(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】構造体、補強材、補強材の製造方法、および構造体の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01Q 1/12 20060101AFI20240716BHJP
E04H 12/00 20060101ALI20240716BHJP
B32B 5/02 20060101ALI20240716BHJP
B32B 5/24 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
H01Q1/12 C
E04H12/00 A
B32B5/02 Z
B32B5/24 101
(21)【出願番号】P 2021515884
(86)(22)【出願日】2020-03-23
(86)【国際出願番号】 JP2020012802
(87)【国際公開番号】W WO2020217810
(87)【国際公開日】2020-10-29
【審査請求日】2022-11-22
(31)【優先権主張番号】P 2019086764
(32)【優先日】2019-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】516225968
【氏名又は名称】竹本 直文
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】竹本 直文
【審査官】白井 亮
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-114815(JP,A)
【文献】特開平03-247851(JP,A)
【文献】特開2018-015977(JP,A)
【文献】特開2010-193557(JP,A)
【文献】特開2003-147702(JP,A)
【文献】特開2006-179969(JP,A)
【文献】特開平04-364936(JP,A)
【文献】特開平06-108701(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0076439(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 1/12
E04H 12/00
B32B 5/02
B32B 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの前記補強材は、繊維強化樹脂で形成された基材と、前記基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含む、
構造体。
【請求項2】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの前記補強材は、発泡合成樹脂で形成された
基材と、前記基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含む、
構造体。
【請求項3】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されていると共に、前記本体部の内部において複数の層に配置される、
構造体。
【請求項4】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
前記固定部は、前記複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と前記中空構造の内面とに付着するように前記中空構造の内部の少なくとも一部に充填されている充填材を含み、
前記充填材により、前記内部空間が複数の領域に分離されている、
構造体。
【請求項5】
分離される領域毎に、配置される前記複数の補強材の大きさが異なる、
請求項4に記載の構造体。
【請求項6】
前記本体部は、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有しており、
前記固定部により、前記内部空間が複数の領域に分離されており、
分離される領域毎に、配置される前記複数の補強材の前記コーティング層の弾性が異なる、
請求項1または2に記載の構造体。
【請求項7】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
前記固定部は、前記複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と前記中空構造の内面とに付着するように前記中空構造の内部の少なくとも一部に充填されている充填材を含み、
前記充填材は、ポリウレア樹脂を含む、
構造体。
【請求項8】
前記本体部は、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有しており、
前記固定部は、前記複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と前記中空構造の内面とに付着するように前記中空構造の内部の少なくとも一部に充填されている充填材を含んでおり、
前記充填材は、ポリウレア樹脂を含んでおり、
前記充填材に含まれるポリウレア樹脂は、前記コーティング層におけるポリウレア樹脂より粘度が高い、
請求項2に記載の構造体。
【請求項9】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
前記固定部は、
前記中空構造の内面に側面が接続される接続部と、
前記中空構造の延伸方向に沿って前記接続部の主面から延伸する延伸部と、を含む、
構造体。
【請求項10】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
前記本体部は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの材料を含んでおり、
前記内部空間内においては発泡合成樹脂が設けられており、
前記複数の補強材は、前記内部空間内において前記発泡合成樹脂に埋め込まれている、
構造体。
【請求項11】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含むと共に、前記本体部の材料中に埋め込まれている、
構造体。
【請求項12】
前記本体部の材料は、樹脂またはコンクリートである、
請求項11に記載の構造体。
【請求項13】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
前記本体部は、前記中空構造として筒状部を含んでおり、
前記複数の補強材は、前記筒状部の内部に配置されており、
前記固定部は、前記複数の補強材を前記筒状部内に固定し、
それぞれの前記補強材は、球形状であり、
前記筒状部の内径は、前記補強材の直径の2倍以上20倍以下である、
構造体。
【請求項14】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
それぞれの前記補強材は、球形状、多面体形状、または柱形状であり、
前記本体部は、前記中空構造として筒状部を含んでおり、
前記複数の補強材は、前記筒状部の内部に配置されており、
前記固定部は、前記複数の補強材を前記筒状部内に固定し、
前記複数の補強材は、前記筒状部の軸方向において複数の層に配置される、
構造体。
【請求項15】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
それぞれの前記補強材は、球形状、多面体形状、または柱形状であり、
前記本体部は、前記中空構造として筒状部を含んでおり、
前記複数の補強材は、前記筒状部の内部に配置されており、
前記固定部は、前記複数の補強材を前記筒状部内に固定し、
前記固定部は、前記複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と前記筒状部の内面とに付着するように前記筒状部の内部の少なくとも一部に充填されている充填材を含み、
前記固定部は、前記筒状部の軸方向において互いに離間した複数の位置において前記充填材を含む、
構造体。
【請求項16】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
それぞれの前記補強材は、球形状、多面体形状、または柱形状であり、
前記本体部は、前記中空構造として筒状部を含んでおり、
前記複数の補強材は、前記筒状部の内部に配置されており、
前記固定部は、前記複数の補強材を前記筒状部内に固定し、
前記筒状部は、複数の筒が連通して構成されており、
前記筒状部の軸方向において、それぞれの筒の基端部の一部の領域に前記複数の補強材が配置される、
構造体。
【請求項17】
本体部と、
前記本体部の内部に配置される複数の補強材と、を備えており、
それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含み、
前記本体部は、前記複数の補強材を前記本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有すると共に、内部空間を取り囲む中空構造であり、
前記複数の補強材は、前記内部空間内に配置されており、
それぞれの前記補強材は、球形状、多面体形状、または柱形状であり、
前記本体部は、前記中空構造として筒状部を含んでおり、
前記複数の補強材は、前記筒状部の内部に配置されており、
前記固定部は、前記複数の補強材を前記筒状部内に固定し、
前記筒状部は、複数の筒が連通して構成されており、
それぞれの筒は、フランジ部を少なくとも一端に有しており、
隣接する筒の前記フランジ部同士が連結されており、
前記フランジ部の主面と前記筒状部の側面との間に接続されたリブが設けられ、
連結された一対の前記フランジ部と、それぞれの前記リブとを覆うように前記筒状部の外面に外部補強部を有する、
構造体。
【請求項18】
前記外部補強部は、ポリフレア樹脂で形成されている、
請求項17に記載の構造体。
【請求項19】
前記固定部は、前記複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と前記筒状部の内面とに付着するように前記筒状部の内部の少なくとも一部に充填されている充填材を含んでおり、
前記充填材は、前記筒状部の外面の前記外部補強部に含まれるポリウレア樹脂より粘度が高いポリウレア樹脂を含む、
請求項17に記載の構造体。
【請求項20】
構造体の内部に複数配置されることによって構造体を補強する補強材であって、
繊維強化樹脂で形成された基材を含み、
前記基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層をさらに含む、
補強材。
【請求項21】
構造体の内部に複数配置されることによって構造体を補強する補強材であって、
発泡合成樹脂で形成された基材と、前記基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含む、
補強材。
【請求項22】
構造体の内部に複数配置されることによって構造体を補強する補強材であって、
樹脂または金属で形成された基材を含んでおり、
前記補強材は、多面体形状または柱形状である、
補強材。
【請求項23】
前記基材における前記発泡合成樹脂の発泡倍率をAとして、前記コーティング層の厚みT1が、
(A/20)-1≦T1≦(A/20)+1 [mm]
である請求項21に記載の補強材。
【請求項24】
構造体の内部に複数配置されることによって前記構造体を補強する補強材の製造方法であって、
樹脂の基材を球形状、多面体形状、または柱形状に成形する成形段階を備え、
前記成形段階は、繊維強化樹脂の前記基材を球形状、多面体形状、または柱形状に成形する
ようになっており、
成形された前記基材の表面に、ポリウレア樹脂のコーティング材を噴射する噴射段階をさらに備える、
補強材の製造方法。
【請求項25】
構造体の内部に複数配置されることによって前記構造体を補強する補強材の製造方法であって、
樹脂の基材を球形状、多面体形状、または柱形状に成形する成形段階を備え、
前記成形段階は、発泡合成樹脂の前記基材を球形状、多面体形状、または柱形状に成形し、
前記製造方法は、成形された前記基材の表面に、ポリウレア樹脂のコーティング材を噴射する噴射段階をさらに備える、
補強材の製造方法。
【請求項26】
前記基材における前記発泡合成樹脂の発泡倍率に応じて、前記噴射段階で前記基材の表面に形成する前記コーティング材の厚みを制御する、
請求項25に記載の補強材の製造方法。
【請求項27】
前記基材における前記発泡合成樹脂の発泡倍率をAとして、前記コーティング材の厚みT1が、
(A/20)-1≦T1≦(A/20)+1 [mm]
となるように制御する、
請求項26に記載の補強材の製造方法。
【請求項28】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
それぞれの補強材は、繊維強化樹脂で形成された前記基材と、前記基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含む、
構造体の製造方法。
【請求項29】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
それぞれの補強材は、
発泡合成樹脂で形成された前記基材と、前記基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含む、
構造体の製造方法。
【請求項30】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂
または金属で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
前記複数の補強材を内部空間内に押圧する押圧段階をさらに含み、
前記押圧段階の後に、前記固定部によって前記複数の補強材を前記本体部内に固定される、
構造体の製造方法。
【請求項31】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂または金属で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
前記複数の補強材は、前記本体部の内部において複数の層に配置される、
構造体の製造方法。
【請求項32】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂または金属で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
前記固定部を設ける段階の前後において、それぞれ前記搬入段階を実行し、
前記固定部により、前記内部空間が複数の領域に分離される、
構造体の製造方法。
【請求項33】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂または金属で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
前記固定部を設ける段階は、前記固定部として充填材を前記内部空間内の少なくとも一部に充填する充填段階、を含み、
前記充填段階の前後において、それぞれ前記搬入段階を実行し、
前記充填材により、前記内部空間が複数の領域に分離される、
構造体の製造方法。
【請求項34】
複数回の前記搬入段階において、前記複数の補強材は、分離される領域毎に大きさが異なる、請求項32または33に記載の構造体の製造方法。
【請求項35】
前記固定部を設ける段階の前後において、それぞれ前記搬入段階を実行し、
前記固定部により、前記内部空間が複数の領域に分離され、
複数回の前記搬入段階のそれぞれにおいて、前記複数の補強材は、分離される領域毎に、前記コーティング層の弾性が異なる、請求項28または29に記載の構造体の製造方法。
【請求項36】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂または金属で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
前記固定部は、前記中空構造の内面に側面が接続される接続部と、前記中空構造の延伸方向に沿って前記接続部の主面から延伸する延伸部と、を含んでおり、
前記搬入段階においては、前記延伸部と前記本体部の内面との間の空間に、前記複数の補強材を搬入する、
構造体の製造方法。
【請求項37】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂または金属で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
