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特許7520406一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクおよびその製造方法
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  • 特許-一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 1/02 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
F17C1/02
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022580141
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-08-23
(86)【国際出願番号】 CN2021109584
(87)【国際公開番号】W WO2023279458
(87)【国際公開日】2023-01-12
【審査請求日】2022-12-22
(31)【優先権主張番号】202110772907.X
(32)【優先日】2021-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】522498213
【氏名又は名称】王 ▲夢▼君
【氏名又は名称原語表記】Meng Jun, WANG
【住所又は居所原語表記】Room 1701, No.2, Jiuyaoshan Home, Tongan District Xiamen City, Fujian, China
(74)【代理人】
【識別番号】100230086
【弁理士】
【氏名又は名称】譚 粟元
(72)【発明者】
【氏名】王 ▲夢▼君
【審査官】森本 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-534395(JP,A)
【文献】特表平11-502917(JP,A)
【文献】米国特許第03655086(US,A)
【文献】特開2011-163354(JP,A)
【文献】米国特許第05429845(US,A)
【文献】特表2020-521093(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクであって、
一端に気体誘導口が開設されているタンク本体を備え、
前記タンク本体の内腔に、前記タンク本体の強度を高めるのに用いられる補強部材が設けられており、
前記補強部材のサイドエンドは、前記タンク本体の内壁に固接されており、
前記タンク本体および前記補強部材はいずれも炭素繊維複合材料が使用され
前記タンク本体は、予備成形層、および、前記予備成形層の外部表面を覆う外部巻付層を含み、
前記予備成形層は、第一予備成形層および第二予備成形層を含み、
前記第二予備成形層は、前記外部巻付層の内表面に貼り付けられており、
前記補強部材の端部は、前記第二予備成形層に固接されており、前記タンク本体の内腔を複数のキャビティに分け、
前記キャビティは、内部に、前記第二予備成形層および前記補強部材に貼り付けられている前記第一予備成形層が設けられている、
ことを特徴とする一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンク。
【請求項2】
請求項1に記載の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクであって、
前記補強部材は、複数の補強板の組み合わせを含み、前記タンク本体と一体成形されることを特徴とする一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンク。
【請求項3】
請求項2に記載の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクであって、
前記補強板は、数が四つであり、断面が十字状であることを特徴とする一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンク。
【請求項4】
請求項2に記載の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクであって、
前記補強部材の底端は前記タンク本体の内壁の底部まで延伸することを特徴とする一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンク。
【請求項5】
請求項1に記載の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクであって、
前記タンク本体の内壁には、周方向に沿って、複数の環状補強部材が設けられていることを特徴とする一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンク。
【請求項6】
請求項1に記載の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクであって、
前記タンク本体は、前記気体誘導口が位置するところに金属気体誘導管が埋設されていることを特徴とする一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンク。
【請求項7】
請求項に記載の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクであって、
