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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】ブラシモータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 13/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
H02K13/00 T
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020195355
(22)【出願日】2020-11-25
(65)【公開番号】P2022083812
(43)【公開日】2022-06-06
【審査請求日】2023-11-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】島田 行太
(72)【発明者】
【氏名】吉野 靖
(72)【発明者】
【氏名】中戸川 靖
【審査官】三澤 哲也
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/105501(WO,A1)
【文献】特開2005-045872(JP,A)
【文献】実開平06-052369(JP,U)
【文献】米国特許出願公開第2022/0014070(US,A1)
【文献】特開2009-296816(JP,A)
【文献】特開2020-178462(JP,A)
【文献】特開2017-216824(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状のエンドキャップ(1)の中心線(S)に対して放射状に横断面方形の複数のブラシケース(2)が配置され、それらのブラシケース(2)は中心線(S)の径方向内側の一端に開口(2a)を有し、
ラシケース(2)には、その他端から前記径方向内側に延びるスリット(3)が形成されると共に、その他端の開口(2b)の縁には、凹部(5)が形成されており、
捩じりコイルばねを構成するブラシスプリング(4)の腕部(7)の先端に突出部(7a)が設けられ、
モータケース(6)の円筒部(6a)の開口端を、エンドキャップ(1)の周縁部に着座するとき、凹部(5)に付勢状態で仮置きされている突出部(7a)が、円筒部(6a)の開口端によって中心線(S)の延在方向に沿って押し動かされスリット(3)に導かれるように、その仮置きされている突出部(7a)はモータケース(6)の円筒部(6a)の内周面よりも径方向の外側に突出する寸法で形成されていることを特徴とするブラシモータ。
【請求項2】
請求項1に記載のブラシモータにおいて、
前記突出部(7a)は、前記腕部(7)において前記径方向の外側に凸となるように折り曲げられた第1折り曲げ部(7b)と、さらにその折り曲げ部(7b)より先端の部分が前記径方向の内側に凸となるように曲げられた第2折り曲げ部(7c)によって形成されているブラシモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブラシモータのブラシを付勢するブラシスプリングの付勢構造に関する。
【背景技術】
【0002】
図6は、従来型ブラシモータのブラシスプリングの付勢構造を示している。
捩じりコイル型のブラシスプリング24は図6(A)に示す如く形成され、ブラシケース22の縁部に設けた凹部25に、ブラシスプリング24のコイル30の一端に延長された腕部27の先端の鈎形部31を係止させ、仮置きしている。次いで、エンドキャップ21のフランジ部にモータケース26の開口端を着座させる。このとき、凹部25に係止された腕部27がモータケース26に接触し、腕部27の鈎形部31がフランジの着座方向に移動して、ブラシケース22のスリット23に導かれ、ブラシ28の後端に係止される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、このときブラシスプリング24が弾性変形して仮置き位置に留まり、図6(C)のように、ブラシケース22のスリット23まで移動しないことがあった。その場合でも、ブラシモータは回転するも、ブラシスプリング24の腕部27の鈎形部31がブラシ28を付勢していないため、時間の経過と共にブラシ28が摩耗するにしたがって整流子から離れ、早期にモータが停止することがあった。
この状態は、ブラシケース22の外観からは目視することができないため、その不具合を確認することはできなかった。
