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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】車両の遠隔制御システム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20240716BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240716BHJP
   G05D 1/00 20240101ALI20240716BHJP
   B60W 40/04 20060101ALI20240716BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240716BHJP
【FI】
B60W50/08
H04Q9/00 301B
H04Q9/00 351
G05D1/00
B60W40/04
B60W50/14
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020196086
(22)【出願日】2020-11-26
(65)【公開番号】P2022084304
(43)【公開日】2022-06-07
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】石坂 仁
(72)【発明者】
【氏名】渋谷 光男
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-150580(JP,A)
【文献】特開2019-202568(JP,A)
【文献】特開2010-91519(JP,A)
【文献】特開2019-185451(JP,A)
【文献】特開2015-59842(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G05D 1/00- 1/87
G08G 1/00-99/00
G01M 17/00-17/10
H04Q 9/00- 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両および遠隔操作装置を備えた車両の遠隔制御システムであって、
前記車両は、
前記車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部と、
運転者によって操作される前記車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータと、
前記画像情報生成部で生成された前記画像情報を前記遠隔操作装置に送信し、前記遠隔操作装置から遠隔操作指令情報を受信する車両側通信部と、
前記車両側通信部で受信された前記遠隔操作指令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作する操作部材制御部とを備え、
前記複数のアクチュエータは、運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられ、
前記操作部材制御部は、前記遠隔操作指令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ制御して前記複数の操作部材をそれぞれ操作する遠隔操作モードと、前記複数の操作部材の前記運転者による手動操作をそれぞれ可能とする手動操作モードとに選択可能に構成され、
前記遠隔操作装置は、
前記遠隔操作指令情報を生成する指令情報生成部と、
前記車両から前記画像情報を受信し、前記指令情報生成部で生成された前記遠隔操作指令情報を前記車両に送信する遠隔制御側通信部と、
前記遠隔制御側通信部で受信された前記画像情報を表示する表示部とを備え
前記車両は、
前記複数のアクチュエータによる前記複数の操作部材の操作量をそれぞれ検出する複数の検出部と、
前記複数の検出部でそれぞれ検出された前記複数の操作量に基づいて前記複数のアクチュエータのサーボ制御をそれぞれ行なうサーボ制御部とをさらに備え、
前記操作部材制御部の前記遠隔操作モードは、前記サーボ制御部を介して前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、
前記操作部材制御部の前記手動操作モードは、前記サーボ制御部の制御動作を無効として前記複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされる、
ことを特徴とする車両の遠隔制御システム。
【請求項2】
前記車両は、
前記車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部をさらに備え、
前記車両側通信部は、前記測位部で生成された前記測位情報を前記遠隔操作装置に送信し、
前記遠隔操作装置は、
地図情報を記憶する地図データベースをさらに備え、
前記遠隔制御側通信部は、前記車両から前記測位情報を受信し、
前記表示部は、前記遠隔制御側通信部で受信された前記測位情報に基づいて前記地図データベースから読み出された前記地図情報上に前記車両の位置を表示する、
ことを特徴とする請求項記載の車両の遠隔制御システム。
【請求項3】
前記地図データベースは、目的地を特定する目的地情報と前記地図情報とを関連付けて記憶しており、
前記遠隔操作装置は、
前記目的地情報を入力する操作入力部と、
前記操作入力部に入力された前記目的地情報に基づいて前記地図情報から前記目的地の位置情報を特定する位置情報特定部と、
前記遠隔制御側通信部で受信された前記測位情報と前記目的地の位置情報とに基づいて前記地図情報から走行すべき走行経路を探索する経路探索部とをさらに備え、
前記表示部は、前記経路探索部で探索された前記走行経路に基づいて道路案内の表示を行う、
ことを特徴とする請求項記載の車両の遠隔制御システム。
【請求項4】
前記遠隔制御側通信部は、前記遠隔操作モードが選択され、前記遠隔操作指令情報に基づいて前記複数の操作部材が操作されている場合、前記車両の位置を利用者の所持する携帯端末に送信する、
ことを特徴とする請求項または記載の車両の遠隔制御システム。
【請求項5】
前記遠隔制御側通信部は、前記遠隔操作モードが選択され、前記遠隔操作指令情報に基づいて前記複数の操作部材が操作されている場合、前記地図情報上に前記車両の位置を表示した車両位置情報を、前記携帯端末に送信する、
ことを特徴とする請求項記載の車両の遠隔制御システム。
【請求項6】
前記複数の操作部材は、前記車両に搭載されたエンジンの始動、停止を行なうためのエンジンスイッチと、前記車両の操舵を行なうためのハンドルと、トランスミッションの変速を行なうためのシフトレバーと、前記シフトレバーのロックを解除するための操作ボタンと、前記車両の制動を行なうためのブレーキペダルと、前記エンジンの回転数を制御するためのアクセルペダルと、前記車両の駐車時の制動を行なうためのパーキングブレーキペダルと、方向指示器を操作するためのウィンカーレバーと、前照灯、スモールライトの点灯、滅灯を操作するためのライトスイッチとを含み、
前記アクチュエータは、それらエンジンスイッチ、ハンドル、シフトレバー、操作ボタン、ブレーキペダル、アクセルペダル、ウィンカーレバー、ライトスイッチに対応してそれぞれ設けられている、
ことを特徴とする請求項1~のいずれか1項記載の車両の遠隔制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の遠隔制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
日常生活において、利用者が運転する車で目的地まで向かい、何らかの理由で運転してきた車ではなく電車や飛行機などの交通機関を利用して戻ったり、別の目的地に向かうことがある。
具体的には、例えば、ある会社に勤務する利用者が他県の事業所まで車で向かって用事を済ませた後に、会社に不測の事態が発生したため緊急で戻らなくてはならなくなった場合や、別の事業所で不測の事態が発生したため急遽その別の事業所に向かう場合、移動時間を短縮するため電車や飛行機などを利用して会社に戻ったり、別の事業所に向かうことが考えられる。
【0003】
このような場合、例えば、利用者自身が目的地まで乗ってきた車両を指定場所(目的地である会社や別の事業所)まで代わりに運転してもらう運転代行が知られている。
一般に、運転代行を依頼した際には、運転代行の依頼先から2名の係員が派遣される。
すなわち、利用者から運転代行のサービスの依頼を受け付けると、2名の係員は、代行車両に乗車して運転し、利用者の車両が停車する場所まで行き、一方の係員(運転の代行者)は利用者の車両を運転して利用者に依頼された指定場所に向かい、他方の係員は代行車両を運転し利用者の車両を追尾して指定場所に向かう。
そして、利用者による指定場所に到着すると、2名の係員は代行車両に乗り営業所に戻ることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-62844号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、距離が離れた他県の事業所にある車両を会社へ戻したり、別の事業所へ移動させる場合に運転代行を依頼すると、距離が長くなるほど支払いが上がっていくためコストが上昇してしまう。
また、他県の事業所など利用者自身がいる場所(利用者の車両を停車させた場所)や、会社や別の事業所などの車両を移動させる指定場所(目的地)について代行事業者に説明しなくてはならず時間と労力を要する。
そこで、自社に連絡して他の社員に来てもらい、自身が乗ってきた車を会社や別の事業所まで移動させてもらうことも考えられるが、多大な時間を要するため他の社員の職務を妨げることになってしまう。
さらに、別の事業所に移動してもらった車に、別の事業所の用事を済ませた利用者が再度乗車して会社に戻るような場合も考えられる。
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、自身が運転してきた車両に取り付けることで遠隔制御可能とすることができ、また、車両を元の状態に戻すことなく運転席に着座して運転できる車両の遠隔制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した目的を達成するため本発明は、車両および遠隔操作装置を備えた車両の遠隔制御システムであって、前記車両は、前記車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部と、運転者によって操作される前記車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータと、前記画像情報生成部で生成された前記画像情報を前記遠隔操作装置に送信し、前記遠隔操作装置から遠隔操作指令情報を受信する車両側通信部と、前記車両側通信部で受信された前記遠隔操作指令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作する操作部材制御部とを備え、前記複数のアクチュエータは、運転席に着座した前記運転者による前記操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられ、前記操作部材制御部は、前記遠隔操作指令情報に基づいて前記複数のアクチュエータをそれぞれ制御して前記複数の操作部材をそれぞれ操作する遠隔操作モードと、前記複数の操作部材の前記運転者による手動操作をそれぞれ可能とする手動操作モードとに選択可能に構成され、前記遠隔操作装置は、前記遠隔操作指令情報を生成する指令情報生成部と、前記車両から前記画像情報を受信し、前記指令情報生成部で生成された前記遠隔操作指令情報を前記車両に送信する遠隔制御側通信部と、前記遠隔制御側通信部で受信された前記画像情報を表示する表示部とを備えることを特徴とする。
