(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】コンクリート流止め枠材
(51)【国際特許分類】
E04B 5/40 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
E04B5/40 D
(21)【出願番号】P 2021074019
(22)【出願日】2021-04-26
【審査請求日】2023-11-06
(73)【特許権者】
【識別番号】500203846
【氏名又は名称】日栄鋼材株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108442
【氏名又は名称】小林 義孝
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 忠之
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3216563(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2015/0159386(US,A1)
【文献】特開2002-061121(JP,A)
【文献】特開平09-302829(JP,A)
【文献】特開2019-108770(JP,A)
【文献】特開平06-229048(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00 - 1/36
E04B 5/00 - 5/48
E04C 5/00 - 5/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向へ延在して幅方向へ長い所定面積の水平板と、前記水平板の前端から上下方向へ延在して幅方向へ長い所定面積の垂直板とから形成され、コンクリートスラブを構築するために幅方向へ並ぶ第1~第n配筋付きデッキプレートの周囲に配置されるコンクリート流止め枠材において、
前記コンクリート流止め枠材が、前記水平板の上面から上方に位置して幅方向へ所定寸法離間して並び、該水平板に並行して前後方向へ延びる第1~第n下部鉄筋と、前記第1~第n下部鉄筋から上方に位置して幅方向へ所定寸法離間して並び、該第1~第n下部鉄筋に並行して前後方向へ延びる第1~第n上部鉄筋と、前記第1~第n下部鉄筋及び前記第1~第n上部鉄筋に固定されて前後方向へ所定寸法離間して並び、それら下部鉄筋及びそれら上部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n横鉄筋と、前記第1~第n下部鉄筋及び前記第1~第n上部鉄筋を前記水平板に連結固定する連結部材とを有することを特徴とするコンクリート流止め枠材。
【請求項2】
前記第1~第n横鉄筋が、前記第1~第n下部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n下部横鉄筋と、前記第1~第n上部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n上部横鉄筋とから形成され、前記第1~第n下部横鉄筋の前記第1~第n下部鉄筋と交差する交差部が、該前記第1~第n下部鉄筋に溶着固定され、前記第1~第n上部横鉄筋の前記第1~第n上部鉄筋と交差する交差部が、該前記第1~第n上部鉄筋に溶着固定されている請求項1に記載のコンクリート流止め枠材。
【請求項3】
前記連結部材が、前記水平板に溶着固定された水平脚部と、前記水平脚部の一端部から上下方向へ延びていて前記下部鉄筋及び前記上部鉄筋に溶着固定された垂直脚部とを有するL字鋼材である請求項1又は請求項2に記載のコンクリート流止め枠材。
【請求項4】
前記L字鋼材が、前記水平板において幅方向へ並び、幅方向へ並ぶそれらL字鋼材の水平脚部が、該水平板の上面に溶着固定され、幅方向へ並ぶそれらL字鋼材の垂直脚部の前記下部鉄筋及び前記上部鉄筋と交差する交差部が、該下部鉄筋及び該上部鉄筋に溶着固定されている請求項3に記載のコンクリート流止め枠材。
【請求項5】
前記L字鋼材が、前記水平板において前後方向へ並び、前後方向へ並ぶそれらL字鋼材の水平脚部が、該水平板の上面に溶着固定され、前後方向へ並ぶそれらL字鋼材の垂直脚部の前記下部鉄筋及び前記上部鉄筋と交差する交差部が、該下部鉄筋及び該上部鉄筋に溶着固定されている請求項3又は請求項4に記載のコンクリート流止め枠材。
【請求項6】
前記コンクリート流止め枠材の第1~第n下部鉄筋の前記水平板の上面から上方への高さ寸法が、前記第1~第n配筋付きデッキプレートの下端筋の金属板の上面から上方への高さ寸法と略同一に調節され、前記コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋の前記水平板の上面から上方への高さ寸法が、前記第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の金属板の上面から上方への高さ寸法と略同一に調節されている請求項1ないし請求項5いずれかに記載のコンクリート流止め枠材。
【請求項7】
前記コンクリート流止め枠材の第1~第n下部鉄筋が前記第1~第n配筋付きデッキプレートの下端筋の直上又は直下に位置するように、前記第1~第n下部鉄筋の前記水平板の上面から上方への高さ寸法が調節され、前記コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋が前記第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の直上又は直下に位置するように、前記第1~第n上部鉄筋の前記水平板の上面から上方への高さ寸法が調節されている請求項1ないし請求項5いずれかに記載のコンクリート流止め枠材。
【請求項8】
前記コンクリート流止め枠材の水平板が、梁に連結された受けプレートの上面に配置され、前記受けプレートに溶接以外の固定手段によって固定される請求項1ないし請求項7いずれかに記載のコンクリート流止め枠材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、打設されたコンクリートの漏れ出しを堰き止めるコンクリート流止め枠材に関する。
【背景技術】
【0002】
デッキプレートの上面に打設されたコンクリートの荷重に対して内側より引っ張り状態で支えるための複数の支持部材が取り付けられ、打設されたコンクリートの漏れ出しを堰き止めるコンクリート流止め枠材が開示されている(特許文献1参照)。このコンクリート流止め枠材は、前後方向へ延びる所定面積の水平板と、水平板の前端から上下方向へ延びる所定面積の垂直板とから形成されている。それら支持部材は、表裏の板面が両側方を向くように縦向きにして、一方の接合端面をデッキプレートの周縁部が載架される梁の上面の決められた位置に面接触させたとき、他方の接合端面が枠板の垂直板の上端部内面に面接触するように、支持部材長さが設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に開示のコンクリート流止め枠材を使用して鉄筋造建築物、鉄筋コンクリート造建築物、鉄筋鉄骨コンクリート造建築物のコンクリートスラブを建築現場において構築する場合、コンクリート流止め枠材及び複数の配筋付きデッキプレートを建築現場に搬送し、搬送した複数の配筋付きデッキプレートの両端部をH型鋼のフランジ(梁)の上に配置し、それら配筋付きデッキプレートを連結しつつ幅方向へ並べる。次に、それら配筋付きデッキプレートの周囲にコンクリート流止め枠材を設置する。
【0005】
特許文献1に開示のコンクリート流止め枠材の設置では、その水平板の一端部をH型鋼のフランジ(梁)の上に載置し、水平板の一端部をスポット溶接によってH型鋼のフランジに溶着固定する。それら支持部材の一方の接合端面をコンクリート流止め枠材の垂直板の内面に隅肉溶接によって溶着固定し、それら支持部材の他方の接合端面をH型鋼のフランジに隅肉溶接によって溶着固定する。更に、水平板と垂直板との内側に複数の鉄筋を配筋し、それら鉄筋どうしを溶接固定するとともに、それら鉄筋をコンクリート流止め枠材に溶接固定する。
【0006】
