(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】電池ケース分析装置
(51)【国際特許分類】
G01M 3/26 20060101AFI20240716BHJP
H01M 50/10 20210101ALI20240716BHJP
H01M 50/105 20210101ALN20240716BHJP
【FI】
G01M3/26 P
H01M50/10
H01M50/105
(21)【出願番号】P 2023530050
(86)(22)【出願日】2022-07-26
(86)【国際出願番号】 KR2022010954
(87)【国際公開番号】W WO2023008874
(87)【国際公開日】2023-02-02
【審査請求日】2023-05-17
(31)【優先権主張番号】10-2021-0100278
(32)【優先日】2021-07-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】521065355
【氏名又は名称】エルジー エナジー ソリューション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】クワァンヨン・パク
(72)【発明者】
【氏名】ナク・ヒ・チェ
(72)【発明者】
【氏名】ビョンス・イ
【審査官】佐々木 崇
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2021/0172827(US,A1)
【文献】特許第3996002(JP,B2)
【文献】特開2019-039772(JP,A)
【文献】米国特許第05327784(US,A)
【文献】中国実用新案第210893580(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 3/00- 3/ 40
H01M50/00-50/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池ケースの上側面に形成された注入ホールを覆い、前記電池ケースの上側面に下側面が密着され、内部にガス注入流路及び真空形成流路が形成されるシーリング部と、
前記シーリング部の上側面に形成された前記ガス注入流路の入口に連結されるガス注入ラインと、
前記シーリング部の上側面に形成された前記真空形成流路の出口に連結される真空形成ラインと、
前記ガス注入ラインを通じて前記電池ケースの内部にガスを注入するガス供給部と、
前記真空形成ラインに連結されて前記シーリング部の前記下側面に形成された真空形成溝に真空を形成する真空ポンプと、
を含
み、
前記電池ケースの上側面に密着される上部ジグと、
前記電池ケースの下側面に密着される下部ジグと、
前記上部ジグと前記下部ジグとの相対的な位置を固定する固定部と、をさらに含み、
前記上部ジグには、前記上部ジグを上下方向に貫通する挿入ホールが形成され、
前記挿入ホールには、前記シーリング部が挿入される、電池ケース分析装置。
【請求項2】
前記シーリング部の下側面には、
前記注入ホールと対面する前記ガス注入流路の出口と、
前記注入ホール及び前記ガス注入流路の出口の直径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、第1シーリング部材が挿入される第1シーリング溝と、
前記第1シーリング溝の外径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、前記真空形成流路の入口が連結される前記真空形成溝と、
前記真空形成溝の外径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、第2シーリング部材が挿入される第2シーリング溝と、が形成される、請求項1に記載の電池ケース分析装置。
【請求項3】
前記第1シーリング部材及び前記第2シーリング部材は、Oリングである、請求項2に記載の電池ケース分析装置。
【請求項4】
前記上部ジグの上側面には、前記挿入ホールを一部覆い、下側面の一部が前記シーリング部の上側面の一部と対面するフランジ部が装着される、請求項
1に記載の電池ケース分析装置。
【請求項5】
前記フランジ部の下側面と前記シーリング部の上側面は、上下方向に一定距離離隔する、請求項
4に記載の電池ケース分析装置。
【請求項6】
前記ガス注入ラインには、圧力ゲージが設けられ、
前記圧力ゲージは、前記電池ケースの内部圧力を測定する、請求項
5に記載の電池ケース分析装置。
【請求項7】
前記圧力ゲージで測定される圧力値が、設定圧力値以上である時、前記真空ポンプは、作動を中断する、請求項
6に記載の電池ケース分析装置。
【請求項8】
前記フランジ部の下側面と前記シーリング部の上側面との隔離距離は、0.2~1mmである、請求項
5に記載の電池ケース分析装置。
【請求項9】
前記電池ケース、前記上部ジグ、前記下部ジグ及び前記シーリング部を内部の加熱空間に収容し、前記加熱空間の温度が調節されるオーブン部をさらに含む、請求項