また、本発明は、前記車両は、前記複数のアクチュエータによる前記複数の操作部材の操作量をそれぞれ検出する複数の検出部と、前記複数の検出部でそれぞれ検出された前記複数の操作量に基づいて前記複数のアクチュエータのサーボ制御をそれぞれ行なうサーボ制御部とをさらに備え、前記操作部材制御部の前記遠隔操作モードは、前記サーボ制御部を介して前記複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、前記操作部材制御部の前記手動操作モードは、前記サーボ制御部の制御動作を無効として前記複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされることを特徴とする。
また、本発明は、前記車両は、前記車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部をさらに備え、前記車両側通信部は、前記測位部で生成された前記測位情報を前記遠隔操作装置に送信し、前記遠隔操作装置は、地図情報を記憶する地図データベースをさらに備え、前記遠隔制御側通信部は、前記車両から前記測位情報を受信し、前記表示部は、前記遠隔制御側通信部で受信された前記測位情報に基づいて前記地図データベースから読み出された前記地図情報上に前記車両の位置を表示することを特徴とする。
また、本発明は、前記地図データベースは、目的地を特定する目的地情報と前記地図情報とを関連付けて記憶しており、前記遠隔操作装置は、前記目的地情報を入力する操作入力部と、前記操作入力部に入力された前記目的地情報に基づいて前記地図情報から前記目的地の位置情報を特定する位置情報特定部と、前記遠隔制御側通信部で受信された前記測位情報と前記目的地の位置情報とに基づいて前記地図情報から走行すべき走行経路を探索する経路探索部とをさらに備え、前記表示部は、前記経路探索部で探索された前記走行経路に基づいて道路案内の表示を行うことを特徴とする。
また、本発明は、前記遠隔制御側通信部は、前記遠隔操作モードが選択され、前記遠隔操作指令情報に基づいて前記複数の操作部材が操作されている場合、前記車両の位置を利用者の所持する携帯端末に送信することを特徴とする。
また、本発明は、前記遠隔制御側通信部は、前記遠隔操作モードが選択され、前記遠隔操作指令情報に基づいて前記複数の操作部材が操作されている場合、前記地図情報上に前記車両の位置を表示した車両位置情報を、前記携帯端末に送信することを特徴とする。
また、本発明は、前記複数の操作部材は、前記車両に搭載されたエンジンの始動、停止を行なうためのエンジンスイッチと、前記車両の操舵を行なうためのハンドルと、トランスミッションの変速を行なうためのシフトレバーと、前記シフトレバーのロックを解除するための操作ボタンと、前記車両の制動を行なうためのブレーキペダルと、前記エンジンの回転数を制御するためのアクセルペダルと、前記車両の駐車時の制動を行なうためのパーキングブレーキペダルと、方向指示器を操作するためのウィンカーレバーと、前照灯、スモールライトの点灯、滅灯を操作するためのライトスイッチとを含み、前記アクチュエータは、それらエンジンスイッチ、ハンドル、シフトレバー、操作ボタン、ブレーキペダル、アクセルペダル、ウィンカーレバー、ライトスイッチに対応してそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、車両に、車両の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する複数のアクチュエータを、運転席に着座した運転者による複数の操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設け、操作部材制御部の遠隔操作モードを選択することで、遠隔操作指令情報に基いて複数のアクチュエータを制御して複数の操作部材を操作することによって、車両を遠隔制御することができるようにし、操作部材制御部の手動操作モードを選択することで、複数の操作部材を手動操作できるようにした。また、車両に、車両の周辺を撮像して画像情報を生成する画像情報生成部を設け、遠隔操作装置に車両から受信した画像情報を表示する表示部を設けた。
これにより、車両に複数のアクチュエータを取り付けることで車両を遠隔制御可能とすることができ、また、車両を元の状態に戻すことなく運転席に着座して手動操作することができ、利便性を向上させる上で有利となる。
また、画像情報によって車両の周辺の状況を把握しながら遠隔操作することができ、車両から離れた場所から車両を的確に遠隔制御する上で有利となる。
また、複数のアクチュエータは、運転席に着座した運転者による操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられているため、複数のアクチュエータの着脱を容易に行なえ、複数のアクチュエータのメンテンナンス作業を効率的に行なう上で有利となる。
したがって、上述のように、利用者が運転する車両で目的地まで向かい、何らかの理由で運転してきた車両ではなく公共交通機関で戻ったり別の場所に向かう場合、車両に複数のアクチュエータを取り付ければ、車両から離れた場所から画像情報で周辺の状況を把握しながら車両を遠隔操作することで、車両を戻したり別の場所に移動させることができるため、利便性を向上させる上で有利となる。また、複数のアクチュエータが手動操作を妨げない箇所に設けられているため、車両を移動した後に利用者が再度運転することもでき、利便性を向上させる上で有利となる。
【0008】
また、操作部材制御部の遠隔操作モードは、サーボ制御部を介して複数のアクチュエータをそれぞれ操作することでなされ、手動操作モードは、サーボ制御部の制御動作を無効として複数のアクチュエータをサーボフリーとすることでなされるようにすると、簡単な構成で遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替える上で有利となる。
【0009】
また、車両に、車両の位置を測位して測位情報を生成する測位部を設けるとともに、遠隔操作装置に地図データベースを設けると、表示部により、測位情報に基づいて地図データベースから読み出された地図情報上に車両の位置を表示することができ、車両の現在位置を把握することができ、車両から離れた場所から車両を的確に遠隔操作する上で有利となる。
【0010】
また、地図データベースは、目的地を特定する目的地情報と地図情報とを関連付けて記憶しており、遠隔操作装置は、目的地情報を入力する操作入力部と、操作入力部に入力された目的地情報に基づいて地図情報から目的地の位置情報を特定する位置情報特定部と、遠隔制御側通信部で受信された測位情報と目的地の位置情報とに基づいて地図情報から走行すべき走行経路を探索する経路探索部とを備え、表示部により経路探索部で探索された走行経路に基づいて道路案内の表示を行なうようにすると、車両から離れた場所から車両を的確に遠隔操作し、また、車両を短時間で目的地まで移動させることができる。
【0011】
また、遠隔操作モードが選択され、遠隔操作指令情報に基づいて複数の操作部材が操作されている場合、車両の位置を利用者の所持する携帯端末に送信するようにすると、車両から離れた場所にいる利用者が車両の位置を把握でき、利便性を向上させる上で有利となる。
また、遠隔操作モードが選択され、遠隔操作指令情報に基づいて複数の操作部材が操作されている場合、地図情報上に車両の位置を表示した車両位置情報を利用者の所持する携帯端末に送信するようにすると、車両から離れた場所にいる利用者が車両の位置をさらに把握しやすく、利便性を向上させる上で有利となる。
したがって、手動操作モードで車両を運転していた運転者(利用者)が車両から離れた場所にいても、運転者が所持する携帯端末により車両の位置を把握することができる。
【0012】
また、複数の操作部材は、エンジンスイッチ、ハンドル、シフトレバー、操作ボタン、ブレーキペダル、アクセルペダル、ウィンカーレバー、ライトスイッチを含み、アクチュエータは、それらエンジンスイッチ、ハンドル、シフトレバー、操作ボタン、ブレーキペダル、アクセルペダル、ウィンカーレバー、ライトスイッチに対応してそれぞれ設けられていると、車両の遠隔制御を的確に行なう上で有利となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1の実施の形態に係る車両の遠隔制御システムが適用される車両の制御系の構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施の形態に係る車両の遠隔制御システムの遠隔操作装置の構成を示すブロック図である。
図3】車両のイグニッションスイッチの操作を行なう第1アクチュエータの説明図であり、(A)は車幅方向から見た側面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
図4】車両のハンドルの操作を行なう第2アクチュエータの説明図であり、(A)はハンドルを正面から見た正面図、(B)は(A)のX-X線矢視図である。
図5】車両のシフトレバーの操作を行なう第3アクチュエータ、操作ボタンの操作を行なう第4アクチュエータの説明図であり、(A)はシフトレバーを車両の車幅方向から見た側面図、(B)は(A)のB矢視図である。
図6】(A)は車両のブレーキペダルの操作を行なう第5アクチュエータを車幅方向から見た側面図、(B)は車両のアクセルペダルの操作を行なう第6アクチュエータを車幅方向から見た側面図、(C)は車両のパーキングブレーキペダルの操作を行なう第7アクチュエータを車幅方向から見た側面図である。
図7】車両のウィンカーレバーの操作を行なう第8アクチュエータおよびライトスイッチの操作を行なう第9アクチュエータの説明図であり、(A)は車両後方から見た正面図、(B)は(A)のB矢視図である。
図8】表示部の表示画面に画像情報と地図情報とが表示された状態を示す説明図である。
図9】第2の実施の形態に係る車両の遠隔制御システムの遠隔操作装置の構成を示すブロック図である。
図10】表示部の表示画面に画像情報と地図情報とが表示された状態を示す説明図である。
図11】第3の実施の形態に係る車両の遠隔制御システムにおける第2アクチュエータの説明図であり、(A)はハンドルを正面から見た正面図、(B)は(A)のB-B線矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
本実施の形態の車両の遠隔制御システムは、車両10および遠隔操作装置45Aを備えている。
本実施の形態の車両10は、乗用車である場合について説明するが、乗用車に限定されるものではなく、トラック、バン、ワゴン車など従来公知の様々な車両に適用可能である。
まず、本実施の形態の車両10の構成について説明する。
図1に示すように、車両10は、利用者が一般の道路を走行するものであって、複数の操作部材と、複数のアクチュエータと、車両側制御装置12と、画像情報生成部を構成する前方カメラ74A、後方カメラ74B、左方カメラ74C、右方カメラ74Dの4つのカメラと、測位部76とを含んで構成されており、本実施の形態では、車両10はAT車である。
