(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】電動式ルーフ付きトライク
(51)【国際特許分類】
B60P 3/34 20060101AFI20240716BHJP
B60P 3/39 20060101ALI20240716BHJP
B60P 7/02 20060101ALI20240716BHJP
B62D 25/08 20060101ALI20240716BHJP
B62D 61/08 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B60P3/34 Z
B60P3/39
B60P7/02
B62D25/08 B
B62D61/08
(21)【出願番号】P 2024079067
(22)【出願日】2024-05-15
【審査請求日】2024-05-15
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】597116252
【氏名又は名称】村山 哲夫
(72)【発明者】
【氏名】村山 哲夫
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-16775(JP,A)
【文献】実公昭46-1922(JP,Y1)
【文献】特開2005-329739(JP,A)
【文献】特開2000-142476(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0042514(KR,A)
【文献】特許第7493691(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60P 7/02
B60P 3/39
B62D 25/08
B62D 61/08
B60P 3/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクであって、
前記ボディパネルは、運転席スペースの側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口のセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側と荷台スペース側とを隔離する開閉自在の隔離壁を設けて成り、
前記運転席スペース側の車幅中央位置には、リアタイヤホイールシャフト軸を駆動する動力駆動手段を覆うセンターカバーパネルを設けると共に、該センターカバーパネルの上部にはスライド・回転自在の運転座席を設け、
前記荷台スペース側の側方ならびに後方には外側に開閉する煽り荷台ドアを設けて成ることを特徴とする電動式ルーフ付きトライク。
【請求項2】
前記荷台スペースの床面上に前後に伸縮移動可能な幌カバーを設けて成ることを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項3】
前記荷台スペースの煽り荷台ドアの上端部にルーフトップを載置し、該ルーフトップが載置固定式または跳上げ固定式で形成されて成ることを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項4】
前記センターカバーパネルの両側にある乗降ステップ部と前記荷台スペースの床面上に配設される就寝床パネルと、運転席スペース側の側面両側を塞ぐ乗降口カバーシートと、を設けて就寝スペースを確保したことを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項5】
前記ボディパネルの乗降口の上方には内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネルを設けると共に、該乗降口の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風雨カウルを設けて成ることを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【請求項6】
前記ボディパネルの乗降口に着脱自在の風雨吹き込み防止手段を設けて成ることを特徴とする請求項1記載の電動式ルーフ付きトライク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースの床面上に幌カバーと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にした貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクに関する。
【背景技術】
【0002】
従来における三輪バイクをボディパネルで覆ったトライクに関する提案は、例えば、自動二、三輪車の側面衝突をうけた場合のロールオーバーを防止し、しかも通常の運動性能を損じないようにした「自動、三輪車のロールオーバー防止装置」(特許文献1)が提案されている。
【0003】
また、自動二、三輪車において、通常は操縦者の前方視界を阻害せず、転倒時、正面衝突時、側面衝突時、追突時など、車体に所定値以上の衝撃力が作用したときのみ、操縦者の周囲に保護空間が形成されるようにした「自動二、三輪車の乗員保護装置」(特許文献2)が提案されている。
【0004】
しかしながら、係る「自動、三輪車のロールオーバー防止装置」ならびに「自動二、三輪車の乗員保護装置」の提案は、自動二、三輪車の車体を覆う保護カバーは、単に運転者の風雨除けの保護カバーに過ぎず、本発明のような三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースの床面上に幌カバーと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にした貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクではなかった。
【0005】
また、スクータ型自動三輪車に比べて大きな荷物を積むことができ、かつ、運転者の保持手段を有しているにもかかわらず乗り降りが容易で利便性に優れた「自動三輪車」(特許文献3)が提案されている。
【0006】