1に記載の電池ケース分析装置。
【請求項10】
前記ガス注入ラインには、前記電池ケースの内部に注入されるガス量を調節する質量流量制御器が設けられる、請求項1に記載の電池ケース分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2020年7月30日付の大韓民国特許出願10-2021-0100278号に基づいた優先権の利益を主張し、当該大韓民国特許出願の文献に開示されたあらゆる内容は、本明細書の一部として含まれる。
【0002】
本発明は、電池ケース分析装置に係り、電池ケースの耐久度を分析するための電池ケース分析装置に関する。
【背景技術】
【0003】
二次電池は、ポーチ(pouch)型、缶(can)型などの多様なケースを使用する包装容器方法を通じて電池素材(正極、負極、電解液、分離膜など)を入れる方式で生産されている。これを通じて外部の水分、酸素などの反応を遮断させて、電池の副作用を抑制することができる。
【0004】
しかし、電池は、電気化学、熱力学的反応などによって電解液などの有機化合物が分解されてガスを発生し、この際、過量のガスが発生すれば、電池ケースの内部が許容する容量よりもさらに多く発生したガスによって、電池ケースの内部圧力が上昇し、電池ケースにスウェリング(swelling)が発生するか、シーリング(sealing)部位でベンディング(venting)現象が発生する恐れがある。
【0005】
このような現象は、電池の性能保持に大きな影響を及ぼすために、電池ケースの内部のガス量の差による電池ケースの内部圧力変化に対する分析、電池ケースに許容可能なガス量及び限界圧に対する分析などが必要である。このような分析資料は、電池ケースの設計において、重要な判断及び評価資料として活用することができる。
【0006】
電池ケースの限界圧などの測定において、電池ケースの内部で自体的に発生するガスをもって限界圧などを測定することは、長時間を必要とする。したがって、電池外部からガスを注入して電池ケースの限界圧などを測定することができる。
【0007】
外部から電池ケースの内部にガスを注入する技術として多様な方法が適用されているが、実際の電池の状態条件模写及び電池ケースの内部にガスをリークなしに(0ppm以下)注入して、ガス量と圧力変化とをリアルタイムで分析することには難点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、電池ケース分析装置に関するものであって、電池ケースの耐久度を分析するための電池ケース分析装置を提供することである。
【0009】
本発明が解決しようとする技術的課題は、前述した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記の記載から当業者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の電池ケース分析装置は、電池ケースの上側面に形成された注入ホールを覆い、前記電池ケースの上側面に下側面が密着され、内部にガス注入流路及び真空形成流路が形成されるシーリング部、前記シーリング部の上側面に形成された前記ガス注入流路の入口に連結されるガス注入ライン、前記シーリング部の上側面に形成された前記真空形成流路の出口に連結される真空形成ライン、前記ガス注入ラインを通じて前記電池ケースの内部にガスを注入するガス供給部、及び前記真空形成ラインに連結されて前記シーリング部の前記下側面に形成された真空形成溝に真空を形成する真空ポンプ、を含むものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の電池ケース装置は、電池ケース分析中に電池ケースが変形して電池ケースの表面の平坦度がずれても、電池ケースとガス注入ラインとの間のシーリングが堅固に保持される。
【0012】
本発明の電池ケース装置は、電池ケースとガス注入ラインとの間のシーリングが短時間内に達成可能であって、分析準備に必要な時間を最小化することができる。
【0013】
本発明の電池ケース装置は、工程単純化でヒューマンエラー及び電池ケースの変形を最小化することができる。
【0014】
本発明の電池ケース装置は、電解液の逆流を遮断して電解液の逆流による装置の故障を防止することができる。
【0015】
本発明の電池ケース分析装置は、電池ケースの内部に一定ガス量を注入しながら電池ケースの内部のガス量による圧力変化をリアルタイム分析することができ、電池ケースの内部が特定の圧力限界値に到達して融着部位が破損することにより、発生するベンディングなどのイベント発生時の圧力測定及び分析が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の電池ケース分析装置を示す断面図である。
【
図3】本発明の電池ケース分析装置の他の実施形態を示す断面図である。
【