前記固定部を設ける段階は、前記固定部として充填材を前記内部空間内の少なくとも一部に充填する充填段階、を含み、
前記充填材は、ポリウレア樹脂を含む、
構造体の製造方法。
【請求項38】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂または金属で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
それぞれの補強材は、球形状、多面体形状、または柱形状であり、
前記本体部は、前記中空構造として筒状部を含んでおり、
前記搬入段階において、前記複数の補強材は、前記筒状部の内部に配置され、
前記固定部は、前記複数の補強材を前記筒状部内に固定し、
前記筒状部は、複数の筒が連通して構成されており、
それぞれの筒は、フランジ部を少なくとも一端に有しており、
隣接する筒の前記フランジ部同士が連結されており、
前記フランジ部の主面と前記筒状部の側面との間に接続されたリブが設けられ、
前記製造方法は、連結された一対の前記フランジ部と、それぞれの前記リブとを覆うように前記筒状部の外面に外部補強部を形成する外部補強部形成段階をさらに備える、
構造体の製造方法。
【請求項39】
前記外部補強部形成段階は、連結された一対の前記フランジ部と、それぞれの前記リブとを覆うように前記筒状部の外面にポリウレア樹脂を塗布する塗布段階を含む、
請求項38に記載の構造体の製造方法。
【請求項40】
内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂または金属で形成された基材を少なくとも含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材を前記本体部に設けられた開口から前記内部空間内に搬入する搬入段階と、
前記複数の補強材を前記本体部内に固定するための固定部を設ける段階と、を備え、
それぞれの補強材は、球形状、多面体形状、または柱形状であり、
前記本体部は、前記中空構造として筒状部を含んでおり、
前記搬入段階において、前記複数の補強材は、前記筒状部の内部に配置され、
前記固定部は、前記複数の補強材を前記筒状部内に固定し、
前記筒状部は、複数の筒が連通して構成されており、
前記筒状部の軸方向において、それぞれの筒の基端部の一部の領域に前記複数の補強材が配置される、
構造体の製造方法。
【請求項41】
本体部を備える構造体の製造方法であって、
樹脂で形成された基材を
含む複数の補強材を準備する準備段階と、
前記複数の補強材が埋め込まれるように前記本体部の材料を成形して前記本体部を形成する段階と、を備える、
構造体の製造方法。
【請求項42】
それぞれの補強材は、繊維強化樹脂で形成された前記基材を含む、
請求項41に記載の構造体の製造方法。
【請求項43】
それぞれの補強材は、前記繊維強化樹脂で形成された前記基材
と、前記基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含む、
請求項42に記載の構造体の製造方法。
【請求項44】
それぞれの補強材は、
発泡合成樹脂で形成された前記基材と、前記基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含む、
請求項
41に記載の構造体の製造方法。
【請求項45】
前記本体部の材料は、樹脂またはコンクリートである、
請求項42
から44の何れか一項に記載の構造体の製造方法。
【請求項46】
前記本体部の材料は、本体部用発泡合成樹脂であり、
前記本体部を形成する段階は、前記複数の補強材が埋め込まれるように本体部用発泡合成樹脂を成形する段階を含み、
前記製造方法は、さらに、前記本体部用発泡合成樹脂の外側にポリウレア樹脂を塗布する本体部塗布段階を備える、
請求項
45に記載の構造体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造体、補強材、補強材の製造方法、および構造体の製造方法に関する。
【0002】
柱状形状の構造体は、携帯電話の基地局等におけるアンテナを支持するアンテナ支持柱、電力柱、電信柱、および街灯用ポール等の種々の用途に使われる。携帯電話の基地局等におけるアンテナは、アンテナ支持柱と呼ばれる構造体に固定される(例えば、特許文献1参照)。従来、アンテナ取付部を有する筒内に発泡スチロール等の補強材を充填することで剛性を高めた構造体が知られている(例えば、特許文献2参照)。
[先行技術文献]
[特許文献]
[特許文献1] 特開2005-318077号公報
[特許文献1] 特開平08-316713号公報
【解決しようとする課題】
【0003】
構造体に加わる荷重の増加に対応するためには、さらに構造体を変更しないで構造体の剛性を高めることが好ましい。
【一般的開示】
【0004】
本発明の一態様においては、構造体を提供する。構造体は、本体部を備えてよい。構造体は、本体部の内部に配置される複数の補強材を備えてよい。それぞれの補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含んでよい。それぞれの補強材は、繊維強化樹脂で形成された基材を含んでよい。それぞれの補強材は、繊維強化樹脂で形成された基材と、基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含んでよい。それぞれの補強材は、発泡合成樹脂の基材と、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含んでよい。コーティング層は、基材の外面を覆ってよい。
【0005】
本体部は、複数の補強材を本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有してよい。
【0006】
本体部は、内部空間を取り囲む中空構造であってよい。複数の補強材は、内部空間内に配置されてよい。
【0007】
複数の補強材は、互いに大きさが異なる補強材を含んでよい。
【0008】
複数の補強材は、本体部の内部において複数の層に配置されてよい。
【0009】
固定部は、充填材を含んでよい。充填材は、複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と中空構造の内面とに付着するように中空構造の内部の少なくとも一部に充填されてよい。
【0010】
充填材により、内部空間が複数の領域に分離されてよい。
【0011】
分離される領域毎に、配置される複数の補強材の大きさが異なってよい。
【0012】
本体部は、内部空間を取り囲む中空構造であってよい。複数の補強材は、内部空間内に配置されてよい。本体部は、複数の補強材を本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有してよい。固定部により、内部空間が複数の領域に分離されてよい。分離される領域毎に、配置される複数の補強材のコーティング層の弾性が異なってよい。
【0013】
充填材は、ポリウレア樹脂を含んでよい。
【0014】
本体部は、内部空間を取り囲む中空構造であってよい。複数の補強材は、内部空間内に配置されてよい。本体部は、複数の補強材を本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部を有してよい。固定部は、複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と中空構造の内面とに付着するように中空構造の内部の少なくとも一部に充填されている充填材を含んでよい。充填材は、ポリウレア樹脂を含んでよい。充填材に含まれるポリウレア樹脂は、コーティング層におけるポリウレア樹脂より粘度が高くてよい。
【0015】
固定部は、接続部と、延伸部とを備えてよい。接続部は、中空構造の内面に側面が接続されてよい。延伸部は、中空構造の延伸方向に沿って接続部の主面から延伸してよい。
【0016】
本体部は、開口を閉鎖するカバー部を有してよい。
【0017】
本体部は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの材料を含んでよい。内部空間内においては発泡合成樹脂が設けられてよい。複数の補強材は、内部空間内において発泡合成樹脂に埋め込まれてよい。
【0018】
それぞれの補強材は、本体部の材料中に埋め込まれてよい。
【0019】
本体部の材料は、樹脂またはコンクリートであってよい。
【0020】
それぞれの補強材は、球形状、多面体形状、または柱形状であってよい。
【0021】
本体部は、中空構造として筒状部を含んでよい。複数の補強材は、筒状部の内部に配置されてよい。固定部は、複数の補強材を筒状部内に固定してよい。
【0022】
それぞれの補強材は、球形状であってよい。筒状部の内径は、補強材の直径の2倍以上20倍以下であってよい。
【0023】
複数の補強材は、筒状部の軸方向において複数の層に配置されてよい。
【0024】
固定部は、充填材を含んでよい。充填材は、複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と筒状部の内面とに付着するように筒状部の内部の少なくとも一部に充填されてよい。
【0025】
固定部は、筒状部の軸方向において互いに離間した複数の位置において充填材を含んでよい。
【0026】
筒状部の軸方向において基端部の一部の領域に複数の補強材が配置されてよい。
【0027】
筒状部は、複数の筒が連通して構成されてよい。筒状部の軸方向において、それぞれの筒の基端部の一部の領域に複数の補強材が配置されてよい。
【0028】
筒状部は、複数の筒が連通して構成されてよい。それぞれの筒は、隣接する筒と連結するためのフランジ部を少なくとも一端に有してよい。隣接する筒のフランジ部同士が連結されてよい。フランジ部の主面と筒状部の側面との間に接続されたリブが設けられてよい。連結された一対のフランジ部と、それぞれのリブとを覆うように筒状部の外面にポリウレア樹脂を含む外部補強部を有してよい。外部補強部は、ポリフレア樹脂で形成されてよい。
【0029】
固定部は、充填材を含んでよい。充填材は、複数の補強材のうち少なくとも一部の補強材と筒状部の内面とに付着するように筒状部の内部の少なくとも一部に充填されてよい。充填材は、筒状部の外面に塗布されるポリウレア樹脂より粘度が高いポリウレア樹脂を含んでよい。
【0030】
構造体は、アンテナを支持するアンテナ支持柱であってよい。構造物は、送電線を支持する電力柱であってよい。構造体は、通信線を支持する電信柱であってよい。構造体は、街灯を取り付けられる街灯用ポールであってよい。
【0031】
構造体は、物品を載置するパレットであってよい。構造体は、内部に空間を有する箱体であってよい。構造体は、有人または無人の航空機の機体であってよい。構造体は、車両の部品であってよい。構造体は、建築用の足場板であってよい。
【0032】
構造体は、建材用のパネルであってよい。構造体は、締結部を更に備えてよい。締結部の一端は、本体部の内部に埋め込まれてよい。締結部の他端は露出してよい。
【0033】
構造体は、衝撃吸収材、腐食防止材、または断熱材であってよい。
【0034】
構造体は、老朽化した既設管内に新管として挿入される管体であってよい。構造体は、梱包具に用いられる容器であってよい。構造体は、鉄道用の枕木であってよい。
【0035】
本発明の他の態様においては、補強材を提供する。補強材は、複数個が構造体の内部に配置されて構造体を補強する補強材であってよい。補強材は、樹脂または金属で形成された基材を含んでよい。補強材は、繊維強化樹脂で形成された基材を含んでよい。補強材は、基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層をさらに含んでよい。補強材は、発泡合成樹脂の基材と、ポリウレア樹脂のコーティング層とを含んでよい。コーティング層は、基材の外面を覆ってよい。
【0036】
補強材は、球形状であってよい。補強材は、多面体形状または柱形状であってよい。
【0037】
基材における発泡合成樹脂の発泡倍率をAとして、コーティング層の厚みT1が、(A/20)-1≦T1≦(A/20)+1 [mm]であってよい。
【0038】
本発明の他の態様においては、構造体の内部に複数配置されることによって構造体を補強する補強材の製造方法を提供する。補強材の製造方法は、発泡合成樹脂の基材を球形状、多面体形状、または柱形状に成形する成形段階を備えてよい。成形段階は、繊維強化樹脂の基材を球形状、多面体形状、または柱形状に成形してよい。成形された基材の表面に、ポリウレア樹脂のコーティング材を噴射する噴射段階をさらに備えてよい。成形段階は、発泡合成樹脂の基材を球形状、多面体形状、または柱形状に成形してよい。また、基材の大きさを変えてもよい。成形段階において、繊維強化樹脂の基材の最大サイズ(基材が球形状の場合は直径)は、10mm以上であってよい。基材の最大サイズは、構造体の中空構造を軸方向に垂直に切った断面の最大サイズの1倍以上20倍以下であってよい。製造方法は、成形された基材の表面に、ポリウレア樹脂のコーティング材を噴射する噴射段階をさらに備えてよい。
【0039】
基材における発泡合成樹脂の発泡倍率に応じて、噴射段階で基材の表面に形成するコーティング材の厚みを制御してよい。基材における発泡合成樹脂の発泡倍率をAとして、コーティング材の厚み(コーティング層の厚み)T1が、(A/20)-1≦T1≦(A/20)+1 [mm]となるように制御されてよい。
【0040】
本発明の他の態様においては、構造体の製造方法を提供する。構造体は、内部空間を取り囲む中空構造を有してよい。製造方法は、準備段階、搬入段階、および固定部を設ける段階を有してよい。準備段階においては、複数の補強材を準備してよい。補強材は、樹脂または金属で形成された基材を少なくとも含んでよい。発泡合成樹脂の基材と、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含んでよい。コーティング層は、基材の外面を覆ってよい。搬入段階においては、複数の補強材を本体部に設けられた開口から内部空間内に搬入してよい。固定部を設ける段階においては、複数の補強材を本体部内に固定するための固定部を設けてよい。それぞれの補強材は、繊維強化樹脂で形成された基材を含んでよい。それぞれの補強材は、繊維強化樹脂で形成された基材と、基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含んでよい。それぞれの補強材は、発泡合成樹脂で形成された基材と、基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含んでよい。
【0041】
製造方法は、複数の補強材を内部空間内に押圧する押圧段階をさらに含んでよい。押圧段階の後に、固定部によって複数の補強材を本体部内に固定されてよい。
【0042】
固定部を設ける段階は、固定部として充填材を内部空間内の少なくとも一部に充填する充填段階、を含んでよい。
【0043】
搬入段階において、互いに大きさが異なる補強材が内部空間内に搬入されてよい。
【0044】
複数の補強材は、本体部の内部において複数の層に配置されてよい。固定部を設ける段階の前後において、それぞれ搬入段階が実行されてよい。固定部により、内部空間が複数の領域に分離されてよい。充填段階の前後において、それぞれ搬入段階が実行されてよい。充填材により、内部空間が複数の領域に分離されてよい。搬入段階と充填段階とが複数回にわたって繰り返し実行されてよい。複数回の搬入段階のそれぞれにおいて、複数の補強材は、分離される領域毎に大きさが異なってよい。複数回の搬入段階のそれぞれにおいて、複数の補強材は、分離される領域毎に、コーティング層の弾性が異なってよい。
【0045】
固定部は、中空構造の内面に側面が接続される接続部と、中空構造の延伸方向に沿って接続部の主面から延伸する延伸部と、を含んでよい。搬入段階においては、延伸部と本体部の内面との間の空間に、複数の補強材を搬入してよい。
【0046】
充填材は、ポリウレア樹脂を含んでよい。それぞれの補強材は、球形状、多面体形状、または柱形状であってよい。
【0047】
本体部は、中空構造として筒状部を含んでよい。搬入段階において、複数の補強材は、筒状部の内部に配置されてよい。固定部は、複数の補強材を筒状部内に固定してよい。
【0048】
それぞれの補強材は、球形状であってよい。筒状部の内径は、補強材の直径の2倍以上20倍以下であってよい。
【0049】