【0015】
複数の操作部材は、車両10の運転を行なうために運転者が操作する部材であり、本実施の形態では、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18(セレクトレバー)、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30である。
なお、以下の図面では、符号FRは車両前方、符号INは車幅方向内方、符号OUTは車幅方向外方、符号UPは車両上方を示す。
【0016】
エンジンスイッチ14は、車両10に搭載されているエンジンの始動、停止を操作するものであり、例えば、図3(A)、(B)に示すように、ステアリングコラム1002(コラムカバー)に設けられている。
エンジンスイッチ14は、押圧される押しボタン1402を備えている。
押しボタン1402は、常時突出した突出位置に付勢され、押圧操作されることで突出位置から没入位置に移動し、これによりエンジンの始動、停止が操作される。
【0017】
ハンドル16は、車両10の操舵を行なうために回転操作する部材である。
図4(A)、(B)に示すように、ハンドル16は、断面が円形状で円環状に延在するハンドル本体1602と、ハンドル本体1602のハンドルシャフト1604と、ハンドルシャフト1604とハンドル本体1602とを接続するスポーク1606とを備えている。
また、ハンドルシャフト1604はステアリングコラム1002(図3(A)参照)によって覆われている。
【0018】
シフトレバー18は、車両10のトランスミッションを変速させるために揺動操作する部材である。
図5(A)、(B)に示すように、シフトレバー18は、センターコンソール1004から車両前後方向に揺動可能に設けられた揺動軸1802と、揺動軸1802の先端に設けられ手により把持される被把持部1804(シフトノブ)とを備えている。
シフトレバー18のシフト位置は、例えば、P(パーキング)レンジ、R(リバース)レンジ、N(ニュートラル)レンジ、D(ドライブ)レンジである。
Pレンジは駐車時に選択され、Pレンジが選択されることでトランスミッションのギアがロックされる。
Rレンジは、車両の後進時に選択される。
Nレンジは、故障時に牽引される場合などに選択され、Nレンジが選択されることでエンジンの動力が駆動輪に伝達されない。
Dレンジは、車両の前進時に選択される。
操作ボタン20は、被把持部1804の車幅方向の外側の箇所に設けられ、シフトレバー18の位置がロックされている際にロックを解除するために押圧操作するものである。
操作ボタン20は常時突出した突出位置に付勢され、押圧されることで突出位置から没入位置に移動され、これによりシフトレバー18の位置のロックが解除される。
【0019】
ブレーキペダル22は、車両10の制動を行なうためのものである。
図6(A)に示すように、ブレーキペダル22は、車室空間とエンジンルームとを仕切るダッシュパネル1006の下部に取り付けられた不図示のブラケットに支軸2202を介して揺動可能に設けられたペダルアーム2204と、ペダルアーム2204の下端に設けられ運転者の足裏が当接するペダル踏面部2206とを備えている。
【0020】
アクセルペダル24は、車両10のエンジンの回転数を制御するためのものである。
図6(B)に示すように、アクセルペダル24は、ブレーキペダル22と同様に、ダッシュパネル1006の下部に取り付けられた不図示のブラケットに支軸2402を介して揺動可能に設けられたペダルアーム2404と、ペダルアーム2404の下端に設けられ運転者の足裏が当接するペダル踏面部2406とを備えている。
【0021】
パーキングブレーキペダル26は、車両10の駐車時の制動を行なうためのものである。
図6(C)に示すように、パーキングブレーキペダル26は、ブレーキペダル22と同様に、ダッシュパネル1006の下部に取り付けられた不図示のブラケットに支軸2602を介して揺動可能に設けられたペダルアーム2604と、ペダルアーム2604の下端に設けられ運転者の足裏が当接するペダル踏面部2606とを備えている。
【0022】
ウィンカーレバー28は、車両10の方向指示器を操作するためのものである。
図7(A)、(B)に示すように、ウィンカーレバー28は、ハンドル16近傍のステアリングコラム1002の車幅方向外側の箇所から車幅方向外側で斜め上方に向かって延在し、上下方向に揺動可能に設けられたレバー本体2802を備えている。
ウィンカーレバー28は、中立位置から上方に揺動すると、左側の方向指示器が点滅し、ウィンカーレバー28を中立位置から下方に揺動すると、右側の方向指示器が点滅し、中立位置では左右の方向指示器が滅灯する。
【0023】
ライトスイッチ30は、車両10の前照灯、スモールライトの点灯、滅灯を操作するためのものである。
図7(A)、(B)に示すように、ライトスイッチ30は、レバー本体2802の先端にレバー本体2802と一体的に揺動可能に、かつ、レバー本体2802の中心軸を中心として回動可能に設けられている。
ライトスイッチ30は、前照灯の点灯位置、スモールライトの点灯位置、前照灯およびスモールライトの滅灯位置の3つの位置に回転可能である。
【0024】
複数のアクチュエータは、上述した複数の操作部材を操作するものである。
図1に示すように、本実施の形態では、以下に示す9つのアクチュエータが設けられている。
1)エンジンスイッチ14を操作する第1アクチュエータ32。
2)ハンドル16を操作する第2アクチュエータ34。
3)シフトレバー18を操作する第3アクチュエータ36。
4)操作ボタン20を操作する第4アクチュエータ38。
5)ブレーキペダル22を操作する第5アクチュエータ40。
6)アクセルペダル24を操作する第6アクチュエータ42。
7)パーキングブレーキペダル26を操作する第7アクチュエータ44。
8)ウィンカーレバー28を操作する第8アクチュエータ46。
9)ライトスイッチ30を操作する第9アクチュエータ48。
【0025】
図3(A)、(B)に示すように、第1アクチュエータ32は、直動式シリンダ32A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体3202と、シリンダ本体3202に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体3202に組み込まれたピストンロッド3204とを備えている。
直動式シリンダ32Aは、運転席に着座した運転者によるエンジンスイッチ14の手動操作を妨げない箇所(ステアリングコラム1002)にブラケットB1を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体3202は、ピストンロッド3204の出没方向を車幅方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド3204の先端には、ゴムなどの弾性体からなるカバー3206が装着され、ピストンロッド3204の先端はカバー3206を介してエンジンスイッチ14の押しボタン1402の表面に当接可能に設けられ、これにより押しボタン1402の保護が図られている。
したがって、車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体3202に対してピストンロッド3204が出没し、押しボタン1402が押圧されることで、エンジンの始動、停止が操作される。
また、車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、エンジンスイッチ14の手動操作が可能となっている。
すなわち、押しボタン1402は常時突出位置に付勢されているため、モータがサーボフリーとなることで、突出位置に付勢された押しボタン1402によりピストンロッドは後退し、エンジンスイッチ14の手動操作が可能となっている。
【0026】
図4(A)、(B)に示すように、第2アクチュエータ34は、モータ3402と駆動ローラ3404とを含んで構成されている。
モータ3402と駆動ローラ3404は、運転席に着座した運転者によるハンドル16の手動操作を妨げない箇所(インストルメントパネル)に不図示のブラケットを介して着脱可能に設けられている。
モータ3402は、インストルメントパネルに取着された状態でその駆動軸3406をハンドル16のハンドルシャフト1604とほぼ直交させるように配置されている。
駆動ローラ3404は、駆動軸3406の先端に取着されている。
駆動ローラ3404は、ハンドル本体1602の周方向の一部の車両前方で斜め下方に配置され、ハンドル本体1602に係合し、駆動ローラ3404が回転されることによりハンドル本体1602の回動を可能とする。
駆動ローラ3404は、ハンドル本体1602のうち車体の前方で斜め下方に向いた面に係合する凹溝3408を備え、モータ3402の回転駆動力が駆動ローラ3404の凹溝3408を介してハンドル本体1602に効率よく伝達されるように図られている。
【0027】
モータ3402は、車両側制御装置12から駆動信号が供給されることにより駆動軸3406、駆動ローラ3404を介してハンドル16を正逆回転させる。
したがって、モータ3402が正逆回転することにより駆動ローラ3404によりハンドル本体1602が正逆方向に回転され、車両10の転舵角の調整がなされる。
また、車両側制御装置12によってモータ3402に供給される駆動信号がオフとされることでモータ3402はサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ハンドル16の手動操作が可能となっている。
【0028】
図5(A)、(B)に示すように、第3アクチュエータ36は、直動式シリンダ36A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体3602と、シリンダ本体3602に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体3602に組み込まれたピストンロッド3604とを備えている。
直動式シリンダ36Aは、運転席に着座した運転者によるシフトレバー18の手動操作を妨げない箇所(センターコンソール1004)に不図示のブラケットを介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体3602は、ピストンロッド3604の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド3604の先端は、シフトレバー18の揺動軸1802の長手方向の中間部に連結部3606の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体3602に対してピストンロッド3604が出没し、シフトレバー18が各シフト位置にわたって傾倒され、これにより、トランスミッションの変速がなされる。
また、車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、シフトレバー18の手動操作が可能となっている。
【0029】
