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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】鳥害防止器
(51)【国際特許分類】
   A01M 29/32 20110101AFI20240716BHJP
【FI】
A01M29/32
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021011312
(22)【出願日】2021-01-27
(65)【公開番号】P2022114855
(43)【公開日】2022-08-08
【審査請求日】2023-11-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000139573
【氏名又は名称】株式会社愛洋産業
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】岸 泰至
【審査官】星野 浩一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-072842(JP,A)
【文献】特開平06-121436(JP,A)
【文献】特開2006-174708(JP,A)
【文献】特開2012-222872(JP,A)
【文献】特開2016-178766(JP,A)
【文献】中国実用新案第212277866(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2019/0379196(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M 29/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
架空線に取り付けて用いられ、忌避線を前記架空線に沿って架ける鳥害防止器であって、
前記架空線に取り付け可能に構成された本体部と、
前記忌避線を支持可能に構成された支持部を有する延出部と、
を備え、
前記延出部は、前記本体部に対して所定の回転軸を中心に回転可能に接続されており、
前記延出部の重心から前記回転軸に向かう方向を基準方向としたときに、前記支持部は前記回転軸よりも前記基準方向側に位置
前記回転軸は、前記架空線の長さ方向と略同一の方向に長さを有しており、
前記延出部は、前記架空線の長さ方向に関して、前記本体部とは異なる位置に配置される複数の外側部を備え、
前記複数の外側部は、前記延出部の重心を、前記回転軸よりも前記基準方向とは反対側に保つための重量を有するおもりであり、
前記複数の外側部は、前記架空線の長さ方向に関して、前記本体部を挟むように、前記本体部の両側に配置され、内側の面が対向するように配置される、鳥害防止器。
【請求項2】
請求項1に記載の鳥害防止器であって、
前記支持部と、前記回転軸と、前記延出部の重心と、は略一直線上に位置している、鳥害防止器。
【請求項3】
請求項1又は請求項に記載の鳥害防止器であって、
前記延出部は、前記本体部よりも前記架空線の長さ方向に関して張り出した厚み部を有する、鳥害防止器。
【請求項4】
請求項1から請求項までのいずれか1項に記載の鳥害防止器であって、
前記延出部は、相対的に密度が大きい素材で構成される部分と、相対的に密度が小さい素材で構成される部分と、を含む、鳥害防止器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、架空線に取り付けられ、忌避線を架空線に架ける鳥害防止器に関する。
【背景技術】
【0002】
架空線には、鳥類の飛来を防止するため、架空線の上方に鳥害防止用の忌避線が架けられることがある。この忌避線を架空線の上方に架けるために用いられるのが鳥害防止器であり、架空線には複数の鳥害防止器が架空線の長手方向に沿って所定間隔ごとに設置される。鳥害防止器は、架空線に取り付けるための部分と、忌避線を支持するための部分と、を含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-141452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
架空線は、地面から離れた高い位置に配置されている。そのため、鳥害防止器の取り付けを行う作業者は、例えば高所作業車を用いて架空線の真下に移動して作業する。しかしながら、架空線の周囲の環境や、架空線が鉛直方向に並んで配置される、いわゆる縦引きの場合、架空線の真下に移動して作業することが難しい場合がある。また、鳥害防止器の着脱に棒状の器具を用いる場合には、他の架空線が器具操作の妨げになる場合があった。例えば、架空線が上段、中段、下段の3段に配置されている縦引きの場合、上段の架空線に鳥害防止器を取り付けようとすると、真下にある中段及び下段の架空線に器具が接触するなど取り付けの妨げとなる場合があった。
