IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ジェイ・エム・エスの特許一覧

<>
  • 特許-スタイレット装置 図1A
  • 特許-スタイレット装置 図1B
  • 特許-スタイレット装置 図2
  • 特許-スタイレット装置 図3
  • 特許-スタイレット装置 図4A
  • 特許-スタイレット装置 図4B
  • 特許-スタイレット装置 図5A
  • 特許-スタイレット装置 図5B
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】スタイレット装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 25/09 20060101AFI20240716BHJP
   A61M 25/01 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
A61M25/09 540
A61M25/01 510
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2019007603
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020115969
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-12-03
【審判番号】
【審判請求日】2023-05-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000153030
【氏名又は名称】株式会社ジェイ・エム・エス
(74)【代理人】
【識別番号】110000040
【氏名又は名称】弁理士法人池内アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】河内 恵太
(72)【発明者】
【氏名】上原 康賢
(72)【発明者】
【氏名】浮田 純次
(72)【発明者】
【氏名】瀧本 和彦
【合議体】
【審判長】内藤 真徳
【審判官】村上 哲
【審判官】土田 嘉一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0158229(US,A1)
【文献】特開2014-100347(JP,A)
【文献】特開2015-119837(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0307048(US,A1)
【文献】”経腸栄養分野の小口径コネクタ製品の切替えについて”、[online]、2018年3月16日、厚生労働省、[2024年3月27日検索]、インターネット<URL:https://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/isei/i-anzen/hourei/dl/180316-1.pdf>
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/09
A61M 25/01
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲変形が可能なガイドワイヤと、前記ガイドワイヤの基端に設けられたスタイレットコネクタとを備えたスタイレット装置であって、
前記スタイレットコネクタは、第1コネクタと、第2コネクタと、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが連通するように前記スタイレットコネクタをその中心軸に沿って貫通する流路とを備え、
前記第1コネクタは、その内径が前記第1コネクタの先端に近づくにしたがって大きくなるメステーパ面を有し、
前記第1コネクタに対して前記第2コネクタ側の前記流路内に、前記第1コネクタに向かって開口した内腔を有するワイヤ保持部が設けられており、
前記ガイドワイヤの基端は、前記ワイヤ保持部の前記内腔内に挿入され且つ前記内腔に充填された接着剤を介して前記スタイレットコネクタに固定されており、
前記ガイドワイヤは、前記流路を通って前記第1コネクタから導出されており、
前記流路とは別に前記スタイレットコネクタを貫通する貫通孔が、前記ワイヤ保持部の前記内腔と前記スタイレットコネクタの外界とを連通させるように設けられており、
前記貫通孔の開口の端縁は、前記ワイヤ保持部の開口の端縁と、前記スタイレットコネクタの中心軸方向において略同じ位置にあることを特徴とするスタイレット装置。
【請求項2】
前記貫通孔は、前記ワイヤ保持部から離れるにしたがって前記第1コネクタ側に偏位するように、前記スタイレットコネクタの中心軸に対して傾斜している請求項1に記載のスタイレット装置。
【請求項3】
前記貫通孔の内周面に、その内径が前記ワイヤ保持部から離れるにしたがって大きくなるメステーパ面が設けられている請求項1又は2に記載のスタイレット装置。
【請求項4】
前記接着剤が、前記ワイヤ保持部の前記内腔から前記貫通孔へ連続的に充填されている請求項1~のいずれか一項に記載のスタイレット装置。
【請求項5】