図5(B)に示すように、第4アクチュエータ38は、直動式シリンダ38A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体3802と、シリンダ本体3802に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体3802に組み込まれたピストンロッド3804とを備えている。なお、図5(A)において第4アクチュエータ38は図示を省略している。
直動式シリンダ38Aは、運転席に着座した運転者による操作ボタン20の手動操作を妨げない箇所(シフトレバー18の揺動軸1802)にブラケットB2を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体3802は、ピストンロッド3804の出没方向を車幅方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド3804の先端には、ゴムなどの弾性体からなるカバー3806が装着され、ピストンロッド3804の先端はカバー3806を介して操作ボタン20の表面に当接可能に設けられ、これにより操作ボタン20の保護が図られている。
したがって、車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体3802に対してピストンロッド3804が出没し、操作ボタン20が押圧されることで、シフトレバー18の位置のロック、解除が操作される。
また、車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、操作ボタン20の手動操作が可能となっている。
すなわち、操作ボタン20は常時突出位置に付勢されているため、モータがサーボフリーとなることで、突出位置に付勢された操作ボタン20によりピストンロッドは後退し、操作ボタン20の手動操作が可能となっている。
【0030】
図6(A)に示すように、第5アクチュエータ40は、直動式シリンダ40A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体4002と、シリンダ本体4002に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4002に組み込まれたピストンロッド4004とを備えている。
直動式シリンダ40Aは、運転席に着座した運転者によるブレーキペダル22の手動操作(踏み込み操作)を妨げない箇所(ダッシュパネル1006)にブラケットB3を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4002は、ピストンロッド4004の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド4004の先端は、ペダルアーム2604の長手方向の中間部に連結部4006の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4002に対してピストンロッド4004が出没し、ペダルアーム2604が揺動され、これにより、車両10の制動がなされる。
また、車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ブレーキペダル22の手動操作が可能となっている。
【0031】
図6(B)に示すように、第6アクチュエータ42は、直動式シリンダ42A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体4202と、シリンダ本体4202に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4202に組み込まれたピストンロッド4204とを備えている。
直動式シリンダ42Aは、運転席に着座した運転者によるアクセルペダル24の手動操作(踏み込み操作)を妨げない箇所(ダッシュパネル1006)にブラケットB4を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4202は、ピストンロッド4204の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド4204の先端は、ペダルアーム2604の長手方向の中間部に連結部4206の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4202に対してピストンロッド4204が出没し、ペダルアーム2404が揺動され、これにより、車両10のエンジンの回転制御がなされる。
また、車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、アクセルペダル24の手動操作が可能となっている。
【0032】
図6(C)に示すように、第7アクチュエータ44は、直動式シリンダ44A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体4402と、シリンダ本体4402に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4402に組み込まれたピストンロッド4404とを備えている。
直動式シリンダ44Aは、運転席に着座した運転者によるパーキングブレーキペダル26の手動操作(踏み込み操作)を妨げない箇所(ダッシュパネル1006)にブラケットB5を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4402は、ピストンロッド4404の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド4404の先端は、ペダルアーム2604の長手方向の中間部に連結部4406の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4402に対してピストンロッド4404が出没し、ペダルアーム2604が揺動され、これにより、車両10の駐車時の制動、制動解除がなされる。
また、車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、パーキングブレーキペダル26の手動操作が可能となっている。
【0033】
図7(A)、(B)に示すように第8アクチュエータ46は、直動式シリンダ46A(直動式電気シリンダ)で構成され、シリンダ本体4602と、シリンダ本体4602に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4602に組み込まれたピストンロッド4604とを備えている。
直動式シリンダ46Aは、運転席に着座した運転者によるウィンカーレバー28の手動操作(揺動操作)を妨げない箇所(ステアリングコラム1002)にブラケットB6を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4602は、ピストンロッド4604の出没方向を上下方向に合致させて配置されている。
ピストンロッド4604の先端は、ウィンカーレバー28のレバー本体2802の長手方向の中間部に連結部4606の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4602に対してピストンロッド4604が出没し、ウィンカーレバー28が揺動され、これにより、車両10の方向指示器の点滅、滅灯が制御される。
また、車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ウィンカーレバー28の手動操作が可能となっている。
【0034】
図7(A)、(B)に示すように第9アクチュエータ48は、直動式シリンダ48A(直動式電気シリンダ)と、回転部材49とを含んで構成されている。
直動式シリンダ48Aは、シリンダ本体4802と、シリンダ本体4802に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体4802に組み込まれたピストンロッド4804とを備えている。
直動式シリンダ48Aは、運転席に着座した運転者によるライトスイッチ30の手動操作を妨げない箇所(ウィンカーレバー28)にブラケットB7を介して着脱可能に設けられている。
シリンダ本体4802は、ピストンロッド4804の出没方向を車両前後方向に合致させて配置されている。
回転部材49は、円環状を呈し、ライトスイッチ30の外周を挟持してライトスイッチ30と一体回転可能に取り付けられ、回転部材49の周方向から半径方向外側に連結片4902が突設されている。
直動式シリンダ48Aのピストンロッド4804の先端は、回転部材49に連結片4902の不図示の球面軸受を介して連結されている。
したがって、車両側制御装置12によってモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体4802に対してピストンロッド4804が出没し、ライトスイッチ30が回動され、これにより、車両10の前照灯、スモールライトの点灯、滅灯が制御される。
また、車両側制御装置12によってモータに供給される駆動信号がオフとされることでモータはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ライトスイッチ30の手動操作が可能となっている。
【0035】
前方カメラ74Aは、車両10の前方を撮像して画像情報を生成するものである。
後方カメラ74Bは、車両10の後方を撮像して画像情報を生成するものである。
左方カメラ74Cは、車両10の左方を撮像して画像情報を生成するものである。
右方カメラ74Dは、車両10の右方を撮像して画像情報を生成するものである。
それら4つの画像情報は、車両側通信部60から遠隔操作装置45Aの遠隔制御側通信部58に無線回線を介して送信される。
なお、画像情報は、動画であっても一定の時間間隔で生成された静止画であってもよい。
【0036】
測位部76は、測位衛星から受信した測位信号に基づいて車両10の位置を測位し測位情報を生成するものである。
このような測位衛星は、GPS、GLONASS、Galileo、準天頂衛星(QZSS)等のGNSS(Global Navigation Satellite System:全球測位衛星システム)で用いられるものであり、それら測位システムで使用される測位衛星の1つを用いてもよく、あるいは、2つ以上の測位衛星を組み合わせて用いても良い。
測位部76で生成された測位情報は、車両側通信部60から遠隔操作装置45Aの遠隔制御側通信部58に無線回線を介して送信される。
【0037】
次に、図2を参照して、遠隔操作装置45について詳細に説明する。なお、車両側制御装置12については後述する。
遠隔操作装置45は、第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iと、第1~第9角度センサ52A~52Iと、モード切替スイッチ54と、操作入力部78と、地図データベース80と、表示部82と、遠隔制御側制御部56と、遠隔制御側通信部58と、を含んで構成されている。
第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iは、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を遠隔制御するための揺動操作がなされる遠隔制御用の操作部材(ジョイスティック)で構成されている。
