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特許7520435物品吸着装置及びその物品吸着装置を備えた物品処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】物品吸着装置及びその物品吸着装置を備えた物品処理装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240716BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B25J15/06 A
B25J19/00 C
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023550188
(86)(22)【出願日】2023-04-17
(86)【国際出願番号】 JP2023015340
【審査請求日】2023-08-21
(73)【特許権者】
【識別番号】506329292
【氏名又は名称】スターテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134326
【弁理士】
【氏名又は名称】吉本 聡
(72)【発明者】
【氏名】菱川 辰巳
【審査官】國武 史帆
(56)【参考文献】
【文献】実開平03-036785(JP,U)
【文献】特開昭62-034794(JP,A)
【文献】特開2010-018923(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0338755(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
B65H 5/08 - 5/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部と、
その固定部に対して変位可能な可動部と、
その可動部に接続され、物品を吸着するための吸着部と、
前記固定部に配置され、前記可動部を所定方向に押圧する押圧部と、
を備え、
前記可動部は、前記可動部に対して前記吸着部が接続された方向に交差する面上を、前記固定部に対して変位自在であって、
前記固定部に形成された複数の第1の孔部に対応して設けられ、前記第1の孔部の内径よりも大きな外径の複数の蓋部材と、
その各蓋部材に接続され、前記各第1の孔部を貫通し、前記第1の孔部の内径よりも小さな外径の複数の支柱と、
によって接続されていることを特徴とする物品吸着装置。
【請求項2】
多関節ロボットと、
その多関節ロボットの先端に接続された物品吸着ユニットと、
を備え、
前記物品吸着ユニットは、
固定部と、
その固定部に対して変位可能な可動部と、
その可動部に接続され、物品を吸着するための吸着部と、
前記固定部に配置され、前記可動部を所定の方向に押圧する押圧部と、
を備え、
前記可動部は、前記可動部に対して前記吸着部が接続された方向に交差する面上を、前記固定部に対して変位自在であって、
前記固定部に形成された複数の第1の孔部に対応して設けられ、前記第1の孔部の内径よりも大きな外径の複数の蓋部材と、
その各蓋部材に接続され、前記各第1の孔部を貫通し、前記第1の孔部の内径よりも小さな外径の複数の支柱と、
によって接続されていることを特徴とする物品吸着装置。
【請求項3】
前記可動部は、前記押圧部が前記可動部を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする請求項1に記載の物品吸着装置。
【請求項4】
前記可動部は、前記押圧部が前記可動部を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする請求項2に記載の物品吸着装置。
【請求項5】
前記可動部は、前記押圧部が前記可動部の1点を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする請求項1に記載の物品吸着装置。
【請求項6】
前記可動部は、前記押圧部が前記可動部の1点を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする請求項2に記載の物品吸着装置。
【請求項7】
前記可動部は、前記押圧部が前記可動部の1点を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする請求項3に記載の物品吸着装置。
【請求項8】
前記可動部は、前記押圧部が前記可動部の1点を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする請求項4に記載の物品吸着装置。
【請求項9】
記吸着部は、前記可動部が前記固定部に対して固定された状態で、前記物品を吸着し、前記押圧部は、前記可動部が前記固定部に対して変位可能な状態で、前記可動部が回転可能に移動するように前記可動部を前記所定の方向に押圧するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の物品吸着装置。
【請求項10】
記吸着部は、前記可動部が前記固定部に対して固定された状態で、前記物品を吸着し、前記押圧部は、前記可動部が前記固定部に対して変位可能な状態で、前記可動部が回転可能に移動するように前記可動部を前記所定の方向に押圧するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の物品吸着装置。
【請求項11】
記吸着部は、前記可動部が前記固定部に対して固定された状態で、前記物品を吸着し、前記押圧部は、前記可動部が前記固定部に対して変位可能な状態で、前記可動部が回転可能に移動するように前記可動部を前記所定の方向に押圧するように構成されていることを特徴とする請求項3に記載の物品吸着装置。
【請求項12】
記吸着部は、前記可動部が前記固定部に対して固定された状態で、前記物品を吸着し、前記押圧部は、前記可動部が前記固定部に対して変位可能な状態で、前記可動部が回転可能に移動するように前記可動部を前記所定の方向に押圧するように構成されていることを特徴とする請求項4に記載の物品吸着装置。
【請求項13】
前記可動部と前記吸着部との間にスペーサーを備え、
前記吸着部は、前記スペーサーに対して、前記スペーサーが前記可動部に対して位置する方向に交差する第1の方向に離間して配置されており、
前記吸着部へエアを供給する供給孔は、前記可動部、前記スペーサー及び前記吸着部によって形成された空隙部に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の物品吸着装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13の何れかに記載の物品吸着装置と、
その物品吸着装置によって吸着された物品を載置する載置部と、
その載置部近傍に配置され、前記物品吸着装置によって吸着された物
品の端部を当接させるための基準部と、
その基準部に端部を当接させた前記物品を搬送し、前記物品の端部を
処理する端部処理部と、
を備えたことを特徴とする物品処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、後工程の装置の載置部に物品をセットするために、その物品を吸着する物品吸着装置、及びその物品吸着装置を備え、物品の端部を処理する物品処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、物品を吸着し、移載する装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、ロボット20のロボットアーム23の先端に接続された吸着部32と、その吸着部32によって、パレットPの載置面Paに載置された物品Wを吸着し、荷取位置から荷置位置まで移送する物品移載装置10が記載されていると認められる(図1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2022-092793号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のロボット20は、吸着部32が傾斜するため、パレットPの載置面Paに載置された物品Wが傾斜している場合においても、物品Wを確実に吸着することができるものの、当該装置を前工程に使用する場合には、後工程の装置の荷置位置に物品Wを正確にセットすることができないという問題があった。