前記ワイヤ保持部内の前記接着剤の表面は、前記貫通孔内の前記接着剤の表面に対して前記スタイレットコネクタの中心軸方向において略同じ位置にある請求項1~のいずれか一項に記載のスタイレット装置。
【請求項6】
前記ワイヤ保持部は、前記スタイレットコネクタの中心軸に対して偏心して配置されている請求項1~のいずれか一項に記載のスタイレット装置。
【請求項7】
前記ワイヤ保持部の前記内腔は、前記ガイドワイヤの外径より大きな内寸法を有する請求項1~のいずれか一項に記載のスタイレット装置。
【請求項8】
前記ガイドワイヤは、前記スタイレットコネクタの中心軸と略同軸に配置されている請求項1~のいずれか一項に記載のスタイレット装置。
【請求項9】
前記第2コネクタは、その外径が前記第2コネクタの先端に近づくにしたがって小さくなるオステーパ面を有する請求項1~のいずれか一項に記載のスタイレット装置。
【請求項10】
前記第2コネクタは、前記第1コネクタが接続可能なオスコネクタと互換性を有する請求項1~のいずれか一項に記載のスタイレット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カテーテルチューブに挿入して使用されるスタイレット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食事を口から摂れなくなった患者に栄養剤や薬剤等を含む液状物を投与する方法として、経腸栄養法が知られている。経腸栄養法では、患者の鼻腔から胃又は小腸にまで挿入したカテーテルチューブを介して栄養剤や薬剤などの液状物を患者に投与する。カテーテルチューブは小径且つ柔軟であるので、容易に湾曲または屈曲する。このようなカテーテルチューブを鼻腔を通って所望する位置に到達させるのが困難な場合がある。この場合、カテーテルチューブに比べて相対的に高剛性の金属製のガイドワイヤ(「スタイレット」と呼ばれることもある)がカテーテルチューブに挿入される。
【0003】
カテーテルチューブの基端(液状物の流れ方向の上流端)にはカテーテルコネクタが設けられている。ガイドワイヤの基端には、カテーテルコネクタに接続可能なスタイレットコネクタが設けられている。カテーテルチューブにガイドワイヤを挿入し、且つ、カテーテルコネクタにスタイレットコネクタを接続する。この状態の剛性が高められたカテーテルチューブが患者に挿入される。
【0004】
カテーテルチューブの先端が所望する位置に到達したか否かは、例えば、カテーテルチューブを介して、胃液の吸引又は空気の注入を行うことにより確認することができる。胃液の吸引又は空気の注入は、例えばスタイレットコネクタにシリンジを接続して行う。カテーテルチューブの先端が所望する位置に到達したことが確認されると、スタイレットコネクタをカテーテルコネクタから分離し、ガイドワイヤをカテーテルチューブから引き抜く。カテーテルチューブは患者に留置される。その後、カテーテルコネクタに、経腸栄養チューブ(「経腸栄養投与セット」と呼ばれることがある)の下流端に設けられたコネクタが接続される。容器に貯留された液状物は、経腸栄養チューブ及びカテーテルチューブを順に通って患者に投与される。
【0005】
カテーテルコネクタとして、オスルアーと、オスルアーを取り囲む雌ネジとを有するオスコネクタが国際規格ISO80369-3として規格化されることが検討されている(例えば特許文献1,2参照)。この場合、スタイレットコネクタは、このオスコネクタのオスルアーが嵌入可能なメスルアーを有している必要がある。ガイドワイヤは、このメスルアーから導出される必要がある。
【0006】
特許文献3には、スタイレットコネクタの中空の入口穴からガイドワイヤを導出したスタイレット装置が記載されている。入口穴に中空円筒部材が締まりばめにより嵌入される。ガイドワイヤの基端は、入口穴の内周面と中空円筒部材との間に挟持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2014-100347号公報
【文献】特開2015-119837号公報
【文献】特表平11-500044号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3のスタイレット装置では、スタイレットコネクタにガイドワイヤを取り付けるために、スタイレットコネクタとは別部品である中空円筒部材を用いる。このため、スタイレット装置を構成する部品点数が多くなる。これは、スタイレット装置の構成を複雑化させる。
【0009】
また、スタイレットコネクタの入口穴の内周面と中空円筒部材とを締まりばめにより嵌合させる必要があるので、これらの寸法精度を厳密に管理する必要がある。入口穴の内周面と中空円筒部材との間にガイドワイヤを挟んだ状態で、入口穴に中空円筒部材を締まりばめで嵌入させる作業は煩雑である。これらのため、スタイレット装置の製造は困難である。
【0010】
