(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】染毛料組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/49 20060101AFI20240716BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240716BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20240716BHJP
A61Q 5/06 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61K8/49
A61K8/34
A61K8/37
A61Q5/06
(21)【出願番号】P 2020101173
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-03-06
(73)【特許権者】
【識別番号】502439647
【氏名又は名称】株式会社ダリヤ
(72)【発明者】
【氏名】横山 亮太
【審査官】佐々木 典子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-064947(JP,A)
【文献】特開2014-101292(JP,A)
【文献】国際公開第2018/180516(WO,A1)
【文献】特開2017-206483(JP,A)
【文献】特開2019-137657(JP,A)
【文献】MintelGNPD,2017年01月,http://www.gnpd.com,ID:4505781
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の(A)成分~(C)成分から選ばれる1種以上
(A)塩基性赤51
(B)塩基性青75
(C)塩基性黄57
および
(D)
エチレングリコール、1,3-ブチレングリコールまたはグリセリンから選ばれる1種以上
(E)
パルミチン酸2-エチルヘキシル
を含有
し、前記(A)成分の含有量が0.03~1質量%、前記(B)成分の含有量が0.03~0.5質量%、前記(C)成分の含有量が0.5~1質量%、前記(D)成分の含有量が5~10質量%、前記(E)成分の含有量が5~10質量%である染毛料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、染毛料組成物に関する。更に詳しくは、本発明は特定の塩基性染料を含有する染毛料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアカラーリング剤は、酸化染料を用いる酸化染毛剤等の永久染毛剤、毛髪を明るくする脱色剤、直接染料を用いる半永久染毛料、毛髪を一時的に着色する一時染毛料に大別される。これらのうち、酸化染料を含有する酸化染毛剤等の永久染毛剤は一般的に、酸化剤およびアルカリ剤を含有するため、染毛力は高いが毛髪に対する負荷が大きいというデメリットがある。
【0003】
一方で半永久染毛料は、塩基性染料や酸性染料、HC染料等の直接染料を含有した染毛料組成物であり、その一種として、染毛効果とトリートメント効果を同時に示すカラートリートメントがある。このカラートリートメントは、トリートメント効果を付与する目的としてカチオン性界面活性剤が汎用されることから、酸性染料と併用した場合、カチオン性界面活性剤と酸性染料が凝集を起こし染毛力が低下することがある。このことから、カラートリートメントに用いる直接染料としては、併用しても染毛力が低下しにくい塩基性染料やHC染料等が主に用いられる。
【0004】
カラートリートメントなどの染毛料組成物は酸化染毛剤と比較して、酸化剤やアルカリ剤等を用いないため、毛髪および頭皮へのダメージを抑制することができるというメリットがある。一方で、カラートリートメントなどの染毛料組成物は酸化染毛剤と比較して、毛髪に対する染毛力が劣るという問題点があった。また、塩基性染料やHC染料を含有するカラートリートメントなどの染毛料組成物は、塩基性染料やHC染料の温度安定性が悪く、低温条件化で析出が生じることにより染毛力が経時的に低下したり、高温条件化では塩基性染料やHC染料の分解が起こることにより染毛力が経時的に低下するという問題点があった。これらの問題点を解決するために、染毛力が高く、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好な染毛料組成物が求められているのが現状である。
【0005】
また、カラートリートメントなどの染毛料組成物は、消費者の趣味趣向に応じた様々なカラーバリエーションを求められているが、染毛力が高く、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好で、カラーバリエーションに富む染毛料組成物は未だ不十分であった。
【0006】
特許文献1および2では、特定の塩基性染料およびHC染料で、青色系の塩基性青75およびHC青2、茶色系の塩基性茶16および塩基性茶17、黄色系のHC黄2およびHC黄4等を組み合わせで含有する染毛料組成物を提案している。また特許文献3では、特定の塩基性染料で、青色系塩基性青75または塩基性青99、赤色系塩基性赤51または塩基性赤76、茶色系の塩基性茶16等を組合わせで含有する染毛料組成物を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-101292号公報
【文献】特開2017-61451号公報
【文献】特開2011-190187号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
複数の直接染料を用いて赤色、青色、黄色の三原色を組み合わせることでカラーバリエーションは多様化するが、特許文献1~2ではHC黄2およびHC黄4の低温保存時および高温保存時に染料析出による染毛力に懸念がある。更に、赤色系の染料が含有されていないことからカラーバリエーションに乏しい。また特許文献3は、塩基性赤76の低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力に懸念があり、そして塩基性青99の染毛力が不十分である。更に、黄色系の染料が含有されていないことからカラーバリエーションに乏しい。