第1~第9角度センサ52A~52Iは、第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iに対応して設けられ、第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iの操作位置に対応する角度を示す検知信号を出力するものである。
【0038】
モード切替スイッチ54は、後述する遠隔制御モードと、手動操作モードとを切り替える際に切り替え操作されるものであって、操作位置に対応する操作を示す操作信号を出力する。
【0039】
操作入力部78は、遠隔操作を行なう操縦者の操作を受け付けるものであり、例えば、表示部82の表示面に設けられたタッチパネルや表示部82とは独立して設けられたキースイッチで構成されている。
操作入力部78は、操作に応じて後述する報知部56Bに対して表示部82で表示する情報の切り替えを指示するものである。
【0040】
地図データベース80は、車両10が走行する場所を含む地図情報を格納しており、地図情報は地球上の測位情報(位置情報)と関連付けられている。
地図情報は、道路、交差点、信号機などの車両が走行するために必要な情報、および、車両10が出発地あるいは目的地とする店鋪や施設、集合住宅などの情報、山や河川、港などの地形を示す情報などを含んでいる。
【0041】
表示部82は、後述する報知部56Bの制御に基づいて、車両10の周辺の画像情報を表示し、また、遠隔制御側通信部58で受信された測位情報に基づいて地図データベース80から読み出された地図情報上に車両10の位置を表示する。
【0042】
遠隔制御側制御部56は、CPU(Central Processing Unit)、制御プログラムなどを格納・記憶するROM(Read Only Memory)、制御プログラムの作動領域としてのRAM(Random Access Memory)、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、第1~第9角度センサ52A~52I、モード切替スイッチ54、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
遠隔制御側制御部56は、上記制御プログラムを実行することにより指令情報生成部56Aと、報知部56Bとして機能する。
指令情報生成部56Aは、第1~第9角度センサ52A~52Iから供給される検知信号に基いて遠隔操作指令情報を生成するものである。
また、指令情報生成部56Aは、モード切替スイッチ54から供給される操作信号に基いてモード切替指令情報を生成するものである。
【0043】
報知部56Bは、車両側通信部60から無線回線を介して送信された画像情報を表示部82に表示させ、また、車両側通信部60から無線回線を介して送信された測位情報に基づいて地図データベース80から地図情報を読み出し、測位情報に基づいてその地図情報上に車両10の現在位置を示すアイコンを重ね合わせて表示部82に表示させる。
また、報知部56Bは、操作入力部78の操作に応じて画像情報および地図情報を表示部82に表示させる。
【0044】
図8に示す表示例では、表示部82の表示画面8202が左右に2分割され、表示画面8202の左側に前方の画像情報Dgが、右側に地図情報Dmがそれぞれ表示されており、図中、符号84Aは道路を示し、符号84Bは車両10の進行方向と位置を示す矢印アイコンである。
画像情報Dgの表示は、車両10の前方、後方、左方、右方の画像情報Dgのうち、前方の画像情報Dgのみを常時表示するようにしておき、操作入力部78の操作に応じて後方、左方、右方の画像情報Dgから選択した画像情報Dgを切り替えて表示するようにしてもよい。あるいは、前方、後方、左方、右方の全てあるいは前方、後方、左方、右方から選択された2つ以上の画像情報Dgを表示させるようにしてもよい。
なお、画像情報Dgと地図情報Dmの表示形態は、本例に限定されるものではない。
例えば、表示画面8202の大半に画像情報Dgを表示させると共に、表示画面8202の片隅に地図情報Dmを小さい表示面積で表示させるといった表示形態など、従来公知の様々な表示形態が採用可能である。
【0045】
遠隔制御側通信部58は、後述する車両側通信部60と無線回線を介して通信可能に構成され、指令情報生成部56Aで生成された遠隔操作指令情報、モード切替指令情報を車両側通信部60に無線回線を介して送信し、車両側通信部60から送信された画像情報、測位情報を受信するものである。
【0046】
また、遠隔制御側通信部58は、利用者の所持する携帯端末100と無線回線を介して通信可能に構成されており、遠隔操作モードが選択され、送信した遠隔操作指令情報に基づいて複数の操作部材が操作され車両10が走行している場合、車両10から受信した測位情報に基づく車両10の位置、地図情報上に車両10の位置を表示した車両位置情報を、利用者の所持する携帯端末に送信する。
ここで、利用者の所持する携帯端末100は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、表示部などの出力装置、周辺回路等とインターフェースをとるインターフェース部などを含む通常のコンピュータを利用した構成となっており、CPUがROMに格納された制御プログラムを実行することにより表示処理などの各種処理が実行される。
本実施の形態の携帯端末100は、例えばスマートフォンやタブレット端末であって、遠隔操作装置45Aから車両10の位置、地図情報上に車両10の位置を表示した車両位置情報を受信すると、車両10の位置を「〇〇県△△市〇〇町」などの文字で表示したり、地図情報Dm(図8参照)に車両10の位置を表示する。
これにより、例えば、車両10を運転していた利用者が、操縦者(他の利用者)に車両10の遠隔操作を依頼して車両10から離れた場合でも、車両10の位置を把握することができる。
【0047】
なお、遠隔操作装置45Aは以下のように構成してもよい。
すなわち、車両10を遠隔操作する操縦者がいる室内に、車両10と同様の運転席を設けると共に、運転席の前方に大きな表示部82を設ける。
遠隔操作装置45Aの第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iに代えて、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30に模した遠隔操作部材を運転席の近傍にそれぞれ設ける。
第1~第9角度センサ52A~52Iに代えてそれら各遠隔操作部材の操作量を検出する第1~第9操作量検出センサを設ける。
指令情報生成部56は、第1~第9操作量検出センサで検出された操作量に基づいて遠隔操作指令情報を生成する。
このようにすると、あたかも実際の車両10を運転操作するのと同じ操作で車両10の遠隔操作を行なうことができ、車両10を遠隔操作する際の操作性の向上を図る上で有利となる。
【0048】
図1に戻り、車両側制御装置12は、車両側通信部60と、第1~第9検出部62A~62Iと、サーボ制御部64と、制御部66とを含んで構成されている。
車両側通信部60は、遠隔制御側通信部58と無線回線を介して通信可能に構成され、遠隔操作装置45から送信された遠隔操作指令情報、モード切替指令情報を受信する。
また、車両側通信部60は、前方カメラ74A、後方カメラ74B、左方カメラ74C、右方カメラ74Dで生成された画像情報、および測位部76で生成された測位情報を遠隔操作装置45に送信する。
【0049】
第1~第9検出部62A~62Iは、第1~第9アクチュエータ32~48によるエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30の操作量を検出するものである。
すなわち、第1検出部62Aは、第1アクチュエータ32(直動式の電気シリンダ)30のピストンロッド3204の移動量を操作量として検出する。
第2検出部62Bは、第2アクチュエータ34(モータ)の駆動軸3406の回転量(角度)を操作量として検出する。
第3検出部62Cは、第3アクチュエータ36(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド3604の移動量を操作量として検出する。
第4検出部62Dは、第4アクチュエータ38(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド3804の移動量を操作量として検出する。
第5検出部62Eは、第5アクチュエータ40(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド4004の移動量を操作量として検出する。
第6検出部62Fは、第6アクチュエータ42(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド4204の移動量を操作量として検出する。
第7検出部62Gは、第7アクチュエータ44(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド4404の移動量を操作量として検出する。
第8検出部62Hは、第8アクチュエータ46(直動式の電気シリンダ)のピストンロッド4604の移動量を操作量として検出する。
第9検出部62Iは、第9アクチュエータ(直動式の電気シリンダ)48のピストンロッド4804の移動量を操作量として検出する。
【0050】
サーボ制御部64は、操作部材制御部66Aの制御により第1~第9検出部62A~62Iでそれぞれ検出された操作量に基づいて第1~第9アクチュエータ32~48のサーボ制御をそれぞれ行なう。
【0051】
制御部66は、CPU、制御プログラムなどを格納・記憶するROM、制御プログラムの作動領域としてのRAM、各種データを書き換え可能に保持するEEPROM、第1~第9検出部62A~62I、サーボ制御部64、周辺回路等とのインターフェースをとるインターフェース部などを含んで構成される。
制御部66は、上記制御プログラムを実行することにより操作部材制御部66Aとして機能する。
【0052】
操作部材制御部66Aは、車両側通信部60を介して受信した遠隔操作指令情報に基いて、第1~第9検出部62A~62Iの検出結果を監視しつつ、サーボ制御部64を制御することで第1~第9アクチュエータ32~48を駆動制御してエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を動かして操作するものである。
【0053】
また、操作部材制御部66Aは、遠隔操作装置45のモード切替スイッチ54の操作によって、遠隔制御側制御部56で生成されたモード切替指令情報を、遠隔制御側通信部58、車両側通信部60を介して受信することで、遠隔制御モードと、手動操作モードとに選択可能に構成されている。
操作部材制御部66Aは、モード切替指令情報に応じて遠隔制御モードに設定された場合は、遠隔操作装置45の操作に応じて遠隔制御を行う。
すなわち、操作部材制御部66Aは、遠隔操作指令情報に基いて第1~第9アクチュエータ32~48を制御してエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を操作する。
【0054】
また、操作部材制御部66Aは、モード切替指令情報に応じて手動操作モードに設定された場合は、サーボ制御部64を制御して第1~第9アクチュエータ32~48の各モータへの駆動信号をオフとすることで、すなわち、サーボ制御64のサーボ制御を無効とすることで、第1~第9アクチュエータ32~48をサーボフリーとしてエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30の手動操作を可能とする。