【0005】
本開示の目的は、鳥害防止器の取り付けの作業性を向上させる技術を提案することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様は、架空線に取り付けて用いられ、忌避線を架空線に沿って架ける鳥害防止器であって、本体部と、延出部と、を備える。本体部は、架空線に取り付け可能に構成される。延出部は、忌避線を支持可能に構成された支持部を有する。また、延出部は、本体部に対して所定の回転軸を中心に回転可能に接続されている。延出部の重心から回転軸に向かう方向を基準方向としたときに、支持部は回転軸よりも基準方向側に位置する。
【0007】
このような構成によれば、延出部は重心が回転軸の下方側になるように回転変位するため、支持部は回転軸よりも上方側に位置することになる。よって、本体部が鉛直方向に対して傾斜するように架空線に取付けられるという状況であっても、支持部は回転軸よりも上方側に位置する。したがって、例えば本体部を架空線に取り付ける際に、忌避線の位置を回転軸よりも上方側に保ったまま、本体部が斜め方向を向くことが可能となる。そのため、より簡便に架空線の手前から鳥害防止器を取り付けることができる結果、鳥害防止器の取り付けの作業性を向上させることができる。なお、ここでいう手前とは、作業者から見て架空線が前方で左右方向に配置される場合において、作業者側という意味である。
【0008】
上述した鳥害防止器において、支持部と、回転軸と、延出部の重心と、は略一直線上に位置していてもよい。
このような構成によれば、支持部が回転軸の上方に位置することになる。そのため、忌避線の位置を上方側に保ちやすくなる。
【0009】
上述した鳥害防止器において、回転軸は、架空線の長さ方向と略同一の方向に長さを有していてもよい。延出部は、架空線の長さ方向に関して、本体部とは異なる位置に配置される少なくとも1つの外側部を備えてもよい。
【0010】
このような構成によれば、外側部の位置を調整することで、延出部の重心の位置を調整することができる。
【0011】
上述した鳥害防止器において、外側部は、本体部の両側に配置され、内側の面が対向するように配置されてもよい。
このような構成によれば、延出部は、架空線の長さ方向に関して対向部同士で重量のバランスをとることができる。そのため、延出部が架空線の長さ方向に傾くことが抑制される結果、延出部の回転をスムーズに行わせることができる。
【0012】
上述した鳥害防止器において、延出部は、本体部よりも架空線の長さ方向に関して張り出した厚み部を有してもよい。
このような構成によれば、架空線の長さ方向に関して延出部に厚みをもたせることで、本体部や架空線との接触を抑制しつつ、重さを調整できる。よって、延出部の厚みを調整することで、延出部の重心の位置を調整することができる。
【0013】
上述した鳥害防止器において、延出部は、相対的に密度が大きい素材で構成される部分と、相対的に密度が小さい素材で構成される部分と、を含んでもよい。
このような構成によれば、延出部の部分によって密度を異ならせることによる重心の調整が可能となる。特に、相対的に密度が大きい素材で構成される部分を相対的に密度が小さい素材で構成される部分よりも下方側に配置することで、延出部の重心を下方側に調整することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態の鳥害防止器を示す図であって、図1Aは正面図であり、図1Bは右側面図である。
図2】実施形態の鳥害防止器の開閉動作を説明する図であって、図2Aは蓋部が閉じて移動部が下がった状態の右側面図であり、図2Bは蓋部が開いた状態の右側面図である。
図3図3Aは実施形態の鳥害防止器を示す図であって、本体部が第2位置にあるときの右側面図であり、図3Bは従来の鳥害防止器を示す右側面図である。
図4】鳥害防止器の変形例を示す図であって、図4Aは正面図であり、図4Bは右側面図である。
図5】鳥害防止器の変形例を示す図であって、本体部が第2位置にあるときの右側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の例示的な実施形態について図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
[1-1.鳥害防止器の全体構成]
本実施形態の鳥害防止器1は、架空線に取り付けて用いられ、忌避線を架空線に沿って架ける装置である。ここでいう忌避線とは、架空線の上方に架空線に沿って設けられる、鳥害防止用の線である。図1A-1Bに示すように、鳥害防止器1は、本体部11と、延出部13と、を備えている。
【0016】
