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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】無人空中移動体
(51)【国際特許分類】
   B64U 10/20 20230101AFI20240716BHJP
   F41F 3/06 20060101ALI20240716BHJP
   B64U 50/12 20230101ALI20240716BHJP
   B64U 50/18 20230101ALI20240716BHJP
   B64U 50/15 20230101ALI20240716BHJP
   B64U 30/00 20230101ALI20240716BHJP
   B64U 101/18 20230101ALN20240716BHJP
   B64U 101/60 20230101ALN20240716BHJP
【FI】
B64U10/20
F41F3/06
B64U50/12
B64U50/18
B64U50/15
B64U30/00
B64U101:18
B64U101:60
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2024056111
(22)【出願日】2024-03-29
【審査請求日】2024-03-29
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】593012963
【氏名又は名称】村上 博
(74)【代理人】
【識別番号】100205626
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 博
(72)【発明者】
【氏名】村上 博
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第02936969(US,A)
【文献】米国特許第07246769(US,B2)
【文献】特開2018-063264(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0049306(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64U 10/20
F41F 3/06
B64U 50/12
B64U 50/18
B64U 50/15
B64U 30/00
B64U 101/18
B64U 101/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
揚力を発生させ、逆噴射用のフラップを備えるジェットエンジン又はロケットエンジンである複数の揚力エンジンと、
推進力を発生させ、逆噴射用のフラップを備えるジェットエンジン又はロケットエンジンである複数の推進エンジンと、
用途に応じた機器を備えるコンポーネントを着脱可能に搭載する受け部と、
姿勢変化ごとに指示された前記姿勢変化を実現するための前記揚力エンジンの出力を前記揚力エンジンごとに、前記推進エンジンの出力を前記推進エンジンごとに、それぞれ格納する姿勢テーブルと、
動作内容ごとに前記姿勢変化を停止させる動作停止条件を格納する動作条件テーブルと、
前記動作停止条件に規定される各条件に係るパラメータを検知するセンサ群と、
動作を行う旨の指示を受信したと判定した場合、前記動作条件テーブルを検索して指示された前記動作の動作内容に対応する姿勢及び前記動作停止条件を読み出し、前記姿勢テーブルを検索して先に読み出した前記姿勢に対応する前記揚力エンジン及び前記推進エンジンの出力を前記姿勢テーブルから読み出して前記揚力エンジン及び前記推進エンジンを読み出した出力に応じて出力させ、前記センサ群の出力にもとづいて前記動作停止条件が満たされたと判定した場合、指定された前記動作を停止する制御部と、
を備え、
前記揚力エンジンが発生させる前記揚力以上の前記揚力を発生させる主翼を備えない無人空中移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空中移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