本発明の第1の目的は、カテーテルコネクタのオスルアーに接続可能なスタイレットコネクタを備えたスタイレット装置を提供することにある。本発明の第2の目的は、構造が簡単で容易に製造できるスタイレット装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のスタイレット装置は、湾曲変形が可能なガイドワイヤと、前記ガイドワイヤの基端に設けられたスタイレットコネクタとを備える。前記スタイレットコネクタは、第1コネクタと、第2コネクタと、前記第1コネクタと前記第2コネクタとが連通するように前記スタイレットコネクタをその中心軸に沿って貫通する流路とを備える。前記第1コネクタは、その内径が前記第1コネクタの先端に近づくにしたがって大きくなるメステーパ面を有する。前記第1コネクタに対して前記第2コネクタ側の前記流路内に、前記第1コネクタに向かって開口した内腔を有するワイヤ保持部が設けられている。前記ガイドワイヤの基端は、前記ワイヤ保持部の前記内腔内に挿入され且つ前記内腔に充填された接着剤を介して前記スタイレットコネクタに固定されている。前記ガイドワイヤは、前記流路を通って前記第1コネクタから導出されている。前記流路とは別に前記スタイレットコネクタを貫通する貫通孔が、前記ワイヤ保持部の前記内腔と前記スタイレットコネクタの外界とを連通させるように設けられている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スタイレットコネクタの第1コネクタにはメステーパ面が設けられている。したがって、本発明のスタイレット装置のスタイレットコネクタは、カテーテルコネクタのオスルアーに接続することができる。
【0013】
ガイドワイヤの基端は、ワイヤ保持部に充填された接着剤を介してスタイレットコネクタに固定されている。したがって、本発明のスタイレット装置の構成は簡単である。
【0014】
ワイヤ保持部に通じる貫通孔が、流路とは別にスタイレットコネクタを貫通している。この貫通孔を介して、未硬化の接着剤をワイヤ保持部の内腔に注入することができる。したがって、本発明のスタイレット装置は容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A図1は、本発明の一実施形態にかかるスタイレット装置の斜視図である。
図1B図1Bは、本発明の一実施形態にかかるスタイレット装置の断面図である。
図2図2は、本発明の一実施形態にかかるスタイレット装置の製造の一工程を示した断面図である。
図3図3は、本発明の一実施形態にかかるスタイレット装置の製造の次の一工程を示した断面図である。
図4A図4Aは、本発明の一実施形態にかかるスタイレット装置のガイドワイヤを経鼻カテーテルに挿入した状態を示した斜視図である。
図4B図4Bは、図4Aの断面図である。
図5A図5Aは、本発明の一実施形態にかかるスタイレット装置のスタイレットコネクタを経鼻カテーテルのカテーテルコネクタに接続した状態を示した斜視図である。
図5B図5Bは、図5Aの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
上記の本発明のスタイレット装置において、前記貫通孔は、前記ワイヤ保持部から離れるにしたがって前記第1コネクタ側に偏位するように、前記スタイレットコネクタの中心軸に対して傾斜していてもよい。かかる態様によれば、第1コネクタを上方に向けてスタイレットコネクタを保持したとき、貫通孔の開口は斜め上方を向く。この状態で貫通孔を介して未硬化の接着剤をワイヤ保持部に注入する作業は容易である。また、注入後は、未硬化の接着剤が貫通孔の開口から漏れ出ない。したがって、上記の態様は、スタイレット装置の製造を容易にするのに有利である。
【0017】
前記貫通孔の開口の端縁は、前記ワイヤ保持部の開口の端縁と、前記スタイレットコネクタの中心軸方向において略同じ位置にあってもよい。かかる態様によれば、第1コネクタを上方に向けてスタイレットコネクタを保持したとき、貫通孔の開口の端縁と、ワイヤ保持部の開口の端縁とが略同じ高さになる。このため、貫通孔及びワイヤ保持部に注入した未硬化の接着剤が、貫通孔及びワイヤ保持部のいずれからも漏れ出る可能性が低い。これは、スタイレット装置の製造を容易にするのに有利である。
【0018】
前記貫通孔の内周面に、その内径が前記ワイヤ保持部から離れるにしたがって大きくなるメステーパ面が設けられていてもよい。かかる態様によれば、未硬化の接着剤を注入するためのノズルを貫通孔に挿入したとき、メステーパ面とノズルとの間に液密なシールが形成される。このシールは、貫通孔の内周面とノズルとの間から未硬化の接着剤が漏れ出るのを防止するのに有利である。
【0019】
前記接着剤が、前記ワイヤ保持部の前記内腔から前記貫通孔へ連続的に充填されていてもよい。かかる態様によれば、スタイレットコネクタ内の流路と外界との貫通孔を介した連通が、接着剤によって確実に遮断される。
【0020】
前記ワイヤ保持部内の前記接着剤の表面は、前記貫通孔内の前記接着剤の表面に対して前記スタイレットコネクタの中心軸方向において略同じ位置にあってもよい。
【0021】
前記ワイヤ保持部は、前記スタイレットコネクタの中心軸に対して偏心して配置されていてもよい。かかる態様は、ワイヤ保持部を設けた位置において、流路の断面積を十分に確保するのに有利である。
【0022】
前記ワイヤ保持部の前記内腔は、前記ガイドワイヤの外径より大きな内寸法を有していてもよい。かかる態様は、第1に、未硬化の接着剤の注入量の管理を容易にし、第2に、十分な量の接着剤でガイドワイヤをスタイレットコネクタに固定することを可能にし、第3に、ガイドワイヤをスタイレットコネクタの中心軸と略同軸に配置することを容易にする。
【0023】