【0009】
本発明は、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であり、カラーバリエーションに富む染毛料組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は鋭意検討した結果、次の(A)~(C)から選ばれる1種以上
(A)塩基性赤51
(B)塩基性青75
(C)塩基性黄57
および
(D)多価アルコール
(E)25℃で液状の油性成分
を含有する染毛料組成物が、上記の課題を解決することを見出し、本発明を完成させた。
【発明の効果】
【0011】
本発明により、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であり、カラーバリエーションに富む染毛料組成物を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0013】
本発明において、染毛力とは室温(25℃)時における染毛度、高温とは40℃、低温とは5℃、カラーバリエーションとは種々の染料を単独または複数組み合わせてできる色味の多様性のことである。
【0014】
本発明は、塩基性染料の染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好である観点から、(A)塩基性赤51を含有する。
【0015】
[(A)成分:塩基性赤51]
本発明で用いられる前記(A)成分は、下記の「化1」に示す化学構造をもつ赤色系の塩基性染料である。
【化1】
【0016】
本発明で用いられる前記(A)成分の含有量は、成分の含有量は、0.005~1質量%、より好ましくは0.008~1質量%、さらに好ましくは0.03~1質量%がよい。前記(A)成分の含有量が0.005質量%未満の場合、染毛力が低下する恐れがある。前記(A)成分の含有量が1質量%を超える場合、それ以上の染毛力の向上は期待できない。
【0017】
本発明は、塩基性染料の染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好である観点から、(B)塩基性青75を含有する。
【0018】
[(B)成分:塩基性青75]
本発明で用いられる前記(B)成分は、下記の「化2」に示す化学構造をもつ青色系の塩基性染料である。
【化2】
【0019】
本発明で用いられる前記(B)成分の含有量は、0.005~0.5質量%、より好ましくは0.01~0.5質量%、さらに好ましくは0.03~0.5質量%がよい。前記(B)成分の含有量が0.005質量%未満の場合、染毛力が低下する恐れがある。前記(B)成分の含有量が0.5質量%を超える場合、それ以上の染毛力の向上は期待できない。
【0020】
本発明は、塩基性染料の低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好である観点から、(C)塩基性黄57を含有する。
【0021】
[(C)成分:塩基性黄57]
本発明で用いられる前記(C)成分は、下記の「化3」に示す化学構造をもつ青色系の塩基性染料である。
【化3】
【0022】
本発明で用いられる前記(C)成分の含有量は、0.05~1質量%、より好ましくは0.1~1質量%、さらに好ましくは0.5~1質量%がよい。前記(C)成分の含有量が0.05質量%未満の場合、染毛力が低下する恐れがある。前記(C)成分の含有量が1質量%を超える場合、それ以上の染毛力の向上は期待できない。
【0023】
本発明は、前記(A)成分、前記(B)成分、前記(C)成分を単独で用いることもでき、更に組み合わせて用いることにより、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であり、毛髪をカラーバリエーションに富む色味に染毛することができるという効果を実現できる。
【0024】
本発明は、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好である観点から、(D)多価アルコールを含有する。
【0025】
本発明で用いられる前記(D)成分としては、特に限定されないが、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、濃グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、グルコース、マルトース、マルチトール、スクロース、マンニトール、ソルビトール、1,2-ペンタンジオール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール等が挙げられ、前記多価アルコールは1種以上を含有することができる。
【0026】
本発明で用いられる前記(D)成分のうち、好ましくはエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリンがよい。
【0027】
本発明で用いられる前記(D)成分の含有量は、2~10質量%、より好ましくは5~10質量%がよい。前記(D)成分の含有量が2質量%未満の場合、染毛力および低温保存時の染毛力が悪くなる恐れがある。前記(D)成分の含有量が10質量%を超える場合、それ以上の染毛力の向上は期待できない。
【0028】
本発明は、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好である観点から、(E)25℃で液状の油性成分を含有する。
【0029】