【0006】
また、前工程の装置と後工程の装置との間での物品の受け渡し時には、前工程の装置と後工程の装置との位置関係、ロボットの動作精度、物品の吸着位置精度等によって、最終的に物品の受け渡し位置を微妙に調整する必要があることが一般的である。
【0007】
本発明は、従来技術が有する上述した問題に対応してなされたものであり、吸着部によって吸着した物品の端部を基準面に向かって押圧する際に、物品の端部を基準面に容易に倣わせることができ、前工程の装置から後工程の装置への物品の受け渡しを容易にした物品吸着装置及びその物品吸着装置を備えた物品処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決するために、本発明の第1の態様の物品吸着装置は、固定部と、その固定部に対して変位可能な可動部と、その可動部に接続され、物品を吸着するための吸着部と、前記固定部に配置され、前記可動部を所定方向に押圧する押圧部と、を備え、前記可動部は、前記可動部に対して前記吸着部が接続された方向に交差する面上を、前記固定部に対して変位自在であって、前記固定部に形成された複数の第1の孔部に対応して設けられ、前記第1の孔部の内径よりも大きな外径の複数の蓋部材と、その各蓋部材に接続され、前記各第1の孔部を貫通し、前記第1の孔部の内径よりも小さな外径の複数の支柱と、によって接続されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の第2の態様の物品吸着装置は、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続された物品吸着ユニットと、を備え、前記物品吸着ユニットは、固定部と、その固定部に対して変位可能な可動部と、その可動部に接続され、物品を吸着するための吸着部と、前記固定部に配置され、前記可動部を所定の方向に押圧する押圧部と、を備え、前記可動部は、前記可動部に対して前記吸着部が接続された方向に交差する面上を、前記固定部に対して変位自在であって、前記固定部に形成された複数の第1の孔部に対応して設けられ、前記第1の孔部の内径よりも大きな外径の複数の蓋部材と、その各蓋部材に接続され、前記各第1の孔部を貫通し、前記第1の孔部の内径よりも小さな外径の複数の支柱と、によって接続されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の第3の態様は、第1の態様の物品吸着装置において、前記可動部は、前記押圧部が前記可動部を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の第4の態様は、第2の態様の物品吸着装置において、前記可動部は、前記押圧部が前記可動部を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の第5の態様は、第1の態様の物品吸着装置において、前記可動部は、前記押圧部前記可動部の1点を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の第6の態様は、第2の態様の物品吸着装置において、前記可動部は、前記押圧部前記可動部の1点を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の第7の態様は、第3の態様の物品吸着装置において、前記可動部は、前記押圧部前記可動部の1点を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の第8の態様は、第4の態様の物品吸着装置において、前記可動部は、前記押圧部前記可動部の1点を前記所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の第9の態様は、第1の態様の物品吸着装置において、前記吸着部は、前記可動部が前記固定部に対して固定された状態で、前記物品を吸着し、前記押圧部は、前記可動部が前記固定部に対して変位可能な状態で、前記可動部が回転可能に移動するように前記可動部を前記所定の方向に押圧するように構成されていることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の第10の態様は、第2の態様の物品吸着装置において、前記吸着部は、前記可動部が前記固定部に対して固定された状態で、前記物品を吸着し、前記押圧部は、前記可動部が前記固定部に対して変位可能な状態で、前記可動部が回転可能に移動するように前記可動部を前記所定の方向に押圧するように構成されていることを特徴とする。
【0018】
また、本発明の第11の態様は、第3の態様の物品吸着装置において、前記吸着部は、前記可動部が前記固定部に対して固定された状態で、前記物品を吸着し、前記押圧部は、前記可動部が前記固定部に対して変位可能な状態で、前記可動部が回転可能に移動するように前記可動部を前記所定の方向に押圧するように構成されていることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の第12の態様は、第4の態様の物品吸着装置において、前記吸着部は、前記可動部が前記固定部に対して固定された状態で、前記物品を吸着し、前記押圧部は、前記可動部が前記固定部に対して変位可能な状態で、前記可動部が回転可能に移動するように前記可動部を前記所定の方向に押圧するように構成されていることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の第13の態様は、第1の態様の物品吸着装置において、前記可動部と前記吸着部との間にスペーサーを備え、前記吸着部は、前記スペーサーに対して、前記スペーサーが前記可動部に対して位置する方向に交差する第1の方向に離間して配置されており、前記吸着部へエアを供給する供給孔は、前記可動部、前記スペーサー及び前記吸着部によって形成された空隙部に配置されていることを特徴とする。
【0021】
さらに、本発明の第14の態様の物品処理装置は、第1の態様乃至第13の態様の何れかの物品吸着装置と、その物品吸着装置によって吸着された物品を載置する載置部と、その載置部近傍に配置され、前記物品吸着装置によって吸着された物品の端部を当接させるための基準部と、その基準部に端部を当接させた前記物品を搬送し、前記物品の端部を処理する端部処理部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の態様の物品吸着装置によれば、固定部と、その固定部に対して変位可能な可動部と、その可動部に接続され、物品を吸着するための吸着部と、固定部に配置され、可動部を所定方向に押圧する押圧部と、を備え、可動部は、可動部に対して吸着部が接続された方向に交差する面上を、固定部に対して変位自在であって、固定部に形成された複数の第1の孔部に対応して設けられ、第1の孔部の内径よりも大きな外径の複数の蓋部材と、その各蓋部材に接続され、前記各第1の孔部を貫通し、前記第1の孔部の内径よりも小さな外径の複数の支柱と、によって接続されているので、簡単な構成によって、可動部を固定部に対して変位自在とすることができ、吸着部によって吸着した物品の端部を基準面に向かって押圧する際に、可動部が自在に変位して、物品の端部を基準面に容易に倣わせることができる。
【0023】