前記金属気体誘導管は、曲り角のところにおいて、前記金属気体誘導管と前記タンク本体との間に、ガスケットが埋設されていることを特徴とする一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンク。
【請求項8】
請求項に記載の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクであって、
前記金属気体誘導管は、外側において、前記曲り角の前側の端部に、複数の陥没部が設けられており、
前記タンク本体の内壁には、前記陥没部と対応する突起部が設けられていることを特徴とする一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素エネルギーの技術領域に関し、詳しくは、一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素の貯蔵は水素エネルギー応用の重要な一環である。効率高く安定的に水素の貯蔵を行うためには、同じ貯蔵空間で最も多い水素を貯蔵させる必要がある。言い換えると、高い密度で水素を貯蔵する必要があり、貯蔵過程においての安定と安全を保障する必要がある。
【0003】
現在の水素貯蔵タンクは、主に純鋼製金属瓶(I型)、鋼製内瓶を有する繊維巻付け瓶(II型)、アルミ製内瓶を有する繊維巻付け瓶(III型)、およびプラスチック製内瓶を有する繊維巻付け瓶(IV型)の四種類に分けられる。I型およびII型の瓶は、水素貯蔵密度が低く、安全性能が劣っており、車載の水素貯蔵の密度要件を満たすことが難しい。III型瓶およびIV型瓶は、安全性を高める、重量を低減する、質量貯蔵密度を高める等の優位性を有するため、広く応用されている。その中で、外国ではIV型瓶が多く、国内ではIII型瓶が多い。III型瓶に比べ、IV型瓶は、腐食と水素脆化に対する優れた耐性、さらに軽い質量、さらに低いコスト、および、さらに高い質量貯蔵密度とサイクル寿命を持っていることにより、国際的に水素エネルギー自動車用高圧水素貯蔵容器の発展をリードする「新しい人気もの」となる。しかし、IV型瓶には多くの問題が存在している。例えば、プラスチック製内瓶と金属開口部とをどのように密封するか、プラスチック製内瓶がガス瓶の全ライフサイクルにおいて使用要件を満たすことができるか、などの問題が存在している。
【0004】
現在、一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクを提案し、強度が高く、質量が軽く、また、従来の水素貯蔵タンクの異なる材料の結合問題に比べ、そのタンク本体は、すべて炭素繊維複合材料が用いられ、より良い層間接合および密封性を有する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクおよびその製造方法を提供することにある。タンク本体の内腔には、タンク本体の内壁両端を連結かつ支持する補強部材が設けられており、タンク本体の内壁には周方向に環状補強部材が設けられており、水素貯蔵タンクの全体強度および剛性を高め、水素貯蔵タンクの高圧でのさらなる安全性および信頼性を保障する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、以下の技術手段を採用する。
一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクは、タンク本体を備え、タンク本体は一端に気体誘導口が開設されており、タンク本体の内腔に、タンク本体の強度を高めるのに用いられる補強部材が設けられており、補強部材のサイドエンドは、タンク本体の内壁に固接されており、タンク本体および補強部材はいずれも炭素繊維複合材料が使用されている。
【0007】
好ましくは、補強部材は、複数の補強板の組み合わせを含み、タンク本体と一体成形される。
【0008】
好ましくは、補強板は、数が四つであり、断面が十字状である。
【0009】
好ましくは、補強部材の底端はタンク本体の内壁の底部まで延伸する。
【0010】
好ましくは、タンク本体は、予備成形層、および、予備成形層の外部表面を覆う外部巻付層を含む。
【0011】
好ましくは、予備成形層は、第一予備成形層および第二予備成形層を含み、第二予備成形層は、外部巻付層の内表面に貼り付けられており、補強部材の端部は、第二予備成形層に固接されており、タンク本体の内腔を複数のキャビティに分け、キャビティは、内部に、第二予備成形層および補強部材に貼り付けられている第一予備成形層が設けられていることを特徴とする。
【0012】
好ましくは、タンク本体の内壁には、周方向に沿って、複数の環状補強部材が設けられている。
【0013】
好ましくは、タンク本体は、気体誘導口が位置するところに金属気体誘導管が埋設されている。
【0014】
好ましくは、金属気体誘導管は、曲り角のところにおいて、金属気体誘導管とタンク本体との間に、ガスケットが埋設されている。
【0015】
好ましくは、金属気体誘導管は、外側において、曲り角の前側の端部に、複数の陥没部が設けられており、タンク本体の内壁には、陥没部と対応する突起部が設けられている。
【0016】
一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクの製造方法は、以下のステップを含むことを特徴とする。
ステップS1では、タンク本体の強度を高めるのに用いられる補強部材を加工かつ硬化する。補強部材には、複数のキャビティ予備成形用溝が形成されている。
