(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】コネクタ要素の固定
(51)【国際特許分類】
B29C 65/08 20060101AFI20240716BHJP
B29C 65/06 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B29C65/08
B29C65/06
(21)【出願番号】P 2021500826
(86)(22)【出願日】2019-07-12
(86)【国際出願番号】 EP2019068868
(87)【国際公開番号】W WO2020012000
(87)【国際公開日】2020-01-16
【審査請求日】2022-07-11
(32)【優先日】2018-07-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CH
(73)【特許権者】
【識別番号】501485227
【氏名又は名称】ウッドウェルディング・アクチェンゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】レーマン,マリオ
(72)【発明者】
【氏名】トリアーニ,ローラン
(72)【発明者】
【氏名】サンカラン,ムツマリアパン
(72)【発明者】
【氏名】クビスト,ヨアキム
【審査官】神田 和輝
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-513552(JP,A)
【文献】特開昭46-005808(JP,A)
【文献】特表2011-501007(JP,A)
【文献】国際公開第03/046390(WO,A2)
【文献】特開2016-179614(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容対象物にコネクタ要素を固定する方法であって、前記収容対象物は、第1の建築層と、第2の建築層と、インターライニング層とを含む軽量建築要素であり、前記インターライニング層は前記第1の建築層の遠位側に位置し、かつ前記第1の建築層と前記第2の建築層との間に位置し、前記第1の建築層および第2の建築層は、前記インターライニング層よりも薄く、より高密度であり、前記収容対象物は、前記コネクタ要素を収容するための取付穴を備えており、前記取付穴は、前記第1の建築層を貫通するとともに前記インターライニング層内に延在するかまたは前記インターライニング層内を貫通して延在しており、前記コネクタ要素は遠位端および近位端を有し、前記方法は、
- 前記コネクタ要素の前記遠位端を、挿入軸に沿って挿入方向へと前記取付穴内に挿入するステップと、
- 熱可塑性材料を含むスリーブを前記取付穴に挿入するステップとを含み、前記スリーブは前記コネクタ要素を囲むこととなり、前記方法はさらに、
- 前記スリーブの遠位向き液化面を前記コネクタ要素の近位向き支持面に接触させるステップと、
- 前記近位向き支持面は傾斜面であり、
- 前記スリーブの近位端と係合するソノトロードを使用するステップであり、前記ソノトロードの使用により機械的振動エネルギを伝達して、前記スリーブの前記熱可塑性材料のうち少なくとも流動部分を液化させ、前記流動部分のうち少なくともごく一部を径方向外向きに流動させるように前記遠位向き液化面を前記近位向き支持面に押当てるステップと、
- 前記流動部分を再凝固させるステップとを含み、これにより、再凝固された前記流動部分が前記コネクタ要素を前記収容対象物に固定し、
前記熱可塑性材料の少なくとも一部を液化する前に前記コネクタ要素の前記遠位端は軸方向端部位置へ動かされ、前記取付穴の軸方向支持面に当接し、前記軸方向支持面は前記第2の建築層の内面であり、
前記スリーブの前記流動部分を液化させている間、前記スリーブの前記近位端を前記挿入方向に移動させ、
- 前記スリーブの前記流動部分を液化させている間、前記スリーブは前記コネクタ要素を前記第2の建築層の前記内面に対して押し当てる、方法。
【請求項2】
前記遠位向き液化面が前記スリーブの遠位端に位置する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記機械的振動エネルギは、前記スリーブの前記熱可塑性材料のうち軸方向に分離した複数の部分を連続的に液化させるために伝達される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記機械的振動エネルギを伝達するステップ中に、前記コネクタ要素の遠位端または前記コネクタ要素の他の遠位向き当接面が、前記取付穴において軸方向支持面に対して保持される、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記機械的振動エネルギを伝達するステップおよび押圧するステップ中、前記コネクタ要素
が静止してい
る、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
液化された前記熱可塑性材料のうち少なくとも一部が、前記コネクタ要素の本体から径方向に延在する構造を軸方向に囲むことを可能にし、その後、液化された前記熱可塑性材料を硬化させて、前記コネクタ要素と前記スリーブとの間に軸方向支持をもたらすことを可能にするステップをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
液化された前記熱可塑性材料の少なくとも一部が前記コネクタ要素の本体における窪みに貫入することを可能にし、その後、液化された前記熱可塑性材料を硬化させて、前記コネクタ要素と前記スリーブとの間に軸方向支持をもたらすことを可能にするステップをさらに含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記コネクタ要素は、前記収容対象物に接続されるべき対象物の噛合せ用の第2のコネクタインターフェイスと係合させるための第1のコネクタインターフェイスを含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記流動部分のうち少なくともごく一部を径方向外側へ流動させるステップは、前記流動部分のごく一部を、前記第1の建築層の直ぐ遠位側にあるとともに前記第1の建築層に隣接する空間内に導くステップを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記近位向き支持面は径方向に対してアンダーカットを規定する、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記コネクタ要素は階段形状を有し、前記コネクタ要素は第1の近位向き支持面および第2の近位向き支持面を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記コネクタ要素は、前記近位向き支持面の遠位側に距離保持構造を有しており、前記近位向き支持面は、前記機械的振動エネルギを伝達するステップ中に、前記収容対象物によって規定される軸方向支持部から距離を空けて位置決めされる、請求項1~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記スリーブは少なくとも1つの遠位側突起特徴を有し、前記コネクタ要素は、前記スリーブが前記コネクタ要素を囲んでいるとき、前記遠位側突起特徴が前記コネクタ要素の遠位端を越えて遠位側に延びることが可能となるように形作られており、前記方法は、前記遠位向き液化面を前記近位向き支持面に押当てるステップの前に、前記スリーブの前記熱可塑性材料の一部が液化して前記収容対象物の構造内に押込まれるまで、前記スリーブの前記遠位側突起特徴を前記収容対象物の支持構造に押当てるステップを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記近位向き支持面は鍔部の近位面である、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記鍔部は前記コネクタ要素の複数の径方向突起によって構成される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記鍔部の径方向延在部は、前記スリーブの遠位端の径方向延在部よりも小さい、請求項14または15に記載の方法。
【請求項17】
前記近位向き支持面は、近位側および径方向外側に面するように遠位方向に向かって傾斜する、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記近位向き支持面は、複数の径方向隆起部によって規定される表面構造を備える、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
前記近位向き支持面は、近位側および径方向内側に面し、前記コネクタ要素は径方向に対してアンダーカットを形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
収容対象物にコネクタ要素を固定する方法であって、前記収容対象物は、第1の建築層と、第2の建築層と、インターライニング層とを含む軽量建築要素であり、前記インターライニング層は前記第1の建築層の遠位側に位置し、かつ前記第1の建築層と前記第2の建築層との間に位置し、前記第1の建築層および第2の建築層は、前記インターライニング層よりも薄く、より高密度であり、前記収容対象物は、前記コネクタ要素を収容するための取付穴を備えており、前記取付穴は、前記第1の建築層を貫通するとともに前記インターライニング層内に延在するかまたは前記インターライニング層内を貫通して延在しており、前記コネクタ要素は遠位端および近位端を有し、前記方法は、
- 前記コネクタ要素の前記遠位端を、挿入軸に沿って挿入方向へと前記取付穴内に挿入するステップと、
- 熱可塑性材料のスリーブを前記取付穴に挿入するステップとを含み、前記スリーブは前記コネクタ要素を囲むこととなり、前記方法はさらに、
- 前記スリーブの遠位向き液化面を前記コネクタ要素の近位向き支持面に接触させるステップと、
- 前記スリーブの近位端と係合しかつ前記スリーブと物理的に接触するソノトロードを使用するステップであり、前記ソノトロードの使用によりエネルギを伝達して、前記スリーブの前記熱可塑性材料のうち少なくとも流動部分を液化させ、前記流動部分のうち少なくともごく一部を径方向外向きに流動させるように前記遠位向き液化面を前記近位向き支持面に押当てる、ステップと、