しかしながら、係る「自動三輪車」の提案は、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)の側車付二輪自動車に定義されている「またがり式の座席、バー操作ハンドル方式の舵取り装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が解放されている貨物自動車」であることから、現行のトライク(三輪バイク)である法的条項を満たしているものの、本発明のような三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、開閉自在の隔離壁が設けられていないものであり、さらに荷台スペースの床面上に幌カバーと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にした貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクではなかった。
【0007】
また、幌の組付け解体手間を省き、且つ荷台の三方が開放されて積み卸しの効率を高めた「小型貨物運搬車における幌装置」(特許文献4)が提案されている。
【0008】
しかしながら、係る「小型貨物運搬車における幌装置」の提案は、幌の組付け解体手間を省き、且つ荷台の三方が開放されて積み卸しの効率を高めることはできるが、運転席スペースの後方がボディパネルによって遮断されている構造であることから、積み卸しに際しては車両から一端降りて荷物の積み卸し作業を行わなければならず、本発明における電動式ルーフ付きトライクのように運転席スペースから乗降ステップ部を通って荷台スペースまで車内移動することができる貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクの提案ではなかった。
【0009】
本発明の電動式ルーフ付きトライクの車両構造としては、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)における側車付二輪自動車(通称トライク)については、『跨がり式の座席、バー操作ハンドル方式の舵取り装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が解放された自動車』の法令基準を満たし、さらに従来より普及している電動式ルーフ付きトライクと比して、車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に車中泊を可能にした電動式ルーフ付きトライクの提供ができないものかという構想の下、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースの床面上に幌カバーと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にした貨物仕様の電動式のルーフ付きトライクを開発し、本発明における「電動式ルーフ付きトライク」の提案に至るものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】特開2003-160077号公報
【文献】特開2003-182671号公報
【文献】特開2008-296723号公報
【文献】実開平6-55830号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は上記問題点を鑑みてなされるもので、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースの床面上に幌カバーと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にした貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクの提供を図ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明における電動式ルーフ付きトライクは、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクであって、前記ボディパネルは、運転席スペースの側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口のセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側と荷台スペース側とを隔離する開閉自在の隔離壁を設けて成り、前記運転席スペース側の車幅中央位置には、リアタイヤホイールシャフト軸を駆動する動力駆動手段を覆うセンターカバーパネルを設けると共に、該センターカバーパネルの上部にはスライド・回転自在の運転座席を設け、前記荷台スペース側の側方ならびに後方には外側に開閉する煽り荷台ドアを設けて成る手段を採る。
【0013】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記荷台スペースの床面上に前後に伸縮移動可能な幌カバーを設けて成る手段を採る。
【0014】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記荷台スペースの煽り荷台ドアの上端部にルーフトップを載置し、該ルーフトップが載置固定式または跳上げ固定式で形成されて成る手段を採る。
【0015】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記センターカバーパネルの両側にある乗降ステップ部と前記荷台スペースの床面上に配設される就寝床パネルと、運転席スペース側の側面両側を塞ぐ乗降口カバーシートと、を設けて就寝スペースを確保した手段を採る。
【0016】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの乗降口の上方には内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネルを設けると共に、該乗降口の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風雨カウルを設けて成る手段を採る。
【0017】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクは、前記ボディパネルの乗降口に着脱自在の風雨吹き込み防止手段を設けて成る手段を採る。
【発明の効果】
【0018】