図4】電池ケースを分析した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の電池ケース分析装置は、電池ケースの上側面に形成された注入ホールを覆い、前記電池ケースの上側面に下側面が密着され、内部にガス注入流路及び真空形成流路が形成されるシーリング部、前記シーリング部の上側面に形成された前記ガス注入流路の入口に連結されるガス注入ライン、前記シーリング部の上側面に形成された前記真空形成流路の出口に連結される真空形成ライン、前記ガス注入ラインを通じて前記電池ケースの内部にガスを注入するガス供給部、及び前記真空形成ラインに連結されて前記シーリング部の前記下側面に形成された真空形成溝に真空を形成する真空ポンプ、を含むものである。
【0018】
本発明の電池ケース分析装置の前記シーリング部の下側面には、前記注入ホールと対面する前記ガス注入流路の出口と、前記注入ホール及び前記ガス注入流路の出口の直径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、第1シーリング部材が挿入される第1シーリング溝と、前記第1シーリング溝の外径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、前記真空形成流路の入口が連結される前記真空形成溝と、前記真空形成溝の外径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、第2シーリング部材が挿入される第2シーリング溝と、が形成されるものである。
【0019】
本発明の電池ケース分析装置の前記第1シーリング部材及び前記第2シーリング部材は、Oリング(O-ring)でもある。
【0020】
本発明の電池ケース分析装置は、前記電池ケースの上側面に密着される上部ジグ、前記電池ケースの下側面に密着される下部ジグ、及び前記上部ジグと前記下部ジグとの相対的な位置を固定する固定部、をさらに含むものである。
【0021】
本発明の電池ケース分析装置で、前記上部ジグには、前記上部ジグを上下方向に貫通する挿入ホールが形成され、前記挿入ホールには、前記シーリング部が挿入されるものである。
【0022】
本発明の電池ケース分析装置の前記上部ジグの上側面には、前記挿入ホールを一部覆い、下側面の一部が前記シーリング部の上側面の一部と対面するフランジ部が装着されるものである。
【0023】
本発明の電池ケース分析装置で、前記フランジ部の下側面と前記シーリング部の上側面は、上下方向に一定距離離隔するものである。
【0024】
本発明の電池ケース分析装置の前記ガス注入ラインには、圧力ゲージが設けられ、前記圧力ゲージは、前記電池ケースの内部圧力を測定するものである。
【0025】
本発明の電池ケース分析装置は、前記圧力ゲージで測定される圧力値が、設定圧力値以上である時、前記真空ポンプは、作動を中断するものである。
【0026】
本発明の電池ケース分析装置で、前記フランジ部の下側面と前記シーリング部の上側面との隔離距離は、0.2~1mmでもある。
【0027】
本発明の電池ケース分析装置は、前記電池ケース、前記上部ジグ、前記下部ジグ及び前記シーリング部を内部の加熱空間に収容し、前記加熱空間の温度が調節されるオーブン部をさらに含むものである。
【0028】
本発明の電池ケース分析装置の前記ガス注入ラインには、前記電池ケースの内部に注入されるガス量を調節する質量流量制御器(mass flow controller)が設けられるものである。
【0029】
以下、添付図面を参照して、本発明による実施例を詳しく説明する。この過程で図面に示された構成要素の大きさや形状などは、説明の明瞭性と便宜上、誇張して示されうる。また、本発明の構成及び作用を考慮して特別に定義された用語は、ユーザ、運用者の意図または慣例によって変わりうる。このような用語に対する定義は、本明細書の全般に亘った内容に基づいて下されなければならない。
【0030】
本発明の説明において、留意しなければならない点は、用語「中心」、「上」、「下」、「左」、「右」、「垂直」、「水平」、「内側」、「外側」、「一面」、「他面」などが指示する方位または位置関係は、図面で示す方位または位置関係、あるいは、通常、本発明の製品使用時に配置する方位または位置関係に基づいたものであり、単に本発明の説明と簡略な説明のためのものであり、表示された装置または素子が、必ずしも特定の方位をもって特定の方位で構成されるか、操作されなければならないということを提示または暗示するものではないので、本発明を制限すると理解してはならない。
【0031】
図1は、本発明の電池ケース分析装置を示す断面図である。
図2は、シーリング部100を示す斜視図である。
図3は、本発明の電池ケース分析装置の他の実施形態を示す断面図である。
図4は、電池ケース10を分析した結果を示すグラフである。
【0032】
以下、
図1ないし
図4を参照して、本発明の電池ケース分析装置について詳しく説明する。
【0033】
