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  • 特許-放射性医薬品用遮蔽容器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】放射性医薬品用遮蔽容器
(51)【国際特許分類】
   G21F 5/015 20060101AFI20240716BHJP
   A61J 1/00 20230101ALI20240716BHJP
【FI】
G21F5/015
A61J1/00 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2022168630
(22)【出願日】2022-10-20
(62)【分割の表示】P 2020171291の分割
【原出願日】2020-10-09
(65)【公開番号】P2023002704
(43)【公開日】2023-01-10
【審査請求日】2023-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】322005219
【氏名又は名称】PDRファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000084
【氏名又は名称】弁理士法人アルガ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野口 真一
(72)【発明者】
【氏名】藤井 悠矢
【審査官】右▲高▼ 孝幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-315577(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0129591(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G21F 5/015
A61J 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円盤状の放射線遮蔽材が内部に収納された放射線遮蔽蓋体が、医薬品バイアルを内部に収納する放射線遮蔽容器本体に着脱自在に取り付けられている放射性医薬品用遮蔽容器であって、
前記放射線遮蔽材が、前記医薬品バイアルが接し得る前記放射線遮蔽蓋体の接触面との間に空域部を設けて収納され
前記空域部が、前記医薬品バイアルの上部径より大きな径であることを特徴とする放射性医薬品用遮蔽容器。
【請求項2】
略円盤状の放射線遮蔽材が内部に収納された放射線遮蔽蓋体が、医薬品バイアルを内部に収納する放射線遮蔽容器本体に着脱自在に取り付けられている放射性医薬品用遮蔽容器であって、
前記放射線遮蔽蓋体の内部に空域部が設けられ、
前記空域部は、前記医薬品バイアルが前記放射線遮蔽蓋体に当った際の衝撃を軽減するためのものであることを特徴とする放射性医薬品用遮蔽容器。
【請求項3】
前記空域部が、前記医薬品バイアルの上部径より大きな径であることを特徴とする請求項記載の放射性医薬品用遮蔽容器。
【請求項4】
前記空域部が、前記放射線遮蔽材の下面部に凹所を形成して設けられていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項記載の放射性医薬品用遮蔽容器。
【請求項5】
前記放射線遮蔽蓋体が、上部に閉止部材で着脱自在に閉止された開口部を有すると共に、下部が底部で閉塞された有底筒状体であって、前記有底筒状体下部の底部側において前記放射線遮蔽容器本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする請求項1~4のいずれか1項記載の放射性医薬品用遮蔽容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射性医薬品の輸送や保管の際に、放射性医薬品から放出される放射線による人体への被曝を防止するために用いられる放射性医薬品用遮蔽容器に関する。
【背景技術】
【0002】
放射性医薬品としては、一般にバイアル入り注射液や薬液充填済みシリンジが汎用されており、これらは放射線による人体への被曝防止のため放射線遮蔽容器に収納して輸送や保管されている。
斯かる放射線遮蔽容器としては、放射線遮蔽材を備えた容器本体と、放射線遮蔽材を備えた蓋体から構成されたものが既に知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
然るとき、斯かる従来の放射線遮蔽容器は、高価な放射線遮蔽材を蓋体の下方から分別取り出してリユースするために、放射線遮蔽材を蓋体の内部に吊り下げた状態で保持していた。そのため重量物である放射線遮蔽材が放射性医薬品の使用中に蓋体から外れて落下し、作業者のケガにつながる恐れがあった。他方、その落下を防止すべく放射線遮蔽材の吊り下げ状態を強固なものとすると、リユースのための分別取り出しが困難になると云う問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2005-315577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の如き従来の問題に鑑みてなされたものであり、放射線遮蔽材が蓋体から落下する恐れがなく、しかもリユースのための放射線遮蔽材の分別取り出しを極めて容易に行なうことができる蓋体を備えた放射性医薬品用遮蔽容器を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、放射線遮蔽材を蓋体内部に吊り下げず、有底筒状体に収納して蓋体とすれば、極めて良い結果が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明は、有底筒状体に放射線遮蔽材が収納され、かつ当該有底筒状体の開口部が閉止部材で着脱自在に閉止された放射線遮蔽蓋体が、当該有底筒状体の底部側において放射線遮蔽容器本体に着脱自在に取り付けられていることを特徴とする放射性医薬品用遮蔽容器により解決したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の放射性医薬品用遮蔽容器によれば、蓋体の放射線遮蔽材が有底筒状体に収納されているので、それが、放射性医薬品の使用中に落下する恐れは全くない。しかも、上部の蓋部材を取り外すだけで有底筒状体の上部開口部から放射線遮蔽材のみを極めて容易に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明放射性医薬品用遮蔽容器の縦断面説明図。
