(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】電動弁
(51)【国際特許分類】
F16K 31/04 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
F16K31/04 K
F16K31/04 A
(21)【出願番号】P 2021188146
(22)【出願日】2021-11-18
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
(74)【代理人】
【識別番号】110002608
【氏名又は名称】弁理士法人オーパス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢沢 将志
(72)【発明者】
【氏名】菅沼 威
【審査官】武内 大志
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-62961(JP,A)
【文献】特開2019-219048(JP,A)
【文献】特開2008-178291(JP,A)
【文献】特開2011-153632(JP,A)
【文献】特開2011-208729(JP,A)
【文献】国際公開第2004/003414(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16K 31/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
弁本体アセンブリと、前記弁本体アセンブリに取り付けられるステーターユニットと、を有する電動弁であって、
前記弁本体アセンブリが、弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有し、
前記ステーターユニットが、前記ローターと同軸に配置され、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターを有し、
当該電動弁が、前記ステーターユニットの前記弁本体アセンブリへの取付位置(以下、「ステーターユニット取付位置」という。)を複数有し、
前記ステッピングモーターのステップ角をθとし、前記ステッピングモーターの励磁パターンの数をMとし、前記ステーターユニット取付位置の数をKとしたとき、j番目(j=1、2、・・・、K-1)の前記ステーターユニット取付位置とj+1番目の前記ステーターユニット取付位置との間の軸周りの角度dα[j]が、ステップ角θの倍数であり、以下の式(1)を満たすことを特徴とする電動弁。
(1) dα[j]≠ M×θ×U
ただし、Uは任意の整数である。
【請求項2】
1番目の前記ステーターユニット取付位置からk番目(k
=2、・・・、K)の前記ステーターユニット取付位置
までの軸周りの角度α[k]が、以下の式(2)で示される、請求項1に記載の電動弁。
(2) α[k]=(M×N±1)×(k-1)×θ
ただし、Nは整数である。
【請求項3】
前記弁本体アセンブリが、複数の前記ステーターユニット取付位置に対応する複数の取付受部を有し、
前記ステーターユニットが、前記複数の取付受部のいずれにも配置可能な1つの取付部を有し、
前記取付部および前記取付受部の一方が、凸部であり、
前記取付部および前記取付受部の他方が、凹部または孔であり、
前記取付部が前記複数の取付受部のうちの1つの取付受部に留まることによって、前記ステーターユニットが当該1つの取付受部に対応する前記ステーターユニット取付位置に取り付けられる、請求項1または請求項2に記載の電動弁。
【請求項4】
前記電動弁が、雄ねじを有するねじ部材を有し、
前記弁本体アセンブリが、複数の前記ステーターユニット取付位置に対応する複数の雌ねじ穴を有し、
前記ステーターユニットが、前記複数の雌ねじ穴のいずれにも配置可能な1つの貫通孔を有し、
前記ねじ部材が前記貫通孔に通されかつ前記複数の雌ねじ穴のうちの1つの雌ねじ穴に螺合されることによって、前記ステーターユニットが当該1つの雌ねじ穴に対応する前記ステーターユニット取付位置に取り付けられる、請求項1または請求項2に記載の電動弁。
【請求項5】
弁本体と、前記弁本体に取り付けられるローターユニットと、前記弁本体に取り付けられるステーターユニットと、を有する電動弁であって、
前記ローターユニットが、弁座を有する弁座部材と、前記弁座部材に対して回転可能なローターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有し、
前記ステーターユニットが、前記ローターと同軸に配置され、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターを有し、
当該電動弁が、前記ステーターユニットの前記弁本体への取付位置を1つ有し、
当該電動弁が、前記ローターユニットの前記弁本体への取付位置(以下、「ローターユニット取付位置」という。)を複数有し、
前記ステッピングモーターのステップ角をθとし、前記ステッピングモーターの励磁パターンの数をMとし、前記ローターユニット取付位置の数をKとしたとき、j番目(j=1、2、・・・、K-1)の前記ローターユニット取付位置とj+1番目の前記ローターユニット取付位置との間の軸周りの角度dβ[j]が、ステップ角θの倍数であり、以下の式(3)を満たすことを特徴とする電動弁。
(3) dβ[j]≠ M×θ×U
ただし、Uは任意の整数である。
【請求項6】
1番目の前記ローターユニット取付位置からk番目(k
=2、・・・、K)の前記ローターユニット取付位置
までの軸周りの角度β[k]が、以下の式(4)で示される、請求項5に記載の電動弁。
(4) β[k]=(M×N±1)×(k-1)×θ
ただし、Nは整数である。
【請求項7】
前記弁本体が、内周面に雌ねじが形成された取付穴を有し、
前記ローターユニットが、前記弁座部材を保持し、外周面に前記雌ねじに螺合される雄ねじが形成された取付部材を有し、
前記取付部材が、前記ローターと同軸に配置され、
前記ローターユニット取付位置の数をKとしたとき、前記弁本体と前記取付部材との間にK枚のスペーサーが配置可能であり、前記弁本体と前記取付部材との間に少なくとも1枚の前記スペーサーが配置され、
前記雄ねじが前記雌ねじに螺合されるときの前記スペーサー1枚あたりの厚さに対応する前記取付部材の軸周りの回転角度が、前記ステップ角である、請求項5または請求項6に記載の電動弁。
【請求項8】
前記電動弁が、雄ねじを有するねじ部材を有し、
前記弁本体が、複数の前記ローターユニット取付位置に対応する複数の雌ねじ穴を有し、
前記ローターユニットが、前記複数の雌ねじ穴のいずれにも配置可能な1つの貫通孔を有し、
前記ねじ部材が前記貫通孔に通されかつ前記複数の雌ねじ穴のうちの1つの雌ねじ穴に螺合されることによって、前記ローターユニットが当該1つの雌ねじ穴に対応する前記ローターユニット取付位置に取り付けられる、請求項5または請求項6に記載の電動弁。
【請求項9】
前記電動弁が、雄ねじを有するねじ部材を有し、
前記ローターユニットが、複数の前記ローターユニット取付位置に対応する複数の貫通孔を有し、
前記弁本体が、前記複数の貫通孔のいずれにも配置可能な1つの雌ねじ穴を有し、
前記ねじ部材が前記複数の貫通孔のうちの1つの貫通孔に通されかつ前記雌ねじ穴に螺合されることによって、前記ローターユニットが当該1つの貫通孔に対応する前記ローターユニット取付位置に取り付けられる、請求項5または請求項6に記載の電動弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動弁に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、従来の電動弁の一例を開示している。このような電動弁は、エアコンの冷凍サイクルに組み込まれる。電動弁は、弁本体と、弁体と、弁体を移動させるためのステッピングモーターと、を有している。ステッピングモーターは、ローターとステーターとを有している。ステッピングモーターにパルスが入力されるとローターが回転する。ローターの回転に応じて弁体が移動し、弁本体の弁口の開度が変化する。ローターが基準位置にあるとき、ローター側の可動ストッパが弁本体側の固定ストッパに当接して、ローターの一方向への回転が規制される。ステッピングモーターに入力されるパルスは、ステーターに供給される駆動電流の状態(励磁パターン)に対応している。励磁パターンの数は、ステッピングモーターの構成に応じて定められている。ステッピングモーターは、励磁パターンに対応するパルスが順番にかつ循環的に入力される。
【0003】
電動弁は、電動弁制御装置によって制御される。電動弁制御装置は、初期化動作において、ステッピングモーターにパルスを入力してローターを一方向に回転させ、ローターを基準位置に位置付ける。そして、電動弁制御装置は、ステッピングモーターに所定数のパルスを入力してローターを他方向に回転させ、ローターを開弁位置に位置付ける。電動弁制御装置は、ローターを基準位置から開弁位置に位置付ける際に、ステッピングモーターに特定の励磁パターンに対応するパルスから入力を開始する。そして、ローターが開弁位置に位置付けられると、弁口があらかじめ設定された開度になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
電動弁の製造工程において、弁本体およびローターを含む弁本体アセンブリと、ステーターを含むステーターユニットと、が別々に製造される。そして、弁本体アセンブリにステーターユニットが組み付けられる。各電動弁は、ローターが基準位置から開弁位置まで回転するために必要なパルス数(開弁パルス数)が同じになるように製造される。しかしながら、弁本体アセンブリにステーターユニットが組み付けられたとき、部品精度または組立精度によっては、弁本体アセンブリに対してステーターが正しい位置から軸周りにずれた位置に配置されてしまうことがある。これにより、電動弁制御装置がローターを基準位置から開弁位置に位置付ける際にステッピングモーターに特定の励磁パターンに対応するパルスから入力を開始したとき、ローターが正しい位置から軸周りにずれた位置に位置付けられてしまう。そのため、複数の電動弁において、開弁パルス数にばらつきが生じることがある。
【0006】
そこで、本発明は、開弁パルス数のばらつきを低減できる電動弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電動弁は、弁本体アセンブリと、前記弁本体アセンブリに取り付けられるステーターユニットと、を有する電動弁であって、前記弁本体アセンブリが、弁座を有する弁本体と、前記弁本体に対して回転可能なローターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有し、前記ステーターユニットが、前記ローターと同軸に配置され、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターを有し、当該電動弁が、前記ステーターユニットの前記弁本体アセンブリへの取付位置(以下、「ステーターユニット取付位置」という。)を複数有し、前記ステッピングモーターのステップ角をθとし、前記ステッピングモーターの励磁パターンの数をMとし、前記ステーターユニット取付位置の数をKとしたとき、j番目(j=1、2、・・・、K-1)の前記ステーターユニット取付位置とj+1番目の前記ステーターユニット取付位置との間の軸周りの角度dα[j]が、前記ステップ角θの倍数であり、以下の式(1)を満たすことを特徴とする。ただし、Uは任意の整数である。
(1) dα[j]≠ M×θ×U
【0008】
本発明において、k番目(k=1、2、・・・、K)の前記ステーターユニット取付位置の軸周りの角度α[k]が、以下の式(2)で示されることが好ましい。ただし、Nは整数である。
(2) α[k]=(M×N±1)×(k-1)×θ
【0009】
本発明において、前記弁本体アセンブリが、複数の前記ステーターユニット取付位置に対応する複数の取付受部を有し、前記ステーターユニットが、前記複数の取付受部のいずれにも配置可能な1つの取付部を有し、前記取付部および前記取付受部の一方が、凸部であり、前記取付部および前記取付受部の他方が、凹部または孔であり、前記取付部が前記複数の取付受部のうちの1つの取付受部に留まることによって、前記ステーターユニットが当該1つの取付受部に対応する前記ステーターユニット取付位置に取り付けられる、ことが好ましい。