本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースの床面上に幌カバーと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にする電動式ルーフ付きトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0019】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、二輪のオートバイと比較すると、車両自体が停車中でも低速走行中でも自立するため、停車中にスタンドや運転者の足で車体を支える必要がなく、低速走行が容易である。また、二輪のオートバイを運転することが困難な身体障害者が手軽に乗れると共に、二輪のオートバイより積載能力と安定性が優れているのと同時に、四輪の自動車よりも小回りが利く普通自動車免許で運転することができ、自動二輪車免許を必要としない。さらに二輪のオートバイと比べて転倒の心配が少ないことや、自動車と比べて疾走感が得られるなど、車とオートバイの優れた両面を持ち合わせている、といった優れた効果を奏する。
【0020】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、シャーシフレームのボディパネルを軽自動車のリサイクル車体を再利用することで格安の電動式ルーフ付きトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【0021】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、電動式であることによって、維持費用的には、任意保険料ならびに自動車税が軽自動四輪車と比較して割安である上、車検や車庫証明が不要であり、さらに車両購入費、駐車料金、電気料金が割安であり、さらにまた排気ガス排出量がゼロ、エンジンスタート音やアイドリング音が発生しない、といった優れた効果を奏する。
【0022】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、道路幅が狭い商店街の路地走行を容易とする一方、長距離ドライブロング走行も可能である、といった優れた効果を奏する。
【0023】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、普通自動車免許(AT可)で運転することができる上、軽量小型であることから女性や主婦など運転技術が未熟な人でも容易に運転することができると共に、日常の買い物や子供の送迎に関してチョイ乗り感覚で容易に運転することができる、といった優れた効果を奏する。
【0024】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、荷台スペースの床面上に前後に伸縮移動可能な幌カバーを設けることによって、高さの異なる荷物を積載することができると共に、車中泊仕様となる就寝床スペースが確保できる、といった優れた効果を奏する。
【0025】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、貨物車両仕様の電動式ルーフ付きトライクとしては、個人の趣味で利用するゴルフ、釣り、山登り、キャンプ、サーフィン、買い物、通勤通学車としてや、業務用としては、自動車製造会社、新車販売ディラー店、中古車販売店、自動車修理工場、農協、ガソリンスタンド、カーショップ、バイクショップ、キャンピングカー販売会社、ホームセンター、レンタカー会社、デリバリー業者、ピザ、すし屋、蕎麦屋などの出前配達業者、シェアリース会社、農作業車、郵便配達車、宅配業者、移動販売業者、大型レジャーランド、タクシー会社、観光案内業者、鉄道会社、警察署、警備会社、公用車、訪問販売車、乳酸菌飲料配達車、新聞配達業者などに販売することができる、といった優れた効果を奏する。
【0026】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、幌カバーを利用して車内空間の拡張を図ることによって、キャンプ時においては二人までの車中泊が可能になる、といった優れた効果を奏する。
【0027】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、乗降口を乗降口カバーシートとスナップロックボタンで施錠することによって、車内空間が完全に密閉・施錠状態となるため、所持品の盗難防止や、就寝時の不法侵入を防ぐことができる、といった優れた効果を奏する。
【0028】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、ボディパネルの運転席スペース側の乗降口に着脱自在のハーフサイドドアを備えて成る手段を採ることによって、運転中において車内への風雨の吹き込みを防ぐことができると共に、乗降時においても容易に乗り降りができる、といった優れた効果を奏する。
【0029】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、ボディパネルの運転席スペース側の乗降口の中段から下段にかけて着脱自在の巻き取り式の防風雨シートまたは差し込み式の防風雨パネルを備えて成る手段を採ることによって、運転中において車内への風雨の吹き込みを防ぐことができると共に、不使用時には、荷台スペース内にコンパクトに格納できる、といった優れた効果を奏する。
【0030】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、荷台スペースを保冷車仕様としたり、貨物配送車仕様の業務用配達車として使用することができる、といった優れた効果を奏する。
【0031】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、荷台スペースを隔離壁と幌カバーとによって騒音や風雨が吹き込まない完全な密閉状態にすることができる、といった優れた効果を奏する。
【0032】
また、本発明における電動式ルーフ付きトライクによれば、荷台スペースの煽り荷台ドアの上端にハードトップ部材で形成されるルーフトップを設け、据え置き式または跳上げ式の何れかの装着手段で備えられることによって、荷台スペースを保冷庫仕様としたり、密室仕様、防水防音仕様、堅牢仕様など、ユーザーの需要に合わせて多様な仕様の電動式ルーフ付きトライクの提供ができる、といった優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】本発明の電動式ルーフ付きトライクの実施形態を示す説明図である。 (実施例1)
【
図2】本発明の電動式ルーフ付きトライクの使用例を示す説明図である。
【
図3】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の使用例を示す説明図である。
【
図4】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。(実施例2)
【