なお、モード切替スイッチ54を車両側制御装置12に設け、モード切替スイッチ54の操作を受け付けた操作部材制御部66Aが遠隔制御モードと、手動操作モードとを選択するようにしてもよい。
【0055】
次に、本実施の形態の車両の遠隔制御システムを用いて車両10を遠隔制御する場合について説明する。
なお、予め、車両側制御装置12はモード切替スイッチ54により遠隔操作モードに設定されているものとする。
また、操縦者は車両10から離れた場所にいて、例えば、図8に示すような表示部82に表示される前方カメラ74Aで撮像された画像情報Dgと、車両10の現在位置が矢印アイコン84Bで表示された地図情報Dmとを視認しつつ、遠隔操作装置45Aを操作することで車両10を遠隔操作し、目的地へ向かって走行させるものとする。
【0056】
まず、操縦者が表示部82に表示された画像情報Dgおよび地図情報Dmにより車両10の位置を確認しながら、遠隔操作装置45の第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iを操作すると、指令情報生成部56Aが第1~第9角度センサ52A~52Iで検出された検知信号に基いて遠隔操作指令情報を生成する。
遠隔操作指令情報は、無線回線を介して遠隔制御側通信部58から車両側通信部60に無線回線を介して送信される。
【0057】
車両10では、車両側通信部60を介して受信された遠隔操作指令情報が操作部材制御部66Aに供給され、操作部材制御部66Aは、遠隔操作指令情報に基いて、第1~第9検出部62A~62Iの検出結果を監視しつつ、サーボ制御部64を制御することで第1~第9アクチュエータ32~48を駆動制御してエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を操作させる。
すなわち、第1アクチュエータ32によってエンジンスイッチ14が操作されることにより、エンジン1404の停止、始動がなされる。
また、第2アクチュエータ34によってハンドル16が操作されることにより、車両10の転舵角の調整が行なわれ、車両10が操舵される。
また、第3アクチュエータ36によってシフトレバー18が操作され、また、第4アクチュエータ38によって操作ボタン20が操作されることにより、車両10のトランスミッションの変速が行なわれる。
また、第5アクチュエータ40によってブレーキペダル22が操作されることにより、車両10の制動がなされる。
また、第6アクチュエータ42によってアクセルペダル24が操作されることにより、車両10のエンジンの回転数の制御が行なわれる。
また、第7アクチュエータ44によってパーキングブレーキペダル26が操作されることにより、車両10の駐車時の制動がなされる。
また、第8アクチュエータ46によってウィンカーレバー28が操作されることにより、車両10の方向指示器が制御される。
また、第9アクチュエータ48によってライトスイッチ30が操作されることにより、車両10の前照灯、スモールライトの点灯、滅灯が制御される。
これにより、車両10は走行する。
【0058】
次に、本実施の形態の車両の遠隔制御システムを用いて車両10に乗車した運転者(利用者)がエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を手動操作する場合について説明する。
なお、予め、車両側制御装置12はモード切替スイッチ54により手動操作モードに設定されているものとする。
運転席に着座した運転者の手動操作によって、エンジンスイッチ14が押圧操作されることで、エンジン1404の停止、始動がなされる。
また、運転者の手動操作によって、ハンドル16が操作されることによって、車両10が操舵される。
また、運転者の手動操作によって、シフトレバー18および操作ボタン20が操作されることによって、車両10のトランスミッションの変速がなされる。
また、運転者の手動操作によって、ブレーキペダル22が操作されることによって、車両10の制動がなされる。
また、運転者の手動操作によって、アクセルペダル24が操作されることによって、車両10のエンジンの回転数の制御が行なわれる。
また、運転者の手動操作によって、パーキングブレーキペダル26が操作されることによって、車両10の駐車時の制動が行なわれる。
また、運転者の手動操作によって、ウィンカーレバー28が操作されることによって、車両10の方向指示器の操作が行なわれる。
また、運転者の手動操作によって、ライトスイッチ30が操作されることにより、車両10の前照灯、スモールライトの点灯、滅灯が制御される。
この際、第1~第9アクチュエータ32~48はサーボフリーとされているため、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30の手動操作は妨げられない。
このようにして運転者は通常の車両と同様に手動操作によって車両10を走行させることができる。
【0059】
次に、このような車両10を、ある会社Aの社員である利用者Xが使う場合について説明する。
以下では、一例として、会社Aに勤務する利用者Xが他県の事業所Bまで車両10で向かって用事を済ませた後、別の事業所Cで不測の事態が発生した知らせを受け急遽事業所Cに向かうことになったが、時間短縮のため電車により事業所Cに向かう場合について説明する。なお、遠隔操作装置45Aは、会社A内に置いてあるものとする。
【0060】
まず、利用者はモード切替スイッチ54により手動操作モードに設定し、第1~第9アクチュエータ32~48を収納ボックスに入れトランクに収容する。
利用者Xは運転席に着座し、エンジンスイッチ14、ハンドル16、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を手動操作して車両10を走行させ、会社Aの駐車場から他県の事業所Bの駐車場まで移動する。
利用者Xが事業所Bで用事を済ませると、会社Aから事業所Cで不測の事態が発生したため電車で向かうよう指示を受けたため、会社A内にいる社員Yに事業所Cに向かい用事を済ませる間に車両10の事業所Cへ移動してもらうよう依頼する。
そして、利用者Xはトランクにある収納ボックスから第1~第9アクチュエータ32~48を取り出し、車両10に取り付け、電車で事業所Cに向かう。
【0061】
依頼を受けた社員Y(操縦者)が遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作することにより、車両側制御装置12が遠隔操作モードに設定される。
社員Yが表示部82に表示された画像情報Dgおよび地図情報Dmにより車両10の位置を確認しながら、事業所Bの駐車場から事業所Cの駐車場に向かうよう遠隔操作装置45の第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iを操作すると、遠隔操作装置45Aの指令情報生成部56Aが第1~第9角度センサ52A~52Iで検出された検知信号に基いて遠隔操作指令情報を生成する。
遠隔制御側通信部58は、生成された遠隔操作指令情報を車両10の車両側通信部60に送信する。
【0062】
車両側通信部60が遠隔操作指令情報を受信すると、操作部材制御部66Aは、遠隔操作指令情報に基いて、第1~第9検出部62A~62Iの検出結果を監視しつつ、サーボ制御部64を制御することで第1~第9アクチュエータ32~48を駆動制御してエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を操作させて車両10を走行させ、事業所Bの駐車場から事業所Cの駐車場に移動させる。
車両10が事業所Bから事業所Cへ向かう移動中、遠隔制御側通信部58は、利用者Xの所持する携帯端末100に、車両10の位置や地図情報上に車両10の位置を表示した車両位置情報を送信する。携帯端末100では、車両10の位置や車両位置情報が表示される。
そして、車両10が事業所Cの駐車場に到着したならば、社員Yは、駐車場内の所定の位置に車両10を移動させ、エンジン1404を停止させ車両10を停車させる。
車両10を停車させたら、社員Yが遠隔操作装置45Aのモード切替スイッチ54を操作することにより、車両側制御装置12が手動操作モードに設定される。
【0063】
利用者Xは、事業所Cで用事を済ませると、所持する携帯端末100で車両10の位置を確認する。車両10が事業所Cの駐車場に移動されていれば、利用者Xは再度車両10の運転席に着座して、事業所Bに向かう時と同様に、エンジンスイッチ14、ハンドル16、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を手動操作して車両10を走行させ、事業所Cの駐車場から会社Aの駐車場まで移動し、会社Aに戻る。
この時、第1~第9アクチュエータ32~48は、手動操作を妨げない箇所に取り付けられているため、取り外さなくてよい。
【0064】
なお、利用者X自身も遠隔操作装置45Aを所持していてもよく、これにより車両10を手動操作により運転して走行させることができるとともに、車両10を視認しながら遠隔操作により走行させることもできる。
すなわち、上記の例を用いて説明すると、利用者Xは、会社Aから事業所Bに向かう場合に車両10を遠隔操作モードに設定し、自身は駐車場の車両10が視認できる場所、例えば会社Aの玄関前の停車スペース付近に移動する。そして利用者Xは、遠隔操作装置45Aを操作することで、車両10を視認しながら車両10を駐車場から停車スペースまで走行させ、車両10を手動操作モードに設定する。
そして、上記のように利用者Xが手動操作して車両10を走行させ、会社Aから事業所Bまで移動していく。
【0065】
このように、本実施の形態によれば、運転者によって操作される車両10の運転を行なうための複数の操作部材をそれぞれ操作する第1~第9アクチュエータ32~48を、運転席に着座した運転者による複数の操作部材の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設け、操作部材制御部66Aの遠隔操作モードを選択することで、遠隔操作指令情報に基いて第1~第9アクチュエータ32~48を制御して複数の操作部材であるエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を操作することによって、車両10を遠隔制御することができるようにし、操作部材制御部66Aの手動操作モードを選択することで、第1~第9アクチュエータ32~48をサーボフリーとしてエンジンスイッチ14(イグニッションキー2004)、ハンドル16、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を運転席に着座した運転者が手動操作できるようにした。また、車両10に、車両10の周辺を撮像して画像情報を生成する前方カメラ74A、後方カメラ74B、左方カメラ74C、および右方カメラ74Dを設け、遠隔操作装置45Aに車両10から受信した画像情報を表示する表示部82を設けた。
したがって、車両10に第1~第9アクチュエータ32~48を取り付けることで車両10を遠隔制御可能とすることができ、また、車両10を元の状態に戻すことなく運転席に着座して手動操作することができ、利便性を向上させる上で有利となる。