以下では、説明の便宜上、上下左右及び前後の方向を用いて構造を説明する。しかしながら、本開示は、使用態様などが上記の方向に限定されることはない。なお、左右方向は架空線に取り付けた際に架空線の長さ方向となる方向である。また忌避線は架空線の上側に配置することで鳥害防止機能を発揮するため、通常は、忌避線が架空線の上側に位置するように配置される。そのため、以下の説明においては、架空線を基準として忌避線(忌避線7a)が位置する方向が上方である。
【0017】
[1-2.本体部]
本体部11は、収容部21と、蓋部23と、移動部25と、操作部材41とを備えている。本体部11は、架空線5に取付可能に構成されている。本体部11を架空線5に取り付けることにより、鳥害防止器1の架空線への取り付けが実現される。
【0018】
図2A-2Bに示すように、収容部21は、略コの字形状の形状である。収容部21は、言い換えると、前方が開放された略環状形状である。架空線は収容部21の内部に収容可能である。収容部21は、架空線の下方側を覆う第1壁部21aと、架空線の上方側を覆う第2壁部21bと、を備える。また、収容部21は、第2壁部21bの上方から延び出す柱状の連結柱72を備える。
【0019】
蓋部23は、略長方形の板状の部材でありであり、収容部21の開口部分に設けられる。蓋部23の長手方向の一端は、第2壁部21bにおける収容部21の開口側の端部を支点として回動可能に連結されている。また蓋部23は、第2壁部21bと連結する一端側が、一端側とは逆の他端側に比べて左右方向に幅広に形成されている。また、蓋部23における他端近傍には固定用孔33が設けられている。第1壁部21aの開口側の端部に設けられた突起部31は、固定用孔33に挿して嵌めることができる。
【0020】
蓋部23は、収容部21の開口部分を閉塞して収容部21と共に環状体を形成する閉位置(図1B及び図2Aを参照)と、収容部21の開口部分を開放する開位置(図2Bを参照)と、の間で移動可能である。
【0021】
収容部21と、閉位置にある蓋部23と、により構成される環状体の内部の空間が、架空線5を差し入れることができる差入空間27である。蓋部23が開位置のとき、差入空間27への架空線5の出し入れが可能となる。蓋部23が閉位置となっているときには、差入空間27への架空線5の出し入れはできない。
【0022】
移動部25は、収容部21における第1壁部21aと、第2壁部21bとの間で上下方向に移動可能に構成されている。図2A-2Bに示されるように、移動部25が第1壁部21aに近い位置である開放位置にあるとき、差入空間27における架空線5を差し入れ可能な空間(すなわち、第2壁部21bと移動部25の間の空間)は広くなる。このとき、蓋部23は自在に開閉可能である。
【0023】
移動部25における蓋部23側の端部には、蓋固定部35が形成されている。移動部25が相対的に第2壁部21bに近い位置である固定位置にあるとき、架空線5は移動部25と第2壁部21bとに挟まれる。またこのとき、図1Aに示されるように、蓋固定部35が閉位置にある蓋部23の幅広な部分を係止するため、蓋部23が開くことが抑制される。
【0024】
操作部材41は、移動部25を動作させることで架空線を保持する操作を行うための部分である。操作部材41は断面が六角形の柱状の部材であり、第1壁部21aの下方にて、上下方向の回転軸41aを中心として回転操作が可能に構成されている。
【0025】
本体部11には、第1壁部21aを貫通するように配置され、上下方向に長さを有する突出部43が設けられている。操作部材41が回転操作されると、回転方向に応じて、突出部43の第1壁部21aからの突出量が増減する。移動部25は、突出部43の上端に連結されている。よって、操作部材41が回転操作されることで、移動部25が差入空間27の内部で上下方向に移動する。また第1壁部21aの上側面には、突出部43を取り囲むように、環状の取付用円盤37が設けられている。
【0026】
以上のように構成された本体部11は、蓋部23が開位置であって、移動部25が開放位置であるときに、架空線を差入空間27(第2壁部21bと移動部25との間の空間)に差し入れること、及び、差入空間27から抜き取ることができる。差入空間27に架空線が差し入れられた状態において、蓋部23を閉位置とし、操作部材41を操作して移動部25を固定位置に移動すれば、第2壁部21bと移動部25との間に架空線が挟まれて、鳥害防止器1が架空線に固定される。このとき、蓋部23は蓋固定部35に係止されるため、開位置に向かって回転変位することが抑制される。そのため、架空線が差入空間27から抜けてしまうことが抑制される。
【0027】
[1-3.延出部]
延出部13は、収容部21の上側の位置に設けられ、本体部11を基準とする所定の位置で忌避線を支持可能に構成されている。
【0028】