また、本発明の第2の態様の物品吸着装置によれば、多関節ロボットと、その多関節ロボットの先端に接続された物品吸着ユニットと、を備え、物品吸着ユニットは、固定部と、その固定部に対して変位可能な可動部と、その可動部に接続され、物品を吸着するための吸着部と、固定部に配置され、可動部を所定の方向に押圧する押圧部と、を備え、可動部は、可動部に対して吸着部が接続された方向に交差する面上を、固定部に対して変位自在であって、固定部に形成された複数の第1の孔部に対応して設けられ、第1の孔部の内径よりも大きな外径の複数の蓋部材と、その各蓋部材に接続され、各第1の孔部を貫通し、第1の孔部の内径よりも小さな外径の複数の支柱と、によって接続されているので、簡単な構成によって、可動部を固定部に対して変位自在とすることができ、吸着部によって吸着した物品の端部を基準面に向かって押圧する際に、可動部が自在に変位して、物品の端部を基準面に容易に倣わせることができる。
【0024】
また、本発明の第3の態様によれば、第1の態様の物品吸着装置において、可動部は、押圧部が可動部を所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動するので、単な構成によって、可動部を固定部に対して変位自在とすることができる。
【0025】
また、本発明の第4の態様によれば、第2の態様の物品吸着装置において、可動部は、押圧部が可動部を所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動するので、単な構成によって、可動部を固定部に対して変位自在とすることができる。
【0026】
また、本発明の第5の態様によれば、第1の態様の物品吸着装置において、可動部は、押圧部可動部の1点を所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動するので、第1の態様の物品吸着装置の効果に加え、簡単な構成によって、可動部を基準面に沿わせることができる。
【0027】
また、本発明の第6の態様によれば、第2の態様の物品吸着装置において、可動部は、押圧部可動部の1点を所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動するので、第2の態様の物品吸着装置の効果に加え、簡単な構成によって、可動部を基準面に沿わせることができる。
【0028】
また、本発明の第7の態様によれば、第3の態様の物品吸着装置において、可動部は、押圧部可動部の1点を所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動するので、第3の態様の物品吸着装置の効果に加え、簡単な構成によって、可動部を基準面に沿わせることができる。
【0029】
また、本発明の第8の態様によれば、第4の態様の物品吸着装置において、可動部は、押圧部可動部の1点を所定の方向に押圧することによって、回転可能に移動するので、第4の態様の物品吸着装置の効果に加え、簡単な構成によって、可動部を基準面に沿わせることができる。
【0030】
また、本発明の第9の態様によれば、第1の態様の物品吸着装置において、吸着部は、可動部が固定部に対して固定された状態で、物品を吸着し、押圧部は、可動部が固定部に対して変位可能な状態で、可動部が回転可能に移動するように可動部を所定の方向に押圧するように構成されているので、第1の態様の物品吸着装置の効果に加え、物品を正確に吸着し、吸着部によって吸着した物品の端部を基準面に向かって押圧する際には、物品の端部を基準面に容易に倣わせることができる。
【0031】
また、本発明の第10の態様によれば、第2の態様の物品吸着装置において、吸着部は、可動部が固定部に対して固定された状態で、物品を吸着し、押圧部は、可動部が固定部に対して変位可能な状態で、可動部が回転可能に移動するように可動部を所定の方向に押圧するように構成されているので、第2の態様の物品吸着装置の効果に加え、物品を正確に吸着し、吸着部によって吸着した物品の端部を基準面に向かって押圧する際には、物品の端部を基準面に容易に倣わせることができる。
【0032】
また、本発明の第11の態様によれば、第3の態様の物品吸着装置において、吸着部は、可動部が固定部に対して固定された状態で、物品を吸着し、押圧部は、可動部が固定部に対して変位可能な状態で、可動部が回転可能に移動するように可動部を所定の方向に押圧するように構成されているので、第3の態様の物品吸着装置の効果に加え、物品を正確に吸着し、吸着部によって吸着した物品の端部を基準面に向かって押圧する際には、物品の端部を基準面に容易に倣わせることができる。
【0033】
また、本発明の第12の態様によれば、第4の態様の物品吸着装置において、吸着部は、可動部が固定部に対して固定された状態で、物品を吸着し、押圧部は、可動部が固定部に対して変位可能な状態で、可動部が回転可能に移動するように可動部を所定の方向に押圧するように構成されているので、第4の態様の物品吸着装置の効果に加え、物品を正確に吸着し、吸着部によって吸着した物品の端部を基準面に向かって押圧する際には、物品の端部を基準面に容易に倣わせることができる。
【0034】
また、本発明の第13の態様の物品吸着装置によれば、第1の態様の物品吸着装置において、可動部と吸着部との間にスペーサーを備え、吸着部は、スペーサーに対して、スペーサーが可動部に対して位置する方向に交差する第1の方向に離間して配置されており、吸着部へエアを供給する供給孔は、可動部、スペーサー及び吸着部によって形成された空隙部に配置されているので、可動部に接続される吸着部を増加させた場合においても、吸着部へのエアの供給が容易となり、物品吸着装置の性能を向上させることができる。
【0035】
さらに、本発明の第14の態様の物品処理装置によれば、第1の態様乃至第13の態様の何れかの物品吸着装置と、その物品吸着装置によって吸着された物品を載置する載置部と、その載置部近傍に配置され、物品吸着装置によって吸着された物品の端部を当接させるための基準部と、その基準部に端部を当接させた物品を搬送し、物品の端部を処理する端部処理部と、を備えているので、物品の端部を容易に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
図1】本発明の実施形態の物品処理装置の全体斜視図である。
図2】本実施形態の物品処理装置の平面図である。
図3】本実施形態の物品吸着装置の全体斜視図である。
図4】本実施形態の物品吸着装置の平面図である。
図5】本実施形態の物品吸着装置の正面図である。
図6図4のA-A断面図である。
図7】本実施形態の物品吸着装置の右側面図である。
図8】本実施形態の物品吸着装置の底面図である。
図9図4のB-B断面図である。
図10】本実施形態の物品処理装置のブロック図である。
図11】本実施形態の物品処理装置のメインコントローラのブロック図である。
図12】本実施形態の物品処理装置におけるメインプログラムのフローチャートである。
図13】本実施形態の物品処理装置において、物品吸着装置が物品を吸着して移送する第1段階の状態を示す図である。
図14】本実施形態の物品処理装置において、物品吸着装置が物品を吸着して移送する第2段階の状態を示す図である。
図15】本実施形態の物品処理装置において、物品吸着装置が物品を吸着して移送する第3段階の状態を示す図である。
図16図15の要部拡大図である。
図17】物品吸着装置の可動部が固定部に対してロックされた状態を示す、図4のC-C断面図である。
図18】物品吸着装置の可動部のロックが解除され、可動部が固定部に対して変位する前の状態を示す、図4のC-C断面図である。
図19】物品吸着装置の可動部が固定部に対して変位した後の状態を示す、図4のC-C断面図である。
図20】本実施形態の物品処理装置において、物品吸着装置が物品を吸着して移送した最終段階の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
【0038】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態の物品処理装置の全体斜視図であり、図2は、本実施形態の物品処理装置の平面図である。
【0039】
なお、本実施形態の物品処理装置1においては、移動可能な台車200に積層されたワークWを1枚ずつ取り出し、端部処理装置7に移送して、ワークWの端部(基準板18(本発明の「基準部」に相当)に対向する面)に縁取りテープを貼付する実施形態を例として説明するが、本発明の物品処理装置は、この例に限定して実施されるものではなく、ワークWの端部を処理するすべての形態に実施可能である。
