(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】電動車両
(51)【国際特許分類】
B60L 50/75 20190101AFI20240716BHJP
H02J 7/35 20060101ALI20240716BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240716BHJP
H02J 15/00 20060101ALI20240716BHJP
B60L 58/18 20190101ALI20240716BHJP
【FI】
B60L50/75
H02J7/35 A
H02J7/00 P
H02J15/00 G
B60L58/18
(21)【出願番号】P 2021073799
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2023-11-01
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】391028328
【氏名又は名称】株式会社辰巳菱機
(74)【代理人】
【識別番号】100127306
【氏名又は名称】野中 剛
(72)【発明者】
【氏名】近藤 豊嗣
【審査官】清水 康
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-098093(JP,A)
【文献】特開2016-208699(JP,A)
【文献】特開2008-053209(JP,A)
【文献】特開平03-257756(JP,A)
【文献】国際公開第2014/097469(WO,A1)
【文献】特開2011-036074(JP,A)
【文献】特開2003-143705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
H02J 7/00 - 7/12
H02J 7/34 - 7/36
H02J 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然エネルギーに基づいて発電する第1発電装置と、
前記第1発電装置で得られた電力を蓄積する第1蓄電装置と、
前記第1発電装置で得られた電力に基づいて、水素を発生させ、前記水素を蓄積する水素生成部と、
前記水素生成部で得られた水素に基づいて発電する第2発電装置と、
前記第1蓄電装置に蓄積された電力と、前記第2発電装置で得られた電力を蓄積する第2蓄電装置と、
前記第2蓄電装置からの電力に基づいて駆動するモーターとを備え、
前記第1蓄電装置の容量は、前記第1発電装置の一日の発電量よりも大きく、前記第2蓄電装置の容量よりも小さく、
前記第1蓄電装置の充電率が第1充電率閾値以上に高い時、若しくは、前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置への電力供給が行われている時、前記第1発電装置で得られた電力に基づいて、前記水素生成部に水素を蓄積させる制御が行われ、
前記第1蓄電装置の充電率が前記第1充電率閾値よりも低く、且つ、前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置への電力供給が行われていない時、前記第1発電装置で得られた電力が、前記第1蓄電装置に供給される、電動車両。
【請求項2】
前記第1蓄電装置の容量は、前記第1発電装置の一日の発電量の10倍であり、前記第2発電装置の容量の1/6である、請求項1に記載の電動車両。
【請求項3】
前記水素生成部は、電解液供給部と、水電解装置を有し、
前記電解液供給部は、前記電動車両の車両本体の上面部に設けられた雨水受け口と、前記車両本体の室内に設けられた除湿装置の少なくとも一方を有し、
前記雨水受け口と前記除湿装置の少なくとも一方で得られた水が、前記水電解装置に供給される、請求項1または請求項2に記載の電動車両。
【請求項4】
前記電動車両に設けられたエアコンディショナーの動作で結露して出来た水が、前記水電解装置に供給される、請求項3に記載の電動車両。
【請求項5】
前記電動車両の外部にある電源からの電力を変換して前記第2蓄電装置に供給する第1変換装置を更に備え、
前記第1蓄電装置から前記第2蓄電装置への電力供給、及び前記第2発電装置から前記第2蓄電装置への電力供給は、前記第1変換装置を介して行われる、請求項1~請求項4のいずれかに記載の電動車両。
【請求項6】
試験対象電源からの電力を変換して前記第2蓄電装置に供給する第2変換装置を更に備え、