特許文献1に開示のコンクリート流止め枠材を使用する場合、その水平板の一端部がH型鋼のフランジに溶着固定され、それら支持部材の一方の接合端面がコンクリート流止め枠材の垂直板の内面に溶着固定されるとともに、それら支持部材の他方の接合端面をH型鋼のフランジに溶着固定され、更に、複数の鉄筋が水平板と垂直板との内側に配筋され、それら鉄筋どうしが溶接固定されるとともに、それら鉄筋がコンクリート流止め枠材に溶接固定されるから、建築現場での配筋作業が必要になるとともに、煩雑な溶接作業が必要になり、配筋や溶接に手間と時間とを要し、コンクリートスラブを迅速に構築することができない。又、溶接による飛び火から建築現場において火災が不用意に発生する危険が生じる。更に、建築現場での溶接作業ではショートビードが発生し易く、ショートビードによって溶接強度が確保されない場合が生じる。
【0007】
本発明の目的は、建築現場において鉄筋造建築物、鉄筋コンクリート造建築物、鉄筋鉄骨コンクリート造建築物のコンクリートスラブを構築する場合、建築現場での鉄筋の配筋作業や溶接作業を要せず、配筋作業や溶接作業の手間と時間とを省くことができ、コンクリートスラブを迅速に構築することができるコンクリート流止め枠材を提供することにある。本発明の他の目的は、建築現場での溶接の飛び火による火災の不用意な発生を防ぐことができるコンクリート流止め枠材を提供することにある。本発明の他の目的は、建築現場での溶接作業におけるショートビードの発生を防ぐことができ、溶接強度不足によるコンクリート打設後の変形や崩壊、鉄筋の剥離を防ぐことができるコンクリート流止め枠材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するための本発明の前提は、前後方向へ延在して幅方向へ長い所定面積の水平板と、水平板の前端から上下方向へ延在して幅方向へ長い所定面積の垂直板とから形成され、コンクリートスラブを構築するために幅方向へ並ぶ第1~第n配筋付きデッキプレートの周囲に配置されるコンクリート流止め枠材である。
【0009】
前記前提における本発明の特徴は、コンクリート流止め枠材が、水平板の上面から上方に位置して幅方向へ所定寸法離間して並び、水平板に並行して前後方向へ延びる第1~第n下部鉄筋と、第1~第n下部鉄筋から上方に位置して幅方向へ所定寸法離間して並び、第1~第n下部鉄筋に並行して前後方向へ延びる第1~第n上部鉄筋と、第1~第n下部鉄筋及び第1~第n上部鉄筋に固定されて前後方向へ所定寸法離間して並び、それら下部鉄筋及びそれら上部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n横鉄筋と、第1~第n下部鉄筋及び第1~第n上部鉄筋を水平板に連結固定する連結部材とを有することにある。
【0010】
本発明の一例としては、第1~第n横鉄筋が、第1~第n下部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n下部横鉄筋と、第1~第n上部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n上部横鉄筋とから形成され、第1~第n下部横鉄筋の第1~第n下部鉄筋と交差する交差部が、前記第1~第n下部鉄筋に溶着固定され、第1~第n上部横鉄筋の第1~第n上部鉄筋と交差する交差部が、前記第1~第n上部鉄筋に溶着固定されている。
【0011】
本発明の他の一例としては、連結部材が、水平板に溶着固定された水平脚部と、水平脚部の一端部から上下方向へ延びていて下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定された垂直脚部とを有するL字鋼材である。
【0012】
本発明の他の一例としては、L字鋼材が、水平板において幅方向へ並び、幅方向へ並ぶそれらL字鋼材の水平脚部が、水平板の上面に溶着固定され、幅方向へ並ぶそれらL字鋼材の垂直脚部の下部鉄筋及び上部鉄筋と交差する交差部が、下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定されている。
【0013】
本発明の他の一例としては、L字鋼材が、水平板において前後方向へ並び、前後方向へ並ぶそれらL字鋼材の水平脚部が、水平板の上面に溶着固定され、前後方向へ並ぶそれらL字鋼材の垂直脚部の下部鉄筋及び上部鉄筋と交差する交差部が、下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定されている。
【0014】
本発明の他の一例としては、コンクリート流止め枠材の第1~第n下部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が、第1~第n配筋付きデッキプレートの下端筋の金属板の上面から上方への高さ寸法と略同一に調節され、コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が、第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の金属板の上面から上方への高さ寸法と略同一に調節されている。
【0015】
本発明の他の一例としては、コンクリート流止め枠材の第1~第n下部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの下端筋の直上又は直下に位置するように、第1~第n下部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が調節され、コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の直上又は直下に位置するように、第1~第n上部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が調節されている。
【0016】
本発明の他の一例としては、コンクリート流止め枠材の水平板が、梁に連結された受けプレートの上面に配置され、受けプレートに溶接以外の固定手段によって固定される。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るコンクリート流止め枠材によれば、水平板の上面から上方に位置して幅方向へ所定寸法離間して並び、水平板に並行して前後方向へ延びる第1~第n下部鉄筋と、第1~第n下部鉄筋から上方に位置して幅方向へ所定寸法離間して並び、第1~第n下部鉄筋に並行して前後方向へ延びる第1~第n上部鉄筋と、第1~第n下部鉄筋及び第1~第n上部鉄筋に固定されて前後方向へ所定寸法離間して並び、それら下部鉄筋及びそれら上部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n横鉄筋と、第1~第n下部鉄筋及び第1~第n上部鉄筋を水平板に連結固定する連結部材とを有し、既に第1~第n下部鉄筋や第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋がコンクリート流止め枠材に配筋(設置)されているから、建築現場においてコンクリート流止め枠材に複数の鉄筋を配筋(設置)する必要はなく、コンクリート流止め枠材への複数の鉄筋の配筋、配筋された鉄筋どうしの溶接、鉄筋のコンクリート流止め枠材への溶接が不要となり、配筋作業や溶接作業の手間と時間とを省くことができ、コンクリートスラブを迅速に構築することができる。コンクリート流止め枠材は、建築現場における溶接作業を省くことができるから、溶接の飛び火による建築現場での火災の不用意な発生を防ぐことができる。コンクリート流止め枠材は、建築現場での溶接作業におけるショートビードの発生を防ぐことができ、溶接強度不足によるコンクリート打設後のコンクリート流止め枠材の変形や崩壊、鉄筋の剥離を防ぐことができる。コンクリート流止め枠材は、第1~第n配筋付きデッキプレートやコンクリート流止め枠材に予め配筋(設置)された第1~第n下部鉄筋、第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋と打設されたコンクリートとによって頑丈な鉄筋コンクリート製のスラブを構築することができる。