航空機はその用途に応じて機能、装備、形状などが異なる。近時では、輸送用としてV-22(通称オスプレイ。例えば、非特許文献1を参照。)などの垂直離着陸航空機が上梓され、主に軍用に供されている。また、F-35B(例えば、非特許文献2を参照。)などの戦闘機として使用可能な垂直着陸機も上梓されている。
【0003】
しかし、V-22はプロペラの向きを変更する際に不安定になりがちであり、F-35Bは垂直離陸ができない。
【0004】
さらに、いずれも主翼などの部材が大きく、格納するためには大きなスペースが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】「MV-22オスプレイ」https://www.mod.go.jp/j/approach/anpo/osprey/haibi/pdf/mv22_pamphlet.pdf
【文献】「令和2年度防衛白書 <解説>F-35B戦闘機の取得」https://www.mod.go.jp/j/publication/wp/wp2020/html/nc007000.html
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、省スペースな空中移動体を提供することである。
【0007】
なお、上記の「背景技術」、および「発明が解決しようとする課題」に記載した内容は、本発明をするに至った契機(きっかけ)を示すものであり、本発明の技術的範囲を限定するものではなく、また、本発明の技術的範囲の限定解釈を許容するものでもない(平成17年(行ケ)第10042号、及び出願日における特許庁審査基準第II部第2章 第2節3.2.1参照。)。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、揚力を発生させ、逆噴射用のフラップを備えるジェットエンジン又はロケットエンジンである複数の揚力エンジン21と、推進力を発生させ、逆噴射用のフラップを備えるジェットエンジン又はロケットエンジンである複数の推進エンジン22と、用途に応じた機器を備えるコンポーネントを着脱可能に搭載する受け部122と、姿勢変化ごとに指示された姿勢変化を実現するための揚力エンジン21の出力を揚力エンジン21ごとに、推進エンジン22の出力を推進エンジン22ごとに、それぞれ格納する姿勢テーブル431と、動作内容ごとに姿勢変化を停止させる動作停止条件を格納する動作条件テーブル432と、前記動作停止条件に規定される各条件に係るパラメータを検知するセンサ群42と、動作を行う旨の指示を受信したと判定した場合、前記動作条件テーブル432を検索して指示された前記動作の動作内容に対応する前記姿勢及び前記動作停止条件を読み出し、前記姿勢テーブル431を検索して先に読み出した前記姿勢に対応する前記揚力エンジン21及び前記推進エンジン22の出力を前記姿勢テーブル431から読み出して前記揚力エンジン21及び前記推進エンジン22を読み出した前記出力に応じて動作させ、前記センサ群の出力にもとづいて前記動作停止条件が満たされたと判定した場合、指定された前記動作を停止する制御部41と、を備え、前記揚力エンジン21が発生させる前記揚力以上の前記揚力を発生させる主翼を備えない無人空中移動体1を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、省スペースな空中移動体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】空中移動体の側面外観斜視図である。
図2】空中移動体の図1におけるA矢視図である。
図3】空中移動体の図1におけるB矢視図である。
図4】コンポーネントを取り外した空中移動体の平面図である。
図5】受け部の図4におけるC矢視端面図である。
図6】戦闘コンポーネントを示す斜視図である。
図7】ジェットエンジンの例を示す図である。
図8】逆噴射用のフラップを開いた状態のジェットエンジンの例を示す図である。
図9】運動制御装置の構成を示すブロック図である。
図10】姿勢テーブルのデータ構成の例を示す図である。
図11】動作条件テーブルのデータ構成の例を示す図である。
図12】コンポーネント制御テーブルのデータ構成の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の一実施形態に係る空中移動体1を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0012】
(基本的な考え方)