筒状部は、複数の筒が連通して構成されてよい。それぞれの筒は、フランジ部を少なくとも一端に有してよい。隣接する筒のフランジ部同士が連結されてよい。フランジ部の主面と筒状部の側面との間に接続されたリブが設けられてよい。製造方法は、連結された一対のフランジ部と、それぞれのリブとを覆うように筒状部の外面に外部補強部を形成する外部補強部形成段階をさらに備えてよい。外部補強部形成段階は、連結された一対のフランジ部と、それぞれのリブとを覆うように筒状部の外面にポリウレア樹脂を塗布する塗布段階をさらに備えてよい。
【0050】
筒状部の軸方向において基端部の一部の領域に複数の補強材が配置されてよい。
【0051】
筒状部は、複数の筒が連通して構成されてよい。筒状部の軸方向において、それぞれの筒の基端部の一部の領域に複数の補強材が配置されてよい。
【0052】
本発明の他の態様においては、本体部を備える構造体の製造方法を提供する。製造方法は、準備段階と、本体部を形成する段階とを備えてよい。準備段階は、複数の補強材を準備してよい。それぞれの補強材は、樹脂で形成された基材を含でよい。本体部を形成する段階は、複数の補強材が埋め込まれるように本体部の材料を成形して本体部を形成してよい。それぞれの補強材は、繊維強化樹脂で形成された基材を含んでよい。それぞれの補強材は、繊維強化樹脂で形成された基材と、基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含んでよい。それぞれの補強材は、発泡合成樹脂で形成された基材と、基材の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層と、を含んでよい。
【0053】
本体部の材料は、樹脂またはコンクリートであってよい。
【0054】
本体部の材料は、本体部用発泡合成樹脂であってよい。本体部を形成する段階は、複数の補強材が埋め込まれるように本体部用発泡合成樹脂を成形する段階を含んでよい。製造方法は、さらに、本体部用発泡合成樹脂の外側にポリウレア樹脂を塗布する本体部塗布段階を備えてよい。
【0055】
なお、上記の発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではない。また、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となりうる。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【
図1】本発明の第1の実施形態における。アンテナ支持柱1の一例を示す側面図である。
【
図2】筒12の一端に設けられるフランジ部およびリブの一例を示す。
【
図3】
図1のアンテナ支持柱1における筒状部10の一部を拡大した断面図である。
【
図4A】筒状部の内部に配置される補強材の一例を示す断面図である。
【
図4B】基材22を形成する発泡合成樹脂の発泡倍率と、コーティング層24の厚みT1との関係を示す図である
【
図4C】補強材の製造工程の一例を示すフローチャートである。
【
図4D】筒状部の内部に配置される補強材の他例を示す断面図である。
【
図4E】筒状部の内部に配置される補強材の他例を示す断面図である。
【
図5】筒12内における補強材の配置例を示す平面図である。
【
図6】筒12内における補強材の層構造の一例を示す図である。
【
図7】筒11内における補強材の配置例を示す平面図である。
【
図8】筒13内における補強材の配置例を示す平面図である。
【
図9】本発明の第2の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。
【
図10】本発明の第3の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。
【
図11】本発明の第4の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。
【
図12】本発明の第5の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。
【
図13】本発明の構造体の製造方法の一例を示す図である。
【
図15】本発明の第6の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。
【
図16】本発明の第7の実施形態における、アンテナ用支柱柱の一例を示す部分断面図である。
【
図17】本発明の第8の実施形態における、アンテナ用支持柱の一例を示す断面図である。
【
図20】シミュレーション試験の条件を示す図である。
【
図27】本発明の第9の実施形態における構造体100の一例を示す斜視図である。
【
図28】
図27に示される構造体100の断面の一例を示す断面図である。
【
図29】本発明の第10の実施形態における構造体100の一例を示す断面図である。
【
図30】本発明の第11の実施形態における構造体100の一例を示す断面図である。
【
図31】本発明の第12の実施形態における構造体100の一例を示す断面図である。
【
図32】本発明の第13の実施形態におけるパレット210の一例を示す斜視図である。
【
図33】
図32に示されるパレット210の断面の一例を示す断面図である。
【
図34】本発明の第14の実施形態における箱体220の一例を示す斜視図である。
【
図35】
図34に示される箱体220の断面の一例を示す断面図である。
【
図36】本発明の第15の実施形態における航空機の機体230の一例を示す図である。
【
図37】本発明の第16の実施形態における車両の部品の一例を示す図である。
【
図38】本発明の第17の実施形態における建築用の足場板の一例を示す図である。
【
図39】本発明の第18の実施形態における建材用のパネルの一例を示す図である。
【
図40】本発明の第19の実施形態における衝撃吸収材の一例を示す図である。
【
図42】本発明の第20の実施形態における管体の一例を示す断面図である。
【
図43】本発明の第21の実施形態における梱包具の一例を示す断面図である。
【
図44】本初英の第22の実施形態における、枕木の一例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0057】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は請求の範囲にかかる発明を限定するものではない。また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0058】
本明細書においては、構造物が支持柱の場合には、支持柱の高さ方向と平行な方向における一方の側を「上」、他方の側を「下」と称する。層またはその他の部材の2つの主面のうち、一方の面を上面、他方の面を下面と称する。「上」、「下」の方向は重力方向、または、支持柱の取り付け方向に限定されない。
【0059】
本明細書では、X軸、Y軸およびZ軸の直交座標軸を用いて技術的事項を説明する場合がある。本明細書では、構造体が筒状部を有する場合には、筒状部の軸方向をZ軸とし、Z軸と垂直な面をXY面とする。
【0060】
図1は、本発明の第1の実施形態における。アンテナ支持用のアンテナ支持柱1の一例を示す側面図である。アンテナ支持柱1は、アンテナ2を設置するための支柱あるいは塔状構造体であってよい。アンテナ支持柱1は、本発明の構造体である柱体の一例である。アンテナ2は、携帯電話、無線LAN、無線標識等の各種通信用のアンテナであってよい。一例において、アンテナ2は、第5世代移動通信システム(5G)用のアンテナであってよい。アンテナ2は、第4世代移動通信システム(4G)用のアンテナと5G用のアンテナとを共に含んでよい。
【0061】
アンテナ支持柱1は、アンテナ2の重量に耐える剛性を有する。特に、本実施形態のアンテナ支持柱1は、既設の柱体を補強したものであってよい。アンテナ基地局の増設が限界に近づいており、既設のアンテナ基地局における支持柱をそのまま用いてアンテナが増設される場合がある。特に、第5世代移動通信システム(5G)用のアンテナの重量は、それ以前のアンテナ重量に比べて重い。したがって、既設の柱体に5G用のアンテナを増設する場合には、5G用のアンテナが設けられるアンテナ支持柱1においては、さらに剛性を高めることが望ましい。但し、アンテナ2の種類は、これらの場合に限定されない。本実施形態のアンテナ支持柱1は、アンテナ2の増設等に伴う重量増加に対応するために、支柱を構成する筒状部の中に、金属または樹脂で形成された基材を含む複数の補強材を設けている。
【0062】
アンテナ支持柱1は、アンテナ2を支持する筒状部10を備える。筒状部10は、本体部の一例である。本体部は、内部空間を取り囲む中空構造であってよい。本例では、本体部は、中空構造として筒状部10を含んでいる。本例では、筒状部10は、複数の筒11(第1筒)、筒12(第2筒)、筒13(第3筒)が連通して構成されている。各筒11、12、13は、フランジ部14を少なくとも一端に備える。筒11は、一端にフランジ部14aを有し、他端にフランジ部14bを有してよい。筒12は、一端にフランジ部14cを備え、他端にフランジ部14dを有してよい。筒13は、一端にフランジ部14eを有し、他端にフランジ部14fを有してよい。
【0063】
隣接する筒11、12のフランジ部14bと14cとが接続され、隣接する筒12、13のフランジ部14dと14eとが接続される。このように隣接する筒のフランジ部14同士が連結されて筒状部10が構成されてよい。筒11は、複数の筒のうち最も下方(筒状部10の基端部に近い方向)に配置され、筒11の上方(筒状部10の先端)に向かって筒12、筒13の順番で接続されてよい。筒11は、複数の筒の内で最も内径および外径が大きく、筒12、筒13の順で、上方に配置される筒になるほど、内径および外径が小さくなってよい。筒11、12、13のそれぞれは、一端から他端まで、内径および外径が所定の範囲で一定であってよい。
【0064】
筒状部10を構成する各筒11、12、および13は、鉄鋼材のような金属で形成されてよく、さらに溶融亜鉛メッキ等の表面処理が施されていてよい。但し、筒状部10は、繊維強化樹脂(FRP)で形成されてもよい。本体部としての筒状部10は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの材料を含んでよい。
【0065】
筒11の下端に設けられたフランジ部14aは、アンテナ支持柱1をビル等の構造物に取り付けるときに使用されてよい。なお、フランジ部14aの代わりに、別途の取付構造が備えられてよい。筒13の上端に設けられたフランジ部14には、避雷針16が取り付けられてよい。
【0066】
図2は、筒12の一端に設けられるフランジ部14およびリブ15の一例を示す。他の筒11、13におけるフランジ部14およびリブ15も同様の構成を有してよい。各フランジ部14の主面18(上面または下面)と対応する筒の側面17との間には、軸方向に延びるリブ15cが設けられてよい。リブ15cによって、筒状部10の剛性を高めることができる。各リブ15cは、一つのフランジ部14あたり複数設けられてよい。複数のリブ15cは、上面視において軸中心から放射状に広がるように設けられてよい。上面視とは、Z軸の正方向から見た場合を示す。他のフランジ部14およびリブ15も同様な構成を有してよい。リブ15cの主面は三角形状を有してよい。
【0067】
図3は、
図1のアンテナ支持柱1における筒状部10の一部を拡大した断面を示す概念図である。
図3は、
図1のA部分についてZX平面に沿って切断した断面を模式的に示す。アンテナ支持柱1は、筒状部10の内部に配置される複数の補強材20を備える。
図3において、筒状部10の内側における複数の補強材20の配置は模式的に示されている。複数の補強材20は本体部の内部に配置される。本例のように、本体部が内部空間を取り囲む中空構造である場合、複数の補強材20は内部空間内に配置される。本例では、筒状部10が取り囲む内部空間内に複数の補強材20が配置される。
【0068】
アンテナ支持柱1の本体部は、複数の補強材20を本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部30を有する、本例では、本体部は、複数の補強材20を筒状部10内に固定する少なくとも一つの固定部30を備えている。本例では、固定部30は、充填材32を含む。充填材32は、複数の補強材20のうち少なくとも一部の補強材20と中空構造の内面とに付着するように中空構造の内部の少なくとも一部に充填されている。本例では、充填材32は、複数の補強材20のうち少なくとも一部の補強材20と筒状部10の内面とに付着するように筒状部10の内部の少なくとも一部に充填されている。
【0069】
本例では、複数の充填材32a、32bが形成されている。充填材32aは、筒11の内部に配置される補強材20と筒11の内面とに付着する。充填材32bは、筒12の内部に配置される補強材20と筒12の内面とに付着する。なお、
図3には示されていないが、筒13の内部に配置される補強材20と筒13の内面とに付着する充填材32も設けられてよい。
【0070】
充填材32aは、筒状部10の軸方向において厚さd1の範囲で設けられてよい。充填材32bは、筒状部10の軸方向において厚さd2の範囲に設けられてよい。したがって、本例においては、充填材32は、筒状部10の内部の一部に設けられる。充填材32aと充填材32bとの間は、長さL1だけ離間してよい。換言すれば、固定部30は、筒状部10の軸方向において互いに離間した複数の位置において充填材32を含んでよい。充填材32aと充填材32bとの間の離間距離はL1より、厚さd1、d2は、それぞれ小さくしてよい。厚さd1と厚さd2とは同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0071】
特に、充填材32aは、筒状部10の軸方向において、一対のフランジ部14b、14dが設けられている部分に重なるように配置されることが望ましい。同様に、充填材32aは、筒状部10の軸方向において、一対のフランジ部14d、14eが設けられている部分に重なるように配置されることが望ましい。フランジ部14およびリブ15が設けられる部分は、応力が加わりやすいため、特に充填材32a、32bを配置することで、筒状部10の剛性を高めることができる。但し、充填材32a、32bを筒11と筒12との接続位置と異なる位置において設けてもよい。
【0072】
充填材32aおよび充填材32bは、中空構造の内部空間を複数の領域に分離する。本例では、充填材32aおよび充填材32bは筒状部10の内部を複数の領域に分離する。充填材32aおよび充填材32bは、それぞれ厚さd1、厚さd2の範囲において、筒状部10の内において補強材20を取り囲むように空間を充填する。筒状部10の内部は、筒状部10の軸方向において、領域41、領域42、および領域43に分離される。領域41は、充填材32aの設けられる位置より下方に位置する第1領域である。領域42は、充填材32aの設けられる位置と充填材32bの設けられる位置とに挟まれる第2領域である。領域43は、充填材32bの設けられる位置より上方に位置する第3領域43である。充填材32は、樹脂であってよい。特に、充填材32は、ポリウレア樹脂で形成されてよい。
【0073】
ポリウレア樹脂とは、例えばイソシアネートとアミノ基との化学反応によって形成されるウレア結合を有する樹脂である。一例としてポリウレア樹脂は、ポリイソシアネートとポリアミンを反応させて形成される。
【0074】
本実施形態のアンテナ支持柱1においては、連結された一対のフランジ部14b、14cを覆うように筒状部10の外面に外部補強部52が設けられている。外部補強部52は、フランジ部14b、14cとともに、リブ15b、15cを覆ってよい。外部補強部52は、Z軸方向において筒11の側面の一部および筒12の側面の一部を覆ってもよい。同様に、連結された一対のフランジ部14d、14eを覆うように筒状部の外面に外部補強部54が設けられている。外部補強部54は、フランジ部14d、14eとともに、リブ15d、15eを覆ってよい。外部補強部54は、Z軸方向において筒12の側面の一部および筒13の側面の一部を覆ってもよい.外部補強部52および54は、ポリウレア樹脂で形成された保護膜であってよい。
【0075】
充填材32を形成するポリウレア樹脂の粘度は、外部補強部52および54に含まれるポリウレア樹脂の粘度より高くてよい。これにより、外部補強部52および54の流動性を抑えて筒状部10内の特定の領域に外部補強部52および54を形成しやすくなる。但し、この場合に限られず、用途によっては、充填材32を形成するポリウレア樹脂の粘度は、外部補強部52および54に含まれるポリウレア樹脂より低くてもよい。一例において、充填材32が筒状部10の内部に充填される範囲を拡大するために、充填材32として用いられるポリウレア樹脂の粘度を外部補強部52および54に含まれるポリウレア樹脂の粘度以下としてよい。但し、外部補強部52および54は、ポリウレア樹脂で形成された保護膜に限られない。