- 前記流動部分を再凝固させるステップとを含み、これにより、再凝固された前記流動部分が前記コネクタ要素を前記収容対象物に固定し、
前記熱可塑性材料の少なくとも一部を液化する前に前記コネクタ要素の前記遠位端は軸方向端部位置へ動かされ、前記取付穴の軸方向支持面に当接し、
前記軸方向支持面は前記第2の建築層の内面であり、
前記スリーブの前記流動部分を液化させている間、前記スリーブの近位端を前記挿入方向に移動させ、
前記スリーブの前記流動部分を液化させている間、前記スリーブは前記コネクタ要素を前記第2の建築層の前記内面に対して押し当てる、方法。
【請求項21】
前記ソノトロードは中空である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
収容対象物にコネクタ要素を固定する方法であって、前記収容対象物は、第1の建築層と、第2の建築層と、インターライニング層とを含む軽量建築要素であり、前記インターライニング層は前記第1の建築層の遠位側に位置し、かつ前記第1の建築層と前記第2の建築層との間に位置し、前記第1の建築層および第2の建築層は、前記インターライニング層よりも薄く、より高密度であり、前記収容対象物は、前記コネクタ要素を収容するための取付穴を備えており、前記取付穴は、前記第1の建築層を貫通するとともに前記インターライニング層内に延在するかまたは前記インターライニング層内を貫通して延在しており、前記コネクタ要素は遠位端および近位端を有し、前記方法は、
- 前記コネクタ要素の前記遠位端を、挿入軸に沿って挿入方向へと前記取付穴内に挿入するステップと、
- 熱可塑性材料を含むスリーブを前記取付穴に挿入するステップとを含み、前記スリーブは前記コネクタ要素を囲むこととなり、前記方法はさらに、
- 前記スリーブの遠位向き液化面を前記コネクタ要素の近位向き支持面に接触させるステップと、
- 前記コネクタ要素の前記近位向き支持面が鍔部の近位面であり、前記コネクタ要素が前記鍔部の遠位側に距離保持部を備え、
- 前記スリーブの近位端と係合するソノトロードを使用するステップであり、前記ソノトロードの使用によりエネルギを伝達して、前記スリーブの前記熱可塑性材料のうち少なくとも流動部分を液化させ、前記流動部分のうち少なくともごく一部を径方向外向きに流動させるように前記遠位向き液化面を前記近位向き支持面に押当てる、ステップと、
- 前記流動部分を再凝固させるステップとを含み、これにより、再凝固された前記流動部分が前記コネクタ要素を前記収容対象物に固定し、
前記熱可塑性材料の少なくとも一部を液化する前に前記コネクタ要素の前記遠位端は軸方向端部位置へ動かされ、前記距離保持部は前記取付穴の軸方向支持面に当接することで前記鍔部を前記軸方向支持面から遠ざけ、
前記軸方向支持面は前記第2の建築層の内面であり、
前記スリーブの前記流動部分を液化させている間、前記スリーブの前記近位端を前記挿入方向に移動させ、
前記スリーブの前記流動部分を液化させている間、前記スリーブは前記コネクタ要素を前記第2の建築層の前記内面に対して押し当てる、方法。
【請求項23】
収容対象物にコネクタ要素を固定する方法であって、前記収容対象物は、第1の建築層と、第2の建築層と、インターライニング層とを含む軽量建築要素であり、前記インターライニング層は前記第1の建築層の遠位側に位置し、かつ前記第1の建築層と前記第2の建築層との間に位置し、前記第1の建築層および第2の建築層は、前記インターライニング層よりも薄く、より高密度であり、前記収容対象物は、前記コネクタ要素を収容するための取付穴を備えており、前記取付穴は、前記第1の建築層を貫通するとともに前記インターライニング層内に延在するかまたは前記インターライニング層内を貫通して延在しており、前記コネクタ要素は遠位端および近位端を有し、前記方法は、
- 前記コネクタ要素の前記遠位端を、挿入軸に沿って挿入方向へと前記取付穴内に挿入するステップと、
- 熱可塑性材料を含むスリーブを前記取付穴に挿入するステップとを含み、前記スリーブは前記コネクタ要素を囲むこととなり、前記方法はさらに、
- 前記スリーブの遠位向き液化面を前記コネクタ要素の近位向き支持面に接触させるステップと、
- 前記近位向き支持面は、複数の径方向隆起部によって規定される表面構造を備え、
- 前記スリーブの近位端と係合するソノトロードを使用するステップであり、前記ソノトロードの使用によりエネルギを伝達して、前記スリーブの前記熱可塑性材料のうち少なくとも流動部分を液化させ、前記流動部分のうち少なくともごく一部を径方向外向きに流動させるように前記遠位向き液化面を前記近位向き支持面に押当てるステップと、
- 前記流動部分を再凝固させるステップとを含み、これにより、再凝固された前記流動部分が前記コネクタ要素を前記収容対象物に固定し、
前記熱可塑性材料の少なくとも一部を液化する前に前記コネクタ要素の前記遠位端は軸方向端部位置へ動かされ、前記取付穴の軸方向支持面に当接し、
前記軸方向支持面は前記第2の建築層の内面であり、
前記スリーブの前記流動部分を液化させている間、前記スリーブの近位端を前記挿入方向に移動させ、
前記スリーブの前記流動部分を液化させている間、前記スリーブは前記コネクタ要素を前記第2の建築層の前記内面に対して押し当てる、方法。
【請求項24】
収容対象物にコネクタ要素を固定する方法であって、前記収容対象物は、第1の建築層と、前記第1の建築層の遠位側にあるインターライニング層とを含む軽量建築要素であり、前記第1の建築層は、前記インターライニング層よりも薄く、より高密度であり、前記収容対象物は、前記コネクタ要素を収容するための取付穴を備えており、前記取付穴は、前記第1の建築層を貫通するとともに前記インターライニング層内に延在するかまたは前記インターライニング層内を貫通して延在しており、前記コネクタ要素は遠位端および近位端を有し、前記方法は、
- 前記コネクタ要素の前記遠位端を、挿入軸に沿って挿入方向へと前記取付穴内に挿入するステップと、
- 熱可塑性材料を含むスリーブを前記取付穴に挿入するステップとを含み、前記スリーブは前記コネクタ要素を囲むこととなり、前記方法はさらに、
- 前記スリーブの遠位向き液化面を前記コネクタ要素の近位向き支持面に接触させるステップと、
- エネルギを伝達して、前記スリーブの前記熱可塑性材料のうち少なくとも流動部分を液化させ、前記遠位向き液化面を前記近位向き支持面に押当てて、前記流動部分のうち少なくともごく一部を径方向外向きに流動させるステップと、
- 前記流動部分を再凝固させるステップとを含み、これにより、再凝固された前記流動部分が前記コネクタ要素を前記収容対象物に固定し、
前記スリーブは少なくとも1つの遠位側突起特徴を有し、前記コネクタ要素は、前記スリーブが前記コネクタ要素を囲んでいるとき、前記遠位側突起特徴が前記コネクタ要素の遠位端を越えて遠位側に延びることが可能となるように形作られており、前記方法は、前記遠位向き液化面を前記近位向き支持面に押当てるステップの前に、前記スリーブの前記熱可塑性材料の一部が液化して前記収容対象物の構造内に押込まれるまで、前記スリーブの前記遠位側突起特徴を前記収容対象物の支持構造に押当てるステップを含む、方法。
【請求項25】
収容対象物に固定されるように構成されたコネクタ要素を含むコネクタ要素固定キットであって、前記収容対象物は、第1の建築層と、前記第1の建築層の遠位側にあるインターライニング層とを含む軽量建築要素であり、前記第1の建築層は、前記インターライニング層よりも薄く、より高い密度を有し
、
前記コネクタ要素は、
遠位端および近位端付き本体を有し、前記遠位端は、挿入軸に沿って挿入方向へと前記収容対象物の取付穴に挿入するための
ものであり、前記コネクタ要素は、
前記近位端
に対して遠位側に前
記本体から前記挿入軸に対して径方向に延在する鍔部を有し、前記鍔部は近位向き支持面を規定し、前記コネクタ要素固定キットはさらに、固体状態の熱可塑性材料を含むスリーブを含み、前記スリーブは遠位端および近位端を有しており、前記コネクタ要素を収容して囲むように構成されており、
前記スリーブは遠位向き液化面を有し、前記遠位向き液化面の近くの前記スリーブは、前記鍔部の断面よりも小さい内側断面を有し、前記コネクタ要素は、前記鍔部が前記スリーブの前記遠位向き液化面と軸方向に係合する接着開始位置にまで前記スリーブ内に挿入可能であり、前記遠位向き液化面は前記近位向き支持面と物理的に接触し、
前記近位向き支持面は近位側および径方向内側に面し、これにより近位側に開口するとともに前
記本体のまわりに延在する溝が規定されている、コネクタ要素固定キット。
【請求項26】
前記スリーブは、軸方向に分離された複数の肩部を含み、前記軸方向に分離された複数の肩部は、前記コネクタ要素のうち軸方向に分離された複数の支持面と係合して、軸方向に分離した複数の溶融領域において前記スリーブを液化させるように構成される、請求項25に記載のコネクタ要素固定キット。
【請求項27】
前記スリーブは、前記遠位端を除き、少なくともすべての軸方向位置において径方向に緩く嵌合した状態で前記コネクタ要素を囲むように構成される、請求項25または26に記載のコネクタ要素固定キット。
【請求項28】
収容対象物にコネクタ要素を固定する装置であって、
請求項1から24のいずれか1項に記載の方法を使用して、前記収容対象物に前記コネクタ要素を固定する、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願において主張される主題は、WW Woodwelding GmbH(シュタンスシュタート(Stansstaad))とIKEA Supply AG(プラッテルン(Pratteln);スイス(Switzerland))との間で2011年11月8・9日付けで締結された共同研究契約(ライセンス契約)の範囲内で行われた活動の結果、得られたものである。共同研究契約に従い、WW Woodwelding GmbHのすべての権利および義務はその親企業であるWoodwelding SA(シュタンスシュタート、スイス)に帰属するものとする。
【0002】
発明の分野
本発明は、機械工学および建設、特に機械建設、たとえば自動車工学、移動住宅用車両の建設、航空機建設、鉄道車両および機関車の建設、船舶建設、機械建設、家具製造、玩具製造などの分野に関する。本発明は、より特定的には、コネクタ要素を収容対象物に固定する方法に関する。本発明はまた、当該方法を実行するための機械に関するとともに、コネクタ要素固定キットに関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