【0018】
第1~第n横鉄筋が第1~第n下部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n下部横鉄筋と第1~第n上部鉄筋に交差して幅方向へ延びる第1~第n上部横鉄筋とから形成され、第1~第n下部横鉄筋の第1~第n下部鉄筋と交差する交差部が前記第1~第n下部鉄筋に溶着固定され、第1~第n上部横鉄筋の第1~第n上部鉄筋と交差する交差部が第1~第n上部鉄筋に溶着固定されているコンクリート流止め枠材は、建築現場におけるコンクリート流止め枠材への第1~第n下部鉄筋や第1~第n上部鉄筋、第1~第n下部横鉄筋、第1~第n上部横鉄筋の配筋(設置)を省くことができ、コンクリートスラブを迅速に構築することができるとともに、第1~第n配筋付きデッキプレートやコンクリート流止め枠材に予め配筋(設置)された第1~第n下部鉄筋、第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋と打設されたコンクリートとによって頑丈な鉄筋コンクリート製のスラブを構築することができる。
【0019】
連結部材が水平板に溶着固定された水平脚部と水平脚部の一端部から上下方向へ延びていて下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定された垂直脚部とを有するL字鋼材であるコンクリート流止め枠材は、L字鋼材の水平脚部がコンクリート流止め枠材の水平板に溶着固定され、L字鋼材の垂直脚部が下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定されることで、L字鋼材を介して第1~第n下部横鉄筋や第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋をコンクリート流止め枠材に強固に固定することができ、建築現場におけるコンクリート流止め枠材への鉄筋の配筋(設置)を省くことができるとともに、コンクリートスラブを迅速に構築することができ、更に、第1~第n配筋付きデッキプレートやL字鋼材を介してコンクリート流止め枠材に予め配筋(設置)された第1~第n下部鉄筋、第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋と打設されたコンクリートとによって頑丈な鉄筋コンクリート製のスラブを構築することができる。
【0020】
L字鋼材が水平板において幅方向へ並び、幅方向へ並ぶそれらL字鋼材の水平脚部が水平板の上面に溶着固定され、幅方向へ並ぶそれらL字鋼材の垂直脚部の下部鉄筋及び上部鉄筋と交差する交差部が下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定されているコンクリート流止め枠材は、幅方向へ並ぶ複数のL字鋼材の水平脚部がコンクリート流止め枠材の水平板に溶着固定され、幅方向へ並ぶ複数のL字鋼材の垂直脚部が下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定されることで、それらL字鋼材を介して第1~第n下部横鉄筋や第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋をコンクリート流止め枠材に強固に固定することができ、建築現場におけるコンクリート流止め枠材への鉄筋の配筋(設置)を省くことができるとともに、コンクリートスラブを迅速に構築することができ、更に、第1~第n配筋付きデッキプレートや幅方向へ並ぶそれらL字鋼材を介してコンクリート流止め枠材に予め配筋(設置)された第1~第n下部鉄筋、第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋と打設されたコンクリートとによって頑丈な鉄筋コンクリート製のスラブを構築することができる。
【0021】
L字鋼材が水平板において前後方向へ並び、前後方向へ並ぶそれらL字鋼材の水平脚部が水平板の上面に溶着固定され、前後方向へ並ぶそれらL字鋼材の垂直脚部の下部鉄筋及び上部鉄筋と交差する交差部が下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定されているコンクリート流止め枠材は、前後方向へ並ぶ複数のL字鋼材の水平脚部がコンクリート流止め枠材の水平板に溶着固定され、前後方向へ並ぶ複数のL字鋼材の垂直脚部が下部鉄筋及び上部鉄筋に溶着固定されることで、それらL字鋼材を介して第1~第n下部横鉄筋や第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋をコンクリート流止め枠材に強固に固定することができ、建築現場におけるコンクリート流止め枠材への鉄筋の配筋(設置)を省くことができるとともに、コンクリートスラブを迅速に構築することができ、更に、第1~第n配筋付きデッキプレートや前後方向へ並ぶそれらL字鋼材を介してコンクリート流止め枠材に予め配筋(設置)された第1~第n下部鉄筋、第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋と打設されたコンクリートとによって頑丈な鉄筋コンクリート製のスラブを構築することができる。
【0022】
コンクリート流止め枠材の第1~第n下部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が第1~第n配筋付きデッキプレートの下端筋の金属板の上面から上方への高さ寸法と略同一に調節され、コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の金属板の上面から上方への高さ寸法と略同一に調節されているコンクリート流止め枠材は、コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の金属板の上面から上方への高さ寸法よりも高い場合、打設されたコンクリートのコンクリート流止め枠材及び第1~第n配筋付きデッキプレートに対する被り寸法を合わせることができないが、第1~第n上部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の金属板の上面から上方への高さ寸法と略同一に調節されているから、コンクリート流止め枠材及び第1~第n配筋付きデッキプレートに対するコンクリートの被り寸法を合わせることができ、コンクリート流止め枠材及び第1~第n配筋付きデッキプレートに同一の被り寸法でコンクリートを打設することができる。コンクリート流止め枠材は、第1~第n下部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの下端筋と略同一の高さに位置し、第1~第n上部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋と略同一の高さに位置するから、第1~第n配筋付きデッキプレートやコンクリート流止め枠材に予め配筋(設置)された第1~第n下部鉄筋、第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋と打設されたコンクリートとによって頑丈な鉄筋コンクリート製のスラブを構築することができる。
【0023】
