(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】カード処理装置
(51)【国際特許分類】
G06K 7/00 20060101AFI20240716BHJP
G06K 7/08 20060101ALI20240716BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240716BHJP
G06K 13/06 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G06K7/00 004
G06K7/00 021
G06K7/08 040
G06K7/10 244
G06K13/06
(21)【出願番号】P 2022004267
(22)【出願日】2022-01-14
【審査請求日】2023-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】000116987
【氏名又は名称】旭精工株式会社
(72)【発明者】
【氏名】山宮 毅人
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 幸夫
【審査官】小林 紀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-071253(JP,A)
【文献】特開2000-137771(JP,A)
【文献】特開2002-150228(JP,A)
【文献】特開平11-096311(JP,A)
【文献】特開2009-043285(JP,A)
【文献】特開2018-144944(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06K 7/00
G06K 7/08
G06K 7/10
G06K 13/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード入出口から挿入されたカードを搬送する搬送装置と、
前記カードの搬送路に沿って配置され、磁気カードを読み書きする磁気カードリードライターユニットと、
前記カードの搬送路に沿って配置され、接触式のICカードを読み書きする接触式ICカードリードライターユニットと、
前記カードの搬送路に沿って配置され、非接触式のICカードを読み書きする非接触式ICカードリードライターユニットと、
を有し、搬送される前記カードを、前記カードの種類に対応する前記磁気カードリードライターユニット、前記接触式ICカードリードライターユニット、または前記非接触式ICカードリードライターユニットの何れかのカードリードライターユニットで読み書きするカード処理装置において、
前記カードの搬送方向を水平方向とした場合、前記接触式ICカードリードライターユニットは、前記磁気カードリードライターユニットに対して水平方向に配置され、前記非接触式ICカードリードライターユニットは、前記磁気カードリードライターユニットに対して垂直方向に配置されていることを特徴とするカード処理装置。
【請求項2】
前記磁気カードリードライターユニットの上方に前記非接触式ICカードリードライターユニットを装着する装着台を有し、
前記非接触式ICカードリードライターユニットは前記装着台に着脱可能に装着されることを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項3】
前記搬送装置は、前記カード入出口から挿入された前記カードを、最初に搬送方向を変えずに前記磁気カードリードライターユニットのリードライト位置に搬送し、次に搬送方向を変えずに前記接触式ICカードリードライターユニットのリードライト位置に搬送し、次に搬送方向を逆方向に変えて前記非接触式ICカードリードライターユニットのリードライト位置に搬送し、次に搬送方向を変えずに前記カード入出口に搬送するか、または搬送方向を逆方向に変えて回収口に搬送することを特徴とする請求項2に記載のカード処理装置。
【請求項4】
前記搬送装置は、
モーターと、
前記カードと接触する駆動ローラーと、
前記駆動ローラーに対応して配置され、前記カードと接触し、前記駆動ローラーの方向に押圧され、前記駆動ローラーと共に前記カードを挟み搬送する従動ローラーと、
前記モーターの回転を前記駆動ローラーに伝達する伝達機構と、を有し、
前記モーターは、前記磁気カードリードライターユニットと前記接触式ICカードリードライターユニットに対して水平方向に配置され、
前記伝達機構の前記モーターの回転を伝達する直線状の駆動軸が、前記磁気カードリードライターユニットと前記接触式ICカードリードライターユニットに対して水平方向であって、前記磁気カードリードライターユニットと前記接触式ICカードリードライターユニットの一方側の側面に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載のカード処理装置。