【0040】
また、図1には、端部処理装置7におけるワークのセット状態例を示すために、本実施形態のワークWとはサイズの異なる2種類のワークW1及びワークW2を端部処理装置7の載置部17にセットした状態が示されている。
【0041】
図1及び図2に示すように、本実施形態の物品処理装置1は、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に回転可能に接続された物品吸着装置5(本発明の「物品吸着ユニット」に相当)と、多関節ロボット3及び物品吸着装置5によって移送された物品Wの端部(基準板18に対向する面)に縁取りテープを貼着する端部処理装置7と、を備える。
【0042】
多関節ロボット3は、移動可能な台車100に接続されており、ロボットコントローラ8(図10参照)からの指令によって動作する一般の6軸の多関節ロボットである。
【0043】
多関節ロボット3は、第1の基台31に対して、第2の基台35を旋回させるための第1回転軸33と、第2の基台35に対して下腕部(下アーム部)39を前後に回動させるための第2回転軸37と、下腕部39に対して中腕部(中アーム部)41を上下に回動させるための第3回転軸40と、中腕部41に対して上腕部(上アーム部)45を同軸に回転させるための第4回転軸43と、上腕部45に対して基部49を上下に回転させるための第5回転軸47と、基部49に対して物品吸着装置5を同軸に回転させるための第6回転軸51との6軸を備える。
【0044】
また、多関節ロボット3は、ケーブル(図示せず)によってロボットコントローラ8(図10参照)に電気的に接続されており、ロボットコントローラ8は、メインコントーラ6に電気的に接続されている(図10参照)。
【0045】
端部処理装置7(本発明の「端部処理部」に相当)は、前述のように、多関節ロボット3及び物品吸着装置5によって移送された物品Wの端部(基準板18に対向する面)に縁取りテープを貼付するものである。
【0046】
端部処理装置7は、端部(基準板18に対向する面)を処理するワークWを載置し移送するために、ワークWを支持する2本のレール部13(多関節ロボット3に近い側のレール部を13a、多関節ロボット3から遠い側のレール部を13bする)と、レール部13を支持する複数の脚部15と、レール部13の端部近傍に配置され、多関節ロボット3及び物品吸着装置5によって移送された物品Wを最初に載置する載置部17と、その載置部17に配置され、物品Wを移送するための複数の回転ローラ19と、レール部13に沿って+H方向に移送されるワークWの端部(基準板18に対向する面)に縁取りテープを貼付する貼付部11と、端部がレール部13の上部から突出し、かつ載置部17の一端から貼付部11の他端まで延在した、ワークWが移送される基準としての基準板18と、を備える。
【0047】
また、端部処理装置7は、電源4(図10参照)によって駆動され、載置部17に載置されたワークWは、回転ローラ19及び貼付部11内部に配置された回転ローラ(図示せず)によって、基準板18に沿って+H方向に移送され、ワークWの端部(基準板18に対向する面)に、縁取りテープが貼付される。
【0048】
また、移動可能な台車100には、メインコントローラ6及びロボットコントローラ8を収納する制御盤20と、エアコンプレッサー10が備えられ、端部処理装置7の近傍には、装置の操作者が指示するための操作パネル2が備えられている。
【0049】
図3は、本実施形態の物品吸着装置の全体斜視図であり、図4は、その物品吸着装置の平面図であり、図5は、その物品吸着装置の正面図であり、図6は、図4のA-A断面図である。
【0050】
また、図7は、本実施形態の物品吸着装置の右側面図であり、図8は、その物品吸着装置の底面図であり、図9は、図4のB-B断面図である。
【0051】
本実施形態の物品吸着装置5は、前述の通り、多関節ロボット3の先端に回転可能に接続され、移動可能な台車200に積層されたワークWを1枚ずつ取り出すために、ワークWを吸着するものである。
【0052】
図3乃至図9に示すように、本実施形態の物品吸着装置5は、多関節ロボット3の先端に回転可能に接続された基部51と、その基部51に係合され、基部51に対して+Z方向または-Z方向に移動可能な固定部53と、その固定部53に係合され、固定部53に対して+X方向、-X方向、+Y方向及び-Y方向を含む平面上を変位自在な可動部55と、その可動部55に接続された9つの第1吸着部59a1、59a2及び59a3、第2吸着部59b1、59b2及び59b3、第3吸着部59c1、59c2及び59c3と、を備える。
【0053】
なお、固定部53は、自重で基部51に対して垂下した状態となっており、物品吸着装置5が物品Wを吸着するために降下し、第1吸着部59a1、59a2及び59a3、第2吸着部59b1、59b2及び59b3、並びに第3吸着部59c1、59c2及び59c3が物品Wに当接するときに、後述する4つの筒状部材67a、67b、67c及び67dの各々の内部に配置されたベアリングが回転することにより、柱状部材69a、69b、69c及び69dと共に、基部51に対して+Z方向または-Z方向に移動可能になっている(図17乃至図19参照)。
【0054】
また、本実施形態の物品吸着装置5は、固定部53に配置され、可動部55を+X方向に押し出すための可動部X方向スライド用シリンダ85(本発明の「押圧部」に相当)と、同じく固定部53に配置され、可動部55を+Y方向に押し出すための可動部Y方向スライド用シリンダ81(本発明の「押圧部」に相当)と、同じく固定部53に配置され、可動部55の位置を固定部53に対して固定するための可動部X方向固定用シリンダ79(本発明の「ロック機構」に相当)と、同じく固定部53に配置され、可動部55の位置を固定部53に対して固定するための可動部Y方向固定用シリンダ87(本発明の「ロック機構」に相当)と、を備える。
【0055】
基部51は、平面視略矩形状を呈し、矩形状の4つの角部近傍には、断面略円形の4つの孔部52a、52b、52c(図示せず)及び52d(図示せず)を有する(図6参照)。
【0056】
そして、それらの孔部52a、52b、52c(図示せず)及び52d(図示せず)の各々には、断面略円形の孔部56a、56b、56c(図示せず)及び56d(図示せず)を有し、上部が孔部52a、52b、52c(図示せず)及び52d(図示せず)の内径よりも拡径された筒状部材67a、67b、67c及び67dが挿入され、基部51に接続されている。
【0057】
また、筒状部材67a、67b、67c及び67dの各々の孔部56a、56b、56c(図示せず)及び56d(図示せず)には、固定部53に接続された柱状部材69a、69b、69c及び69d(図17参照)が、上述の通り、筒状部材67a、67b、67c及び67dに対して+Z方向または-Z方向に移動可能に挿入されている。
【0058】
また、柱状部材69b及び69d(図17参照)の上端には、柱状部材69b及び69d(図17参照)が孔部56b及び56d(図示せず)から離脱することを防止するために、孔部56b及び56d(図示せず)の内径よりも拡径されたストッパー54b及び54dが接続されている。
【0059】
固定部53は、平面視略矩形状を呈し、可動部55を+X方向に押し出すための可動部X方向スライド用シリンダ85と、可動部55を+Y方向に押し出すための可動部Y方向スライド用シリンダ81と、可動部55の位置を固定部53に対して固定するための可動部X方向固定用シリンダ79と、可動部55の位置を固定部53に対して固定するための可動部Y方向固定用シリンダ87と、柱状部材69a、69b、69c及び69d(図17参照)と、柱状部材69b及び69d(図17参照)の各々の下部が挿入される断面略円形の孔部を有する筒状部材71b及び71dと、を固定して配置している。
【0060】