前記第2変換装置は、前記試験対象電源の負荷試験を行うために複数の変換装置を有し、そして/若しくは、前記第2蓄電装置は、前記負荷試験を行うために複数の蓄電装置を有し、
前記第2変換装置は、電圧と電流の少なくとも一方を上げた状態で、前記試験対象電源から前記第2蓄電装置への電力供給を行う急速充電装置である、請求項1~請求項5のいずれかに記載の電動車両。
【請求項7】
前記第2蓄電装置から、前記第2変換装置を介して、前記第2変換装置に接続された外部機器に電力供給が行われる、請求項6に記載の電動車両。
【請求項8】
少なくとも、前記第2蓄電装置が前記モーターを駆動する時に、前記第2蓄電装置への電力供給を遮断する制御が行われる、請求項1~請求項7のいずれかに記載の電動車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力供給装置などに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1のように、電気自動車(電動車両)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、モーターを駆動する走行用の蓄電装置に、走行中に電力供給すると、モーターへの電力供給制御が複雑化する。
【0005】
したがって本発明の目的は、簡単にモーターへの電力供給を行う蓄電装置への電力を確保する電動車両を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電動車両は、自然エネルギーに基づいて発電する第1発電装置と、第1発電装置で得られた電力を蓄積する第1蓄電装置と、第1発電装置で得られた電力に基づいて、水素を発生させ、水素を蓄積する水素生成部と、水素生成部で得られた水素に基づいて発電する第2発電装置と、第1蓄電装置に蓄積された電力と、第2発電装置で得られた電力を蓄積する第2蓄電装置と、第2蓄電装置からの電力に基づいて駆動するモーターとを備える。第1蓄電装置の容量は、第1発電装置の一日の発電量よりも大きく、第2蓄電装置の容量よりも小さい。
【0007】
第1蓄電装置で一時的に電力を蓄積し、水素生成部で電力に基づいて生成した水素を蓄積する。このため、第2蓄電装置からモーターへの電力供給制御を複雑にせずに、第1蓄電装置から、若しくは水素生成部と第2発電装置から直ちに、第2蓄電装置の充電率が低くなった時などに、第2蓄電装置に電力を供給することが出来る。
第1蓄電装置と水素生成部とで電力若しくは電力に基づく水素を蓄積するので、電力だけを蓄積する形態に比べて、多くのエネルギーを蓄積することが可能になる。
長期間電動車両を運転しない場合は、第1発電装置で得られた電力に基づいて水素を発生させ、当該水素を充填させる。
頻繁に電動車両を運転する場合は、停車時や、アクセサリースイッチのオフ時に、第1蓄電装置、若しくは水素生成部と第2発電装置から、第2蓄電装置への電力供給が行われ、走行時に、第1蓄電装置での蓄電、水素生成部での水素充填が行われる。
【0008】
好ましくは、第1蓄電装置の容量は、第1発電装置の一日の発電量の10倍であり、第2発電装置の容量の1/6である。
【0009】
さらに好ましくは、水素生成部は、電解液供給部と、水電解装置を有する。
電解液供給部は、電動車両の車両本体の上面部に設けられた雨水受け口と、車両本体の室内に設けられた除湿装置の少なくとも一方を有する。
雨水受け口と除湿装置の少なくとも一方で得られた水が、水電解装置に供給される。
【0010】
雨水、車室内の湿気に基づいて得られる水を電解液として用いることで、外部からの部材の供給が少ない状態でも、水素の蓄積を継続して行うことが可能になる。
【0011】
また、好ましくは、電動車両に設けられたエアコンディショナーの動作で結露して出来た水が、水電解装置に供給される。
【0012】
さらに好ましくは、電動車両は、電動車両の外部にある電源からの電力を変換して第2蓄電装置に供給する第1変換装置を更に備える。
第1蓄電装置から第2蓄電装置への電力供給、及び第2発電装置から第2蓄電装置への電力供給は、第1変換装置を介して行われる。
【0013】
さらに好ましくは、電動車両は、試験対象電源からの電力を変換して第2蓄電装置に供給する第2変換装置を更に備える。
第2変換装置は、試験対象電源の負荷試験を行うために複数の変換装置を有する、そして/若しくは、第2蓄電装置は、負荷試験を行うために複数の蓄電装置を有する。