【請求項5】
前記非接触式ICカードリードライターユニットによって前記カードをリードライトする場合、前記カードを前記搬送路の所定の位置に停止させ、
前記垂直方向から見た場合に、少なくとも前記所定の位置に停止した前記カードの中央部が、前記カードの搬送方向に複数配置された前記従動ローラーの回転軸または前記駆動ローラーの回転軸に重ならないことを特徴とする請求項4に記載のカード処理装置。
【請求項6】
前記駆動ローラーは前記搬送路を搬送される前記カードの下側に配置され、
前記従動ローラーは前記搬送路を搬送される前記カードの上側に配置され、前記従動ローラーが接続されるローラー軸は、前記搬送路を搬送される前記カードの上側に配置されたベースに前記カードの厚み方向に移動可能に接続され、
前記従動ローラーを前記駆動ローラーの方向に押圧するための前記ローラー軸を押圧する押板が前記ベースに固定されており、
前記押板は、長手方向が前記ローラー軸に沿って配置され、前記押板の両端が前記ローラー軸の方向に突出し、突出した部分が前記ローラー軸の中央よりも前記従動ローラーに近い位置で前記ローラー軸と接することを特徴とする請求項4に記載のカード処理装置。
【請求項7】
前記モーターの回転軸と、前記駆動軸と、前記駆動ローラーの回転軸は、水平方向に沿った同一平面上に配置されていることを特徴とする請求項5に記載のカード処理装置。
【請求項8】
前記非接触式ICカードリードライターユニットの垂直方向の長さは、前記モーターの垂直方向の長さより小さく、前記磁気カードリードライターユニットの垂直方向の長さより小さく、前記接触式ICカードリードライターユニットの垂直方向の長さより小さく、
前記カードの搬送方向における前記非接触式ICカードリードライターユニットの水平方向の長さは、前記カードの搬送方向における前記モーターの水平方向の長さより大きいことを特徴とする請求項4に記載のカード処理装置。
【請求項9】
前記磁気カードリードライターユニットは前記搬送装置の一部を含むことを特徴とする請求項1から請求項8の何れか1項に記載のカード処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接触式および非接触式のカードを処理するカード処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報を記録したカードには、磁気カードやICカードが存在する。磁気カードは、磁気ヘッドを用いてデータのリードライトを行う。ICカードは接触式と非接触式のICカードが知られている。ICカードには、不揮発性メモリーが搭載され、そこにデータが記憶されている。接触式のICカードは、カードの表面に端子を有する。外部装置は、その端子に接触子を接触させ、ICカードに対してデータのリードライトを行う。また、非接触式のICカードは通信部とアンテナを有する。外部装置は、無線通信によって、ICカードに対してデータのリードライトを行う。
【0003】
例えば、特許第4793598号公報に記載の装置は、受入装置から挿入されたカードを搬送する搬送装置、挿入されたカードを処理するカード処理装置が備わる。カード処理装置には、磁気カードを処理する処理装置、接触式ICカードを処理する処理装置、非接触式ICカードを処理する処理装置が搭載されている。また、ICカードの停止位置や搬送プロセスを変更することなく処理できるように、接触式ICカードを処理する処理装置と非接触式ICカードを処理する処理装置は、上下に重ねて配置されている。また、接触式ICカードの処理装置は着脱可能であり、接触式ICカードの処理装置の装着位置に2つめの非接触式ICカードの処理装置を装着し、方式の異なる非接触式カードを処理することもできる。リードライト方式の異なる3種類のカード処理装置が搭載された装置が知られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のカード処理装置は、カードを回収するために、搬送路の一部に回収機構を備える。回収機構は、搬送路の一部に可動部を備え、可動部の下流側を軸支し、上流側を上下に移動させる機構を備え、搬送されるカードを搬送路の下方に落として回収する。この搬送路の可動部に非接触式ICカードと接触式ICカードの処理装置が配置され、搬送路と共に上下に揺動する。
【0006】
そのため、搬送路の可動部が重くなり、駆動の為のアクチュエーターが大型化してしまい、装置自体が大型化してしまう課題があった。
【0007】