自動車、航空機および他の産業において、鉄骨のみの構造をやめて、代わりに軽量材料を使用する傾向がある。
【0004】
新しい建築材要素の例として、2つの比較的薄い外側建築層(たとえば、ガラス繊維複合材もしくは炭素繊維複合材などの繊維複合材、金属板、または、産業によっては繊維板から成る)と、建築層の間に配置された中間層(インターライニング)(たとえば、板紙もしくは他の材料でできたハニカム構造、または軽量の金属発泡体もしくはポリマー発泡体もしくはセラミック発泡体など、または別個の離隔用ホルダの構造)とを含む軽量建築要素がある。この種類の軽量建築要素は「サンドイッチボード」と称されることもあり、時には「中空コア板(hollow core board:HCB)」と称されることもある。これらは機械的に安定しており、好ましい外観を呈し得るとともに比較的軽量である。
【0005】
また、上述のサンドイッチボードのインターライニング層のように、比較的軽量である他の建築要素は、たとえば、発泡体材料などのように気体が充満した複数の空隙を有することで比較的低密度となっている建築層を含む。
【0006】
新しい材料は、これらの材料の要素を接着する際に、たとえば、ある対象物を他の対象物に平坦に接着する際に、またはコネクタ要素を軽量材料部品に固定する際に、新しい課題をもたらす。
【0007】
さらに、従来技術によれば、サンドイッチボード構造の補強材は製造中に配置する必要があり、さらに、接続要素も製造中に追加する必要がある。これらの材料が後で追加される場合、コネクタの締結後にサンドイッチ体コアに発泡体を充填しなければならず、費用および時間がかかってしまう。
【0008】
これらの課題に対処するとともに起こり得る不利点をなくすために、自動車、航空機、および他の産業では、接着剤を多用し始めている。接着剤は軽量かつ強力であり得るが、信頼性を長期的に制御することができないという欠点がある。なぜなら、たとえば接着剤の脆化に起因する接着剤の劣化を検出することは、接着部全体を剥がさなれば、ほぼ不可能であるからである。また、接着剤は製造コストの上昇につながる可能性がある。その理由として、材料コストと製造工程で生じる遅延とが挙げられる。この製造工程で生じる遅延は、特に、互いに接続すべき表面がいくらか粗いために急速硬化タイプの層接着剤を使用できない場合に硬化処理が緩慢になるせいでもたらされる。また、接着剤の強度は、接続される要素の最外層の強度に依存している。
【0009】
WO2016/198547、WO2017/162693およびWO2018/015527は全て、液化される熱可塑性材料によって再凝固後にコネクタを軽量建築要素に固定するための方策を開示している。これらの方策で起こり得る制約は、固定強度が、コネクタが貫通する箇所における中間の層(インターライニング層)の機械的強度に依存する可能性があることである。しかしながら、たとえば適切に規定された位置および深さでコネクタを固定するためにこの箇所でインターライニングを除去する必要があるといった状況も起こり得る。
【0010】
WO2010/072009は、第1の建築層および第2の建築層を有する軽量建築要素にコネクタを固定する方法を開示している。コネクタは、スリーブ要素およびピストン要素を有する。当該方法は、機械的振動をピストン要素に結合して、スリーブ要素および/またはピストン要素の熱可塑性材料を界面で液化させるとともに、液化された熱可塑性材料を第1の建築層の構造体内に、および/または第1の建築層の内面に沿って流動させるステップを含む。この方策は、一般に、固定するのに最も有効な位置(たとえば第1の建築層の遠位側)ではごく限られた量の熱可塑性材料しか液化され得ないという点で制約がある。
【0011】
WO2009/052644は、構造対象物に固定要素を固定する方法を開示している。当該方法は、機械的振動エネルギおよび引張力をソノトロード内に結合するとともにソノトロードから固定要素内に結合し、同時にカウンタ要素を用いて固定要素に対抗力を加えるステップを含む。振動エネルギおよび力の作用により、固定要素の材料が液化され、対象物の構造を貫通して、そこに固定される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
発明の概要
本発明の目的は、上述の問題の一部または全てを解決するかまたは少なくとも軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この目的のために、コネクタ要素を収容対象物に固定する方法が提供される。当該収容対象物は、第1(外側)の建築層と、当該第1の建築層の遠位側にあるインターライニング層とを含む軽量建築要素であり、当該第1の建築層は、当該インターライニング層よりも薄くかつより高密度(とともに、一般に、インターライニング層の平均硬度の定義に関する限りは、より硬質)である。当該収容対象物は、当該コネクタ要素を収容するための取付穴を備えており、当該取付穴は、当該第1の建築層を貫通するとともに当該インターライニング層内に延在するかまたはインターライニング層内を貫通して延在しており、当該コネクタ要素は遠位端および近位端を有する。当該方法は、当該コネクタ要素の当該遠位端を、挿入軸に沿って挿入方向へと取付穴内に挿入するステップと、熱可塑性材料を含むスリーブを当該取付穴に挿入するステップとを含み、当該スリーブは当該コネクタ要素を囲むこととなり、当該方法はさらに、当該スリーブの遠位向き液化面を当該コネクタ要素の近位向き支持面に接触させるステップと、エネルギを伝達して、当該スリーブの当該熱可塑性材料のうち少なくとも流動部分を液化させ、液化面を支持面に押当てて、当該流動部分のうち少なくともごく一部を径方向外向きに流動させるステップと、当該流動部分を再凝固させるステップとを含み、これにより、再凝固された流動部分が当該コネクタ要素を当該収容対象物に固定する。このような方法は、収容対象物の材料にたとえば層間剥離または亀裂をもたらすことなく、コネクタ要素と収容対象物との間に強い係合をもたらす。
【0014】
多くの実施形態においては、当該収容対象物はさらに、第2の(外側の)建築層を有し、第1の建築層と第2の建築層とがインターライニング層を挟み込んでいる。第2の建築層はまた、インターライニング層よりも薄く、より高密度(インターライニング層の平均硬度の定義に関する限り、より硬質)であり得る。いくつかの実施形態における第2の建築層は第1の建築層と同じ組成を有する一方で、他の実施形態では、要件に応じて、第2の建築層は異なる組成を有する。
【0015】
スリーブがコネクタ要素を「囲む」とは、スリーブが、少なくとも1つの軸方向深さでコネクタ要素の外周部の少なくとも大部分を断続的にまたは途切れることなく囲む部分を有することを意味する。
【0016】
一実施形態に従うと、スリーブは、コネクタ要素を部分的に囲む。本実施形態は、たとえば、コネクタ要素が収容対象物の取付穴から外に延在する場合に用いることができる。
【0017】
実施形態群においては、近位向き支持面は、コネクタ要素の広がり部(たとえば、鍔部)の肩部として形成されている。
【0018】
いくつかの実施形態においては、流動部分は、第1の建築層の直ぐ遠位側の領域(第1の建築層の「下」)に流れ込む。
【0019】
実施形態群においては、近位向き支持面は、たとえば、近位側および径方向内側に面することによって、径方向に対してアンダーカットを規定しており、これにより、近位側に開口した溝が形成される。当該溝の外壁は、近位向き支持面(の一部)であり、径方向のアンダーカットを形成している。これにより、近位向き支持面は、液化界面の一部を形成するだけでなく、押圧力の作用によってスリーブまたはそのいくつかの部分が径方向外向きに曲がるかまたは迂回するのを防ぐ留め部としても機能する。これは、軽量建築要素のインターライニング層材料の強度がしばしば制限されることを考慮すれば有益であり得る。
【0020】
いくつかの実施形態においては、当該コネクタ要素は、近位側からアクセス可能である第1のコネクタインターフェイスを備え、当該第1のコネクタインターフェイスは、別の対象物のうち噛合せ用の第2のコネクタインターフェイスと係合するように構成されている。これにより、当該コネクタは、さらに別の対象物のための固定具として機能し得る。
【0021】
固定具として機能することに加えて、または固定具の代わりに、コネクタはリベットとして構成されてもよい。したがって、他の実施形態においては、当該方法は、取付穴を貫通穴として設けるステップと、取付穴と位置合わせされた貫通穴を有するさらに別の対象物を設けるステップと、コネクタ要素を遠位側から挿入するとともにスリーブを近位側から挿入するステップと、収容対象物およびさらに別の対象物を、固定工程後にコネクタ要素の足部とスリーブ要素の頭部との間にクランプさせるステップとを含む。
【0022】
いくつかの実施形態においては、当該取付穴は、第1の建築層の遠位側にアンダーカットが設けられており、このため、取付穴の断面は、第1の建築層を横断して設けられているその口部よりも、第1の建築層の遠位側(「下側」)でより大きくなっている。
【0023】
一実施形態に従うと、スリーブおよびコネクタ要素は、予め組み立てられるとともに、同時に上記取付穴内に挿入されてもよい。代替的には、スリーブおよびコネクタ要素は、1つずつ挿入されてもよい。一例として、コネクタ要素は、スリーブよりも前に挿入されてもよい。しかしながら、スリーブおよびコネクタ要素をアセンブリとして挿入することで、固定工程がより簡素化され得る。なぜなら、たとえば、スリーブ挿入中にコネクタ要素の位置を取付穴内に維持する必要がないからである。また、スリーブが取付穴に密に嵌合し得るので、挿入方向が垂直下方向に向くのを防ぐことが容易になる。
【0024】
一実施形態に従うと、スリーブはコネクタ要素に接着されない。これにより、スリーブのうちさまざまな部分が液化するのに応じて、コネクタ要素を静止させたままでスリーブの非液化部分をコネクタ要素に沿って軸方向に移動させることが可能となり得る。これにより、コネクタ要素の最終位置を明確に規定することが容易になる。
【0025】