前記ガイドワイヤは、前記スタイレットコネクタの中心軸と略同軸に配置されていてもよい。かかる態様によれば、スタイレットコネクタをカテーテルコネクタに接続したとき、カテーテルチューブに対するガイドワイヤの偏心量が小さくなる。これは、カテーテルチューブを患者に挿入する作業を容易にするのに有利である。
【0024】
前記第2コネクタは、その外径が前記第2コネクタの先端に近づくにしたがって小さくなるオステーパ面を有していてもよい。かかる態様によれば、共通するメスルアーを、第1コネクタが接続可能なカテーテルコネクタのオスルアーと、第2コネクタとのいずれにも接続することが可能になる。
【0025】
前記第2コネクタは、前記第1コネクタが接続可能なオスコネクタと互換性を有していてもよい。かかる態様によれば、共通するメスコネクタを、第1コネクタが接続可能なカテーテルコネクタのオスコネクタと、第2コネクタとのいずれにも接続することが可能になる。
【0026】
以下に、本発明を好適な実施形態を示しながら詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されないことはいうまでもない。以下の説明において参照する各図は、説明の便宜上、本発明の実施形態を構成する主要な部材を簡略化して示したものである。従って、本発明の範囲内において、図面に示されていない任意の部材を追加したり、あるいは、図面に示された任意の部材を変更もしくは省略したりしてもよい。異なる図面において、同一の部材には同一の符号が付されている。そのような部材については、重複する説明が省略されており、先行する図面の説明を適宜参酌すべきである。
【0027】
図1Aは、本発明の一実施形態にかかるスタイレット装置1の斜視図である。図1Bはスタイレット装置1の断面図である。スタイレット装置1は、スタイレットコネクタ10と、ガイドワイヤ50とを備える。図1Bにおいて、一点鎖線10aは、スタイレットコネクタ10の中心軸である。図1Bの断面は、中心軸10a及び貫通孔45(詳細は後述する)に沿っている。以下の説明の便宜のため、中心軸10aに直交する直線の方向を「半径方向」又は「直径方向」という。半径方向において「外側」とは中心軸10aから離れる側を意味し、半径方向において「内側」とは中心軸10aに近づく側を意味する。
【0028】
スタイレットコネクタ10は、中心軸10a方向の一端(第1端)に第1コネクタ20を備え、他端(第2端)に第2コネクタ30を備える。図1Bに示されているように、第1コネクタ20と第2コネクタ30とは、中心軸10aと同軸に配置され、中空の連結管12を介して連結されている。流路11が、第1コネクタ20と第2コネクタ30とを連通させるように、中心軸10aに沿ってスタイレットコネクタ10を貫通している。
【0029】
第1コネクタ20は、中空の略円筒形状を有する。第1コネクタ20の内周面は、その内径が第1コネクタ20の先端に近づくにしたがって大きくなるメステーパ面(第1メステーパ面)22を有する。第1コネクタ20は、メステーパ面22を有するメスルアーである。メステーパ面22は、スタイレット装置1が適合する経鼻カテーテル100のカテーテルコネクタ110に設けられたオスルアー131のオステーパ面132(後述する図4A及び図4B参照)に面接触して嵌合(いわゆるテーパ嵌合)するように、当該オステーパ面132と径及びテーパ角度が一致することが好ましい。第1コネクタ20(特にそのメステーパ面22)は、栄養系の医療機器に関する国際規格ISO80369-3に準拠していてもよい。
【0030】
第2コネクタ30は、中空の略円筒形状を有するオスルアー31を有する。オスルアー31の外周面は、その外径がオスルアー31の先端に近づくにしたがって小さくなるオステーパ面32を有する。第2コネクタ30は、オスルアー31から半径方向に離間してオスルアー31を取り囲む略円筒形状の外筒35を更に有する。外筒35の内周面には、雌ネジ36が設けられている。第2コネクタ30は、スタイレット装置1が適合する経鼻カテーテル100に設けられたカテーテルコネクタ110のオスコネクタ130(後述する図4A及び図4B参照)と互換性を有することが好ましい。第2コネクタ30(特にそのオステーパ面32及び雌ネジ36)は国際規格ISO80369-3に準拠していてもよい。
【0031】
第1コネクタ20と第2コネクタ30とをつなぐ連結管12の流路11内に、ワイヤ保持部40が設けられている。ワイヤ保持部40は、全体として有底の略中空筒形状(または略容器形状、または略箱形状)を有する。ワイヤ保持部40の長手方向(長軸)は中心軸10aと平行である。ワイヤ保持部40の内腔41は、第1コネクタ20に向かって開口している。内腔41は、ワイヤ保持部40の開口を介して流路11と連通している。ワイヤ保持部40は、流路11の内周面から半径方向内向きに突出している。ワイヤ保持部40は、中心軸10aに対して半径方向外側へ偏心している。これは、ワイヤ保持部40を設けた位置において、流路11の断面積を十分に確保するのに有利である。
【0032】