コンクリート流止め枠材の第1~第n下部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの下端筋の直上又は直下に位置するように、第1~第n下部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が調節され、コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の直上又は直下に位置するように、第1~第n上部鉄筋の水平板の上面から上方への高さ寸法が調節されているコンクリート流止め枠材は、コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の上方に位置する場合、打設されたコンクリートのコンクリート流止め枠材及び第1~第n配筋付きデッキプレートに対する被り寸法を合わせることができないが、コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の直上又は直下に位置するから、コンクリート流止め枠材及び第1~第n配筋付きデッキプレートに対するコンクリートの被り寸法を合わせることができ、コンクリート流止め枠材及び第1~第n配筋付きデッキプレートに同一の被り寸法でコンクリートを打設することができる。コンクリート流止め枠材は、コンクリート流止め枠材の第1~第n下部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの下端筋の直上又は直下に位置し、コンクリート流止め枠材の第1~第n上部鉄筋が第1~第n配筋付きデッキプレートの上端筋の直上又は直下に位置するから、第1~第n配筋付きデッキプレートやコンクリート流止め枠材に予め配筋(設置)された第1~第n下部鉄筋、第1~第n上部鉄筋、第1~第n横鉄筋と打設されたコンクリートとによって頑丈な鉄筋コンクリート製のスラブを構築することができる。
【0024】
コンクリート流止め枠材の水平板が梁に連結された受けプレートの上面に配置され、受けプレートに溶接以外の固定手段によって固定されるコンクリート流止め枠材は、コンクリート流止め枠材の水平板と受けプレートとが溶接以外の固定手段によって固定されるから、水平板と受けプレートとの溶接作業やコンクリート流止め枠材の水平板とH型鋼のフランジ(梁)との溶接作業が不要となり、溶接作業の手間と時間とを省くことができ、コンクリートスラブを迅速に構築することができる。コンクリート流止め枠材は、建築現場における水平板と受けプレートとの溶接作業やコンクリート流止め枠材の水平板とH型鋼のフランジ(梁)との溶接作業を省くことができるから、溶接の飛び火による建築現場での火災の不用意に発生を確実に防ぐことができるとともに、建築現場での溶接作業におけるショートビードの発生を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】一例として示すコンクリート流止め枠材の斜視図。
【
図3】一例として示す配筋付きデッキプレートの斜視図。
【
図4】コンクリート流止め枠材と配筋付きデッキプレートとをH型鋼のフランジ(梁)に設置した状態の一例を示す斜視図。
【
図5】コンクリート流止め枠材と配筋付きデッキプレートとをH型鋼のフランジ(梁)に設置した状態の一例を示す側面図。
【
図6】コンクリートを打設した後の
図5と同様の側面図。
【
図7】コンクリート流止め枠材と配筋付きデッキプレートとをH型鋼のフランジ(梁)に設置した状態の他の一例を示す斜視図。
【
図8】コンクリート流止め枠材と配筋付きデッキプレートとをH型鋼のフランジ(梁)に設置した状態の他の一例を示す側面図。
【
図9】コンクリートを打設した後の
図7と同様の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0026】
一例として示すコンクリート流止め枠材10の斜視図である
図1等の添付の図面を参照し、本発明に係るコンクリート流止め枠材の詳細を説明すると、以下のとおりである。尚、
図2は、コンクリート流止め枠材10の側面図であり、
図3は、一例として示す配筋付きデッキプレート11a~11dの斜視図である。
図1,3では、前後方向を矢印A、上下方向を矢印Bで示し、幅方向を矢印Cで示す。
【0027】
コンクリート流止め枠材10(鉄筋付きコンクリート流止め枠材)は、鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)を構築するために幅方向へ並べられた複数の第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11d(第1~第n配筋付きデッキプレート)の周囲に配置され、それらデッキプレート11a~11dの上に打設されたコンクリート45の漏れ出しを堰き止めるとともに、それに配筋されたコンクリート流止め枠材用鉄筋15によって鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)を補強する。コンクリート流止め枠材10は、組立工場において予め製造され、建築現場に搬送される。
【0028】
コンクリート流止め枠材10は、所定面積の水平板12及び所定面積の垂直板13から作られたコンクリート受け枠14と、コンクリート流止め枠材用鉄筋15とから形成されている。コンクリート流止め枠材用鉄筋15は、第1~第8下部鉄筋16a~16h(第1~第n下部鉄筋)及び第1~第8上部鉄筋17a~17h(第1~第n上部鉄筋)と、第1~第5下部横鉄筋18a~18e(第1~第n下部横鉄筋)(横鉄筋)及び第1~第5上部横鉄筋19a~19e(第1~第n上部横鉄筋)(横鉄筋)と、第1~第8連結部材20a~20hとから形成されている。
【0029】
尚、
図1,2では、個の第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11d、8本の第1~第8下部鉄筋16a~16h、8本の第1~第8上部鉄筋17a~17h、5本の第1~第5下部横鉄筋18a~18e、5本の第1~第5上部横鉄筋19a~19e、本の第1~第8連結部材20a~20hを図示しているが、配筋付きデッキプレートの個数、下部鉄筋の本数や上部鉄筋の本数、下部横鉄筋の本数、上部横鉄筋の本数、連結部材の本数に制限はなく、建築する建造物に構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさや鉄筋コンクリートスラブ46に求められる強度等によってデッキプレートの個数やそれら鉄筋の本数、連結部材の本数が適宜決定される。
【0030】
水平板12は、所定厚みを有する鉄板から作られている。水平板12は、幅方向へ長い矩形に成形され、前後方向へ延在している。水平板12は、後記する受けプレート44に載置される。水平板12の前後方向の長さ寸法や厚さ寸法、面積は、構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさや鉄筋コンクリートスラブ46に求められる強度等によって適宜決定される。
【0031】
垂直板13は、所定厚みを有する鉄板から作られている。垂直板13は、水平板12と一体になり、幅方向へ長い矩形に成形され、水平板12の前端から上下方向へ延在している。垂直板13は、打設されたコンクリート45の漏れ出しを堰き止める防波堤となる。垂直板13の上下方向の長さ寸法や厚さ寸法、面積は、構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさやコンクリート45の被り寸法によって適宜決定される。垂直板13の上端部21は、その一部が水平板12に向かって略直角に折曲されている。
【0032】
第1~第8下部鉄筋16a~16hには、鉄を延伸した鉄棒から作られてその周面に複数の節(リブ)を有する異形棒鋼(異形鉄筋)が使用されている。第1~第8下部鉄筋16a~16hは、水平板12の上面22から上方へ所定寸法離間して位置し、幅方向へ等間隔離間(所定寸法離間)して並んでいる。それら下部鉄筋16a~16hは、互いに並行するとともに、水平板12に並行して前後方向へ延びている。それら下部鉄筋16a~16hは、垂直板13の上端部21よりも下方に位置している。
【0033】
第1~第8下部鉄筋16a~16hの前後方向の長さ寸法L1は、2~7mの範囲にある。それら下部鉄筋16a~16hは、その長さ寸法L1が水平板12の前後方向の長さ寸法L2よりも長く、水平板12の後端部23から前後方向へ延出している。それら下部鉄筋16a~16hの前後方向の長さ寸法L1や太さ寸法は、構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさや鉄筋コンクリートスラブ46に求められる強度等によって適宜決定される。
【0034】