従来の航空機は主翼が大きいため、格納に広いスペースが必要となっていた。また、垂直離着陸できる機種は、主にプロペラやファンによって揚力及び推進力を発生させていた。従って、移動速度が遅く、機体の姿勢が不安定なため事故が多い機種もあった。また、特に戦闘機はパイロットの訓練に時間と費用が掛かるだけでなく、急激な姿勢変更はパイロットの身体に害を及ぼすことがあった。
【0013】
主翼について
本実施形態の空中移動体1においては、主翼によって揚力を発生させるのではなく、揚力発生用の動力源(以下、揚力エンジン21という。)を備える。具体的には、空中移動体1は燃料を燃焼させるのに必要な酸素を大気から取り入れる動力源であるジェットエンジン、または燃料を燃焼させるのに必要な酸素或いは酸化剤を機体に積み込み、この酸素或いは酸化剤と燃料を混合させて燃焼させる動力源であるロケットエンジンを備える。
【0014】
従って、空中移動体1は、揚力エンジンが発生させる揚力より大きな揚力を発生させる主翼を持たない。従って、空中移動体1は格納に際して省スペースである。
【0015】
また、空中移動体1は、機体を前後方向に移動させ動力を発生させる動力源(以下、推進エンジン22という。)にもジェットエンジン或いはロケットエンジンを用い、揚力エンジンとは別に備える。
【0016】
従って、垂直離着陸が可能であるだけでなく、急速に離陸したり、音速などの高速な移動を行ったりすることが可能である。
【0017】
パイロットについて
空中移動体1は、運動制御装置40によって無人運航することが可能である。運動制御装置40は、指定された動作指示に該当する動作に必要な揚力エンジン及び推進エンジン22の動作を予め記憶しており、この動作を読み出して、逆噴射用のフラップ211を含めた揚力エンジン及び推進エンジン22の動作制御を行う。
【0018】
従って、機体にパイロットが搭乗する必要がないため、パイロットの訓練に係る時間や費用が省ける。
【0019】
またさらに、パイロットが搭乗していないため、人が乗っている場合には実現できないような、例えば急速宙返りなどのような急激かつ複雑な姿勢変更が可能となる。従って、戦闘機同士のいわゆるドッグファイトの際に、人が操縦する敵の戦闘機に対して極めて有利な位置や姿勢をとることができ、敵の戦闘機を効果的に排除することが可能となる。
【0020】
機体要素のコンポーネント化ついて
空中移動体1は、胴体部分などに搭載される機能部分である機体要素をコンポーネント化し、この機体要素のコンポーネント(以下、単にコンポーネントという。)を容易に交換できる着脱部材を備える。
【0021】
従って、このコンポーネントを交換することにより、例えば輸送機となったり、戦闘機となったり、任務に必要な機能を有する移動体に変更することが可能である。そして、例えば航空母艦などに、輸送機と戦闘機とを両方積載する必要がなくなり、さらに省スペースを行うことが可能である。
【0022】
(構成例)
図1は、本実施形態の空中移動体1の側面外観斜視図である。図2は、空中移動体1の図1におけるA矢視図である。図3は、空中移動体1の図1におけるB矢視図である。なお、以下、図1の矢印X1に示すように、推進エンジン22(以下、推進右エンジン22Rと、推進左エンジン22Lとを合わせて推進エンジン22という。)の大気吸い込み口方向を前方、排気ガス流出方向を後方という。以下、空中移動体1の揚力エンジン21及び推進エンジン22にジェットエンジンが用いられる例を説明する。
【0023】
図1から図3に示すように、空中移動体1は、主機体10と、コンポーネント31の例として輸送用のコンポーネント31である輸送コンポーネント31Tと、を備える。
【0024】
主機体10は、装置格納部11と、揚力エンジン21(以下、前右エンジン21FR、前左エンジン21FL、後右エンジン21RR、及び後左エンジン21RLを合わせて揚力エンジン21という。)と、推進エンジン22と、を備える。
【0025】
装置格納部11は、主機体10の前方先頭部分に運動制御装置40を格納する。
【0026】
揚力エンジン21は、ジェットエンジン或いはロケットエンジンが用いられる。揚力エンジン21は、主機体10の前方右側に設置される前右エンジン21FRと、主機体10の前方左側に設置される前左エンジン21FLと、主機体10の後方右側に設置される後右エンジン21RRと、主機体10の後方左側に設置される後左エンジン21RLと、を含む。
