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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】摺動部品
(51)【国際特許分類】
   F16J 15/34 20060101AFI20240716BHJP
   F16C 17/04 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
F16J15/34 G
F16J15/34 K
F16C17/04 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022510612
(86)(22)【出願日】2021-03-24
(86)【国際出願番号】 JP2021012316
(87)【国際公開番号】W WO2021193743
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-09-19
(31)【優先権主張番号】P 2020055785
(32)【優先日】2020-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000101879
【氏名又は名称】イーグル工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100206911
【弁理士】
【氏名又は名称】大久保 岳彦
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】井村 忠継
【審査官】久米 伸一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/199172(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/167262(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/162348(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/166589(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16J 15/34
F16C 17/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械の相対回転する箇所に配置され他の摺動部品と相対摺動する環状の摺動部品であって、
前記摺動部品の摺動面には、漏れ側に配置され終端を有し正圧を発生させる複数の第1動圧発生溝と、被密封流体側に配置され終端を有し正圧を発生させる複数の第2動圧発生溝と、が備えられており、
前記第2動圧発生溝は、被密封流体側から漏れ側に向けて周方向に傾斜して延びており、
前記第2動圧発生溝の深さは、第1動圧発生溝の深さよりも浅い摺動部品。
【請求項2】
前記第2動圧発生溝は、被密封流体側の空間に連通している請求項1に記載の摺動部品。
【請求項3】
前記第1動圧発生溝の終端と前記第2動圧発生溝の終端との間には、周方向に連続し径方向所定以上の幅を有する環状のランド部が設けられている請求項1または2に記載の摺動部品。
【請求項4】
前記ランド部の径方向中心は、前記摺動面の径方向中心よりも被密封流体側に寄って配置されている請求項3に記載の摺動部品。
【請求項5】
前記第2動圧発生溝の終端には、底面から摺動面に向けて延びる壁部が形成されている請求項1ないし4のいずれかに記載の摺動部品。
【請求項6】
前記第2動圧発生溝は、前記第1動圧発生溝と比べて延在距離が短い請求項1ないし5のいずれかに記載の摺動部品。
【請求項7】
前記第1動圧発生溝は、漏れ側から被密封流体側に向けて周方向に傾斜して延び、前記第2動圧発生溝は、前記第1動圧発生溝よりも周方向に沿うように傾斜している請求項1ないし6いずれかに記載の摺動部品。
【請求項8】
前記第2動圧発生溝は、前記摺動面の外径側に配置されている請求項1ないしのいずれかに記載の摺動部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対回転する摺動部品に関し、例えば自動車、一般産業機械、あるいはその他のシール分野の回転機械の回転軸を軸封する軸封装置に用いられる摺動部品、または自動車、一般産業機械、あるいはその他の軸受分野の機械の軸受に用いられる摺動部品に関する。
【背景技術】
【0002】
被密封流体の漏れを防止する軸封装置として例えばメカニカルシールは相対回転し摺動面同士が摺動する一対の環状の摺動部品を備えている。このようなメカニカルシールにおいて、近年においては環境対策等のために摺動により失われるエネルギーの低減が望まれている。