第1~第8上部鉄筋17a~17hには、鉄を延伸した鉄棒から作られてその周面に複数の節(リブ)を有する異形棒鋼(異形鉄筋)が使用されている。第1~第8上部鉄筋17a~17hは、水平板12の上面22から上方へ所定寸法離間するとともに第1~第8下部鉄筋16a~16hから上方へ所定寸法離間して位置し、幅方向へ等間隔離間(所定寸法離間)して並んでいる。それら上部鉄筋17a~17hは、互いに並行するとともに、水平板12及び第1~第8下部鉄筋16a~16hに並行して前後方向へ延びている。それら上部鉄筋17a~17hは、垂直板13の上端部21よりも下方に位置している。
【0035】
第1~第8上部鉄筋17a~17hの前後方向の長さ寸法L3は、それら下部鉄筋16a~16hの前後方向の長さ寸法L1よりも長く、2~8mの範囲にある。それら上部鉄筋17a~17hは、その長さ寸法L3が水平板12の前後方向の長さ寸法L2よりも長く、水平板12の後端部23から前後方向へ延出している。それら上部鉄筋17a~17hの前後方向への長さ寸法L3や太さ寸法は、構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさや鉄筋コンクリートスラブ46に求められる強度等によって適宜決定される。尚、第1~第8下部鉄筋16a~16hの前後方向の長さ寸法L1と第1~第8上部鉄筋17a~17hの前後方向の長さ寸法L3とが略同一であってもよく、第1~第8下部鉄筋16a~16hの前後方向の長さ寸法L1が第1~第8上部鉄筋17a~17hの前後方向の長さ寸法L3より長くてもよい。
【0036】
第1~第5下部横鉄筋18a~18eには、鉄を延伸した鉄棒から作られてその周面に複数の節(リブ)を有する異形棒鋼(異形鉄筋)が使用されている。第1~第5下部横鉄筋18a~18eは、水平板12の上面22から上方へ所定寸法離間して位置し、前後方向へ等間隔離間(所定寸法離間)して並んでいる。それら下部横鉄筋18a~18eは、互いに並行するとともに水平板12に並行し、第1~第8下部鉄筋16a~16hに交差して幅方向へ延びている。それら下部横鉄筋18a~18eは、垂直板12の上端部21よりも下方に位置している。
【0037】
第1~第5下部横鉄筋18a~18eは、第1~第8下部鉄筋16a~16hの直下に配置されているが、第1~第8下部鉄筋16a~16hの直上に配置されてもよく、第1~第8下部鉄筋16a~16hの直下及び直上に交互に配置されていてもよい。第1~第5下部横鉄筋18a~18eの幅方向の長さ寸法L4は、5~20mの範囲にある。第1~第5下部横鉄筋18a~18eの幅方向L4の長さ寸法や太さ寸法は、構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさや鉄筋コンクリートスラブ46に求められる強度等によって適宜決定される。第1~第5下部横鉄筋18a~18eは、第1~第n下部鉄筋16a~16と交差当接する交差部が溶接によって第1~第8下部鉄筋16a~16hに強固に溶着固定されている。
【0038】
第1~第5上部横鉄筋19a~19eには、鉄を延伸した鉄棒から作られてその周面に複数の節(リブ)を有する異形棒鋼(異形鉄筋)が使用されている。第1~第5上部横鉄筋19a~19eは、水平板12の上面22から上方へ所定寸法離間するとともに第1~第5下部横鉄筋18a~18eから上方へ所定寸法離間して位置し、前後方向へ等間隔離間(所定寸法離間)して並んでいる。それら上部横鉄筋19a~19eは、互いに並行するとともに水平板12及び第1~第5下部横鉄筋18a~18eに並行し、第1~第8上部鉄筋17a~17hに交差して幅方向へ延びている。それら上部横鉄筋19a~19eは、垂直板12の上端部21よりも下方に位置している。
【0039】
第1~第5上部横鉄筋19a~19eは、第1~第8上部鉄筋17a~17hの直下に配置されているが、第1~第8上部鉄筋17a~17hの直上に配置されてもよく、第1~第8上部鉄筋17a~17hの直下及び直上に交互に配置されていてもよい。第1~第5上部横鉄筋19a~19eの前後方向への長さ寸法L5は、それら下部横鉄筋18a~18eの幅方向への長さ寸法と略同一であり、5~20mの範囲にある。それら上部横鉄筋19a~19eの幅方向の長さ寸法L5や太さ寸法は、構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさや鉄筋コンクリートスラブ46に求められる強度等によって適宜決定される。第1~第5上部横鉄筋19a~19eは、第1~第8上部鉄筋17a~17hと交差当接する交差部が溶接によって第1~第8上部鉄筋17a~17hに強固に溶着固定されている。
【0040】
第1~第8連結部材20a~20hは、鋼材から作られ、第1~第8下部鉄筋16a~16h及び第1~第8上部鉄筋17a~17hを水平板12に連結固定する。それら連結部材20a~20hは、水平板12に並行して前後方向へ延びる水平脚部24と、水平脚部24の一端部(前端部)から垂直板13に並行して上下方向へ延びる垂直脚部25とを有するL字鋼材である。それら連結部材20a~20h(L字鋼材)は、水平板12の上面22において幅方向へ等間隔離間(所定寸法離間)して並ぶとともに、水平板の上面22において前後方向へ等間隔離間(所定寸法離間)して並んでいる。
【0041】
幅方向及び前後方向へ並ぶそれら連結部材20a~20h(L字鋼材)では、その水平脚部24が水平板12の上面22に載置され、水平脚部24が水平板12に溶接によって強固に溶着固定されている。幅方向及び前後方向へ並ぶそれら連結部材20a~20hでは、その垂直脚部25のうちの第1~第8下部鉄筋16a~16hと交差当接する交差部が溶接によって第1~第8下部鉄筋16a~16hに強固に溶着固定され、その垂直脚部25のうちの第1~第8上部鉄筋17a~17hと交差当接する交差部が溶接によって第1~第8上部鉄筋17a~17hに強固に溶着固定されている。
【0042】
配筋付きデッキプレート11a~11dは、鉄筋造建築物や鉄筋コンクリート造建築物、鉄筋鉄骨コンクリート造建築物の鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の構築に使用される。配筋付きデッキプレート11a~11dは、所定面積を有する前後方向へ長い金属ベース26と、金属ベース26の上面27に設置された鉄筋トラスユニット28(鉄筋)とから形成されている。尚、鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の構築には、
図3に示す配筋付きデッキプレート11a~11dの他に、現在使用されている他のあらゆる種類の配筋付きデッキプレートを利用することができるのみならず、今後開発されるあらゆる種類の配筋付きデッキプレートを利用することができる。
【0043】
図3では、金属ベース26に2個の鉄筋トラスユニット28が設置されているが、金属ベース26の面積や鉄筋トラスユニット28の個数に特に制限はなく、構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさや鉄筋コンクリートスラブ46に求められる強度等によって金属ベース26の面積や鉄筋トラスユニット28の個数が適宜決定される。
【0044】
金属ベース26には、鉄板が使用されているが、鉄板の他に、アルミニウム板やステンレス板、チタン板等の他の金属板を使用することもできる。金属ベース26は、略フラットな上面27及び略フラットな下面29を有するとともに、前後方向へ延びる両側縁部30と幅方向へ延びる両端縁部31とを有する。金属ベース26の上下面27,29には、メッキ処理が施されている。金属ベース26(鉄板)の両側縁部30の間には、前後方向へ延びるとともに金属ベース26の上面27から上方へ凸となる複数の凸条32(縦条)が形成されている。それら凸条32は、金属ベース26を折り曲げることから作られている。
【0045】
金属ベース26(鉄板)の一方の側縁部30には、第1係合部33が作られ、金属ベース26の他方の側縁部30には、第2係合部34が作られている。第1係合部33は、金属ベース26の一方の側縁部30を金属ベース26の上面27に向かって折り曲げることから作られている。第2係合部34は、金属ベース26の他方の側縁部30を金属ベース26の下面29に向かって折り曲げることから作られている。一方の金属ベース26の第1係合部33に他方の金属ベース26の第2係合部34を嵌め込み、それら係合部33,34どうしを互いに係合させることで、第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dを連結することができる。