本発明の電池ケース分析装置は、電池ケース10の耐久度を分析するためのものである。電池内部では、自体的にガスが発生し、これは、電池ケース10の内部圧力を上昇させる原因となる。したがって、電池ケース10の内部で発生するガス量または圧力上昇による電池ケース10の耐久性を把握することを電池の安定した運用において重要である。
【0034】
本発明の電池ケース分析装置は、電池ケース10の内部にガスを注入し、該注入されたガスによる圧力変化及び電池ケース10の変形または破損時点を分析することができる。
【0035】
本発明の電池ケース分析装置は、ポーチ型電池、角型電池、円筒状電池またはコイン型電池などに制限なしに使用可能なものである。本発明の電池ケース分析装置は、電池ケース10がアルミニウムシートのような可撓性素材からなるポーチ型電池ケース10の分析にさらに有利である。本発明の電池ケース分析装置は、電池ケース10の表面が分析中に変形される状況にも気密性を保持することができ、ガス注入流路110と電池ケース10との間のシーリングが損傷されれば、直ちに感知可能であるために、安定した電池ケース10の分析が可能なものである。
【0036】
図1に示したように、本発明の電池ケース分析装置は、電池ケース10の上側面に形成された注入ホール11を覆い、前記電池ケース10の上側面に下側面が密着され、内部にガス注入流路110及び真空形成流路120が形成されるシーリング部100、前記シーリング部100の上側面に形成された前記ガス注入流路の入口111に連結されるガス注入ライン500、前記シーリング部100の上側面に形成された前記真空形成流路の出口122に連結される真空形成ライン600、前記ガス注入ライン500を通じて前記電池ケース10の内部にガスを注入するガス供給部700、及び前記真空形成ライン600に連結されて前記シーリング部100の前記下側面に形成された真空形成溝140に真空を形成する真空ポンプ800、を含むものである。
【0037】
電池ケース10に電池ケース分析装置が装着される前に、電池ケース10にガスを注入するための注入ホール11を形成させることができる。注入ホール11は、パンチングなどを通じて形成されうる。
【0038】
ガス注入ライン500または真空形成ライン600は、テフロン(Teflon、登録商標)、SUS、PP、及びPEのうち1つ以上の成分を含むチューブからなる。真空形成ライン600の場合、一定レベルの剛性を有する素材からなる。
【0039】
前記ガス注入ライン500には、前記電池ケース10の内部に注入されるガス量を調節する質量流量制御器510が設けられるものである。具体的に、質量流量制御器510は、ガス供給部700の下流に設けられて、ガス供給部700が電池ケース10の内部に供給するガス量を制御することができる。
【0040】
前記ガス注入ライン500には、圧力ゲージ(図示せず)が設けられうる。圧力ゲージは、質量流量制御器510の下流に設けられて、電池ケース10の内部圧力を測定することができる。
【0041】
本発明の電池ケース分析装置は、前記圧力ゲージで測定される圧力値が、設定圧力値以上である時、前記真空ポンプは、作動を中断するものである。ポーチ型電池ケースのような可撓性電池ケース10の場合、内部圧力が増加すれば、電池ケース10が膨張する。この際、シーリング部100をフランジ部400が押すために、シーリングは真空ポンプ800が作動しなくても、保持される。したがって、設定圧力以上では、電池ケース10の膨張と、フランジ部400から伝達される垂直抗力でシーリング部100は電池ケース10に完全に密着し、真空ポンプ800で真空形成溝140に真空を形成しなくても、ガス注入ライン500と注入ホール11との間のシーリングは保持される。
【0042】
また、真空形成溝140の真空を事前に解消させておくことにより、分析ポイントになる限界圧(電池ケースの内部圧力が急激に低下する地点)で電池ケース10にリーク(leak)が発生する時、ガス注入ライン500と注入ホール11との間のシーリングも、自然に解消されることにより、限界圧をさらに高感度で感知することができる。
【0043】
ガス供給部700は、ガスボンベ(gasbombe)である。ガス供給部700は、不活性ガスまたは電池内部で発生可能なガスを供給することができる。例えば、ガス供給部700は、He、CO2及びこれらの組み合わせからなる群から選択されるガスを電池ケース10に供給することができる。
【0044】
真空ポンプ800は、シーリング部100の下側面と電池ケース10の上側面との間のガスを吸い込んでシーリング部100の下側面と電池ケース10の上側面とを密着させることができる。真空ポンプ800は、ロータリーベインポンプ、ロータリーピストンポンプ、ロータリーギアポンプ、ピストンポンプ、ダイアフラムポンプ、ルーツポンプ、水封式ポンプ、ターボ分子ポンプ、拡散ポンプ、エジェクターポンプ、吸着ポンプ、イオンポンプ、ゲッターポンプ、昇華ポンプ及び低温冷却ポンプなどである。
【0045】
シーリング部100は、内部にガス注入流路110及び真空形成流路120が形成されうる。ガス注入流路110及び真空形成流路120は、上下方向に延びる形状からなる。