【0027】
揚力エンジン21は、大気吸い込み口方向を上方に向け、排気ガス流出方向を下方に向けて設置される。揚力エンジン21は、取付部材13を介して主機体10に取り付けられるが、主機体10に直接取り付けられてもよい。
【0028】
輸送コンポーネント31Tは、輸送コンポーネント31Tの側面部分に物品の積み下ろしを行うためのハッチ31T1を備える。
【0029】
図3に示すように、主機体10は車輪111を備える支持却110を、主機体10の内部に格納可能に備える。支持却110は、使用される場合には矢印X2の方向に開かれる。
【0030】
図4は、コンポーネント31を取り外した空中移動体1の平面図である。図4に示すように、空中移動体1は、桟121と、受け部122と、ロック123と、を備える。
【0031】
桟121は、装置格納部11、前右エンジン21FR、及び前左エンジン22FLを備える主機体10の前方部分と、後右エンジン21RR、後左エンジン21RL、及び推進エンジン22を備える主機体10の後方部分と、を連結して支持する。
【0032】
受け部122は、桟121の上方に、桟121の延伸方向に対して垂直に交わるように複数本かけ渡される。
【0033】
ロック123は、主機体10の前方部分及び主機体10の後方部分のコンポーネント31に対向する面に複数個配置され、コンポーネント31に予め設けられる挿入孔に挿入されることにより、コンポーネント31を主機体10に固定する。
【0034】
ロック123は、ソレノイドによって突出或いは収容され、ソレノイドに対する通電がOFFの時に突出してコンポーネント31を主機体10に固定し、ONの時に収容されてコンポーネント31を主機体10から取り外すことができる状態になる。
【0035】
図5は、受け部122の図4におけるC矢視端面図である。実線は受け部122を、破線はコンポーネント31を、それぞれ表す。図5に示すように、受け部122は、上方に受溝122Gを備える。
【0036】
受溝122Gは、コンポーネント31が下方面に有するローラ部321のローラ322の幅とほぼ同じ幅を有する。コンポーネント31は、ソレノイドに通電されている状態のとき、受溝122Gにローラ322を載せて移動させることによって主機体10に載置される。その後、ソレノイドの通電がOFFされ、コンポーネント31は主機体に固定される。
【0037】
図6は、コンポーネント31の他の例としての戦闘用のコンポーネント31である戦闘コンポーネント31Aを示す斜視図である。図6に示すように、戦闘コンポーネント31Aは、複数のミサイル31A1のほか、機関砲、投下用爆弾、或いは、敵施設に落下して爆破するための自爆用爆弾などを選択的に搭載できる。
【0038】
コンポーネント31は、これらの他に、例えば偵察機器を搭載した偵察用コンポーネント、着陸地点においてそのまま野営できるような施設を備える野営用コンポーネント、着陸地点において医療行為を実施するための施設を備える医療用コンポーネント、など、用途に応じて新設できる。また、コンポーネント31を選択された地点に残し、主機体10だけ帰還させることも可能である。
【0039】
図7は、揚力エンジン21及び推進エンジン22に用いられるジェットエンジン20の例を示す図である。図8は、逆噴射用のフラップ211を開いた状態のジェットエンジン20の例を示す図である。図7及び図8に示すように、ジェットエンジン20は、逆噴射用のフラップ211を、ジェットエンジン20の排気孔の付近に備える。
【0040】
ジェットエンジン20は、機械的、或いは、電気的に逆噴射の指示を受けたとき、アーム212を伸ばしてフラップ211をジェットエンジン20の排気孔から排出される排気に当たる位置に変位させる。この時、ジェットエンジン20の排気はフラップ211によって排気の風出方向とはほぼ逆方向に向きを変更される。従って、ジェットエンジン20の出力は進行方向とは逆向きに作用する。
【0041】
アーム212は、アーム212に連結されるソレノイドに通電することにより伸ばされ、ソレノイドへの通電が遮断されるとジェットエンジン20の筐体に内に収容される。
【0042】
図9は、運動制御装置40の構成を示すブロック図である。運動制御装置40は、空中移動体1の運動を制御する。図9に示すように、運動制御装置40は、制御部41と、センサ群42と、記憶部43と、通信部44と、を備える。
【0043】