また、固定部53は、可動部X方向スライド用シリンダ85及び可動部Y方向スライド用シリンダ81のそれぞれの当接部25(図17参照)等が当接する突出部27等と、可動部X方向固定用シリンダ79及び可動部Y方向固定用シリンダ87のそれぞれの当接部99(図17参照)等が挿入される、断面略円形のリング部材29(図17参照)等が勘合された2つの孔部と、矩形状の4つの角部近傍に、可動部55を移動可能に固定するための孔部72a(図示せず)、72b(図示せず)、72c(図示せず)及び72dと、を備える。
【0061】
可動部55は、平面視略矩形状を呈し、図9に示すように、4つの孔部72a(図示せず)、72b(図示せず)、72c(図示せず)及び72dに配置され、かつ4つの孔部72a(図示せず)、72b(図示せず)、72c(図示せず)及び72dの内径よりも大きな外径の円板部材73a、73b、73c及び73d(本発明の「蓋部材」に相当)によって、固定部53を挟んで変位自在(+X方向、-X方向、+Y方向及び-Y方向を含む平面上を自由にスライドする状態である)に接続されている。
【0062】
具体的には、可動部55は、円板部材73aにおいては、可動部55と固定部53との間に、中央に第2の孔部78a(図示せず)の空いた平板リング状の下スペーサー91aと、円板部材73aと固定部53との間に、中央に第3の孔部74a(図示せず)の空いた平板リング状の上スペーサー77aとを配置し、固定部55の第1の孔部72a(図示せず)、下スペーサー91aの第2の孔部78a(図示せず)及び上スペーサー77aの第3の孔部74a(図示せず)を貫通して、可動部55と円板部材73aの中央部とを、2本のボルト75aa及び75abを含む、第1の孔部72a(図示せず)、第2の孔部78a及び第3の孔部74aの内径よりも小さな外径の支柱76a(図示せず)によって接続することによって移動可能に接続されている。
【0063】
また、可動部55は、円板部材73bにおいては、可動部55と固定部53との間に、中央に第2の孔部78b(図示せず)の空いた平板リング状の下スペーサー91bと、円板部材73bと固定部53との間に、中央に第3の孔部74b(図示せず)の空いた平板リング状の上スペーサー77bとを配置し、固定部55の第1の孔部72b(図示せず)、下スペーサー91bの第2の孔部78b(図示せず)及び上スペーサー77bの第3の孔部74b(図示せず)を貫通して、可動部55と円板部材73bの中央部とを、2本のボルト75ba及び75bbを含む、第1の孔部72b(図示せず)、第2の孔部78b及び第3の孔部74bの内径よりも小さな外径の支柱76b(図示せず)によって接続することによって移動可能に接続されている。
【0064】
また、可動部55は、円板部材73cにおいては、可動部55と固定部53との間に、中央に第2の孔部78c(図示せず)の空いた平板リング状の下スペーサー91cと、円板部材73cと固定部53との間に、中央に第3の孔部74c(図示せず)の空いた平板リング状の上スペーサー77cとを配置し、固定部55の第1の孔部72c(図示せず)、下スペーサー91cの第2の孔部78c(図示せず)及び上スペーサー77cの第3の孔部74c(図示せず)を貫通して、可動部55と円板部材73cの中央部とを、2本のボルト75ca及び75cbを含む、第1の孔部72c(図示せず)、第2の孔部78c及び第3の孔部74cの内径よりも小さな外径の支柱76c(図示せず)によって接続することによって移動可能に接続されている。
【0065】
さらに、可動部55は、円板部材73dにおいては、可動部55と固定部53との間に、中央に第2の孔部78dの空いた平板リング状の下スペーサー91dと、円板部材73dと固定部53との間に、中央に第3の孔部74dの空いた平板リング状の上スペーサー77dとを配置し、固定部55の第1の孔部72d、下スペーサー91dの第2の孔部78d及び上スペーサー77dの第3の孔部74dを貫通して、可動部55と円板部材73dの中央部とを、2本のボルト75da及び75dbを含む、第1の孔部72d、第2の孔部78d及び第3の孔部74dの内径よりも小さな外径の支柱76dによって接続することによって移動可能に接続されている。
【0066】
したがって、可動部55は、固定部53に形成された4つの第1の孔部72a(図示せず)、72b(図示せず)、72c(図示せず)及び72dに対応して設けられ、第1の孔部72a(図示せず)、72b(図示せず)、72c(図示せず)及び72dの内径よりも大きな外径の4つの円板部材73a、73b、73c及び73dと、円板部材73a、73b、73c及び73dの各々に接続され、第1の孔部72a(図示せず)、72b(図示せず)、72c(図示せず)及び72dの各々を貫通し、第1の孔部72a(図示せず)、72b(図示せず)、72c(図示せず)及び72dの内径よりも小さな外径の複数の支柱76a(図示せず)、76b(図示せず)、76c(図示せず)及び76dと、によって接続されているので、簡単な構成によって、可動部55を固定部53に対して変位自在とすることができる。
【0067】
また、可動部55の下面には、縦断面略矩形状かつ+X及び-X方向に延びる長尺の3本のスペーサー57a、57b及び57cがそれぞれ離間して、略平行に配置され固定されている。
【0068】
具体的には、スペーサー57aは、ボルト83aa、83ab及び83acによって可動部55に接続されており、スペーサー57bは、ボルト83ba、83bb(図示せず)及び83bcによって可動部55に接続されており、スペーサー57cは、ボルト83ca、83cb(図示せず)及び83ccによって可動部55に接続されている。
【0069】
なお、本実施形態では、3つのスペーサー57a、57b及び57cに加えて、スペーサーを追加することを考慮し、可動部55には、ネジ孔93a、93b(図示せず)及び93cが設けられている。
【0070】
また、スペーサー57a、57b及び57cには、各々3つ計9つの第1吸着部59a1、59a2及び59a3、第2吸着部59b1、59b2及び59b3、並びに第3吸着部59c1、59c2及び59c3が、各々板材を介して接続されている。
【0071】
具体的には、第1吸着部59a1が板材63a1を介して、第1吸着部59a2が板材63a2を介して、第1吸着部59a3が板材63a3を介して、スペーサー57aに接続されており、第2吸着部59b1が板材63b1を介して、第2吸着部59b2が板材63b2を介して、第2吸着部59b3が板材63b3を介して、スペーサー57bに接続されており、第3吸着部59c1が板材63c1を介して、第3吸着部59c2が板材63c2を介して、第3吸着部59c3が板材63c3を介して、スペーサー57cに接続されている。
【0072】
ここで、本実施形態の吸着部を第1吸着部、第2吸着部及び第3吸着部と分けるのは、第1吸着部、第2吸着部及び第3吸着部は、エアコンプレッサー10からの吸引によって、各吸着部単位では個別に稼働するものの、第1吸着部、第2吸着部及び第3吸着部の各々に設定された3つの吸着部、例えば、第1吸着部59a1、59a2及び59a3は同時に稼働するためである。
【0073】
本実施形態に限らず、第1吸着部59a1、第1吸着部59a2、第1吸着部59a3、第1吸着部59b1、第1吸着部59b2、第1吸着部59b3、第1吸着部59c1、第1吸着部59c2及び第1吸着部59c3を各々個別に接続して、各々個別に稼働させることも当然可能である。
【0074】
なお、板材63a1は、2本のボルト65a1a及び65a1bによってスペーサー57aに接続され、板材63a2は、2本のボルト65a2a及び65a2bによってスペーサー57aに接続され、板材63a3は、2本のボルト65a3a及び65a3bによってスペーサー57aに接続されている。
【0075】
また、板材63b1は、2本のボルト65b1a及び65b1bによってスペーサー57bに接続され、板材63b2は、2本のボルト65b2a及び65b2bによってスペーサー57bに接続され、板材63b3は、2本のボルト65b3a及び65b3bによってスペーサー57bに接続されている。
【0076】
さらに、板材63c1は、2本のボルト65c1a及び65c1bによってスペーサー57cに接続され、板材63c2は、2本のボルト65c2a及び65c2bによってスペーサー57cに接続され、板材63c3は、2本のボルト65c3a及び65c3bによってスペーサー57cに接続されている。