図5】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。(実施例3)
【
図6】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。(実施例4)
【
図7】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。(実施例5)
【
図8】本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。(実施例6)
【発明を実施するための形態】
【0034】
本発明における電動式ルーフ付きトライク10は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースSの床面上に幌カバー20と就寝床パネル27を設けて車中泊を可能にした手段を採ったことを最大の特徴とする。以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0035】
尚、本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、以下に述べる実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内、すなわち同一の作用効果を発揮できる形状及び寸法の範囲内で、適宜変更することができる。
【実施例1】
【0036】
図1は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの実施形態を示す説明図である。
図1(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の全体斜視図である。
図1(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側面図である。
図1(c)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側面使用状態図である。
図1(d)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の上面断面図である。
図1(e)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側面断面図である。
本発明における電動式ルーフ付きトライク10は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネル11で覆った貨物仕様の電動式ルーフ付きトライク10であって、ボディパネル11は、運転席スペースDの側面両側には常時開口する乗降口14を設け、該乗降口14のセンターピラーフレーム15を境にして運転席スペースD側と荷台スペースS側とを隔離する開閉自在の隔離壁16を設けて成り、運転席スペースD側の車幅中央位置には、リアタイヤホイールシャフト軸42を駆動する動力駆動手段39を覆うセンターカバーパネル13を設けると共に、該センターカバーパネル13の上部にはスライド・回転自在の運転座席33を設け、荷台スペースS側の側方ならびに後方には外側に開閉する煽り荷台ドア19を設けて成る手段を採る。
【0037】
本発明の電動式ルーフ付きトライク10の車両寸法としては、道路運送車両法の第2条別表第一では軽自動車の内、軽二輪の範囲の二輪自動車(側車付二輪自動車を含む)施行規則内の標準サイズ仕様については、二輪自動車(側車付二輪自動車を含む)施行規則の全長2.5m以下、全幅1.3m以下、全高2.0m以下において形成される。
【0038】
また、本発明の電動式ルーフ付きトライク10の車両構造としては、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)における側車付二輪自動車(通称トライク)の施行規則の『跨がり式の座席、バー操作ハンドル方式の舵取り装置及び3個の車輪を備え、かつ、運転者席の側方が解放された自動車』の仕様に準じて形成される。
【0039】
ボディパネル11は、運転席スペースD側となる側面両側には常時開口する乗降口14を設け、該乗降口14のセンターピラーフレーム15を境にして運転席スペースD側と荷台スペースS側とを隔離する開閉自在の隔離壁16を設けて成り、運転席スペースD側の車幅中央位置には三輪バイクの動力駆動手段39を覆うセンターカバーパネル13を設け、その上部にはスライド・回転自在の運転座席33を設けて成り、荷台スペースS側の側方ならびに後方には外側に開閉する煽り荷台ドア19を備えて形成される。
【0040】
ダッシュボードパネル12は、三輪トライクの操作ハンドル部が内蔵され、さらに反射防止機能付きの計器類及びトライク運転に関連する操作スイッチ類や制御盤等が装備され、さらにドリンクホルダーやグローブボックス、補助バッテリー類が格納される。
【0041】
センターカバーパネル13は、運転席スペース側の長手方向中央には三輪バイクの動力駆動手段39を覆う形で形成され、運転時は、身体障害者Sが車椅子Kに乗車した状態でセンターカバーパネル13を跨ぐ形状に形成される。
【0042】
乗降口14は、ボディパネル11の運転席スペースD側となる側面両側を常時解放する形状に設けられ、中央部には運転席スペースD側と荷台スペースS側とを隔離する開閉自在の隔離壁16が設けられている。
【0043】
センターピラーフレーム15は、ボディパネル11の略中央に設けられ、衝突時の車体剛性を高めるロールバーとしての役割と、運転席スペースD側と荷台スペースS側とを隔離する隔離壁16の取り付け支柱の役割を果たす目的で設けられる。
【0044】
隔離壁16は、乗降口14に設けられるセンターピラーフレーム15を支柱として運転席スペースD側と荷台スペースS側とを開閉自在に隔離するもので、例えば、アコーディオン式カーテン16aや、折れ戸式引き戸16bによって形成される。
【0045】
アコーディオン式カーテン16aは、荷台スペースSに乗車する同乗者Tの前方の視界を確保するために透明な樹脂製素地で形成されるアコーディオン式のカーテンであって、運転時は透明なカーテンで前方視を確保する構造で形成される。
【0046】
折れ戸式引き戸16bは、荷台スペースSに乗車する同乗者Tの前方の視界を確保するために透明の樹脂製パネルで形成される折り畳み式の引き戸であって、運転時は透明な引き戸で前方視を確保する構造で形成される。
【0047】
運転席スペースDは、隔離壁16の前方に位置し、本来オリジナルの座席シートがある位置には運転座席33がセンターカバーパネル13を跨ぐ形状に形成されて配置される。