本発明で用いられる前記(E)成分としては、特に限定されないが、例えば、α-オレフィンオリゴマー、流動パラフィン、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、流動イソパラフィン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸-2-ヘキシルデシル、アジピン酸ジイソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、イソオクタン酸セチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、セバシン酸ジイソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ステアリル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ミリスチン酸トリイソデシル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸2-エチルヘキシル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルドデシル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキシル酸エチレングリコール、ジペンタエリスリット脂肪酸エステル、カプリン酸セチル、トリカプリル酸グリセリル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリルなどが挙げられ、前記25℃で液状の油性成分は1種以上を含有することができる。
【0030】
本発明で用いられる前記(E)成分のうち、好ましくはパルミチン酸2-エチルヘキシル、流動パラフィン、より好ましくはパルミチン酸2-エチルヘキシルがよい。
【0031】
本発明で用いられる前記(E)成分の含有量は、1~10質量%、より好ましくは2~10質量%、さらに好ましくは5~10質量%がよい。前記(E)成分の含有量が1質量%未満の場合、染毛力の低下および、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が悪くなる恐れがある。前記(E)成分の含有量が10質量%を超える場合、それ以上の染毛力の向上は期待できない。
【0032】
本発明の染毛料組成物は前記(A)~(C)成分以外の塩基性染料、HC染料その他の各種直接染料を、本発明の効果を損なわない範囲で含有することができる。
【0033】
前記(A)~(C)成分以外の塩基性染料としては、例えば、赤色213号、赤色214号、塩基性青3、塩基性青6、塩基性青7、塩基性青26、塩基性青41、塩基性茶4、塩基性茶16、塩基性茶17、塩基性緑1、塩基性緑4、塩基性橙1、塩基性橙2、塩基性橙31、塩基性赤1、塩基性赤2、塩基性赤22、塩基性赤46、塩基性赤76、塩基性紫1、塩基性紫2、塩基性紫3、塩基性紫10、塩基性紫16、塩基性黄11、塩基性黄28、塩基性黄87等が挙げられる。
【0034】
前記HC染料としては、例えば、2-アミノ-6-クロロ-4ニトロフェノ-ル、2-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、4-アミノ-3-ニトロフェノ-ル、3-メチルアミノ-4-ニトロフェノキシエタノ-ル、4-ヒドロキシプロピルアミノ-3-ニトロフェノール、HC青2、HC青6、HC青9、HC青11、HC青12、HC青13、HC青15、HC橙1、HC橙2、HC橙3、HC赤1、HC赤3、HC赤8、HC赤11、HC紫1、HC紫2、HC黄2、HC黄4、HC黄5、HC黄6、HC黄11、HC黄14、HC黄15等が挙げられる。
【0035】
本発明の染毛料組成物は前記必須成分の他に、本発明の効果を損なわない範囲で通常の化粧料、医薬部外品、医薬品等に用いられる各種成分、例えば、直接染料、酸性染料、界面活性剤、高分子化合物、(E)成分以外の油性成分、保湿剤、増粘剤、薬効成分、蛋白誘導体、加水分解蛋白、アミノ酸類、金属封鎖剤、酸化防止剤、植物性抽出物、生薬抽出物、ビタミン類、防腐剤、色素、顔料、粉体、pH調整剤、紫外線吸収剤、香料等から選ばれる少なくとも1種以上を含有することができる。ただし、これら例示に限定されるものではない。
【0036】
本発明の染毛料組成物は、乳液状、クリーム状等の剤型で用いられ、塗布性の観点から、クリーム状が好ましい。
【0037】
本発明による染毛料組成物の粘度は、特に限定されないが、容器からの出しやすさおよび塗布性の観点から、20℃の条件下で好ましくは粘度が3000~50000mPa・sがよい。粘度が3000mPa・s未満、または50000mPa・sを超える場合、容器からの出しやすさおよび毛髪への塗布のしやすさに難を生じる恐れがある。
【0038】
本発明における染毛料組成物の20℃の条件下における粘度は、常法にて調製して得られ染毛料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃条件下で24時間静置した後に、ヘリカルスタンド付B型粘度計(モデル:デジタル粘度計TVB-10M、東機産業株式会社製)により、M4号ロータを用いて回転速度12rpmで1分間、回転させた後に測定したものである。
【0039】
本発明における染毛料組成物のpHは、染毛力に優れ、高温保存時の染毛力が良好である観点から、20℃の条件下で好ましくはpH3~6であり、より好ましくはpH4~6がよい。pHが3未満の場合、染毛力が悪くなる恐れがある。pHが6を超える場合、高温保存時の染毛力が悪くなる恐れがある。
【0040】
本発明における染毛料組成物の20℃条件下におけるpHは、常法にて調製して得られた染毛料組成物をサンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g充填し、20℃条件下で24時間放置した後に、ガラス電極式水素イオン濃度指示計(F-71、堀場製作所製)にて原液のpHを測定し得られるものである。
【0041】
本発明に用いられる染毛料組成物は、ポリ容器、アルミチューブ容器、エアゾール容器、パウチ容器、ジャー容器などの各種容器に充填され、使用時まで保存される。
【実施例】
【0042】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、これらは本発明を何ら限定するものではない。数値は特に指定のない限り質量%である。
【0043】
本明細書に示す評価試験において、「染毛力」、「低温保存時の染毛力」および「高温保存時の染毛力」について下記の方法で評価した。
【0044】
「染毛力」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物1gをそれぞれ、100%白髪毛束(品番:BM-W-A、ビューラックス社製)1gに対し均一に塗布した。5分間放置した後、水で十分洗い流し、ドライヤーを用いて毛束を乾燥させ、評価用毛束とし、下記の基準で専門のパネラー15名が目視にて評価した。