第2変換装置は、電圧と電流の少なくとも一方を上げた状態で、試験対象電源から第2蓄電装置への電力供給を行う急速充電装置である。
【0014】
第2変換装置と第2蓄電装置を使って、充電をしながら、試験対象電源の負荷試験も行うことが可能になる。
【0015】
さらに好ましくは、第2蓄電装置から、第2変換装置を介して、第2変換装置に接続された外部機器に電力供給が行われる。
【0016】
さらに好ましくは、少なくとも、第2蓄電装置がモーターを駆動する時に、第2蓄電装置への電力供給を遮断する制御が行われる。
【0017】
モーターの駆動中に、第2蓄電装置に外部からの電力が供給され、第2蓄電装置の電圧などに変動が生じ、モーターの制御に悪影響を及ぼす可能性を低くすることが出来る。
【0018】
さらに好ましくは、第1蓄電装置の充電率が第1充電率閾値以上に高い時、若しくは、第1蓄電装置から第2蓄電装置への電力供給が行われている時、第1発電装置で得られた電力に基づいて、水素生成部に水素を蓄積させる制御が行われる。
第1蓄電装置の充電率が第1充電率閾値よりも低く、且つ、第1蓄電装置から第2蓄電装置への電力供給が行われていない時、第1発電装置で得られた電力が、第1蓄電装置21に供給される。
【発明の効果】
【0019】
以上のように本発明によれば、簡単にモーターへの電力供給を行う蓄電装置への電力を確保する電動車両を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。
なお、実施形態は、以下の実施形態に限られるものではない。また、一つの実施形態に記載した内容は、原則として他の実施形態にも同様に適用される。また、各実施形態及び各変形例は、適宜組み合わせることが出来る。
【0022】
(電動車両1)
本実施形態の電動車両1は、車両本体2、発電部10(第1発電装置11、第2発電装置12)、蓄電部20(第1蓄電装置21、第2蓄電装置22)、水素生成部30(電解液供給部31、水電解装置33、水素タンク35、タンク保持部37)、変換部40(第1変換装置41、第2変換装置42)、モーター50、車輪60を備える(
図1参照)。
【0023】
(車両本体2)
車両本体2は、発電部10、蓄電部20、水素生成部30、変換部40、モーター50を保持する。
【0024】
(発電部10)
発電部10は、第1発電装置11と第2発電装置12を有する。
【0025】
(第1発電装置11)
第1発電装置11は、太陽光発電装置、風力発電装置など、自然エネルギー(再生可能エネルギー)に基づいて発電する発電装置(再生可能エネルギー由来電力発生装置)である。
第1発電装置11は、常時、発電が可能な状態にされる。
ただし、第1発電装置11が風力発電装置であって、且つ、第1発電装置11が受ける風力が所定の風力を超える場合には、第1発電装置11は、発電が出来ない状態にされる。
第1発電装置11は、ルーフなど車両本体2の上面部などに設置される。
第1発電装置11で得られた電力は、第1制御装置11aの制御により、第1蓄電装置21、水電解装置33などに供給される。
【0026】
(第1制御装置11a)
第1制御装置11aは、パワーコンディショナー、分電盤などを含み、電力の供給先の切替制御を行う。
具体的には、第1制御装置11aは、入力側で、第1発電装置11と接続する。
第1制御装置11aは、出力側で、第1蓄電装置21、水電解装置33、タンク保持部37と接続する。
第1発電装置11で得られた電力に基づいて、第1蓄電装置21に電力を蓄積する時、第1制御装置11aは、第1発電装置11で得られた電力を、第1蓄電装置21に供給させる。
第1発電装置11で得られた電力に基づいて、水素タンク35に水素を蓄積する(吸蔵する)時、第1制御装置11aは、第1発電装置11で得られた電力を、水電解装置33とタンク保持部37に供給させる。
このとき、タンク保持部37は、自身が保持する水素タンク35を冷やす。
水素タンク35に蓄積した水素を放出する時、第1制御装置11aは、第1発電装置11で得られた電力をタンク保持部37に供給させる。
このとき、タンク保持部37は、自身が保持する水素タンク35を温める、若しくは、冷却を停止する。
なお、タンク保持部37への電力供給は、第1発電装置11からであってもよいし、第1蓄電装置21からであってもよい。
第1制御装置11aは、車両本体2の内部などに設置される。
【0027】