貫通孔45が、ワイヤ保持部40の内腔41とスタイレットコネクタ10の外界とを連通させるように、スタイレットコネクタ10を貫通している。貫通孔45は、ワイヤ保持部40の内腔41の最深部(即ち、内腔41の第2コネクタ30側端)またはその近傍から外側に向かってスタイレットコネクタ10の外周面にまで延びている。貫通孔45は、中心軸10aに対して傾斜している(即ち、中心軸10aに対して平行でも垂直でもない)。より詳細には、貫通孔45は、ワイヤ保持部40から離れるにしたがって第1コネクタ20側に偏位するように中心軸10aに対して傾斜している。貫通孔45のワイヤ保持部40とは反対側の開口の端縁47は、貫通孔45とワイヤ保持部40との接続箇所44(図2参照)に対して、中心軸10a方向において第1コネクタ20側に位置している。また、貫通孔45の開口の端縁47は、ワイヤ保持部40の開口の端縁42と、中心軸10a方向において略同じ位置にある。貫通孔45の内周面は、その内径がワイヤ保持部40から離れるにしたがって大きくなるメステーパ面(第2メステーパ面)46を端縁47の近傍に有する。
【0033】
ガイドワイヤ50は、流路11及びワイヤ保持部40の内腔41内に挿入されている。ガイドワイヤ50の基端(または近位端。図1Bにおいてガイドワイヤ50の上端)は、ワイヤ保持部40の内腔41の最深部(即ち、ワイヤ保持部40の底部)にまで達している。ワイヤ保持部40の内腔41の内寸法(特に、半径方向に沿った内腔41の内寸法)は、ガイドワイヤ50の外径より大きい。ガイドワイヤ50は、ワイヤ保持部40の内腔41内に、中心軸10aに接近するように(好ましくは中心軸10aに同軸になるように)、ワイヤ保持部40の軸に対して偏心して配置されている。ガイドワイヤ50の基端は、ワイヤ保持部40の内腔41に充填された接着剤48を介して、スタイレットコネクタ10に固定されている。ガイドワイヤ50は、流路11を通って第1コネクタ20から導出されている。
【0034】
接着剤48は、ワイヤ保持部40の内腔41から貫通孔45へ連続的に充填されている。ワイヤ保持部40内の接着剤48の表面48aは、ワイヤ保持部40の開口の端縁42に対して中心軸10a方向において第2コネクタ30側に位置している。また、ワイヤ保持部40内の接着剤48の表面48aは、貫通孔45内の接着剤48の表面48bに対して中心軸10a方向において略同じ位置にある。
【0035】
スタイレットコネクタ10は、硬質の材料からなることが好ましい。また、スタイレットコネクタ10の材料は透明性または透光性を有することが好ましい。具体的には、ポリアセタール、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアミド、ポリプロピレン、硬質ポリ塩化ビニル等の樹脂材料を用いうる。スタイレットコネクタ10は、これらの樹脂材料を用いて射出成形法等により全体を一部品として一体的に製造することができる。
【0036】
ガイドワイヤ50は、外力によって湾曲変形可能なように適度な可撓性(または柔軟性)を有する長尺の細紐状物である。ガイドワイヤ50は、経鼻カテーテル100のカテーテルチューブ150の剛性(弾性)を向上させ且つキンクを防止するために、カテーテルチューブ150に挿入される(後述する図4B及び図5B参照)。ガイドワイヤ50の外径は、カテーテルチューブ150の内径より小さい。ガイドワイヤ50の構成は、制限はなく、経腸栄養用カテーテルに使用される公知のガイドワイヤの構成と同じであってもよい。例えば、ガイドワイヤ50は、素線を撚り合わせた撚り線であってもよい。素線の材料は、制限はないが、ステンレス鋼等の金属や、ナイロンまたはポリエステルなどの比較的高剛性(高弾性)の樹脂であってもよい。更には、ガイドワイヤ50は、金属と樹脂とが組み合わされて構成されていてもよい。
【0037】
スタイレット装置1の製造方法を説明する。
【0038】
最初に、図2に示すように、スタイレットコネクタ10を、第1コネクタ20を上にして、その中心軸10aが鉛直方向に平行になるように、治具等(図示せず)で保持する。ガイドワイヤ50を、第1コネクタ20を通ってワイヤ保持部40内に挿入する。ガイドワイヤ50の基端(図2においてガイドワイヤ50の下端)は、ワイヤ保持部40の底部と上下方向に当接している。ガイドワイヤ50を中心軸10aに平行にし且つガイドワイヤ50をワイヤ保持部40の内腔41内で可能な限り中心軸10aに接近させた(または、中心軸10aと同軸にした)状態で、ガイドワイヤ50を治具等(図示せず)で保持する。
【0039】
次いで、図3に示すように、貫通孔45にノズル70を挿入する。ノズル70の基端(図示せず)は、例えば未硬化の接着剤48を貯留したシリンジ(図示せず)の筒先に接続されている。貫通孔45の開口は、斜め上方を向いているので、ノズル70の挿入は容易である。ノズル70を介して貫通孔45及びワイヤ保持部40の内腔41に未硬化の接着剤48を注入する。ノズル70の先端の外周面が貫通孔45の内周面のメステーパ面46に液密に嵌合する。このため、貫通孔45の内周面とノズル70との間から接着剤48が外界に漏れ出ることはない。接着剤48の注入量は、制限はないが、例えば、ワイヤ保持部40内の接着剤48の上面(液面)48aが、ワイヤ保持部40の開口の端縁42と同じかこれよりわずかに低い位置に達するように調整してもよい。この場合、接着剤48の上面48aは、ノズル70の先端より高い位置にある。スタイレットコネクタ10が透明性を有していると、接着剤48の液面48aをスタイレットコネクタ10を介して透視することができる。接着剤48としては、ガイドワイヤ50をスタイレットコネクタ10に固定することができる任意の接着剤を用いることができる。接着剤48は、比較的低粘度の液状であることが好ましい。具体的には、エポキシ樹脂系や紫外線硬化型の接着剤を用いうる。スタイレットコネクタ10が透光性を有することは、紫外線硬化型接着剤を硬化させるのに有利である。