一実施形態に従うと、エネルギは、機械エネルギ伝達、好ましくは機械的振動によって伝達されてもよい。機械的振動は、スリーブとコネクタ要素および/または収容対象物との界面となる箇所において摩擦熱を発生させる可能性がある。機械的振動は、たとえばスリーブと接触する超音波振動源によって引起こされる可能性もある。一実施形態に従うと、超音波振動源は、固定工程全体を通じてコネクタ要素と接触しないように保持されてもよい。振動中にスリーブを取付穴内に軸方向に押込むことにより、スリーブがコネクタ要素および/または収容対象物に軸方向に当接する領域において液化を開始させてもよい。
【0026】
代替的な実施形態に従うと、機械エネルギの伝達は、スリーブおよびコネクタ要素を軸の周りで相対的に回転させることを含み得る。この目的のために、第1の実現可能性によれば、スリーブをコネクタ要素の近位向き支持面に押当てたままで回転させている間に、コネクタ要素は、保持工具によって固定された向きで保持される。第2の実現可能性によれば、スリーブは、軸を中心としたコネクタ要素の回転中に、コネクタ要素の支持面に対してスリーブを押当てる押圧工具によって、固定された向きで軸の周りに保持される。たとえば、スリーブおよびコネクタ要素の両方をたとえば反対方向に回転させる、さらに別の変形例も実現可能である。工具(向きを固定する工具/押圧工具/回転工具)を係合させるための係合構造は、たとえば、スリーブ/コネクタ要素の内側係合構造であってもよい。このようなトルク伝達係合構造は、回転防止手段または回転駆動のために公知であるような多角形構造、マルチローブ構造、星形構造などの公知の構造と同様であってもよい。
【0027】
機械的振動エネルギ伝達および回転エネルギ伝達および/または他の種類のエネルギ伝達を組合わせることもできる。したがって、たとえば熱による回転および/または機械による回転の伝達中にも、たとえば、エネルギの一部のみを機械的振動によって伝達することが可能である。
【0028】
一実施形態に従うと、熱可塑性材料の液化は、スリーブとコネクタ要素との間の液化開始界面で開始されてもよい。これにより、液化が始まる場所は、スリーブおよびコネクタ要素の設計および公差によって十分に規定されることとなり、結果として、正確かつ再現可能な固定工程が得られる。さらに、スリーブと収容対象物との間に圧力および/または摩擦荷重を加える必要がないので、収容対象物の材料が破損するリスクが最小限にされる。スリーブとコネクタ要素との間に軸方向力を加え、スリーブをコネクタ要素に対して相対的に移動させて(加えて、収容対象物に対して相対的に、特に遠位方向に移動させて)摩擦熱を発生させることによって、上記液化開始界面において液化を開始させてもよい。一実施形態に従うと、上記液化開始界面は、スリーブの遠位端に位置していてもよい。これにより、コネクタ要素を深く固定することが確実にされる。液化開始界面は、スリーブの軸方向端部とコネクタ要素の鍔部との間の界面によって形成されてもよく、コネクタ要素の本体部分から挿入軸に対して径方向に延びていてもよい。このような鍔部は、コネクタ要素の遠位端に配置されてもよい。代替的には、コネクタ要素は、このような鍔部の遠位側に配置された遠位部分を備えていてもよい。
【0029】
一実施形態においては、このような鍔部は、コネクタ要素の周り、たとえばその遠位端において、途切れなく延在している。
【0030】
代替的な実施形態においては、鍔部は途切れることなく、コネクタ要素の複数の径方向突起によって構成されている。このような径方向突起は、たとえば歯形状であってもよい。
【0031】
一実施形態においては、このような鍔部は、工程中に液化されることとなるスリーブまたは少なくともその遠位部分の径方向延在部に対応する径方向延在部を有する。
【0032】
代替的な実施形態においては、このような鍔部は、スリーブの遠位部分の径方向延在部よりも小さい径方向延在部を有する。
【0033】
一実施形態に従うと、エネルギは、スリーブの熱可塑性材料のうち軸方向に分離した複数の部分を順々に液化させるために伝達されてもよい。これらの軸方向に分離した部分を順々に液化することにより、これらの軸方向に分離した部分の各々に液化エネルギを連続的に集中させ得る。これにより、コネクタ要素の軸方向長さのうちかなりの部分に沿って液化がなされ得るが、スリーブに伝達される液化エネルギはほんのわずかである。これは、金属などの熱伝導性の高い材料でできたコネクタ要素と組合わせると特に有用であり得る。なぜなら、熱伝導性が高ければ、液化材料の流れる範囲が制限される可能性があるからである。スリーブの熱可塑性材料のうち軸方向に分離した部分は、遠位端から近位端に向かって連続して液化され得る。スリーブの熱可塑性材料のうち軸方向に分離した部分は、コネクタ要素のうちそれぞれ異なる部分、たとえば肩部および/または径方向鍔部および/または取付穴壁の肩部などと順々に係合することによって順々に液化され得る。
【0034】
一実施形態に従うと、コネクタ要素の遠位端またはコネクタ要素の他の遠位向き当接面は、熱可塑性材料のうち少なくとも一部分を液化する前に、取付穴の軸方向支持面に当接する軸方向端部位置にまで動かされてもよい。これにより、コネクタ要素は、固定工程全体を通じて軸方向支持面に対して静止した状態で保持され得ることとなり、その最終位置を正確かつ十分に規定することが可能となる。このような軸方向支持面は、たとえば、第2の構築層の内面によって形成されてもよい。
【0035】
一実施形態に従うと、当該方法は、液化された熱可塑性材料のうち少なくとも一部分がコネクタ要素の本体から径方向に延在する構造を軸方向に囲むことを可能にし、その後、液化された熱可塑性材料が凝固してコネクタ要素とスリーブとの間に軸方向支持をもたらすことを可能にするステップをさらに含み得る。径方向に延在する構造は、一例として、コネクタ要素の本体部分を囲むとともに当該本体部分から径方向に延在する鍔部を備えていてもよい。代替的には、エネルギが機械的振動エネルギであるかまたは機械的回転エネルギとは異なる他のエネルギである場合、径方向に延在する構造は、隆起部または複数の隆起部として形成されてもよい。概して、円周方向の鍔部とは異なる延在構造も相対的な回転運動に抵抗する支持をもたらす。しかしながら、相対的な回転運動に抵抗する支持をもたらすこのような構造は、エネルギが機械的回転エネルギである実施形態に対してさほど有利ではないことが多い。
【0036】
径方向に延在する構造に加えて、またはその代替例として、コネクタ要素は少なくとも1つの窪みを備えていてもよい。当該少なくとも1つの窪みにスリーブの材料が係合して軸方向支持をもたらし、場合によっては相対的な回転運動に抵抗する支持をもたらし得る。
【0037】
一実施形態に従うと、特に、エネルギが機械的振動エネルギであるかまたは回転エネルギとは異なる他のエネルギである場合、当該方法はさらに、液化された熱可塑性材料のうち少なくとも一部がコネクタ要素のうち接線方向に(方位角方向に)変化する表面構造を囲むことを可能にし、その後、液化された熱可塑性材料が凝固してコネクタ要素とスリーブとの間の係合に対して回転抵抗をもたらすことを可能にするステップを含み得る。接線方向に変化する構造は、一例として、径方向の鍔部上に隆起部を備えてもよく、当該隆起部は径方向および/または軸方向に延在している。
【0038】
当該方法は、スリーブの上記少なくとも一部分が液化されている間、スリーブの近位端をコネクタ要素に対して相対的に挿入方向に移動させるステップを含み得る。これにより、液化された熱可塑性物質をインターライニング層の領域におけるいずれかの空間内に押込み得る。
【0039】
一実施形態に従うと、コネクタ要素は、収容対象物の外面と同一平面上にある位置または皿穴に埋められた位置まで取付穴内に挿入されてもよい。また、スリーブは、代替的または付加的には、スリーブの近位端が収容対象物の上記外面と同一平面上にある位置または皿穴に埋められた位置にまで動かされてもよい。これにより、任意のそれぞれの突起部が、上記第1のコネクタインターフェイスおよび第2のコネクタインターフェイスを介して収容対象物に取付けられるべき対象物と干渉するかまたは当該対象物の下で押しつぶされるリスクが低減され得る。
【0040】
本発明の別の局面に従うと、上述の問題の一部または全ては、第1の建築層と、当該第1の建築層の遠位側にあるインターライニング層とを含む軽量建築要素であるコネクタ要素固定キットによって解決されるか、または少なくとも軽減される。第1の建築層は、インターライニング層よりも薄く高密度である。当該キットは、収容対象物に固定されるように構成されたコネクタ要素を含み、当該コネクタ要素は、挿入軸に沿って挿入方向に収容対象物の取付穴に挿入するための遠位端と、近位端とを有する比較的非熱可塑性の本体を有し、当該コネクタ要素固定キットはさらに、熱可塑性材料を含むスリーブを含み、当該スリーブは、遠位端および近位端を有するとともに、コネクタ要素を収容して囲むように構成される。当該キットは前述の方法を実行するように構成される。このようなキットを用いることで、コネクタ要素を取付穴内に固定してもよい。これにより、収容対象物の材料にたとえば層間剥離または亀裂をもたらすことなく、強固な係合がもたらされる。
【0041】
一実施形態に従うと、スリーブは、軸方向に分離された複数の肩部を備えてもよい。当該複数の肩部は、コネクタ要素のうち軸方向に分離された複数の支持面と係合して、軸方向に分離した複数の溶融領域においてスリーブを液化させるように構成されている。これにより、コネクタ要素は、いくつかの軸方向位置で固定され得る。スリーブの上記複数の肩部は、任意には、1つの溶融領域の肩部が液化した後にのみ別の溶融領域が係合可能となるように、上記複数の肩部がコネクタ要素のそれぞれの支持面と同時に係合することを防ぐ軸方向位置に配置されてもよい。複数の肩部は、たとえば、スリーブの遠位端から順々に液化するように軸方向に配置されてもよい。
【0042】
一実施形態に従うと、コネクタ要素は、本体から挿入軸に対して径方向に延在する鍔部を有していてもよく、スリーブは、その遠位端に、鍔部の断面よりも小さい内部断面を有してもよい。コネクタ要素は、鍔部がスリーブの遠位端と軸方向に係合する接着開始位置にまでスリーブ内に挿入可能である。鍔部は、スリーブのためのアンビルを形成してもよく、これにより、取付穴の底部に配置される可能性もあるコネクタ要素の遠位端において鍔部を溶融させてもよい。鍔部は、本体を囲む連続的または断続的な隆起部を形成してもよい。隆起部は、挿入方向に対して垂直な平面に沿って追従していてもよい。鍔部は、再凝固した熱可塑性材料と共に、コネクタ要素とスリーブとの間に接着部を形成することとなる。当該接着は、特に挿入方向と逆方向にコネクタ要素を引張る力に対抗する高い軸方向強度を有している。