【0003】
例えば特許文献1に示されるメカニカルシールは一対の環状の摺動部品が相対回転可能に構成され、外空間に被密封流体が存在し、内空間に低圧の流体が存在している。一方の摺動部品には、低圧の流体が存在する内空間に連通し、内径端から外径側に向けて周方向に傾斜しながら円弧状に延び、相対回転方向の下流にて終端が閉塞されているスパイラル溝が設けられている。これによれば、一対の摺動部品の相対回転時には、一方の摺動部品のスパイラル溝には低圧の流体が導入されることで、終端及びその近傍に正圧が発生して一対の摺動部品の摺動面同士を僅かに離間させることで低摩擦化を実現している。また、スパイラル溝は始端及びその近傍に負圧が発生して外空間から摺動面間に流入した被密封流体を吸い込むため、一対の摺動部品間から被密封流体が低圧の内空間に漏れることを防止できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-31775号公報(第2,3頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような摺動部品にあっては、スパイラル溝は一方の摺動部品の漏れ側に配置され、低圧の流体が導入されるように内径端から外径側に延びる構成であるので、低摩耗化かつ漏れ抑制が可能であるものの、摺動部品がある一定以上の高速回転状態になるまでは、スパイラル溝に十分な動圧が発生せず、摺動面同士を離間させるまでに時間がかかってしまい、摺動面同士が摩耗してしまう虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、一対の摺動部品の相対回転開始時から高速回転時にかけて摺動面同士の摩耗を抑制でき、かつ被密封流体の漏れを抑制できる摺動部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の摺動部品は、
回転機械の相対回転する箇所に配置され他の摺動部品と相対摺動する環状の摺動部品であって、
前記摺動部品の摺動面には、漏れ側に配置され終端を有し正圧を発生させる複数の第1動圧発生溝と、被密封流体側に配置され終端を有し正圧を発生させる複数の第2動圧発生溝と、が備えられており、
前記第2動圧発生溝の深さは、第1動圧発生溝の深さよりも浅い。
これによれば、第2動圧発生溝の深さは第1動圧発生溝の深さよりも浅いため、摺動部品の相対回転低速時には、第2動圧発生溝内で被密封流体により発生される正圧による第2力が主体となって摺動面同士が離間され、さらに摺動部品の相対回転速度が高くなるにつれ、第1動圧発生溝内で漏れ側流体により発生される正圧による第1力が急速に高まり、摺動部品の相対回転速度が充分に高くなると第1力は第2力よりも大きくなるため、第1力が主体となって摺動面同士が離間されるようになり、一対の摺動部品の相対回転低速時から高速時に亘って摺動面同士の摩耗を抑制することができる。また、摺動部品の相対回転高速時には、摺動面間に形成された隙間が大きくなることによって第2動圧発生溝内で正圧が生じにくくなり、第1動圧発生溝で発生する正圧による第1力が主体となって摺動面同士を安定して離間させることができる。よって、一対の摺動部品の相対回転開始時から高速回転時にかけて摺動面同士を離間させて摩耗を抑制することができる。また、第2動圧発生は、被密封流体側の空間から摺動面間に流入した被密封流体を吸い込むため、一対の摺動部品間から被密封流体が漏れ側の空間に漏れることを防止できる。
【0008】
前記第2動圧発生溝は、被密封流体側の空間に連通していてもよい。
これによれば、第2動圧発生溝に被密封流体を導入しやすく、早期に正圧を発生させることができる。
【0009】
前記第1動圧発生溝の終端と前記第2動圧発生溝の終端との間には、周方向に連続し径方向所定以上の幅を有する環状のランド部が設けられていてもよい。
これによれば、第2動圧発生溝で発生する正圧による第2力により摺動面同士が離間されたときに、ランド部により摺動面間の被密封流体が漏れ側の空間に流れることを抑制できる。また、一対の摺動部品が相対回転されない静止時の被密封流体の漏れ側の空間への漏れを抑えることができる。
【0010】
前記ランド部の径方向中心は、前記摺動面の径方向中心よりも被密封流体側に寄って配置されていてもよい。
これによれば、ランド部は摺動面において径方向被密封流体側に寄って配置されていることから、第1動圧発生溝の延在距離を長く確保できる、複数の第1動圧発生溝を多く並べて配置できる等第1動圧発生溝が第2動圧発生溝よりも主たる動圧発生源となるので、被密封流体の漏れ側の空間への漏れを抑えることができる。
【0011】
前記第2動圧発生溝の終端には、底面から摺動面に向けて延びる壁部が形成されていてもよい。
