(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】植物用支持具
(51)【国際特許分類】
A01G 9/12 20060101AFI20240716BHJP
A01G 9/02 20180101ALI20240716BHJP
【FI】
A01G9/12 C
A01G9/02 101W
(21)【出願番号】P 2023089620
(22)【出願日】2023-05-31
【審査請求日】2023-05-31
(73)【特許権者】
【識別番号】593195875
【氏名又は名称】兼弥産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青山 松夫
【審査官】家田 政明
(56)【参考文献】
【文献】実公昭58-32602(JP,Y2)
【文献】実公昭52-16199(JP,Y2)
【文献】特開2016-47022(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 9/12
A01G 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製からなる支持部材を二つ組み合わせて構成される植物用支持具であって、
前記支持部材は、
互いに離間しかつ並行して棒状または帯板状に延在し、延在した一端部側の少なくとも一部の長さを占める領域に可撓性を有する2本の支柱部と、
前記2本の支柱部にかけ渡されるように配設され、前記2本の支柱部を連結する複数の支柱連結部と、
前記2本の支柱部の前記一端部に設けられた接続部と、を備え、
二つの前記支持部材のうち少なくとも一方の前記支持部材は、前記接続部の先端側に設けられた係合部を有し、他方の前記支持部材は、前記接続部に設けられた係止部を有しており、
前記接続部は、前記二つの支持部材の前記接続部が互いに対向しかつ前記係合部が前記係止部と係合することで前記二つの支持部材を接続可能な構成とされ、
前記接続部で接続された前記二つの支持部材は、互いの前記2本の支柱部が対向するように前記接続部を中心に湾曲形状に変形可能であり、湾曲した状態では前記支持部材の長手方向への前記係合部の移動が前記係止部によって係止されるように構成される、植物用支持具。
【請求項2】
請求項1に記載された植物用支持具であって、
前記二つの支持部材における前記接続部は、
前記支持部材の幅方向における両側方において、前記支持部材の長手方向に沿って延在した側縁部と、
前記幅方向に沿って延在し前記側縁部の先端を連結する先端部と、を有しており、
前記係合部は、前記接続部の前記先端部から前記幅方向における前記側縁部より外側に突出した突出部と、前記側縁部の先端において前記幅方向における前記側縁部の外側が凹んだ凹部で構成され、
前記係止部は、前記幅方向における前記側縁部の内側が窪んだ窪み部で構成され、
一方の前記支持部材の前記係合部を、他方の前記支持部材の前記窪み部に係合させることで前記二つの支持部材を接続可能に構成される、植物用支持具。
【請求項3】
請求項2に記載された植物用支持具であって、
前記二つの支持部材は、前記2本の支柱部の前記一端部を連結する前記支柱連結部を有しており、
前記窪み部は、前記一端部を連結する前記支柱連結部に隣接して設けられ、
接続された状態の前記二つの支持部材は、互いの前記接続部の前記先端部と前記支柱連結部が厚さ方向に重なる、植物用支持具。
【請求項4】
請求項2または請求項3に記載された植物用支持具であって、
前記係止部を有する前記接続部は、前記側縁部の内側に、前記係合部を前記窪み部に向かって案内するスライド部を有する、植物用支持具。
【請求項5】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された植物用支持具であって、
前記二つの支持部材は、それぞれの前記接続部が前記係合部と前記係止部を共に有する、植物用支持具。
【請求項6】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載された植物用支持具であって、