【0043】
一実施形態に従うと、スリーブは、遠位端を除く少なくともすべての軸方向位置において径方向に緩く嵌合した状態でコネクタ要素を囲むように構成されてもよい。これにより、スリーブが遠位端以外の軸方向位置で溶融し始めるリスクが低減される。「径方向に緩く嵌合した状態」という表現は、摩擦嵌合と解釈されるべきではなく、間隙の存在を示唆するものではない。一実施形態に従うと、スリーブの遠位端も径方向に緩い嵌合をもたらし得る。
【0044】
一実施形態に従うと、コネクタ要素は、近位端と遠位端との間の中間領域に配置されるとともに本体から挿入軸に対して径方向に延在する少なくとも1つの中間鍔部を備えてもよく、スリーブは、中間鍔部を収容するための内向き円周スロットを備えてもよい。中間鍔部は、コネクタ要素と収容対象物との間における、特にコネクタ要素を挿入方向に押す力に対抗する、固定された係合の軸方向強度を高め得る。これは、取付穴が貫通穴である場合、または、薄くて弱い底壁のみを残して取付穴が収容対象物をほぼ完全に貫通して延在している場合、特に有用であり得る。これにより相当な材料節約が可能となる。なぜなら、挿入方向への固定のための軸方向強度を維持した状態で、収容対象物の厚さを薄く維持することができるからである。一実施形態に従うと、コネクタ要素は、接着開始位置において保持されるようにスリーブ内に挿入可能である。この接着開始位置においては、中間鍔部が円周スロット内に収容されるとともに、中間鍔部が円周スロットを画定する近位側端縁から軸方向に分離されている。これにより、円周スロットの近位側端縁は、液化工程がいずれか他の場所で開始されるまで中間鍔部と係合しなくなるだろう。これにより、軸方向に分離された溶融領域を得ることが容易になる。
【0045】
一実施形態に従うと、スリーブは、熱可塑性材料でできた近位端側液化鍔部を備えていてもよい。液化鍔部は、液化鍔部とコネクタ要素(たとえば、特に、エネルギが機械的振動エネルギであるかまたは回転エネルギとは異なる他のエネルギである場合、スリーブの外面に沿って軸方向に延在する隆起部など)との間の摩擦を増加させるための表面構造を備えていてもよい。コネクタ要素は、挿入軸に対して垂直な方向に見た場合に液化鍔部がコネクタ要素の近位側に位置するがコネクタ要素とは重ならない接着開始位置まで、スリーブ内に挿入可能であってもよい。これにより、コネクタ要素全体が収容対象物の取付穴内に収容されても、接着工程の初期段階に、液化鍔部が取付穴の円周端縁から軸方向に離間された状態で保持され得る。これは、液化鍔部が収容対象物と係合せず、スリーブのうちより遠位側の部分が液化されるまで液化するであろうことを意味する。
【0046】
一実施形態に従うと、スリーブの外面の大部分は、液化鍔部などにおける外面のうち意図される以外の領域での過度の摩擦および偶発的な液化を避けるために、滑らかであってもよい。
【0047】
一実施形態に従うと、スリーブは、挿入軸に沿って見たときに、コネクタ要素よりも少なくとも20%長くてもよい。これにより、スリーブが液化して軸方向に収縮する間、スリーブに対する軸方向圧力が維持され得る。
【0048】
一実施形態に従うと、コネクタ要素は、コネクタアセンブリを形成するためにスリーブ内に予め装着されてもよい。このような構成により、固定工程を実現する機械類がより簡素化され得る。
【0049】
一実施形態に従うと、コネクタ要素は、接着開始位置においてスリーブと連結式に係合するように構成されてもよい。このような構成により、固定工程を実現する機械類がより簡素化され得る。いくつかの実施形態に従うと、スリーブは、コネクタ要素と連結されている場合、コネクタ要素を越えて、スリーブの全長の少なくとも20%または少なくとも30%だけ近位方向に延在してもよい。
【0050】
一実施形態に従うと、スリーブは、挿入軸に対して垂直な断面に見られるように、その中心軸が挿入軸と重なっている実質的に円形であってもよい。このようなスリーブは、円形の取付穴に特に適している。同様に、コネクタ要素は、上記断面に見られるように円形であってもよい。
【0051】
一実施形態に従うと、スリーブは、コネクタ要素を囲んだ状態では、挿入方向に沿って見られるように、コネクタ要素を少なくとも部分的に覆うように径方向内側に延在する近位端側鍔部を備えていてもよい。このような設計により、コネクタ要素に付加的な軸方向支持をもたらし得る。さらに、近位端側鍔部は、コネクタ要素が収容対象物の表面に調和するように、上記穴に隣接する収容対象物の外面と同じ色であってもよい。
【0052】
径方向内向きに延在する端側鍔部に加えて、またはその代替例として、スリーブは、たとえば径方向外向きに延在するフランジ(たとえば、近位端側鍔部)によって形成される頭部を備えていてもよい。
【0053】
本発明のさらに別の局面に従うと、上述の問題の一部または全ては、上述の方法のいずれかに従った工程を実行するように構成された機械によって解決されるか、または少なくとも軽減される。当該機械は、上述のコネクタ要素固定キットのいずれかを用いて工程を実行するように構成され得る。
【0054】
図面の簡単な説明
本発明についての上述および追加の目的、特徴および利点は、同じ参照番号が同じ要素または機能的に同等の要素に使用されている添付の図面を参照することで、本発明の好ましい実施形態についての以下の例示的かつ非限定的な詳細な説明によってより良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【
図1a】第1の実施形態に従ったコネクタ要素を示す概略斜視図である。
【
図1b】
図1aの矢印B-Bに沿った、
図1aのコネクタ要素の断面を示す斜視図である。
【
図2a】第1の実施形態に従ったスリーブを示す概略斜視図である。
【
図2b】
図2aの矢印B-Bに沿った、
図2aのスリーブの断面を示す斜視図である。
【
図3】
図1aおよび
図1bのコネクタならびに
図2aおよび
図2bのスリーブを含む、固定工程中のコネクタアセンブリの断面を示す概略図である。
【
図4】固定工程の後半段階における
図3のコネクタアセンブリの断面を示す概略図である。
【
図5】固定工程の後半段階における代替的なコネクタアセンブリの断面を部分的に示す概略図である。
【
図6】固定工程の初期段階におけるさらに別のコネクタアセンブリの断面を部分的に示す概略図である。
【
図7】固定工程の初期段階におけるさらに別のコネクタアセンブリの断面を部分的に示す概略図である。
【
図8】固定工程後の
図7のアセンブリの断面を部分的に示す概略図である。
【
図9】さらに別のコネクタ要素を示す概略図である。
【
図10】スリーブおよび第1の建築層の詳細を示す断面図である。
【
図12】さらに別のコネクタアセンブリの断面を部分的に示す概略図である。
【
図13】収容対象物と離間ホルダを備えたコネクタ部品との断面を部分的に示す概略図である。
【
図14】第2の建築層と離間ホルダを備えたコネクタ部品との断面を部分的に示す概略図である。
【
図15a】さらに別のコネクタ部品の遠位端の断面を示す概略図である。
【
図15b】さらに別のコネクタ部品の遠位端の断面を示す概略図であって、
図15aの面B-Bに沿った断面を示す図である。
【
図16】さらに別のコネクタアセンブリを示す図である。
【
図17】固定工程の終了時における代替的なコネクタアセンブリの断面を部分的に示す概略図である。
【
図18】さらに別の代替的なコネクタアセンブリの断面を部分的に示す概略図である。
【
図19】固定工程開始時におけるさらに別の代替的なコネクタアセンブリの断面を部分的に示す概略図である。
【
図20】さらに別のコネクタアセンブリをソノトロードと共に示す概略断面図である。
【
図21】コネクタアセンブリのさらに別の実施形態のコネクタ要素を示す概略図である。
【
図22】本実施形態のスリーブを示す概略図である。
【
図23】
図21のコネクタ要素および
図22のスリーブを組立てられた状態で別の方向から示す概略図である。
【
図24】固定工程後の
図23のコネクタアセンブリを示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0056】
例示的な実施形態の詳細な説明
図1aは、収容対象物に固定するためのコネクタ要素10を示す。コネクタ要素10は、コネクタインターフェイス14を備えた近位端12を有する。コネクタインターフェイス14は、図示される実施形態においては、雌型コネクタインターフェイスとして構成されており、雌ねじ16を備える。雌ねじ16はこれと噛合う外ねじが設けられたねじ(図示せず)と係合させられることとなる。コネクタ要素10はさらに、収容対象物の取付穴(図示せず)に挿入するための遠位端18を有する。コネクタ要素10は、ほぼ円筒形の本体20を有しており、当該円筒形状は、ねじ付きの雌型コネクタインターフェイス14の円筒形と同軸である。コネクタ要素10は、その遠位端18において、円周方向の遠位端側鍔部22を有する。遠位端側鍔部22は、本体20から、円筒形状の中心軸C1に対して径方向に延在している。遠位端側鍔部22の近位面24は、コネクタ要素の近位向き支持面として機能するとともに、遠位方向に傾斜しており、複数の径方向隆起部26によって規定される表面構造を有する。近位端12と遠位端18との間の中間領域において、コネクタ要素10は、本体20から中心軸C1に対して径方向に延在する円周方向の中間鍔部28を備える。近位端12において、コネクタ要素10は、遠位方向に向かって傾斜する円周肩部30を規定するように先細になっている。
【0057】
図1bは、
図1aにおいて矢印B-Bによって示されるように、コネクタ要素10の断面を示す。
図1bに見られるように、中間鍔部28は、遠位方向に傾斜する近位面32と、中心軸C1に対して実質的に垂直な平面に延びる遠位面34とを有する。コネクタ要素10は、典型的には5mm~40mmであり得る全長LCを有する。コネクタ要素10はまた、コネクタ要素10の長さに沿って変化する直径を有する。当該直径は、遠位端側鍔部でその最大値DCに達する。
【0058】