これによれば、摺動部品の相対回転時に第2動圧発生溝の終端の壁部に被密封流体が集中するため、終端近傍で確実に正圧を発生させることができる。
【0012】
前記第2動圧発生溝は、前記第1動圧発生溝と比べて延在距離が短くてもよい。
これによれば、一対の摺動部品の相対高速回転時に第1動圧発生溝で高い正圧を発生させることができるとともに、相対低回転時に第2動圧発生溝で正圧を早期に発生させることができる。
【0013】
前記第2動圧発生溝は、被密封流体側から漏れ側に向けて周方向に傾斜して延びていてもよい。
これによれば、一対の摺動部品の相対回転時に第2動圧発生溝に被密封流体を導入しやすく、早期に正圧を発生させることができる。
【0014】
前記第1動圧発生溝は、漏れ側から被密封流体側に向けて周方向に傾斜して延び、前記第2動圧発生溝は、前記第1動圧発生溝よりも周方向に沿うように傾斜していてもよい。
これによれば、摺動部品の相対回転開始時では第2動圧発生溝に被密封流体を導入しやすくなるため第2動圧発生溝で早期に正圧を発生させることができる。
【0015】
前記第2動圧発生溝は、前記摺動面の外径側に配置されていてもよい。
これによれば、第2動圧発生溝が摺動部品の相対回転の周速度の速い位置に配置されているため、摺動部品の相対回転開始時に第2動圧発生溝に被密封流体を導入しやすい。
【0016】
尚、被密封流体は、気体または液体であってもよいし、液体と気体が混合したミスト状であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例におけるメカニカルシールの一例を示す縦断面図である。
図2】静止密封環の摺動面を軸方向から見た図である。
図3】静止密封環の摺動面を軸方向から見た拡大図である。
図4図2におけるA-A断面図である。
図5】第1動圧発生溝及び第2動圧発生溝を模式的に示す断面図である。
図6】第1動圧発生溝及び第2動圧発生溝の流体の動きを軸方向から見た説明図である。
図7】(a)~(c)は一対の摺動部品の相対回転速度毎における摺動面間の離間を模式的に示す断面図である。
図8】本発明の実施例2におけるメカニカルシールの一例を概略的に示す説明図である。
図9】本発明の実施例3におけるメカニカルシールの一例を概略的に示す説明図である。
図10】本発明の実施例4におけるメカニカルシールの一例を概略的に示す説明図である。
図11】本発明の実施例5におけるメカニカルシールの一例を概略的に示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明に係る摺動部品を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0019】
実施例1に係る摺動部品につき、図1から図7を参照して説明する。尚、本実施例においては、摺動部品がメカニカルシールである形態を例に挙げ説明する。また、メカニカルシールの外空間に被密封流体が存在し、内空間に大気が存在しており、メカニカルシールを構成する摺動部品の外径側を被密封流体側(高圧側)、内径側を漏れ側(低圧側)として説明する。また、説明の便宜上、図面において、摺動面に形成される溝等にドットを付すこともある。
【0020】
図1に示される一般産業機械用のメカニカルシールは、摺動面の外径側から内径側に向かって漏れようとする被密封流体Fを密封し内空間S1が大気Aに通ずるインサイド形のものである。尚、本実施例では、被密封流体Fが高圧の液体であり、大気Aが被密封流体Fよりも低圧の気体である形態を例示する。
【0021】
メカニカルシールは、回転軸1にスリーブ2を介して回転軸1と一体的に回転可能な状態で設けられた円環状の他の摺動部品としての回転密封環20と、被取付機器のハウジング4に固定されたシールカバー5に非回転状態かつ軸方向移動可能な状態で設けられた摺動部品としての円環状の静止密封環10と、から主に構成され、ベローズ7によって静止密封環10が軸方向に付勢されることにより、静止密封環10の摺動面11と回転密封環20の摺動面21とが互いに密接摺動するようになっている。尚、回転密封環20の摺動面21は平坦面となっており、この平坦面には溝等の凹み部が設けられていない。
【0022】
静止密封環10及び回転密封環20は、代表的にはSiC(硬質材料)同士またはSiC(硬質材料)とカーボン(軟質材料)の組み合わせで形成されるが、これに限らず、摺動材料はメカニカルシール用摺動材料として使用されているものであれば適用可能である。尚、SiCとしては、ボロン、アルミニウム、カーボン等を焼結助剤とした焼結体をはじめ、成分、組成の異なる2種類以上の相からなる材料、例えば、黒鉛粒子の分散したSiC、SiCとSiからなる反応焼結SiC、SiC-TiC、SiC-TiN等があり、カーボンとしては、炭素質と黒鉛質の混合したカーボンをはじめ、樹脂成形カーボン、焼結カーボン等が利用できる。また、上記摺動材料以外では、金属材料、樹脂材料、表面改質材料(コーティング材料)、複合材料等も適用可能である。