また、運転席スペースDの両側にある乗降ステップ部22には、荷台スペースSの冷房と暖房を行うポータブル式の冷房機と暖房機が格納される小物入れ付きの収納ボックス(図示省略)を設置することができる。
【0048】
荷台スペースSは、乗降口14のセンターピラーフレーム15を境にして運転席スペースD側と隔離する開閉自在の隔離壁16の後方に設けられるスペースで、その側方ならびに後方には外側に開閉する煽り荷台ドア19が設けられる。
【0049】
煽り荷台ドア19は、荷台スペースSの側方ならびに後方に設けられる外側に開閉する煽り式の荷台ドアである。
【0050】
乗降ステップ部22は、運転時の足置きスペースと、車両に乗降する足掛けスペースと、運転席スペースDから荷台スペースSに移動する際に使用される乗降および移動用のスペースである。
【0051】
運転座席33は、センターカバーパネル13の上部にスライド・回転自在に設けられるもので、後述する就寝床スペース28を確保する際は、運転座席33の向きを変えた後、前方にスライドさせてダッシュボードパネル12近くまで移動させて固定する構造を有して形成される。
【0052】
通気取り込み口34は、ボディパネル11の前方に設けられ、運転中の前方の空気を車内に取り込んでフロントガラスの曇りを防止する目的で設けられる。
【0053】
図1(c)は荷台スペースSに荷物Nを積んだ使用状態を示す側面図である。
運転席スペースDには運転者Uが乗車し、荷台スペースSには荷物Nを積み込んだ状態で運転者Uが乗車した状態で乗降ステップ部22を通って運転席スペースDから荷台スペースSへ移動することができる。(
図4(c)参照)
【0054】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースの床面上に幌カバーと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にした貨物仕様の電動式ルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【0055】
図2は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの使用例を示す説明図である。
図2(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の上面断面図である。
図2(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側断面面図である。
動力駆動手段39は、電池またはリチウム電池バッテリー41と電動モーター40と動力伝達手段44とで構成され、車幅中央位置に設けられるセンターカバーパネル13によって覆われ、差動装置43を備えたリアタイヤホイールシャフト軸42に連結される。
【0056】
動力伝達手段44は、例えば、チェーン(タイミングベルト)、スプロケット(ギア)、差動装置43から成るもので、電動モーター40からリアタイヤホイールシャフト軸42に伝達される構造を有して形成される。
【0057】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、電動モーター40を備えることにより
(1)電動モーター40は、DCモーターを採用することで回転数やトルクなどを細かく制御できるため、走りや乗り心地にこだわった運転駆動が可能である。
(2)運転座席33下方のセンターカバーパネル13内にコンパクトに設けられることにより運転席スペース側Dのスペースの有効利用が図られる。
(3)運転席スペース側Dと後部座席側Sの床下空間の有効利用が図られる。
【0058】
図3は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の使用例を示す説明図である。
図3(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の上面断面図である。
図3(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の側断面面図である。
動力駆動手段39は、バッテリー41とインホイール電動モーター45とで構成され、バッテリー41は運転席スペース側の車幅中央位置に設けられるセンターカバーパネル13によって覆われ、インホイール電動モーター45は、差動装置43を備えたリアタイヤホイールシャフト軸42の両側のリアタイヤホイール内に装着される。
【0059】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、インホイール電動モーター45を備えることにより
(1)高効率であり、構造も簡素で小型化が可能である。
(2)トルク特性が平坦であり、変速機を必要としない。
(3)トルクの応答性が速く、併せて制御も簡単である。
(4)独立で駆動力制御が可能で、トラクション制御や車両姿勢制御等に応用しやすい。
(5)一つのインホイール電動モーターが故障しても、他のインホイール電動モーターで継続運転が可能になるため、コンバート車より安心感が高く、駆動システムの安定性に寄与する
(6)コンバート車ではエンジンルームの場所にモーター・インバーター・バッテリーを入れ替えて配置したが、インホイール電動モーター化でモーターが全て小型でホイールに内蔵されるため、車両のデザインの自由度が高まり、ユニバーサルデザインを実現しやすい。すなわち衝突安全性やその他安全機能の新規付与を行いやすい。
(7)ドライブシャフト等の伝達機構をなくすこともできるため、車体の骨格構造の自由度も高められる。これは自動車の小型軽量化やそれによる省エネルギー化、航続距離延長に資する。
(8)電気自動車での部品点数の現象とスペースの拡大が実現され、自動運転や遠隔操縦に関する新規装備の配置も余裕をもって行えるといった多くのメリットを有する電動式のルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例2】
【0060】
図4は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図4(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSに幌カバー20を装着した状態を示す全体斜視図である。
図4(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSに幌カバー20を装着し、荷物Nを積載した状態を示す側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、荷台スペースSの床面上に前後に伸縮移動可能な幌カバー20を設けて成る手段を採る。