【0077】
なお、第1吸着部59a1、59a2及び59a3、第2吸着部59b1、59b2及び59b3、並びに第3吸着部59c1、59c2及び59c3は、各々断面略円形、かつ裾拡がりの形態をなし、各吸着部の中央部には、吸引孔61a1、61a2、61a3、61b1、61b2、61b3、61c1、61c2及び61c3を備える。
【0078】
また、可動部55と第1吸着部59a1、59a2及び59a3との間には、スペーサー57aが備えられており、第1吸着部59a1、59a2及び59a3は、スペーサー57aに対して、スペーサー57aが可動部55に対して位置する方向(-Z方向)に交差する+Y方向(本発明の「第1の方向」に相当)に離間して配置されている。
【0079】
そして、エアコンプレッサー10から第1吸着部59a1、59a2及び59a3へエアを供給する供給孔89a1、89a2及び89a3は、可動部55、スペーサー57a及び第1吸着部59a1、59a2及び59a3によって形成された空隙部9a1、9a2(図17参照)及び9a3(図示せず)にそれぞれ配置されているので、可動部55に接続される吸着部を増加させた場合においても、吸着部へのエアの供給が容易となり、物品吸着装置5の性能を向上させることができる。
【0080】
また、可動部55と第2吸着部59b1、59b2及び59b3との間にも、スペーサー57bが備えられており、第2吸着部59b1、59b2及び59b3は、スペーサー57bに対して、スペーサー57bが可動部55に対して位置する方向(-Z方向)に交差する+Y方向(本発明の「第1の方向」に相当)に離間して配置されている。
【0081】
そして、エアコンプレッサー10から第2吸着部59b1、59b2及び59b3へエアを供給する供給孔89b1、89b2(図17参照)及び89b3(図9参照)は、可動部55、スペーサー57b及び第2吸着部59b1、59b2及び59b3によって形成された空隙部9b1、9b2(図17参照)及び9b3(図示せず)にそれぞれ配置されているので、可動部55に接続される吸着部を増加させた場合においても、吸着部へのエアの供給が容易となり、物品吸着装置5の性能を向上させることができる。
【0082】
さらに、可動部55と第3吸着部59c1、59c2及び59c3との間にも、スペーサー57cが備えられており、第3吸着部59c1、59c2及び59c3は、スペーサー57cに対して、スペーサー57cが可動部55に対して位置する方向(-Z方向)に交差する+Y方向(本発明の「第1の方向」に相当)に離間して配置されている。
【0083】
そして、エアコンプレッサー10から第3吸着部59c1、59c2及び59c3へエアを供給する供給孔89c1、89c2(図17参照)及び89c3(図示せず)は、可動部55、スペーサー57c及び第3吸着部59c1、59c2及び59c3によって形成された空隙部9c1、9c2(図17参照)及び9c3(図示せず)にそれぞれ配置されているので、可動部55に接続される吸着部を増加させた場合においても、吸着部へのエアの供給が容易となり、物品吸着装置5の性能を向上させることができる。
【0084】
可動部Y方向スライド用シリンダ81は、可動部55を+Y方向に押し出すために使用されるものであり、固定部53に配置され、後述する図17及び図19に示すように、空隙部22a及び22bを有するシリンダ本体21と、シリンダ本体21の空隙部22a及び22b内で動作するピストン23と、ピストン23の先端に接続された、先端球面形状かつ断面略円形の当接部25と、シリンダ本体21の空隙部22a及び22bにエアを供給するための第1供給部81a及び第2供給部81bと、を備える。
【0085】
可動部Y方向スライド用シリンダ81は、エアコンプレッサー10から第2供給部81bにエアが供給された場合には、空隙部22bが形成され(図17及び図18参照)、ピストン23及び当接部25は、可動部Y方向スライド用シリンダ81の先端から突出せず、可動部55の動きに影響することはない。
【0086】
一方、エアコンプレッサー10から第1供給部81aにエアが供給された場合には、空隙部22aが形成され(図19参照)、ピストン23及び当接部25は、可動部Y方向スライド用シリンダ81の先端から突出し、突出部27に1点で当接して、固定部53に対して可動部55を回転可能に+Y方向の移動させることとなる。
【0087】
すなわち、当接部25は、前述の通り、先端球面形状かつ断面略円形であることから、可動部Y方向スライド用シリンダ81の先端から突出し、突出部27に当接した場合には、固定部53に対して変位自在な可動部55は、回転可能に+Y方向の移動することとなる。
【0088】
可動部X方向スライド用シリンダ85は、可動部55を+X方向に押し出すために使用されるものであり、固定部53に配置され、可動部Y方向スライド用シリンダ81と同様に、空隙部(図示せず)を有するシリンダ本体(図示せず)と、シリンダ本体(図示せず)の空隙部(図示せず)内で動作するピストン(図示せず)と、ピストン(図示せず)の先端に接続された、先端球面形状かつ断面略円形の当接部(図示せず)と、シリンダ本体(図示せず)の空隙部(図示せず)にエアを供給するための第1供給部85a及び第2供給部85bと、を備える。
【0089】
可動部X方向スライド用シリンダ85は、可動部Y方向スライド用シリンダ81と同様に、エアコンプレッサー10から第2供給部85bにエアが供給された場合には、ピストン(図示せず)及び当接部(図示せず)は、可動部X方向スライド用シリンダ85の先端から突出せず、可動部55の動きに影響することはない。
【0090】
一方、エアコンプレッサー10から第1供給部85aにエアが供給された場合には、ピストン(図示せず)及び当接部(図示せず)は、可動部X方向スライド用シリンダ85の先端から突出し、突出部(図示せず)に1点で当接して、固定部53に対して可動部55を回転可能に+X方向の移動させることとなる。
【0091】
この場合の当接部は、当接部25と同様に、先端球面形状かつ断面略円形であることから、可動部X方向スライド用シリンダ85の先端から突出し、突出部に当接した場合には、固定部53に対して変位自在な可動部55は、回転可能に+X方向の移動することとなる。
【0092】
可動部Y方向固定用シリンダ87は、可動部55の位置を固定部53に対して固定するために使用されるものであり、固定部53に配置され、後述する図17及び図19に示すように、空隙部95a及び95bを有するシリンダ本体93と、シリンダ本体93の空隙部95a及び95b内で動作するピストン97と、ピストン97の先端に接続された先端円錐状の当接部99と、シリンダ本体93の空隙部95a及び95bにエアを供給するための第1供給部87a及び第2供給部87bと、を備える。
【0093】
可動部Y方向固定用シリンダ87は、エアコンプレッサー10から第2供給部87bにエアが供給された場合には、ピストン97及び当接部99は、可動部Y方向固定用シリンダ87の先端から突出せず、可動部55は、固定部53に対して+X方向、-X方向、+Y方向及び-Y方向を含む平面上を変位自在となる(図18及び図19参照)。
【0094】
一方、エアコンプレッサー10から第1供給部87aにエアが供給された場合には、ピストン97及び当接部99は、可動部Y方向固定用シリンダ87の先端から突出した状態となり、可動部55は、固定部53に対して固定される(図17参照)。
【0095】
なお、ピストン97及び当接部99が、可動部Y方向固定用シリンダ87の先端から突出し、可動部55が固定部53に対して固定された場合には、支柱76a、76b、76c及び76dの各々は、固定部55の第1の孔部72a、72b、72c及び72dの断面中央に位置することとなる。
【0096】