【0076】
各補強材20は、球形状であってよい。但し、後述するように、各補強材20の形状は、球形状に限られない。本明細書において球形状は、真球形状に限られず、生産工程によって生じる表面の凹凸または真球度を示す球形および楕円体を含む。複数の補強材20は、筒状部10の軸方向(Z軸方向)において、複数の層に配置されてよく、層をなさすに任意に充填されて配置されてもよい。
【0077】
図4Aは、筒状部の内部に配置される補強材20の一例を示す断面図である。それぞれの補強材20は、基材22と、基材22の外面を覆う、コーティング層24と、を含む。基材22は、球形状であってよい。コーティング層24の厚さは、基材22の直径より小さい。一例において、基材22の直径は、10mm以上であり、コーティング層24の厚さは0.5mm以上6mm以下であってよい。一例において、基材22の直径は40mmであり、コーティング層24の厚さは4mmであり、補強材20全体の直径は48mmである。
【0078】
本例においては、基材22は、発泡合成樹脂で形成される。一例として基材22を形成する合成樹脂は、高分子化合物である。より具体的な例として、基材22を形成する合成樹脂は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリウレタンから選択された1以上の材料で形成される。発泡合成樹脂とは、これらの合成樹脂中に微細な気泡を分散させたものを指す。一つの実施例において、基材22は発泡スチロール(発泡ポリスチレン)で形成される。
【0079】
コーティング層24は、基材22の外表面全体を覆うように設けられる。コーティング層24は、ポリウレア樹脂で形成される。ポリウレア樹脂とは、例えばイソシアネートとアミノ基との化学反応によって形成されるウレア結合を有する樹脂である。一例としてポリウレア樹脂は、ポリイソシアネートとポリアミンを反応させて形成される。一例において、アミン溶液の構成溶液である「ジエチルトルエンジアミン」およびイソシアネート溶液の構成溶液である「ジフェニルメタンジイソシアネート」の含有割合が大きくなるほど、ポリウレア樹脂の硬度を高くなり、弾性が低くなる。したがって、構造体の用途に応じて、補強材20におけるコーティング層24の弾性を変更することができる。なお、充填材32に含まれるポリウレア樹脂は、コーティング層24におけるポリウレア樹脂より粘度が高くてよい。但し、この場合に限られない。
【0080】
図4Bは、基材22を形成する発泡合成樹脂の発泡倍率と、コーティング層24の厚みT1との関係を示す図である。本例において、コーティング層24の厚みT1は、基材22の発泡倍率に応じて定められる。発泡倍率とは、例えば合成樹脂の粒(原料ビーズ)を、蒸気等で加熱して膨らませた際の、膨張比率(体積比)を示す。より具体的には、50倍の発泡体では製品全体(体積)の98%を空気が占め、2%を合成樹脂が占める。一般に発泡倍率と発泡合成樹脂の強度は反比例する。例えば発泡倍率が30倍の発泡合成樹脂は、発泡倍率が60倍の発泡合成樹脂の2倍の強度となるが、体積は半分程度になる。
【0081】
発泡倍率は、補強材20が用いられる構造体の用途に応じて選択される。用途に応じて、基材22が有するべき厚みが定まる。基材22の強度に応じて発泡倍率が定まる。
【0082】
コーティング層24の厚みT1は、発泡倍率に概ね比例するように設定される。標準的には、コーティング層24の厚みT1は、発泡倍率をAとしてA/20[mm]程度である。例えば、標準の筒状体において、発泡倍率が40倍の場合、コーティング層24の厚みT1は2mm程度が好ましい。また、発泡倍率が60倍の場合、コーティング層24の厚みT1は3mm程度が好ましい。コーティング層24の厚みT1を発泡倍率Aに比例させることで、基材22の強度が弱いほど、コーティング層24の厚みT1を大きくして、構造体全体の強度を維持できる。
【0083】
ただし、コーティング層24の厚みT1は、標準的な厚みに対して増減させてもよい。一例として、より強度を持たせたい場合、コーティング層24の厚みT1を増加させ、よりコストを低減したい場合、コーティング層24の厚みT1を低減させる。一例として、コーティング層24の厚みT1は、
図4Bにおいて点線で示す下記の範囲であってよい。
(A/20)-1≦T1≦(A/20)+1 [mm]
【0084】
なお、発泡合成樹脂の発泡倍率は、合成樹脂の材料種類と、発泡合成樹脂の単位体積当たりの重量から推定することができる。すなわち、発泡合成樹脂の単位体積当たりの重量および合成樹脂の材料から、発泡前の合成樹脂の体積を推定する。そして、推定した発泡前の合成樹脂の体積と、発泡合成樹脂の単位体積から、発泡倍率を算出する。
【0085】
図4Cは、補強材20の製造工程の一例を示すフローチャートである。まず用途選択段階S11において、補強材20が用いられる構造体の用途(構造体の種類)を選択する。
【0086】
次に、発泡倍率選択段階S12において、補強材20に用いる発泡合成樹脂の発泡倍率を選択する。発泡倍率は、S11において選択した構造体の用途に応じて定めてもよい。
【0087】
次に、基材成形段階S13において、発泡合成樹脂の基材を、所定の形状に成形する。例えば、発泡合成樹脂の基材22を、球形状、多面体形状、または柱形状に成形する。
【0088】
次に、パラメータ設定段階S14において、コーティング材を噴射する際の各パラメータを設定する。当該パラメータには、例えば、基材22の単位面積に対する、単位時間当たりのコーティング材の噴射量等が含まれる。
【0089】
また、加熱押圧段階S15において、基材22を加熱および押圧してもよい。但し、加熱押圧段階S15は省略されてもよい。
【0090】
次に、噴射段階S16において、基材22にコーティング材を噴射する。S16においては、それぞれの基材22の全面にコーティング材を噴射することが好ましい。
【0091】
次に、乾燥段階S17において、コーティング材を乾燥させる。これにより、基材表面にコーティング層24が形成される。
【0092】
図4Dは、筒状部の内部に配置される補強材20の他例を示す断面図である。
図1から
図4Cに示された例では、補強材20が、発泡合成樹脂で形成された基材22と、基材22の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層24とを含む場合を説明した。しかしながら、本発明は、この場合に限られない。
【0093】
図4Dに示される例において、それぞれの補強材20は、基材23を備える。本例において、基材23は、繊維強化樹脂(FRP)で形成されている。具体的には、基材23は、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)または炭素繊維強化樹脂(CFRP)で形成されていてよい。ガラス繊維強化樹脂(GFPR)は、ガラス繊維をポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、または他の熱可塑性樹脂で固めたものである。炭素繊維強化樹脂(CFRP)は、炭素繊維(カーボン繊維)をポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、または他の熱可塑性樹脂で固めたものである。但し、繊維強化樹脂(FRP)は、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)および炭素繊維強化樹脂(CFRP)に限定されない。たとえば、繊維強化樹脂(FRP)は、アラミド繊維(ケブラー繊維)強化樹脂、ポリエチレン繊維(ダイニーマ繊維)強化樹脂、ザイロン繊維強化樹脂、またはボロン繊維強化樹脂であってもよい。
【0094】
それぞれの補強材20は、基材23の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層24を含んでよい。但し、補強材20は、かならずしも、コーティング層24を含まないでもよい。
【0095】
図4Eは、筒状部の内部に配置される補強材の他例を示す断面図である。
図4Eにおいては、補強材20が、繊維強化樹脂(FRP)で形成されている基材23を含んでいるが、ポリウレア樹脂のコーティング層24を含んでいない。なお、
図4Dおよび
図4Eにおいて、繊維強化樹脂(FRP)で形成された基材23に換えて、金属で形成された基材を用いることもできる。しかしながら比重等の観点から金属よりも繊維強化樹脂(FRP)で形成された基材23を用いることが望ましい。
【0096】
基材23がガラス繊維強化樹脂(GFRP)または炭素繊維強化樹脂(CFRP)で形成された補強材20を用いる実施例(
図4Dまたは
図4E)のほうが、基材22が発泡合成樹脂で構成された補強材20を用いる実施例(
図4A)の場合より、構造物の剛性を高くすることができる。特に、構造物の本体部の剛性が比較的高い場合に、さらに剛性を高めるためには、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)または炭素繊維強化樹脂(CFRP)で基材23が形成された補強材20を用いることが望ましい。一方、構造物の本体部の剛性が比較的低い場合には、基材22が発泡合成樹脂で構成された補強材20を用いても、剛性を高める効果が顕在化しやすい。用途によって、基材の材質を選択することができる。
【0097】
図4Dに示される補強材20の製造工程においては、
図4CにおけるS11、S12、S15は省略される。
図4Cにおける基材成形段階S13において、繊維強化樹脂(FRP)の基材23を、所定の形状に成形する。例えば、基材成形段階S13において、繊維強化樹脂(FRP)の基材22を、球形状、多面体形状、または柱形状に成形する。パラメータ設定段階S14において、コーティング材を噴射する際の各パラメータを設定する。次に、噴射段階S16において、基材23にコーティング材を噴射する。S16においては、それぞれの基材23の全面にコーティング材を噴射することが好ましい。次に、乾燥段階S17において、コーティング材を乾燥させる。これにより、基材表面にコーティング層24が形成される。一方、
図4Eに示される補強材20の製造工程においては、さらに、S14、S16、S17は省略される。他の工程は、
図4Dに示される補強材20の製造工程と同様であるので、繰り返しの説明を省略する。
【0098】
図5は、筒12内における補強材の配置例を示す平面図である。複数の補強材20は、筒状部10の軸方向において複数の層に配置される。
図5において、筒12の内径が180mmであり、補強材20の直径は48mmである。
図5において、複数の補強材20-1は、第1層を構成し、複数の補強材20-2は第2層を構成する。
図5の例では、合計9個の補強材20-1が第1層を構成する。具体的には、第1層は、上面視において、筒12の内面に接触しつつ略正8角形の頂点に、それぞれの補強材20-1の頂点が一致するように配置された10個の補強材20-1と、筒12の中心に置かれた1個の補強材20-1とを含む。
【0099】
一方、合計4個の補強材20-2が第2層を構成する。第2層は、上面視において、略正4角形の頂点に、それぞれの補強材20-2の頂点が一致するように配置された2個の補強材20-2を含む。
【0100】
図6は、筒12内における補強材の層構造の一例を示す図である。
図6に示される通り複数の補強材20-3が構成する第3層は、第1層と同様の配置であってよい。複数の補強材20-4が構成する第4層は、第2層における配置をXY平面に平行な面において45度回転した構成となっている。第5層以降は、第1層から第4層の構成の繰り返しとなる。
図7は、筒11内における補強材の配置例を示す平面図である。複数の補強材20は、本体部の内部において複数の層に配置されてよい。本例においては、複数の補強材20は、筒状部10の軸方向において複数の層に配置される。
図7において、筒11の内径は、204.5mmであり、補強材20の直径は48mmである。
図7において、複数の補強材20-1は、第1層を構成し、複数の補強材20-2は第2層を構成する。
図7の例では、合計11個の補強材20-1が第1層を構成する。具体的には、第1層は、上面視において、筒11の内面に接触しつつ略正10角形の頂点に、それぞれの補強材20-1の頂点が一致するように配置された10個の補強材20-1と、筒11の中心に置かれた1個の補強材20-1とを含む。
【0101】
一方、合計5個の補強材20-2が第2層を構成する。第2層は、上面視において、略正5角形の頂点に、それぞれの補強材20-2の頂点が一致するように配置された5個の補強材20-2を含む。このように、各層において、上面視において、筒11の内面に接触しつつ略正10角形の頂点に補強材20が配置される構成を有してよい。なお、第3層および第4層以降は、第1層および第2層と同様であってよい。
【0102】
図8は、筒13内における補強材の配置例を示す平面図である。
図6において、筒13の内径が106mmであり、補強材20の直径は48mmである。筒13内において第1層は、上面視において、筒13の内面に接触しつつ略正3角形の頂点に、それぞれの補強材20-1の頂点が一致するように配置された3個の補強材20-1を含む。第2層は、上面視において、筒13の中心に置かれた1個の補強材20-2を含む。
【0103】
図5および
図6に示される筒12内における補強材20の配置においては、補強材20の直径(48mm)は、筒12の内径(180mm)の33%であり、20%以上40%以下の範囲に含まれている。
図7に示される筒11内における補強材20の配置においては、補強材20の直径(48mm)は、筒12の内径204.5mmの23%であり、20%以上30%以下の範囲に含まれている。
図8に示される筒13内における補強材20の配置においては、補強材20の直径(48mm)は、筒13の内径(106mm)の45パーセントであり、20%以上50%以下の範囲にふくまれている。
【0104】
換言すれば、筒12の内径(180mm)は、補強材20の直径の3.75倍であり、筒11の内径(204.5mm)は、補強材20の直径の4.26倍であり、筒13の内径(106mm)は、補強材20の直径の2.2倍である。筒状部10の内径は、補強材20の直径の1倍以上20倍以下、より好ましくは補強材20の直径の1倍以上10倍以下、あるいは2倍以上10倍以下であることが望ましい。これにより、アンテナ支持柱1の剛性を効果的に高めることができる。
【0105】
但し、筒状部10内における補強材20の配置は、
図5、
図6、
図7、および
図8の場合に限られない。筒状部10内において、補強材20は、必ずしも層状に配置されなくてもよい。特に、既設の筒状部10を用いて、剛性が強化されたアンテナ支持柱1を製造する場合には、複数の補強材20が筒状部10の本体部に設けられた開口から内部空間内に搬入されることとなり、複数の補強材20は必ずしも層状に配置されない。複数の補強材20が層状に配置されずにランダムに配置される場合も、筒状部10の内径は、補強材20の直径の1倍以上20倍以下、より好ましくは補強材20の直径の1倍以上10倍以下であることが望ましい。補強材20の直径は、10mm以上であることが望ましい。内径300mmの筒にいれる補強材20の直径を、10mm、20mm、40mm、60mmとした場合、補強材20の直径が60mmの場合が構造体の剛性を一番高くすることができた。補強材20の大きさが大きくなると、筒等の構造体が外力を受けて撓んだ場合に生じる空間に補強材20が移動してしまうことを防止することができ、剛性を高くすることができる。
【0106】
図1から
図8に示されるように、本実施形態のアンテナ支持柱1によれば、補強材20を、筒状部10内に配置する。補強材20によって筒状部10内の剛性を高めることができ、変位を抑制することができる。したがって、アンテナ支持柱1に発生する応力を抑制することができる。特に、筒状部10の内径が補強材20の直径の2倍以上20倍以下、特に、2倍以上10倍以下とすることによって、アンテナ支持柱1に発生する応力を抑制することができる。特に、シミュレーションおよび実機テストの結果によれば、基材23が遷移強化樹脂で形成された補強材20を用いることによって筒状部10内の剛性を高めることができる。筒状部10の剛性によっては、発泡合成樹脂で形成された基材22を含む補強材20を用いることができ、アンテナ支持柱1の重量を軽くすることができる。