【0061】
幌カバー20は、センターピラーフレーム15の一部に係止されて荷台スペースSの床面上に前後に伸縮移動可能に設けられるもので、蛇腹シート補強骨子と、トンネル状に形成された蛇腹シートと、から構成され、所定の長さを有した蛇腹状の帆布製のシートで形成される。下端部には移動可能なキャスター21が複数設けられて荷台スペースSの床面上を伸縮移動することによって就寝スペース28を確保する。
また、幌カバー20の後方側には、内側から施錠できる出入口用のファスナーを設けて、後方からの乗り降りを可能にすることもできる。
また、幌カバー20を荷台スペースSの途中まで移動させることで、高さの異なる荷物Nを積載することができる。
【0062】
図4(c)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSに荷物Nを積載した状態を示す側断面図である。
運転席スペースDには運転者Uが乗車し、荷台スペースSには荷物Nを積み込んだ状態で運転者Uが乗車した状態で乗降ステップ部22を通って運転席スペースDから荷台スペースSへ移動することができる。
【0063】
図4(d)は荷台スペースSに同乗者Tが同乗する状態を示す側断面図である。
同乗者Tがいる場合は、荷台スペースSに折り畳み機能がある後部座席椅子Cを積載し、その後部座席椅子Cに同乗者Tが同乗する。さらに長距離運転する場合、運転者Uと同乗者Tが交替で運転することができる。
【0064】
後部座席椅子Cは、健常者が乗車する折り畳み機能と移動用の車輪を備えるパイプ構造の椅子で形成されるもので、荷台17の床面上に取付け、取外し自在に備えられる。
【実施例3】
【0065】
図5は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図5(a)は据え置き式のルーフトップ35の実施形態を示す側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、荷台17の煽り荷台ドア19の上端部にルーフトップ35を載置し、該ルーフトップ35が載置固定式または跳上げ固定式で形成されて成る手段を採る。
【0066】
ルーフトップ35は、金属または樹脂製のハードトップ部材で形成して荷台17の煽り荷台ドア19の上端部に留め具35aで載置固定され、さらにセンターピラーフレーム15に挟持連結具35bを介して連結固定されるものである。
また、最後尾に観音開き式の後方開閉ドア38が設けられることによって、荷物Nの出し入れを容易に行うことができる。
また、観音開き式の後方開閉ドア38をハッチバック式の後方開閉ドア38とすることによって特許7417788号の「カーテント」が装着できる仕様とすることもできる。
【0067】
図5(b)は跳ね上げ式のルーフトップ35の実施形態を示す側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、荷台17の煽り荷台ドア19の上端部にハードトップ部材で形成される跳上げ式のルーフトップ35を装着した手段を採る。
【0068】
図5(c)は荷台スペースSに同乗者Tが同乗する状態を示す側断面図である。
同乗者Tがいる場合は、荷台スペースSに折り畳み機能がある後部座席椅子Cを積載し、その後部座席椅子Cに同乗者Tが同乗する。さらに長距離運転する場合、運転者Uと同乗者Tが交替で運転することができる。
【0069】
図5(d)は電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSにルーフトップ35を装着して就寝床スペース28を確保した状態を示す側断面図である。
就寝床パネル27は、踏板状の矩形のパネルプレートで形成され、補強リブ構造によって剛性を高めた金属または樹脂製の所要の長さと幅と厚み有し、裏面には折り畳み式の立脚スタンドを備えて形成され、センターカバーパネル13の両側にある乗降ステップ部22と荷台スペースSの床面上に配設される。
【0070】
就寝床スペース28は、複数の就寝床パネル27によって床面Fが平坦になることで形成される。
また、運転席スペースDと荷台スペースSの床面から下に位置するスペースには、床下収納スペース23を確保することができる。
【0071】
運転座席33は、センターカバーパネル13の上部にスライド・回転自在に設けられるもので、就寝床スペース28を確保する際は、運転座席33の向きを変えた後、前方にスライドさせてダッシュボードパネル12近くまで移動させて固定する構造を有して形成される。
【0072】
本発明の電動式ルーフ付きトライク10の車内に就寝床スペース28を確保する手順を示す。
(1)左側の乗降口14の内側から乗降口カバーシート26をスナップロックボタン26aで施錠して左側の乗降口14を塞ぐ。
(2)隔離壁16のアコーディオン式カーテン16aまたは折れ戸式引き戸16bを片側に寄せて開く。
(3)右側の乗降口14の内側から乗降口カバーシート26をスナップロックボタン26aで施錠して右側の乗降口14を塞ぐ。
(4)荷台スペースS内に格納されていた複数の就寝床パネル27を複数の就寝床パネル支持金具およびアングル部材を用いてセンターカバーパネル13の高さに合わせて設置する。
(5)就寝床パネル27によって床面Fが平坦になることによってトライク本体の車内に就寝床スペース28が確保される。
【0073】
図5(e)は電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSにルーフトップ35と乗降口カバーシート26を装着した状態を示す側面図である。
乗降口カバーシート26は、車中泊時に乗降口14の内側から開口されている全領域をスナップロックボタン29等で施錠して塞ぐことによって車内に就寝床スペース28を確保することができる。
また、側方にファスナー開口部を設けることによって乗降口14が乗降口カバーシート26で塞がれている状態であっても運転者Uが側方から自由に出入りできる仕様とすることもできる。
さらに、乗降口14を乗降口カバーシート26のスナップロックボタン26aで施錠することによって、車内空間が完全に密閉・施錠状態となるため、所持品の盗難防止や、就寝時の不法侵入を防ぐことができる。