【0046】
それら鉄筋トラスユニット28は、金属ベース26の上面27に配置され、幅方向へ等間隔離間(所定寸法離間)しつつ幅方向へ並行して並ぶとともに、前後方向へ延びている。それら鉄筋トラスユニット28は、1本の上端筋35と2本(一対)の下端筋36と2本(一対)の第1ラチス筋37a及び第2ラチス筋37bとから形成されている。上端筋35や下端筋36、第1及び第2ラチス筋37a,37bには、鉄を延伸した鉄棒から作られてその周面に複数の節(リブ)を有する異形棒鋼(異形鉄筋)が使用されている。上端筋35や下端筋36、第1及び第2ラチス筋37a,37bの太さ寸法は、構築する鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の大きさや鉄筋コンクリートスラブ46に求められる強度等によって適宜決定される。
【0047】
上端筋35は、幅方向に隣り合う(隣接する)凸条32の間に位置し、鉄板ベース27の上面29から上方へ所定寸法離間して前後方向へ直状に延びている。それら鉄筋トラスユニット28において幅方向へ並ぶ上端筋35の前後方向の長さ寸法は略同一であり、それら上端筋35が幅方向へ所定寸法離間しつつ、幅方向へ並行して並んでいる。
【0048】
下端筋36は、幅方向に隣り合う(隣接する)凸条32の間に位置(凸条32から内側へ所定寸法離間して位置)するとともに、それらラチス筋37a,37bの幅方向外方に位置し、上端筋35の側方であって上端筋35の幅方向両側に位置している。それら下端筋36は、鉄板ベース26の上面27から上方へ所定寸法離間して前後方向へ直状に延びている。それら鉄筋トラスユニット28において幅方向へ並ぶ下端筋36の前後方向の長さ寸法は略同一であり、それら下端筋36が幅方向へ所定寸法離間しつつ、幅方向へ並行して並んでいる。
【0049】
第1及び第2ラチス筋37a,37bは、幅方向に隣り合う(隣接する)凸条32の間に位置(凸条32から内側へ所定寸法離間して位置)するとともに、金属ベース26の上面27と上端筋35との間に位置し、上下方向へ波状に曲折(起伏)を繰り返しながら前後方向へ延びている。それらラチス筋37a,37bは、上端筋35の側に位置する凸部38と、鉄板ベース26の上面27の側に位置する凹部40と、凸部38及び凹部40の間において前後方向へ傾斜して延びる中間部39とを有する。第1及び第2ラチス筋37a,37bは、上端筋35を挟んで幅方向へ対称型に配置されている。
【0050】
第1及び第2ラチス筋37a,37bの凸部38は、上方へ向かって凸となるように曲折し、上端筋35の周面に当接している。第1及び第2ラチス筋37a,37bの凸部38のうちの上端筋35と交差当接する交差部分が上端筋35にスポット溶接によって強固に溶着固定されている。第1及び第2ラチス筋37a,37bの中間部39は、下端筋36の幅方向内方(内側)に位置し、中間部39のうちの下端筋36と交差当接する交差部分が下端筋36にスポット溶接によって強固に溶着固定されている。
【0051】
それらラチス筋37a,37bの凹部40は、凹状に折り曲げられ、下方へ向かって凹となるように曲折しつつ、金属ベース26の上面27と並行するように幅方向外方へ折り曲げられている(幅方向外方へ屈曲している)。凹部40は、幅方向外方へ折り曲げられて幅方向へ延在する屈曲部分41を有する。それら屈曲部分41は、幅方向外方へ向かって凸となるように弧を画き、金属ベース12の凸条32の上に位置している。屈曲部分41は、鉄板ベース26の凸条32と2箇所で交差当接し、凸条32と交差当接する交差部分がスポット溶接によって凸条32に強固に溶着固定されている。
【0052】
コンクリート流止め枠材10では、第1~第8下部鉄筋16a~16hの水平板12の上面22から上方への高さ寸法が第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dの下端筋36の金属板26の上面27から上方への高さ寸法と略同一に調節されているとともに、第1~第8上部鉄筋17a~17hの水平板12の上面22から上方への高さ寸法が第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dの上端筋35の金属板26の上面27から上方への高さ寸法と略同一に調節されている。
【0053】
又、コンクリート流止め枠材10では、第1~第8下部鉄筋16a~16hが第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dの下端筋36の直上又は直下に位置するように、第1~第8下部鉄筋16a~16hの水平板12の上面22から上方への高さ寸法が調節され、第1~第8上部鉄筋17a~17hが第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dの上端筋35の直上又は直下に位置するように、第1~第8上部鉄筋17a~17hの水平板12の上面22から上方への高さ寸法が調節されている。
【0054】
図4は、コンクリート流止め枠材10と配筋付きデッキプレート11a~11dとをH型鋼42のフランジ43(梁)に設置した状態の一例を示す斜視図であり、
図5は、コンクリート流止め枠材10と配筋付きデッキプレート11a~11dとをH型鋼42のフランジ43(梁)に設置した状態の一例を示す側面図である。
図6は、コンクリート45を打設した後の
図5と同様の側面図である。
図4~
図6では、コンクリート流止め枠材10が幅方向へ並ぶ配筋付きデッキプレート11a~11dの端部31の側に設置された状態を示す。
【0055】
コンクリート流止め枠材10及び配筋付きデッキプレート11a~11dを使用して鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)を構築する手順の一例は、以下のとおりである。最初に組立工場においてコンクリート流止め枠材10を製造する(コンクリート流止め枠材製造工程)。尚、配筋付きデッキプレート11a~11dも組立工場において製造される。コンクリート流止め枠材製造工程では、建設する建造物の鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の規模に基づいてコンクリート流止め枠材10の割付図(設計図面)を作成し、作成した割付図に従ってコンクリート流止め枠材10を製造する。
【0056】
コンクリート流止め枠材製造工程では、水平板12と垂直板13とから形成された割付図(設計図面)の寸法どおりのコンクリート受け枠14を作る。そのコンクリート受け枠14の水平板12の割付図(設計図面)どおりの位置に第1~第8連結部材20a~20h(L字鋼材)を配置し、それら連結部材20a~20hの水平脚部24を水平板12の上面22に溶接によって溶着固定する。
【0057】
次に、コンクリート受け枠14に配筋(設置)する割付図(設計図面)どおりのコンクリート流止め枠材用鉄筋15を作る。コンクリート流止め枠材用鉄筋15は、既述のように、第1~第8下部鉄筋16a~16h及び第1~第8上部鉄筋17a~17hと、第1~第5下部横鉄筋18a~18e(横鉄筋)及び第1~第5上部横鉄筋19a~19e(横鉄筋)と、第1~第8連結部材20a~20h(第1~第L字鋼材)とから形成され、第1~第5下部横鉄筋18a~18eの第1~第8下部鉄筋16a~16hと交差する交差部を溶接によって第1~第8下部鉄筋16a~16hに溶着固定し、第1~第5上部横鉄筋19a~19eの第1~第8上部鉄筋17a~17hと交差当接する交差部を溶接によって第1~第8上部鉄筋17a~17hに溶着固定することで組み上げる。
【0058】