【0010】
本発明において、前記電動弁が、雄ねじを有するねじ部材を有し、前記弁本体アセンブリが、複数の前記ステーターユニット取付位置に対応する複数の雌ねじ穴を有し、前記ステーターユニットが、前記複数の雌ねじ穴のいずれにも配置可能な1つの貫通孔を有し、前記ねじ部材が前記貫通孔に通されかつ前記複数の雌ねじ穴のうちの1つの雌ねじ穴に螺合されることによって、前記ステーターユニットが当該1つの雌ねじ穴に対応する前記ステーターユニット取付位置に取り付けられる、ことが好ましい。
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係る電動弁は、弁本体と、前記弁本体に取り付けられるローターユニットと、前記弁本体に取り付けられるステーターユニットと、を有する電動弁であって、前記ローターユニットが、弁座を有する弁座部材と、前記弁座部材に対して回転可能なローターと、前記弁座と向かい合い、前記ローターが一方向に回転すると前記弁座に向けて移動する弁体と、前記ローターが基準位置にあるときに前記ローターの前記一方向への回転を規制するストッパ機構と、を有し、前記ステーターユニットが、前記ローターと同軸に配置され、前記ローターとともにステッピングモーターを構成するステーターを有し、当該電動弁が、前記ステーターユニットの前記弁本体への取付位置を1つ有し、当該電動弁が、前記ローターユニットの前記弁本体への取付位置(以下、「ローターユニット取付位置」という。)を複数有し、前記ステッピングモーターのステップ角をθとし、前記ステッピングモーターの励磁パターンの数をMとし、前記ローターユニット取付位置の数をKとしたとき、j番目(j=1、2、・・・、K-1)の前記ローターユニット取付位置とj+1番目の前記ローターユニット取付位置との間の軸周りの角度dβ[j]が、前記ステップ角θの倍数であり、以下の式(3)を満たすことを特徴とする。ただし、Uは任意の整数である。
(3) dβ[j]≠ M×θ×U
【0012】
本発明において、k番目(k=1、2、・・・、K)の前記ローターユニット取付位置の軸周りの角度β[k]が、以下の式(4)で示されることが好ましい。ただし、Nは整数である。
(4) β[k]=(M×N±1)×(k-1)×θ
【0013】
本発明において、前記弁本体が、内周面に雌ねじが形成された取付穴を有し、前記ローターユニットが、前記弁座部材を保持し、外周面に前記雌ねじに螺合される雄ねじが形成された取付部材を有し、前記取付部材が、前記ローターと同軸に配置され、前記ローターユニット取付位置の数をKとしたとき、前記弁本体と前記取付部材との間にK枚のスペーサーが配置可能であり、前記弁本体と前記取付部材との間に少なくとも1枚の前記スペーサーが配置され、前記雄ねじが前記雌ねじに螺合されるときの前記スペーサー1枚あたりの厚さに対応する前記取付部材の軸周りの回転角度が、前記ステップ角である、ことが好ましい。
【0014】
本発明において、前記電動弁が、雄ねじを有するねじ部材を有し、前記弁本体が、複数の前記ローターユニット取付位置に対応する複数の雌ねじ穴を有し、前記ローターユニットが、前記複数の雌ねじ穴のいずれにも配置可能な1つの貫通孔を有し、前記ねじ部材が前記貫通孔に通されかつ前記複数の雌ねじ穴のうちの1つの雌ねじ穴に螺合されることによって、前記ローターユニットが当該1つの雌ねじ穴に対応する前記ローターユニット取付位置に取り付けられる、ことが好ましい。
【0015】
本発明において、前記電動弁が、雄ねじを有するねじ部材を有し、前記ローターユニットが、複数の前記ローターユニット取付位置に対応する複数の貫通孔を有し、前記弁本体が、前記複数の貫通孔のいずれにも配置可能な1つの雌ねじ穴を有し、前記ねじ部材が前記複数の貫通孔のうちの1つの貫通孔に通されかつ前記雌ねじ穴に螺合されることによって、前記ローターユニットが当該1つの貫通孔に対応する前記ローターユニット取付位置に取り付けられる、ことが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、電動弁が、弁本体アセンブリと、弁本体アセンブリに取り付けられるステーターユニットと、を有する。電動弁が、ステーターユニットの弁本体アセンブリへの取付位置(以下、「ステーターユニット取付位置」という。)を複数有する。そして、電動弁のステッピングモーターのステップ角をθとし、ステッピングモーターの励磁パターンの数をMとし、ステーターユニット取付位置の数をKとしたとき、j番目(j=1、2、・・・、K-1)のステーターユニット取付位置とj+1番目のステーターユニット取付位置との間の軸周りの角度dα[j]が、ステップ角θの倍数であり、上記式(1)を満たす。ただし、Uは整数である。
【0017】
このようにしたことから、一のステーターユニット取付位置と、当該一のステーターユニット取付位置に隣接する他のステーターユニット取付位置と、の間の軸周りの角度dαが、励磁パターンの数Mにステップ角θを乗じた数の倍数になってしまうことを回避できる。そのため、一のステーターユニット取付位置に代えて他のステーターユニット取付位置にステーターユニットを取り付けることで、ステッピングモーターに特定の励磁パターンに対応するパルスが入力されたときのローターの位置をステップ角θの倍数だけ変えることができる。ステップ角θは、ステッピングモーターに入力されるパルスに対応している。これにより、電動弁において、ローターが基準位置から開弁位置まで回転するために必要なパルス数(開弁パルス数)が基準数より多かったり少なかったりした場合に、一のステーターユニット取付位置に代えて他のステーターユニット取付位置にステーターユニットを取り付けることで開弁パルス数を調整することができる。したがって、複数の電動弁における開弁パルス数のばらつきを低減できる。
【0018】
または、本発明によれば、電動弁が、弁本体と、弁本体に取り付けられるローターユニットと、弁本体に取り付けられるステーターユニットと、を有する。電動弁が、ステーターユニットの弁本体への取付位置を1つ有する。電動弁が、ローターユニットの弁本体への取付位置(以下、「ローターユニット取付位置」という。)を複数有する。そして、電動弁のステッピングモーターのステップ角をθとし、ステッピングモーターの励磁パターンの数をMとし、ローターユニット取付位置の数をKとしたとき、j番目(j=1、2、・・・、K-1)のローターユニット取付位置とj+1番目のローターユニット取付位置との間の軸周りの角度dβ[j]が、ステップ角θの倍数であり、上記式(3)で示される。ただし、Uは整数である。
【0019】
このようにしたことから、一のローターユニット取付位置と、当該一のローターユニット取付位置に隣接する他のローターユニット取付位置と、の間の軸周りの角度dβが、励磁パターンの数Mにステップ角θを乗じた数の倍数になってしまうことを回避できる。そのため、一のローターユニット取付位置に代えて他のローターユニット取付位置にローターユニットを取り付けることで、ステッピングモーターに特定の励磁パターンに対応するパルスが入力されたときのローターの位置をステップ角θの倍数だけ変えることができる。ステップ角θは、ステッピングモーターに入力されるパルスに対応している。これにより、電動弁において、ローターが基準位置から開弁位置まで回転するために必要なパルス数(開弁パルス数)が基準数より多かったり少なかったりした場合に、一のローターユニット取付位置に代えて他のローターユニット取付位置にローターユニットを取り付けることで開弁パルス数を調整することができる。したがって、複数の電動弁における開弁パルス数のばらつきを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施例に係る電動弁の断面図である。
【
図2】
図1の電動弁の一部を拡大した断面図である。
【
図3】
図1の電動弁が有する弁本体アセンブリの断面図である。
【
図5】
図3の弁本体アセンブリが有する弁軸ホルダーを示す図である。
【
図6】
図3の弁本体アセンブリが有するガイドブッシュの側面図である。
【
図7】
図3の弁本体アセンブリが有するストッパ部材を示す図である。
【
図8】
図1の電動弁が有する弁軸ホルダー、ストッパ部材、ローターおよびステーターの平面図である。
【
図9】
図1の電動弁が有するステッピングモーターを説明する図である。
【
図10】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(開弁パルス数が基準数である構成)。
【
図11】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP1を入力した状態)。
【
図12】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP2を入力した状態)。
【
図13】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP3を入力した状態)。
【
図14】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(開弁パルス数が基準数より1多い構成)。
【
図15】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP1を入力した状態)。
【
図16】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP2を入力した状態)。
【
図17】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP3を入力した状態)。
【
図18】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(開弁パルス数が基準数より1少ない構成)。
【
図19】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP1を入力した状態)。
【
図20】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP2を入力した状態)。
【
図21】ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である(パルスP3を入力した状態)。
【
図22】
図3の弁本体アセンブリの第1変形例を示す断面図である。
【
図24】
図3の弁本体アセンブリの第2変形例を示す断面図である。
【
図26】本発明の第2実施例に係る電動弁の断面図である。
【
図28】
図26の電動弁が有する弁本体アセンブリの平面図である。
【
図29】
図28の弁本体アセンブリの第1変形例を示す断面図である。
【
図30】
図28の弁本体アセンブリの第2変形例を示す断面図である。
【
図31】本発明の第3実施例に係る電動弁の断面図である。
【
図33】
図31の電動弁が有するローターユニットの断面図である。
【
図34】本発明の第4実施例に係る電動弁の断面図である。
【
図37】本発明の第5実施例に係る電動弁の断面図である。
【
図39】
図37の電動弁が有するローターユニットの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施例)
以下、本発明の第1実施例に係る電動弁について、
図1~
図21を参照して説明する。本実施例に係る電動弁は、例えば、エアコンの冷凍サイクルにおいて冷媒流量を制御する流量制御弁として使用される。
【0022】
図1は、本発明の第1実施例に係る電動弁の断面図である。
図2は、
図1の電動弁の一部(主に取付板および取付片)を拡大した断面図である。
図3は、
図1の電動弁が有する弁本体アセンブリの断面図である。
図4は、
図3の弁本体アセンブリを示す図である。
図4Aは、弁本体アセンブリの平面図である。
図4Bは、弁本体アセンブリの一部(主に取付板)を拡大した平面図である。
図5は、
図3の弁本体アセンブリが有する弁軸ホルダーを示す図である。