延出部13は、連結柱72の上方に位置する、左右一対の側板51を備える。側板51は、上下方向に長細い平板形状であって、互いに対向するように左右に並べて配置されており、上端部分で繋がっている。
【0029】
延出部13は、本体部11の両側に配置され、内側の面が対向するように配置される一対の重り部81を備える。重り部81は、左右方向に関して、本体部11とは異なる位置に配置される。重り部81は、下側に広がる扇状の形状であって、連結柱72を挟んで互いに対向するように配置される。重り部81は、本体部11よりも左右方向に張り出している。
【0030】
また、延出部13は、側板51の下部に左右方向に伸びる棒状の軸部82を備える。軸部82の両端には、軸係止部821が設けられている。軸係止部821は、後述する貫通孔822及び貫通孔823から軸部82が抜けるのを係止する。延出部13は、側板51及び重り部81を貫く貫通孔822を備える。また、連結柱72は、連結柱72を貫く貫通孔823を備える。軸部82は貫通孔822及び貫通孔823に収まる。上述した構成により、延出部13は、連結柱72(即ち、本体部11)に対して回転軸83を中心に回転可能となる。
【0031】
また、延出部13は、側板51の上端付近に保持穴53を備えている。保持穴53は、図示しないが、束ねた状態の忌避線を挿入可能であって、挿入された忌避線を保持可能に構成されている。
【0032】
延出部13は、固定具61、及び、係止溝63a,63bなどを備える。固定具61は一対の側板51の間に配置される。係止溝63a及び係止溝63bは、一対の側板51それぞれに設けられている。
【0033】
固定具61は、左右方向に延びる軸を有する回転軸65を中心として回転可能に延出部13に固定されている。回転軸65は、一対の側板51の内部に設けられている。
固定具61は、忌避線を固定する際に操作される。固定具61は、所定の回転位置である折畳位置に位置するとき、延出部13に対して固定される。係止溝63a又は係止溝63bを通るように忌避線を配置した後、固定具61を適切な折畳位置に移動させることで、忌避線が延出部13に固定される。延出部13の重心84から回転軸83に向かう方向を基準方向としたときに、係止溝63a及び係止溝63bは回転軸83よりも基準方向側に位置する。
【0034】
[1-4.軸部における回転動作の説明]
本体部11が図1Bに示される第1位置にあるとき、延出部13の重心84が回転軸83の下方側にあるため、係止溝63a及び係止溝63bは回転軸83の上方側に位置する。一方、本体部11が、図3Aに示される、第1位置とは異なる第2位置にあるときにも、延出部13は重心84が回転軸83の下方側になるように回転変位するため、係止溝63a及び係止溝63bは回転軸83の上方側に位置する。なお、第1位置及び第2位置は、架空線5を基準とした本体部11の取り付け角度により定まる位置である。
【0035】
[1-5.効果]
以上詳述した実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1a)本実施形態の鳥害防止器1は、本体部11が第2位置になっても、延出部13は重心84が回転軸83の下方側になるように回転変位するため、係止溝63a及び係止溝63bは回転軸83よりも上方側に位置することになる。したがって、例えば本体部11を架空線に取り付ける際に、忌避線の位置を回転軸83よりも上方側に保ったまま、本体部11が斜め方向を向くことが可能となる。そのため、より簡便に架空線の手前から鳥害防止器1を取り付けることができる結果、鳥害防止器1の取り付けの作業性を向上させることができる。なお、ここでいう手前とは、作業者から見て架空線が前方で左右方向に配置される場合において、作業者側という意味である。
【0036】
また、図3Bに示すように、回転軸83を有さず本体部111と延出部113とが一体となって動くという従来の鳥害防止器100では、本体部111と延出部113とが一体となって鉛直方向に対して傾斜することとなる。このとき、忌避線と架空線との前後方向の距離αは、本実施形態の鳥害防止器1における忌避線と架空線との前後方向の距離βよりも長くなる。換言すれば、本実施形態の鳥害防止器1の方が、従来の鳥害防止器100よりも、本体部11が鉛直方向に対して傾斜するように架空線に取付けられたときに、忌避線と架空線との前後方向の距離が近くなる。よって、鳥類の飛来を抑制することができる。
【0037】
また、経年や温度変化により、架空線にねじれが発生するなどして、本体部11が傾斜しても、架空線の上方に忌避線が位置する。よって、鳥類の飛来を抑制するのを持続させることができる。
【0038】
(1b)本実施形態の鳥害防止器1は、係止溝63a及び係止溝63bと、回転軸83と、延出部13の重心84とは略一直線に位置している。このような構成によれば、係止溝63a及び係止溝63bが回転軸83の上方に位置することになる。そのため、忌避線の位置を上方側に保ちやすくなる。