組み上げたコンクリート流止め枠材用鉄筋15の第1~第8下部鉄筋16a~16h及び第1~第8上部鉄筋17a~17hが水平板12と並行して前後方向へ延びるとともに、鉄筋15の第1~第5下部横鉄筋18a~18e及び第1~第5上部横鉄筋19a~19eが水平板12と並行して幅方向へ延びるように、鉄筋15をコンクリート受け枠14に配置し、それら連結部材20a~20hの垂直脚部25のうちの第1~第8下部鉄筋16a~16hと交差当接する交差部を溶接によって第1~第8下部鉄筋16a~16hに溶着固定し、それら連結部材20a~20hの垂直脚部25のうちの第1~第8上部鉄筋17a~17hと交差当接する交差部を溶接によって第1~第8上部鉄筋17a~17hに溶着固定する。
【0059】
組立工場において製造された複数のコンクリート流止め枠材10を建造物の建築現場に搬送するとともに、組立工場において製造された複数の配筋付きデッキプレート11a~11dを建造物の建築現場に搬送する。建築現場では、配筋付きデッキプレート設置工程、コンクリート流止め枠材設置工程、コンクリート打設工程によって鉄筋コンクリートスラブ46が作られる。
【0060】
配筋付きデッキプレート設置工程では、建築現場に搬送された配筋付きデッキプレート11a~11dをクレーンで吊り上げ、建造物のH型鋼42の一方のフランジ43a(梁)の上にそれら配筋付きデッキプレート11a~11dの金属ベース26の両端部31を載置(配置)し、それら配筋付きデッキプレート11a~11の側縁部30に形成された第1係合部33及び第2係合部34を係合させてそれら配筋付きデッキプレート11a~11dを連結しつつ、それら配筋付きデッキプレート11a~11dをH型鋼42のフランジ43(梁)の間において幅方向へ並べる。
【0061】
配筋付きデッキプレート設置工程では、地上においてそれら配筋付きデッキプレート11a~11dの側縁部30に形成された第1係合部33及び第2係合部34を係合させてそれら配筋付きデッキプレート11a~11dを連結し、連結された配筋付きデッキプレート11a~11dに所定の吊り上げ治具を取り付け、連結された配筋付きデッキプレート11a~11dをクレーンで吊り上げ、建造物のH型鋼42の一方のフランジ43a(建造物の内方へ延びるH型鋼42のフランジ43a)(梁)の上にそれら配筋付きデッキプレート11a~11dの金属ベース26の両端部31を載置(配置)することもできる。
【0062】
尚、図示はしていないが、鉄筋トラスユニット28の上端筋35や下端筋36、第1及び第2ラチス筋37a,37bのうちの少なくとも1つ(好ましくは下端筋36と第1及び第2ラチス筋37a,37b)には、幅方向へ延びていて上下方向へ並ぶ複数の横筋やフープ筋等が結束線(針金)によって連結される場合がある。建造物のH型鋼42の他方のフランジ43b(建造物の外方へ延びるH型鋼42のフランジ43b)(梁)には、他方のフランジ43bから外方へ延出して幅方向へ延びる所定面積が受けプレート44が取り付けられている。受けプレート44は、その基端部が他方のフランジ43bに溶接によって強固に溶着固定されている。
【0063】
それら配筋付きデッキプレート11a~11dをH型鋼42のフランジ43(梁)の間に設置(架設)し、又は、地上において連結された配筋付きデッキプレート11a~11dをH型鋼42のフランジ43(梁)の間に設置(架設)した後、それら配筋付きデッキプレート11a~11dの金属ベース26の両端部31の外側(周囲)にコンクリート流止め枠材10を設置するコンクリート流止め枠材設置工程が行われる。コンクリート流止め枠材設置工程では、搬送されたコンクリート流止め枠材10の水平板12を他方のフランジ43bから外方へ延出する受けプレート44の上面に載置する。
【0064】
コンクリート流止め枠材10の水平板12を受けプレート44の上面に載置すると、水平板12の後端部23がH型鋼42の他方のフランジ43b(梁)(配筋付きデッキプレート11a~11dの金属ベース26の両端部31の外側)に位置し、第1~第8下部鉄筋16a~16hが配筋付きデッキプレート11a~11dの下端筋35と略同一高さであって下端筋36の幅方向側方に位置するとともに、第1~第8上部鉄筋17a~17hが配筋付きデッキプレート11a~11dの上端筋35と略同一高さであって上端筋35の幅方向側方に位置する。
【0065】
水平板12を受けプレート44の上面に載置した後、溶接以外の所定の固定手段(図示せず)によって水平板12を受けプレート44に強固に固定する。固定手段としては、鋲や釘、ビスを使用することができる。固定手段として鋲や釘を使用する場合、鋲打機や釘打機を利用して水平板12の上面から鋲や釘を水平板12及び受けプレート44に打ち込む。固定手段としてビスを使用する場合、ビス打ち機を利用して水平板12の上面からビスを水平板12及び受けプレート44にねじ込む。
【0066】
コンクリート流止め枠材10は、
図4~
図6に示すように、金属ベース26の両端部31に隣接した状態でH型鋼42のフランジ43(梁)に設置固定される。尚、コンクリート流止め枠材10の第1~第8下部鉄筋16a~16hと配筋付きデッキプレート11a~11dの下端筋36とが結束線(針金)によって連結される場合があり、コンクリート流止め枠材10の第1~第8上部鉄筋17a~17hと配筋付きデッキプレート11a~11dの上端筋36とが結束線(針金)によって連結される場合がある。
【0067】
図7は、コンクリート流止め枠材10と配筋付きデッキプレート11a~11dとをH型鋼42のフランジ43(梁)に設置した状態の他の一例を示す斜視図であり、
図8は、コンクリート流止め枠材10と配筋付きデッキプレート11a~11dとをH型鋼42のフランジ43(梁)に設置した状態の他の一例を示す側面図である。
図9は、コンクリート45を打設した後の
図7と同様の側面図である。
図7~
図9では、コンクリート流止め枠材10が幅方向へ並ぶ配筋付きデッキプレート11a~11dの側部30の側に設置された状態を示す。
【0068】
コンクリート流止め枠材10をそれら配筋付きデッキプレート11a~11dの両端部31の側に設置した後、コンクリート流止め枠材10をそれら配筋付きデッキプレート11a~11dの側部30の側に設置する。尚、コンクリート流止め枠材の製造や配筋付きデッキプレートの製造、配筋付きデッキプレート設置工程は既述のとおりである。
【0069】
配筋付きデッキプレート11a~11dの両端部31の側へのコンクリート流止め枠材10の設置が完了した後、構築途中の鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の両側に設置された配筋付きデッキプレート11a,11dの金属ベース26の側部30の外側(周囲)にコンクリート流止め枠材10を設置する(コンクリート流止め枠材設置工程)。コンクリート流止め枠材設置工程では、コンクリート流止め枠材10の水平板12を配筋付きデッキプレート11a,11dの側部30が載置された他方のフランジ43bから外方へ延出する受けプレート44の上面に載置する。
【0070】
コンクリート流止め枠材10の水平板12を受けプレート44の上面に載置すると、水平板12の後端部23がH型鋼42の他方のフランジ43(梁)(配筋付きデッキプレート11a,11dの金属ベース26の側部30の外側)に位置し、第1~第8下部鉄筋16a~16hが配筋付きデッキプレート11a~11dの下端筋35の直上であって下端筋35の幅方向側方に位置するとともに、第1~第8上部鉄筋17a~17hが配筋付きデッキプレート11a~11dの上端筋36の直上であって上端筋36の幅方向側方に位置する。
【0071】
水平板12を受けプレート44の上面に載置した後、溶接以外の所定の固定手段(鋲、釘、ビス)によって水平板12を受けプレート44に強固に固定する。コンクリート流止め枠材10は、
図7~
図9に示すように、構築途中の鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)の両側に設置された配筋付きデッキプレート11a,11dの金属ベース26の側部30に隣接した状態でH型鋼42のフランジ43(梁)に設置固定される。
【0072】
コンクリート流止め枠材10の水平板12をH型鋼42のフランジ43(梁)(受けプレート44)に設置固定し、コンクリート流止め枠材10を金属ベース26の両端部31に隣接した状態で配置するとともに、コンクリート流止め枠材10を金属ベース26の側部30に隣接した状態で配置した後、コンクリート打設工程が行われる。コンクリート打設工程では、鉄筋トラスユニット28の上方から金属ベース26の上面27に向かってコンクリート45を所定の被り寸法で打設し、コンクリート45を所定期間養生する。