【0074】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、荷台スペースSの煽り荷台ドア19の上端にハードトップ部材で形成されるルーフトップ35を設け、据え置き式または跳上げ式の何れかの装着手段で備えられることによって、荷台スペースSを保冷庫仕様としたり、密室仕様、防水防音仕様、堅牢仕様など、ユーザーの需要に合わせて多様な仕様とすることができる電動式ルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例4】
【0075】
図6は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図6(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSに幌カバー20を装着した状態を示す全体斜視図である。
図6(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSに幌カバー20を装着した状態を示す側断面図である。
本発明における電動式ルーフ付きトライク10は、センターカバーパネル13の両側にある乗降ステップ部22と荷台スペースSの床面上に配設される就寝床パネル27と、運転席スペースD側の側面両側を塞ぐ乗降口カバーシート26と、を設けて就寝スペース28を確保した手段を採る。
【0076】
図6(c)は電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSに幌カバー20を装着して就寝床スペース28を確保した状態を示す側断面図である。
就寝床パネル27は、踏板状の矩形のパネルプレートで形成され、補強リブ構造によって剛性を高めた金属または樹脂製の所要の長さと幅と厚みをもって形成され、センターカバーパネル13の両側と荷台スペースSの床面上に配設される。
【0077】
就寝床スペース28は、複数の就寝床パネル27によって床面Fが平坦になることで形成される。
また、就寝床スペース28の床面Fから下に位置するスペースには、床下収納スペース23を確保することができる。
【0078】
運転座席33は、センターカバーパネル13の上部にスライド・回転自在に設けられるもので、就寝床スペース28を確保する際は、運転座席33の向きを変えた後、前方にスライドさせてダッシュボードパネル12近くまで移動させて固定する構造を有して形成される。
【0079】
本発明の電動式ルーフ付きトライク10の車内に就寝床スペース28を確保する手順を示す。
(1)左側の乗降口14の内側から乗降口カバーシート26をスナップロックボタン26aで施錠して左側の乗降口14を塞ぐ。
(2)隔離壁16のアコーディオン式カーテン16aまたは折れ戸式引き戸16bを片側に寄せて開く。
(3)右側の乗降口14の内側から乗降口カバーシート26をスナップロックボタン26aで施錠して右側の乗降口14を塞ぐ。
(4)荷台スペースS内に格納されていた複数の就寝床パネル27を複数の就寝床パネル支持金具およびアングル部材を用いてセンターカバーパネル13の高さに合わせて設置する。
(5)就寝床パネル27によって床面Fが平坦になることによってトライク本体の車内に就寝床スペース28が確保される。
【0080】
図6(d)は電動式ルーフ付きトライク10の荷台スペースSに幌カバー20と乗降口カバーシート26を装着した状態を示す側面図である。
乗降口カバーシート26は、車中泊時に乗降口14の内側から開口されている全領域をスナップロックボタン29等で施錠して塞ぐことによって車内に就寝床スペース28を確保することができる。
さらに、側方にファスナー開口部を設けることによって乗降口14が乗降口カバーシート26で塞がれている状態であっても運転者Uが側方から自由に出入りできる仕様とすることもできる。
また、乗降口14を乗降口カバーシート26のスナップロックボタン26aで施錠することによって、車内空間が完全に密閉・施錠状態となるため、所持品の盗難防止や、就寝時の不法侵入を防ぐことができる。
【0081】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、就寝床パネル27上において就寝、ごろ寝、休憩ができる電動式ルーフ付きトライク10の提供を可能にする。
【実施例5】
【0082】
図7は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図7(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口14にサイドバイザーパネル24ならびに防風雨カウル25を装着した状態を示す全体斜視図である。
図7(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口14にサイドバイザーパネル24ならびに防風雨カウル25を装着した状態を示す側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の乗降口14の上方には内外側両方に跳ね上げられる透明なサイドバイザーパネル24を設けると共に、該乗降口14の前方には前方からの風雨の回り込みを抑える防風雨カウル25を設けて成る手段を採る。
【0083】
乗降口14は、ボディパネル11の運転席スペースD側となる側面両側を常時解放する形状に設けられ、上方には横からの風雨の吹き込みを防止する役割を果たすサイドバイザーパネル24が備えられ、前方には前方からの風雨の回り込みを抑える役割を果たす防風雨カウル25が設けられる。
【0084】
サイドバイザーパネル24は、ボディパネル11の運転席スペースDの乗降口14の上方に備えられるもので、ヒンジによって内外両側に跳ね上げられる透明な樹脂パネルで形成されることで左右両側の視界を確保することができると共に、横からの風雨の吹き込みを防止することを目的として設けられる。また、内側に跳ね上げる場合は、運転席スペースDの内側天井近くまで跳ね上げて格納する。外側に跳ね上げる場合は、防風雨カウル25に干渉しない範囲で斜め上方に跳ね上げた状態で運転走行する。
【0085】
防風雨カウル25は、ボディパネル11の前方からの風雨の回り込みを抑える役割を果たすもので、乗降口14の上方および前方に延設して形成されるボディ一体型または後付けよって取り付けられる風雨除けのカウルである。尚、防風雨カウル25を後付けする場合は、車幅寸法内に収まるように取付けられる。
【0086】
以上で構成される本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の運転席スペースDの乗降口14にサイドバイザーパネル24ならびに防風雨カウル25を設けることによって、運転時において視界を遮ることなく前方ならびに側方からの車内への風雨の吹き込みを防止することができる。
【実施例6】
【0087】