第1蓄電装置21の充電率(state of charge)R1が第1充電率閾値Thr1以上に高い時(R1≧Thr1、例えば、Thr1=60%)、若しくは、第1蓄電装置21から第2蓄電装置22への電力供給が行われている時、第1制御装置11aは、第1発電装置11で得られた電力に基づいて、水素タンク35に水素を蓄積させる(吸蔵させる)。
第1蓄電装置21の充電率R1が第1充電率閾値Thr1よりも低く(R1<Thr1)、且つ、第1蓄電装置21から第2蓄電装置22への電力供給が行われていない時、第1制御装置11aは、第1発電装置11で得られた電力に基づいて、第1蓄電装置21に電力を蓄積させる。
【0028】
(第2発電装置12の動作制御)
また、第1制御装置11aは、第2発電装置12の動作制御を行う。
具体的には、第1蓄電装置21の充電率R1が、第2充電率閾値Thr2(Thr2<Thr1、例えば、Thr2=40%)よりも低く、第2蓄電装置22の充電率R2が、第2充電率閾値Thr2よりも低く、水素タンク35の水素充填率R3が水素充填率閾値Thr3以上に高く、第1変換装置41を介した外部電源A100からの電力供給がなく、且つ第2変換装置42を介した試験電源A300からの電力供給がない場合に、第1制御装置11aは、第2発電装置12を駆動させる(R1<Thr2、R2<Thr2、R3≧Thr3)。
【0029】
水素充填率R3は、水素タンク35に充填された(水素吸蔵合金によって吸収された)水素の吸蔵量(cc/g若しくはwt%)の、水素タンク35に充填し得る水素の最大吸蔵量との割合と定義する。
水素充填率R3は、水素タンク35の水素吸蔵合金に取り付けられた歪センサーなどの検知装置35aで検出された、当該水素吸蔵合金の膨張率などに基づいて算出される。
また、水素充填率R3は、連通管36に設けられた流量センサーなどの検知装置35aで検出された、水素タンク35に流入する水素の量、及び排出される水素の量などに基づいて算出されてもよい。
【0030】
(第1変換装置41の入出力制御)
また、第1制御装置11aは、第1変換装置41の入出力制御を行う。
具体的には、第1蓄電装置21から第2蓄電装置22への電力供給を行う場合、第1制御装置11aは、第2発電装置12から第1変換装置41への入力(電力供給)と、外部電源A100から第1変換装置41への入力(電力供給)を遮断する。
第2発電装置12から第2蓄電装置22への電力供給を行う場合、第1制御装置11aは、第1蓄電装置21から第1変換装置41への入力(電力供給)と、外部電源A100から第1変換装置41への入力(電力供給)を遮断する。
第1蓄電装置21から第2蓄電装置22への電力供給と、第2発電装置12から第2蓄電装置22への電力供給を行う場合、第1制御装置11aは、外部電源A100から第1変換装置41への入力(電力供給)を遮断する。
外部電源A100から第2蓄電装置22への電力供給を行う場合、第1制御装置11aは、第1蓄電装置21から第1変換装置41への入力(電力供給)と、第2発電装置12から第1変換装置41への入力(電力供給)を遮断する。
【0031】
(第2蓄電装置22への電力供給遮断制御)
ただし、走行中など、第2蓄電装置22の放電が行われている間は、すなわち、少なくとも、第2蓄電装置22がモーター50を駆動する時に、第1制御装置11aは、第1変換装置41から第2蓄電装置22への出力(電力供給)を遮断する。
【0032】
なお、第1変換装置41から第2蓄電装置22への出力(電力供給)の遮断制御は、走行中だけでなく、電動車両1のアクセサリースイッチがオン状態の間、行われてもよい。
【0033】
(第2発電装置12)
第2発電装置12は、水素に基づいて発電する発電装置(燃料電池)である。
第2発電装置12は、第2蓄電装置22の充電状態が十分でない場合(第2蓄電装置22の充電率R2が第2充電率閾値Thr2よりも低い場合)などに、発電が可能な状態にされる。
第2発電装置12は、車両本体2の内部などに設置される。
第2発電装置12で得られた電力は、第1制御装置11aの制御により、第1変換装置41を介して、第2蓄電装置22に供給される。
第2発電装置12で用いる水素は、水電解装置33で得られた水素、及び水素タンク35に蓄積された水素である。
第2発電装置12で用いる酸素は、空気中の酸素であってもよいし、水電解装置33で得られた酸素であってもよい。
【0034】
(蓄電部20)
蓄電部20は、第1蓄電装置21、第2蓄電装置22を有する。
【0035】
(第1蓄電装置21)
第1蓄電装置21は、バッテリーなどで構成され、第1発電装置11で得られた電力を蓄積する。
第1蓄電装置21は、走行中など、第2蓄電装置22に充電する前段階で一時的に電力を蓄積するために使用される。