【0107】
また、本実施形態のアンテナ支持柱1によれば、連結された一対のフランジ部14とリブ15とを覆うように筒状部10の外面に外部補強部52および54を設ける。この結果、局所的な応力が発生しやすい箇所を外側から被覆できるので、発生する応力を軽減することができる。
【0108】
また、本実施形態のアンテナ支持柱1においては、筒状部10の軸方向において互いに離間した複数の位置において充填材を含んでよい。筒状部10の内部の全域に充填材を充填する場合に比べて、硬化速度の速い充填材を使用することができる。
【0109】
本例の構造体は、中空構造として筒状部10を含むため、同じ断面積の中実構造体に比べて柔軟性を示し、数倍の強度を生む。さらに、本実施形態では、筒状部10の軸方向において互いに離間した複数の位置において、強固なポリウレア樹脂からなる充填材32を含むため、充填材32が、横架材の役目を果たし、曲げ応力に対する竹全体の強度を高めることができる。植物の竹の節構造と同様の効果を奏する。
【0110】
図9は、本発明の第2の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。第1実施形態においては、1つの筒内において、固定部30として、1つの充填材32を設ける場合を説明したが、本発明はこの場合に限られない。
図9に示されるように、1つの筒12の内部において、複数の充填材32b、32cが設けられてよい。本例では、筒状部10全体として、3つ以上の充填材32a、32b、32cが設けられる。
【0111】
図10は、本発明の第3の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。複数の補強材20は、互いに大きさが異なる補強材20a、20b、20cを含んでよい。本例では、各筒11、12、13の内径が大きくなるほど、補強材20a、20b、20cの直径も大きくなるように構成されている。特に、固定部30(本例では充填材32aおよび充填材32b)により分離される領域毎に、配置される複数の補強材20a、20b、20cの大きさが異なってよい。本例では、領域41、領域42、領域43において、配置される複数の補強材20a、20b、20cの大きさが異なる。筒の内径や形状に合わせて、充填材32aおよび充填材32bの位置を設計することで、筒の内径に応じて補強材20a、20b、20cの大きさを変えることができる。したがって、筒内に補強材20aを密に配置しやすくなる。この結果、アンテナ支持柱1の強度を高めることができる。また、充填材32aおよび充填材32bにより分離される領域毎に、配置される複数の補強材20a、20b、20cの各コーティング層24の弾性(剛性)が異なってよい。一例において、補強材20aが補強材20bより剛性が高く(弾性が低く)、補強材20bより補強材20cより剛性が高く(弾性が低く)してもよく、その逆にしてもよい。
【0112】
図11は、本発明の第4の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。複数の補強材20は、互いに大きさが異なる補強材20、21を含んでよい。補強材20および補強材21は、筒状部10内の領域において混在してよい。
図11に示されるように、補強材20は、必ずしも層状に配置されておらず、ランダムに配置されてもよい。
【0113】
図11に示されるように、互いに直径が異なる補強材20および補強材21が、筒状部10内において混在することにより、筒状部10内における補強材20の充填率を高めることができる。したがって、筒内に補強材20aを密に配置しやすくなる。この結果、アンテナ支持柱1の強度を高めることができる。
【0114】
図12は、本発明の第5の実施形態における、アンテナ支持用の柱体の一例を示す部分断面図である。
図12に示されるように、固定部30として、筒状部10の内部全体にわたって充填された充填材32を用いてよい。この場合、ポリウレア樹脂に比べて硬化速度が遅い充填材32を用いてよい。
【0115】
図13は、本発明の構造体の製造方法の一例を示す図である。本例では、構造体の一例としてアンテナ支持柱の製造方法が示されている。本例において、構造体は、内部空間を取り囲む中空構造である本体部を備えている。構造体の製造方法は、準備段階(ステップS101)を備える。準備段階(ステップS101)において、複数の補強材20が準備される。補強材20は、
図4Aに示されるように、発泡合成樹脂の基材22と、基材22の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層24とを備えていてよい。但し、補強材20は、
図4Dに示されるように、繊維強化樹脂の基材23と、基材23の外面を覆う、ポリウレア樹脂のコーティング層24とを備えていてよく、
図4Eに示されるように、繊維強化樹脂の基材23を備えており、コーティング層24を備えていなくてもよい。
【0116】
製造方法は、複数の補強材20を本体部に設けられた開口から内部空間内に搬入する搬入段階を備える(ステップS102)。例えば、
図1に示される筒状部10を例にとると、まず、避雷針16の部分が外れて、筒13、筒12、筒11が連通した筒状部10の一端(上端)が露出される。すなわち、
図1に示される筒状部10においては、筒状部10の一端に開口が設けられており、避雷針16の部分が開口を閉鎖するカバー部として機能する。そして、補強材20の供給部62を用いて、その筒状部10の一端から複数の補強材20が筒状部10の内部に搬入される。搬入された補強材20は、筒状部10の底部から順に配置されていく。
【0117】
製造方法は、複数の補強材20を本体部内に固定するための固定部30を設ける段階を備える。本例では、固定部30を設ける段階は、複数の補強材20を筒状部10内に固定するための充填材32を筒状部の内部の少なくとも一部に充填する充填段階を含んでいる(ステップS103)。充填段階S103では、複数の補強材20のうち少なくとも一部の補強材と筒状部10の内面とに付着するように充填材32が充填される。充填材32は、ポリウレア樹脂であってよい。
【0118】
一例において、予め定められた量の補強材20が筒状部10内に搬入されると、補強材20の搬入が休止される。そして、筒状部10内に挿入されたノズル64等を通じて、充填材32aが充填される。筒状部10内には、補強材20が設けられているので、充填材32aのみで筒状部10内の空間を充填する場合に比べて、短期間で工程を完了することができる。また、充填材32aのみで筒状部10内の空間を充填する場合と異なり、比較的硬化時間が短いポリウレア樹脂を充填材32aとして用いることができ、アンテナ支持柱1の剛性を高めることができる。
【0119】
搬入段階(ステップS102)と充填段階(ステップS103)とが複数回にわたって繰り返し実行される。換言すれば、固定部を設ける段階の前後において、それぞれ搬入段階(ステップS102)が実行される。本例では、充填段階(ステップS103)の前後において、それぞれ搬入段階(ステップS102)が実行される。この結果、本体部の内部空間が複数の領域に分離される。本例においては、筒状部10の軸方向において互いに離間した複数の位置において充填材32a、32bが配置される。なお、筒状部10内に挿入された挿入装置が補強材20と充填材32とを所定の時間ごとに交互に供給するようにしてもよい。分離された領域毎に、配置される複数の補強材20の大きさが異なってよい。また、分離された領域毎に、配置される複数の補強材20のコーティング層24の弾性が異なってよい。
【0120】
搬入段階S102においては、
図10および
図11に示されるように、互いに大きさが異なる補強材20が筒状部10の内部に搬入されてもよい。また、コーティング層24の搬入段階S102では、複数の補強材20が、本体部の内部において複数の層に配置されてもよく、層をなさすに任意に充填されて配置されてもよい。たとえば、複数の補強材20は、筒状部10の軸方向において複数の層に配置されてもよい。
【0121】
さらに、製造方法は、塗布段階(ステップS104)を備えてよい。筒状部10は、筒11、筒12、および筒13を含んでいる。それぞれの筒は、隣接する筒と連結するためのフランジ部14を有している。隣接する筒のフランジ部14同士が連結されて筒状部10が構成されている。そこで、塗布段階(ステップS104)においては、連結された一対のフランジ部を覆うように筒状部10の外面にポリウレア樹脂が塗布される。これによって、筒状部10の外面にポリウレア樹脂を含む外部補強部52および54が形成される。たとえば、筒状部10の側面配置されたノゾル66aおよびノゾル66b等を通じて、ポリウレア樹脂を含む外部補強部52および54が形成されてよい。
【0122】
このような製造方法によれば、すでに基地局等に既設の筒状部10を用いて、剛性が強化されたアンテナ支持柱1を製造することができる。いわば、本実施形態の製造方法は、既設のアンテナ支持柱1の補強方法としても用いることができる。もちろん、既設の筒状部10を用いることなく、まったく新たなアンテナ支持柱1の製造方法として本実施形態の製造方法を活用することもできる。
【0123】
製造方法は、
図13に示される場合に限られず、種々の変更が可能である。
【0124】
図14は、搬入装置の一例を示す図である。搬入装置90は、収容タンク91、供給管92、モータ93、整列供給装置94、搬送管95、ブロア96、および制御部97を備える。収容タンク91内に収容された補強材20は、供給管92を通じて、モータ93によって駆動される整列供給装置94によって、補強材20よりやや大きい内径の搬送管95内に供給される。ブロア96から吐出された圧縮空気が搬送管95内に流入して搬送管95内の補強材20を搬送する。このような搬入装置90を用いて、複数の補強材20を本体部の内部空間内に搬入してよい。制御部97は、ブロア96およびモータ93を制御する。このような搬入装置90によれば、単位時間内での補強材20の搬入数を増加させることができる。また、搬送管95に圧力を加えることによって補強材20を内部空間内に送り出すので、内部空間内において複数の補強材20を配置させやすくなる。換言すれば、本発明の構造体の製造方法は、複数の補強材20を内部空間内に押圧する押圧段階をさらに含み、押圧段階の後に、固定部30によって複数の補強材20を本体部内に固定してよい。なお、複数の補強材20を内部空間内に押圧する手段は、圧縮空気に限られない。押圧するための棒などによって押圧してもよい。特に、複数の補強材20が層をなさずに任意に充填されて配置される場合に、押圧することで、補強材20の充填される密度が高まり位置が固定される。この結果、構造体の強度を高める効果が大きくなる。
【0125】
上述した第1から第5実施形態においては、複数の補強材20を本体部の内部に固定する固定部30として充填材32を主として説明した。しかし、固定部30は、このような充填材32に限定されない。
【0126】
図15は、本発明の第6の実施形態における、アンテナ支持柱の一例を示す部分断面図である。第6の実施形態における全体の構造は、
図1から
図8に示される第1の実施形態と同様である。
図15は、
図1のA部分についてZX平面に沿って切断した断面を模式的に示している。
【0127】
アンテナ支持柱1の本体部は、複数の補強材20を本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部30を有する、固定部30は、複数の補強材20を筒状部10内に固定する。本例では、固定部30は、接続部33と延伸部34とを含む。固定部30は、金属または樹脂で形成されてよい。樹脂としては、例えば、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)または炭素繊維強化樹脂(CFRP)が用いられる。接続部33と延伸部34とは一体的に構成されてよい。接続部33は、中空構造の内面に側面が接続される。接続部33は、板状であってよい。一例において、接続部33は、2つの主面と、2つの主面間を連結する側面とを備える。板状の接続部33の側面が中空構造の内面に接続されてよい。本例では、接続部33は、筒状部10の内面に接続される。一例において、接続部33は中空構造に圧入されることによって中空構造の内面に接続されてもよく、接着剤または溶接等によって中空構造の内面に接続されてよい。接続部33の形状は、中空構造の内部空間の形状に対応してよい。一例において、接続部33の形状は、筒状部10の内径形状に対向する円板形状であってよい。接続部33は、内部空間を複数の領域に分離してよい。本例では、筒状部10の内部を複数の領域に分離する。
【0128】
延伸部34は、中空構造の延伸方向に沿って接続部33の主面から延伸してよい。本例のように中空構造が筒状部10である場合には、延伸部34は、筒状部10の軸方向に沿って延伸してよい。延伸部34は、接続部33の一つの主面の中央付近から延伸してよい。延伸部34の直径は、筒状部10の内径の10%以上80%以下であってよい。
【0129】
筒状部10の内部は、筒状部10の軸方向において、領域41、領域42、および領域43に分離されてよい。筒状部10は、3つ筒11、12、13が連結されている。1つの筒内において、1つの固定部30が設けられてよい。領域42を例にとると、筒12の内部に、固定部30bの延伸部34bが設けられている。そして、延伸部34bの端部は、筒12と筒13との接続領域付近において、隣接する他の固定部30cの接続部33cの主面(おもて面または裏面)に接触する。複数の補強材20は、延伸部34bと中空構造の内面との間の空間に配置されてよい。本例では、複数の補強材20は、延伸部34bと筒状部10の内面との間の空間に配置される。そして、接続部33b、接続部33c、延長部34b、および筒状部10(中空構造)内面によって、複数の補強材20の位置が固定される。
【0130】
本例の構造体によれば、延伸部34を有しているので、内部空間に配置しなければならない複数の補強材20の数を低減することができる。本例であれば、筒状部10の内側に配置される複数の補強材20の数を低減しつつ、筒状部10の剛性を高くすることができる。
【0131】
図16は、本発明の第7の実施形態における、アンテナ用支柱柱の一例を示す部分断面図である。
図15に示される第6実施形態においては、1つの筒内において、1つの固定部30を設ける場合を説明したが、本発明はこの場合に限られない。
図16に示されるように、1つの筒12の内部において、複数の固定部30b、30cが設けられてよい。固定部30bは、固定部30cよりも、筒12と筒11との接続領域付近に近い位置に配置される。逆に、固定部30cは、固定部30bよりも、筒12と筒13との接続領域付近に近い位置に配置される。
【0132】
固定部30bは、筒12と筒11との接続領域付近に配置される接続部33bと、接続部33bから延びる延伸部34bとを備える。固定部30cは、筒12の長手方向の中央部付近に設けられる接続部33cと、接続部33cから延びる延伸部34cとを備える。本実施形態によっても、筒状部10の内側に配置される複数の補強材20の数を低減しつつ、筒状部10の剛性を高くすることができる。
【0133】
なお、
図15および
図16に示される例においては、固定部30は、接続部33と延伸部34とを含んでいたが、固定部30は、接続部33を有し、延伸部34を有していなくてもよい。この場合、接続部33は、筒11、筒12、筒13の端部を覆う金属板であってよい。
【0134】
図17は、本発明の第8の実施形態における、アンテナ支持柱1の一例を示す断面図である。
図17においては、筒状部10の一部に開口が設けられている。本例では、筒状部10の先端部に開口が設けられている。そして、筒状部10の本体部は、開口部を閉鎖するカバー部55を有する。本例では、カバー部55は、フランジ部14fと接続される。カバー部55によって開口を閉鎖することで、複数の補強材20を本体部の内部に固定する。したがって、本例では、カバー部55が固定部30として機能する。カバー部55は、例えば、金属板である。カバー部55には、避雷針16等が取り付けられてもよい。本例においては、固定部30として充填材32はなくてよい。本例においても外部補強部51、52,54等の構成は、
図3に示される第1実施形態の場合と同様である。
【0135】
本例によれば、カバー部55が固定部30として機能するので、既設管を用いてアンテナ支持柱1等を製造するときに施工が容易になる。
【0136】
第1から第8の実施形態においては、主として補強材20が球形状である場合を説明した。しかしながら、補強材20の形状は、球形状に限られない。
【0137】