図2aは、熱可塑性材料で作られたスリーブ36を示す。スリーブ36は、滑らかで概ね円筒形の外面37と、以下でさらに説明されるように、コネクタ要素10を収容して囲むように構成された円筒形の内側開口部38とを有する。スリーブ36の内側円筒形状37および外側円筒形状38はスリーブの中心軸C2と同軸である。遠位端40において、スリーブ36は、スリーブ36の遠位端から近位端44に向かって延在する1対の拡張スロット42a、42bを備える。スリーブ36の内側の遠位縁は、遠位側液化肩部41を規定する。近位端44において、スリーブ36は、スリーブ36から中心軸C2に対して径方向に延在するリム46を備える。近位端側液化鍔部47は、複数の摩擦隆起部48によって規定される。複数の摩擦隆起部48は、中心軸C2の方向に沿って延在するとともに外面37の外周に分布している。摩擦隆起部48の遠位端は、遠位方向に面する近位側液化肩部49を規定する。
【0059】
図2bは、スリーブ36を
図2aの矢印B-Bに沿った断面で示す。
図2bに示されるように、近位端44は、遠位方向に面する近位端内側肩部52を規定する内側延在リム50を備える。近位端44と遠位端40との間の中間領域では、スリーブ36は、コネクタ要素10(
図1a)の中間鍔部28を収容するための内向き円周スロット54を備える。スロット54の遠位端縁56が遠位方向に傾斜しているのに対して、中間液化肩部oを規定するスロット54の近位側端縁は、中心軸C2に対して垂直な平面に対して実質的に平行である。スリーブは、一例として、典型的には7mm~60mmであり得る全長LSを有する。
【0060】
スリーブ36は、
図1aおよび
図1bのコネクタ要素10と共に、コネクタ要素固定キットを規定する。コネクタ固定キット60を組立ててコネクタを形成するために、コネクタ要素10の近位端12が、組立方向に沿ってスリーブ36の遠位端40内に押込まれる。挿入中、拡張スロット42aおよび42bは、スリーブ36の遠位端40を弾力的に拡張させて、コネクタ要素10の中間鍔部28をスリーブ36の円周スロット54内に押込むことを可能にする。中間鍔部が円周スロット内に到達すると、スリーブ36の遠位端40が弾力的に縮んで、スリーブ36とコネクタ要素10とを連結係合させる。この構成においては、遠位側液化肩部41が遠位端側鍔部22と係合するのに対して、中間液化肩部58は中間鍔部28から軸方向に分離される。中間鍔部28の遠位面34(
図1b)とスロット54の遠位端縁56(
図2b)との係合により、スリーブ36およびコネクタ要素10を連結係合させた状態で維持する。スリーブ36は、軸方向全長に沿って径方向に緩く嵌合した状態でコネクタ要素10を囲む。スリーブ36は、コネクタ要素10よりも長く、コネクタ要素10を越えて近位方向に延在している。
【0061】
図3および
図4は、軽量建築要素である収容対象物66内にコネクタ要素10を固定するための接着工程を示す。
【0062】
このような軽量建築要素は、たとえば、ガラス繊維複合材などの繊維複合材または炭素繊維複合材もしくは業界によってはファイバーボードの金属薄板などできた2つの比較的薄い建築層と、たとえば、厚紙もしくは他の材料のハニカム構造、または、軽量の金属発泡体、ポリマー発泡体もしくはセラミック発泡体など、または別個の離間ホルダの構造からなるとともに当該建築層の間に配置された中間の層(インターライニング)とを含む。
図3および
図4の実施形態においては、中間層は発泡材料として描かれているのに対して、以下に記載する他の実施形態においては、インターライニング層はハニカム層として示されている。
【0063】
したがって、
図3および
図4の軽量建築要素は、第1の建築層101と、第2の建築層102と、第1の建築層と第2の建築層との間に挟まれたインターライニング層103とを備える。
【0064】
コネクタ要素10およびスリーブ36を備えるコネクタは、軽量建築要素の取付穴64に挿入され、この取付穴64は、第1の建築層101を貫通するとともに、図示の実施形態においては、インターライニング層103も貫通している。
図3は、固定工程開始時の構成を示す。
【0065】
固定中、超音波振動エネルギが、スリーブ36の近位端44と係合するソノトロード(図示せず)によってスリーブに伝達される。ソノトロードは、矢印72の方向に軸方向圧力を加えるとともに、スリーブ36を振動させることで、スリーブ36とコネクタ要素10との間の界面に摩擦熱を発生させる。
【0066】
固定工程のために、ソノトロードは、スリーブを遠位方向に向かって押圧し、これにより、スリーブ36の遠位側液化肩部41をコネクタ要素10の遠位端側鍔部22に押当てる。遠位側液化肩部41と近位面24との係合により、遠位側液化開始界面が規定される。遠位側液化開始界面74でのソノトロードの超音波振動によって生成される摩擦熱により、
図3に示されるように、スリーブの遠位端の熱可塑性材料が液化される。ソノトロードが振動し続け、スリーブ36を挿入方向に沿って押込むと、スリーブ36の液化された熱可塑性物質が径方向外向きに流れてインターライニング層103の領域内に流れ込む(
図3の矢印を参照)。
【0067】
液化された熱可塑性材料の流動部分は、コネクタ要素10の遠位端に隣接するインターライニング層の材料内に押込まれる。遠位端側鍔部22は、コネクタ要素10と取付穴64の内壁との間に、液化された熱可塑性物質で満たされた間隙の比較的液密な底部を規定し、これにより、液化された熱可塑性物質76を径方向外向きに誘導して発泡体の細孔などの中間層の構造内に送り込む。液化された熱可塑性物質はまた、遠位端側鍔部22の表面構造と係合することで、後に、熱可塑性物質が冷えて凝固したときにスリーブおよび鍔部の相対的な回転運動に抵抗する係合を形成する。
【0068】
スリーブ36が挿入方向に沿って移動すると、スリーブ36の中間液化肩部58が中間鍔部28の近位面32と係合して、中間液化開始界面を形成する。
【0069】
押圧力72および機械的振動を加え続けると、ソノトロードによって、中間液化肩部58がコネクタ要素10の中間鍔部28に押当てられる。中間液化開始界面でソノトロードの超音波振動によって生成される摩擦熱は、
図4に示されるように、スリーブ36の中間部分の熱可塑性物質を液化させる。ソノトロードが振動し続けてスリーブ36を挿入方向に沿って押込むと、スリーブ36の液化された熱可塑性物質76が引き続きインターライニング層の材料内に押込まれる。
【0070】
取付穴64は、その材料組成に応じて、第1の建築層101の遠位側にアンダーカットが設けられていてもよい。すなわち、取付穴の断面は、インターライニング層の領域の方が第1の建築層を貫通する領域よりも大きい可能性がある。これにより、熱可塑性材料が受ける可能性のある、径方向外向きの流れに対抗する抵抗がより少なくなる。このようなアンダーカットが設けられた取付穴は、たとえば、その軸を中心として揺動可能な掘削工具によって設けられてもよい。加えて、または代替例として、アンダーカットは、特に、インターライニング層としての比較的低密度の発泡材が上記液化された熱可塑性材料の静水圧によって径方向に圧縮される工程によって、設けられてもよい。また、大きな複数の孔を有する開放多孔質構造は、それ自体の多孔性によって、第1の建築層の底流を可能にし得る。
【0071】
所望の位置に達すると、たとえばソノトロードを非通電にするか、またはソノトロードをスリーブ36から分離することによって、圧力および振動が止まり、熱可塑性物質76を再凝固させることが可能となる。スリーブ36の頂部は、固定工程全体にわたって損なわれないままであり、最終位置では、コネクタ要素10を超えて挿入方向とは反対方向に延在している。図示した例では、コネクタ要素10は、取付穴64の軸方向深さよりも短い軸方向長さLC(
図1b)を有しており、このため、最終位置にあるとき、取付穴64内においてわずかに皿穴に埋められることとなる。これにより、ソノトロードとコネクタ要素10とが偶発的に接触するのが回避され得る。なぜなら、収容対象物66の表面がソノトロードのための終端停止部として機能し得るからである。接着中、スリーブ36の近位端内側肩部52(
図2b)は、肩部30をしっかりと埋込むためにコネクタ要素10の円周肩部30(
図1a)との摩擦係合によって液化されてしまっていてもよい。代替的には、固定工程は、近位端内側肩部52がコネクタ要素10の円周肩部30に到達する前に停止されてもよい。
【0072】
最終位置で、スリーブ36は、収容対象物66の表面よりも上に突出していてもよい。軽微な変形例においては、当該工程は、逆に、スリーブ36の近位端44が収容対象物66の表面と同一平面となる位置に到達するまで続けられてもよい。別の変形例においては、第3の接着ステップは、スリーブ36の近位端44が収容対象物66内において皿穴に埋められる位置に到達するまで継続してもよい。
【0073】
図3および
図4に示す構成の場合、特に引き抜き力に対抗する実現可能な固定強度は、インターライニング材料に応じて控えめな程度にしかならない可能性がある。なぜなら、インターライニング材料自体の寸法安定性が制限される可能性があるからである。これが許容できない状況では、以下に記載の対策が取られてもよい。たとえば、図示される第2の(中間の)液化界面は、
図3および
図4に示す界面よりも近位側にあってもよく、または、第2の液化界面よりも近位側に配置された第3の液化界面が存在してもよく、これにより、流動部分のうち少なくとも一部が第1の建築層の直ぐ遠位側の空間に流入することとなる。
【0074】
また、拡張スロット42a、42bは、スリーブの熱可塑性材料がその液化前に径方向外向きに押込まれるのを防ぐために省かれてもよい。
【0075】
図5は、副建築層領域111において、第1の建築層の直ぐ遠位側の領域における固定の原理を示す。この原理に従った熱可塑性材料の流動部分76は、近位向き支持面24と第1の建築層(または正確には、その遠位向き表面)との間にあるとともに第1の建築層に設けられた取付穴の口に隣接する空間を満たしている。これにより、流動部分76は、コネクタ要素10と共に一種のリベットを形成し、第1の建築層の強度および寸法安定性により、収容対象物から引張り出されないように固定される。
【0076】
図1aおよび
図1bにおいては、近位向き支持面24は、コネクタ要素10の本体20から離れるよう傾斜しているように示されている。すなわち、支持面24は、近位側および径方向外側に面している。このような構成は、取付穴周囲の材料が、高い寸法安定性を有していることで、スリーブを誘導するとともに、スリーブの一部および当該スリーブの液化された熱可塑性材料の一部が外側に移動したり流れ出したりするのを防いでいる状況において特に有利である。支持面の先細形状は、所望の径方向外向きの流れを支援する。
【0077】