第1蓄電装置21は、第1制御装置11aなど、電動車両1を構成する電気機器を駆動するために用いられてもよい。
なお、車輪60を回転させるために、モーター50とは別に、電動車両1がエンジンなど内燃機関を含む場合には、蓄電部20は、第1蓄電装置21と第2蓄電装置22とは別の始動用バッテリーを有してもよい。
第1蓄電装置21は、第1発電装置11の一日の発電量(例えば、1kWh)の10倍程度の容量(例えば、10kWh)を有するのが望ましい。
また、第1蓄電装置21は、後述する第2蓄電装置22の容量(例えば、60kWh)の1/6程度の容量を有するのが望ましい。
【0036】
第1蓄電装置21は、第2発電装置12で得られた電力、外部電源A100から供給された電力を貯蔵するために使用されてもよい。
例えば、第1蓄電装置21の充電率R1が第2充電率閾値Thr2よりも低く、第2蓄電装置22の充電率が第1充電率閾値Thr1以上に高く、且つ水素タンク35の水素充填率R3が水素充填率閾値Thr3以上に高い場合に、第2発電装置12で得られた電力が、第1変換装置41若しくは他の変換装置を介して、第1蓄電装置21に供給される(R1<Thr2、R2≧Thr1、R3≧Thr3)。
【0037】
(第2蓄電装置22)
第2蓄電装置22は、バッテリーなどで構成され、モーター50を駆動する、すなわち、モーター50に電力を供給するために使用される。
第2蓄電装置22は、第1蓄電装置21に蓄積された電力、水素タンク35に蓄積された水素から得られた電力(第2発電装置12で得られた電力)、外部電源A100から供給された電力、及び試験電源A300から供給された電力を蓄積する。
【0038】
(水素生成部30)
水素生成部30は、電解液供給部31、水電解装置33、水素タンク35を有する。
【0039】
(電解液供給部31)
電解液供給部31は、貯水タンクなどを含み、水電解装置33に、電気分解を行うための水などの電解液を供給する。
また、電解液供給部31は、車両本体2の上面部に設けられた雨水受け口31a、車両本体2の室内に設けられた除湿装置31bの少なくとも一方、および液送管31cを含む。
雨水受け口31aを介して集められた雨水、若しくは、除湿装置31bを介して集められた水が、電解液として、液送管31cを介して、電解液供給部31の貯水タンクに蓄積され、水電解装置33に供給される。ただし、電動車両1の使用者などが電動車両1の外部で得られた水が、電解液供給部31の貯水タンクに蓄積され、水電解装置33に供給されてもよい。
また、電動車両1のエアコンディショナーの一部が除湿装置31bとして機能し、当該エアコンディショナーの動作で結露して出来た水が、電解液供給部31の貯水タンクに蓄積され、水電解装置33に供給されてもよい。
電解液供給部31の貯水タンクから水電解装置33への電解液の供給は、第1制御装置11aによって制御されてもよいし、水電解装置33の内部の電解液が一定量を維持するように機械的に制御されてもよい。
【0040】
(水電解装置33)
水電解装置33は、第1発電装置11などから供給された電力に基づいて、電解液供給部31から供給された電解液の電気分解を行って、水素を発生させる。
電解液供給部31と水電解装置33は、別体で構成されてもよいし、一体で構成されてもよい。
【0041】
(水素タンク35)
水素タンク35は、水素を吸蔵する水素吸蔵合金と、当該水素吸蔵合金を保持する容器を有する。水素タンク35の当該容器は、内部に当該水素吸蔵合金を保持する。水素タンク35は、高圧下若しくは低温下において、水素を吸蔵し、当該高圧下若しくは当該低温下の状態でない場合に、吸蔵した水素を放出する。
水素タンク35は、連通管36を介して、第2発電装置12、水電解装置33と連通する。
【0042】
水素タンク35と連通管36の少なくとも一方には、歪みセンサー、流量センサーなどの検知装置35aが設けられる。
検知装置35aは、水素タンク35の水素充填度合い(水素充填率R3)を算出するために用いられる。
【0043】
タンク保持部37は、水素タンク35を着脱可能な状態で保持する。
また、タンク保持部37は、水素タンク35を温めたり冷やしたりする。
【0044】
なお、本実施形態では、水素タンク35は、可搬式であり、タンク保持部37から着脱可能であるとして説明する。しかしながら、水素タンク35が、着脱を考慮せず、タンク保持部37などに固定される形態であってもよい。