【0023】
図2及び図3に示されるように、静止密封環10に対して回転密封環20が矢印で示すように半時計周りに相対摺動するようになっており、静止密封環10の摺動面11には、内径側に複数(実施例1では20個)の第1動圧発生溝14が周方向に均等に配設され、外径側に複数(実施例1では20個)の第2動圧発生溝9が周方向に均等に配設されている。
【0024】
また、摺動面11の第1動圧発生溝14および第2動圧発生溝9以外の部分は平坦面を成すランド12となっている。詳しくは、ランド12は、周方向に隣接する第1動圧発生溝14の間の部位と、周方向に隣接する第2動圧発生溝9の間の部位と、径方向に離間する第1動圧発生溝14と第2動圧発生溝9との間の環状ランド部12aと、を有し、これら各部位は、ランド12の摺動面11側の面(以下、ランド12の平坦面ともいう。)と同一平面状に配置されている。尚、環状ランド部12aについては後に詳述する。
【0025】
第1動圧発生溝14は、内径側の端部、すなわち相対回転始端14Aが内空間S1に連通し、始端14Aから外径側に向けて回転密封環20の回転終端側に傾斜しながら円弧状に延びており、外径側の端部、すなわち相対回転終端14Bが壁部14bにより外空間S2と非連通状態となるように閉塞されている。この第1動圧発生溝14は、外径側に向けて凸を有する円弧状を成している。
【0026】
具体的には、第1動圧発生溝14は、始端14Aから終端14Bに亘って平坦かつランド12の平坦面に平行な底面14aと、底面14aの終端14Bの端縁から摺動面11に向けて垂直に延びる壁部14bと、底面14aの両側縁から摺動面11に向けて垂直に延びる側壁部14c,14dとから構成されている。尚、壁部14bと側壁部14cとが成す角は鈍角であり、壁部14bと側壁部14dとが成す角は鋭角であり、壁部14bの側壁部14d側の鋭角部14fの方が壁部14bの側壁部14c側の鈍角部14eよりも回転密封環20の回転終端側に位置している。
【0027】
これら第1動圧発生溝14は、軸方向から見て、複数(実施例1では6個)の第1動圧発生溝14が径方向に重畳するように配置されている。
【0028】
また、第2動圧発生溝9は、外径側の端部、すなわち相対回転始端9Aが外空間S2に連通し、始端9Aから内径側に向けて回転密封環20の回転終端側に傾斜しながら円弧状に延びており、内径側の端部、すなわち相対回転終端9Bが壁部9bにより内空間S1と非連通状態となるように閉塞されている。この第2動圧発生溝9は、外径側に向けて凸を有する円弧状を成している。
【0029】
具体的には、第2動圧発生溝9は、始端9Aから終端9Bに亘って平坦かつランド12の平坦面に平行な底面9aと、底面9aの終端9Bの端縁から摺動面11に向けて垂直に延びる壁部9bと、底面9aの両側縁から摺動面11に向けて垂直に延びる側壁部9c,9dとから構成されている。尚、壁部9bと側壁部9cとが成す角は鈍角であり、壁部9bと側壁部9dとが成す角は鋭角であり、壁部9bの側壁部9d側の鋭角部9fの方が壁部9bの側壁部9c側の鈍角部9eよりも回転密封環20の回転終端側に位置している。
【0030】
これら第2動圧発生溝9は、軸方向から見て、隣接する第2動圧発生溝9が径方向に重畳するように配置されている。
【0031】
また、第2動圧発生溝9の終端9Bは、第1動圧発生溝14の終端14Bよりも外径側に離間して配置されている。すなわち、第1動圧発生溝14の終端14Bと第2動圧発生溝9の終端9Bとの間には、周方向に連続し径方向に一定幅を有するランド部としての環状ランド部12aが設けられている。
【0032】
また、第2動圧発生溝9の始端9Aから終端9Bまでの長さ、すなわち第2動圧発生溝9の延在距離は、第1動圧発生溝14の始端9Aから終端9Bまでの長さ、すなわち第1動圧発生溝14の延在距離と比べて短い。
【0033】
また、第2動圧発生溝9は、第1動圧発生溝14と比べて周方向に沿うように傾斜している。環状ランド部12aの径方向中心は、摺動面11の径方向中心よりも外径側に寄せて設けられている。
【0034】
図4及び図5に示されるように、第1動圧発生溝14は始端14Aから終端14Bに亘って一定の深さD1を有している。本実施例の深さD1は、10μmである。
【0035】
第2動圧発生溝9は始端9Aから終端9Bに亘って一定の深さD2を有する。本実施例の深さD2は、0.5μmである。
【0036】
第2動圧発生溝9の深さD2は、第1動圧発生溝14の深さD1よりも浅く(D2<D1)、好ましくは深さD2は深さD1の1/2~1/20倍であるのがよい。
【0037】
尚、図5は1条の第1動圧発生溝14及び1条の第2動圧発生溝9をそれぞれ長手方向で切った状態を想定した模式的な断面図である。