【0046】
具体的に、ガス注入流路の入口111は、シーリング部100の上側面に位置し、出口は、シーリング部100の下側面に位置しうる。さらに具体的に、ガス注入流路の出口112は、リング状に形成される真空形成溝140の内周よりも内側に位置しうる。ガス注入流路の出口112は、電池ケース10に形成された注入ホール11と対面し、ガス注入流路の出口112に抜け出たガスは、注入ホール11を通じて電池ケース10の内部に注入される。ガス注入流路の入口111には、ガス注入ライン500が連結される。
【0047】
真空形成流路の入口121は、真空形成溝140に形成されうる。したがって、真空ポンプ800が吸入を始めれば、真空形成流路120を通じて真空形成溝140に陰圧が形成されうる。真空形成流路の出口122は、シーリング部100の上側面に位置し、真空形成ライン600が連結される。
【0048】
図1及び
図2に示したように、前記シーリング部100の下側面には、前記注入ホール11と対面する前記ガス注入流路の出口112と、前記注入ホール11及び前記ガス注入流路の出口112の直径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、第1シーリング部材が挿入される第1シーリング溝130と、前記第1シーリング溝130の外径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、前記真空形成流路の入口121が連結される前記真空形成溝140と、前記真空形成溝140の外径よりも大きな内径を有するリング状に形成され、第2シーリング部材が挿入される第2シーリング溝150と、が形成されるものである。
【0049】
すなわち、第2シーリング溝150の内周の内側に真空形成溝140が位置し、真空形成溝140の内周の内側に第1シーリング溝130が位置し、第1シーリング溝130の内周の内側に真空形成流路の入口121が位置しうる。したがって、真空形成溝140に陰圧が形成されれば、第1シーリング溝130及び第2シーリング溝150に位置する第1シーリング部材及び第2シーリング部材は、電池ケース10の上側面と密着し、注入ホール11とガス注入流路110との間にシーリングが形成されうる。本発明の電池ケース分析装置は、シーリング部100を電池ケース10に密着させた後、真空ポンプ800をオンにすることにより、簡単かつ迅速に注入ホール11とガス注入流路110との間にシーリングを形成しうる。
【0050】
前記第1シーリング部材及び前記第2シーリング部材は、Oリングでもある。第1シーリング部材及び第2シーリング部材は、それぞれ第1シーリング溝130及び第2シーリング溝150に対応する形状からなる。
【0051】
図1に示したように、本発明の電池ケース分析装置は、前記電池ケース10の上側面に密着される上部ジグ210、前記電池ケース10の下側面に密着される下部ジグ220、及び前記上部ジグ210と前記下部ジグ220との相対的な位置を固定する固定部300、をさらに含むものである。前記上部ジグ210には、前記上部ジグ210を上下方向に貫通する挿入ホール211が形成され、前記挿入ホール211には、前記シーリング部100が挿入されるものである。
【0052】
上部ジグ210及び下部ジグ220は、上下方向に垂直な平面を有するプレート状からなる。
【0053】
例えば、シーリング部100は、上下方向を中心軸とする円筒状からなり、これに対応する形状からなる上部ジグ210の挿入ホール211に挿入される。
【0054】
固定部300は、ボルトとナットとであり、上部ジグ210及び下部ジグ220に形成された固定ホールに挿入される。
【0055】
上部ジグ210は、下部ジグ220と結合することにより、電池ケースの上側面を加圧することができる。この際、注入ホール11に注入されるガスが電池ケース全体に拡散可能になるように、上部ジグ210の下側面には、挿入ホール211の下側入口から上部ジグ210の下側端部まで連結される通気溝(図示せず)が形成されうる。
【0056】
前記上部ジグ210の上側面には、前記挿入ホール211を一部覆い、下側面の一部が前記シーリング部100の上側面の一部と対面するフランジ部400が装着されるものである。具体的に、フランジ部400は、リング状のプレートで形成されうる。フランジ部400の内周の直径は、挿入ホール211の入口直径よりも小さく形成され、フランジ部400の外周の直径は、挿入ホール211の入口直径よりも大きく形成されうる。ガス注入ライン500及び真空形成ライン600は、フランジ部400の内周の内側を通ってシーリング部100に連結される。したがって、ガス注入流路の入口111の位置及び真空形成流路の出口122の位置は、フランジ部400の内周の内側と対面する位置に位置することが望ましい。
【0057】
フランジ部400の下側面には、リング状の段差が設けられうる。段差の直径は、挿入ホール211の入口の直径と同一である。段差が形成する円の内側のフランジ部400の下側面が円の外側の下側面よりも高い。すなわち、段差を基準に内側はシーリング部100の上側面と対面し、外側は上部ジグ210の上側面と結合することができる。