【0040】
接着剤48を注入後、ノズル70を貫通孔45から抜き去る。ノズル70が抜き去られると、ワイヤ保持部40内の接着剤48の上面48aと、貫通孔45内の接着剤48の上面48bとが概略同じ高さになるように、上面48aはわずかに下降し、上面48bはわずかに上昇する(図1B参照)。ワイヤ保持部40の開口の端縁42と、貫通孔45の開口の端縁47とは、略同じ高さにある。このため、上面48a,48bの高さががこのように変化しても、接着剤48がワイヤ保持部40及び貫通孔45から漏れ出ない。
【0041】
その後、接着剤48を硬化させる。かくして、スタイレット装置1(図1A及び図1B参照)が得られる。
【0042】
スタイレット装置1は、経腸栄養用カテーテルを患者に挿入する前に、経腸栄養用カテーテルに挿入される。経腸栄養用カテーテルが経鼻カテーテルである場合を例に、スタイレット装置1の使用方法を説明する。
【0043】
図4Aは、スタイレット装置1のガイドワイヤ50を経鼻カテーテル100に挿入した状態を示した斜視図である。図4Bは、その断面図である。経鼻カテーテル100は、柔軟なカテーテルチューブ(以下、単に「チューブ」という)150と、チューブ150の基端(近位端)に設けられたカテーテルコネクタ110とを備える。
【0044】
図4Bに示されているように、カテーテルコネクタ110は、一端にオスコネクタ130を備え、他端に接続筒120を備える。流路111が、オスコネクタ130と接続筒120とが連通するように、カテーテルコネクタ110を貫通している。
【0045】
オスコネクタ130は、中空の略円筒形状を有するオスルアー131と、オスルアー131から半径方向に離間してオスルアー131を取り囲む略円筒形状の外筒135と、外筒135の内周面に設けられた雌ネジ136とを備える。流路111は、オスルアー131を、その長手方向に沿って貫通している。オスルアー131の外周面は、その外径がオスルアー131の先端に近づくにしたがって小さくなるオステーパ面132を有する。オスコネクタ130は、患者に投与される液状物が流れる経腸栄養チューブ(経腸栄養投与セット)の下流端に設けられたメスコネクタ(図示せず)に対して接続及び分離が可能である。オスコネクタ130及びメスコネクタは国際規格ISO80369-3に準拠していてもよい。なお、オスコネクタ130は、外筒135及び雌ネジ136を備えていなくてもよい。
【0046】
接続筒120も、全体として中空の略円筒形状を有する。接続筒120は、オスルアー131と同軸に配置されている。接続筒120に、チューブ150が挿入されている。チューブ150は接続筒120の内周面に、接着剤(図示せず)を介して固定されている。オスルアー131とチューブ150とは連通している。カテーテルコネクタ110の把持を容易にするために、接続筒120の外周面から一対のグリップ片125が半径方向外向きに突出している。
【0047】
図4A及び図4Bの状態において、スタイレットコネクタ10をカテーテルコネクタ110に接続する。
【0048】
図5Aは、スタイレット装置1のスタイレットコネクタ10を経鼻カテーテル100のカテーテルコネクタ110に接続した状態を示した斜視図である。図5Bは、その断面図である。カテーテルコネクタ110のオスルアー131が、スタイレットコネクタ10の第1コネクタ(メスルアー)20に挿入されている。第1コネクタ20は、オスルアー131と外筒135との間の隙間に挿入されている。第1コネクタ20のメステーパ面22とオスルアー131のオステーパ面132とは、径及びテーパ角度が一致する。このため、メステーパ面22とオステーパ面132とは面接触し液密に嵌合(いわゆるテーパ嵌合)する。第1コネクタ20とオスルアー131とのこのような接続は、一般に「スリップ接続」と呼ばれる。スタイレットコネクタ10の流路11、カテーテルコネクタ110の流路111、及び、チューブ150が順に連通している。ガイドワイヤ50は、流路111及びチューブ150に挿入されている。図示を省略するが、ガイドワイヤ50の先端(遠位端)は、チューブ150の先端(遠位端)またはその近傍にまで達している。
【0049】
図5A及び図5Bのようにスタイレットコネクタ10をカテーテルコネクタ110に接続した状態で、チューブ150の図示しない先端を患者の鼻腔に挿入する。チューブ150は、ガイドワイヤ50が挿入されていることにより剛性(弾性)が高められている。これは、チューブ150の先端を、所望する位置(例えば胃又は小腸)に到達させるのに有利である。
【0050】