また、画像情報によって車両10の周辺の状況を把握しながら遠隔操作することができ、車両10から離れた場所から車両10を的確に遠隔制御する上で有利となる。
また、第1~第9アクチュエータ32~48は、運転席に着座した運転者によるエンジンスイッチ14(イグニッションキー2004)、ハンドル16、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30の手動操作を妨げない箇所に着脱可能に設けられているため、第1~第9アクチュエータ32~48の着脱を容易に行なうことができ、第1~第9アクチュエータ32~48のメンテンナンス作業を効率的に行なう上で有利となる。
すなわち、上述のように、利用者が運転する車両10で目的地まで向かい、何らかの理由で乗ってきた車両10ではなく電車などで戻ったり別の場所に向かう場合、車両10に第1~第9アクチュエータ32~48を取り付け、車両10から離れた場所にいる操縦者が画像情報により周辺の状況を把握しながら車両10を遠隔操作することで、車両10を戻したり別の場所に移動させることができるため、利便性を向上させる上で有利となる。また、第1~第9アクチュエータ32~48が手動操作を妨げない箇所に設けられているため、車両10を移動した後に利用者が再度運転することもでき、利便性を向上させる上で有利となる。
【0066】
また、本実施の形態では、サーボ制御部64は、第1~第9検出部62A~62Iでそれぞれ検出された操作量に基づいて第1~第9アクチュエータ32~48のサーボ制御をそれぞれ行ない、操作部材制御部66Aの遠隔操作モードは、サーボ制御部64を介して第1~第9アクチュエータ32~48をそれぞれ操作することでなされ、手動操作モードは、サーボ制御部64の制御動作を無効としそれら第1~第9アクチュエータ32~48をサーボフリーとすることでなされるようにした。
したがって、簡単な構成により遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替える上で有利となる。
なお、第1~第9アクチュエータ32~48と各操作部材とを係脱可能に、あるいは、接離可能に構成し、遠隔操作モードと手動操作モードとを切り替えるようにしてもよい。
しかしながら、その場合は、複数のアクチュエータや複雑な機構が必要となりコストがかさむ不利がある。
これに対して本実施の形態のように第1~第9アクチュエータ32~48のサーボ制御とサーボフリーとを切り替えるようにすれば足りるため、そのようなコストを抑制する上で有利となる。
【0067】
また、本実施形態では、車両10に、車両10の位置を測位して測位情報を生成する測位部76を設けるとともに、遠隔操作装置45Aに地図データベース80を設けると、表示部82により、測位情報に基づいて地図データベース80から読み出された地図情報上に車両10の位置を表示することができ、車両10の現在位置を把握することができ、車両10から離れた場所から車両10を的確に遠隔操作する上で有利となる。
【0068】
また、本実施形態では、遠隔操作モードが選択され、遠隔操作指令情報に基づいてエンジンスイッチ14(イグニッションキー2004)、ハンドル16、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30が操作されている場合、車両10の位置を利用者の所持する携帯端末100に送信するようにしたため、車両10から離れた場所にいる利用者が車両10の位置を把握でき、利便性を向上させる上で有利となる。
また、本実施形態では、遠隔操作モードが選択され、遠隔操作指令情報に基づいてエンジンスイッチ14(イグニッションキー2004)、ハンドル16、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30が操作されている場合、地図情報上に車両10の位置を表示した車両位置情報を利用者の所持する携帯端末100に送信するようにしたため、車両10から離れた場所にいる利用者が車両10の位置をさらに把握しやすく、利便性を向上させる上で有利となる。
したがって、手動操作モードで車両10を運転していた運転者(利用者)が車両10から離れた場所にいき、操縦者(他の利用者)が遠隔操作モードで車両10を走行させていた場合でも、運転者(利用者)が所持する携帯端末100により車両10の位置を把握することができる。
【0069】
また、本実施形態では、複数の操作部材は、エンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30を含み、第1~第9アクチュエータ32~48は、それらエンジンスイッチ14、ハンドル16(ステアリング)、シフトレバー18、操作ボタン20、ブレーキペダル22、アクセルペダル24、パーキングブレーキペダル26、ウィンカーレバー28、ライトスイッチ30に対応してそれぞれ設けられているため、車両10の遠隔制御を的確に行なう上で有利となる。
【0070】
また、本実施の形態では、第1アクチュエータ32は、エンジンスイッチ14に当接可能なピストンロッド3204と、ピストンロッド3204を揺動軸1802を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体3202とを備える直動式シリンダ32Aを含んで構成されているので、第1アクチュエータ32の構成の簡素化を図り、エンジンスイッチ14の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0071】
また、本実施の形態では、第2アクチュエータ34は、ハンドル16の周方向の一部に係合しハンドル16の回動を可能とした駆動ローラ3404と、駆動ローラ3404を回転駆動するモータ3402とを含んで構成されているので、第2アクチュエータ34の構成の簡素化を図り、ハンドル16の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0072】
また、本実施の形態では、第3アクチュエータ36は、シフトレバー18の揺動軸1802に結合されたピストンロッド3604と、ピストンロッド3604を揺動軸1802を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体3602とを備える直動式シリンダ36Aを含んで構成されているので、第3アクチュエータ36の構成の簡素化を図り、シフトレバー18の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0073】
また、本実施の形態では、第4アクチュエータ38は、シフトレバー18の操作ボタン20に当接可能なピストンロッド3804と、ピストンロッド3804を操作ボタン20を押圧させる方向に移動させるシリンダ本体3802とを備える直動式シリンダ38Aを含んで構成されているので、第4アクチュエータ38の構成の簡素化を図り、操作ボタン20の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0074】
また、本実施の形態では、第5アクチュエータ40は、ブレーキペダル22のペダルアーム2204に結合されたピストンロッド4004と、ピストンロッド4004をペダルアーム2604を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体4002とを備える直動式シリンダ40Aを含んで構成されているので、第5アクチュエータ40の構成の簡素化を図り、ブレーキペダル22の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0075】
また、本実施の形態では、第6アクチュエータ42は、アクセルペダル24のペダルアーム2404に結合されたピストンロッド4204と、ピストンロッド4204をペダルアーム2404を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体4202とを備える直動式シリンダ42Aを含んで構成されているので、第6アクチュエータ42の構成の簡素化を図り、アクセルペダル24の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0076】
また、本実施の形態では、第7アクチュエータ44は、パーキングブレーキペダル26のペダルアーム2604に結合されたピストンロッド4404と、ピストンロッド4404をペダルアーム2604を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体4402とを備える直動式シリンダ45Aを含んで構成されているので、第7アクチュエータ44の構成の簡素化を図り、パーキングブレーキペダル26の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0077】
また、本実施の形態では、第8アクチュエータ46は、ウィンカーレバー28に結合されたピストンロッド4604と、ピストンロッド4604をウィンカーレバー28を揺動させる方向に移動させるシリンダ本体4602とを備える直動式シリンダ46Aを含んで構成されているので、第8アクチュエータ46の構成の簡素化を図り、ウィンカーレバー28の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0078】
また、本実施の形態では、第9アクチュエータ48は、ライトスイッチ30に結合されたピストンロッド4804と、ピストンロッド4804をライトスイッチ30を回動させる方向に移動させるシリンダ本体4802とを備える直動式シリンダ48Aを含んで構成されているので、第9アクチュエータ48の構成の簡素化を図り、ライトスイッチ30の操作を的確に行なう上で有利となる。
【0079】
なお、第1の実施の形態では、第2アクチュエータ34が、ハンドル16の周方向の一部に係合しハンドル16の回動を可能とした駆動ローラ3404と、駆動ローラ3404を回転駆動するモータ3402とを含んで構成されている場合について説明したが、ハンドル16を回転駆動するアクチュエータとして以下に例示するように従来公知の様々な構成が使用可能である。
1)ハンドルシャフト1604にモータの駆動軸を結合し、モータの回転駆動力によってハンドルシャフト1604(ハンドル16)を回動させ操舵を行なう。
2)図4に示した駆動ローラ3404、モータ3402をハンドル本体1602の周方向に間隔をおいて複数設け、各駆動ローラ3404を各モータ3402で回転駆動させ、ハンドル16を回動させ操舵を行なう。
3)ハンドルシャフト1604の回転軸を中心として円環状に延在するリングをハンドルシャフト1604と一体回転可能に設け、リングの周方向の一部に係合しリングの回動を可能とした駆動ローラと、駆動ローラを回転駆動するモータとを設け、モータの回転駆動力によってリングを介してハンドル16を回動させ操舵を行なう。
4)ハンドルシャフト1604に従動スプロケットを設け、モータの駆動軸に駆動スプロケットを設け、従動スプロケットと駆動スプロケットとにチェーンをかけ回し、モータの回転駆動力により駆動スプロケット、チェーン、従動スプロケットを介してハンドルシャフト1604(ハンドル16)を回動させ操舵を行なう。