【0058】
前記フランジ部400の下側面と前記シーリング部100の上側面は、上下方向に一定距離離隔するものである。具体的に、電池ケース10の内部にガスを注入する前の状態で、フランジ部400の下側面がシーリング部100の上側面に接触しないように、2つの面の間には、空き空間が形成されうる。例えば、電池ケース10が膨張する前である、電池ケース10の内部にガスを注入する前にフランジ部400がシーリング部100の上側面に完全に密着してシーリング部100を加圧すれば、電池ケース10の内側面は、内部の電極組立体と密着する。特に、第1シーリング部材及び第2シーリング部材を閉ループ状からなるために、注入ホール11に注入されるガスは、電池ケース10の内部に拡散されない。
【0059】
したがって、電池ケース10の内部にガスを注入する前に、シーリング部100が上部ジグ210と共に電池ケース10の上側面を加圧することを防止するために、前記フランジ部400の下側面と前記シーリング部100の上側面は、上下方向に一定距離離隔するものである。前記フランジ部400の下側面と前記シーリング部100の上側面との隔離距離は、0.2~1mmでもある。例えば、前記フランジ部400の下側面と前記シーリング部100の上側面との隔離距離は、0.5mmである。
【0060】
図3に示したように、本発明の電池ケース分析装置は、前記電池ケース10、前記上部ジグ210、前記下部ジグ220及び前記シーリング部100を内部加熱空間910に収容し、前記内部加熱空間910の温度が調節されるオーブン部900をさらに含むものである。オーブン部900の内部には、電池を含み、電池ケース10、上部ジグ210、下部ジグ220及びシーリング部100が収容され、ガス供給部700、真空ポンプ800、質量流量制御器510、圧力ゲージなどは、オーブン部900の外部に位置しうる。オーブン部900は、内部に加熱空間910を形成するチャンバ形式のオーブンである。
【0061】
実施例
本発明の電池ケース分析装置を用いて、アルミニウムポーチタイプの2つの電池ケース10の内部にHeガスを50cc/min及び0.5cc/minの流速でそれぞれ注入した。
【0062】
比較例
硬化剤を用いてガス注入ライン500と電池ケース10との間をシーリングして、アルミニウムポーチタイプの2つの電池ケース10の内部にHeガスを50cc/min及び0.5cc/minの流速でそれぞれ注入した。
【0063】
図4は、前記の実施例と比較例との分析結果を示すグラフである。
図4に示されたように、注入速度が遅い0.5cc/minの速度の注入で、本発明の電池ケース分析装置を利用した電池ケース10の分析がさらに迅速に限界圧に到達することが分かる。これは、本発明の電池ケース分析装置が、電池ケース10とガス注入ライン500との気密性をさらによく保持することを示すものである。
【0064】
以上、本発明による実施例が説明されたが、これは例示的なものに過ぎず、当業者ならば、これにより多様な変形及び均等な範囲の実施例が可能であるという点を理解できるであろう。したがって、本発明の真の技術的保護範囲は、特許請求の範囲によって決定されねばならない。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明の電池ケース装置は、電池ケース分析中に電池ケースが変形して電池ケースの表面の平坦度がずれても、電池ケースとガス注入ラインとの間のシーリングが堅固に保持される。
【0066】
本発明の電池ケース装置は、電池ケースとガス注入ラインとの間のシーリングが短時間内に達成可能であって、分析準備に必要な時間を最小化することができる。
【0067】
本発明の電池ケース装置は、工程単純化でヒューマンエラー及び電池ケースの変形を最小化することができる。
【0068】
本発明の電池ケース装置は、電解液の逆流を遮断して電解液の逆流による装置の故障を防止することができる。
【0069】
本発明の電池ケース分析装置は、電池ケースの内部に一定ガス量を注入しながら電池ケースの内部のガス量による圧力変化をリアルタイム分析することができ、電池ケースの内部が特定の圧力限界値に到達して融着部位が破損することにより、発生するベンディングなどのイベント発生時の圧力測定及び分析が可能である。
【符号の説明】
【0070】
10:電池ケース
11:注入ホール
100:シーリング部
110:ガス注入流路
111:ガス注入流路の入口
112:ガス注入流路の出口
120:真空形成流路
121:真空形成流路の入口
122:真空形成流路の出口
130:第1シーリング溝
140:真空形成溝
150:第2シーリング溝
210:上部ジグ
211:挿入ホール
220:下部ジグ
300:固定部
400:フランジ部
500:ガス注入ライン
510:質量流量制御器
600:真空形成ライン
700:ガス供給部
800:真空ポンプ
900:オーブン部
910:加熱空間