図5Aは、弁軸ホルダーの斜視図であり、
図5Bは、弁軸ホルダーの平面図である。
図6は、
図3の弁本体アセンブリが有するガイドブッシュの側面図である。
図7は、
図3の弁本体アセンブリが有するストッパ部材を示す図である。
図7Aは、ストッパ部材の斜視図であり、
図7Bは、ストッパ部材の平面図である。
図8は、
図1の電動弁が有する弁軸ホルダー、ストッパ部材、ローターおよびステーターの平面図である。
図8において、ステーターを模式的に示している。また、
図8において、ローターの磁極を模式的に示している。
図9は、
図1の電動弁が有するステッピングモーターを説明する図である。
図9Aは、ローターとステーターのコイルとを模式的に示している。
図9Bは、パルスとステーターに供給される駆動電流との対応の一例を示す。
図10~
図21は、ローターの磁極とステーターの極歯との位置関係を模式的に示す図である。
図10~
図13は、開弁パルス数が基準数である構成を示す。
図14~
図17は、開弁パルス数が基準数より1多い構成を示す。
図18~
図21は、開弁パルス数が基準数より1少ない構成を示す。
図10~
図21において、ステーターを模式的に示している。また、
図10~
図21において、ローターの磁極を模式的に示している。
【0023】
図1に示すように、第1実施例に係る電動弁1は、弁本体アセンブリ5Aと、ステーターユニット7と、を有している。
【0024】
図3に示すように、弁本体アセンブリ5Aは、弁本体10と、キャン20と、取付板23Aと、弁体30と、駆動機構40と、を有している。
【0025】
弁本体10は、本体部材11と、接続部材13と、を有している。本体部材11は、円柱形状を有している。本体部材11は、弁室14を有している。本体部材11には、第1導管15および第2導管16が接合されている。第1導管15は、軸線Lと直交する方向(
図3の左右方向)に沿って配置され、弁室14に接続されている。第2導管16は、軸線L方向(
図3の上下方向)に沿って配置され、弁口17を介して弁室14に接続されている。弁口17は、弁室14において円環形状の弁座18に囲まれている。本体部材11の上端面には、円形の嵌合穴11aが形成されている。嵌合穴11aの内周面は、
図3において左方を向く平面11dを有している。嵌合穴11aの底面には、弁室14に通じる軸孔11bが形成されている。接続部材13は、円環板形状を有している。接続部材13の内周縁は、本体部材11の上端部に接合されている。本体部材11および接続部材13は、アルミニウム合金、ステンレスまたは真ちゅうなどの金属製である。
【0026】
キャン20は、ステンレスなどの金属製である。キャン20は、下端部が開口しかつ上端部が塞がれた円筒形状を有している。キャン20の下端部は、接続部材13の外周縁に接合されている。
【0027】
図4に示すように、取付板23Aは、円弧形状を有している。取付板23Aの円弧形状の中心角は約50度である。取付板23Aの内縁は接続部材13の外周縁に一体的に連なっている。接続部材13と取付板23Aとは1つの部品を構成している。取付板23Aの円弧中心および接続部材13の中心を軸線Lが通る。取付板23Aは、接続部材13から径方向外方に突出している。取付板23Aは、複数の孔24を有している。各孔24は、円形であり、取付板23Aを貫通している。各孔24は取付受部である。本実施例において、取付板23Aは、9個の孔24(孔24[1]~[9])を有している。孔24[1]~[9]は、円Q1上に配置されている。円Q1の中心を軸線Lが通る。
【0028】
弁体30は、第1軸部31と、第2軸部32と、弁部33と、を有している。第1軸部31と第2軸部32とは、円柱形状を有している。第2軸部32の径は、第1軸部31の径より小さい。第2軸部32は、第1軸部31の上端部に同軸に連設されている。第1軸部31と第2軸部32との連設部分に、上方を向く円環状の平面である段部34が形成されている。弁部33は、上方から下方に向かうにしたがって径が小さくなる円錐形状を有している。弁部33は、第1軸部31の下端部に同軸に連設されている。弁部33の先端は、弁口17に配置される。弁部33と弁口17との間に可変絞り部が形成される。弁部33は、弁座18と向かい合って配置される。弁部33は、閉弁状態において弁座18に接する。
【0029】
駆動機構40は、弁体30を軸線L方向に移動させる。弁体30の移動によって弁口17が開閉する。駆動機構40は、ローター41と、弁軸ホルダー42と、ガイドブッシュ43と、ストッパ部材44と、固定具45と、を有している。
【0030】
ローター41は、円筒形状を有している。ローター41の外径は、キャン20の内径より若干小さい。ローター41は、キャン20の内側に配置される。ローター41は、弁本体10に対して回転可能である。ローター41の外周面には、複数のN極および複数のS極が形成されている。複数のN極および複数のS極は、軸線L方向に延在している。複数のN極および複数のS極は、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。本実施例において、ローター41は、N極を12個有し、S極を12個有している。互いに隣り合うN極とS極との間の角度は、15度である。
【0031】
図5は弁軸ホルダー42を示す。弁軸ホルダー42は、下端部が開口しかつ上端部が塞がれた円筒形状を有している。弁軸ホルダー42はローター41の嵌合孔41aに嵌合されている。弁軸ホルダー42は、ローター41と共に回転する。弁軸ホルダー42は、可動ストッパ42sを有している。可動ストッパ42sは、弁軸ホルダー42の外周面の下端部から径方向外方に突出する突部である。弁軸ホルダー42の上壁部42aには、軸孔42bが形成されている。軸孔42bには、弁体30の第2軸部32が軸線L方向に移動可能に配置される。弁軸ホルダー42の上壁部42aの下面にはワッシャー46が配置される。ワッシャー46と弁体30の段部34との間には閉弁ばね47が配置される。閉弁ばね47は、コイルばねであり、弁体30を弁座18に向けて押す。弁軸ホルダー42の内周面には、雌ねじ42cが形成されている。可動ストッパ42sは、ローター41に対して固定されている。
【0032】
図6はガイドブッシュ43を示す。ガイドブッシュ43は、基部43aと、支持部43bと、を有している。基部43aと支持部43bとは、円筒形状を有している。基部43aの外周面は、平面43dを有している。基部43aは本体部材11の嵌合穴11aに圧入され、平面43dが嵌合穴11aの平面11dと接する。これにより、本体部材11の中心軸とガイドブッシュ43の中心軸とが軸線L上で一致するとともに、ガイドブッシュ43が本体部材11に対して軸線L周りに正しく位置付けられる。支持部43bの外径は、基部43aの外径より小さい。支持部43bの内径は、基部43aの内径と同じである。支持部43bは、基部43aの上端部に同軸に連設されている。支持部43bの外周面には、雄ねじ43cが形成されている。雄ねじ43cは、弁軸ホルダー42の雌ねじ42cと螺合される。ガイドブッシュ43の内側には、弁体30の第1軸部31が配置される。ガイドブッシュ43は、弁体30を軸線L方向に移動可能に支持する。
【0033】
図7はストッパ部材44を示す。ストッパ部材44は、ストッパ本体44aを有している。ストッパ本体44aは、円筒形状を有している。ストッパ本体44aの内周面には、雌ねじ44cが形成されている。ストッパ本体44aは、固定ストッパ44sを有している。固定ストッパ44sは、ストッパ本体44aの外周面から径方向外方に突出する突部である。雌ねじ44cは、ストッパ本体44aがガイドブッシュ43の基部43aに当接するまで雄ねじ43cに螺合されている。これにより、ストッパ部材44は、ガイドブッシュ43に固定される。固定ストッパ44sは、弁本体10に対して固定されている。
【0034】
固定具45は、固定部45aと、フランジ部45bと、を有している。固定部45aは、段付きの円筒形状を有している。固定部45aの内側には、弁体30の第2軸部32が配置される。固定部45aは、第2軸部32に接合される。フランジ部45bは、固定部45aの下端部に連設されている。固定具45の外側には、復帰ばね48が配置される。復帰ばね48は、コイルばねである。
【0035】
ステーターユニット7は、ステーター60と、ハウジング70と、取付片80と、を有している。
【0036】
ステーター60は、円筒形状を有している。ステーター60は、A相ステーター61と、B相ステーター62と、を有している。
【0037】
A相ステーター61は、複数のクローポール型の極歯61a、61bを内周に有している。極歯61aの先端は下方に向いており、極歯61bの先端は上方に向いている。極歯61aと極歯61bとは、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。本実施例において、A相ステーター61は、極歯61aを12個有し、極歯61bを12個有している。互いに隣り合う極歯61aと極歯61bとの間の角度は、15度である。A相ステーター61のコイル61cが通電されると、極歯61aと極歯61bとは互いに異なる極性の磁極となる。
【0038】
B相ステーター62は、複数のクローポール型の極歯62a、62bを内周に有している。極歯62aの先端は下方に向いており、極歯62bの先端は上方に向いている。極歯62aと極歯62bとは、周方向に等角度間隔で交互に配置されている。本実施例において、B相ステーター62は、極歯62aを12個有し、極歯62bを12個有している。互いに隣り合う極歯62aと極歯62bとの間の角度は、15度である。B相ステーター62のコイル62cが通電されると、極歯62aと極歯62bとは互いに異なる極性の磁極となる。
【0039】
A相ステーター61は、B相ステーター62の上に同軸に配置されている。軸線L方向から見たときに互いに隣り合うA相ステーター61の極歯61aとB相ステーター62の極歯62aとの間の角度は、7.5度である。つまり、B相ステーター62は、極歯61aと極歯62aとが軸線L方向に並ぶ位置からA相ステーター61に対して軸線L周りに7.5度回転した位置にある。
図9Aに示すように、A相ステーター61のコイル61cは、端子A1、A2を有している。B相ステーター62のコイル62cは、端子B1、B2を有している。端子A1、A2および端子B1、B2は、図示しないモータードライバに接続されている。
【0040】
ステーター60の内側には、キャン20が配置される。ステーター60は、キャン20の内側に配置されたローター41とともにステッピングモーター66を構成する。本実施例において、ステッピングモーター66の励磁モードは、1-2相励磁である。ステッピングモーター66のステップ角θは、3.75度である。ステップ角θは、ステッピングモーター66における1パルスあたりの回転角度である。
【0041】
ステッピングモーター66にパルスP(P1~P8)が入力されることによりローター41が回転する。具体的には、ステッピングモーター66のステーター60にパルスPに応じた駆動電流が供給されることによりローター41が回転する。本明細書において、「ステッピングモーター66にパルスPが入力されること」は、「ステッピングモーター66のステーター60にパルスPに応じた駆動電流が供給されること」と同義である。
図9Bに、パルスP1~P8とステーター60に供給される駆動電流の状態(以下、「励磁パターン」という。)との対応の一例を示す。
図9Bにおいて、(+)は、端子A1から端子A2への駆動電流、または、端子B1から端子B2への駆動電流を供給することを示し、(-)は、端子A2から端子A1への駆動電流、または、端子B2から端子B1への駆動電流を供給することを示し、(0)は、駆動電流を供給しないことを示す。本実施例において、励磁パターンの数Mは8である。ステッピングモーター66には、
図9Bに示すパルスP1~P8が順番に入力される。
【0042】
パルスP1の入力に対応して、コイル61cに端子A1から端子A2への駆動電流が供給され(+)、コイル62cに駆動電流が供給されない(0)。
【0043】
パルスP2の入力に対応して、コイル61cに端子A1から端子A2への駆動電流が供給され(+)、コイル62cに端子B2から端子B1への駆動電流が供給される(-)。