チューブ150の先端が所望する位置に到達したか否かは、例えば、チューブ150を介して、胃液の吸引又は空気の注入を行うことにより確認することができる。胃液の吸引又は空気の注入は、スタイレットコネクタ10の第2コネクタ30(特にそのオスルアー31)に例えばシリンジを接続して行うことができる。チューブ150の先端が所望する位置に到達したことが確認されると、スタイレットコネクタ10をカテーテルコネクタ110から分離し、ガイドワイヤ50をチューブ150から引き抜く。スタイレット装置1は経鼻カテーテル100から分離される。経鼻カテーテル100は患者に留置される。オスコネクタ130に、経腸栄養チューブの下流端に設けられたメスコネクタを接続する。経腸栄養チューブ及び経鼻カテーテル100を介して患者に液状物を投与する。
【0051】
以上のように、本実施形態のスタイレット装置1では、第1コネクタ20と第2コネクタ30との間の流路11内に設けたワイヤ保持部40に、ガイドワイヤ50の基端が固定される。第1コネクタ20は、メステーパ面22を有するメスルアーである。ガイドワイヤ50は、第1コネクタ20から導出されている。ワイヤ保持部40は、第1コネクタ20よりも奥(第2コネクタ30側)に位置するので、ワイヤ保持部40は、第1コネクタ20(メステーパ面22)とカテーテルコネクタ110のオスルアー131(オステーパ面132)との嵌合を阻害しない(図5B参照)。国際規格ISO80369-3に準拠したオスコネクタ130を備えたカテーテルコネクタ110に、スタイレット装置1のスタイレットコネクタ10を接続することが可能である。
【0052】
ガイドワイヤ50の基端は接着剤48を介してスタイレットコネクタ10に固定されている(図1B参照)。このため、スタイレット装置1の構成は簡単である。上述した特許文献3のスタイレット装置では、スタイレットコネクタにガイドワイヤを取り付けるために中空円筒部材を用いる。本実施形態では、中空円筒部材のようなスタイレットコネクタとは別個の部品が不要である。
【0053】
未硬化の接着剤48は、流路11とは別に設けられた貫通孔45介してワイヤ保持部40の内腔41に注入される(図3参照)。本実施形態とは異なり、貫通孔45を設けずに、図3の状態で、ノズル70を第1コネクタ20に挿入して、ワイヤ保持部40の内腔41に接着剤を注入する方法が考えられる。しかしながら、この方法には以下の問題がある。第1に、第1コネクタ20内のガイドワイヤ50がノズル70の先端をワイヤ保持部40にアクセルするのを困難にする。第2に、ノズル70の先端をワイヤ保持部40に接近させる過程で、または、接着剤をワイヤ保持部40に注入した後ノズル70を第1コネクタ20から引き出す過程で、ノズル70の先端がメステーパ面22に誤って触れると、メステーパ面22に接着剤が付着してしまう可能性がある。メステーパ面22に付着した接着剤は、メステーパ面22とオステーパ面132との液密な嵌合(図5B参照)を困難にする。これに対して、本実施形態では、ワイヤ保持部40に接着剤48を注入するための専用の貫通孔45が流路11とは別に設けられている。ノズル70の先端を貫通孔45に突き刺して、貫通孔45を介してワイヤ保持部40への接着剤48を確実に注入することができる(図3参照)。ノズル70を第1コネクタ20に挿入する必要がないので、接着剤48をメステーパ面22に付着させてしまうことがない。接着剤48をワイヤ保持部40に注入する作業は、熟練を要さず、簡単である。このため、本実施形態のスタイレット装置1は製造が容易である。
【0054】
上述した特許文献3のスタイレット装置では、スタイレットコネクタの入口穴の内周面と中空円筒部材とを締まりばめにより嵌合させる。このため、これらの寸法精度を厳密に管理する必要がある。また、スタイレットコネクタの入口穴に中空円筒部材を嵌入させる作業は煩雑である。これに対して、本実施形態ではワイヤ保持部40に接着剤を注入するので、ワイヤ保持部40及びその周辺の寸法精度を緩和することができ、また、締まりばめで2部品を嵌合させる工程が不要である。この点でも、本実施形態のスタイレット装置1は製造が容易である。
【0055】
本実施形態では、ワイヤ保持部40の内腔41の内寸法は、ガイドワイヤ70の外径より大きい。これは、以下の点で有利である。第1に、ノズル50からワイヤ保持部40に未硬化の接着剤48を注入する工程(図3参照)において、接着剤48の上面48aの高さ(即ち、接着剤48の注入量)を管理するのが容易である。第2に、接着剤48を注入後、ノズル70を貫通孔45から抜き去ったときに、ワイヤ保持部40内の接着剤48の上面48bの下降距離が小さくなるので、十分な量の接着剤48でガイドワイヤ70をスタイレットコネクタ10に固定することができる。第3に、ワイヤ保持部40がスタイレットコネクタ10の中心軸10aに対して偏心して配置されていても、ガイドワイヤ70を中心軸10aと略同軸に配置することができる。このため、スタイレット装置1を経鼻カテーテル100に挿入した状態(図5B参照)でのチューブ150に対するガイドワイヤ50の偏心量が小さくなる。これは、チューブ150を患者に挿入する作業を容易にするのに有利である。
【0056】