前記2本の支柱部は、前記一端部側と反対側の他端部側の少なくとも一部の長さを占める領域において補強リブを有する、植物用支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物用支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、植物用の支持具として、様々なものが知られている。例えば、特許文献1には、U字状に形成された支柱を連結して植木鉢に設置された、植物用の支持具が開示されている。また、庭に設置して使用される大型の支柱としては、例えばガーデントンネル仕様に造られる、梯子状のアーチ支柱が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、梯子状のアーチ支柱は大型で、鉄製のものが主流となっている。一方、例えば4号~6号程度の大きさの植木鉢に設置して使用される支持具は、U字状に曲げられたプラスチックや鉄、竹製の支柱を組立てる製品はあるものの、形状が固定されているものが多い。しかしながら、例えば竹製品の場合、ささくれでトゲが生じ易く、植木鉢に設置する際の作業性の低下やトゲが植物に刺さる等の懸念があった。また、形状が固定されているため、植木鉢の大きさに応じて幅広く対応させるのは困難であった。そこで、適度な大きさの植木鉢などに設置して使用でき、柔軟にアーチの形状が変更できる植物用支持具が求められていた。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、植木鉢等の大きさに柔軟に対応し得ると共に、容易にアーチ形状に組立てて使用できる植物用支持具を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する植物用支持具の一つの特徴は、樹脂製からなる支持部材を二つ組み合わせて構成される植物用支持具であって、前記支持部材は、互いに離間しかつ並行して棒状または帯板状に延在し、延在した一端部側の少なくとも一部の長さを占める領域に可撓性を有する2本の支柱部と、前記2本の支柱部にかけ渡されるように配設され、前記2本の支柱部を連結する複数の支柱連結部と、前記2本の支柱部の前記一端部に設けられた接続部とを備え、二つの前記支持部材のうち少なくとも一方の前記支持部材は、前記接続部に設けられた係合部を有し、他方の前記支持部材は、前記接続部に設けられた係止部を有しており、前記接続部は、前記二つの支持部材の前記接続部が互いに対向しかつ前記係合部が前記係止部と係合することで前記二つの支持部材を接続可能な構成とされ、前記接続部で接続された前記二つの支持部材は、互いの前記2本の支柱部が対向するように前記接続部を中心に湾曲形状に変形可能であり、湾曲した状態では前記支持部材の長手方向への前記係合部の移動が前記係止部によって係止されるように構成される。
【0007】
上記構成の一つの特徴及び利点は、植物用支持具は、二つの樹脂製の支持部材を組み合わせることで構成される。支持部材は、2本の支柱部と複数の支柱連結部を有しており、梯子状に形成されている。このうち一方の支持部材の係合部を、他方の支持部材の窪み部に係合させることにより、支持部材の一端部に設けられた接続部同士が接続され、連続した梯子状の植物用支持具を組立てることができる。接続された二つの支持部材は、支柱部の接続部側(一端部側)において可撓性を有しているため、接続部を中心に湾曲し、容易にアーチ形状に変形し得る。また、湾曲した状態の二つの支持部材における接続部は、支持部材の長手方向への係合部の移動が係止される。よって、計4本の支柱部の他端部側を用土等に差し込んだ状態において、二つの支持部材の接続部同士が外れにくくなり、接続状態が安定して維持され得る。したがって、容易に二つの支持部材をアーチ形状に組立てできると共に、アーチ形状に組立てられた植物用支持具を安定して植木鉢等に設置できる。また、湾曲の程度を変更することで、支柱部の差込みの位置を任意に設定することができるため、植木鉢等の大きさに応じてアーチ形状を変更して使用できる。
【0008】