ステップS2では、シリコンエアバッグに高圧空気を充填しながら圧力を継続的に保持し、シリコンエアバッグを膨張させ、シリコンエアバッグの表面に炭素繊維複合材料を用いた一次包糸を行い、第一予備成形層を形成することにより、タンク本体のキャビティ予備成形部材を作成する。
ステップS3では、ステップS2で作成したキャビティ予備成形部材を、ステップS1で作成した補強部材のキャビティ予備成形用溝に組み合わせて予備成形することで、タンク本体予備成形部材を作成する。
ステップS4では、ステップS3で作成したタンク本体予備成形部材の表面に炭素繊維複合材料を用いて二次包糸を行い、第二予備成形層を形成し、タンク本体予備成形部材の気体誘導口が位置するところにおいて、第一予備成形層と第二予備成形層との間に金属気体誘導管を埋設する。
ステップS5では、ステップS4で二次包糸完了したタンク本体予備成形部材に対して焼成硬化を行い室温まで冷却させ、炭素繊維複合材料を用いて第二予備成形層の表面を巻きつくことで外部巻付層を形成し、外部巻付層が金属気体誘導管の外側表面まで延伸する。
ステップS6では、ステップS5で巻付き完了したタンク本体予備成形部材に対して焼成硬化を行い室温まで冷却させ、シリコンエアバックの空気を抜き出し、かつシリコンエアバックを取り出し、完成したタンク本体に対して仕上げ加工を行う。
【0017】
好ましくは、ステップS2では、シリコンエアバッグは、キャビティ予備成形部材の外側表面の位置に、横方向に溝が形成されており、第一予備成形層は、溝内に延伸し環状補強部材を形成する。
【0018】
好ましくは、ステップS4では、金属気体誘導管は、曲り角のところにおいて、第二予備成形層との間に、ガスケットが埋設されている。
【0019】
好ましくは、ステップS5では、金属気体誘導管は、曲り角の前側の端部の外側において、複数の陥没部が設けられており、外部巻付層の内壁に、陥没部と対応する突起部が設けられている。
【0020】
上述のような構成を採用することにより、本発明は、背景技術と比較して、次のような優れた点を有する。
1.本発明の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクおよびその製造方法では、水素貯蔵タンクは、内層が中空吹き込み、外層が巻付けであるマルチプロセス共硬化成形技術を採用し、内外層の繊維を緻密かつ円滑にし、製品強度を向上させることができる。タンク本体の内腔にはタンク内壁の両端を連結支持する補強材が設けられ、タンク本体の内壁には周方向に環状補強部材が設けられ、水素貯蔵タンクの全体の強度及び剛性をさらに向上させ、水素貯蔵タンクの高圧でのさらなる安全性および信頼性を保障する。
2.本発明の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクおよびその製造方法では、水素貯蔵タンクは、金属気体誘導管部分以外はすべて高級炭素繊維複合材料が用いられる。従来のタンク本体の様々な異なる材料間の層間結合問題を解決しただけでなく、炭素繊維複合材料の質量が軽いため、水素貯蔵タンクの重量をさらに軽減し、運送が便利となる。
3.本発明の一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクおよびその製造方法では、金属気体誘導管は、曲り角のところにおいて、タンク本体との間にガスケットが埋設されており、外部巻付層には、金属気体誘導管の陥没部に引っ掛かる突起部が設けられており、タンク本体と金属気体誘導管との密封性を高める。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の構造を示す図である。
図2】本発明の補強部材の結合を示す図である。
図3】本発明の縦断面図である。
図4】本発明の図3のA部位の部分拡大図である。
図5】本発明の図3のB部位の部分拡大図である。
図6】本発明の図3のC部位の部分拡大図である。
図7】本発明の横断面図である。
図8】本発明のシリコンエアバッグの構造を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の目的、技術手段および優れた点をより明確にするために、以下、図面および実施例を参照して、本発明をさらに詳しく説明する。なお、ここで説明する具体的な実施例は、本発明を解釈するためだけであり、本発明を限定するためのものではないことを理解されたい。
【0023】
なお、本発明において、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内」、「外」等の用語は、図面に示す方位または位置関係に基づいており、本発明の説明を容易にするおよび簡単にするためであって、本発明の装置または構成要素が特定の方位を有する必要があることを指し示すまたは示唆するものではなく、本発明に対する限定とは理解できない。
【0024】
図1図8に示すように、本発明が開示する一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクは、
タンク本体1を備え、タンク本体1は一端に気体誘導口11が開設されている。タンク本体1の内腔に、タンク本体1の強度を高めるのに用いられる補強部材2が設けられている。補強部材2のサイドエンドは、タンク本体1の内壁に固接されている。タンク本体1および補強部材1はいずれも炭素繊維複合材料が使用されている。
【0025】