【0044】
パルスP3の入力に対応して、コイル61cに駆動電流が供給されず(0)、コイル62cに端子B2から端子B1への駆動電流が供給される(-)。
【0045】
パルスP4の入力に対応して、コイル61cに端子A2から端子A1への駆動電流が供給され(-)、コイル62cに端子B2から端子B1への駆動電流が供給される(-)。
【0046】
パルスP5の入力に対応して、コイル61cに端子A2から端子A1への駆動電流が供給され(-)、コイル62cに駆動電流が供給されない(0)。
【0047】
パルスP6の入力に対応して、コイル61cに端子A2から端子A1への駆動電流が供給され(-)、コイル62cに端子B1から端子B2への駆動電流が供給される(+)。
【0048】
パルスP7の入力に対応して、コイル61cに駆動電流が供給されず(0)、コイル62cに端子B1から端子B2への駆動電流が供給される(+)。
【0049】
パルスP8の入力に対応して、コイル61cに端子A1から端子A2への駆動電流が供給され(+)、コイル62cに端子B1から端子B2への駆動電流が供給される(+)。
【0050】
ローター41を一方向(
図8において時計方向)に回転させる場合、ステッピングモーター66にパルスPを降順(パルスP8~P1の順番)で循環的に入力する。ローター41が一方向に回転すると、弁軸ホルダー42の雌ねじ42cとガイドブッシュ43の雄ねじ43cとのねじ送り作用によってローター41が下方に移動する。ローター41が、閉弁ばね47を介して弁体30を下方に押す。弁体30が下方に移動して弁部33が弁座18に接する。このときのローター41の位置は、閉弁位置Rcである。この状態からローター41を一方向にさらに回転させると、閉弁ばね47が圧縮されてローター41が下方にさらに移動する。弁体30は下方に移動しない。そして、弁軸ホルダー42の可動ストッパ42sがストッパ部材44の固定ストッパ44sに接すると、ローター41の一方向への回転が規制される。このときのローター41の位置は、基準位置Rxである。
【0051】
ローター41を一方向と反対の他方向(
図8において反時計方向)に回転させる場合、ステッピングモーター66にパルスPを昇順(パルスP1~P8の順番)で循環的に入力する。ローター41が他方向に回転すると、弁軸ホルダー42の雌ねじ42cとガイドブッシュ43の雄ねじ43cとのねじ送り作用によってローター41が上方に移動する。ローター41と共に弁軸ホルダー42が上方に移動して、弁軸ホルダー42が固定具45を上方に押す。固定具45とともに弁体30が上方に移動して、弁体30が弁座18から離れる。所定の流量測定環境において弁口17における流体の流量(弁口17の開度)が所定の設定値であるときのローター41の位置を開弁位置Roとする。設定値は、電動弁1の構成や用途などに応じて適宜設定される。
【0052】
ハウジング70は、合成樹脂製である。ハウジング70は、射出成形されている。ハウジング70は、ステーター60を収容している。ハウジング70は、周壁部71と、上壁部72と、を有している。
【0053】
周壁部71は、円筒形状を有している。周壁部71には、ステーター60が埋め込まれている。上壁部72は、周壁部71の上端部に連設されている。周壁部71の内周面、上壁部72の内面およびステーター60の内周面は、ステーターユニット7の内側空間74を形成している。内側空間74にはキャン20が配置される。
【0054】
取付片80は、長方形の金属板をクランク形状に折り曲げたものである。取付片80の一端部80aは、周壁部71の下端部に埋め込まれた導通部材76にかしめられている。取付片80は、導通部材76に溶接されていてもよい。導通部材76は、B相ステーター62のヨークに電気的に接続されている。取付片80の他端部80bには、上方に突出する1つの凸部81が形成されている。凸部81は、取付板23Aの下面23aに押し付けられる。凸部81は取付部である。
【0055】
凸部81は、取付板23Aの孔24[1]~[9]のいずれにも配置可能である。具体的には、ステーターユニット7を軸線L周りに平面視で時計方向に回転させたとき、凸部81の先端が孔24[1]~[9]に順に嵌まる。凸部81の先端が孔24[1]~[9]のいずれか1つの孔24に嵌まると凸部81が当該1つの孔24に留まり、ステーターユニット7が弁本体アセンブリ5Aに対して位置決めされる。電動弁1は、ステーターユニット7の弁本体アセンブリ5Aへの取付位置(以下、「ステーターユニット取付位置」という。)を複数有しており、複数のステーターユニット取付位置は、孔24[1]~[9]に対応している。各ステーターユニット取付位置に、ステーターユニット7を取り付けることができる。
【0056】
本実施例において、
1:孔24[1]の軸線L周りの角度α[1]を0度としたとき、
2:孔24[2]の軸線L周りの角度α[2]は一方向に3.75度であり、
3:孔24[3]の軸線L周りの角度α[3]は一方向に7.5度であり、
4:孔24[4]の軸線L周りの角度α[4]は一方向に11.25度であり、
5:孔24[5]の軸線L周りの角度α[5]は一方向に15度であり、
6:孔24[6]の軸線L周りの角度α[6]は一方向に18.75度であり、
7:孔24[7]の軸線L周りの角度α[7]は一方向に22.5度であり、
8:孔24[8]の軸線L周りの角度α[8]は一方向に26.25度であり、
9:孔24[9]の軸線L周りの角度α[9]は一方向に30度である。
孔24[1]~[9]まで、軸線L周りの角度が一方向に3.75度ずつ増える。
【0057】
孔24[1]~[9]において、j番目(j=1~8)の孔24[j]とj+1番目の孔24[j+1]との間の軸線L周りの角度dα[j]は、3.75度である。孔24[j]に凸部81が配置されたステーターユニット7と孔24[j+1]に凸部81が配置されたステーターユニット7との間の軸線L周りの角度は、角度dα[j]である。
【0058】
本実施例において、互いに隣接する任意の2つの孔24の間の軸線L周りの角度dα[j]は、3.75度である。なお、角度dα[j]は、ステップ角θの倍数でありかつ以下の式(1)を満たす角度であればよく、各角度dα[j]が互いに異なる角度であってもよい。Mは励磁パターンの数である。Uは任意の整数である。
(1) dα[j] ≠ M×θ×U
【0059】
k番目(k=1~9)の孔24[k]の軸線L周りの角度α[k]は、以下の式(2A)で示される。ステッピングモーター66のステップ角θは3.75度であり、励磁パターンの数Mは8であり、整数Nは0である。
(2A) α[k]=(M×N+1)×(k-1)×θ
=(k-1)×3.75
【0060】
電動弁1において、弁本体10(本体部材11、接続部材13)、弁口17、キャン20、弁体30、ローター41、弁軸ホルダー42、ガイドブッシュ43、ステーター60(A相ステーター61、B相ステーター62)は、それぞれの中心軸が軸線Lに一致する。また、取付板23Aの円弧中心も軸線Lに一致する。
【0061】
次に、電動弁1の初期化動作の一例およびステーターユニット取付位置の調整の一例について説明する。
【0062】
電動弁1は、図示しない電動弁制御装置によって制御される。電動弁制御装置は、電動弁1の初期化動作において、ステッピングモーター66にパルスP1~P8を降順に入力してローターを一方向に回転させ、ローター41を基準位置Rxに位置付ける。続いて、電動弁制御装置は、ステッピングモーター66にパルスP1~P8を昇順で入力してローター41を他方向に回転させ、ローター41を開弁位置Roに位置付ける。このとき、電動弁制御装置は、パルスP1からパルスPの入力を開始する。パルスP1は、特定の励磁パターンに対応するパルスPである。ローター41が基準位置Rxから開弁位置Roまで回転するために必要なパルス数(開弁パルス数C)の基準数はCs(例えば、Cs=50)である。
【0063】
図10は、取付片80の凸部81を取付板23Aの孔24[5]に留めた場合に、ステーターユニット7が弁本体アセンブリ5Aに対して軸線L周りについて正しい位置に取り付けられる構成を示している。この構成において、ローター41が基準位置Rxにあるとき、ローター41の磁極が、A相ステーター61の極歯61a、61bと径方向に向かい合う。ローター41とステーター60(A相ステーター61、B相ステーター62)との位置関係について、ローター41の1つの磁極(磁極41s)、A相ステーター61の1つの極歯(極歯61s)、および、B相ステーター62の1つの極歯(極歯62s)に注目して説明する。位置関係を把握しやすくするため、磁極41s、極歯61sおよび極歯62sに黒丸を付している。
【0064】
図10に示す構成において、ステッピングモーター66にパルスP1が入力されると、磁極41sが極歯61sと引き合う。これにより、
図11に示すように、磁極41sが極歯61sと径方向に向かい合う。このとき、可動ストッパ42sが固定ストッパ44sに接しており、ローター41が基準位置Rxにある。続いて、ステッピングモーター66にパルスP2が入力されると、磁極41sが極歯61sおよび極歯62sと引き合う。これにより、
図12に示すように、ローター41が
図11に示す基準位置Rxから他方向にステップ角θだけ回転する。続いて、ステッピングモーター66にパルスP3が入力されると、磁極41sが極歯62sと引き合う。これにより、
図13に示すように、ローター41が
図12に示す位置から他方向にステップ角θだけ回転し、磁極41sが極歯62sと径方向に向かい合う。以降、パルスPが昇順で循環的に入力されると、パルスPの入力に応じてローター41が他方向にステップ角θずつ回転する。そして、基準数CsのパルスPが入力されたあと、ローター41が開弁位置Roに正しく位置付けられる。
【0065】
図14は、取付片80の凸部81を取付板23Aの孔24[5]に留めた場合に、ステーターユニット7が弁本体アセンブリ5Aに対して軸線L周りについて正しい位置から一方向にステップ角θだけ回転した位置に取り付けられる構成を示している。この構成において、ローター41が基準位置Rxにあるとき、ローター41の磁極41sは、当該磁極41sがA相ステーター61の極歯61sと径方向に向かい合う位置から他方向にステップ角θだけ回転した位置にある。
【0066】
図14に示す構成において、ステッピングモーター66にパルスP1が入力されると、磁極41sが極歯61sと引き合う。しかしながら、可動ストッパ42sが固定ストッパ44sに接して、ローター41の一方向への回転が規制される。そのため、
図15に示すように、ローター41は基準位置Rxに位置付けられるが、磁極41sが極歯61sと径方向に向かい合わない。続いて、ステッピングモーター66にパルスP2が入力されると、磁極41sが極歯61sおよび極歯62sと引き合う。このとき、ローター41は回転せず、
図16に示すように、ローター41の位置は基準位置Rxのままである。続いて、ステッピングモーター66にパルスP3が入力されると、磁極41sが極歯62sと引き合う。これにより、
図17に示すように、ローター41が基準位置Rxから他方向にステップ角θだけ回転し、磁極41sが極歯62sと径方向に向かい合う。以降、パルスPが昇順で循環的に入力されると、パルスPの入力に応じてローター41が他方向にステップ角θずつ回転する。そして、基準数CsのパルスPが入力されたあと、ローター41が、基準位置Rxからの軸線L周りの角度が開弁位置Roにおけるその角度よりもステップ角θだけ少ない位置に位置付けられる。つまり、この構成の開弁パルス数Cは、基準数Csに1を加えた数である。そこで、電動弁1において、凸部81を孔24[5]に代えて孔24[4]に留める。このようにすることで、ステッピングモーター66にパルスP1を入力したときに、ローター41が基準位置Rxにありかつローター41の磁極がA相ステーター61の極歯61a、61bと径方向に向かい合うようにすることができる。これにより、ステッピングモーター66に基準数CsのパルスPが入力されたあと、ローター41が開弁位置Roに正しく位置付けられる。
【0067】