図2】本発明で用いる閉止部材例を示す縦断面説明図。
図3】本発明で用いる閉止部材例を示す平面説明図。
図4】本発明の放射線遮蔽容器本体の底面説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面と共に説明する。
【0011】
図1において、10は放射線遮蔽蓋体で、上部に開口部11aを有すると共に、下部が底部11bで閉塞された有底筒状体11の内部に略円盤状の放射線遮蔽材12が収納されている。
【0012】
ここに収納は、有底筒状体11への放射線遮蔽材12の単なる挿置であっても良いが、当該放射線遮蔽材12の下部に形成した突出部を有底筒状体11の底部11bに形成した凹所に挿入嵌合して収納するのが、当該放射線遮蔽材12の有底筒状体11内における横方向の動きを抑止し、安定に保持固定する上で望ましい。より具体的には、図1に示したように、放射線遮蔽材12の下面外縁部に、内側から外側方向に下降傾斜するテーパー内面12bを有する筒状突出部12aを形成すると共に、有底筒状体11の底部11b外縁部に当該筒状突出部12aの外形に対応するテーパー付きの環状凹所11cを形成して、当該環状凹所11cに筒状突出部12aを挿入嵌合するのが、放射線遮蔽材12の動き抑止はもとより、嵌合操作性とその離脱操作性にも優れ、特に有利である。尚、当該筒状突出部12aの内面の下降傾斜角度としては、放射線遮蔽材12の下面を基準に95°~175°であればよいが、100°~135°が好ましく、100°~115°が特に好ましい。
【0013】
また、当該放射線遮蔽材12は、有底筒状体11の底部11bとの間に空域部13を設けて収納するのが、後述する放射線遮蔽容器本体20に収納されるバイアル30等の医薬品が当該底部11bに当った際に、その衝撃を軽減する上で望ましい。この場合、空域部13の大きさとしては、上下の間隔が3.0~10.0mmで、バイアル蓋30a等の収納する医薬品の上部径よりも大きな径とするのが好ましい。また、当該空域部13の形成手段は、スペーサーの介在等特に限定されないが、放射線遮蔽材12の下面部に適宜凹所を設けて形成するのが簡便である。
尚、有底筒状体11の材質としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のプラスチックが好ましいものとして挙げられ、放射線遮蔽材12の材質としては、鉛、タングステンが好ましいものとして挙げられる。
【0014】
14は円板状の閉止部材で、有底筒状体11の開口部11aを着脱自在に閉止すると共に、放射線遮蔽材12を上方から圧接固定している。この閉止部材14により、放射線遮蔽材12の外方への飛び出しが防止される。また、この閉止部材14を、不透明体とすることにより、放射線遮蔽材12が外部から見えることを防止し得るので、きれいな外観の蓋体10を提供することができる。この閉止部材14の着脱方式は特に限定されないが、有底筒状体11の開口部11aへの落し蓋的な内挿嵌合方式が簡便である。この場合、閉止部材14の端縁部に着脱操作用のつまみ突片14aを付設するのが好ましい。
尚、閉止部材14の材質としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のプラスチックが好ましいものとして挙げられる。
【0015】
15はキャップ部で、円板状本体部15aとその外周部下方に突出連成された周壁部15bとから構成され、当該周壁部15bが、閉止部材14の上部に突出している有底筒状体11の開口部11a側壁に着脱自在に取り付けられている。このキャップ部15の取り付けにより、閉止部材14とキャップ部15の間に添付文書17等収納用の空域部16が形成されると共に、放射線遮蔽材12の外方への飛び出し防止が、閉止部材14と相俟って強化される。この放射線遮蔽材12の外方飛び出しをより確実にするために、当該周壁部15bの当該開口部11aへの着脱自在の取り付けは螺合とするのが望ましい。また、この螺合での取り付けと合わせてあるいは別に、放射線遮蔽材12の外方飛び出しをより確実にするために、閉止部材14の上面部に、図2及び図3で示したように、キャップ部15下面部に当接する突起14bを適宜数配設するのも望ましい。キャップ部15下面部に突起14bが当接することで、実質的に閉止部材14とキャップ部15が一体となり、閉止部材14の有底筒状体11の開口部11aへの取り付けと当該周壁部15bの当該開口部11aへの取り付けの2つの取り付け機構により放射線遮蔽材12を圧接固定するからである。この場合、当該突起14bの高さ(換言すれば空域部16の上下間隔)は、5.0~10.0mmとするのが好ましい。
尚、キャップ部15の材質としては、ポリプロピレンやポリエチレン等のプラスチック
が好ましいものとして挙げられるが、特に透明材質のものを用いれば、空域部16内の添付文書の有無を外部からチェックできるのでより望ましい。
【0016】
20は放射線遮蔽容器本体で、有底筒状体21の内部に放射線遮蔽材22が収納されている。この放射線遮蔽材22にはバイアル30等の医薬品収納用凹所23が形成されていると共に、当該医薬品収納用凹所23の略上半分の内壁部には、バイアル30等の医薬品を保持固定するプラスチック製の内装材24が挿置されている。
当該有底筒状体21の側面部には、本発明遮蔽容器をシュリンク包装した場合に、フィルムの回り動きを防止するために、図1及び図4に示すような突状部21aを形成するのが好ましい。
尚、当該有底筒状体21と放射線遮蔽材22の材質は、それぞれ蓋体10の有底筒状体11並びに放射線遮蔽材12と同様な材質が使用される。
【0017】
当該放射線遮蔽容器本体20の上部開口部に、上記の放射線遮蔽蓋体10が、その有底筒状体11の底部11b側において着脱自在に取り付けられている。この蓋体10の容器本体20への着脱自在の取り付けは、収納された放射性医薬品の飛び出しを防止するために螺合方式が望ましい。この場合、蓋体10の有底筒状体11の外周壁を底部11bより下方に延設し、当該延設外周壁内側と容器本体20の上部外周壁外側において螺合せしめるのが簡便である。
【符号の説明】
【0018】
10:放射線遮蔽蓋体
11:有底筒状体
11a:開口部
11b:底部
11c:環状凹所
12:放射線遮蔽材
12a:筒状突出部
12b:テーパー内面
13:空域部
14:閉止部材
14a:つまみ突片
14b:突起
15:キャップ部
15a:円板状本体部
15b:周壁部
16:空域部
17:添付文書
20:放射線遮蔽容器本体
21:有底筒状体
21a:突状部
22:放射線遮蔽材
23:医薬品収納用凹所
24:内装材
30:バイアル
30a:バイアル蓋
図1
図2
図3
図4