また、本実施形態では、水素タンク35が、吸蔵合金に吸蔵することで水素を蓄積する形態を説明する。しかしながら、水素タンク35が、水素を含む有機ハイドライド、液化した状態の水素、圧縮した気体の状態の水素のいずれかを蓄積する形態でもよい。
【0045】
(変換部40)
変換部40は、第1変換装置41と第2変換装置42を有する。
【0046】
(第1変換装置41)
第1変換装置41は、AC/DCコンバーター、DC/DCコンバーターなどを含む充電装置である。
第1変換装置41は、商用電源など、電動車両1の外部の電力供給装置(外部電源A100)からの電力を、交流から直流に変換し、且つ第2蓄電装置22の充電に適した電流及び電圧に変換して、第2蓄電装置22に供給する。
また、第1変換装置41は、第1蓄電装置21からの電力を、第2蓄電装置22の充電に適した電流及び電圧に変換して、第2蓄電装置22に供給する。
また、第1変換装置41は、第2発電装置12からの電力を、第2蓄電装置22の充電に適した電流及び電圧に変換して、第2蓄電装置22に供給する。
【0047】
(第2変換装置42)
第2変換装置42は、AC/DCコンバーター、DC/DCコンバーターなどを含む充電装置である。
第2変換装置42は、第2蓄電装置22からの電力を、直流から交流に変換し、且つ所望の電流及び電圧に変換して、建物に備え付けられた電気機器など、電動車両1の外部の電気機器(外部機器A200)に供給する。
また、第2変換装置42は、非常用発電機など、電動車両1の外部の負荷試験対象電源(試験電源A300)からの電力を、交流から直流に変換し、且つ第2蓄電装置22の充電に適した電流及び電圧に変換して、第2蓄電装置22に供給する。
【0048】
(第2変換装置42の急速充電)
第2変換装置42は、第2制御装置42aの制御により、電圧と電流の少なくとも一方を上げた状態で、試験電源A300から第2蓄電装置22への電力供給を行う急速充電装置であるのが望ましい。
例えば、第2制御装置42aは、第2蓄電装置22の充電率R2が、第2充電率閾値Thr2以上に高く、第1充電率閾値Thr1よりも低い時に、当該急速充電を行う(Thr2≦R2≦Thr1)。
また、第2制御装置42aは、第2蓄電装置22の充電率R2が、第2充電率閾値Thr2よりも低いか、第1充電率閾値Thr1以上に高い時に、当該急速充電を行わず、電圧及び電流を上げない状態での通常充電を行う(Thr2>R2、Thr1≦R2)。
ただし、第2制御装置42aは、第2蓄電装置22の充電率R2が、第2充電率閾値Thr2よりも低いか、第1充電率閾値Thr1以上に高い時に、当該急速充電も、当該通常充電も行わない形態であってもよい。
【0049】
(第2変換装置42の複数の変換装置)
負荷試験の目的で、負荷量を変えて、試験電源A300から第2蓄電装置22への電力供給を行うため、第2変換装置42は、並列に接続された、複数の変換装置を有する。
本実施形態では、第2変換装置42は、3つの変換装置(第21変換装置421、第22変換装置422、第23変換装置423)を有する例を説明するが、変換装置の数はこれに限るものではない。
負荷量が少ない状態で、負荷試験を行う場合には、3つの変換装置(第21変換装置421、第22変換装置422、第23変換装置423)のいずれか1つを介して、試験電源A300から第2蓄電装置22への電力供給が行われる。
負荷量が中程度の状態で、負荷試験を行う場合には、3つの変換装置(第21変換装置421、第22変換装置422、第23変換装置423)のいずれか2つを介して、試験電源A300から第2蓄電装置22への電力供給が行われる。
負荷量が多い状態で、負荷試験を行う場合には、3つの変換装置(第21変換装置421、第22変換装置422、第23変換装置423)の全てを介して、試験電源A300から第2蓄電装置22への電力供給が行われる。
負荷試験の際の負荷量の調整は、第2制御装置42aが自動的に行ってもよいし、不図示の操作部を介して、電動車両1の使用者などが手動で行ってもよい。
【0050】
本実施形態では、第2変換装置42の複数の変換装置(第21変換装置421、第22変換装置422、第23変換装置423)のうち、試験電源A300から第2蓄電装置22に電力供給される際に使用するものの数を変えることで、負荷試験における負荷量が調整される例を説明した。
しかしながら、負荷量の調整はこれに限るものではない。