そこで本発明は、ブラシスプリングについて、その適正、確実な組み込みが可能な手段を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に記載の本発明は、円板状のエンドキャップ1の中心線Sに対して放射状に横断面方形の複数のブラシケース2が配置され、それらのブラシケース2は前記中心線Sの径方向内側の一端に開口2aを有し、
前記ブラシケース2には、その他端から前記径方向内側に延びるスリット3が形成されると共に、その他端の開口2bの縁には、凹部5が形成されており、
円筒部6aを有するモータケース6の開口端を、前記エンドキャップ1の周縁部に着座するとき、前記凹部5に仮置きされたブラシスプリング4が前記開口端によって押し動かされることによって前記スリット3に導かれるように、
前記ブラシスプリング4の腕部7の先端に前記径方向の外側に突出した突出部7aが形成されていることを特徴とすることを特徴とするブラシモータである。
【0005】
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のブラシモータにおいて、
前記突出部7aは、前記腕部7において前記径方向の外側に凸となるように折り曲げられた第1折り曲げ部7bと、さらにその折り曲げ部7bより先端の部分が前記径方向の内側に凸となるように曲げられた第2折り曲げ部7cによって形成されているブラシモータである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、ブラシスプリング4の腕部7の先端に前記径方向の外側に突出した突出部7aが形成されているものである。
これにより、ブラシケース2の他端の開口2bの縁に形成された凹部5にブラシスプリング4の突出部7aを仮置きし、モータケース6の開口端を、エンドキャップ1に着座する際、ブラシスプリング4の突出部7aをモータケース6の円筒部6aで押すことによって、ブラシスプリング4の腕部7の突出部7aをブラシケース2のスリット3に確実に移動させることが可能になるので、ブラシスプリング4を適正にかつ確実に組み込むことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、上記構成において、前記突出部7aは、前記腕部7において前記径方向の外側に凸となるように折り曲げられた第1折り曲げ部7bと、さらにその折り曲げ部7bより先端の部分が前記径方向の内側に凸となるように曲げられた第2折り曲げ部7cによって形成されているものである。
これにより、ブラシスプリング4の先端が、モータケース6に引っかかることがなく、ブラシスプリング4をより確実に組み込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施例のブラシスプリング4を有するブラシモータの分解斜視図。
図2】本発明の第1実施例のブラシスプリング4の斜視図。
図3】本発明のブラシモータの要部を示し、(A)はそのブラシスプリング4の待機状態を示す斜視図、(B)は図3(A)のフランジ部にモータケース6のフランジ部を着座するときの過渡状態を示す説明図、(C)は図3(B)のC-C矢視図、(D)はブラシスプリング4の腕部7をモータケース6の円筒部6aでエンドキャップ1のフランジ部側に移動させた状態を示す説明図。
図4】本発明の第2実施例のブラシスプリング4の斜視図。
図5】同第2実施例の説明図。
図6】従来型のブラシスプリング24の説明図であって、(A)はそのブラシスプリング24の斜視図、(B)はブラシスプリング24とモータケース26の円筒部との関係を示す断面図、(C)は同ブラシスプリング24の不具合を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
【実施例1】
【0010】
図1は、第1実施例のブラシスプリング4を有するブラシモータの分解斜視図である。図2は同実施例のブラシモータに取付けられるブラシスプリング4の斜視図である。
図3は、本発明の作用を示す説明図である。
このブラシモータは、図1に示す如く、中心孔を有する略円板状のエンドキャップ1と、そのエンドキャップ1に被嵌するモータケース6からなるケーシングを有し、そのケーシングの内部に回転子18が配置される。
エンドキャップ1には、その中心線Sに対して放射状に横断面方形の複数のブラシケース2が配置されている。それらのブラシケース2は、エンドキャップ1の中心線Sの径方向内側の一端に開口2aを有し、その他端側には、その他端から前記径方向内側に延びるスリット3が形成されると共に、その他端の開口2bの縁には、凹部5が形成されている。この例では、凹部5は開口2bの上縁部に溝状に形成されている。各ブラシケース2の一端側の開口2aからブラシ8が導入される。