また、非接触ICカードの処理装置と接触式ICカードの処理装置が上下に重ねられているが、各ICカードの処理装置は、それぞれ別のベースに固定されている。そたのめ、下側に配置された処理装置をメンテナンスする場合に、上側のベースや処理装置を外さなければならず、複雑な作業が必要であった。また、ベース部分も重なるので、厚くなってしまい、装置が大型化してしまう課題もあった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカード処理装置は、カード入出口から挿入されたカードを搬送する搬送装置と、前記カードの搬送路に沿って配置され、磁気カードを読み書きする磁気カードリードライターユニットと、前記カードの搬送路に沿って配置され、接触式のICカードを読み書きする接触式ICカードリードライターユニットと、前記カードの搬送路に沿って配置され、非接触式のICカードを読み書きする非接触式ICカードリードライターユニットと、を有し、搬送される前記カードを、前記カードの種類に対応する前記磁気カードリードライターユニット、前記接触式ICカードリードライターユニット、または前記非接触式ICカードリードライターユニットの何れかのカードリードライターユニットで読み書きするカード処理装置において、前記カードの搬送方向を水平方向とした場合、前記接触式ICカードリードライターユニットは、前記磁気カードリードライターユニットに対して水平方向に配置され、前記非接触式ICカードリードライターユニットは、前記磁気カードリードライターユニットに対して垂直方向に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のカード処理装置によれば、装置の厚みを抑えると共に、メンテナンスの作業性の良いカード処理装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、カード処理装置のケースの一部を外した状態の斜視図である。
【
図3】
図3は、カード処理装置のカード搬送部の例を説明する第1の側面図である。
【
図4】
図4は、カード処理装置のカード搬送部の例を説明する第2の側面図である。
【
図5】
図5は、カード処理装置のカード搬送部の例を説明する第1の上面図である。
【
図6】
図6は、カード処理装置のカード搬送部の例を説明する第2の上面図である。
【
図7】
図7は、カード処理装置の非接触式ICカードの処理装置を外した状態の斜視図である。
【
図8】
図8は、カードの回収の例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。各図は、本発明を十分に理解できる程度に、概略的に示してあるに過ぎない。よって、本発明は、図示例のみに限定されるものではない。また、各図において、共通する構成要素や同様な構成要素については、同一の符号を付し、それらの重複する説明を省略する。
図1~
図8を用いて、カード処理装置について説明する。
【0012】
図1は、カード処理装置のケースの一部を外した状態の斜視図である。カード処理装置1は、接触式ICカードリードライターユニット4と磁気カードリードライターユニット5と非接触式ICカードリードライターユニット6を有する。接触式ICカードリードライターユニット4、磁気カードリードライターユニット5、非接触式ICカードリードライターユニット6は、直接または間接的にフレーム2に固定されている。カード処理装置1は、カード入出口3を備え、ICカードまたは磁気カードを出し入れする。ここで、ICカードまたは磁気カードを総称してカードと言う場合がある。カードは、カードに対応する接触式ICカードリードライターユニット4と磁気カードリードライターユニット5と非接触式ICカードリードライターユニット6の何れかのカードリードライターユニットによって、データの読み取り、書き込みがされる。
【0013】
非接触式ICカードリードライターユニット6は、コネクター22とコード23を有する。コネクター22は、外部装置と接続するためのコネクターである。コード23は非接触式ICカードリードライターユニット6とコネクター22を接続する。
【0014】
カード処理装置1は、カードを搬送する搬送装置を備える。カード処理装置1の内部には、直線状の搬送路が備えられ、カード入出口3から挿入されたカードは、搬送路に沿って搬送される。
【0015】
フレーム2に固定されている第1装着台7に接触式ICカードリードライターユニット4が固定されている。また、フレーム2には、磁気カードリードライターユニット5が固定されている。カードの搬送方向を水平方向としたとき、接触式ICカードリードライターユニット4は磁気カードリードライターユニット5に対して水平方向に配置されている。また、磁気カードリードライターユニット5の上側に、第2装着台8が配置されている。第2装着台8には、非接触式ICカードリードライターユニット6が固定部材24によって固定されている。また、固定部材24は、第2装着台8にネジ止めされている。非接触式ICカードリードライターユニット6は、着脱可能に第2装着台8に装着される。非接触式ICカードリードライターユニット6は磁気カードリードライターユニット5に対して垂直方向に配置されている。
【0016】