上記植物用支持具について、前記二つの支持部材における前記接続部は、前記支持部材の幅方向における両側方において、前記支持部材の長手方向に沿って延在した側縁部と、前記幅方向に沿って延在し前記側縁部の先端を連結する先端部とを有しており、前記係合部は、前記接続部の前記先端部から前記幅方向における前記側縁部より外側に突出した突出部と、前記側縁部の先端において前記幅方向における前記側縁部の外側が凹んだ凹部で構成され、前記係止部は、前記幅方向における前記側縁部の内側が窪んだ窪み部で構成され、一方の前記支持部材の前記係合部を、他方の前記支持部材の前記窪み部に係合させることで前記二つの支持部材を接続可能に構成されても良い。
【0009】
上記構成の一つの特徴及び利点は、支持部材における接続部は、幅方向に延在する先端部によって側縁部が連結されており、枠状を呈している。係合部は、突出部が接続部の側縁部より外側に突出しているため、一方の支持部材を他方の支持部材に対して斜めの角度になるように接続部同士を対向させてから、一方の支持部材の係合部を他方の支持部材の接続部の枠内にはめ込むことで、二つの支持部材を接続できる。したがって、容易に二つの支持部材をアーチ形状に組立てできる。また、これらの支持部材が接続された状態では、窪み部に凹部が係合すると共に、突出部が側縁部より外側に位置する。これにより、先端部の厚さ方向と幅方向への移動が係止され、植物用支持具の使用時における支持部材の接続状態が安定して維持され得る。
【0010】
上記植物用支持具について、前記二つの支持部材は、前記2本の支柱部の前記一端部を連結する前記支柱連結部を有しており、前記窪み部は、前記一端部を連結する前記支柱連結部に隣接して設けられ、接続された状態の前記二つの支持部材は、互いの前記接続部の前記先端部と前記支柱連結部が厚さ方向に重なる構成であっても良い。
【0011】
上記構成の一つの特徴及び利点は、係合部と係合する窪み部が、支柱部の一端部を連結する支柱連結部と隣接する位置に設けられている。したがって、二つの支持部材が接続された状態では、互いの接続部の先端部と支柱連結部が厚さ方向に重なる。すなわち、枠状の接続部同士が厚さ方向に重なるように面で接続される。二つの支持部材をアーチ形状に湾曲させたとき、面で接続された接続部が互いに作用することで、支持部材の接続部における接続状態がより安定すると共に、アーチ形状の見栄えが向上し得る。
【0012】
上記植物用支持具について、前記係止部を有する前記接続部は、前記側縁部の内側に、前記係合部を前記窪み部に向かって案内するスライド部を有する構成であっても良い。
【0013】
上記構成の一つの特徴及び利点は、二つの支持部材を接続部で接続するときに、一方の支持部材の係合部が他方の支持部材のスライド部に案内されることで、支持部材の接続をよりスムーズに行うことができる。
【0014】
上記植物用支持具について、前記二つの支持部材は、それぞれの前記接続部が前記係合部と前記係止部を共に有する構成であっても良い。
【0015】
上記構成の一つの特徴及び利点は、二つの支持部材は、それぞれ接続部に係合部と係止部が共に設けられている。これにより、同じ接続部の構成を有する二つの支持部材を接続部で接続して、植物用支持具を組立てできる。よって、接続部の構成が異なる支持部材を用意する必要がなくなり、利便性の向上を図ることができる。
【0016】
上記植物用支持具について、前記支柱部は、前記一端部側と反対側の他端部側の少なくとも一部の長さを占める領域において補強リブを有する構成であっても良い。
【0017】
上記構成の一つの特徴及び利点は、支持部材の支柱部は、他端部側の少なくとも一部の長さを占める領域において補強リブを有している。これにより、アーチ状に組立てられた支持部材を設置したときに、補強リブを有する他端部側において支柱部が折れ曲がりにくくなり、植物用支持具全体を支持する強度の向上を図ることができる。また、アーチ形状が安定して維持され得る。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、上記の各発明の構成をもつことにより、植木鉢等の大きさに柔軟に対応し得ると共に、容易にアーチ形状に組立てて使用できる植物用支持具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本実施形態に係る植物用支持具の支持部材の平面図である。