エンドキャップ1は、アルミニウム材または樹脂材の成形体により形成することができる。
エンドキャップ1の上面の外周には座16が設けられ、その一部にボルト孔が設けられている。さらには、エンドキャップ1には、一対のコイル支持部13が突設されている。
【0011】
本発明は、ブラシ8をエンドキャップ1の中心線Sの方向に付勢するブラシスプリング4の形状に特徴がある。
このブラシスプリング4は、図2に示す如く、捩じりバネからなり、そのコイル10の両端が延長されて、直線状に形成された腕部9と、直線状の先端部が曲折された腕部7とを有する。腕部7は直線状の部分の先端に、エンドキャップ1の中心線Sの径方向の外側に突出した突出部7aが形成されている。この例の突出部7aは、図2に示す如く、腕部7において前記径方向の外側に凸となるように折り曲げられた第1折り曲げ部7bと、さらにその折り曲げ部7bより先端の部分が前記径方向の内側に凸となるように曲げられた第2折り曲げ部7cによって形成されている。
【0012】
〔作用〕
本発明のブラシスプリング4は、そのコイル10がコイル支持部13に挿入され、その一端に延長された腕部9がバネ受17に係止される。それとともに、コイル10の他端に延長された腕部7の突出部7aが、図3(A)に示す如く、付勢状態でブラシケース2の凹部5に仮置きされる。
図3(B)、同図(C)はその腕部7とモータケース6の円筒部6aとの関係を示す。なお、同図(C)では腕部9を省略している。
この状態で、モータケース6の円筒部6aの開口端を、エンドキャップ1の周縁部に着座する際、第1折り曲げ部7bは円筒部6aより前記径方向の外側に凸となるように突出しているため、ブラシケース2の凹部5に仮置きされたブラシスプリング4の突出部7aの第1折り曲げ部7bが円筒部6aの開口端によって押し動かされ、腕部7が下方に引き下ろされる。
そして、図3(D)に示す如く、ブラシスプリング4の突出部7aがブラシケース2のスリット3に導かれ、ブラシケース2に収納されたブラシ8の後端に係止させる。
このようにして、ブラシスプリング4の腕部7の突出部7aは、ブラシケース2のスリット3に確実に移動させることが可能になるので、ブラシスプリング4を適正にかつ確実に組み込むことができる。
【0013】
なお、この実施例ではエンドキャップ1には、一対のブラシケース2が一体に形成されているが、多数のブラシケース2をエンドキャップ1に配置することもできる。
また、図1図3においてはブラシ8にリード線14が設けられ、それが端子15に連結され、その端子15の脚部がエンドキャップ1の裏面側に設けた図示しない配線に固定される。また、回転子18の一端部には多数の整流子12が配置され、それがブラシ8に摺接する。
【実施例2】
【0014】
次に、図4は本発明のブラシスプリング4の第2実施例であり、この例が第1実施例のブラシスプリング4と異なる点は、腕部7の先端部の突出部7aを径方向に延長した延長鈎形部11としたことである。この延長鈎形部11の先端部は、図5に示す如く、モータケース6の円筒部6aよりも径方向外側に突出する。言い換えると、第1実施例のブラシスプリング4の第2折り曲げ部7cの先端部が、円筒部6aよりも径方向外側に突出しているともいえる。
この例においても、モータケース6をエンドキャップ1に被嵌するとき、円筒部6aとブラシスプリング4の延長鈎形部11とが衝接し、その先端部は凹部5からブラシ8の後端の図示しないスリットに係止される。
【産業上の利用可能性】
【0015】
本発明は、ブラシスプリングが組み込まれているブラシモータに利用することができる。
【符号の説明】
【0016】
1 エンドキャップ
2 ブラシケース
2a 開口
2b 開口
3 スリット
4 ブラシスプリング
5 凹部
6 モータケース
7 腕部
7a 突出部
7b 第1折り曲げ部
7c 第2折り曲げ部
【0017】
8 ブラシ
9 腕部
10 コイル
11 延長鈎形部
12 整流子
13 コイル支持部
14 リード線
【0018】
15 端子
16 座
17 バネ受
18 回転子
S 中心軸
【0019】
21 エンドキャップ
22 ブラシケース
23 スリット
24 ブラシスプリング
25 凹部
26 モータケース
27 腕部
【0020】
28 ブラシ
29 腕部
30 コイル
31 鈎形部
34 リード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6