図18は、取付片80の凸部81を取付板23Aの孔24[5]に留めた場合に、ステーターユニット7が弁本体アセンブリ5Aに対して軸線L周りについて正しい位置から他方向にステップ角θだけ回転した位置に取り付けられる構成を示している。この構成において、ローター41が基準位置Rxにあるとき、ローター41の磁極41sは、当該磁極41sがA相ステーター61の極歯61sと径方向に向かい合う位置から一方向にステップ角θだけ回転した位置にある。
【0068】
図18に示す構成において、ステッピングモーター66にパルスP1が入力されると、磁極41sが極歯61sと引き合う。これにより、
図19に示すように、ローター41が
図18に示す基準位置Rxから他方向にステップ角θだけ回転した位置に位置付けられ、磁極41sが極歯61sと径方向に向かい合う。続いて、ステッピングモーター66にパルスP2が入力されると、磁極41sが極歯61sおよび極歯62sと引き合う。これにより、
図20に示すように、ローター41が
図19に示す位置から他方向にステップ角θだけ回転する。続いて、ステッピングモーター66にパルスP[3]が入力されると、磁極41sが極歯62sと引き合う。これにより、
図21に示すように、ローター41が
図20に示す位置から他方向にステップ角θだけ回転し、磁極41sが極歯62sと径方向に向かい合う。以降、パルスPが昇順で循環的に入力されると、パルスPの入力に応じてローター41が他方向にステップ角θずつ回転する。そして、基準数CsのパルスPが入力されたあと、ローター41が、基準位置Rxからの軸線L周りの角度が開弁位置Roにおけるその角度よりもステップ角θだけ多い位置に位置付けられる。つまり、この構成の開弁パルス数Cは、基準数Csから1を引いた数である。そこで、電動弁1において、凸部81を孔24[5]に代えて孔24[6]に留める。このようにすることで、ステッピングモーター66にパルスP1を入力したときに、ローター41が基準位置Rxにありかつローター41の磁極がA相ステーター61の極歯61a、61bと径方向に向かい合うようにすることができる。これにより、ステッピングモーター66に基準数CsのパルスPが入力されたあと、ローター41が開弁位置Roに正しく位置付けられる。
【0069】
電動弁1は、ステーターユニット7を取り付けるステーターユニット取付位置を変えることにより、開弁パルス数Cを増減できる。これにより、開弁パルス数Cが基準数Csになるように調整することができる。
【0070】
図14~
図17は、開弁パルス数Cが基準数Csよりも1多い構成を示し、
図18~
図21は、開弁パルス数Cが基準数Csよりも1少ない構成を示す。これら以外にも、開弁パルス数Cが基準数Csよりも2~4少ない構成や2~4多い構成でも、上記と同様に凸部81を留める孔24を変えることにより、ローター41が開弁位置Roに正しく位置付けられるよう調整することができる。また、電動弁1は、少なくとも励磁パターンの数Mと同じ数の孔24を有していることが好ましい。なお、孔24は2つ以上あればよい。例えば、部品精度および組立精度を高めることで開弁パルス数Cのばらつきを±1以内に抑えることができるのであれば、孔24は3つで足りる。
【0071】
以上説明したように、本実施例に係る電動弁1は、弁本体アセンブリ5Aと、弁本体アセンブリ5Aに取り付けられるステーターユニット7と、を有する。弁本体アセンブリ5Aが、弁座18を有する弁本体10と、弁本体10に対して回転可能なローター41と、弁座18と向かい合い、ローター41が一方向に回転すると弁座18に向けて移動する弁体30と、ローター41が基準位置Rxにあるときにローター41の一方向への回転を規制するストッパ機構49と、を有する。ステーターユニット7が、ローター41と同軸に配置され、ローター41とともにステッピングモーター66を構成するステーター60を有する。電動弁1が、ステーターユニット7の弁本体アセンブリ5Aへの取付位置(以下、「ステーターユニット取付位置」という。)を複数有する。ステッピングモーター66のステップ角をθとし、ステッピングモーター66の励磁パターンの数をMとし、ステーターユニット取付位置の数をKとしたとき、j番目(j=1、2、・・・、K-1)のステーターユニット取付位置とj+1番目のステーターユニット取付位置との間の軸線L周りの角度dα[j]が、ステップ角θの倍数であり、上記式(1)を満たす。
【0072】
このようにしたことから、一のステーターユニット取付位置と、当該一のステーターユニット取付位置に隣接する他のステーターユニット取付位置と、の間の軸線L周りの角度dαが、励磁パターンの数Mにステップ角θを乗じた数の倍数になってしまうことを回避できる。そのため、一のステーターユニット取付位置に代えて他のステーターユニット取付位置にステーターユニット7を取り付けることで、ステッピングモーター66に特定の励磁パターンに対応するパルスPが入力されたときのローター41の位置をステップ角θの倍数だけ変えることができる。ステップ角θは、ステッピングモーター66に入力されるパルスPに対応している。これにより、電動弁1において、開弁パルス数Cが基準数Csより多かったり少なかったりした場合に、一のステーターユニット取付位置に代えて他のステーターユニット取付位置にステーターユニット7を取り付けることで開弁パルス数Cを調整することができる。したがって、複数の電動弁1における開弁パルス数Cのばらつきを低減できる。
【0073】
また、k番目(k=1、2、・・・、K)のステーターユニット取付位置の軸線L周りの角度α[k]が、上記式(2A)で示される。
【0074】
このようにしたことから、ステーターユニット7を取り付けるステーターユニット取付位置を変えることによって弁本体アセンブリ5Aに対するステーター60の軸線L周りの角度をステップ角θずつ変えることができる。そのため、電動弁1において、開弁パルス数Cが基準数Csより多かったり少なかったりした場合に、現在のステーターユニット取付位置に代えて別のステーターユニット取付位置にステーターユニット7を取り付けることで開弁パルス数Cを調整することができる。したがって、複数の電動弁1における開弁パルス数Cのばらつきを低減できる。
【0075】
また、弁本体アセンブリ5Aが、複数の前記ステーターユニット取付位置に対応する複数の孔24を有する。ステーターユニット7が、複数の孔24のいずれにも配置可能な1つの凸部81を有する。凸部81が複数の孔24のうちの1つの孔24に留まることによって、ステーターユニット7が当該1つの孔24に対応するステーターユニット取付位置に取り付けられる。このようにすることで、比較的簡易な構成によって、ステーターユニット7を弁本体アセンブリ5Aに取り付けることができる。
【0076】
次に、第1実施例に係る弁本体アセンブリ5Aの変形例について、
図22~
図25を参照して説明する。
【0077】
図22、
図23に第1変形例に係る弁本体アセンブリ5Bを示す。弁本体アセンブリ5Bは、取付板23Aに代えて、複数の孔25を有する取付板23Bを有すること以外は、弁本体アセンブリ5Aと同一の構成を有する。本明細書において、「同一の構成」は、「同一の構成」および「実質的に同一の構成」の意味を含む。
【0078】
取付板23Bは、円弧形状を有している。取付板23Bの円弧形状の中心角は約320度である。取付板23Bの内縁は接続部材13の外周縁に一体的に連なっている。接続部材13と取付板23Bとは1つの部品を構成している。取付板23Bの円弧中心および接続部材13の中心を軸線Lが通る。取付板23Bは、接続部材13から径方向外方に突出している。取付板23Bは、複数の孔25を有している。各孔25は、円形であり、取付板23Bを貫通している。各孔25は取付受部である。取付板23Bは、8個の孔25(孔25[1]~[8])を有している。孔25[1]~[8]は、円Q1上に配置されている。凸部81は、孔25[1]~[8]のいずれにも配置可能である。孔25[1]~[8]は複数のステーターユニット取付位置に対応する。
【0079】
本変形例において、
1:孔25[1]の軸線L周りの角度α[1]を0度としたとき、
2:孔25[2]の軸線L周りの角度α[2]は一方向に33.75度であり、
3:孔25[3]の軸線L周りの角度α[3]は一方向に67.5度であり、
4:孔25[4]の軸線L周りの角度α[4]は一方向に101.25度であり、
5:孔25[5]の軸線L周りの角度α[5]は一方向に135度であり、
6:孔25[6]の軸線L周りの角度α[6]は一方向に168.75度であり、
7:孔25[7]の軸線L周りの角度α[7]は一方向に202.5度であり、
8:孔25[8]の軸線L周りの角度α[8]は一方向に236.25度である。
孔25[1]~[8]まで、軸線L周りの角度が一方向に33.75度ずつ増える。
【0080】
孔25[1]~[8]において、j番目(j=1~7)の孔25[j]とj+1番目の孔25[j+1]との間の軸線L周りの角度dα[j]は、33.75度である。孔25[j]に凸部81が配置されたステーターユニット7と孔25[j+1]に凸部81が配置されたステーターユニット7との間の軸線L周りの角度は、角度dα[j]である。
【0081】
本実施例において、互いに隣接する任意の2つの孔25の間の軸線L周りの角度dα[j]は、33.75度である。なお、角度dα[j]は、ステップ角θの倍数でありかつ上記式(1)を満たす角度であればよく、各角度dα[j]が互いに異なる角度であってもよい。
【0082】
k番目(k=1~8)の孔25[k]の軸線L周りの角度α[k]は、以下の式(2B)で示される。ステッピングモーター66のステップ角θは3.75度であり、励磁パターンの数Mは8であり、整数Nは1である。
(2B) α[k]=(M×N+1)×(k-1)×θ
=(k-1)×33.75
【0083】
図24、
図25に第2変形例に係る弁本体アセンブリ5Cを示す。弁本体アセンブリ5Cは、取付板23Aに代えて、複数の孔26を有する取付板23Cを有すること以外は、弁本体アセンブリ5Aと同一の構成を有する。
【0084】
取付板23Cは、円弧形状を有している。取付板23Cの円弧形状の中心角は約320度である。取付板23Cの内縁は接続部材13の外周縁に一体的に連なっている。接続部材13と取付板23Cとは1つの部品を構成している。取付板23Cの円弧中心および接続部材13の中心を軸線Lが通る。取付板23Cは、接続部材13から径方向外方に突出している。取付板23Cは、複数の孔26を有している。各孔26は、円形であり、取付板23Cを貫通している。各孔26は取付受部である。取付板23Cは、8個の孔26(孔26[1]~[8])を有している。孔26[1]~[8]は、円Q1上に配置されている。凸部81は、孔26[1]~[8]のいずれにも配置可能である。孔26[1]~[8]は複数のステーターユニット取付位置に対応する。
【0085】
本変形例において、
1:孔26[1]の軸線L周りの角度α[1]を0度としたとき、
2:孔26[2]の軸線L周りの角度α[2]は一方向に93.75度であり、
3:孔26[3]の軸線L周りの角度α[3]は一方向に187.5度であり、
4:孔26[4]の軸線L周りの角度α[4]は一方向に281.25度であり、
5:孔26[5]の軸線L周りの角度α[5]は一方向に375度であり、
6:孔26[6]の軸線L周りの角度α[6]は一方向に468.75度であり、
7:孔26[7]の軸線L周りの角度α[7]は一方向に562.5度であり、
8:孔26[8]の軸線L周りの角度α[8]は一方向に656.25度である。
孔26[1]~[8]まで、軸線L周りの角度が一方向に93.75度ずつ増える。
【0086】
孔26[1]~[8]において、j番目(j=1~7)の孔26[j]とj+1番目の孔26[j+1]との間の軸線L周りの角度dα[j]は、93.75度である。孔26[j]に凸部81が配置されたステーターユニット7と孔26[j+1]に凸部81が配置されたステーターユニット7との間の軸線L周りの角度は、角度dα[j]である。
【0087】
本実施例において、互いに隣接する任意の2つの孔26の間の軸線L周りの角度dα[j]は、93.75度である。なお、角度dα[j]は、ステップ角θの倍数でありかつ上記式(1)を満たす角度であればよく、各角度dα[j]が互いに異なる角度であってもよい。
【0088】