図18は、補強材の他の例を示す図である。
図18に示されるとおり、補強材20は多面体形状をしていてよい。
図18に示される例では、正四面体をしているが、補強材20は、正四面体形状に限られない。
図18に示される補強材20も、基材22と、基材22の外面を覆うコーティング層24とを含んでよい。基材22は、補強材20の形状に対応した多面体形状であってよい。
【0138】
図19は、補強材の他の例を示す図である。
図19に示されるとおり、補強材20は柱形状をしていてよい。
図18に示される例では、正六角柱形状をしている。底面が正六角形をしている正六角柱は、面内において最密に配置することができる。しかしながら、補強材20は、正六角柱形状に限られず、他の多角形柱でもよく、円柱でもよい。
図18に示される補強材20も、基材22と、基材22の外面を覆うコーティング層24とを含んでよい。基材22は、補強材20の形状に対応した柱形状であってよい。
【0139】
図18または
図19に示されるような球形状以外の補強材20を中空構造内に配置することによって中空構造内に、補強材20の外面を覆うコーティング層24に起因する仮想的なフレーム構造が構成される。したがって、補強材20によれば、中空構造の強度を内部から高めることができる。補強材20が、柱形状または多面体形状をしている場合において、その形状の最大サイズは、中空構造の軸方向に垂直に切った断面の最大サイズの1倍以上20倍以下であってよく、1倍以上10倍以下であってよい。補強材20が、柱形状または多面体形状をしている場合において、その形状の最大サイズは、10mm以上であってよい。
【0140】
図18および
図19に示される補強材20においても、
図4Dおよび
図4Eにおいて説明したとおり、発泡合成樹脂で形成された基材22に代えて、繊維強化樹脂(FRP)で形成された基材23を採用してもよい。補強材20が、繊維強化樹脂(FRP)で形成された基材23を含む場合には、基材23の外面を覆うコーティング層24を省略してもよい。
【0141】
図20は、シミュレーション試験の条件を示す図である。筒12として、外径190.7mm、内径180.1mmメートル、長さ2.3mの筒が用いられた。筒12の内部には、
図5および
図6に示された層構造をなすように複数の球形状の補強材20が配置された。筒12の一端および他端の近傍において、固定部30として充填材32aおよび充填材32bが設けられ、球形状の補強材20の位置が固定された。充填材32aおよび充填材32bの軸方向(Z軸方向)の厚さは30mm程度とした。
【0142】
直径48mmの球形状の補強材20を用いた。具体的には、基材22の直径が40mmで、ポリウレア樹脂のコーティング層の膜厚が4mmである補強材20を用いた。筒12の一端におけるフランジ部14cおよびリブ15cの上を覆う外部補強部52が設けられた。外部補強部52は、膜厚が4mmであり、一部は筒12の側面に沿って延伸される。同様に、筒12の他端におけるフランジ部14dおよびリブ15dの上を覆う外部補強部54が設けられた。外部補強部54は、膜厚が4mmであり、一部は筒12の側面に沿って延伸される。
【0143】
一方、比較例として、補強材20、充填材32a、32b、外部補強部52、および外部補強部54が設けられていないことを除いて、同様の構造を有する支持柱についてもシミュレーション試験を実行した。
【0144】
シミュレーション試験においては、筒12の上端(先端部)において側面からX軸方向に10000(N)の力を加えた。その結果、実施例および比較例とも、
図20のP点として示されるように、筒12の下端部(基端部)に設けられたリブ15cにおいて最大の応力がかかることがわかった。実施例においては、リブ15cが受ける最大の応力は156.1(N/mm
2)となった。一方、比較例においては、リブ15cが受ける最大の応力は、249.7(N/mm
2)となった。この結果から、実施例のように、補強材20、充填材32a、充填材32b、外部補強部52、および保護膜54を設ける対処により、リブ15cへの応力集中を緩和することができることがわかった。また、同様の効果は、筒11および筒13においても得られた。
【0145】
シミュレーションの結果の検証を行う。アンテナ支持柱の高さhを2.3m、支持柱の外径D1を190.7mm、内径D2を180.1mmとする。アンテナ支持柱の上端で、側面からX軸方向にF(N)の力を掛けた場合、アンテナ支柱の底面にかかる作用モーメントMは、
M=F・h=23000(N・m)となり、
底面が受ける応力σは、σ=M/Zで与えられる。
ここで、Zは断面係数で、Z=I(慣性モーメント)/e(重心の距離)、
I=(π(D1
4-D2
4)/64)/(D1/2)=1328(cm4)、
e=14.4(mm)として、
Z=1328/14.4=92.2(cm3)となる。これから、
応力σ=M/Z=23000/92.2=250(N/mm2)となる。
つぎに補強材20、充填材32a、充填材32b、外部補強部52、および外部補強部54を設ける対処により、等価的に内径が小さくなったとして、
D2=172.7(mm)とすれば、同様の計算で、
I=2125.4(cm4)
e=14.4(mm)
Z=147.6となり、
σ=M/Z=23000/147.6=156(N/mm2)となり、測定結果と一致する。
すなわち、アンテナ支柱の部材の厚さが、本発明の実施前では5.3mm(=(190.7―180.1)/2)であったものを等価的に9mm(=(190.7-172.7)/2)に3.7mm厚くなったのと等価となる。
【0146】
ポリウレア樹脂でコーティングされた補強材20が筒状部10の内側に配置されることにより、筒状部10の剛性を高めることができ、筒状部10の変位が抑えられるため、P点において発生する応力が抑制された。また、外部補強部52、54を設けることにより、応力が大きくなりやすい部分を外側からコーティングすることで、発生する応力が抑制された。
【0147】
また、外径190.7mm、内径180.1mmメートル、肉厚5.3mm、長さ800mmの筒を用いて3点曲げ試験を行った。受け丸棒2本を中心間距離600mmに離間し、その上に試料を配置した。そして、受け丸棒2本の中心間距離600mmの中点をおし丸棒で押圧し、破壊荷重を測定した。受け丸棒および押し丸棒は直径50mmとした。この結果、発泡合成樹脂で形成された基材22と、基材22の外面を覆うコーティング層24と有する直径40mmの補強材20を筒の内部空間に配置することによって、補強材20を配置しない場合に比べて、破壊荷重(N)が、15%程度高くなった。なお、複数の補強材20を内部空間内に押圧する押圧段階を経て補強材20を筒の内部空間に配置した場合には、補強材20を配置しない場合に比べて、破壊荷重(N)が、20%程度高くなった。
【0148】
また、シミュレーションでは、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)または炭素繊維強化樹脂(CFRP)の基材23を含む直径40mmまたは20mmの補強材20を筒の内部空間に配置した場合には(
図4D、
図4E参照)、筒自体の剛性にも影響を受けるが、発泡合成樹脂で形成された基材22と、基材22の外面を覆うコーティング層24と有する直径40mmの補強材20を筒の内部空間に配置した場合にくらべて、変位量を23.8%低減できた。
【0149】
さらに、シミュレーションでは、筒内に、ガラス繊維強化樹脂(GFRP)または炭素繊維強化樹脂(CFRP)の補強材20を配置して固定するともに、外部補強部52を設けることによって、補強材20や外部補強部52を配置しない場合に比べて、剛性を17.8%向上できた。このとき、基端部にかかる応力を65%程度低減することができた。なお、剛性向上および応力低減効果は、3つ筒11、12、13を連結して筒状部10を構成した実際のアンテナ支持柱においても同程度の効果が確認できた。
【0150】
以上のように、アンテナ支持柱1について説明したが、筒状部10の構成は、
図1に示される場合に限られない。上述した第1実施形態から第8実施形態では、筒状部10の基端部から先端部に到る領域において、筒状部10の内部空間に補強材20または充填材32a、32bが設けられる場合が説明された。具体的には、充填材32a、32bが充填されている部分を除いて、筒状部10の基端部から先端部に到る領域において、筒状部10の内部空間には、補強材20が配置されている場合が示された。しかしながら、本発明はこの場合に限られない。
【0151】
図21は、アンテナ支持柱1の変形例を示す図である。
図21に示されるとおり、筒状部10の軸方向(Z軸方向)において、基端部(-Z側の端部)の一部の領域に複数の補強材20が配置されている。基端部の一部の領域を除いて、筒状部10の内部空間には補強材20が配置されていない。
図20に示されたとおり、筒状部10の基端部(下端部)に設けられたリブ15aにおいて最大の応力がかかる。したがって、基端部の一部の領域は、筒状部10の軸方向(Z軸方向)において最大の応力がかかる部分に対応するように設けられる。筒状部10の長さをLとすると、基端部の一部の領域は、筒状部10の基端部の端からL/3の範囲であってよく、L/5の範囲であってもよい。
【0152】
図21に示される変形例では、筒状部10は、複数の筒11、筒12、筒13を含んでいる。筒11は、複数の筒の内で最も筒状部10の基端部に近い位置に配置され、筒13が複数の筒の内で最も筒状部10の先端部に近い位置に配置され、筒12が、筒11と筒13との間に配置される。本変形例では、複数の筒の内で最も筒状部10の基端部に近い位置に配置された筒11の内部空間に補強材20が配置される。
【0153】
本変形例では、複数の補強材20を基端部の一部の領域において筒状部10内に固定する少なくとも一つの固定部30を備えている。本変形例では、固定部30は、充填材32a、32bを含む。充填材32a、32bは、複数の補強材20のうち少なくとも一部の補強材20と中空構造の内面とに付着するように中空構造の内部の少なくとも一部に充填されている。
【0154】
本変形例は、充填材32として、複数の充填材32a、32bが形成されている。充填材32aは、充填材32bより基端部に近い位置に設けられる。筒状部10の軸方向において、充填材32aと充填材32bとで複数の補強材20を挟み込むようにして複数の補強材20の位置を固定してよい。
【0155】
本変形例によれば、基端部の領域において、複数の補強材20が筒状部10の内部空間に配置される。したがって、筒状部10の剛性を効果的に高めることができる。また、複数の補強材20を基端部の一部の領域に集中的に配置するので、複数の補強材20の使用量を低減することができ、複数の補強材20を筒状部10内に搬入する搬入段階を短縮することができる。
【0156】
図22は、アンテナ支持用の柱体の変形例を示す図である。筒状部10は、複数の筒11、筒12、および筒13を含んでいる。筒状部10の軸方向(Z軸方向)において、それぞれの筒11、筒12、および筒13の各基端部の一部の領域に複数の補強材20が配置されている。筒状部10の軸方向(Z軸方向)において、筒11の基端部(-Z側の端部)の一部の領域に複数の補強材20が配置されている。基端部の一部の領域を除いて、筒11の内部空間には補強材20が配置されていない。同様に、筒12の基端部(-Z側の端部)の一部の領域に複数の補強材20が配置されている。筒13の基端部の一部の領域に複数の補強材20が配置されている。筒11の長さをLとすると、基端部の一部の領域は、筒11の基端部の端からL/3の範囲であってよく、L/5の範囲であってもよい。筒12および筒13における基端部の一部の領域も、筒11の場合と同様であってよい。
【0157】
本変形例では、複数の補強材20を筒11の基端部の一部の領域において筒11内に固定する少なくとも一つの固定部30を備えている。本変形例では、固定部30は、充填材32a、32bを含む。充填材32a、32bは、複数の補強材20のうち少なくとも一部の補強材20と中空構造の内面とに付着するように中空構造の内部の少なくとも一部に充填されている。
【0158】
本変形例では、筒11内において、充填材32aは、充填材32bより筒11の基端部に近い位置に設けられる。筒状部10の軸方向において、充填材32aと充填材32bとで複数の補強材20を挟み込むようにして複数の補強材20を筒11内に固定してよい。
【0159】
同様に、筒12内において、充填材32cは、充填材32dより筒12の基端部に近い位置に設けられる。筒状部10の軸方向において、充填材32cと充填材32dとで複数の補強材20を挟み込むようにして複数の補強材20を筒12内に固定してよい。同様に、筒13内において、充填材32eは、充填材32fより筒13の基端部に近い位置に設けられる。筒状部10の軸方向において、充填材32eと充填材32fとで複数の補強材20を挟み込むようにして複数の補強材20を筒13内に固定してよい。
【0160】
本変形例によれば、複数の筒が連結されている場合においても、各筒11、12、13の基端部の領域において、複数の補強材20が各筒11、12、13の内部空間に配置される。したがって、筒状部10の剛性を効果的に高めることができる。また、複数の補強材20を各筒11、12、13の基端部の一部の領域に集中的に配置するので、複数の補強材20の使用量を低減することができ、複数の補強材20を筒状部10内に搬入する搬入段階を短縮することができる。
【0161】
図23は、アンテナ支持用の柱体の変形例を示す図である。第1実施形態から第8実施形態では、径がそれぞれ異なる筒11、筒12、筒13が連通して筒状部10が設けられている場合が示された。しかしながら、本発明は、
図24に示されるように複数の筒に代えて一つの筒を含む筒状部10を有するアンテナ支持柱1にも適用することができる。
【0162】
図24は、アンテナ支持用の柱体の変形例を示す図である。第1実施形態から第8実施形態では、径がそれぞれ異なる筒11、筒12、筒13のそれぞれにおいては、筒の内径および外径が軸方向の位置によらず一定である場合が示されたが、本発明はこの場合に限られない。筒11、筒12、筒13の少なくとも一つにおいて、Z軸方向にそって正方向(上方)に行くにしたがって径が小さくなるように構成されていてもよい。本例では、筒11、筒12、筒13のそれぞれが、Z軸方向にそって正方向(上方)に行くにしたがって径が小さくなる。このような各種の筒状部10に対して、本発明を適用することができる。
【0163】
図25は、送電用の電力柱4の一例を示す図である。電力柱4は、本発明の構造体である柱体の他の例である。電力柱4は、コンクリート及び鉄骨等で形成された筒状部10を有する。したがって、その筒状部10の端部の開口72から補強材20を供給し、筒状部10内に補強材20を配置して固定することで、剛性を強化することができる。補強材20および固定部30の構成は、
図1から
図24で説明した構成と同様であってよい。したがって、詳しい説明を省略する。
【0164】
図26は、街灯用ポール6の一例を示す図である。街灯用ポール6は、本発明の構造体である柱体の他の例である。街灯用ポール6は、街灯が取り付けられる。街灯用ポール6は、金属で形成された筒状部10を有する。したがって、その筒状部10の端部の開口82から補強材20を供給し、筒状部10内に補強材20を配置して固定することで、剛性を強化することができる。補強材、固定部30の構成は、
図1から
図24で説明した構成と同様であってよい。したがって、詳しい説明を省略する。特に、街灯用ポール6においては、アンテナ支持柱に比べて、筒状部10の剛性が低い。したがって、
図4Aに示されるような発泡合成樹脂によって形成された基材22を備える補強材20を用いても十分な剛性向上の効果が得られる。
【0165】
以上の説明では、本発明の構造体が、筒状部10を含む筒体である場合を説明した。しかしながら、本発明の構造体は、筒体の場合に限られない。本発明の構造体は、構造体の本体部の内部に、上述したような複数の補強材20が配置されるものであればよい。
【0166】
図27は、本発明の第9の実施形態における構造体100の一例を示す斜視図である。構造体100は、本体部101を備える。本例において、本体部101は、内部空間を取り囲む中空構造である。本例では、本体部101は、直方体形状をしているが、本体部101は中空構造であればよく、直方体形状に限定されない。
【0167】