【
図4】二つの支持部材の接続部を対向させた状態を示す図である。
【
図5】一方の支持部材の係合部を他方の支持部材のスライド部を介して窪み部に係合させる状態を示す図である。
【
図6】接続された状態の二つの支持部材の接続部を示す図である。
【
図7】接続された二つの支持部材をアーチ形状に湾曲させた状態を示す図である。
【
図8】植物用支持具を植木鉢に設置した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の実施形態について、図を用いて説明する。本実施形態に係る植物用支持具1は、二つの支持部材5から構成され、これらの支持部材5を接続させた状態で、例えば4号~6号程度の大きさの植木鉢に設置して使用されるものである。
【0021】
植物用支持具1を構成する支持部材5は、
図1,2に示すように、例えばポリプロピレン等の樹脂製からなる梯子状の部材であり、表面5aと裏面5bを有する。支持部材5は、2本の支柱部6と、複数の支柱連結部7と、支柱部6の先端部(一端部)に設けられた接続部8を有している。
【0022】
2本の支柱部6は、互いに離間しかつ並行して帯板状に延在しており、支柱部6の延在した先端部側(一端部側)に設けられた変形部12と、その反対側である下端部側(他端部側)に設けられた補強部14を有している。変形部12は、支柱部6における先端部側(一端部側)の少なくとも一部の長さを占める領域であり、可撓性を有する。これにより、二つの支持部材5を接続部8において接続した状態で、接続部8を中心に湾曲形状に変形させ得る。補強部14は、支柱部6における下端部側の少なくとも一部の長さを占める領域であり、植物用支持具1の使用時においてほぼ湾曲変形せず、支持部材5の長手方向に略直線状に延在した状態が維持され得る部位である。支柱部6の下端部には、差込み部16が設けられている。差込み部16は、下端に向かって細くなる略尖形状に形成されている。
【0023】
図1,2に示すように、支柱部6の変形部12の一部と補強部14は、表面5aと裏面5bにそれぞれ、補強リブ18a,18bが設けられている。補強リブ18a,18bは、厚さ方向に突出した突条に形成されており、支柱部6の長手方向に沿って延在している(
図3参照)。裏面5b側の補強リブ18bは、延在する突条リブ上に複数の十字リブ19を有している。十字リブ19は、突条リブの幅が部分的に広く形成されており、所定間隔ごとに設けられている。変形部12の接続部8側は、リブが設けられていないため、接続された支持部材5を湾曲させるときに、より変形が大きくなる。変形部12の補強部14側は、補強リブ18a,18bが設けられていることで相対的に変形が小さくなり、きれいなアーチ形状を形成し得る。
【0024】
可撓性を有する材質からなる支柱部6において、リブを設ける領域(変形部12の接続部側)とリブを設けない領域(変形部12の補強部14側と補強部14)を設定することで、リブを設けない領域は湾曲変形し、リブを設けた領域は支持部材5を支える支柱として機能する。支柱部6におけるリブを設ける領域とリブを設けない領域の長さは、アーチ形状を形成したとき、植木鉢の大きさと植物の高さ・幅との均衡がより好適になるように、支持部材5に対して力が加わるように設定されている。また補強部14は、補強リブ18a,18bの周辺において変形部12より厚さが厚くなっており、折れ曲がり等の変形がより生じにくい構成となっている。
【0025】
図1,2に示すように、支柱連結部7は、支持部材5の長手方向において所定間隔ごとに複数配設されている。支柱連結部7は、2本の支柱部6にかけ渡されるように、支持部材5の幅方向に帯板状に延在しており、2本の支柱部6を連結する。接続部8に隣接する支柱連結部7は、2本の支柱部6の一端部を連結する。支柱連結部7はそれぞれ、支持部材5の表面5aと裏面5bに補強リブ20a,20bを有している。支柱連結部7の補強リブ20a,20bは、厚さ方向に突出した突条に形成されており、支柱連結部7の長手方向に沿って延在している(