k番目(k=1~8)の孔26[k]の軸線L周りの角度α[k]は、以下の式(2C)で示される。ステッピングモーター66のステップ角θは3.75度であり、励磁パターンの数Mは8であり、整数Nは3である。
(2C) α[k]=(M×N+1)×(k-1)×θ
=(k-1)×93.75
【0089】
弁本体アセンブリ5B、5Cを有する電動弁においても、上述した電動弁1と同様の作用効果を奏する。弁本体アセンブリ5B、5Cを有する電動弁は、ステーターユニット7を取り付けるステーターユニット取付位置を変えることにより、開弁パルス数Cを増減できる。これにより、電動弁は、開弁パルス数Cが基準数Csになるように調整することができる。
【0090】
(第2実施例)
以下、本発明の第2実施例に係る電動弁について、
図26~
図28を参照して説明する。
【0091】
図26は、本発明の第2実施例に係る電動弁の断面図である。
図27は、
図26の電動弁の一部(主にキャンの下端部および取付片)を拡大した断面図である。
図28は、
図26の電動弁が有する弁本体アセンブリの平面図である。以下の説明において、電動弁1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0092】
図26に示すように、第2実施例に係る電動弁2は、弁本体アセンブリ5Dと、ステーターユニット7Dと、を有している。
【0093】
弁本体アセンブリ5Dは、(a)取付板23Aを有していないこと、および、(b)キャン20が複数の凸部27を有していること、以外は、上述した弁本体アセンブリ5Aと同一の構成を有している。
【0094】
ステーターユニット7Dは、(c)クランク形状の取付片80に代えて、L字形状の取付片85を有すること、以外は、上述したステーターユニット7と同一の構成を有している。
【0095】
凸部27は、キャン20の下端部に配置されており、径方向外方に突出している。凸部27は取付受部である。本実施例において、キャン20は、8個の凸部27(凸部27[1]~[8])を有している。
【0096】
取付片85は、長方形の金属板をL字形状に折り曲げたものである。取付片85の一端部85aは、導通部材76にかしめられている。取付片85の他端部85bは、キャン20と平行に配置されている。取付片85の他端部85bには、1つの孔86が形成されている。孔86は、円形であり、取付片85を貫通している。孔86は取付部である。
【0097】
孔86は、キャン20の凸部27[1]~[8]のいずれにも配置可能である。具体的には、ステーターユニット7Dを軸線L周りに平面視で時計方向に回転させたとき、孔86に凸部27[1]~[8]の先端が順に嵌まる。孔86に凸部27[1]~[8]のいずれか1つの凸部27の先端が嵌まると当該1つの凸部27が孔86に留まり、ステーターユニット7Dが弁本体アセンブリ5Dに対して位置決めされる。電動弁2は、ステーターユニット7Dの弁本体アセンブリ5Dへの取付位置(以下、「ステーターユニット取付位置」という。)を複数有しており、複数のステーターユニット取付位置は、凸部27[1]~[8]に対応している。
【0098】
本実施例において、
1:凸部27[1]の軸線L周りの角度α[1]を0度としたとき、
2:凸部27[2]の軸線L周りの角度α[2]は一方向に33.75度であり、
3:凸部27[3]の軸線L周りの角度α[3]は一方向に67.5度であり、
4:凸部27[4]の軸線L周りの角度α[4]は一方向に101.25度であり、
5:凸部27[5]の軸線L周りの角度α[5]は一方向に135度であり、
6:凸部27[6]の軸線L周りの角度α[6]は一方向に168.75度であり、
7:凸部27[7]の軸線L周りの角度α[7]は一方向に202.5度であり、
8:凸部27[8]の軸線L周りの角度α[8]は一方向に236.25度である。
凸部27[1]~[8]まで、軸線L周りの角度が一方向に33.75度ずつ増える。
【0099】
凸部27[1]~[8]において、j番目(j=1~7)の凸部27[j]とj+1番目の凸部27[j+1]との間の軸線L周りの角度dα[j]は、33.75度である。凸部27[j]に孔86が配置されたステーターユニット7Dと凸部27[j+1]に孔86が配置されたステーターユニット7Dとの間の軸線L周りの角度は、角度dα[j]である。
【0100】
本実施例において、互いに隣接する任意の2つの凸部27の間の軸線L周りの角度dα[j]は、33.75度である。なお、角度dα[j]は、ステップ角θの倍数でありかつ上記式(1)を満たす角度であればよく、各角度dα[j]が互いに異なる角度であってもよい。
【0101】
k番目(k=1~8)の凸部27[k]の軸線L周りの角度α[k]は、上記式(2B)で示される。
【0102】
第2実施例に係る電動弁2においても、上述した電動弁1と同様の作用効果を奏する。電動弁2は、ステーターユニット7Dを取り付けるステーターユニット取付位置を変えることにより、開弁パルス数Cを増減できる。これにより、電動弁2は、開弁パルス数Cが基準数Csになるように調整することができる。
【0103】
なお、本実施例に係る電動弁2は、弁本体アセンブリ5Dに代えて、
図29に示す弁本体アセンブリ5Eを有していてもよい。弁本体アセンブリ5Eは、キャン20の下端部に複数の凹部28を有している。複数の凹部28は、複数のステーターユニット取付位置に対応している。そして、電動弁2は、複数の凹部28のいずれにも配置可能な1つの凸部を有する図示しないステーターユニットを有している。この構成において、ステッピングモーター66のステップ角をθとし、励磁パターンの数をMとしたとき、k番目の凹部28[k]の軸線L周りの角度α[k]は、以下の式(2)で示される。ただし、Nは整数である。
(2) α[k]=(M×N+1)×(k-1)×θ
【0104】
または、電動弁2は、弁本体アセンブリ5Dに代えて、
図30に示す弁本体アセンブリ5Fを有していてもよい。弁本体アセンブリ5Fは、キャン20の上端部に複数の凹部29を有している。複数の凹部29は、複数のステーターユニット取付位置に対応している。そして、電動弁2は、複数の凹部29のいずれにも配置可能な1つの凸部を有する図示しないステーターユニットを有している。この構成において、ステッピングモーター66のステップ角をθとし、励磁パターンの数をMとしたとき、k番目の凹部29[k]の軸線L周りの角度α[k]は、上記式(2)で示される。
【0105】
(第3実施例)
以下、本発明の第3実施例に係る電動弁について、
図31~
図33を参照して説明する。
【0106】
図31は、本発明の第3実施例に係る電動弁の断面図である。
図32は、
図31の電動弁が有する弁本体の平面図である。
図33は、
図31の電動弁が有するローターユニットの断面図である。以下の説明において、電動弁1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0107】
図31に示すように、第3実施例に係る電動弁3は、弁本体110と、ローターユニット106と、ステーターユニット107と、ねじ部材191と、を有している。弁本体110とローターユニット106とで、弁本体アセンブリ105を構成する。
【0108】
弁本体110は、アルミニウム合金などの金属製である。弁本体110は、直方体形状を有している。弁本体110の上面110aには、取付穴114が形成されている。取付穴114の内周面には、雌ねじ114cが形成されている。また、弁本体110は、流路115、116と、を有している。流路115、116は、取付穴114を介して接続されている。
【0109】
図32に示すように、弁本体110の上面110aには、複数の雌ねじ穴111が形成されている。各雌ねじ穴111の内周面には雌ねじが形成されている。本実施例において、弁本体110は、8個の雌ねじ穴111(雌ねじ穴111[1]~[8])を有している。雌ねじ穴111[1]~[8]は、円Q3上に配置されている。円Q3の中心を軸線Lが通る。
【0110】
ローターユニット106は、キャン20と、弁体30と、駆動機構40と、取付部材150と、弁座部材155と、を有している。
【0111】
取付部材150は、円筒形状を有している。取付部材150の外周面の下部には雄ねじ150cが形成されている。取付部材150の雄ねじ150cは、弁本体110の取付穴114の雌ねじ114cに螺合される。取付部材150は、弁本体110の取付穴114の箇所にねじ構造で取り付けられている。取付部材150の上部は、弁本体110の上面110aから突出している。取付部材150の上部に、キャン20の下端部が接合されている。
【0112】
弁座部材155は、円筒形状を有している。弁座部材155は、弁室156を有している。また、弁座部材155は、弁口157と、弁口157を囲む弁座158と、を有している。弁座部材155は取付部材150に上方から下方に向けて圧入されている。弁座部材155の上部が取付部材150に保持されている。弁座部材155の上部には、ガイドブッシュ43が圧入されている。弁座部材155の下部は、弁本体110の取付穴114に配置されている。弁座部材155は、弁室156と取付穴114とを接続する横孔159を有している。弁室156は、横孔159および取付穴114を介して流路115と接続されている。また、弁室156は、弁口157を介して流路116と接続されている。弁体30の弁部33の先端は、弁口157に配置される。弁部33と弁口157との間に可変絞り部が形成される。弁部33は、弁座158と向かい合って配置される。弁部33は、閉弁状態において弁座158に接する。取付部材150の中心軸および弁座部材155の中心軸は、軸線Lに一致する。
【0113】
ステーターユニット107は、ステーター60と、ハウジング170と、取付片180と、を有している。
【0114】
ハウジング170は、合成樹脂製である。ハウジング170は、射出成形されている。ハウジング170は、ステーター60を収容している。ハウジング170は、円筒形状の周壁部171を有している。周壁部171には、ステーター60が埋め込まれている。
【0115】
取付片180は、長方形の金属板をクランク形状に折り曲げたものである。取付片180の一端部180aは、周壁部171の下端部に埋め込まれた導通部材176にかしめられている。取付片180の他端部180bは、弁本体110の上面110aと平行である。他端部180bは、上面110aと接している。他端部180bには、1つの孔181が形成されている。孔181は、円形であり、取付片180を貫通している。孔181は、切り欠きを通じて取付片180の外部と通じた形状であってもよい。当該形状も貫通孔に含まれる。
【0116】
孔181は、弁本体110の雌ねじ穴111[1]~[8]のいずれにも配置可能である。具体的には、ステーターユニット107を軸線L周りに平面視で時計方向に回転させたとき、孔181の位置が雌ねじ穴111[1]~[8]の位置に順に一致する。ねじ部材191が孔181に通されかつ雌ねじ穴111[1]~[8]のいずれか1つの雌ねじ穴111に螺合されると、取付片180が弁本体110に固定され、ステーターユニット107が弁本体110に対して位置決めされる。電動弁3は、ステーターユニット107の弁本体110への取付位置(以下、「ステーターユニット取付位置」という。)を複数有しており、複数のステーターユニット取付位置は、雌ねじ穴111[1]~[8]に対応している。
【0117】
本実施例において、
1:雌ねじ穴111[1]の軸線L周りの角度α[1]を0度としたとき、
2:雌ねじ穴111[2]の軸線L周りの角度α[2]は一方向に33.75度であり、
3:雌ねじ穴111[3]の軸線L周りの角度α[3]は一方向に67.5度であり、
4:雌ねじ穴111[4]の軸線L周りの角度α[4]は一方向に101.25度であり、
5:雌ねじ穴111[5]の軸線L周りの角度α[5]は一方向に135度であり、
6:雌ねじ穴111[6]の軸線L周りの角度α[6]は一方向に168.75度であり、
7:雌ねじ穴111[7]の軸線L周りの角度α[7]は一方向に202.5度であり、
8:雌ねじ穴111[8]の軸線L周りの角度α[8]は一方向に236.25度である。
雌ねじ穴111[1]~[8]まで、軸線L周りの角度が一方向に33.75度ずつ増える。
【0118】