カードは後述の搬送装置によってカード入出口3の奥に搬送される。搬送装置は、フレーム2に固定されているモーター11によって駆動される。モーター11は、磁気カードリードライターユニット5および接触式ICカードリードライターユニット4に対して水平方向に配置されている。また、カード処理装置1の正面側にカード入出口3が配置され、奥側にモーター11が配置されている。カードは、カード入出口3からモーター11の方向に水平に搬送される。
【0017】
第1歯車12は、モーター11の回転軸に固定されている。第1歯車12は、第2歯車16と噛み合う。第1歯車12と第2歯車16は傘歯車であり、お互いの回転軸がなす角度は90度である。回転軸の方向は傘歯車によって変えることができる。また、第1歯車12と第2歯車16の傘歯車に曲がり歯傘歯車を使用することが振動と騒音の発生を抑えることができるので好ましい。
【0018】
第2歯車16は、第1軸13の端部に固定されている。第1軸13は、カード処理装置1の長手方向であって、カード処理装置1の一方側の側面に沿って配置され、フレーム2に回動自在に複数の軸押さえ21によって取り付けられている。第1軸13と第2軸14は、それぞれの端部に連結コネクター15が接続され、回転軸の方向を変えずに連結されている。短い軸を2本繋げることで、長い軸を構成しているが、1本の軸で構成しても良い。第2軸14は、カード処理装置1の長手方向に沿ってフレーム2に回動自在に、複数の軸押さえ21によって取り付けられている。
【0019】
第2軸14には、第3歯車17と第4歯車18が固定され、モーター11によって駆動される。第3歯車17に噛み合う第5歯車19と、第4歯車18に噛み合う第6歯車20が、フレーム2に回動自在に接続されている。第3歯車17、第4歯車18、第5歯車19、第6歯車20は、傘歯車であり、回転軸の方向を90度変えている。また、傘歯車に曲がり歯傘歯車を使用することが振動と騒音の発生を抑えることができるので好ましい。第5歯車19と第6歯車20は、後述するカードを搬送するローラーにモーター11の回転を伝達する。また、モーター11の回転軸と、第1軸13と、第2軸14と、第5歯車19の回転軸と、第6歯車20の回転軸は、同一平面上に配置されている。また、この同一平面はカードの搬送方向に平行である。
【0020】
モーター11をカード処理装置1の奥側に、カードリードライターユニットや搬送装置に重ねることなく配置することで、カード処理装置1を薄型化している。また、モーター11に接続される第1軸13、第2軸14をカードリードライターユニットや搬送装置に重ねることなく配置することで、カード処理装置1を薄型化している。また、第1軸13と第2軸14は、一本の軸とすることもできる。第1軸13と第2軸14は、モーター11の回転を、カードを搬送するローラーに伝達する駆動軸とも言える。
【0021】
ソレノイド9は、第1装着台7を揺動させるアクチュエーターである。ソレノイド9と第1装着台7はリンク機構10を介して接続されている。第1装着台7は、カード入出口3の方向の一方側の端部を自由端として、対向する他方側の端部を回転中心として、フレーム2に取り付けられている。第1装着台7は、ソレノイド9およびリンク機構10によって一方側の端部を上下に移動させることができる。第1装着台7の一方側の端部を上方に移動させた場合に、カードは、後述する回収口に搬送され、回収される。
【0022】
非接触式ICカードリードライターユニット6は、接触式ICカードリードライターユニット4と磁気カードリードライターユニット5よりも薄く、接触式ICカードリードライターユニット4よりも長手方向が長い。薄いが長い非接触式ICカードリードライターユニット6を、磁気カードリードライターユニット5に重ねて配置することで、カード処理装置1を、短く、薄くなるように構成している。
【0023】
図2は、カード処理装置の斜視図である。カード処理装置1は、ケース25によって覆われている。コネクター22がカード処理装置1の奥側から外部に出るように、コード23の一部はケース25の内側に配置されている。非接触式ICカードリードライターユニット6は、第2装着台8に固定部材24によって着脱可能に取り付けられている。
【0024】
次にカードの搬送装置について
図3と
図4を用いて説明する。
図3は、カード処理装置のカード搬送部の例を説明する第1の側面図である。
図4は、カード処理装置のカード搬送部の例を説明する第2の側面図である。
図3は、カード処理装置1を一方側から見た場合の図であり、
図4はカード処理装置1を一方側に対向する他方側から見た場合の図である。
図3、
図4のコード23は、一部が省略されている。
【0025】
カードはカード入出口3から挿入される。カード処理装置1は、カードが挿入され、カードが検出されると、第1駆動ローラー33、第2駆動ローラー35、第3駆動ローラー37を駆動する。挿入されたカードは、第1駆動ローラー33と第1従動ローラー34に挟まれ、装置の奥に搬送される。カードは、位置を検出されながら、直線状の搬送路に沿って搬送される。カードを検出するセンサーについては後述する。