【0039】
(1c)本実施形態の鳥害防止器1は、一対の重り部81を備える。このような構成によれば、延出部13は、左右方向に関して重り部81同士で重量のバランスをとることができる。そのため、延出部13が左右方向に傾くことが抑制される結果、延出部13の回転をスムーズに行わせることができる。
【0040】
(1d)本実施形態の鳥害防止器1において、重り部81は、本体部11よりも左右方向に張り出している。このような構成によれば、左右方向に関して延出部13に厚みをもたせることで、本体部11や架空線との接触を抑制しつつ、重さを調節できる。よって、延出部13の厚みを調整することで、延出部13の重心84の位置を調整することができる。
【0041】
なお、本実施形態では、係止溝63a及び係止溝63bが支持部に相当し、重り部81が外側部及び厚み部に相当する。
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されることなく、種々の形態を採り得ることは言うまでもない。
【0042】
(2a)上記実施形態では、扇状の重り部81を備える構成を例示したが、重り部81の形状はこれに限定されるものではない。例えば、図4及び図5に示すように、前方と後方とに重量を有する部分を有し、前後中央は空いた形状であってもよい。
【0043】
また、上記実施形態では、一対の重り部81を備える構成を例示したが、重り部81の配置はこれに限定されるものではない。重り部81は、左右方向に関して、本体部11の一方の側にのみ配置されていてもよい。また、重り部81の個数はこれに限定されるものではない。例えば、重り部81は1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。また、鳥害防止器1は、重り部81を備えていなくてもよい。この場合、例えば、重り部81以外の形状としたり、金属等の重量物を配置したりすることによって、延出部13の重心が回転軸を中心として係止溝63a及び係止溝63bの反対側となるように設計されていてもよい。
【0044】
また、上記実施形態では、重り部81が左右方向に張り出す構成を例示したが、重り部81の厚みはこれに限定されるものではない。例えば、重り部81の厚みは、本体部11の左右方向の幅よりも内側に収まるような厚みであってもよい。
【0045】
ここで、重り部81は、忌避線の重さを加味して形成されてもよい。具体的には、忌避線を保持した状態において、忌避線により係止溝に加わる荷重を加算したとしても、延出部13の重心84が回転軸83よりも下側に位置するようにウエイトの種類やウエイトの位置を調整することが好ましい。
【0046】
(2b)上記実施形態では、係止溝63a及び係止溝63bと、回転軸83と、延出部13の重心84とが一直線上にある構成を例示した。しかしながら、重心84の位置は、上述した位置でなくてもよい。係止溝63a及び係止溝63bが回転軸83よりも基準方向側に位置する限りにおいて、延出部13は様々な形態を取りうる。また、鳥害防止器1は、重心84の位置を変更可能に構成されていてもよい。例えばウエイトを着脱可能に構成されていてもよい。
【0047】
(2c)延出部13は、相対的に密度が大きい素材で構成された部分と相対的に密度が小さい素材で構成された部分とを含んでいてもよい。例えば、重り部81の下側部分は金属で形成され、その他の部分は樹脂で形成されていてもよい。
【0048】
(2d)上記実施形態における1つの構成要素が有する機能を複数の構成要素として分散させたり、複数の構成要素が有する機能を1つの構成要素に統合したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加、置換等してもよい。
【0049】
(2e)上記各実施形態にて例示した鳥害防止器1は、具体的な実施形態を示す例に過ぎず、本体部11の架空線に取り付けるための具体的な構造、延出部13の形状、係止溝63a及び係止溝63bの具体的な構造などは何ら限定されることなく、様々な構成とすることができる。
【符号の説明】
【0050】
1…鳥害防止器、5…架空線、7a…忌避線、11,111…本体部、13,113…延出部、21…収容部、21a…第1壁部、21b…第2壁部、23…蓋部、25…移動部、27…差入空間、31…突起部、33…固定用孔、35…蓋固定部、37…取付用円盤、41…操作部材、41a,65,83…回転軸、43…突出部、51…側板、53…保持穴、61…固定具、63a,63b…係止溝、72…連結柱、81…重り部、82…軸部、84…重心、91…直線、100…従来の鳥害防止器、821…軸係止部、822,823…貫通孔。
図1
図2
図3
図4
図5