雌ねじ穴111[1]~[8]において、j番目(j=1~8)の雌ねじ穴111[j]とj+1番目の雌ねじ穴111[j+1]との間の軸線L周りの角度dα[j]は、33.75度である。雌ねじ穴111[j]に孔181が配置されたステーターユニット107と雌ねじ穴111[j+1]に孔181が配置されたステーターユニット107との間の軸線L周りの角度は、角度dα[j]である。
【0119】
本実施例において、互いに隣接する任意の2つの雌ねじ穴111の間の軸線L周りの角度dα[j]は、33.75度である。なお、角度dα[j]は、ステップ角θの倍数でありかつ上記式(1)を満たす角度であればよく、各角度dα[j]が互いに異なる角度であってもよい。
【0120】
k番目(k=1~8)の雌ねじ穴111[k]の軸線L周りの角度α[k]は、上記式(2B)で示される。
【0121】
第3実施例に係る電動弁3においても、上述した電動弁1と同様の作用効果を奏する。電動弁3は、ステーターユニット107を取り付けるステーターユニット取付位置を変えることにより、開弁パルス数Cを増減できる。これにより、電動弁3は、開弁パルス数Cが基準数Csになるように調整することができる。
【0122】
また、電動弁3が、雄ねじを有するねじ部材191を有する。弁本体アセンブリ105が、複数のステーターユニット取付位置に対応する複数の雌ねじ穴111を有する。ステーターユニット107が、複数の雌ねじ穴111のいずれにも配置可能な1つの孔181を有する。ねじ部材191が孔181に通されかつ複数の雌ねじ穴111のうちの1つの雌ねじ穴111に螺合されることによって、ステーターユニット107が当該1つの雌ねじ穴111に対応するステーターユニット取付位置に取り付けられる。このようにすることで、比較的簡易な構成によって、ステーターユニット107を弁本体アセンブリ105に取り付けることができる。
【0123】
(第4実施例)
以下、本発明の第4実施例に係る電動弁について、
図34~
図36を参照して説明する。
【0124】
図34は、本発明の第4実施例に係る電動弁の断面図である。
図35は、
図34の電動弁の正面図である。
図36は、
図34の電動弁の平面図である。以下の説明において、電動弁1、3と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0125】
図34~
図36に示すように、第4実施例に係る電動弁4は、弁本体110Eと、ローターユニット106と、ステーターユニット107Eと、スペーサー187と、ねじ部材192と、を有している。弁本体110Eとローターユニット106とスペーサー187とで、弁本体アセンブリ105Eを構成する。
【0126】
弁本体110Eは、複数の雌ねじ穴111に代えて、正面110bに1つの雌ねじ穴112が形成されていること以外は、上述した弁本体110と同一の構成を有している。
【0127】
ステーターユニット107Eは、クランク形状の取付片180に代えて、L字形状の取付片185を有すること以外は、上述したステーターユニット107と同一の構成を有している。
【0128】
取付片185の一端部185aは、周壁部171の下端部に埋め込まれた図示しない導通部材にかしめられている。取付片185の他端部185bは、弁本体110Eの正面110bと平行である。他端部185bは、正面110bと接している。他端部185bには、1つの孔186が形成されている。孔186は、
図35の上下方向に延びる長孔である。孔186は、取付片185を貫通している。ねじ部材192が、孔186を通り弁本体110Eの雌ねじ穴112に螺合されることにより、取付片185が弁本体110Eに固定され、ステーターユニット107Eが弁本体110Eに対して位置決めされる。電動弁4は、ステーターユニット107Eの弁本体110Eへの取付位置を1つ有している。
【0129】
スペーサー187は、円環板形状を有している。ローターユニット106の取付部材150は、スペーサー187を通り弁本体110Eの取付穴114に螺合される。スペーサー187は、弁本体110Eと取付部材150との間に配置される。
【0130】
本実施例では、弁本体110Eと取付部材150との間に、1~8枚のスペーサー187が配置可能である。そして、取付部材150が取付穴114に螺合されるときのスペーサー187の1枚あたりの厚さに対応する取付部材150の回転角度が、ステップ角θである。ローターユニット106の弁本体110Eに対する軸線L周りの角度は、弁本体110Eと取付部材150との間に配置されるスペーサー187の枚数に対応する。電動弁4は、ローターユニット106の弁本体110Eへの取付位置(以下、「ローターユニット取付位置」という。)を複数有しており、複数のローターユニット取付位置は、スペーサー187の枚数に対応している。スペーサー187の枚数は、ローターユニット取付位置の順番を示す。各ローターユニット取付位置に、ローターユニット106を取り付けることができる。
【0131】
本実施例において、
1:スペーサー187を1枚配置したときのローターユニット106の軸線L周りの角度β[1]を0度としたとき、
2:スペーサー187を2枚配置したときのローターユニット106の軸線L周りの角度β[2]は一方向に3.75度であり、
3:スペーサー187を3枚配置したときのローターユニット106の軸線L周りの角度β[3]は一方向に7.5度であり、
4:スペーサー187を4枚配置したときのローターユニット106の軸線L周りの角度β[4]は一方向に11.25度であり、
5:スペーサー187を5枚配置したときのローターユニット106の軸線L周りの角度β[5]は一方向に15度であり、
6:スペーサー187を6枚配置したときのローターユニット106の軸線L周りの角度β[6]は一方向に18.75度であり、
7:スペーサー187を7枚配置したときのローターユニット106の軸線L周りの角度β[7]は一方向に22.5度であり、
8:スペーサー187を8枚配置したときのローターユニット106の軸線L周りの角度β[8]は一方向に26.25度である。
スペーサー187が1枚増える毎に、ローターユニット106の軸線L周りの角度が一方向に3.75度ずつ増える。
【0132】
スペーサー187をj枚(j=1~7)配置したときのローターユニット106とスペーサー187をj+1枚配置したときのローターユニット106との間の軸線L周りの角度dβ[j]は、3.75度である。
【0133】
本実施例において、互いに隣接する任意の2つのローターユニット取付位置に取り付けられたローターユニット106の間の軸線L周りの角度dβ[j]は、3.75度である。なお、角度dβ[j]は、ステップ角θの倍数でありかつ以下の式(3)を満たす角度であればよく、各角度dβ[j]が互いに異なる角度であってもよい。Mは励磁パターンの数である。Uは任意の整数である。
(3) dβ[j] ≠ M×θ×U
【0134】
スペーサー187をk枚(k=1~8)配置したときのローターユニット取付位置の軸線L周りの角度β[k]は、以下の式(4A)で示される。ステッピングモーター66のステップ角θは3.75度であり、励磁パターンの数Mは8であり、整数Nは0である。
(4A) β[k]=(M×N+1)×(k-1)×θ
=(k-1)×3.75
【0135】
本実施例に係る電動弁4は、弁本体110Eと、弁本体110Eに取り付けられるローターユニット106と、弁本体110Eに取り付けられるステーターユニット107Eと、を有する。ローターユニット106が、弁座158を有する弁座部材155と、弁座部材155に対して回転可能なローター41と、弁座158と向かい合い、ローター41が一方向に回転すると弁座158に向けて移動する弁体30と、ローター41が基準位置Rxにあるときにローター41の一方向への回転を規制するストッパ機構49と、を有する。ステーターユニット107Eが、ローター41と同軸に配置され、ローター41とともにステッピングモーター66を構成するステーター60を有する。電動弁4が、ステーターユニット107Eの弁本体110Eへの取付位置を1つ有する。電動弁4が、ローターユニット106の弁本体110Eへの取付位置(以下、「ローターユニット取付位置」という。)を複数有する。ステッピングモーター66のステップ角をθとし、ステッピングモーター66の励磁パターンの数をMとし、ローターユニット取付位置の数をKとしたとき、j番目(j=1、2、・・・、K-1)のローターユニット取付位置とj+1番目のローターユニット取付位置との間の軸線L周りの角度dβ[j]が、ステップ角θの倍数であり、上記式(3)を満たす。
【0136】
このようにしたことから、一のローターユニット取付位置と、当該一のローターユニット取付位置に隣接する他のローターユニット取付位置と、の間の軸線L周りの角度dβが、励磁パターンの数Mにステップ角θを乗じた数の倍数になってしまうことを回避できる。そのため、一のローターユニット取付位置に代えて他のローターユニット取付位置にローターユニット106を取り付けることで、ステッピングモーター66に特定の励磁パターンに対応するパルスPが入力されたときのローター41の位置をステップ角θの倍数だけ変えることができる。ステップ角θは、ステッピングモーター66に入力されるパルスPに対応している。これにより、電動弁4において、開弁パルス数Cが基準数Csより多かったり少なかったりした場合に、一のローターユニット取付位置に代えて他のローターユニット取付位置にローターユニット106を取り付けることで開弁パルス数Cを調整することができる。したがって、複数の電動弁4における開弁パルス数Cのばらつきを低減できる。
【0137】
また、k番目(k=1、2、・・・、K)のローターユニット取付位置の軸線L周りの角度β[k]が、上記式(4A)で示される。
【0138】
このようにしたことから、ローターユニット106を取り付けるローターユニット取付位置を変えることによってローターユニット106に対するステーター60の軸線L周りの角度をステップ角θずつ変えることができる。そのため、電動弁4において、開弁パルス数Cが基準数Csより多かったり少なかったりした場合に、現在のローターユニット取付位置に代えて別のローターユニット取付位置にローターユニット106を取り付けることで開弁パルス数Cを調整することができる。したがって、複数の電動弁4における開弁パルス数Cのばらつきを低減できる。
【0139】
また、弁本体110Eが、内周面に雌ねじ114cが形成された取付穴114を有する。ローターユニット106が、弁座部材155を保持し、外周面に雌ねじ114cに螺合される雄ねじ150cが形成された取付部材150を有する。取付部材150が、ローター41と同軸に配置される。弁本体110Eと取付部材150との間に8枚のスペーサー187が配置可能であり、弁本体110Eと取付部材150との間に少なくとも1枚のスペーサー187が配置される。雄ねじ150cが雌ねじ114cに螺合されるときのスペーサー187の1枚あたりの厚さに対応する取付部材150の軸線L周りの回転角度が、ステップ角θである。このようにすることで、スペーサー187を増減してローターユニット106を取り付けるローターユニット取付位置を変えることにより、開弁パルス数Cを増減できる。これにより、電動弁4は、開弁パルス数Cが基準数Csになるように調整することができる。
【0140】
(第5実施例)
以下、本発明の第5実施例に係る電動弁について、
図37~
図41を参照して説明する。
【0141】
図37は、本発明の第5実施例に係る電動弁の断面図である。
図38は、
図37の電動弁が有する弁本体の平面図である。
図39は、
図37の電動弁が有するローターユニットの断面図である。
図40は、
図39のローターユニットの平面図である。
図41は、
図37の電動弁の平面図である。以下の説明において、電動弁1、3、4と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0142】
図37~
図41に示すように、第5実施例に係る電動弁5は、弁本体110Fと、ローターユニット106Fと、ステーターユニット107Eと、ねじ部材192と、ねじ部材193と、を有している。弁本体110Fとローターユニット106Fとねじ部材193とで、弁本体アセンブリ105Fを構成する。