可動部X方向固定用シリンダ79は、可動部55の位置を固定部53に対して固定するために使用されるものであり、固定部53に配置され、可動部Y方向固定用シリンダ87と同様に、空隙部(図示せず)を有するシリンダ本体(図示せず)と、シリンダ本体(図示せず)の空隙部(図示せず)内で動作するピストン(図示せず)と、ピストン(図示せず)の先端に接続された先端円錐状の当接部98(図7参照)と、シリンダ本体(図示せず)の空隙部(図示せず)にエアを供給するための第1供給部79a及び第2供給部79bと、を備える。
【0097】
可動部X方向固定用シリンダ79は、エアコンプレッサー10から第2供給部79bにエアが供給された場合には、ピストン(図示せず)及び当接部98は、可動部X方向固定用シリンダ79の先端から突出せず、可動部55は、固定部53に対して+X方向、-X方向、+Y方向及び-Y方向を含む平面上を変位自在となる。
【0098】
一方、エアコンプレッサー10から第1供給部79aにエアが供給された場合には、ピストン(図示せず)及び当接部98は、可動部X方向固定用シリンダ79の先端から突出した状態となり、可動部55は、固定部53に対して固定される。
【0099】
なお、この場合も、可動部Y方向固定用シリンダ87と同様に、ピストン及び当接部が、可動部X方向固定用シリンダ79の先端から突出し、可動部55が固定部53に対して固定された場合には、支柱76a、76b、76c及び76dの各々は、固定部55の第1の孔部72a、72b、72c及び72dの断面中央に位置することとなる。
【0100】
次に、本実施形態の物品処理装置1のブロック図について説明する。
【0101】
図10は、本実施形態の物品処理装置のブロック図であり、図11は、本実施形態の物品処理装置のメインコントローラのブロック図である。
【0102】
図10において、物品処理装置1は、電源4に電気的に接続されたメインコントローラ6と、そのメインコントローラ6に電気的に接続され、可動部X方向スライド用シリンダ85、可動部Y方向スライド用シリンダ81、可動部X方向固定用シリンダ79、可動部Y方向固定用シリンダ87、第1吸引部59a1、59a2及び59a3、第2吸引部59b1、59b2及び59b3、並びに第3吸引部59c1、59c2及び59c3を駆動するためのエアコンプレッサー10と、メインコントローラ6に電気的に接続され、多関節ロボット3を制御するためのロボットコントローラ8と、物品処理装置1の操作者が物品処理装置1に指令を送るための操作パネル2と、を備える。
【0103】
また、図11において、メインコントローラ6は、CPU(中央演算処理装置)12と、そのCPU12に入出力可能に接続されたRAM(Random Access Memory)14と、CPU12に入出力可能に接続されたROM(Read Only Memory)16とを備える。
【0104】
RAM14は、物品処理装置1が処理する物品の情報を記憶した物品情報テーブル14aと、物品処理装置1の動作手順を記憶した動作手順データテーブル14bとを備える。
【0105】
また、ROM16は、本実施形態の物品処理装置1全体の動作を司るメインプログラム16aを備える。
【0106】
次に、上述した構成の物品処理装置1の動作について説明する。
【0107】
図12は、本実施形態の物品処理装置におけるメインプログラムのフローチャートである。
【0108】
本実施形態の物品処理装置1は、上述した通り、移動可能な台車200に積層されたワークWを1枚ずつ取り出し、端部処理装置7(本発明の「端部処理部」に相当)に移送して、ワークWの端部(基準板18に対向する面)に縁取りテープを貼付するものである。
【0109】
図12において、先ず、装置の操作者が電源スイッチを入れた後、操作パネル2上の操作ボタンによって物品Wの処理個数、物品Wの種類を入力してスタートボタンを押下すると、物品処理装置1は、多関節ロボット3のアームを初期位置に移動させ(S1)、入力された物品Wの種類に基づいて物品情報を物品情報テーブル14aから取得し(S3)、物品Wの処理個数をセットする(S5)。
【0110】
そして、可動部X方向スライド用シリンダ85及び可動部Y方向スライド用シリンダ81をOFFした後(S7)、可動部X方向固定用シリンダ79及び可動部Y方向固定用シリンダ87をONして、可動部55を固定部53に固定する(S9)。
【0111】
なお、図17は、物品吸着装置5の可動部55が固定部53に対してロックされた状態を示す、図4のC-C断面図である。
【0112】
ここで、可動部X方向固定用シリンダ79または可動部Y方向固定用シリンダ87の何れかの当接部98または99が可動部55のリング部材29等を勘合した孔部に挿入されると、可動部55と円板部材73a、73b、73c及び73dのそれぞれの中央部とを接続した2本のボルトを含む接続部は、固定部53の矩形状の4つの角部近傍に備えられた孔部72a(図示せず)、72b(図示せず)、72c(図示せず)及び72dの断面中心に位置することとなる。
【0113】
その後、多関節ロボット3及び物品吸着装置5を駆動して、移動可能な台車200に積層されたワークWを1枚吸着し(S11)、端部処理装置7の基準板18近傍まで移動させる(S13)。
【0114】
なお、図13は、本実施形態の物品処理装置1において、物品吸着装置5が物品Wを吸着して移送する第1段階の状態を示す図であり、図14は、その後、多関節ロボット3を+θ方向に回転させ、物品Wが端部処理装置7の載置部17に対向した第2段階の状態を示す図であり、図15は、 その後、多関節ロボット3をさらに+V方向に移動させて、物品Wが端部処理装置7の基準板18に近づいた第3段階の状態を示す図であり、図16は、図15の要部拡大図である。
【0115】
図16において、物品Wは、その左端が基準板18から距離Y2離間しており、物品Wの右端が基準板18から距離Y1離間しており、物品Wの基準板18に対する傾斜角がθ1である。
【0116】
そして、可動部X方向固定用シリンダ79及び可動部Y方向固定用シリンダ87をOFF、すなわち、可動部X方向固定用シリンダ79及び可動部Y方向固定用シリンダ87の当接部98または99)を可動部55のリング部材29等を勘合した孔部から上方に離間させ、可動部55を固定部53に対して変位自在にする(S15)。
【0117】
なお、図18は、物品吸着装置5の可動部55のロックが解除され、可動部55が固定部53に対して変位する前の状態を示す、図4のC-C断面図である。
【0118】
そして、可動部Y方向スライド用シリンダ81をON、すなわち、可動部Y方向スライド用シリンダ81の当接部25を可動部55の突出部27に当接させ、押し込んで、可動部55を回転可能に+Y方向に移動させる(S17)。
【0119】
そうすることによって、物品Wは、物品吸着装置5に吸着されたまま、物品Wの端部が基準板18に沿った状態となる。
【0120】
なお、図19は、物品吸着装置5の可動部55が固定部53に対して変位した後の状態を示す、図4のC-C断面図であり、図20は、物品吸着装置5が物品Wを吸着して移送した最終段階の状態を示す図である。
【0121】
そして、物品処理装置1の物品吸着装置5は、物品Wを基準板18に沿わせた状態で離脱し(S19)、その後、物品Wは、端部処理装置7によって、その端部に縁取りテープが貼着されることとなる。
【0122】
メインプログラムに戻ると、物品処理装置1の処理個数が操作者によって入力された処理個数に達したか否かが判断され(S21)、物品処理装置1の処理個数が操作者によって入力された処理個数に達していない場合には(S21:No)、当該処理個数に達するまで、S7乃至S19の処理が繰り返され、物品処理装置1の処理個数が操作者によって入力された処理個数に達している場合には(S21:Yes)、処理を終了する(S23)。
【0123】
本実施形態の物品吸着装置5によれば、固定部53と、その固定部53に対して変位可能な可動部55と、その可動部55に接続され、物品Wを吸着するための吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3と、を備え、可動部55は、可動部55に対して吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3が接続された方向に交差する面上を、固定部53に対して変位自在であって、固定部53は、可動部55を所定の方向に押圧する可動部スライド用シリンダ81及び85を備えているので、吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3によって吸着した物品Wの端部を基準板18に向かって押圧する際に、可動部55が自在に変位して、物品Wの端部を基準板18に容易に倣わせることができる。