しかしながら、取り付け穴周りの材料が比較的弱いといった、インターライニング層の場合に該当することの多い状況では、軸から大きく遠ざかるような傾斜は、熱可塑性材料を第1の建築層101の直ぐ遠位側に流動させたいという要求に反する可能性がある。この目的のために、
図5の例における支持面24は、軸に対してほぼ垂直に、軸からほんのわずかに離れるように傾斜するように示されている。
【0078】
他の実施形態においては、特にスリーブが比較的薄い場合、ならびに/または、インターライニング材料が取付穴の周りで除去されており、および/もしくは、ほとんど抵抗をもたらさない場合、スリーブが径方向外側に向かって変形するのを防止するとともにスリーブの非液化部分を径方向に閉じ込める留め部を備えるようにコネクタ要素を構成することも所望され得る。このような構成を
図6に示す。近位向き支持面24は、近位側および径方向内側に面しており、これにより、コネクタ要素は、径方向に対してアンダーカットを形成するとともに、支持面24は、固定要素本体20と共に凹面全体を規定する。これにより、スリーブのうち軟化しているがまだ流動性を持たない部分が外方向に摺動するのが防止される。熱可塑性材料は、完全に液化された場合にだけ、径方向外側に漏れ出し得る。
【0079】
図7は、第1の近位向き支持面24を含む変形例を示す。第1の近位支持面は、径方向に対してアンダーカットを形成しており、これにより、
図6に関連付けて説明した種類の留め部として機能する。第2の近位向き支持面25も、径方向に対してアンダーカットされていてもよいが、そうである必要はない。第2の近位向き支持面25は、当該工程においていくつかの第1の部分が第1の近位向き支持面24と接触することで液化してこれに対応してスリーブが短くなった後に、前述の種類の液化肩部58と協働することで熱可塑性材料の一部を液化させる。
図8は、流動部分76が第1の液化界面および第2の液化界面のそれぞれからの2つの主な寄与部77、79を有することによる結果を示す。この実施形態においても、流動部分は、その近位向き支持面のうちの少なくとも1つと第1の建築層101との間の空間を満たしている。
【0080】
図9は、第1の近位向き支持面24が径方向に対してアンダーカット(すなわち、近位側に向かって開いた円周溝)を規定している変形例を示す。しかしながら、
図7および
図8の実施形態とは対照的に、第2の近位向き支持面25は、同じまたは異なる軸方向位置において固定要素本体20の外周の周りに分布されている複数の径方向突起121に属することによって分布されている。径方向突起121は、第2の支持面25を規定するよう機能することに加えて、
図12を参照して以下でより詳細に説明するように、固定後にスリーブに対してコネクタ要素を安定させるようにも機能し得る。
【0081】
図10は、本発明のいずれかの実施形態にとって任意であり得る詳細を示す。すなわち、スリーブは、固定工程の終了以降に径方向内向きの動きに対抗してスリーブを固定するフランジ部131を有する。第1の建築層101は、任意には、工程の終了時にコネクタまたは少なくともそのスリーブが収容対象物の外面と本質的に同一平面上にあることが望ましい場合に、フランジ部分を収容するために取付穴に沿って浅い窪み132を有してもよい。
【0082】
図11は、まず、大きな弾力性を有する第1の建築層101を有する収容対象物に適用可能な原理を示す。固定工程において、第1の建築層は、スリーブの対応する特徴(たとえば、
図2a/
図2bに示される種類の隆起部48の遠位端面)によって内側に片寄るように変形されてもよい。次いで、収容対象物との摩擦が生じた場合に軟化して流動可能になるスリーブ材料の持つ高い弾性力および/または低い抵抗により、第1の建築層は、
図11において矢印で示されるように、その元の位置に戻るように曲がる。
【0083】
第2に、
図11は、第1の建築層101のためのコネクタの収容体積141を示す。このような収容体積は、
図11に示されるように、軸方向アンダーカットを有してもよい。取付穴の縁に沿った第1の建築層がこのような収容体積内に収容されている場合、これにより固定のための安定性が付加的に得られる。このような収容体積は、第1の建築層に可撓性がない実施形態の場合にも任意となる。次いで、収容体積の遠位側にあるスリーブ材料は、再凝固後にスリーブを第1の建築層に対して安定させるために、スリーブを挿入する工程で流動可能にされる。
【0084】
図12は、付加的な軸方向の安定性および/または回転安定性を与えるためにスリーブ材料と協働するための窪み151および/または突起152を有するコネクタ要素10の原理を示す。この場合、窪み151は、工程中にスリーブの液化された熱可塑性材料によって満たされることで、工程後に所望の押込み嵌合接続をもたらし得る。代替的には、スリーブ36は、窪みと協働するための予成形された突起を備えてもよく、挿入のためにわずかに可撓性を持つように構成されてもよい。突起152に関して、スリーブは、予成形された窪み153を備えてもよく、または代替的には、このような窪みは、液化されている熱可塑性材料によって工程の途中で形成されてもよい。
【0085】
多くの軽量建築要素ではインターライニング層103が厚すぎるので、鍔部が遠位端にある場合、コネクタ要素10が第2の建築層102に当接するまで取付穴内に挿入される場合、かつ、熱可塑性材料が副建築層領域111に流入する場合、近位向き支持面24だけを鍔部22に配置することができない。したがって、いくつかの実施形態における固定方法は、コネクタ要素が第2の建築層に達しない位置で当該コネクタ要素を保持するステップを含み得る。この場合起こり得る不利点は、当該位置が、機械類およびインターライニング材料に応じて、たとえば
図3および
図4に示されるようにコネクタが第2の建築層に当接する位置として規定されない可能性がある点である。
【0086】
図13は、コネクタが、支持面24を規定する鍔部22の遠位側に距離保持部161を備える実施形態を示す。このような距離保持部の高さhは、距離保持部161が第2の建築層または収容対象物内の他の規定構造に当接する位置にコネクタ要素10があるときに副建築層領域111に流動部分が流入するように、インターライニング層103の厚さに適合させてもよい。
【0087】
図14は、距離保持部がコネクタ要素の遠位端と第2の建築層101との間の補強材171によって形成されている変形例を示す。
【0088】
図15aおよび
図15bの実施形態においては、距離保持部は、中央要素181と自己リーミング翼部182とを含む構造によって形成されている。中央要素181および自己リーミング翼部182は、取付穴が第2の建築層に達するほどには深くない場合でもインターライニング材料内に進入するような形状にされている。より一般的には、コネクタ要素10の遠位端は、任意の好適な掘削またはリーミング構造を備えていてもよい。コネクタ要素を挿入するために、コネクタ要素は、このような掘削またはリーミング構造に適合した機械的運動、たとえば回転運動または振動運動させてもよい。
【0089】
図16の実施形態は、さらに別の任意の原理を実現する。すなわち、スリーブは、コネクタ要素10を越えて延びるように構成された複数の熱可塑性延在部191を備える。この目的のために、コネクタ要素の鍔部22は、これら複数の延在部191を摺動させながら通過させることのできる対応する数の中断部192を有する。この工程において、スリーブ36が機械的振動を受けて遠位側に向かって押圧されると、延在部の遠位端が、収容対象物の構造、たとえば、第2の建築層102の近位向き面に押当てられる。この結果、延在部の遠位端の液化および収容対象物の構造の相互貫通をもたらす。遠位側液化肩部41が支持面と接触すると、前述の原理に従って、この液化界面で追加の液化が発生することとなる。延在部191の遠位端から液化して再凝固した熱可塑性材料は、収容対象物の構造の相互貫通により、コネクタの固定に寄与する。
【0090】
図17は、径方向に対してアンダーカットを規定する近位向き支持面を備えたコネクタ要素構造の代替的な実施形態を示す。たとえば、
図7、
図9および
図13の実施形態とは対照的に、この支持面は軸方向断面が円錐形ではなく凹状である。他の形状も実現可能である。
図18が示す構造においては、近位側に面する当接面が階段形状を有しており、この階段形状においては、矩形断面を有する溝によって径方向に対する押込み嵌合が確実となり、これにより留め部が規定される。
【0091】
前述の実施形態においては、コネクタ要素は、さらに別の対象物を締結させるための収容部における固定具として機能するコネクタに属するものとして例示されていた。この目的のために、
図1aおよび
図1bのコネクタ要素はコネクタインターフェイス14を有する。しかしながら、コネクタはこのようなコネクタインターフェイス14を備える必要はない。むしろ、コネクタは、いくつかの実施形態においては、それ自体が、たとえば、機能的構造を有することによって収容対象物に対して固定されるべき対象物として機能し得る。加えて、または代替例として、コネクタ要素および/またはスリーブは、たとえばセンサまたはアクチュエータの形態で、収容対象物に対して固定されるべき要素を組込んでいてもよい。さらに別の代替例として、コネクタは、
図19に示されるように、さらに別の対象物195を収容対象物に固定するリベットとして機能し得る。この場合、スリーブはフランジ131または頭部特徴を有しており、コネクタ要素10は、フランジ191または脚部特徴を有しており、これにより、工程の終わりに、収容対象物(軽量建築要素)およびさらに別の対象物195がそれぞれのフランジ(頭部、脚部)特徴同士の間で互いに対してクランプされる。
【0092】
図20は、コネクタ要素10のコネクタインターフェイスが必ずしも雌型コネクタインターフェイスである必要はないという原理を示す。むしろ、
図20の実施形態においては、コネクタ要素は、雄型コネクタインターフェイス114、すなわち近位側に延在するねじ付き棒材を有するように示されている。代替的には、雄型コネクタインターフェイスは、球形の頭部または他の任意の適切な構造を備えていてもよい。雄型コネクタインターフェイス114を有するいくつかの実施形態においては、スリーブ36がコネクタ要素よりも長いか、またはコネクタ要素のうち距離保持部161の近位側にある部分よりも長いという任意の条件aは、スリーブが接着区域の軸方向幅bよりも長いという条件と置換えられてもよい。このような接着区域は、コネクタ挿入時に、近位向き支持面24と収容対象物の第1の建築層のレベルに対応する(