【0026】
カードは、第2駆動ローラー35と第2従動ローラー36、第3駆動ローラー37と第3従動ローラー38に順番に挟まれ搬送される。第1駆動ローラー33、第2駆動ローラー35、第3駆動ローラー37はカードの下側に接触し、第1従動ローラー34、第2従動ローラー36、第3従動ローラー38はカードの上側に接触する。例えば、
図3のカード30は、第2駆動ローラー35と第2従動ローラー36および第3駆動ローラー37と第3従動ローラー38に挟まれた状態を示している。例えば、このカード30の位置は、非接触式ICカードリードライターユニット6のリードライト位置である。非接触式ICカードリードライターユニット6とカード30の中央部との間には、ローラーや金属製の軸や回路基板が無く、非接触式ICカードリードライターユニット6とカード30とは、好適に通信ができる。カード30の搬送方向の中央を含む、カード30の全長の1/2以上の部分は、ローラーの金属製の軸が非接触式ICカードリードライターユニット6とカード30の間に配置されていないことが好ましい。
【0027】
第2駆動ローラー35と第3駆動ローラー37の間に磁気ヘッド31が配置されている。カード30を磁気ヘッド31に接触させるために、カード押さえ32が磁気ヘッド31に対向する位置に配置されている。カード30は、カード押さえ32によって磁気ヘッド31に好適に接触させることができる。
【0028】
第2駆動ローラー35の回転軸は、第6歯車20(
図1参照)の回転軸と同一であり、この回転軸には第3平歯車42が固定されている。第3平歯車42と第2平歯車41が噛み合い、第2平歯車41と第1平歯車40が噛み合う。第2平歯車41は、フレーム2に回動自在に接続されている。第3平歯車42と第1平歯車40の回転方向は同一である。第1平歯車40の回転軸は、第1駆動ローラー33の回転軸と同一である。また、第3駆動ローラー37の回転軸は、第5歯車19(
図1参照)の回転軸と同一である。第1駆動ローラー33と、第2駆動ローラー35と、第3駆動ローラー37は連動する。
【0029】
信号コネクター26は、モーター11、接触式ICカードリードライターユニット4、磁気カードリードライターユニット5、駆動回路等に、電力の供給や、信号の伝達を行うコネクターであり、カード処理装置1の背面側に配置されている。信号コネクター26は外部装置と接続され、外部装置によってカード処理装置1を制御することができる。
【0030】
図5は、カード処理装置のカード搬送部の例を説明する第1の上面図である。
【0031】
カードの搬送装置の一部を構成する第1従動ローラー34、第2従動ローラー36、第3従動ローラー38を回動自在に支持するベース50が、ヒンジ27によってカード処理装置1のフレーム2(
図1参照)に接続されている。ベース50のカード入出口3側は、自由端であり、ヒンジ27を中心として上下に移動できる。カード搬送に問題が生じても、ベース50を開き、メンテナンスすることができる。
【0032】
第1従動ローラー34は、第1搬送ローラー軸46に回動自在に接続されている。第1従動ローラー34は、第1搬送ローラー軸46の端部に駆動ローラーに対応して配置されている。例では第1搬送ローラー軸46に2つの第1従動ローラー34が配置されている。第1搬送ローラー軸46は、ベース50に接続されている。複数種類のカードが使用されるので、カードの厚みが異なる場合がある。そのため、第1搬送ローラー軸46は、カードの厚み方向に移動可能にベース50に接続されている。また、第1搬送ローラー軸46は、第1押板51によってカードの搬送路の方向に付勢される。搬送されるカードの厚みに応じてカードの搬送面から第1搬送ローラー軸46まので距離が変わるが、第1押板51によって第1従動ローラー34は、カードを押圧しながら回動できる。第1押板51は、第1押板51の長手方向が第1搬送ローラー軸46に沿って配置され、ネジ54によってベース50に固定されている。第1押板51の両端部は、第1搬送ローラー軸46の方向に突出しており、第1軸押さえ部55と第2軸押さえ部56を構成する。第1軸押さえ部55と第2軸押さえ部56は、第1搬送ローラー軸46に当接し、カードの搬送面の方向に押圧する。第1軸押さえ部55と第2軸押さえ部56は、第1従動ローラー34の近くで第1搬送ローラー軸46に接している。第1搬送ローラー軸46の中央よりも、各第1従動ローラー34の近くに第1軸押さえ部55と第2軸押さえ部56が配置されているので、第1押板51の押圧力が第1従動ローラー34に伝わりやすい。
【0033】