【0038】
次いで、静止密封環10と回転密封環20との相対回転時の動作について図6及び図7を用いて説明する。まず、回転密封環20が回転していない一般産業機械の非稼動時には、被密封流体Fが第2動圧発生溝9内に流入している。尚、ベローズ7によって静止密封環10が回転密封環20側に付勢されているので摺動面11,21同士は接触状態となっており、摺動面11,21間の被密封流体Fが内空間S1に漏れ出す量はほぼない。
【0039】
回転密封環20が静止密封環10に対して相対回転し始めた直後の低速時では、図6及び図7(a)に示されるように、第2動圧発生溝9内の被密封流体Fが摺動面21との摩擦により回転密封環20の回転方向に追随移動するとともに、外空間S2の被密封流体Fが第2動圧発生溝9に引き込まれる。すなわち、第2動圧発生溝9内では、被密封流体Fが矢印H1に示すように始端9Aから終端9Bに向かって移動する。尚、図6の被密封流体Fや大気Aの流れについては、回転密封環20の相対回転速度を特定せずに概略的に示している。
【0040】
終端9Bに向かって移動した被密封流体Fは、第2動圧発生溝9の壁部9bの鋭角部9f及びその近傍で圧力が高められる。すなわち鋭角部9f及びその近傍で正圧が発生する。
【0041】
第2動圧発生溝9の深さD2は浅いため、回転密封環20の回転速度が低速につき被密封流体Fの移動量が少なくても第2動圧発生溝9の壁部9bの鋭角部9f及びその近傍にて正圧が発生する。
【0042】
鋭角部9f及びその近傍で発生した正圧による第2力F2により、摺動面11,21間が若干離間される。これにより、摺動面11,21間には、主に矢印H2に示す第2動圧発生溝9内の被密封流体Fが流入する。このように摺動面11,21間に被密封流体Fが介在することにより低速回転時においても潤滑性が向上し、摺動面11,21同士の摩耗を抑制することができる。尚、摺動面11,21同士の浮上距離が僅かであるため、被密封流体Fが内空間S1に漏れ出す被密封流体Fは少ない。
【0043】
一方、第1動圧発生溝14の深さD1は第2動圧発生溝9の深さD2よりも深いため、回転密封環20と静止密封環10との相対回転低速時には、大気Aが第2動圧発生溝9に十分に密とならず高い正圧は発生せず、第1動圧発生溝14によって発生される正圧による第1力F1(図7(a)では図示していない。)は第2力F2よりも相対的に小さい。よって、回転密封環20の低速回転時では、第2力F2が主体となって摺動面11,21同士を離間するようになっている。
【0044】
回転密封環20の相対回転速度が高まると、図6及び図7(b)に示されるように、第1動圧発生溝14内の大気Aが摺動面21との摩擦により回転密封環20の回転方向に追随移動するとともに、内空間S1の大気Aが第1動圧発生溝14に引き込まれる。すなわち、第1動圧発生溝14内では、多量の大気Aが矢印L1に示すように始端14Aから終端14Bに向かって移動する。
【0045】
終端14Bに向かって移動した大気Aは、第1動圧発生溝14の壁部14bの鋭角部14f及びその近傍で圧力が高められる。すなわち鋭角部14f及びその近傍で正圧が発生する。
【0046】
鋭角部14f及びその近傍で発生した正圧による第1力F1が加わり、図7(a)と比べ摺動面11,21間がさらに離間する。これにより、摺動面11,21間には、主に矢印L2に示す第1動圧発生溝14内の大気Aが流入する。
【0047】
矢印L2に示す第1動圧発生溝14内の大気Aは、第1動圧発生溝14の終端14B近傍の被密封流体Fを外空間S2側に押し戻すように作用するので、第1動圧発生溝14内や内空間S1に漏れ出す被密封流体Fは少ない。
【0048】
また、図7(a)と比べ摺動面11,21間がさらに離間することにより、第2動圧発生溝9内の被密封流体Fは摺動面11,21間に逃げやすくなっているため、第2力F2’は、図7(a)と比べ小さくなる。
【0049】
またこのとき、第1動圧発生溝14の鋭角部14f以外の部分の周辺の被密封流体Fは、第1動圧発生溝14に生じる負圧により矢印H3に示すように第1動圧発生溝14内に吸い込まれ、その傾向は始端14A近傍で顕著に現れる。第1動圧発生溝14内に吸い込まれた被密封流体Fは、第1動圧発生溝14の終端14Bから摺動面11,21間に戻されるようになっている。
【0050】
一方、第1動圧発生溝14の鋭角部14f近傍の被密封流体Fは、上述したように高圧となっているため、矢印H4に示すように、ランド12に位置したままで、第1動圧発生溝14にはほぼ進入しない。
【0051】
上述の通り第1動圧発生溝14は、複数の第1動圧発生溝14が径方向に重畳するように配置されているため、ある第1動圧発生溝14に対して回転密封環20の回転始端側に隣り合う別の第1動圧発生溝14の鋭角部14fからランド12に移動した被密封流体Fを当該第1動圧発生溝14に生じる負圧により吸い込み、被密封流体Fが内空間S1に漏れるのを防ぐことができる。