図20に破線によって示される)軸方向位置との間に延在する。このような実施形態において機械的振動をスリーブ36(
図20に部分的に図示)に結合するためのソノトロード160は、たとえば中空であることによって雄型コネクタインターフェイス114に接触しないように適合されている。
【0093】
図21および
図22の実施形態においては、コネクタ要素は、少なくとも以下の特徴を有することによって、たとえば
図1a~
図2bの実施形態の端側鍔部22とは異なる遠位端側鍔部を有する。
【0094】
- 第1に、遠位端側鍔部22は途切れなく連続しているが、鍔部を一緒に形成する歯状径方向突起202の構成を含む。したがって、途切れのない鍔部と比較して、液化界面の面積は小さい。また、突起の歯形状は、エネルギを方向付ける付加的な効果をもたらす。これら両方の効果があるため、結果として、工程中の鍔部に対するスリーブの前方移動に対抗する全体的な抵抗が減少し、これにより、前述の実施形態と比較して、この方策は、たとえば、より硬い熱可塑性材料および/またはより高いガラス転移温度を有する熱可塑性材料に対して利用可能である。さらに、熱可塑性材料は、突起間の空間において、工程中に遠位側に向かって前方向に搬送されてもよく(搬送されることとなり)、コネクタ要素の遠位端を越えて流れて付加的な固定をもたらす。
- 第2に、遠位端側鍔部は、液化界面におけるスリーブの径方向延在部よりも小さい径方向延在部を有する。
図22のスリーブと
図21のコネクタ要素とを組立てた状態で、
図21および
図22と比べて上下逆の配置で示す
図23を参照されたい。また、この特性(遠位端側鍔部の径方向延在部がより小さいこと)は、界面面積を小さくすることにより全体的な抵抗を低減させる効果と、鍔部を越えて材料を搬送することを可能にする特に径方向外側端縁のもつエネルギ指向効果とをもたらす。
【0095】
これらの第1および第2の特性は、互いに独立しており、すなわち、これら特性は、図示のように組合わせて実現されてもよく、または個別に実現されてもよい。
【0096】
図24は、工程後のアセンブリの断面を示す。この断面は、左側ではアセンブリが複数の突起202のうちの1つを貫通して延在しており、右側ではアセンブリが突起間の空間を通って延在するように選択されている。熱可塑性材料の流動部分76は、コネクタの遠位端の遠位側を流れた部分であって、たとえば第2の建築層102の構造を完全に貫通する部分を含む。第2の建築層102が熱可塑性材料(たとえば熱可塑性マトリックス材料)を有する場合、第2の建築層102の熱可塑性材料への溶接も可能である。
【0097】
概して、さまざまな実施形態の特徴を組合わせてもよい。たとえば、支持面のもつさまざまな形状がさまざまな遠位側(距離保持用または他の)構造と組合わされてもよく、これらはともに、コネクタの1つ以上の支持面を有する構成で実現されてもよい。
【0098】
上述の工程を実行するように構成された機械は、コネクタ要素10およびスリーブ36を収容対象物66の取付穴64に配置するように構成された位置決め装置を備えていてもよい。当該機械はまた、スリーブ36にエネルギを伝達するためのヒータまたはソノトロードなどのエネルギ伝達装置を備えていてもよい。当該機械はまた、機械内を通過する収容対象物の供給時に固定動作を自動化して繰返し実行するために、別個の構成要素として、またはコネクタアセンブリ62として、複数のスリーブ36およびコネクタ要素10を備える格納部を備えていてもよい。
【0099】
コネクタ要素10は、相対的に非熱可塑性の材料から作製される。コネクタ要素のための例示的で好適な材料は、鋼、アルミニウム、Zamak5などの亜鉛合金、または鋳鉄などの金属である。しかしながら、相対的に非熱可塑性という語は、固定工程の文脈において解釈されるべきである。当該工程を用いてコネクタ要素10を固定するために、コネクタ要素10の本体20は、固定工程全体にわたって固体のままで維持する必要がある。したがって、「相対的に非熱可塑性」という語は、スリーブ36の融点よりも、たとえば少なくとも50℃だけ実質的に高い融点を有する任意の熱可塑性材料も含むと解釈されるべきである。なぜなら、このような材料は本発明の文脈に記載される熱可塑性特性を有し得ないからである。
【0100】
上述のスリーブ36に好適な熱可塑性材料は、臨界温度範囲を超えると、たとえば溶融によって固体から液体または流動体に変化し、再び冷却されて臨界温度範囲を下回ると、たとえば結晶化によって固体材料に変化する重合体の相(特に、C、P、SまたはSiの鎖をベースにしたもの)を含み得る。固相の粘度は、液相の粘度よりも数桁(少なくとも3桁)高い。熱可塑性材料は、一般的に、共有結合架橋していない重合体成分を含み得るか、または、溶融温度範囲まで、もしくは溶融温度範囲を超えて加熱したときに架橋結合が可逆的に開くような態様で架橋した重合体成分を含み得る。重合体材料はフィラーをさらに含んでもよい。フィラーは、たとえば、熱可塑特性をもたない材料、または熱可塑特性を有し、原重合体の溶融温度範囲よりも遥かに高い溶融温度範囲を有する材料できた繊維または粒子である。熱可塑性材料の例は、熱可塑性ポリマー、コポリマー、または充填ポリマーであり、塩基性ポリマーまたはコポリマーは、たとえば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド(特に、ポリアミド12、ポリアミド11、ポリアミド6、またはポリアミド66)、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート・ウレタン、ポリカーボネートまたはポリエステルカーボネート、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン(acrylonitrile butadiene styrene:ABS)、アクリロニトリル・スチレン・アクリレート(acrylonitrile-styrene-acrylate:ASA)、スチレン・アクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、またはポリエーテルエーテルケトン(polyether ether ketone:PEEK)、ポリエーテルイミド(polyetherimide:PEI)、ポリスルホン(polysulfone:PSU)、ポリ(p-フェニレンサルファイド)(p-phenylene sulphide:PPS)、液晶ポリマー(liquid crystal polymer:LCP)等である。
【0101】
本発明に従った方法に好適な機械的振動または揺動は、典型的には、2kHz~200kHzの周波数、より典型的には、10kHz~100kHzの周波数、さらにより典型的には15kHz~40kHzの周波数を有し得る。これにより、一例として、活性表面の平方ミリメートル当たり0.2W~20Wの典型的な振動パワーを提供し得る。振動工具(たとえば、ソノトロード)は、スリーブとの界面が、主として挿入軸の方向に、1μm~100μm、たとえば約30μm~60μmなどの振幅で振動するように設計されていてもよい。
【0102】
以上、いくつかの実施形態を参照しながら、本発明について主に説明した。しかしながら、当業者によって容易に理解されるように、上記で開示されたもの以外の他の実施形態が、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内で同様に実現可能である。たとえば、取付穴64(
図3)は止まり穴として示されている。しかしながら、代替的には、軽量建築要素を完全に貫通して延在する貫通穴として構成されてもよい。貫通穴の内面には、たとえば、第2の建築要素102を貫通するより小さい直径の貫通穴64aを形成することによって、端部停止肩部が設けられてもよい。これにより、コネクタ要素10の内側ねじ山14(
図1a)に板材の両側からアクセスされ得る。さらに、スリーブ36(
図2a)は、コネクタ要素10を収容するための軸方向貫通穴38を有するように示されている。しかしながら、これは必須ではなく、スリーブは一端でのみ開放されていれば十分であり得る。一例として、スリーブ36は、近位端において軸方向端壁によって閉じられていてもよい。このようなスリーブは、たとえば、再構成可能な備品システムの任意の構成要素を据え付けるために、たとえば、軸方向端壁を除去してねじを露出させることによって、後にアクセスされ得る隠れコネクタ要素を固定するために用いられてもよい。上記では、すべての構成要素が、挿入軸および中心軸C1、C2(
図1a、
図2a)を中心として実質的に円筒形または回転対称の幾何学的形状を有するように示されていた。しかしながら、このような幾何学的形状が円形の取付穴64に対して好ましく、たとえば穴あけによって円形の取付穴が容易に形成され得る場合であっても、円形の幾何学的形状は必要ではない。さらに、コネクタ要素、スリーブおよび取付穴は、同じ全体形状または嵌合形状を有する必要はない。上述では、第1および第2のコネクタインターフェイスはねじ型インターフェイスとして説明されている。しかしながら、これは必須ではない。本発明はまた、バヨネットインターフェイス、クリック接続、磁石、クリップなどの他のタイプのコネクタインターフェイスを固定するのにも適している。収容対象物に固定されるコネクタ要素は、雌型コネクタインターフェイスを備える必要はなく、代替的には、ねじ付きピンなどの雄型コネクタインタフェースであってもよい。
【0103】
エネルギを機械的回転エネルギとして伝達することを含む実施形態は、図示される実施形態において示されるコネクタ要素/スリーブと比べて変更が加えられたコネクタ要素およびスリーブを用いることとなる。たとえば、
図1aおよび
図1bのコネクタ要素は、隆起部26を含まないが、本質的に回転対称の端側鍔部22を備える。同様に、
図2aおよび
図2bのスリーブ36は、エネルギを方向付ける隆起部48を有さないが、たとえば、滑らかな外面または粗い外面を有する。さらに、コネクタ要素およびスリーブはともに、トルク伝達係合構造を有することとなる。たとえば、コネクタ要素の場合、このような係合構造は、図示されるコネクタインターフェイス14を置換えた構造であってもよく、またはコネクタインターフェイス14に追加して設けられていてもよい。スリーブの場合、このような係合構造は、たとえば、軸方向貫通穴38の周りに内面の近位部分の形状として存在していてもよい。