【0124】
また、物品吸着装置5によれば、多関節ロボット3と、その多関節ロボット3の先端に接続された物品吸着ユニット5と、を備え、物品吸着ユニット5は、固定部53と、その固定部53に対して変位可能な可動部55と、その可動部55に接続され、物品Wを吸着するための吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3と、を備え、可動部53は、可動部53に対して吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3と、が接続された方向に交差する面上を、固定部53に対して変位自在であって、固定部53は、可動部55を所定の方向に押圧する可動部スライド用シリンダ81及び85を備えているので、吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3によって吸着した物品Wの端部を基準板18に向かって押圧する際に、可動部55が自在に変位して、物品Wの端部を基準板18に容易に倣わせることができる。
【0125】
また、物品吸着装置5によれば、可動部55は、固定部53に形成された4つの第1の孔部72a、72b、72c及び72dに対応して設けられ、第1の孔部72a、72b、72c及び72dの内径よりも大きな外径の4つの円板部材73a、73b、73c及び73dと、円板部材73a、73b、73c及び73dの各々に接続され、第1の孔部72a、72b、72c及び72dの各々を貫通し、第1の孔部72a、72b、72c及び72dの内径よりも小さな外径の4つの支柱76a、76b、76c及び76dと、によって接続されているので、第1の態様の物品吸着装置の効果に加え、簡単な構成によって、可動部を固定部に対して変位自在とすることができる。
【0126】
また、物品吸着装置5によれば、可動部スライド用シリンダ81及び85は、可動部55の1点を押圧するので、簡単な構成によって、可動部55を基準板18に沿わせることができる。
【0127】
また、物品吸着装置5によれば、可動部55を固定部53に対して固定する可動部X方向固定用シリンダ79または可動部Y方向固定用シリンダ87を備えているので、物品Wを吸着する際には、物品Wを正確に吸着することができる。
【0128】
また、物品吸着装置5によれば、可動部55と吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2または59c3との間にスペーサー57a、57bまたは57cを備え、吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2または59c3は、スペーサー57a、57bまたは57cに対して、スペーサー57a、57bまたは57cが可動部55に対して位置する-Z方向に交差する+Y方向に離間して配置されており、吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2または59c3へエアを供給する供給孔89a1、89a2、89a3、89b1、89b2、89b3、89c1、89c2及び89c3は、可動部55、スペーサー57a、57bまたは57c及び吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2または59c3によって形成された空隙部9a1、9a2、9a3、9b1、9b2、9b3、9c1、9c2または9c3に配置されているので、可動部に接続される吸着部を増加させた場合においても、吸着部へのエアの供給が容易となり、物品吸着装置の性能を向上させることができる。
【0129】
さらに、物品処理装置1によれば、物品吸着装置5と、その物品吸着装置5によって吸着された物品Wを載置する載置部17と、その載置部17近傍に配置され、物品吸着装置5によって吸着された物品Wの端部を当接させるための基準板18と、載置部17及び基準板18に沿って物品Wを搬送し、物品Wの端部を処理する端部処理装置7と、を備えているので、物品Wの端部を容易に処理することができる。
【0130】
以上、本発明の実施形態における物品処理装置1について説明してきたが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更して実施することが可能である。
【0131】
例えば、上述の実施形態においては、可動部55は、固定部53に形成された4つの第1の孔部72a、72b、72c及び72dを介して、4つの円板部材73a、73b、73c及び73dと、4つの支柱76a、76b、76c及び76dと、によって接続されるように説明してきたが、固定部53に形成される第1の孔部の数、円板部材の数及び支柱の数は、4つに限られるものではなく、それぞれ2つ以上であれば良い。
【0132】
また、上述の実施形態においては、可動部55に対して吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3が接続された方向を、-Z方向とし、その方向に交差する面を、+X方向、-X方向、+Y方向及び-Y方向を含む平面として説明してきたが、可動部55に対して吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3が接続された方向は、物品吸着装置5に支障がない範囲で3次元空間上何れの方向であっても良く、また、その方向に交差する面は、可動部55の動作に支障がない範囲で傾斜した平面であっても良い。
【0133】
また、上述の実施形態において、可動部スライド用シリンダ81及び85は、簡単な構成によって、可動部55の1点を押圧するものとして説明してきたが、物品Wの端面を基準板18に沿うように押圧するものであれば、特に、可動部55の1点のみを押圧するものでなくても良い。
【符号の説明】
【0134】
1・・・物品処理装置
2・・・操作パネル
3・・・多関節ロボット
5・・・物品吸着装置
6・・・メインコントローラ
7・・・端部処理装置
8・・・ロボットコントローラ
10・・・エアコンプレッサー
17・・・載置部
18・・・基準板
20・・・制御盤
53・・・固定部
55・・・可動部
59a1,59a2,59a3・・・第1吸引部
59b1,59b2,59b3・・・第2吸引部
59c1,59c2,59c3・・・第3吸引部
73a,73b,73c,73d・・・円板部材
79・・・可動部X方向固定用シリンダ
81・・・可動部Y方向スライド用シリンダ
85・・・可動部Y方向スライド用シリンダ
87・・・可動部Y方向固定用シリンダ
100,200・・・台車
W,W1,W2・・・物品
【要約】
【課題】 吸着部によって吸着した物品の端部を基準面に向かって押圧する際に、可動部が適度に回転して、物品の端部を基準面に容易に倣わせることができ、前工程の装置から後工程の装置への物品の受け渡しを容易にした物品吸着装置及びその物品吸着装置を備えた物品処理装置を提供する。
【解決手段】 物品吸着装置5は、固定部53と、その固定部53に対して変位可能な可動部55と、その可動部55に接続され、物品Wを吸着するための吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3と、を備え、可動部55は、可動部55に対して吸着部59a1、59a2、59a3、59b1、59b2、59b3、59c1、59c2及び59c3が接続された-Z方向に交差する第1の方向に、固定部53に対して変位可能であって、固定部53は、可動部55を第1の方向に回転可能に押圧する可動部スライド用シリンダ81及び85を備える。
【選択図】 図3
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20