本体部101は、外殻部102とカバー部104とを含んでよい。カバー部104は、本体部101のうち外殻部102の一部に形成された開口を閉鎖する。本体部101は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの材料で形成されてよい。本体部101のうち、外殻部102とカバー部104とは同一の材料で形成されてもよく、互いに異なる材料によって形成されてもよい。外殻部102とカバー部104とは溶接等によって接合されてよい。また、外殻部102は、第1外殻部と第2外殻部のように複数の部品で構成されてよい。この場合は、複数の部品同士が溶接等により接合されて中空構造が構成される。カバー部104が複数の補強材20を本体部の内部に固定する少なくとも一つの固定部30を兼ねてもよい。この場合、本体部は、カバー部104のみを有していてよく、別途の固定部30を有していなくてもよい。
【0168】
図28は、
図27に示される構造体100の断面の一例を示す断面図である、構造体100は、本体部101の内部に配置される複数の補強材20を備える。本例では、本体部101は、内部空間を取り囲む中空構造である。複数の補強材20は、内部空間内に配置されている。
【0169】
本体部101は、複数の補強材20を本体部101の内部に固定する少なくとも一つの固定部30を有する。本例においては、固定部30は、複数の補強材20のうち少なくとも一部の補強材20と中空構造の内面とに付着するように中空構造の内部の少なくとも一部に充填されている充填材であってよい。充填材は、
図1から
図12に示される第1から第5の実施形態において説明した充填材32と同様であってよい。したがって、充填材についての詳しい説明は省略する。一方、
図15および
図16において説明したとおり、固定部30として、中空構造の内面に側面が接続される接続部と、中空構造の延伸方向に沿って接続部の主面から延伸する延伸部とを有していてもよい。接続部および延伸部は、
図15および
図16における接続部33および延伸部34と同様であってよい。中空構造の延伸方向は、接続部の主面に交わる方向であってよい。
【0170】
本例では、内部空間において隣接する補強材20の間の空間25は、充填材が充填されている領域を除いて、未充填であってよい。本例の構造体100の構成については、構造体100の中空構造が筒状部10でないことを除いて、
図1から
図26において説明した第1~第8実施の形態における構造と同様であってよい。したがって、繰り返しの説明を省略する。
【0171】
本実施形態の構造体100の製造方法は、準備段階と、搬入段階と、複数の補強材20を本体部内に固定するための固定部30を設ける段階と、を含む。準備段階において、複数の補強材20が準備される。搬入段階においては、複数の補強材20を本体部101に設けられた開口から内部空間内に搬入する。固定部30を設ける段階は、充填段階を含んでよい。充填段階においては、複数の補強材20を本体部101内に固定するための充填材を内部空間内の少なくとも一部に充填してよい。カバー部104によって開口がふさがれてよい。外殻部102とカバー部104は、溶接等によって接合されてよい。但し、構造体100の製造方法は、充填段階を必ずしも含まないでよい。固定部として機能するカバー部104によって開口がふさがれることで、複数の補強材20の位置が固定されてもよい。
【0172】
本実施形態のように、構造体100が筒体ではない場合も、中空構造の剛性を高めることができる。いわば、中空構造である本体部101の内部空間内に複数の補強材20が配置されることで、ポリウレア樹脂で形成されたコーティング層24によって、内部空間内においてメッシュ構造と同様の構成が生成される。これにより、構造体100の剛性が高まると考えられる。但し、ポリウレア樹脂で形成されたコーティング層24を省略し、繊維強化樹脂で形成された基材を備える複数の補強材20を構造体100内の内部空間内に配置してもよい。
【0173】
図29は、本発明の第10の実施形態における構造体100の一例を示す断面図である。
図27および
図28に示された第9の実施形態においては、本体部101は、外殻部102、カバー部104、および固定部30を備える場合を説明したが、本発明はこの場合に限られない。
図29に示されるように、カバー部104を設けないでもよい。本例では、本体部101の開口を、固定部30が閉鎖している。固定部30は、例えば、ポリウレア樹脂で形成された充填材である。
【0174】
図30は、本発明の第11の実施形態における構造体100の一例を示す断面図である。
図30の上段は、外殻部102を設ける前の状態を示し、
図30の下段は、外殻部102を設けた後の状態を示している。
【0175】
本実施形態においては、本体部101は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの材料を含んでよい。本体部101の外殻部102は、内部空間を取り囲む中空構造である。本体部101は、内部空間内において発泡合成樹脂26を有する。複数の補強材20は、内部空間内において発泡合成樹脂26に埋め込まれている。換言すれば、内部空間において複数の補強材20以外の領域には、発泡合成樹脂26が充填されている。
【0176】
本実施形態の構造体100の製造方法は、準備段階と、本体部101を形成する段階とを備えてよい。準備段階においては、複数の補強材20が準備される。補強材20は、第1から第10の実施形態における補強材20と同様であってよい。製法方法は、複数の補強材20が埋め込まれるように本体部101の材料を成形して本体部101を形成する段階を備える。本例においては、本体部101の一部をなす発泡合成樹脂(本体部用発泡合成樹脂)26に複数の補強材20が埋め込まれるように、本体部101が成形されてよい。具体的には、インサート成形の技術が用いられてよい。なお、内部空間に設けられる材料として、発泡合成樹脂26に代えて、他の樹脂またはコンクリート等が用いられてもよい。
【0177】
そして、本体部用の発泡合成樹脂26が成形された後に、成形された発泡合成樹脂26の外面が外殻部102で被覆される。本例の構造体100の製造方法は、本体部用の発泡合成樹脂26の外側にポリウレア樹脂を塗布する本体部塗布段階を備えてよい。これにより、ポリウレア樹脂の外殻部102を形成することができる。但し、塗布以外の方法によって外殻部102を構成してもよい。一例において、外殻部102が第1外殻部および第2外殻部という複数の部品で構成される、成形された発泡合成樹脂26を第1外殻部および第2外殻部で挟み込んだ状態で、第1外殻部と第2外殻部とを溶接等の方法で接合してもよい。
【0178】
本例によれば、複数の補強材20を内部空間に搬入する搬入段階を省略することができる。さらに、本体部用の発泡合成樹脂26の外側にポリウレア樹脂を塗布することで外殻部102を形成する場合には、複数の補強材20を内部空間に搬入するための開口を本体部101に設ける必要がなく、開口を塞ぐカバー部104を設ける必要もない。したがって、構造体100の密閉性を向上することができる。外殻部102をポリウレア樹脂で構成することができるので、軽量化および耐食性に優れた構造体100を実現することができる。
【0179】
構造体100は、必ずしも中空構造を有しないでもよい。本発明は、上述したような基材22およびポリウレア樹脂のコーティング層24を含む複数の補強材20を有しており、本体部101の内部に複数の補強材20が配置される構成であればよく、必ずしも中空構造を有する構造体100に限定されない。
【0180】
図31は、本発明の第12の実施形態における構造体100の一例を示す断面図である。本例では、本体部101は、外殻部102およびカバー部104を有しない。本体部101は、本体部101の材料27が本体部101の形状に成形されることによって形成されている。本体部101の材料27は、樹脂またはコンクリートであってよい。複数の補強材20は、本体部101の材料27中に埋め込まれている。
【0181】
本実施形態の構造体100の製造方法は、
図30に示される第11の実施形態における準備段階と、本体部101を形成する段階と同様であってよい。製法方法は、複数の補強材20が埋め込まれるように本体部101の材料27を成形して本体部101を形成する段階を備えてよい。
【0182】
本例によっても、本体部101のみで構造体100を構成する場合と異なり、本体部101の内部において、ポリウレア樹脂をコーティング層24として有する複数の補強材20が配置されるため、構造体の剛性を高めることが可能となる。
【0183】
図27から
図31に示される第9から第12実施形態で示された構造体100は、各種の製品に用いることができる。以下に構造体100を各種製品に用いた例を示す。
【0184】
図32は、本発明の第13の実施形態におけるパレット210の一例を示す斜視図である。パレット210は、構造体100の一例である。パレット210は、物品を載置する。パレット210は、例えば物流において用いられ、物品の保存および搬送に用いられる。
【0185】
本例のパレット210は、パレット本体211および複数の足部216を備える。本例のパレット本体211は板形状である。パレット本体211において物品を載置する面を載置面212、載置面212の逆側の面を裏面214と称する。
【0186】
裏面214には、複数の足部216が設けられる。複数の足部216は、パレット本体211と一体に形成されていてもよく、パレット本体211に接着されていてもよい。それぞれの足部216は、所定の間隔で配置される。それぞれの足部216の間を、フォークリフト等の持ち手が通過できるように、足部216は格子状に配列されることが好ましい。
【0187】
図33は、
図32に示されるパレット210の部分断面を示す図である。
図33においては本体部101の一部における断面を示している。パレット210は、本体部101を備えてよい。具体的には、本体部101は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた外殻部102を備えてよい。外殻部102は、ポリウレア樹脂で形成されてよい。外殻部102によって取り囲まれた内部空間には、複数の補強材20が配置されている。複数の補強材20は、基材22とコーティング層24とを含んでいる。空間25は、発泡合成樹脂で充填されていてもよく、充填されていなくてもよい。本実施形態のパレット210における他の構造は、
図27から
図31に示される第8から第11実施形態における何れかの構造体100と同様であってよい。
【0188】
図34は、本発明の第14の実施形態における箱体220の一例を示す斜視図である。箱体220は、収納空間226を有する。本例の箱体220は、収納部224および蓋部222を有する。収納部224には収納空間226としての窪みが形成される。蓋部222は、収納部224の上部に載置されて、収納空間226を密閉する。蓋部222の一部が、収納空間226に挿入されることで、蓋部222が収納部224に固定されてもよい。箱体220は、例えば生鮮食品等を収納する保冷ボックスとして用いられるが、箱体220の用途はこれに限定されない。本実施形態の箱体220における他の構造は、
図27から
図31に示される第9から第12実施形態における何れかの構造体100と同様であってよい。
【0189】
図35は、
図34に示される蓋部222および収納部224の部分断面を示す図である。蓋部222および収納部224は、
図33に示したパレット210と同様に、本体部101を備えてよい。具体的には、本体部101は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた外殻部102を備えてよい。特に、外殻部102は、ポリウレア樹脂で形成されてよい。外殻部102によって取り囲まれた内部空間には、複数の補強材20が配置されている。複数の補強材20は、基材22とコーティング層24とを含んでいる。空間25は、発泡合成樹脂で充填されていてもよく、充填されていなくてもよい。本実施形態の箱体220における他の構造は、
図27から
図31に示される第9から第12実施形態における何れかの構造体100と同様であってよい。
【0190】
図36は、本発明の第15の実施形態における航空機の機体230の一例を示す図である。航空機は有人または無人の航空機であってよい。航空機の機体230は、構造体100の一例である。本例では、機体230として主翼部分を示している。機体230は、本体部101として、上側および下側の外殻部102を含んでよい。上側および下側の外殻部102が接合されることによって本体部101が構成されている。本体部101の内部空間には、桁部232およびリブ234が設けられてよい。内部空間には、複数の補強材20が配置されている。複数の補強材20は、基材22とコーティング層24とを含んでいる。複数の補強材20は充填材によって本体部101に固定されてもよい。
【0191】
図37は、本発明の第16の実施形態における車両の部品の一例を示す図である。本例では、車両の部品としてバンパー240が示される。本例のバンパー240は、衝撃を吸収するための衝撃吸収部241、ビーム部242、および取付部243を備えてよい。衝撃吸収部241は、外装部244と樹脂材料245とを含んでよい。外装部244と樹脂材料245とが一体的に構成されてもよい。
【0192】
車両のバンパー240におけるビーム部242は、構造体100の一例である。ビーム部242は、本体部101を有する。本体部101は、内部空間を取り囲む中空構造である。本体部101は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた外殻部102を備えてよい。本例では、外殻部102は、断面が矩形の筒形状に形成されている。内部空間には、複数の補強材20が配置されている。
【0193】
ビーム部242は、衝撃吸収部241の後方に沿って設けられてよい。ビーム部242と衝撃吸収部241とは接続されてよい。ビーム部242には、取付部243が設けられている。バンパー240は、取付部243を介して車両のフレームに接続されてよい。
【0194】
なお、
図37の例では、ビーム部242に本発明の構造体を適用した場合を示したが、この場合に限られない。一例において、衝撃吸収部241に対しても本発明の構造体を適用してもよい。また、バンパー240のみならず、自動車または電車等の車両の外装部品または内装部品等の各種部品に対して、本発明の構造体を適用することができる。
【0195】
図38は、本発明の第17の実施形態における建築用の足場板250の一例を示す図である。
図38には、説明のために、足場板250の側面部分の部分拡大断面を併記している。足場板250は、構造体100の一例である。足場板250は、本体部101を有する。本体部101は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた外殻部102を備えてよい。特に、外殻部102は、ポリウレア樹脂層であってよい。外殻部102は、断面が矩形の筒形状に形成されている。外殻部102におって取り囲まれた内部空間には、複数の補強材20が配置されている。内部空間において、補強材20以外の部分は、発泡合成樹脂26が充填されていてもよい。
【0196】
本実施形態の足場板250の製造方法は、
図30における構造体の製造方法と同様であってよい。複数の補強材20が埋め込まれるように本体部101の材料を成形して本体部101を形成する段階を備えてよい。本体部用の発泡合成樹脂26が成形された後に、成形された発泡合成樹脂26の外面にポリウレア樹脂を塗布する本体部塗布段階を備えてよい。これにより、ポリウレア樹脂の外殻部102を形成することができる。
【0197】
外部の足場構築体に足場板250を固定するために、足場板250の両端には、金属または強化プラスチックで形成されたフック部材252が設けられてよい。一例として、発泡合成樹脂で形成される足場板250のおもて面256と裏面257とを挟むように固定する連結部材を介してフック部材252が足場板250に取り付けられてよい。この場合、連結部材の上からポリウレア樹脂層によって覆ってよい。
【0198】
このような構成によれば、軽量化を図りつつ剛性を高めた足場板250を提供することが可能となる。
【0199】
図39は、本発明の第18の実施形態における建材用のパネル260の一例を示す図である。パネル260は、家屋用の建材であってよい。パネル260は、家屋の外壁材であってもよく、家屋の床材であってもよく、家屋の内装材であってもよい。パネル260は、構造体100の一例である。
【0200】
