット袋4の両側を折り込んで袋口を閉じ、閉じた袋口をクランプ3、3で再び挟持した後、吸盤21、21は吸引を停止して袋から離れて、シーラ30を備えたシールセクション(5)(6)に移動する 。シールセクション(5)は仮シール、シールセクション(6)は本シールである。
【0022】
なお、シールセクション(5)(6)、冷却装置31を備えた冷却セクション(7)、搬出コンベア32を備えた搬出セクション(8)は、従来のロータリ
ー包装機と同様である。ただ、従来と同様であると、吸盤21、21を備えた開口機構20と、シールセクション(5)(6)のシーラ30や冷却装置31の冷却板が干渉するおそれがある。干渉を避けるため、シールセクション(5)(6)や冷却セクション(7)で、開口機構20は、
下方に退避するような構造にする。さらに、図示していないが、各クランプアーム2に開口機構20を取り付け、各開口機構20上部にシーラ30を取り付けるような構造にしてもよい。このような構造にすれば、干渉は起きない。さらに、袋供給セクション(1)のガセット袋4の受け渡し装置10は、
図1のようなクランプアーム2の上部からガセット袋4を受け渡すのではなく、ガセット包装袋供給装置5のガセット袋4を吸盤( 図示せず)で吸着して捲り上げ、クランプアーム2の下方からクランプアーム2のクランプ3に受け渡すようにすれば、干渉は避けられる。
【0023】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。実施例2は小袋供給セクション(3)以外、実施例1と同じであるので、実施例2の小袋供給セクション(3)について説明する。実施例2の小袋供給セクション(3)では
図6に示すように、ガセット袋4の袋口の開口幅より少し小さめの仕切り板6が包装袋4の袋口から垂直に挿入される。なお、この実施例2も、供給セクション(3)では、小袋8がガセット袋4内に左右に分けて2個投入される。
【0024】
図6に示すように、前記仕切り板6は、小袋供給セクション(3)において、ガセット袋4の袋口の開口に対応する位置直上に、ガセット袋4内へ挿脱自在に設けられている。そして、仕切り板6は、小袋8の配置状況に応じた姿勢になるように、ガセット袋4内に挿入される。
図6の場合、小袋8は2個であるので、ガセット袋4の中央位置に挿入される。
【0025】
前記ガセット袋4の上部両側には、
図6に示すように仕切り板6を挟んだ対称位置にシュート板7、7が配置されている。このシュート板7、7は、先端71、71がガセット袋4内に入り込むよう、水平姿勢から回動可能なように回動軸72、72で軸支されている。なお、小袋8は、図示していないがコンベア等により搬送されて、シュート板7、7に載置される。
【0026】
図7に示すようにシュート板7、7がガセット袋4内に傾けられると、シュート板7上に載置された小袋8、8が仕切り板6をガイドとしてガセット袋4内に滑り落ちて充填される。この時、ガセット袋4は表裏面が吸盤21、21で開口された状態に支持され、同時にガセット袋4の両側内部はシュート板7、7の先端71、71で拡開されているので 、袋口の開口状態が確実になり、ガセット袋4に対して少々タイトな小袋8であっても互いに干渉することなく滑らかにガセット袋4内に落下する。
【0027】
その後、ローター1が45度間歇回転し、ガセット袋4が折込みセクション(4)へと移動し、折込みレバー9によりガセット袋4のマチ部の両側を折り込んで袋口を閉じる。閉じられた袋口をクランプ3、3で再び挟持した後、シールセクション(5)(6)、冷却セクション(7)、搬出セクション(8)に移動する点は前記実施例1と同じである。
【0028】
(実施例3)
実施例3は、実施例2の仕切り板6の操作以外は同じであるので、仕切り板6の操作を中心に説明する。
図6で示した仕切り板6を
図8に示すように
他方の側に傾斜させ、
図9に示すようにその状態のままガセット袋4内に挿入する。そして挿入が終われば、一方側のシュート板7(図示では右側)を傾斜させる。そして、一方側のシュート板7を傾けることによって小袋8を
図10に示すようにガセット袋4の底部に投入する。
【0029】
前記のようにして、一方側のガセット袋4
への小袋8の投入が完了すると、仕切り板6の下端6Aを中心にして矢印Aで示すように逆方向へと傾斜させ、
図11に示すように、他方側のシュート板7をガセット袋4内に傾斜させ小袋8を投入する。
【0030】
前記ように構成したことにより、ガセット袋4内に小袋8が、片側ずつ仕切り板6に案内されてガセット袋4に投入されるので、ガセット袋4に対してタイトな小袋8であっても確実に包装可能となる。一連の投入作業が完了すれば仕切り板6、シュート板7、7は元の位置に復帰して次の小袋8、8の供給に備え、待機する。
【0031】
以上説明したように、本発明によれば、従来では機械化が困難であったガセット袋のような包装袋4への複数の小袋8のタイトな収納が容易になり、見栄えのよい商品を大量に安価に供給可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0032】
本発明は、ガセット袋のような包装袋へ、タイトに複数の小袋を容易に充填して包装する包装機において有用である。
【符号の説明】
【0033】
M ロータリー包装機
1 ローター
2 クランプアーム
3 クランプ
4 包装袋(ガセット袋)
5 ガセット包装袋供給装置
6 仕切り板
6A 下端
7 シュート板
8 小袋
9 折込みレバー
10 受け渡し装置
20 開口機構
21 吸盤
22 支持部材
30 シーラ
31 冷却装置
32 搬出コンベア
71 シュート板先端
72 回転軸