【0052】
回転密封環20の相対回転速度がさらに上がり高速回転(すなわち、定常運転状態)に達すると、図6及び図7(c)に示されるように、第1動圧発生溝14に引き込まれる大気Aの流入量(図7(c)の矢印L1’参照)がさらに増えて高い正圧が発生し、第1力F1’が大きくなり、図7(b)と比べ摺動面11,21間がより長い浮上距離Yだけ離間する。これにより、摺動面11,21間には、図7(b)と比べ矢印L2’に示す第1動圧発生溝14内の大気Aがさらに多く流入される。
【0053】
矢印L2’に示す第1動圧発生溝14内の大気Aは、第1動圧発生溝14の終端14B近傍の被密封流体Fを外空間S2側に押し戻すように作用するので、第1動圧発生溝14内や内空間S1に漏れ出す被密封流体Fは少ない。
【0054】
本実施例において、回転密封環20の高速回転により浮上距離Yが大きくなると、第2動圧発生溝9内の被密封流体Fは摺動面11,21間に逃げやすくなり、第2動圧発生溝9で発生する正圧は無視できるほど小さくなる。よって、回転密封環20の高速回転時では、第1力F1が主体となって摺動面11,21同士を離間するようになっている。
【0055】
以上説明したように、第2動圧発生溝9の深さD2は第1動圧発生溝14の深さD1よりも浅いため、回転密封環20の相対回転低速時には、第2動圧発生溝9内で被密封流体Fにより発生される正圧による第2力F2が主体となって摺動面11,21同士が離間され、さらに回転密封環20の相対回転速度が高くなるにつれ、第1動圧発生溝14内で大気Aにより発生される正圧による第1力F1が急速に高まり、回転密封環20の相対回転速度が充分に高くなると第1力F1は第2力F2よりも大きくなるため、第1力F1が主体となって摺動面11,21同士が離間されるようになり、静止密封環10と回転密封環20との相対回転低速時から高速時に亘って摺動面11,21同士の摩耗を抑制することができる。
【0056】
また、回転密封環20の相対回転高速時には、摺動面11,21間に形成された隙間が大きくなることによって第2動圧発生溝9内で正圧が生じにくくなり、第1動圧発生溝14で発生する正圧による第1力F1が主体となって摺動面11,21同士を安定して離間させることができる。したがって、静止密封環10と回転密封環20との相対回転開始時から高速回転時にかけて摺動面11,21同士を離間させて摩耗を抑制することができる。
【0057】
また、第2動圧発生溝9は、外空間S2に連通しているため、第2動圧発生溝9に被密封流体Fを導入しやすく、早期に正圧を発生させることができる。
【0058】
また、第1動圧発生溝14の終端14Bと第2動圧発生溝9の終端9Bとの間には、周方向に連続し径方向に一定幅を有する環状ランド部12aが設けられているため、第2動圧発生溝9で発生する正圧による第2力F2により摺動面11,21同士が離間されたときに、環状ランド部12aにより摺動面11,21間の被密封流体Fを内空間S1に流れることを抑制できる。また、静止密封環10と回転密封環20とが相対回転されない静止時の被密封流体Fの内空間S1への漏れを抑えることができる。
【0059】
また、環状ランド部12aの径方向中心は、摺動面11の径方向中心よりも被密封流体側に寄って配置されていることから、第1動圧発生溝14の延在距離を長く確保できる、複数の第1動圧発生溝14を多く並べて配置できる等第1動圧発生溝14が第2動圧発生溝9よりも主たる動圧発生源となるので、被密封流体Fの内空間S1への漏れを抑えることができる。尚、環状ランド部12aの径方向中心は、環状ランド部12aの外径と内径とを足して2で除した径方向位置であり、摺動面11の径方向中心は、摺動面11の外径と内径とを足して2で除した径方向位置である。
【0060】
また、第2動圧発生溝9の深さは、回転密封環20の高速回転時における第2動圧発生溝9で発生する正圧の影響を確実に小さくできるほどの寸法に設定されるため、第1動圧発生溝14で発生する正圧による第1力F1により確実に摺動面11,21間を離間させることができる。
【0061】
また、第2動圧発生溝9の終端9Bには、底面9aから摺動面11に向けて延びる壁部9bが形成されていることから、静止密封環10と回転密封環20との相対回転時に第2動圧発生溝9の終端9Bの壁部9bの鋭角部9fに被密封流体Fが集中するため、終端9B近傍で確実に正圧を発生させることができる。
【0062】
また、第2動圧発生溝9は、第1動圧発生溝14と比べて延在距離が短いため、静止密封環10と回転密封環20との相対高速回転時に第1動圧発生溝14で高い正圧を発生させることができるとともに、相対低回転時に第2動圧発生溝9で正圧を早期に発生させることができる。