図3参照)。支柱連結部7の裏面5b側における補強リブ20bには、延在する突条リブの中央に十字リブ21が設けられている。
【0026】
接続部8は、
図1に示すように正面視において枠状を呈しており、支持部材5の幅方向における両側方において支持部材5の長手方向に帯板状に延在した側縁部23と、支持部材5の幅方向に沿って帯板状に延在し側縁部23の先端を連結する先端連結部24(先端部)を有している。接続部8の先端連結部24側には、突出部26と凹部27が形成されており、係合部が構成されている。突出部26は、先端連結部24が支持部材5の幅方向において側縁部23より外側に突出した部位であり、凹部27は、側縁部23の先端において幅方向における側縁部23の外側が、側縁部23の幅が狭くなるように凹んだ部位である。本実施形態では、支持部材5の幅方向における先端連結部24の長さ(突出部26を含む長さ)が、2本の支柱部6における支持部材5の幅と同等になるように設定されている。
【0027】
また、接続部8には、2本の支柱部6の一端部を連結する支柱連結部7に隣接した位置において、窪み部29が形成されており、係止部が構成されている。窪み部29は、支持部材5の幅方向における側縁部23の内側が、側縁部23の幅が狭くなるように窪んだ部位である。接続部8は、一方の支持部材5の凹部27(係合部)を、他方の支持部材5の窪み部29に係合させることにより、これらの支持部材5を接続できるように構成されている。
【0028】
また、接続部8は、側縁部23の内側に、係合部(突出部26及び凹部27)を窪み部29に向かって案内するスライド部30を有している。スライド部30は、窪み部29より接続部8の先端側に位置するように設けられており、側縁部23の幅が窪み部29に向かうにつれて狭くなっている部位である。例えば、一方の支持部材5の係合部と、他方の支持部材5の窪み部29を係合させるときに、一方の支持部材5の係合部が他方の支持部材5のスライド部30によって案内され、窪み部29と係合し得る。
【0029】
上記植物用支持具1は、次のように組立てることができる。ここで、組み合わされる二つの支持部材5をそれぞれ第1支持部材51(一方の支持部材)、第2支持部材52(他方の支持部材)として説明する。まず、第1と第2の支持部材51,52を接続部8同士が対向するように配置する(
図4参照)。第1支持部材51を、第2支持部材52に対し傾斜する角度になるように向きを変えた状態で、第1支持部材51の先端連結部24を、第2支持部材52の接続部8の枠内にはめ込む。このとき、第1支持部材51の係合部(突出部26及び凹部27)が第2支持部材52のスライド部30に案内されるように、第1支持部材51の先端連結部24を窪み部29に向かって移動させる(
図5参照)。第1支持部材51の凹部27を窪み部29に係合させる。突出部26及び凹部27は、窪み部29によって係止される。接続された第1支持部材51と第2支持部材52が、直線上に並ぶように向きを整える。これらの支持部材51,52は、互いの接続部8が厚さ方向に重なった状態で接続される(
図6参照)。
【0030】
接続された状態の二つの支持部材51,52を、接続部8を中心にして湾曲させる(
図7参照)。アーチ状に変形した支持部材51,52の差込み部16を植木鉢の用土に差し込み、植物用支持具1として設置する(
図8参照)。取り外すときは、植木鉢から支持部材51,52を抜き取った後、湾曲した状態から元の平面状にして、接続部8の係合状態を解除する。
【0031】
<実施形態の効果>