<評価基準>
◎:15人中12人以上が染毛性に優れる。
〇:15人中8人以上11人以下が染毛力に優れる。
△:15人中4人以上7人以下が染毛力に優れる。
×:15人中3人以下が染毛力に優れる。
【0045】
「低温保存時の染毛力」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物を、サンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g入れ、5℃の恒温槽中で30日間保管した。保管した各染毛料組成物を室温(25℃)に戻し、各染毛料組成物1gをそれぞれ100%白髪毛束(品番:BM-W-A、ビューラックス社製)1gに対し、均一に塗布した。5分間放置した後、水で十分洗い流し、ドライヤーを用いて毛束を乾燥させ、評価用毛束とした。室温(25℃)にて保存した染毛料組成物と比較して、下記の基準で専門のパネラー1名が目視にて評価した。
<評価基準>
〇:室温(25℃)保存で染毛したものと比較して染毛力が同等である。
×:室温(25℃)保存で染毛したものと比較して染毛力が悪い。
【0046】
「高温保存時の染毛力」
各実施例、各比較例に係る染毛料組成物を、サンプル瓶(食品140:第一硝子株式会社製)に120g入れ、40℃の恒温槽中で30日間保管した。保管した各染毛料組成物を室温(25℃)に戻し、1gをそれぞれ100%白髪毛束(品番:BM-W-A、ビューラックス社製)1gに対し、均一に塗布した。5分間放置した後、水で十分洗い流し、ドライヤーを用いて毛束を乾燥させ、評価用毛束とした。室温(25℃)にて保存した染毛料組成物と比較して、下記の基準で専門のパネラー1名が目視にて評価した。
<評価基準>
〇:室温(25℃)保存で染毛したものと比較して染毛力が同等である。
×:室温(25℃)保存で染毛したものと比較して染毛力が悪い。
【0047】
「色味」
各実施例、各比較例に係る各染毛料組成物1gを、それぞれ100%白髪毛束(品番:BM-W-A、ビューラックス社製)1gに対し、均一に塗布した。5分間放置した後、水で十分洗い流し、ドライヤーを用いて乾燥させた評価用毛束を、専門のパネラー1名が目視にて評価した。
【0048】
【0049】
表1に示される実施例1~6は、染毛力に優れ、低温安定性および高温安定性が良好な結果である。比較例1~4では、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であることを全て満たす結果は得られなかった。これは、低温保存時に染料の析出が発生したことにより、染毛力が低下したものと思われる。
【0050】
【0051】
表2に示される実施例7~13は、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好な結果である。比較例5~7では、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であることを全て満たす結果は得られなかった。比較例5および比較例6は、塩基性青99およびHC青2は少量では十分な染毛力がなく、比較例7は低温保存時に染料の析出が発生したことにより、染毛力が低下したものと思われる。
【0052】
【0053】
表3に示される実施例14~17は、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好な結果である。比較例8および比較例9では、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好な結果は得られなかった。これは、低温保存時に染料の析出が発生したことにより、染毛力が低下したものと思われる。
【0054】
【0055】
表4に示される実施例18~23は、(A)成分~(C)成分を組み合わせることで、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であり、カラーバリエーションに富む色を表すことができる結果である。
【0056】
【0057】
表5に示される実施例24~28は、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好な結果である。比較例10では、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であることを全て満たす結果は得られなかった。これは、染料の低温保存時および高温保存時において染料の析出が発生したことにより、染毛力が低下したものと思われる。
【0058】
【0059】
表6に示される実施例29~33は、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好な結果である。比較例11では、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であるという結果は得られなかった。これは、染料の低温保存時および高温保存時において染料の析出が発生したことにより、染毛力が低下したものと思われる。
【0060】
<実施例34>
成分 含有量(質量%)
(A)塩基性赤51 0.030
(B)塩基性青75 0.040
(C)塩基性黄57 0.500
(D)エチレングリコール 4.500
(D)1,3-ブチレングリコール 2.700
(D)グリセリン 1.800
(E)パルミチン酸2-エチルヘキシル 2.500
(E)流動パラフィン 2.500
クエン酸 0.025
クエン酸ナトリウム 0.110
セタノール 4.200
ステアリルアルコール 1.800
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム 2.500
パラオキシ安息香酸メチル 0.200
精製水 76.595
合計 100.000
実施例34に示す染毛料組成物の20℃の条件下における粘度は15500mPa・s、20℃条件下におけるpHは4.7、色味は赤茶色である。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本願発明によれば、特定の塩基性染料を含有する染毛料組成物に関して、染毛力に優れ、低温保存時の染毛力および高温保存時の染毛力が良好であり、カラーバリエーションに富む染毛料組成物を提供する。