制御部41は、CPU(Central Processing Unit)などの演算装置を備える。
【0044】
センサ群42は、例えば、赤外線センサ421、可視光を撮像する撮像カメラ422、空中移動体1の3次元各方向の加速度を検知する加速度センサ423、空中移動体1の3次元各方向の姿勢変位を検知するジャイロセンサ424、レーザ光線乃至気圧によって空中移動体1の地表からの高度を検知する高度センサ425、などが挙げられる。センサ群42に含まれる各センサは、検知結果を制御部41に出力する。
【0045】
記憶部43は、各種のメモリや記憶デバイスの中から選択された記憶装置を備える。記憶部43は、姿勢テーブル431と、動作条件テーブル432と、コンポーネント制御テーブル433と、を格納する。
【0046】
通信部44は、主通信部441と、主従機通信部442と、位置情報取得部443と、を備える。主通信部441は基地との通信を、主従機通信部442は他の空中移動体1に指示を出す主機と子の指示に従う空中移動体1である従機との間の通信を、それぞれ行うための通史装置を備える。また、位置情報取得部443は、例えばGPS(The Global Positioning System)から自機の位置情報を取得する通信装置を備え、取得した位置情報を制御部41に出力する。
【0047】
図10は、姿勢テーブル431のデータ構成の例を示す図である。姿勢テーブル431は、空中移動体1の姿勢の変化の内容ごとにエンジンごとの出力を格納する。
【0048】
図10に示すように、姿勢テーブル431は、空中移動体1の各姿勢に固有に割り当てられる識別子である姿勢No.と、空中移動体1の姿勢の変化の内容を示す姿勢変化内容と、姿勢変化内容ごとの揚力エンジン21の各エンジン、及び推進エンジン22の各エンジンの出力を数値化して格納する。ここで、例えば+10はフラップ211を作動させない順方向の出力が最大出力の10%を示し、-20はフラップ211を作動させせる逆方向の出力が最大出力の20%を示す。
【0049】
図11は、動作条件テーブル432のデータ構成の例を示す図である。動作条件テーブル432は、空中移動体1の動作内容ごとに空中移動体1の姿勢変化を停止させる条件を格納する。
【0050】
図11に示すように、動作条件テーブル432は、空中移動体1の各動作内容に固有に割り当てられる識別子である動作No.と、空中移動体1の各動作に用いられる姿勢に対応する姿勢No.と、姿勢No.が示す姿勢の維持を停止する条件を示す動作停止条件と、を格納する。
【0051】
ここで、空中移動体1の姿勢を変化させる場合の制御部41の動作を説明する。まず、制御部41は、空中移動体1の姿勢を変化させる動作の指示を受信したと判定した場合、動作条件テーブル432を検索して指定された動作の動作内容に対応する姿勢No.及び動作停止条件を読み出す。
【0052】
例えば、制御部41が動作No.Bn(前方宙返り)開始の指示を受信した場合、制御部41は、動作条件テーブル432を検索して動作No.Bnに対応する姿勢No.と、動作停止条件を読み出す。
【0053】
次に、制御部41は、姿勢テーブル431を検索して姿勢No.に対応する各エンジンの出力を読み出し、読み出した出力に合わせて各エンジンの出力を調整する。上記の例の場合、制御部41は、姿勢No.:「An+1」、動作停止条件:「機種旋回角=180°」、及び姿勢No.:「An+2」、動作停止条件:「ロール角=180°」をそれぞれ読み出す。
【0054】
次に、制御部41は、姿勢No.An+1に対応する各エンジンの出力を調整し、機首急上昇を実施する。そして、制御部41は、機種旋回角が180°に達したかを判定し、達したと判定した場合に姿勢No.An+1に対応する各エンジンの出力を姿勢No.An+2に対応する各エンジンの出力に変更する。
【0055】
そして、制御部41は、ロール角が180°に達したかを判定し、達したと判定した場合に各エンジンの出力をデフォルト(例えば、定速前進。)に戻す。
【0056】
図12は、コンポーネント制御テーブル433のデータ構成の例を示す図である。コンポーネント制御テーブル433は、コンポーネント31ごとの動作の内容とその動作の停止条件を格納する。
【0057】
図12に示すように、コンポーネント制御テーブル433は、コンポーネント31ごとに固有に割り当てられる識別子であるコンポーネントNo.と、コンポーネント名と、制御内容に固有に割り当てられる識別子である制御IDと、制御内容と、制御内容の動作を停止させる条件を示す制御停止条件と、を格納する。