図8は、本発明の電動式ルーフ付きトライクの別の実施形態を示す説明図である。
図8(a)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口14に着脱自在のハーフサイドドア30を備えた状態を示す側面図である。
本発明の電動式ルーフ付きトライク10は、ボディパネル11の乗降口14に着脱自在の風雨吹き込み防止手段29を設けて成る手段を採る。
【0088】
風雨吹き込み防止手段29は、例えば、ハーフサイドドア30または防風雨シート31または防風雨パネル32で形成される。
【0089】
ハーフサイドドア30は、運転席スペースDの乗降口14の下方領域(上方領域は解放されている)に着脱自在に装着されるサイドドアである。
降雨時においては、運転席スペースDの乗降口14の乗降ステップ部22への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物Nの車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、開閉するに際しては、防風雨カウル25と干渉するため、防風雨カウル25をハーフサイドドア30の高さ位置で切断するか、ハーフサイドドア30の開閉角度を制限する必要がある。
【0090】
ハーフサイドドア30の仕様は、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)の側車付二輪自動車(通称トライク)における『運転者席の側方が解放された自動車』の施行規則に準じて装着されるものである。
【0091】
図8(b)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口14に防風雨シート31を備えた状態を示す側面図である。
防風雨シート31は、ボディパネル11の運転席スペースDの乗降口14の任意の中段から下段(図示は中段から下段にかけて複数(一枚であってもよい)装着した状態を示す。)にかけて着脱自在に備えられる巻き取り式の幅広防風雨シート31であって、材質としては例えば、帆布またはシートベルト地で形成され、降雨時においては、運転席スペースDの乗降口14の乗降ステップ部22への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物Nの車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、防風雨シート31は、運転席スペースDの乗降口14を完全に塞閉するものではなく、サイドバイザーパネル24との間に常時隙間を形成して運転席スペースDのウインドウガラスの曇りを発生させない構造としている。
【0092】
図8(c)は本発明の電動式ルーフ付きトライク10の乗降口14に防風雨パネル32を備えた状態を示す側面図である。
防風雨パネル32は、運転席スペースDの乗降口14の少なくても幅寸法を有してボディパネル11の運転席スペースDの乗降口14の任意の中段から下段(図示は下段のみに装着した状態を示す)にかけて着脱自在に備えられる差し込み式の防風雨パネル32であって、材質は例えば、強化プラスチック板または軽量補強鋼板で形成され、降雨時においては、運転席スペースDの乗降口14の乗降ステップ部22への風雨の吹き込みを防ぐと共に、車内の荷物Nの車外への飛び出しを防ぐ目的で装着されるものである。
尚、防風雨パネル32は、運転席スペースDの乗降口14を完全に塞閉するものではなく、サイドバイザーパネル24との間に常時隙間を形成して運転席スペースDのウインドウガラスの曇りを発生させない構造としている。
【0093】
以上における防風雨シート31および防風雨パネル32の仕様は、自動車検査業務等実施要領・第1章1-2(1)の側車付二輪自動車(通称トライク)における『運転者席の側方が解放された自動車』の施行規則に準じて装着される。
【産業上の利用可能性】
【0094】
本発明の電動式ルーフ付きトライクは、三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースの床面上に幌カバートと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にした貨物仕様の「電動式ルーフ付きトライク」は、産業上の利用可能性は極めて大であるものと思料する。
【符号の説明】
【0095】
10 電動式ルーフ付きトライク(トライク本体)
11 ボディパネル
12 ダッシュボードパネル
13 センターカバーパネル
14 乗降口
15 センターピラーフレーム
16 隔離壁
16aアコーディオン式カーテン
16b折れ戸式引き戸
17 荷台
19 煽り荷台ドア
20 幌カバー
20a垂幕シート
21 キャスター
22 乗降ステップ部
23 床下収納スペース
24 サイドバイザーパネル
25 防風雨カウル
26 乗降口カバーシート
26aスナップロックボタン
27 就寝床パネル
28 就寝床スペース
29 風雨吹き込み防止手段
30 ハーフサイドドア
31 防風雨シート
32 防風雨パネル
33 運転座席
34 通気取り込み口
35 ルーフトップ
35a留め具
35b挟持連結具
36 丁番
37 ダンパー
38 後方開閉ドア
39 動力駆動手段
40 電動モーター
41 バッテリー
42 リアタイヤホイールシャフト軸
43 差動装置
44 動力伝達手段
45 インホイール電動モーター
D 運転席スペース
S 荷台スペース
C 後部座席椅子
U 運転者
F 床面
N 荷物
T 同乗者
【要約】
三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆って車内への風雨の吹き込みを防ぐと共に、荷台スペースの床面上に幌カバーと就寝床パネルを設けて車中泊を可能にした貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクの提供を図る。
【課題】三輪バイクのシャーシフレームをボディパネルで覆った貨物仕様の電動式ルーフ付きトライクであって、ボディパネルは、運転席スペースの側面両側には常時開口する乗降口を設け、該乗降口のセンターピラーフレームを境にして運転席スペース側と荷台スペース側とを隔離する開閉自在の隔離壁を設けて成り、運転席スペース側の車幅中央位置には、リアタイヤホイールシャフト軸を駆動する動力駆動手段を覆うセンターカバーパネルを設けると共に、該センターカバーパネルの上部にはスライド・回転自在の運転座席を設け、荷台スペース側の側方ならびに後方には外側に開閉する煽り荷台ドアを設けて成る手段を採る。
【選択図】
図1