第2搬送ローラー軸47は第2押板52によって、第1搬送ローラー軸46が第1押板51によって押圧されるのと同様に、カードの搬送路の方向に押圧される。第3搬送ローラー軸48は第3押板53によって、第1搬送ローラー軸46が第1押板51によって押圧されるのと同様に、カードの搬送路の方向に押圧される。また、第2搬送ローラー軸47には第2従動ローラー36が2つ、第3搬送軸48には第3従動ローラー38が2つ、回動自在に接続されている。第1搬送ローラー軸46、第2搬送ローラー軸47、第3搬送ローラー軸48はそれぞれ第1従動ローラー34、第2従動ローラー36、第3従動ローラー38の回転軸とも言える。
【0034】
カード入出口3から挿入されたカードは、カード搬送面とベース50の間を搬送される。カード搬送面とベース50は所定の間隔で配置されている。ベース50には、各従動ローラーが、各駆動ローラーと接触できるように、対応する位置に開口が備わる。
【0035】
ここで、第1従動ローラー34を第1搬送ローラー軸46に固定し、第1搬送ローラー軸46をベース50に上下動可能であって回動可能に接続しても良い。同様に、他の従動ローラーもそれぞれの軸に固定し、軸を回動可能にしても良い。
【0036】
各搬送ローラー軸46、47、48は、ベース50に固定された各押板51、52、53によってカードの厚み方向の移動が規制される。各従動ローラー34、36、38の周面のカードの厚み方向の最上位置は、各押板51、52、53と各押板51、52、53をベース50に固定するネジ54の最上位置よりも高い位置にある。ベース50の上には、各従動ローラー34、36、38、各搬送ローラー軸46、47、48、各押板51、52、53、各押板51、52、53をベース50に固定するネジ54を挟み、表面が平坦な第2装着台8(
図1参照)が配置されている。カードから非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)までの距離を短くでき、非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)はカードに対して好適にデータのリードライトができる。カードから非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)までの距離は、各従動ローラー34、36、38の直径が他の構成部品よりも大きく影響する。
【0037】
第1装着台7(
図1参照)には、接触式ICカードリードライターユニット4が載置されている。例えば、接触式ICカードリードライターユニット4の上に非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)を載置した場合、金属部品や電子部品を搭載した基板などが、非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)とカードの間に入り、通信を妨げる恐れがある。また、接触式ICカードリードライターユニット4と非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)を第1装着台7(
図1参照)に搭載した場合、長くなり、また重くなるので、ソレノイド9(
図1参照)の駆動力もその分大きくする必要があるので好ましくない。
【0038】
図6は、カード処理装置のカード搬送部の例を説明する第2の上面図である。
図5のベース50と、ケース25の一部と、接触式ICカードリードライターユニット4の一部を外し、カード搬送面28を露出させた状態の図である。
【0039】
第1位置センサー43、第2位置センサー44、第3位置センサー45はカードの有無を検出し、不図示の制御回路に出力する。制御回路は、検出結果に基づき、カードの搬送、カードのリードライトを制御する。第1位置センサー43、第2位置センサー44、第3位置センサー45は、カードの位置を特定できるように所定の位置に配置されている。例では3か所であるが、更に増やしても良い。カードを搬送する場合に、カード処理装置1の最奥には、それ以上カードが搬送されないようにストッパ49が配置されている。
【0040】
第1位置センサー43は、カードの搬送路のカード入出口3と第1従動ローラー34の間に配置されている。第2位置センサー44は、カードの搬送路の第2従動ローラー36と磁気ヘッド31の間に配置されている。第3位置センサー45は、カードの搬送路の磁気ヘッド31と第3従動ローラー38の間に配置されている。不図示の制御回路は、第1位置センサー43、第2位置センサー44、第3位置センサー45の検出結果を入力し、搬送制御を行う。
【0041】
例えば、カード処理装置1にカードが挿入された場合について、各センサーとカードの位置との関係を以下に説明する。
【0042】
カードの第1位置について説明する。カードをカード入出口3に挿入し、カード処理装置1の奥方向に移動させ、カードの先端が第1位置センサー43に到達すると、第1位置センサー43がカードを検出する。
【0043】