【0143】
弁本体110Fは、(a)複数の雌ねじ穴111に代えて、複数の雌ねじ穴113と、1つの雌ねじ穴112と、を有すること、および、(b)雌ねじ114cを有する取付穴114に代えて、雌ねじのない取付穴114Fを有すること、以外は、上述した弁本体110と同一の構成を有している。
【0144】
図38に示すように、弁本体110Fの上面110aには、複数の雌ねじ穴113が形成されている。各雌ねじ穴113の内周面には雌ねじが形成されている。本実施例において、弁本体110Fは、8個の雌ねじ穴113(雌ねじ穴113[1]~[8])を有している。雌ねじ穴113[1]~[8]は、円Q5上に配置されている。円Q5の中心を軸線Lが通る。また、弁本体110Fの正面110bには、1つの雌ねじ穴112が形成されている。
【0145】
ステーターユニット107Eは、取付片185を有している。ねじ部材192が、取付片185の他端部185bの孔186を通り弁本体110Fの雌ねじ穴112に螺合されることにより、取付片185が弁本体110Fに固定され、ステーターユニット107Eが弁本体110Fに対して位置決めされる。電動弁5は、ステーターユニット107Eの弁本体110Fへの取付位置を1つ有している。
【0146】
ローターユニット106Fは、取付部材150および弁座部材155に代えて、取付部材250および弁座部材255を有すること以外は、上述したローターユニット106と同一の構成を有している。
【0147】
取付部材250は、円筒部251と、円板部252と、を一体的に有している。円筒部251の上部に、キャン20の下端部が接合されている。円筒部251の下部に、円板部252が同軸に連設されている。円板部252は、孔253と、孔254と、を有している。孔253は、円形であり、円板部252を貫通している。孔254は、円弧形状を有している。孔254は、円板部252を貫通している。孔253および孔254は、円Q6上に配置されている。円Q6は、円Q5と同じ大きさである。円Q6の中心を軸線Lが通る。円板部252は、弁本体110Fの上面110aに配置される。
【0148】
弁座部材255は、円筒形状を有している。弁座部材255は、弁室256を有している。また、弁座部材255は、弁口257と、弁口257を囲む弁座258と、を有している。弁座部材255は取付部材250に下方から上方に向けて圧入されている。弁座部材255の上部が取付部材250に保持されている。弁座部材255の上部には、ガイドブッシュ43が圧入されている。弁座部材255の下部は、弁本体110Fの取付穴114Fに配置されている。弁座部材255は、弁室256と取付穴114Fとを接続する横孔259を有している。弁室256は、横孔259および取付穴114Fを介して流路115と接続されている。また、弁室256は、弁口257を介して流路116と接続されている。弁体30の弁部33の先端は、弁口257に配置される。弁部33と弁口257との間に可変絞り部が形成される。弁部33は、弁座258と向かい合って配置される。弁部33は、閉弁状態において弁座258に接する。取付部材250の中心軸および弁座部材255の中心軸は、軸線Lに一致する。
【0149】
円板部252の孔253は、弁本体110Fの雌ねじ穴113[1]~[8]のいずれにも配置可能である。具体的には、ローターユニット106Fを軸線L周りに平面視で時計方向に回転させたとき、孔253の位置が雌ねじ穴113[1]~[8]の位置に順に一致する。ねじ部材193が孔253に通されかつ雌ねじ穴113[1]~[8]のうちの1つの雌ねじ穴113に螺合されると、円板部252が弁本体110Fに固定される。また、もう1つのねじ部材193が孔254に通されかつ雌ねじ穴113[1]~[8]のうちの他の雌ねじ穴113に螺合されることで、円板部252が弁本体110Fにより確実に固定される。これにより、ローターユニット106Fが弁本体110Fに対して位置決めされる。電動弁5は、ローターユニット106Fの弁本体110Fへの取付位置(以下、「ローターユニット取付位置」という。)を複数有しており、複数のローターユニット取付位置は、雌ねじ穴113[1]~[8]に対応している。
【0150】
本実施例において、
1:雌ねじ穴113[1]の軸線L周りの角度β[1]を0度としたとき、
2:雌ねじ穴113[2]の軸線L周りの角度β[2]は一方向に33.75度であり、
3:雌ねじ穴113[3]の軸線L周りの角度β[3]は一方向に67.5度であり、
4:雌ねじ穴113[4]の軸線L周りの角度β[4]は一方向に101.25度であり、
5:雌ねじ穴113[5]の軸線L周りの角度β[5]は一方向に135度であり、
6:雌ねじ穴113[6]の軸線L周りの角度β[6]は一方向に168.75度であり、
7:雌ねじ穴113[7]の軸線L周りの角度β[7]は一方向に202.5度であり、
8:雌ねじ穴113[8]の軸線L周りの角度β[8]は一方向に236.25度である。
雌ねじ穴113[1]~[8]まで、軸線L周りの角度が一方向に33.75度ずつ増える。
【0151】
雌ねじ穴113[1]~[8]において、j番目(j=1~7)の雌ねじ穴113[j]とj+1番目の雌ねじ穴113[j+1]との間の軸線L周りの角度dβ[j]は、33.75度である。雌ねじ穴113[j]に孔253が配置されたローターユニット106Fと雌ねじ穴113[j+1]に孔253が配置されたローターユニット106Fとの間の軸線L周りの角度は、角度dβ[j]である。
【0152】
本実施例において、互いに隣接する任意の2つの雌ねじ穴113の間の軸線L周りの角度dβ[j]は、33.75度である。なお、角度dβ[j]は、ステップ角θの倍数でありかつ上記式(3)を満たす角度であればよく、各角度dβ[j]が互いに異なる角度であってもよい。
【0153】
k番目(k=1~8)の雌ねじ穴113[k]の軸線L周りの角度β[k]は、以下の式(4B)で示される。ステッピングモーター66のステップ角θは3.75度であり、励磁パターンの数Mは8であり、整数Nは1である。
(4B) β[k]=(M×N+1)×(k-1)×θ
=(k-1)×33.75
【0154】
第5実施例に係る電動弁5においても、上述した電動弁4と同様の作用効果を奏する。電動弁5は、ローターユニット106Fを取り付けるローターユニット取付位置を変えることにより、開弁パルス数Cを増減できる。これにより、電動弁5は、開弁パルス数Cが基準数Csになるように調整することができる。
【0155】
また、電動弁5が、雄ねじを有するねじ部材193を有する。弁本体110Fが、複数のローターユニット取付位置に対応する複数の雌ねじ穴113を有する。ローターユニット106Fが、複数の雌ねじ穴113のいずれにも配置可能な1つの孔253を有する。ねじ部材193が孔253に通されかつ複数の雌ねじ穴113のうちの1つの雌ねじ穴113に螺合されることによって、ローターユニット106Fが当該1つの雌ねじ穴113に対応するローターユニット取付位置に取り付けられる。このようにすることで、比較的簡易な構成によって、ローターユニット106Fを弁本体110Fに取り付けることができる。
【0156】
なお、電動弁5は、ローターユニット106Fが、複数のローターユニット取付位置に対応する複数の貫通孔を有し、弁本体110Fが、複数の貫通孔のいずれにも配置可能な1つの雌ねじ穴を有し、ねじ部材193が複数の貫通孔のうちの1つの貫通孔に通されかつ1つの雌ねじ穴に螺合されることによって、ローターユニットが当該1つの貫通孔に対応するローターユニット取付位置に取り付けられる、構成を有していてもよい。
【0157】
第1実施例において、取付片80は、導通部材76を介してB相ステーター62のヨークと電気的に接続されている。取付片80は、直接的にB相ステーター62のヨークと電気的に接続されていてもよい。取付片80は、例えば、B相ステーター62のヨークに溶接されていてもよく、当接されていてもよい。または、取付片80は、B相ステーター62のヨークをプレス加工する際に当該ヨークと一体的に成形されていてもよい。また、取付片80とB相ステーター62のヨークとを電気的に接続する必要がない場合、取付片80または取付片80が接合された導通部材76は、ハウジング70に固定されるだけでもよい。電気的接続関係については、第2実施例~第5実施例の取付片85、取付片180および取付片185も、取付片80と同じまたは同様である。
【0158】
本明細書において、「円筒」や「直方体」等の部材の形状を示す各用語は、実質的にその用語の形状を有する部材にも用いられている。例えば、「円筒形状の部材」は、円筒形状の部材と実質的に円筒形状の部材とを含む。
【0159】
上記に本発明の実施例を説明したが、本発明は実施例に限定されるものではない。前述の実施例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、実施例の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の趣旨に反しない限り、本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0160】
(第1実施例)
1…電動弁、5A…弁本体アセンブリ、5B…弁本体アセンブリ、5C…弁本体アセンブリ、7…ステーターユニット、10…弁本体、11…本体部材、11a…嵌合穴、11b…軸孔、11d…平面、13…接続部材、14…弁室、15…第1導管、16…第2導管、17…弁口、18…弁座、20…キャン、23a…下面、23A…取付板、23B…取付板、23C…取付板、24…孔、25…孔、26…孔、30…弁体、31…第1軸部、32…第2軸部、33…弁部、34…段部、40…駆動機構、41…ローター、41a…嵌合孔、41s…磁極、42…弁軸ホルダー、42a…上壁部、42b…軸孔、42c…雌ねじ、42s…可動ストッパ、43…ガイドブッシュ、43a…基部、43b…支持部、43c…雄ねじ、43d…平面、44…ストッパ部材、44a…ストッパ本体、44c…雌ねじ、44s…固定ストッパ、45…固定具、45a…固定部、45b…フランジ部、46…ワッシャー、47…閉弁ばね、48…復帰ばね、49…ストッパ機構、60…ステーター、61…A相ステーター、61a…極歯、61b…極歯、61c…コイル、61s…極歯、62…B相ステーター、62a…極歯、62b…極歯、62c…コイル、62s…極歯、66…ステッピングモーター、70…ハウジング、71…周壁部、72…上壁部、74…内側空間、76…導通部材、80…取付片、80a…一端部、80b…他端部、81…凸部、A1…端子、A2…端子、B1…端子、B2…端子、C…開弁パルス数、Cs…基準数、L…軸線、P…パルス、Rc…閉弁位置、Ro…開弁位置、Rx…基準位置、θ…ステップ角
(第2実施例)
2…電動弁、5D…弁本体アセンブリ、5E…弁本体アセンブリ、5F…弁本体アセンブリ、7D…ステーターユニット、27…凸部、28…凹部、29…凹部、85…取付片、85a…一端部、85b…他端部、86…孔
(第3実施例)
3…電動弁、105…弁本体アセンブリ、106…ローターユニット、107…ステーターユニット、110…弁本体、110a…上面、110b…正面、111…雌ねじ穴、114…取付穴、114c…雌ねじ、115…流路、116…流路、150…取付部材、150c…雄ねじ、155…弁座部材、156…弁室、157…弁口、158…弁座、159…横孔、170…ハウジング、171…周壁部、176…導通部材、180…取付片、180a…一端部、180b…他端部、181…孔、191…ねじ部材
(第4実施例)
4…電動弁、105E…弁本体アセンブリ、106…ローターユニット、107E…ステーターユニット、110E…弁本体、112…雌ねじ穴、185…取付片、185a…一端部、185b…他端部、186…孔、187…スペーサー、192…ねじ部材、193…ねじ部材
(第5実施例)
5…電動弁、105F…弁本体アセンブリ、106F…ローターユニット、107E…ステーターユニット、110F…弁本体、112…雌ねじ穴、113…雌ねじ穴、114F…取付穴、192…ねじ部材、193…ねじ部材、250…取付部材、251…円筒部、252…円板部、253…孔、254…孔、255…弁座部材、256…弁室、257…弁口、258…弁座、259…横孔