本実施形態では、スタイレットコネクタ10の第2コネクタ30は、オステーパ面32を有する。更には、第2コネクタ30は、カテーテルコネクタ110のオスコネクタ130と互換性を有している。このため、オスコネクタ130に接続可能なメスコネクタを、第2コネクタ30にも接続することができる。例えば、上記の胃液の吸引又は空気の注入を行うために使用するシリンジを、第2コネクタ30及びオスコネクタ130のいずれにも接続することができる。患者の状態等によっては、スタイレット装置1を使用せずに、経鼻カテーテル100を患者に挿入する場合がある。その場合には、上記のシリンジをカテーテルコネクタ110のオスコネクタ130に接続して、胃液の吸引又は空気の注入を行ってチューブ150の先端が所望する位置に到達したか否かの確認を行うことができる。したがって、第2コネクタ30用とオスコネクタ130用との2種類のシリンジを準備する必要がない。スタイレット装置1を使用するか否かにかかわらず、共通するシリンジを使用することができる。
【0057】
上記の実施形態は例示に過ぎない。本発明は、上記の実施形態に限定されず、適宜変更することができる。
【0058】
ワイヤ保持部40の形状は、上記の実施形態に限定されず、任意に変更しうる。ワイヤ保持部40は、ガイドワイヤ50の基端を挿入することができればよい。ワイヤ保持部40の内腔41の内寸法は、ガイドワイヤ50の外径とほぼ同じであってもよい。
【0059】
ガイドワイヤ50を中心軸10aに垂直な平面に平行な方向に位置決めするための機構が、ワイヤ保持部40に設けられていてもよい。例えば、ワイヤ保持部40の最深部(底部)に、ガイドワイヤ50の基端が嵌入する凹部が設けられていてもよい。ガイドワイヤ50は、ワイヤ保持部40と同軸に配置されてもよい。
【0060】
上記の実施形態では、ワイヤ保持部40は、スタイレットコネクタ10の中心軸10aに対して偏心していたが、ワイヤ保持部40を中心軸10aと同軸に配置してもよい。この構成は、ガイドワイヤ50を中心軸10aと同軸に配置するのを容易にする。例えば、中心軸10aと同軸に配置したワイヤ保持部40と、流路11の内周面とを、半径方向に沿って延びた少なくとも一つの支持部材で連結してもよい。貫通孔45は、この支持部材内に設けられる。
【0061】
上記の実施形態では、ワイヤ保持部40は、第1コネクタ20と第2コネクタ30との間の連結管12内に設けられていたが、ワイヤ保持部40の中心軸10a方向の位置は、これに限定されない。ワイヤ保持部40は、第1コネクタ20に対して第2コネクタ30側に配置されていればよい。例えば、ワイヤ保持部40の一部又は全部が、第2コネクタ30のオスルアー31内の流路11に配置されていてもよい。
【0062】
本発明では、連結管12を省略し、第1コネクタ20と第2コネクタ30とが直結されていてもよい。
【0063】
貫通孔45は、まっすぐに延びている必要はない。例えば、貫通孔45は、ワイヤ保持部40から半径方向に沿って外向きに延びた後、中心軸10aと平行に第1コネクタ20側に延びた、略L字状に屈曲していてもよい。
【0064】
貫通孔45の内周面にメステーパ面46が設けられていなくてもよい。接着剤48が外界に漏れ出すのを防止するための、ノズル50とスタイレットコネクタ10との間のシール構造は、ノズル50とメステーパ面46との嵌合構造以外の任意の構成を採用しうる。
【0065】
第1コネクタ20の外周面に、オスコネクタ130の雌ネジ136に螺合可能な突起(例えば螺状突起または雄ネジ)が設けられていてもよい。
【0066】
上記の実施形態では、第2コネクタ30は、オスルアー31と、雌ネジ36が設けられた外筒35とを備えたオスコネクタであったが、本発明はこれに限定されない。第2コネクタ30は、国際規格ISO80369-3に準拠していなくてもよく、また、カテーテルコネクタ110のオスコネクタ130と互換性を有していなくてもよい。第2コネクタ30が、外筒35及び雌ネジ36を備えていなくてもよい。第2コネクタ30は、オスルアー31を備えたオスコネクタである必要はなく、メスルアーを備えたメスコネクタであってもよい。
【0067】
本発明のスタイレット装置は、経鼻カテーテル以外の経腸栄養用カテーテルにも使用することができる。更に、経腸栄養法以外の患者の体内に挿入される任意のカテーテルに本発明のスタイレット装置を使用することができる。当該カテーテルは、オスルアーを有するカテーテルコネクタと、カテーテルチューブとを備えていればよい。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明は、制限はないが、医療分野に広範囲に利用することができ、中でも経腸栄養法の分野において好ましく利用することができる。具体的には、本発明のスタイレット装置は、経腸栄養用カテーテルに挿入して使用するのに適している。当該経腸栄養用カテーテルのカテーテルコネクタには、国際規格ISO80369-3に準拠したオスコネクタが設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
1 スタイレット装置
10 スタイレットコネクタ
10a スタイレットコネクタの中心軸
11 流路
20 第1コネクタ
22 メステーパ面(第1メステーパ面)
30 第2コネクタ
31 オスルアー
40 ワイヤ保持部
41 ワイヤ保持部の内腔
42 ワイヤ保持部の開口の端縁
45 貫通孔
46 メステーパ面(第2メステーパ面)
47 貫通孔の開口の端縁
48 接着剤
48a ワイヤ保持部内の接着剤の表面
48b 貫通孔内の接着剤の表面
50 ガイドワイヤ
図1A
図1B
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B