例えば、第1位置センサー43によってカードが検出された場合、モーター11の駆動を開始させる。挿入されたカードは搬送ローラーによって、カード処理装置1の奥に搬送される。
【0044】
カードの第2位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの先頭が第2位置センサー44に到達すると、第1位置センサー43がカードを検出している状態で、第2位置センサー44がカードを検出する。このとき第3位置センサーはカードを検出しない。
【0045】
カードの第3位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの先頭が第3位置センサー45に到達すると、第1位置センサー43と第2位置センサー44がカードを検出している状態で、第3位置センサー45がカードを検出する。
【0046】
カードの第4位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの後端が第1位置センサー43を超えると、第1位置センサー43はカードの検出が終了し、第2位置センサー44と第3位置センサー45がカードを検出している状態となる。
【0047】
カードの第5位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの後端が第2位置センサー44を超えると、第2位置センサー44はカードの検出が終了し、第3位置センサー45がカードを検出している状態となる。このとき第1位置センサー43はカードを検出していない。
【0048】
カードの第6位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの後端が第3位置センサー45を超えると、第3位置センサー45はカードの検出が終了する。このとき、第1位置センサー43と第2位置センサー44はカードを検出していない。
【0049】
例えば、カードの第2位置からカードの第6位置の直前までの間は、挿入されたカードが磁気カードであれば、磁気カードリードライターユニット5(
図1参照)によってカードのリードライトが可能な位置である。磁気カードをリードライトする場合は、カードは一定の速度で搬送される。また、カードの第6位置は、挿入されたカードが接触式のICカードであれば、接触式ICカードリードライターユニット4(
図1参照)によってリードライトが可能な位置である。カード処理装置1は、カードがカードの第6位置に到達した場合、カードの搬送を停止する。接触式ICカードリードライターユニット4(
図1参照)は、接触子がカードの端子と接触し、データのリードライトが可能となる。
【0050】
カードをカード処理装置1の奥からカード入出口3方向に搬送する場合も同様に各センサーの検出状態でカードの位置を判断することができる。
【0051】
カードの第7位置について説明する。カードを第6位置からカード入出口3方向にカードを搬送し、カードの先端が第3位置センサー45に到達すると、第3位置センサー45がカードを検出する。このとき第1位置センサー43と第2位置センサー44はカードを検出しない。
【0052】
カードの第8位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの先端が第2位置センサー44に到達すると、第3位置センサー45がカードを検出している状態で、第2位置センサー44がカードを検出する。このとき第1位置センサー43はカードを検出しない。
【0053】
例えば、カードの第8位置は、挿入されたカードが非接触式のICカードであれば、非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)によってリードライトが可能な位置である。カードがカードの第8位置に到達した場合に、カードの搬送を停止する。非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)によってデータのリードライトが可能となる。
【0054】
カードの第9位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの先端が第1位置センサー43に到達すると、第2位置センサー44と第3位置センサーがカードを検出している状態で、第1位置センサー43がカードを検出する。
【0055】
カードの第10位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの後端が第3位置センサーを超えると、第1位置センサー43と第2位置センサーがカードを検出している状態で、第3位置センサー45はカードの検出が終了する。
【0056】
カードの第11位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの後端が第2位置センサー44を超えると、第1位置センサー43がカードを検出している状態であり第3位置センサーがカードの検出をしていない状態で、第2位置センサー44はカードの検出が終了する。