補強部材2は、複数の補強板の組み合わせを含み、タンク本体1と一体成形される。複数の補強板の組み合わせにより形成された補強部材2は、タンク本体1の内腔を複数のキャビティに分ける。本実施例では、補強板の数が四つであり、補強部材2の断面が十字状である。補強部材2の底端はタンク本体1の内壁の底部まで延伸し、タンク本体1内腔を四つのキャビティに均等に分ける。
【0026】
タンク本体は、予備成形層12、および、予備成形層12の外部表面を覆う外部巻付層13を含む。予備成形層12は、第一予備成形層121および第二予備成形層122を含む。第二予備成形層122は、外部巻付層13の内表面に貼り付けられている。補強部材2の端部は、第二予備成形層122に固接されており、タンク本体1の内腔に上述の四つのキャビティを形成させる。キャビティは、内部に、第二予備成形層122および補強部材2に貼り付けられている第一予備成形層121が設けられている。
【0027】
第一予備成形層121は、第二予備成形層122の両端に位置するところが補強部材2に向いて延伸するとき、弧状の曲り角を形成する。この弧状の曲り角により、第一予備成形層121、第二予備成形層122、および補強部材2の間に隙間が形成され、この隙間に炭素繊維充填糸14が充填されている。
【0028】
タンク本体1の内壁には、周方向に沿って、複数の環状補強部材15が設けられている。本実施例では、環状補強部材15は、四個を含む。各環状補強部材15は、四段に分けられ、各段は、四つのキャビティの内壁に設置されており、第一予備成形層121の内側表面に位置する。
【0029】
タンク本体1は、気体誘導口11が位置するところに金属気体誘導管3が埋設されており、吸気および排気に用いられる。この金属気体誘導管3は、底部に埋込部31が設けられている。タンク本体1の気体誘導口11の位置において、第一予備成形層121と第二予備成形層122との間に、埋込部31を差し込むのに用いられる埋込溝が設けられている。外部巻付層13は金属気体誘導管3の外部表面まで延伸する。
【0030】
金属気体誘導管3は、曲り角のところにおいて、第二予備成形層122との間にガスケット4が埋設されている。ガスケット4は、ゴム材質のものを用いる。金属気体誘導管3は、曲り角の前側の端部の外側に、複数の陥没部32が設けられている。外部巻付層13の内壁には、陥没部32と対応する突起部131が設けられており、タンク本体と金属気体誘導管との間の密封性能を高める。
【0031】
タンク本体1の第一予備成形層121、第二予備成形層122、外部巻付層13、および補強部材2は、いずれも炭素繊維複合材料が用いられ、複数層の繊維が緻密かつなめらかなで、製品の強度を高める。
【0032】
一種の炭素繊維複合材料の高圧水素貯蔵タンクの製造方法は、以下のステップを含む。
【0033】
ステップS1では、タンク本体1の強度を高めるのに用いられる補強部材2を加工かつ硬化する。補強部材2には、四つのキャビティ予備成形用溝が形成されている。
【0034】
ステップS2では、シリコンエアバッグ4に高圧空気を充填しながら圧力を継続的に保持し、シリコンエアバッグ4を膨張させる。シリコンエアバッグ4の表面に炭素繊維複合材料を用いた一次包糸を行い、第一予備成形層121を形成することにより、タンク本体1のキャビティ予備成形部材を作成する。シリコンエアバッグ4は、キャビティ予備成形部材の外側表面の位置に、横方向に溝が形成されている。第一予備成形層121は、溝内に延伸し環状補強部材15を形成する。
【0035】
ステップS3では、ステップS2で作成した四つのキャビティ予備成形部材を、ステップS1で作成した補強部材2のキャビティ予備成形用溝に組み合わせて予備成形することで、タンク本体予備成形部材を作成する。そして、補強部材2とキャビティ予備成形部材との組み合わせ隙間に炭素繊維充填糸14を充填する。
【0036】
ステップS4では、ステップS3で作成したタンク本体予備成形部材の表面に炭素繊維複合材料を用いて二次包糸を行い、第二予備成形層233を形成する。そして、タンク本体予備成形部材の気体誘導口11が位置するところにおいて、第一予備成形層121と第二予備成形層122との間に金属気体誘導管3を埋設する。金属気体誘導管3は、曲り角のところにおいて、第二予備成形層122との間に、ガスケット4が埋設されている。
【0037】
ステップ5では、ステップS4で二次包糸完了したタンク本体予備成形部材に対して焼成硬化を行い室温まで冷却させ、炭素繊維複合材料を用いて第二予備成形層122の表面を巻きつくことで外部巻付層13を形成する。外部巻付層13は金属気体誘導管3の外側表面まで延伸する。金属気体誘導管3は、曲り角の前側の端部の外側に、複数の陥没部32が設けられている。外部巻付層13の内壁に、陥没部32と対応する突起部131が設けられている。
【0038】
ステップ6では、ステップS5で巻付き完了したタンク本体予備成形部材に対して焼成硬化を行い室温まで冷却させ、シリコンエアバック4の空気を抜き出し、かつシリコンエアバック4を取り出す。そして、完成したタンク本体1に対して仕上げ加工を行う。
【0039】
以上、本発明の好ましい具体的な実施形態について説明したが、本発明の保護範囲はこれに限定されるものではなく、当業者が本発明に開示した技術的範囲内で容易に考えられる変化又は置換は、本発明の保護範囲内に含まれるものとする。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲の保護範囲に準じなければならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8