上記実施形態に係る植物用支持具1は、二つの樹脂製の支持部材5を組み合わせることで構成される。支持部材5は、2本の支柱部6と複数の支柱連結部7を有しており、梯子状に形成されている。このうち一方の支持部材5の係合部(例えば突出部26及び凹部27)を、他方の支持部材5の窪み部29に係合させることにより、支持部材5の一端部に設けられた接続部8同士が接続され、連続した梯子状の植物用支持具1を組立てることができる。接続された二つの支持部材5は、支柱部6の接続部8側(一端部側)において可撓性を有しているため、接続部8を中心に湾曲し、容易にアーチ形状に変形し得る。また、湾曲した状態の二つの支持部材5における接続部8は、支持部材5の長手方向への係合部の移動が係止される。よって、計4本の支柱部6の他端部側を用土等に差し込んだ状態において、二つの支持部材5の接続部8同士が外れにくくなり、接続状態が安定して維持され得る。したがって、容易に二つの支持部材5をアーチ形状に組立てできると共に、アーチ形状に組立てられた植物用支持具1を安定して植木鉢等に設置できる。また、湾曲の程度を変更することで、支柱部6の差込みの位置を任意に設定することができるため、植木鉢等の大きさに応じてアーチ形状を変更して使用できる。
【0032】
植物用支持具1は、支持部材5における接続部8が、幅方向に延在する先端連結部24(先端部)によって側縁部23が連結されており、枠状を呈している。係合部は、突出部26が接続部8の側縁部23より外側に突出しているため、一方の支持部材5を他方の支持部材5に対して斜めの角度になるように接続部8同士を対向させてから、一方の支持部材5の係合部を他方の支持部材5の接続部8の枠内にはめ込むことで、二つの支持部材5を接続できる。したがって、容易に二つの支持部材5をアーチ形状に組立てできる。また、これらの支持部材5が接続された状態では、窪み部29に凹部27が係合すると共に、突出部26が側縁部23より外側に位置する。これにより、先端連結部24の厚さ方向と幅方向への移動が係止され、植物用支持具1の使用時における支持部材5の接続状態が安定して維持され得る。
【0033】
上記実施形態に係る支持部材5は、係合部(突出部26、凹部27)と係合する窪み部29が、支柱部6の一端部を連結する支柱連結部7と隣接する位置に設けられている。したがって、二つの支持部材5が接続された状態では、互いの接続部8の先端連結部24と支柱連結部7が厚さ方向に重なる。すなわち、枠状の接続部8同士が厚さ方向に重なるように面で接続される。二つの支持部材5をアーチ形状に湾曲させたとき、面で接続された接続部8が互いに作用することで、支持部材5の接続部8における接続状態がより安定すると共に、アーチ形状の見栄えが向上し得る。
【0034】
植物用支持具1は、二つの支持部材5を接続部8で接続するときに、一方の支持部材5の係合部が他方の支持部材5のスライド部30に案内されることで、支持部材5の接続をよりスムーズに行うことができる。
【0035】
二つの支持部材5はそれぞれ、接続部8に係合部(突出部26、凹部27)と係止部(窪み部29)が共に設けられている。これにより、同じ接続部8の構成を有する二つの支持部材5を接続部8で接続して、植物用支持具1を組立てできる。よって、接続部8の構成が異なる支持部材5を用意する必要がなくなり、利便性の向上を図ることができる。
【0036】
支持部材5の支柱部6は、他端部側の少なくとも一部の長さを占める領域において補強リブ18a,18bを有している。これにより、アーチ状に組立てられた支持部材5を設置したときに、補強リブ18a,18bを有する他端部側において支柱部6が折れ曲がりにくくなり、植物用支持具1全体を支持する強度の向上を図ることができる。また、アーチ形状が安定して維持され得る。
【0037】
植物用支持具1は、支持部材5の支柱連結部7が補強リブ20a,20bを有することで、支持部材5が幅方向に折れたり曲がったりする等の変形が生じにくくなり、アーチ形状が安定して維持され得る。
【0038】
植物用支持具1は、2本の支柱部6の接続側において補強リブ18a,18bを設けない部位を有している。これにより、製品をアーチ形状に湾曲させたときに変形部12に大きな力がかかることを抑制し得る。そのため、部材の破損や跡がつくような変形にはならず、耐久性を備えた植物用支持具1を構成することができ、より長く使用することができる。
【0039】
植物用支持具1は、二つの支持部材5を接続させて、接続部8を中心に湾曲させることでアーチ形状に組立てる構成とされている。したがって、一つの長い部材を湾曲させて変形させる場合に比べて、アーチ形状に組立てたときに接続部8や変形部12にかかる力を抑制でき、製品の耐久性向上を図り得る。
【0040】