【0073】
コンクリート45を配筋付きデッキプレート11a~11dに打設すると、コンクリート45の漏れ出しがコンクリート流止め枠材10によって堰き止められ、金属ベース26や鉄筋トラスユニット28、コンクリート流止め枠材用鉄筋15がコンクリート45に埋没する。コンクリート45の養生期間が経過することで、鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)が完成する。
【0074】
コンクリート流止め枠材10は、水平板12の上面22から上方に位置して幅方向へ所定寸法離間して並び、水平板12に並行して前後方向へ延びる第1~第8下部鉄筋16a~16h(第1~第n下部鉄筋)と、第1~第8下部鉄筋16a~16hから上方に位置して幅方向へ所定寸法離間して並び、第1~第8下部鉄筋16a~16hに並行して前後方向へ延びる第1~第8上部鉄筋17a~17h(第1~第n上部鉄筋)と、第1~第8下部鉄筋16a~16hに固定されて前後方向へ所定寸法離間して並び、第1~第8下部鉄筋16a~16hに交差して幅方向へ延びる第1~第5下部横鉄筋18a~18e(第1~第n下部横鉄筋)と、第1~第8上部鉄筋17a~17hに固定されて前後方向へ所定寸法離間して並び、第1~第8上部鉄筋17a~17hに交差して幅方向へ延びる第1~第5上部横鉄筋19a~19e(第1~第n上部横鉄筋)と、第1~第8下部鉄筋16a~16h及び第1~第8上部鉄筋17a~17hを水平板12に連結固定する第1~第8連結部材20a~20h(L字鋼材)とを有し、組立工場で製造されて既にコンクリート流止め枠材用鉄筋15(第1~第8下部鉄筋16a~16h、第1~第8上部鉄筋17a~17h、第1~第5下部横鉄筋18a~18e、第1~第5上部横鉄筋19a~19e)がコンクリート流止め枠材10(コンクリート受け枠14)に配筋(設置)されているから、建築現場においてコンクリート流止め枠材10(コンクリート受け枠14)に複数の鉄筋を配筋(設置)する必要はなく、コンクリート流止め枠材10への複数の鉄筋の配筋、配筋された鉄筋どうしの溶接、鉄筋のコンクリート流止め枠材10への溶接が不要となり、配筋作業や溶接作業の手間と時間とを省くことができ、鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)を迅速に構築することができる。
【0075】
コンクリート流止め枠材10は、コンクリート流止め枠材10(コンクリート受け枠14)の水平板12と受けプレート44とが溶接以外の固定手段(鋲、釘、ビス)によって固定されるから、水平板12と受けプレート44との溶接作業や水平板12とH型鋼42のフランジ43(梁)との溶接作業が不要となり、溶接作業の手間と時間とを省くことができ、鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)を迅速に構築することができる。
【0076】
コンクリート流止め枠材10は、幅方向及び前後方向へ並ぶ複数の第1~第8連結部材20a~20h(L字鋼材)の水平脚部24がコンクリート流止め枠材10(コンクリート受け枠14)の水平板12に溶接によって溶着固定され、幅方向及び前後方向へ並ぶ複数の第1~第8連結部材20a~20h(L字鋼材)の垂直脚部25が第1~第8下部鉄筋16a~16h(第1~第n下部鉄筋)及び第1~第8上部鉄筋17a~17h(第1~第n上部鉄筋)に溶接によって溶着固定されることで、それら連結部材20a~20h(L字鋼材)を介して第1~第8下部鉄筋16a~16hやそれら上部鉄筋17a~17h、第1~第5下部横鉄筋18a~18e、第1~第5上部横鉄筋19a~19eをコンクリート流止め枠材10(コンクリート受け枠14)に強固に固定することができる。
【0077】
コンクリート流止め枠材10は、第1~第n配筋付きデッキプレート11a~11dとコンクリート流止め枠材10に予め配筋(設置)されたコンクリート流止め枠材用鉄筋15(第1~第8下部鉄筋16a~16h、第1~第8上部鉄筋17a~17h、第1~第5下部横鉄筋18a~18e、第1~第5上部横鉄筋19a~19e)と打設されたコンクリート45とによって頑丈な鉄筋コンクリート製の鉄筋コンクリートスラブ46(床スラブ)を構築(建築)することができる。
【0078】
コンクリート流止め枠材10は、それに配筋された第1~第8上部鉄筋17a~17hの水平板12の上面22から上方への高さ寸法が第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dの上端筋36の金属板26の上面27から上方への高さ寸法よりも高い場合、打設されたコンクリート45のコンクリート流止め枠材10及び第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dに対する被り寸法を合わせることができないが、第1~第8上部鉄筋17a~17hの水平板12の上面22から上方への高さ寸法が第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dの上端筋36の金属板26の上面28から上方への高さ寸法と略同一に調節され、又は、コンクリート流止め枠材10の第1~第8上部鉄筋17a~17hが第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dの上端筋36の直上又は直下に位置するから、コンクリート流止め枠材10及び第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dに対するコンクリート45の被り寸法を合わせることができ、コンクリート流止め枠材10及び第1~第4配筋付きデッキプレート11a~11dに同一の被り寸法でコンクリート45を打設することができる。
【0079】
コンクリート流止め枠材10は、所定面積の水平板12及び所定面積の垂直板13から作られたコンクリート受け枠14にコンクリート流止め枠材用鉄筋15(第1~第8下部鉄筋16a~16h、第1~第8上部鉄筋17a~17h、第1~第5下部横鉄筋18a~18e、第1~第5上部横鉄筋19a~19e)が溶着固定されたコンクリート流止め枠材10が建築現場に搬送され、コンクリート流止め枠材10をH型鋼42のフランジ43(梁)の間に架設すればよく、建築現場における水平板12と受けプレート44との溶接作業やコンクリート流止め枠材10の水平板12とH型鋼42のフランジ43(梁)との溶接作業を省くことができるから、溶接の飛び火による建築現場での火災の不用意な発生を防ぐことができるとともに、建築現場での溶接作業におけるショートビードの発生を防ぐことができ、溶接強度不足によるコンクリート打設後のコンクリート流止め枠材10の変形や崩壊、コンクリート流止め枠材用鉄筋15の剥離を防ぐことができる。
【符号の説明】
【0080】
10 コンクリート流止め枠材
11a~11d 第1~第4配筋付きデッキプレート(第1~第n配筋付きデッキプレート)
12 水平板
13 垂直板
14 コンクリート受け枠
15 コンクリート流止め枠材用鉄筋
16a~16h 第1~第8下部鉄筋(第1~第n下部鉄筋)
17a~17h 第1~第8上部鉄筋(第1~第n上部鉄筋)
18a~18e 第1~第5下部横鉄筋(第1~第n下部横鉄筋)
19a~19e 第1~第5上部横鉄筋(第1~第n上部横鉄筋)
20a~20h 第1~第8連結部材(第1~第n連結部材)
21 上端部
22 上面
23 後端部
24 水平脚部
25 垂直脚部
26 金属ベース
27 側縁部
28 鉄筋トラスユニット
29 上面
30 側縁部
31 端縁部
32 凸条
33 第1係合部
34 第2係合部
35 上端筋
36 下端筋
37a,b 第1及び第2ラチス筋
38 凸部
39 中間部
40 凹部
41 屈曲部分
42 H型鋼
43 フランジ
43a 一方のフランジ
43b 他方のフランジ
44 受けプレート
45 コンクリート
46 鉄筋コンクリートスラブ(床スラブ)