本例のパネル260の外形は、板形状であってよい。但し、パネル260の外形は、限定されない。パネル260は、中空構造の本体部101を備える。本体部101は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた外殻部102を備えてよい。特に、外殻部102は、ポリウレア樹脂層であってよい。本例では、外殻部102は、断面が矩形の中空構造である。外殻部102によって取り囲まれた内部空間には、複数の補強材20が配置されている。なお、内部空間において、補強材20以外の隙間の部分には、発泡合成樹脂26が充填されてよい。但し、発泡合成樹脂26が充填されていなくてもよい。
【0201】
本例のパネル260は、締結部261を備えてよい。締結部261は、パネル260を他の部材と接続するものであってよく、パネル260を他のパネル260と接続するものであってもよい。締結部261は、金属、強化プラスチック、または木材等で構成されてよい。締結部261は、他の部材または他のパネル260に設けられた挿入孔に挿入されることによって連結される挿入部であってよい。この場合、挿入部は、挿入された挿入孔から抜けないように挿入孔内に係止するためのストッパ機構が設けられていてもよい。また、締結部261は、雄螺子であってもよい。締結部261の締結機構は、特に限定されず、種々の締結機構を採用することができる。
【0202】
締結部261の一端262は、本体部101の内部に埋め込まれている。締結部261の他端264は、本体部101から露出している。締結部261の一端262は、屈曲部266を有してよい。屈曲部266は、締結部261の一端262から他端264に向かって延びる方向に対して交差する方向に延びた部分である。屈曲部266は、締結部261が、本体部101から抜けてしまうことを防止するアンカー部として機能することができる。但し、パネル260は、締結部261を有するものに限られず、締結部261を有していなくてもよい。
【0203】
本実施形態のパネル260の製造方法は、
図30における構造体の製造方法と同様であってよい。複数の補強材20および締結部261の一端262が埋め込まれるように本体部101の材料を成形して本体部101を形成する段階を備えてよい。本体部用の発泡合成樹脂26が成形された後に、成形された発泡合成樹脂26の外面にポリウレア樹脂を塗布する本体部塗布段階を備えてよい。これにより、ポリウレア樹脂の外殻部102を形成することができる。本実施形態の建材用のパネルによれば、軽量化を図りつつ剛性を高めることができる。
【0204】
図40は、本発明の第19の実施形態における衝撃吸収材の一例を示す図である。衝撃吸収材270は、対象物に応じた適切な大きさに切断して、耐衝撃性を高めたい対象物の表面に貼付されてよい。例えば、衝撃吸収材270は、移動装置の表面に貼付される。移動装置には、車両、病院内移動支援システム、高齢者用電動カート、ゴルフカート等の各種装置が含まれる。また、衝撃吸収材270は、コンテナ等の箱体の内面または外面に貼付されてもよい。衝撃吸収材270は、スリッパ等の履物の底面またはおもて面に貼付されてもよい。衝撃吸収材270は、ヘルメット等の装着具の表面に貼付されてもよい。但し、衝撃吸収材270が貼付される対象物は、これら移動装置、箱体、履物、および装着具に限られない。
【0205】
衝撃吸収材270は、粘着テープ部271と、構造体100とを含んでよい。粘着テープ部271は、テープ本体272、第1接着層273、および第2接着層274を備える。第1接着層273は、テープ本体272の一の面に塗布された接着層であり、衝撃吸収材270を対象物に貼付するための粘着面を提供する。第2接着層274は、粘着テープ部271と、構造体100を固着する。テープ本体272は、可撓性を有する材料で形成されてよい。一つの粘着テープ部271上に複数の構造体100が配置されてもよく、一つの構造体100が配置されてもよい。粘着テープ部271上の構造体100の配置は、
図40に示される場合に限られず、XY平面に沿って2次元的に複数の構造体100が配置されてよい。これにより、利用者は、必要な範囲の広さに衝撃吸収材270を切り出して使用することができる。
【0206】
構造体100の構成は、
図27から
図31に示された第9から第12の実施形態における構造体100のいずれかの構成と同様であってよい。したがって、繰り返しの説明を書略する。衝撃吸収材270の使用用途の入力を受けて、使用用途に応じて、コーティング層24の弾性を変更してよい。一例において、各使用用途と、アミン溶液の構成溶液である「ジエチルトルエンジアミン」およびイソシアネート溶液の構成溶液である「ジフェニルメタンジイソシアネート」の含有割合とをテーブルデータとして記憶しておき、コンピュータが、テーブルデータを参照して、含有割合を決定するようにしてよい。
【0207】
図41は、衝撃吸収材270の他の例を示す図である。本例では、
図40に示される衝撃吸収材270に対して、基材275が追加されている。基材275は、粘着テープ部271に積層される。本例では、基材275は、粘着テープ部271の上面に積層されている。具体的には、基材275は、粘着テープ部271の第2接着層274によって、粘着テープ部271と固着している。基材275は、発泡合成樹脂、炭素繊維、ポリアドミド系合成繊維、けい酸塩繊維、バサルト繊維、無機物質粉末高配合薄膜シート、およびセルロースナノファイバーからなる群から選択される一種類以上の基材を含んでよい。
【0208】
基材275が、発泡合成樹脂である場合、基材275を形成する合成樹脂は、高分子化合物であってよい。より具体的な例として、基材275を形成する合成樹脂は、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリウレタンから選択された1以上の材料で形成される。発泡合成樹脂とは、これらの合成樹脂中に微細な気泡を分散させたものを指す。一つの実施例において、基材275は発泡スチロール(発泡ポリスチレン)で形成される。基材275上に上述した一または複数の構造体100が配置される。基材275と構造体100とは第3接着層276によって接着されてよい。
【0209】
本例に示されるとおり、本発明の構造体100は、他の基材275に積層された複合材料の一部として使用することもできる。
【0210】
図40および
図41において、衝撃吸収材を説明したが、
図40および
図41に示される構造体は、腐食防止材または断熱材であってもよい。
【0211】
図42は、本発明の第20の実施形態における管体280の一例を示す断面図である。本例の管体280は、老朽化した既設管282内に新管として挿入される。既設管282は、既設の水道管であってもよく、他の管であってもよい。既設管282が、さや管として機能する。管体280は、構造体100の一例である。
【0212】
管体280の外形は、円筒形状をしてよい。管体280は、本体部101を有する。本体部101は、金属、セラミック、および樹脂からなる群から選ばれた外殻部102を備えてよい。特に、外殻部102は、ポリウレア樹脂層であってよい。外殻部102は中空空間を取り囲む中空部材である。したがって、管体280の断面環状部分は、中実構造ではなく、中空構造で構成される。外殻部102によって取り囲まれた内部空間には、複数の補強材20が配置されている。なお、内部空間において、補強材20以外の隙間の部分には、発泡合成樹脂26が充填されてよい。但し、発泡合成樹脂26が充填されていなくてもよい。
【0213】
本実施形態の管体280の製造方法は、
図30における構造体の製造方法と同様であってよい。複数の補強材20が埋め込まれるように本体部101の材料である本体部用の発泡合成樹脂26を管形状に成形して本体部101を形成する段階を備えてよい。製造方法は、本体部用の発泡合成樹脂26が管形状に成形された後に、成形された発泡合成樹脂26の外面にポリウレア樹脂を塗布する本体部塗布段階を備えてよい。これにより、ポリウレア樹脂の外殻部102を形成することができる。本実施形態の管体280によれば、軽量化を図りつつ剛性を高めることができる。
【0214】
図43は、本発明の第21の実施形態における梱包具の一例を示す断面図である。梱包具300は、被梱包物302を梱包する。特に、梱包具300は、空輸されて上空から落下させて目的地に配達されてよい。被梱包物302は、特に限定されないが、各種ワクチン等の医薬品等の空輸に適する。
【0215】
梱包具300は、第1容器半体310、第2容器半体320、および少なくとも一対のフィルム340を備える。第1容器半体310と第2容器半体320の開口端同士を突き合わせるように閉じることによって容器(310、320)が形成される。本例では、第1容器半体310と第2容器半体320とが組み合って収容空間330を形成している。なお、第1容器半体310と第2容器半体320とは、必ずしも同じ大きさでなくてもよい。
【0216】
本例の容器(310、320)は、全体として長軸が回転軸となった回転楕円体形状(長球形状)をしている。すなわち、容器(310、320)は、ラグビーボール形状をしている。本例では、長軸に沿った切り離し面において、容器(310、320)は、第1容器半体310と第2容器半体320に分割されていてよい。
【0217】
本例の容器(310、320)において、第1容器半体310および第2容器半体320は、それぞれ構造体100の一例である。第1容器半体310は、本体部101aを有する。本体部101aは、金属、セラミック、および樹脂からなる群から選ばれた外殻部102aを備えてよい。特に、外殻部102は、ポリウレア樹脂層であってよい。外殻部102aによって取り囲まれる内部空間には、複数の補強材20が配置されている。複数の補強材20は、異なる大きさの補強材20を含んでもよい。なお、内部空間において、補強材20以外の隙間の部分には、発泡合成樹脂26aが充填されてよい。
【0218】
第2容器半体320は、本体部101を有する。本体部は、外殻部102bを備えてよい。外殻部102bによって取り囲まれる内部空間には、複数の補強材20が配置されている。なお、内部空間において、補強材20以外の隙間の部分には、発泡合成樹脂26bが充填されてよい。
【0219】
一対のフィルム340は、第1フィルム340aと第2フィルム340bとを備える。第1フィルム340aは、第1容器半体310の開口端に沿って張った状態で固定される。第2フィルム340bは、第2容器半体320の開口端に沿って張った状態で固定される。
【0220】
第1フィルム340aおよび第2フィルム340bは、容器(310、320)が形成する収容空間330において、第1フィルム340aおよび第2フィルム340bが張った状態で対向して固定される。本例の梱包具300は、一対のフィルム340間に被梱包物302を挟むように保持する。被梱包物302は、さらに緩衝材によって包まれた状態で、一対のフィルム340間に挟まれてもよい。
【0221】
梱包具300は、結合部350を有してよい。結合部350は、第1容器半体310と第2容器半体320とを結合する。本例の結合部350は、突出部351、支持部353、および留め金部355を含んでいる。突出部351は、一端が第1容器半体310における本体部101a内に埋め込まれており、他端が表面に突出してよい。本例の突出部351の一端は、本体部101a内において屈曲した屈曲部352を有しており、抜けづらくなっている。支持部353は、一端が第2容器半体320における本体部101b内に埋め込まれており、他端には、留め金部355が回動自在に接続されている。留め金部355が突出部351と嵌合することによって固定される。支持部353の一端は、本体部101b内において、屈曲した屈曲部354を有しており、抜けづらくなっている。但し、結合部350は、第1容器半体310と第2容器半体320とを結合するものであれば特に限定されない。
【0222】
容器(310、320)の一端部には、梱包具300が上空から落下したときに梱包具300の落下速度を減速するパラシュート部360を備えてよい。さらに、梱包具300にはGPS発信機358が設けられていてもよい。
【0223】
図44は、本発明の第22の実施形態における鉄道用の枕木410の一例を示す断面図である。本例では、プレストレストコンクリート(PSコンクリート)で作られた鉄道用の枕木410を示している。但し、枕木410は、断面が台形状の板状であってよい。枕木410は、構造体100の一例である。
【0224】
本例における枕木410は、外殻部102を有しないでよい。本体部101は、本体部101の材料27が本体部101の形状に成形されることによって形成されている。本体部101の材料27は、コンクリートであってよい。複数の補強材20は、本体部101の材料27中に埋め込まれている。
【0225】
本実施形態の構造体100の製造方法は、準備段階と、本体部101を形成する段階とを備えてよい。準備段階においては、複数の補強材20が準備される。補強材20は、第1から第10の実施形態における補強材20と同様であってよい。製法方法は、複数の補強材20が埋め込まれるように本体部101の材料27を成形して本体部101を形成する段階を備える。本例においては、本体部101の材料27であるコンクリートを型に流し込む。このとき、材料27に複数の補強材20が埋め込まれるように、補強材20を型内に配置する。具体的には、インサート成形の技術が用いられてよい。
【0226】
本例によれば、枕木410の剛性を高めることができるとともに、使用されるコンクリートの材料が節約でき、軽量化できる。なお、
図44に示される例では、
図31に示される構造体100と同様に外殻部102を有しない場合を示したが、枕木410は、この場合に限られない。
図27から
図31に示される第8から第12の実施形態における構造体100と同様の構成および製造方法を枕木410に適用することができる。すなわち、枕木本体部101は、金属、セラミック、木材、および樹脂からなる群から選ばれた少なくとも一つの材料で形成されてよい。また、枕木410は、内部空間を取り囲む中空構造を有する本体部101を備えてもよい。
【0227】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。その様な変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、請求の範囲の記載から明らかである。
【0228】
請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、特段「より前に」、「先立って」等と明示しておらず、また、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現しうることに留意すべきである。請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順序で実施することが必須であることを意味するものではない。
【符号の説明】
【0229】
1・・アンテナ支持柱、2・・アンテナ、4・・電力柱、6・・街灯用ポール、10・・筒状部、11・・筒、12・・筒、13・・筒、14・・フランジ部、15・・リブ、16・・避雷針、17・・側面、18・・主面、20・・補強材、21・・補強材、22・・基材、24・・コーティング層、25・・空間、26・・発泡合成樹脂、27・・材料、30・・固定部、32・・充填材、33・・接続部、34・・延伸部、41・・領域、42・・領域、43・・領域、51・・外部補強部、52・・外部補強部 、54・・外部補強部、55・・カバー部、62・・供給部、64・・ノズル、66・・ノゾル、72・・開口、82・・開口、90・・搬入装置、91・・収容タンク、92・・供給管、93・・モータ、94・・整列供給装置、95・・搬送管、96・・ブロア、97・・制御部、100・・構造体、101・・本体部、102・・外殻部、104・・カバー部、210・・パレット、211・・パレット本体、212・・載置面、214・・裏面、216・・足部、220・・箱体、222・・蓋部、224・・収納部、226・・収納空間、230・・機体、232・・桁部、234・・リブ、240・・バンパー、241・・衝撃吸収部、242・・ビーム部、243・・取付部、244・・外装部、245・・樹脂材料、250・・足場板、252・・フック部材、256・・おもて面、257・・裏面、260・・パネル、261・・締結部、262・・一端、264・・他端、266・・屈曲部、270・・衝撃吸収材、271・・粘着テープ部、272・・テープ本体、273・・第1接着層、274・・第2接着層、275・・基材、276・・第3接着層、280・・管体、282・・既設管、300・・梱包具、302・・被梱包物、310・・第1容器半体、320・・第2容器半体、330・・収容空間、340・・フィルム、350・・結合部、351・・突出部、352・・屈曲部、353・・支持部、354・・屈曲部、355・・留め金部、358・・GPS発信機、360・・パラシュート部、410・・枕木