【0058】
例えば、空中移動体1が機材輸送用コンポーネントを装着している場合、制御部41はハッチを開く旨の指示である制御ID:C001-001を受信したと判定した場合、予め記憶されているハッチを開く動作である施錠開動作とドアを開ける動作を行い、制御停止条件である「施錠開&ドア開センサON」が満たされたと判定した場合、ハッチを開く動作を停止する。
【0059】
(空中移動体のその他の例)
空中移動体1は省スペースである。従って、大型の航空機に複数搭載することが可能である。例えば、戦闘コンポーネント31Aを搭載した空中移動体1を大型の航空機である空中母艦に積載し、敵基地付近まで搬送する。そして、攻撃を開始する旨の指示が基地から出された場合、空中母艦は空中移動体1を放出し、空中移動体1に攻撃を開始させる。このように運用すれば、空中移動体1の燃料消費を減少させることが可能であり、空中母艦に給油装置を設置しておけば連続した攻撃が可能となる。
【0060】
(効果)
以上述べたように本実施形態の無人空中移動体1は、揚力を発生させ、逆噴射用のフラップを備えるジェットエンジン又はロケットエンジンである複数の揚力エンジン21と、推進力を発生させ、逆噴射用のフラップを備えるジェットエンジン又はロケットエンジンである複数の推進エンジン22と、用途に応じた機器を備えるコンポーネントを着脱可能に搭載する受け部122と、姿勢変化ごとに指示された姿勢変化を実現するための揚力エンジン21の出力を揚力エンジン21ごとに、推進エンジン22の出力を推進エンジン22ごとに、それぞれ格納する姿勢テーブル431と、動作内容ごとに姿勢変化を停止させる動作停止条件を格納する動作条件テーブル432と、前記動作停止条件に規定される各条件に係るパラメータを検知するセンサ群42と、動作を行う旨の指示を受信したと判定した場合、前記動作条件テーブル432を検索して指示された前記動作の動作内容に対応する前記姿勢及び前記動作停止条件を読み出し、前記姿勢テーブル431を検索して先に読み出した前記姿勢に対応する前記揚力エンジン21及び前記推進エンジン22の出力を前記姿勢テーブル431から読み出して前記揚力エンジン21及び前記推進エンジン22を読み出した前記出力に応じて動作させ、前記センサ群の出力にもとづいて前記動作停止条件が満たされたと判定した場合、指定された前記動作を停止する制御部41と、を備え、前記揚力エンジン21が発生させる前記揚力以上の前記揚力を発生させる主翼を備えない。
【0061】
従って、本発明の空中移動体1は、省スペースを実現することができるという効果がある。
【符号の説明】
【0062】
1 空中移動体
2 特許庁審査基準第II部第
10 主機体
11 装置格納部
13 取付部材
20 ジェットエンジン
21 揚力エンジン
21FL 前左エンジン
21FR 前右エンジン
21RL 後左エンジン
21RR 後右エンジン
22 推進エンジン
22FL 前左エンジン
22L 推進左エンジン
22R 推進右エンジン
31 コンポーネント
31A 戦闘コンポーネント
31A1 ミサイル
31T 輸送コンポーネント
31T1 ハッチ
40 運動制御装置
41 制御部
42 センサ群
43 記憶部
44 通信部
110 支持却
111 車輪
121 桟
122 受け部
122G 受溝
123 ロック
211 フラップ
212 アーム
321 ローラ部
322 ローラ
421 赤外線センサ
422 撮像カメラ
423 加速度センサ
424 ジャイロセンサ
425 高度センサ
431 姿勢テーブル
432 動作条件テーブル
433 コンポーネント制御テーブル
441 主通信部
442 主従機通信部
443 位置情報取得部
【要約】
【課題】省スペースな空中移動体を提供する。
【解決手段】空中移動体1は、揚力を生じさせる複数の揚力エンジン21と、推進力を発生させる複数の推進エンジン22と、用途に応じた機器を備えるコンポーネント31を着脱可能に搭載する受け部122と、指定された姿勢になるように揚力エンジン21及び推進エンジン22の出力を制御する制御部41を含む運動制御装置40と、を備え、揚力エンジン21が発生させる揚力以上の揚力を発生させる主翼を備えない。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12