5)ハンドルシャフト1604に従動ピニオンを設け、モータの駆動軸に駆動ピニオンを設け、それら従動ピニオンと駆動ピニオンに噛合するラックを設け、モータの回転駆動力により駆動ピニオン、ラック、従動ピニオンを介してハンドルシャフト1604(ハンドル16)を回動させ操舵を行なう。
【0080】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態について図9図10を参照して説明する。
なお、以下の実施の形態の説明では、第1の実施の形態と同様な個所、部材に同一の符号を付してその説明を省略し、第1の実施の形態と異なった個所について重点的に説明する。
第2の実施の形態は、目的地を設定することで経路を探索し、探索された経路に基づいて道路案内を行えるようにしたものである。
第2の実施の形態では、車両10および車両側制御装置12の構成は第1の実施の形態と同様である。
【0081】
図9に示すように、地図データベース80は、第1の実施の形態で説明した地図情報Dmに加え、目的地を特定する目的地情報と、地図情報Dmとを関連付けて記憶している。
ここで目的地情報とは、目的地に紐付けられた店鋪の名称、施設の名称、住宅の名称、住所、電話番号などを含み、目的地情報に基づいて地図データベース80から目的地に対応した地図情報Dmを特定することが可能となる。
また、操作入力部78は、操作に応じて後述する目的地情報を入力し後述する位置情報特定部56Cに与える機能をさらに有している。
また、表示部82は、後述する経路探索部56Dで探索された走行経路に基づいて道路案内の表示を行なう機能をさらに有している。
【0082】
遠隔操作装置45Bの遠隔制御側制御部56は、制御プログラムを実行することにより司令情報生成部56A、報知部56Bに加え、位置情報特定部56C、経路探索部56Dとして機能する。
位置情報特定部56Cは、操作入力部78に入力された目的地情報に基づいて地図情報Dmから目的地の位置情報を特定するものである。
経路探索部56Dは、遠隔制御側通信部58で受信された測位情報と目的地の位置情報とに基づいて地図情報Dmから走行すべき走行経路を探索するものである。
【0083】
次に、このような遠隔操作装置45Bを用いて、車両10を遠隔操作する場合について具体的に説明する。
第1の実施の形態で記載した「ある会社Aの社員である利用者Xが使う場合」を用いて説明する。
【0084】
車両10を事業所Bから事業所Cまで移動させる依頼を受けた社員Y(操縦者)が遠隔操作装置45Bのモード切替スイッチ54を操作することにより、車両側制御装置12が手動操作モードから遠隔操作モードに切り替えられて設定される。
次いで、社員Yは、目的地である事業所Cに対応する目的地情報を、操作入力部78を操作して入力する。
これにより位置情報特定部56Cは、操作入力部78に入力された目的地情報に基づいて地図情報Dmから目的地の位置情報を特定する。
さらに、経路探索部56Dは、遠隔制御側通信部58で受信された測位情報と目的地の位置情報とに基づいて地図情報Dmから走行すべき走行経路を探索する。
すると、表示部82は、経路探索部56Dで探索された走行経路に基づいて道路案内の表示を行なう。
具体的には、図10に示すように、目的地が目的地アイコン86で示され、車両10の現在位置を示す矢印アイコン84が示され、目的地と現在地を結ぶ走行経路88が他の道路と異なる形態(色や太さ)で表示される。
【0085】
社員Yは、表示部82に表示される前方カメラ74A、後方カメラ74B、左方カメラ74C、右方カメラ74Dで撮像された画像情報Dgと地図情報Dmを用いた道路案内を視認しつつ、事業所Bの駐車場から事業所Cの駐車場に向かうよう遠隔操作装置45の第1~第9遠隔操作レバー50A~50Iを操作し、車両10を目的地(事業所C)へ向かって走行させる。
このように、表示部82で表示される画像情報Dgおよび地図情報Dmを用いた道路案内(走行経路88)に基づいて車両10を遠隔操作できるため、車両10から離れた会社A内にいる社員Yが車両10を遠隔操作しやすくなる。
【0086】
このように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態と同様の効果が奏されることは無論のこと、車両10から離れた場所にいる操縦者が遠隔操作して車両10を走行させる場合に、表示部82で表示される画像情報Dgおよび地図情報Dmを用いた道路案内(走行経路88)に基づいて操縦者の視界外で車両10を的確に遠隔操作できるため、車両10をより円滑にかつ短時間で目的地まで移動させることができる。
そのため、上記に挙げた例のように、利用者Xが事業所Bから事業所Cに電車で向かうことで、会社Aにいる社員Y(操縦者)が遠隔操作して事業所Bにある車両10を事業所Cまで移動させるような場合、表示部82で表示される画像情報Dgおよび地図情報Dmを用いた道路案内(走行経路88)に基づいて社員Yの視界外で車両10を的確に遠隔操作できるため、車両10をより円滑にかつ短時間で事業所Cまで移動させることができる。
【0087】
なお、第1、第2の実施の形態では、前方カメラ74A、後方カメラ74B、左方カメラ74C、右方カメラ74Dの4台のカメラを設けた場合について説明したが、カメラの数や配置は任意である。また、複数のカメラを設ける代わりに、撮像範囲が広範囲である全天球カメラや半天球カメラを用いるなど任意である。
【0088】
なお、第1、第2の実施の形態では、会社Aに勤務する利用者Xが運転した車両10を、会社Aの社員Y(操縦者)が遠隔操作装置45Aを用いて遠隔操作する場合について説明したが、車両10を遠隔操作する箇所は会社Aに限定されない。
例えば、予め、車両の遠隔操作を業務として行う会社Dが存在しているものとする。
会社Dには、車両10の遠隔操作が可能な遠隔操作装置45Aが設置されており、会社Dの社員Zにより、遠隔操作装置45Aを用いた車両10の遠隔操作が可能となっている。
そして、利用者Xが車両10を置いて電車により移動する必要が生じた場合は、電話やメールなどの通信手段によって会社Dに対して、事業所Bから事業所Cに車両10を遠隔操作によって移動することを依頼する。
依頼を受け付けた会社Dの社員Zは、依頼内容に基づいて遠隔操作装置45Aにより車両10を遠隔操作し、事業所Bから事業所Cに移動させる。
すなわち、車両10を遠隔操作する箇所は会社Aに限定されない。
【0089】
(第3の実施の形態)
次に、第3の実施の形態について図11(A)、(B)を参照して説明する。
第3の実施の形態は、第1の実施の形態の変形例であり、ハンドル16を操作する第2アクチュエータ90の構成が第1の実施の形態と異なっている。
【0090】
図11(A)、(B)に示すように、第2アクチュエータ90は、2つの直動式シリンダ90A、90B(直動式電気シリンダ)を含んで構成されている。
各直動式シリンダ90A、90Bは、シリンダ本体9002と、シリンダ本体9002に組み込まれたモータ(不図示)と、シリンダ本体9002に組み込まれたピストンロッド9004とを備えている。
図11(A)に示すように、ハンドル16の中立位置(転舵角が0度)に位置した状態で、ハンドル本体1602の上部に連結部92が取り付けられている。
連結部92には、ハンドルシャフト1604の中心軸と平行に延在するハンドル側支軸1610が車両10後方に向けて突設されている。
また、ハンドル16を車両10の後方から見た状態で、車幅方向でハンドル16を挟むインストルメントパネルの2箇所にハンドルシャフト1604の中心軸と平行に延在する車体側支軸1010A、1010Bがそれぞれ車両10後方に向けて突設されており、それら2つの車体側支軸1010A、1010Bは、ハンドルシャフト1604の中心軸を対称点として点対称な位置に不図示のブラケットを介して設けられている。
【0091】
2つの直動式シリンダ90A、90Bのうち一方の直動式シリンダ90Aは、そのシリンダ本体9002の基端が一方の車体側支軸1010Aを介して揺動可能に支持され、ピストンロッド9004の先端がハンドル側支軸1610に揺動可能に支持されている。
2つの直動式シリンダ90A、90Bのうち他方の直動式シリンダ90Bは、そのシリンダ本体9002の基端が他方の車体側支軸1010Bを介して揺動可能に支持され、ピストンロッド9004の先端がハンドル側支軸1610に揺動可能に支持されている。
したがって、各直動式シリンダ90A、90Bは、運転席に着座した運転者によるハンドル16の手動操作を妨げない箇所(インストルメントパネル)に着脱可能に設けられている。
【0092】
第3の実施の形態の制御系について図1を流用して説明すると、第2検出部62Bは、第2アクチュエータ90を構成する2つの直動式シリンダ90A、90Bのピストンロッド9004の移動量を操作量としてそれぞれ検出する。
サーボ制御部64は、操作部材制御部66Aの制御により第2検出部62Bでそれぞれ検出された操作量に基づいて第2アクチュエータ90(直動式シリンダ90A、90B)のサーボ制御をそれぞれ行なう。
具体的には、一方のピストンロッド9004が突出し、他方のピストンロッド9004が収縮することによって各直動式シリンダ90A、90Bは車体側支軸1010A、1010Bを支点としてそれぞれ揺動しつつ、各ピストンロッド9004からハンドル側支軸1610、連結部92を介してハンドル16に対して回転方向への力が作用し、これによりハンドル16が回転される。
遠隔操作モード時、車両側制御装置12によって各直動式シリンダ90A、90Bのモータに駆動信号が供給されることで、シリンダ本体9002に対してピストンロッド9004が出没し、ハンドル16が正逆回転されることで車両10の転舵角の調整がなされる。
手動操作モード時、車両側制御装置12によって各直動式シリンダ90A、90Bのモータに供給される駆動信号がオフとされることで各直動式シリンダ90A、90Bはサーボフリーとなり、運転席に着座した運転者は、ハンドル16の手動操作が可能となっている。
このような第3の実施の形態によっても第1の実施の形態と同様の効果が奏される。
【符号の説明】
【0093】
10 車両
12 車両側制御装置
14 エンジンスイッチ
1402 押しボタン
16 ハンドル(ステアリング)
1602 ハンドル本体
18 シフトレバー
1802 揺動軸
1804 被把持部
20 操作ボタン
22 ブレーキペダル
24 アクセルペダル
26 パーキングブレーキペダル
28 ウィンカーレバー
2802 レバー本体
30 ライトスイッチ
32 第1アクチュエータ
34 第2アクチュエータ
36 第3アクチュエータ
38 第4アクチュエータ
40 第5アクチュエータ
42 第6アクチュエータ
44 第7アクチュエータ
46 第8アクチュエータ
48 第9アクチュエータ
45、45A、45B 遠隔操作装置
50A~50I 第1~第9操作レバー
52A~52I 第1~第9角度センサ
54 モード切替スイッチ
56 制御部
56A 司令情報生成部
56B 報知部
58 遠隔制御側通信部
60 車両側通信部
74A 前方カメラ
74B 後方カメラ
74C 左方カメラ
74D 右方カメラ
76 測位部
78 操作入力部
80 地図データベース
82 表示部
8202 表示画面
Dg 画像情報
Dm 地図情報
84A 道路
84B 矢印アイコン
86 目的地アイコン
88 走行経路
90 第2アクチュエータ
100 携帯端末
図1
図2
図3
図4
図5
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図8
図9
図10
図11