【0063】
また、第2動圧発生溝9は、始端9Aから内径側に向けて回転密封環20の回転終端側に傾斜して延びているため、静止密封環10と回転密封環20との相対回転時に第2動圧発生溝9に被密封流体Fを導入しやすく、早期に正圧を発生させることができる。
【0064】
また、第1動圧発生溝14は、始端14Aから外径に向けて回転密封環20の回転終端側に傾斜して延び、第2動圧発生溝9は、第1動圧発生溝14よりも周方向に沿うように傾斜しているため、静止密封環10と回転密封環20との相対回転開始時では第2動圧発生溝9に被密封流体Fを導入しやすくなるため第2動圧発生溝9で早期に正圧を発生させることができる。
【0065】
また、第2動圧発生溝9は、摺動面11の外径側に配置されていることから、第2動圧発生溝9が回転密封環20の相対回転の周速度の速い位置に配置されているため、静止密封環10と回転密封環20との相対回転開始時に第2動圧発生溝9に被密封流体Fを導入しやすい。
【0066】
また、第1動圧発生溝14の終端14Bと、第2動圧発生溝9の終端9Bとは、径方向に重畳しないように配置されており、終端14Bと終端9Bとの距離が離れているため、第2動圧発生溝9の終端9B近傍で正圧が発生して摺動面11,21間に移動する被密封流体Fが第2動圧発生溝9内に流入しにくくなっており、被密封流体Fが内空間S1に漏れにくくなっている。さらに、第1動圧発生溝14の第1力F1と第2動圧発生溝9の第2力F2とが径方向に重畳しない位置で発生することにより、摺動面11,21間でバランスよく力を加えて離間させることができる。
【0067】
尚、深さD1、深さD2は実施例1の形態に限られず、深さD2が深さD1よりも浅く形成されていれば、自由に変更されていてもよい。
【実施例2】
【0068】
次に、実施例2に係るメカニカルシールにつき、図8を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。また、図8では第1動圧発生溝の始端から終端までの長さを実際よりも短く図示している。
【0069】
図8に示されるように、本実施例2の静止密封環100における第1動圧発生溝140の底面140aは、軸方向寸法が始端140Aから終端140Bに向けて漸次小さくなるように傾斜している。
【0070】
第2動圧発生溝9の深さD2は、第1動圧発生溝140の終端140B近傍の深さよりも深くなっているが、第1動圧発生溝140の一番深い箇所(最深部)の深さD3よりも浅い(D2<D3)。
【0071】
このように、第2動圧発生溝9の深さD2は、第1動圧発生溝140の最深部の深さD3よりも浅いので、回転密封環20の相対回転低速時には、第2動圧発生溝9内で被密封流体Fにより発生される正圧による第2力が主体となって摺動面11,21同士を離間されることができる。また、第1動圧発生溝140の終端140B近傍で正圧が発生しやすい。
【実施例3】
【0072】
次に、実施例3に係るメカニカルシールにつき、図9を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。また、図9では第1動圧発生溝の始端から終端までの長さを実際よりも短く図示している。
【0073】
図9に示されるように、本実施例3の静止密封環101における第1動圧発生溝240の底面240aは、始端240Aから終端240Bにかけて段状に構成されている。
【0074】
具体的には、第1動圧発生溝240の長手方向の中央を境に、底面240aの始端240A側には軸方向寸法の大きい深底面240cが備えられ、底面240aの終端240B側には軸方向寸法の小さい浅底面240dが備えられている。また、深底面240cの端縁から浅底面240dに向けて垂直に延びる中間壁部240eが設けられ、浅底面240dの端縁から摺動面11に向けて垂直に延びる壁部240bが設けられている。
【0075】
第2動圧発生溝9の深さD2は、第1動圧発生溝240の深さD4(具体的には、第1動圧発生溝240の一番深い箇所(最深部)の深さ)よりも浅い。尚、第1動圧発生溝240の底面240aが2段の段状の構成について説明したが、これに限らず3段以上でもよい。
【0076】
尚、前記実施例1~実施例3では、第2動圧発生溝9が始端9Aから終端9Bに亘って一定の深さD2となっていたが、これに限られず、例えば、始端から終端に向けて深さが漸次浅くなるように底面が傾斜していてもよいし、段状等に形成されていてもよい。すなわち、第2動圧発生溝の最深部の深さが第1動圧発生溝の最深部の深さよりも浅く形成さていればよい。
【実施例4】
【0077】
次に、実施例4に係るメカニカルシールにつき、図10を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0078】