植物用支持具1は、二つの支持部材5を使用した接続式とすることで、一つの製品(支持部材5)の長さを通常の半分にすることができる。すなわち、部材の成形型の大きさをより小さくすることができるため、一製品あたりの製作費を削減し、より低コストでの供給が可能となり得る。さらに、同じ構成を有する一種類の支持部材5を接続して使用する構成とすることで、異なる二種類の支持部材5を接続する場合に比べて、さらに製作費の削減を図ることができる。また、支持部材5は、組立て前は平面状であるため、すでにアーチ状に成形された製品に比べて嵩張りが抑えられ、よりコンパクトに収納し得る。よって、必要な梱包スペースが抑えられ、その分多くの製品を梱包することができ、輸送コストの軽減を図り得る。
【0041】
支持部材5は、裏面5b側において突条リブ上に十字リブ19,21が形成されている。十字リブ19,21が設けられた部位は、容易には曲がらないため、アーチ形状を作るための支柱の代わりとして機能し得る。したがって、補強リブ18a,18b,20a,20bを設けた領域の強度の向上を図ることができる。さらに、アーチ形状の植物用支持具1を用土等に差し込むときにおいても、支柱の代わりとして機能し得る。
【0042】
植物用支持具1は、樹脂製の支持部材5から構成されているため、植物の傷や病気の要因となり得るささくれ等が発生せず、組立て作業をする作業者の安全性も向上し得る。また、支持部材5が柔軟性を有することで、植木鉢の大きさを選ばずにアーチ形状を作ることができる。
【0043】
植物用支持具1は、支持部材5がポリプロピレン等の樹脂製であるため、部材の色も用いる材料によって任意に変更し得る。また、分別も容易であり、リサイクル可能に構成し得る。
【0044】
本発明に係る植物用支持具は、上記実施形態において説明した外観、構成等に限られず、本発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更、追加、削除、構成の組み合わせにより、その他各種の形態で実施できるものである。
【0045】
本発明に係る植物用支持具は、上記実施形態で例示した植木鉢に限られず、様々な大きさや種類の植木鉢、又はプランター等に使用されるものが含まれ、支持部材の幅や長さも適宜変更できる。また、植物用支持具は、地面に直接設置するものも含まれる。
【0046】
支持部材における、支柱連結部及び接続部等は、それぞれ帯板状に限られず、例えば棒状に形成された構成であっても良い。また、支柱部は、部位によって帯板状と棒状の領域が設けられた構成としても良い。
【0047】
植物用支持具は、同一の構成を有する支持部材を二つ組み合わせた態様に限られず、例えば、接合部の構成が異なる支持部材を組み合わせた態様であっても良い。
【符号の説明】
【0048】
1 植物用支持具
5 支持部材
5a 表面
5b 裏面
6 支柱部
7 支柱連結部
8 接続部
12 変形部
14 補強部
16 差込み部
18a,18b 補強リブ
19 十字リブ
20a,20b 補強リブ
21 十字リブ
23 側縁部
24 先端連結部(先端部)
26 突出部(係合部)
27 凹部(係合部)
29 窪み部(係止部)
30 スライド部
【要約】
【課題】植木鉢等の大きさに柔軟に対応し得ると共に、容易にアーチ形状に組立てて使用できる植物用支持具を提供する。
【解決手段】植物用支持具1は、樹脂製の支持部材5を二つ組合わせて構成される。支持部材5は、互いに離間しかつ並行して棒状または帯板状に延在し、一端部側の少なくとも一部の長さを占める領域に可撓性を有する2本の支柱部6と、2本の支柱部6を連結する複数の支柱連結部7と、2本の支柱部6の一端部に設けられた接続部8とを備える。少なくとも一方の支持部材5は、接続部8に係合部26,27を有し、他方の支持部材5は、接続部8に係止部29を有する。二つの支持部材5は、互いの接続部8が対向しかつ係合部26,27が係止部29と係合することで接続され、接続された状態で互いの2本の支柱部6が対向するように接続部8を中心に湾曲形状に変形可能であり、湾曲した状態では係止部29によって係合部26,27が係止される。
【選択図】
図8