例えば、第2変換装置42が複数の変換装置を有する代わりに、若しくは、第2変換装置42が複数の変換装置を有することに加えて、第2蓄電装置22が、並列に接続された、複数の蓄電装置を有する形態が考えられる。この場合、当該複数の蓄電装置のうち、試験電源A300から第2変換装置42を介して電力供給される際に使用するものの数を変えることで、負荷試験における負荷量が調整される。
【0051】
(モーター50、車輪60)
モーター50は、第2蓄電装置22からの電力に基づいて駆動し、電動車両1の車輪60を回転させる。
【0052】
(外部電源A100などの接続の応用例)
本実施形態では、外部電源A100が第1変換装置41に接続され、外部機器A200及び試験電源A300が第2変換装置42に接続される例を説明した。
しかしながら、係る形態に代えて若しくは係る形態に加えて、外部電源A100が第2変換装置42に接続されてもよいし、外部機器A200及び試験電源A300が第1変換装置41に接続されてもよい。
外部電源A100が第2変換装置42に接続される場合、外部電源A100からの電力が第2変換装置42を介して、第2蓄電装置22に供給される。
外部機器A200が第1変換装置41に接続される場合、第1蓄電装置21に蓄積された電力、及び第2発電装置12で得られた電力が、第1変換装置41を介して、外部機器A200に供給される。
試験電源A300が第1変換装置41に接続される場合、試験電源A300から第1変換装置41を介して、第1蓄電装置21、第2蓄電装置22、及び水電解装置33に電力供給が行われてもよい。この場合には、第2蓄電装置22、第2変換装置42に代えて若しくは加えて、第1蓄電装置21、水電解装置33、第1変換装置41も負荷試験に用いられる。
【0053】
(第1蓄電装置21、第2蓄電装置22、水素生成部30を設けることの効果)
第1蓄電装置21で一時的に電力を蓄積し、水素生成部30で電力に基づいて生成した水素を蓄積する。このため、第2蓄電装置22からモーター50への電力供給制御を複雑にせずに、第1蓄電装置21から、若しくは水素生成部30と第2発電装置12から直ちに、第2蓄電装置22の充電率R2が低くなった時などに、第2蓄電装置22に電力を供給することが出来る。
第1蓄電装置21と水素生成部30とで電力若しくは電力に基づく水素を蓄積するので、電力だけを蓄積する形態に比べて、多くのエネルギーを蓄積することが可能になる。
長期間電動車両1を運転しない場合は、第1発電装置11で得られた電力に基づいて水素を発生させ、水素タンク35に当該水素を充填させる。水素タンク35を入れ替えることにより、第1発電装置11で得られたエネルギーを水素として有効に蓄積することが出来る。
頻繁に電動車両1を運転する場合は、停車時や、アクセサリースイッチのオフ時に、第1蓄電装置21、若しくは水素生成部30と第2発電装置12から、第2蓄電装置22への電力供給が行われ、走行時に、第1蓄電装置21での蓄電、水素生成部30での水素充填が行われる。
【0054】
(雨水などを電解液として用いることの効果)
雨水、車室内の湿気に基づいて得られる水を電解液として用いることで、外部からの部材の供給が少ない状態でも、水素の蓄積を継続して行うことが可能になる。
【0055】
(第2変換装置42が複数の変換装置を含むことの効果)
第2変換装置と第2蓄電装置を使って、充電をしながら、試験対象電源の負荷試験も行うことが可能になる。
【0056】
(第2蓄電装置22への電力供給遮断制御を行うことの効果)
モーター50の駆動中に、第2蓄電装置22に外部からの電力が供給され、第2蓄電装置22の電圧などに変動が生じ、モーター50の制御に悪影響を及ぼす可能性を低くすることが出来る。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0058】
1 電動車両
2 車両本体
10 発電部
11 第1発電装置
12 第2発電装置
20 蓄電部
21 第1蓄電装置
22 第2蓄電装置
30 水素生成部
31 電解液供給部
31a 雨水受け口
31b 除湿装置
31c 液送管
33 水電解装置
35 水素タンク
35a 検知装置
36 連通管
37 タンク保持部
40 変換部
41 第1変換装置
42 第2変換装置
421 第21変換装置
422 第22変換装置
423 第23変換装置
50 モーター
60 車輪
A100 外部電源(外部の電力供給装置)
A200 外部機器(外部の電気機器)
A300 試験電源(外部の負荷試験対象電源)
R1 第1蓄電装置の充電率
R2 第2蓄電装置の充電率
R3 水素タンクの水素充填率
Thr1 第1充電率閾値(満充電)
Thr2 第2充電率閾値
Thr3 水素充填率閾値