図10に示されるように、本実施例4の静止密封環102における第1動圧発生溝340の終端340Bが、第2動圧発生溝9の終端9Bと径方向に重畳している。
【0079】
これによれば、第1動圧発生溝340の第1力と第2動圧発生溝9の第2力とが径方向に重畳する位置で発生することにより、摺動面11,21同士を短時間で大きく離間させることができるので、摺動面11,21同士の高い潤滑性を早く発揮させることができる。
【実施例5】
【0080】
次に、実施例5に係るメカニカルシールにつき、図11を参照して説明する。尚、前記実施例と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0081】
図11に示されるように、本実施例5の静止密封環103における第1動圧発生溝440は、側壁部440c,440dが終端440Bに向けて互いに近づくように延びており、終端440Bは先細りしている。また、第2動圧発生溝190は、側壁部190c,190dが終端190Bに向けて互いに近づくように延びており、終端190Bは先細りしている。
【0082】
これによれば、回転密封環20の相対回転時に第1動圧発生溝440の終端440B近傍と第2動圧発生溝190の終端190B近傍で正圧が発生しやすい。
【0083】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0084】
例えば、前記実施例では、摺動部品として、一般産業機械用のメカニカルシールを例に説明したが、自動車やウォータポンプ用等の他のメカニカルシールであってもよい。また、メカニカルシールに限られず、すべり軸受などメカニカルシール以外の摺動部品であってもよい。
【0085】
また、前記実施例では、第1動圧発生溝及び第2動圧発生溝を静止密封環に設ける例について説明したが、第1動圧発生溝及び第2動圧発生溝を回転密封環に設けてもよい。
【0086】
また、被密封流体側を高圧側、漏れ側を低圧側として説明してきたが、被密封流体側が低圧側、漏れ側が高圧側となっていてもよいし、被密封流体側と漏れ側とは略同じ圧力であってもよい。
【0087】
また、前記実施例では、摺動面の外径側から内径側に向かって漏れようとする被密封流体Fを密封するインサイド形のものである形態を例示したが、これに限られず、摺動面の内径側から外径側に向かって漏れようとする被密封流体Fを密封するアウトサイド形のものであってもよい。
【0088】
また、図2に示されるように、第1動圧発生溝及び第2動圧発生溝が静止密封環10の摺動面11に同数設けられているが、これに限らず同数でなくてもよい。
【0089】
また、第2動圧発生溝は第1動圧発生溝よりも延在距離が短く、周方向に沿うように傾斜し、環状ランド部12aの径方向中心が摺動面11の径方向中心よりも外径側に寄せて設けられていると説明したが、これに限らず、第1動圧発生溝の方が第2動圧発生溝よりも延在距離が短く、または周方向に沿うように傾斜していてもよい。
【0090】
また、第1動圧発生溝は内空間に連通していると説明したが、これに限らず動圧を発生させることができれば、連通していなくてもよい。
【0091】
また、第2動圧発生溝は外空間に連通していると説明したが、これに限らず動圧を発生させることができれば、連通していなくてもよい。
【0092】
また、第1動圧発生溝と第2動圧発生溝との間には環状ランド部12aが設けられ、第1動圧発生溝と第2動圧発生溝とは径方向に離間して配置されていると説明したが、これに限らず、例えば第2動圧発生溝の終端が第1動圧発生溝の終端よりも内径側に配置され、第1動圧発生溝の終端と第2動圧発生溝の終端とが周方向に重畳していてもよい。
【0093】
また、本実施例において、被密封流体Fは高圧の液体と説明したが、これに限らず気体または低圧の液体であってもよいし、液体と気体が混合したミスト状であってもよい。
【0094】
また、本実施例において、漏れ側の流体は低圧の気体である大気Aであると説明したが、これに限らず液体または高圧の気体であってもよいし、液体と気体が混合したミスト状であってもよい。
【0095】
また、実施例2,3では、動圧発生溝の深さを最深部の深さとしたが、動圧発生溝の深さは実質的に正圧の発生に寄与する箇所の深さであればよい。
【符号の説明】
【0096】
9 第2動圧発生溝
10 静止密封環(摺動部品)
11 摺動面
12a 環状ランド部(ランド部)
14 第1動圧発生溝
14a 底面
14b 壁部
20 回転密封環(他の摺動部品)
21 摺動面
A 大気
D1,D2 深さ
F 被密封流体
F1 第1力
F2 第2力
S1 内空間
S2 外空間
Y 浮上距離
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11