【0057】
カードの第12位置について説明する。カードの搬送が続き、カードの後端が第1位置センサー43を超えると、第2位置センサー44と第3位置センサー45がカードの検出をしていない状態で、第1位置センサー43はカードの検出が終了する。
【0058】
例えば、カードの第12位置は、カードがカード処理装置1から排出された状態である。
【0059】
なお、カードがカードの第8位置にある状態のときに、ソレノイド9(
図1参照)を駆動し、カードの回収口を開けた状態にし、カードをカード入出口3から遠ざける方向に搬送する。カードは、カード処理装置1の内部に回収される。カード入出口3から挿入されたカードは、カード入出口3から排出されるか、回収される。カードは、磁気カードリードライターユニット5(
図1参照)、接触式ICカードリードライターユニット4(
図1参照)、非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)の順番に、リードライト可能な位置に搬送される。また、3種類のカードリードライターユニットのリードライト位置は、それぞれ異なる位置である。カードのリードライトに不具合があった場合、この様な構成は不具合部分が特定し易すいので、例えば、搬送装置の問題なのかリードライターユニットの問題なのかなど判断がし易くなる。
【0060】
図7は、カード処理装置の非接触式ICカードの処理装置を外した状態の斜視図である。
【0061】
第2装着台8は、表面平板状であり、非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)を載置する。非接触式ICカードリードライターユニット6(
図1参照)は、磁気カードリードライターユニット5を薄型化することで、カードまでの距離を短くし、好適にデータのリードライトをすることができる。また、ヒンジ27を回転中心にして、第2装着台8と磁気カードリードライターユニット5の上半分を開閉させ、カードの搬送面を露出させることができる。
【0062】
モーター11は、第1軸13、第2軸14を介して、カードと接するローラーに回転を伝達し、カードを搬送する。第1軸13、第2軸14は、カード処理装置1の長手方向に沿って、一方側の側面に配置されている。モーターから各ローラーに回転を伝達する伝達機構は、ベルトを使用せずに歯車と軸とで構成されている。ベルトの掛け回しや、弛み調整など複雑な作業を要せずに装置の組立ができる。上面視でカードのリードライターユニットに重ならない周囲に、モーター11および第1軸13、第2軸14が配置されている。この様な構成は、カード処理装置1を薄型化できる。
【0063】
図8は、カードの回収の例を説明する図である。接触式ICカードリードライターユニット4(
図1参照)を第1装着台7から外した状態を示している。
【0064】
第1装着台7の一方側の端部には、装着台軸60が配置されている。装着台軸60は、フレーム2に固定されている軸支部63に、回動自在に接続されている。第1装着台7は、一方側の端部を回動中心にして、他方側の端部が上下に移動する。ソレノイド9はリンク機構10を介して第1装着台7に接続されている。ソレノイド9を駆動することで、装着台軸60の他方側の端部を上下に移動させ、カードの回収口62を開閉することができる。
【0065】
装着台軸60の他方側の端部を開けることで、回収口62が形成される。回収口62の方向にカード30を搬送することで、カード30はカード処理装置1の内部に回収される。
【符号の説明】
【0066】
1 カード処理装置
2 フレーム
3 カード入出口
4 接触式ICカードリードライターユニット
5 磁気カードリードライターユニット
6 非接触式ICカードリードライターユニット
7 第1装着台
8 第2装着台
9 ソレノイド
10 リンク機構
11 モーター
12 第1歯車
13 第1軸
14 第2軸
15 連結コネクター
16 第2歯車
17 第3歯車
18 第4歯車
19 第5歯車
20 第6歯車
21 軸押さえ
22 コネクター
23 コード
24 固定部材
25 ケース
26 信号コネクター
27 ヒンジ
28 カード搬送面
30 カード
31 磁気ヘッド
32 カード押さえ
33 第1駆動ローラー
34 第1従動ローラー
35 第2駆動ローラー
36 第2従動ローラー
37 第3駆動ローラー
38 第3従動ローラー
40 第1平歯車
41 第2平歯車
42 第3平歯車
43 第1位置センサー
44 第2位置センサー
45 第3位置センサー
46 第1搬送ローラー軸
47 第2搬送ローラー軸
48 第3搬送ローラー軸
49 ストッパ
50 ベース
51 第1押板
52 第2押板
53 第3押板
54 ネジ
55 第1軸押さえ部
56 第2軸押さえ部
60 装着台軸
61 長穴
62 回収口
63 軸支部