(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】バンパ―付ナースカート用什器
(51)【国際特許分類】
A61G 12/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
A61G12/00 C
(21)【出願番号】P 2019100556
(22)【出願日】2019-05-29
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(73)【特許権者】
【識別番号】390005452
【氏名又は名称】伊藤喜オールスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092679
【氏名又は名称】樋口 盛之助
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 昇
【審査官】二階堂 恭弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-17972(JP,A)
【文献】特開2012-81153(JP,A)
【文献】特開2013-17709(JP,A)
【文献】実開昭64-6940(JP,U)
【文献】特開2013-226187(JP,A)
【文献】特開2013-226188(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前後方向に延びる水平な足部と該足部の長さ方向略中央から略垂直に立上がる支柱部により側面視略逆T状に形成されたサイドフレームと、左右方向に離間して配した前記サイドフレームの対面する上部の間を繋ぐ上部連結フレームを備えるナースカートターミナルにおいて、
前記サイドフレームの対面する下部の間に、前記ナースカートターミナルの前面側と後面側に接近して対面配置されるナースカートのトップボード同士が干渉しないように前記ナースカートの接近位置を規制するバンパーが架設され、前記上部連結フレームと前記バンパーの間には、2枚の幕板状のパネル部材が設置され、
側面視において、前側のパネル部材は前記支柱部の前端よりも後側に位置し、後側のパネル部材は前記支柱部の後端よりも前側に位置して
おり、
前記バンパーは、前記ナースカートが接近した際に当接するバンパー本体を含み、
前記バンパー本体は、側面視において前記支柱部よりも前側に突出する部分と、側面視において前記支柱部よりも後側に突出する部分と、を含み、
前記支柱部は、300mm未満に設定されている
ことを特徴とするナースカート用什器。
【請求項2】
前記バンパーは、平行に配置する少なくとも2本の鋼管部材の両端部を結合部材で連結し平面視略長方形の外形に形成したものである
請求項1のナースカート用什器。
【請求項3】
前記バンパーは、平面視略長方形の鋼板の長辺側の縁部、又は長辺側と短辺側の縁部を、断面略コ状又は略逆L状に曲げて形成したものである
請求項1のナースカート用什器。
【請求項4】
対面する前記サイドフレームの下部に架設する前記バンパーは、前記結合部材と前記サイドフレームの間、又は前記短辺側と前記サイドフレーム間に取付部材を介して前記サイドフレームに結合する
請求項
2又は3のナースカート用什器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、病院等で使用されるナースワゴンやナースカート等と称されるカート(以下、ナースカートという。)の複数台が集合配置され、必要な備品等の搭載や電子機器の充電等を行うための場所(例えば、ナースセンターやその隣接場所等。)に設置されるナースカート用什器(以下、ナースカートターミナル、又は単にカートターミナルともいう。)に関する。
【背景技術】
【0002】
入院患者がいる病院では、看護師が各患者の間を巡回し、患者の血圧、心拍数、体温等の測定や点滴液、包帯等の交換など必要な措置を採るために、パソコンを含む必要な機器、機材、用具、用品等を搭載するナースカートが使用されている。
【0003】
上記ナースカートは、例えばナースセンターに各看護師が集合するとき、各人が携行していた夫々のナースカートを、カートターミナルに接近状態で並べて配置することが行われる。
【0004】
複数台のナースカートが接近配置されるカートターミナルでは、各看護師が業務上使用しているパソコンやPHS等の電源を充電したり、配置したナースカート上でパソコンを操作するなどの業務も行われる。
【0005】
ところで、複数台のナースカートが集合的に接近配置される従来のカートターミナルには、
図5、
図6に示すように、正面視横長略長方形状で小さめの前後幅を有する筐体部Sbの左右側を、略逆T状のサイドフレームSFに支持させてカートターミナルCTに形成したものがある。
【0006】
上記カートターミナルCTの前後両面に複数台のナースカートを対面状態で集合配置する場合、各ナースカートのキャスタ付の足が、筐体部Sbの下部に当接することによって、各ナースカートのトップボード先端がカートターミナルCTの筐体部Sbに衝突したり、筐体部Sbの上面に被ることがないというストッパ機能を、前記筐体部Sbが果たしている。
【0007】
前記カートターミナルCTの筐体部Sbは、内部が中空の部屋に形成され、電源コード等やその余長部分等の収納機能も備えている。また前記筐体部Sbを支持する左右のサイドフレームSFはこの筐体部Sb前後幅と同等の前後幅を有する外観に形成されている。
【0008】
ところで、前記カートターミナルCTの外観上の印象を変えるため、例えば筐体部Sbの前後幅を、
図5、
図6に示す前後幅の1/2以下に形成すると、このカートターミナルCTが備えていたナースカートのトップボード先端を筐体部Sbに衝突させない機能、或はトップボード先端側が筐体部Sbの上面に被らない機能は失われてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、従来のカートターミナルがその形態によって備えていた、接近配置されるナースカートのトップボード先端をカートターミナルに衝突させない機能、或はトップボード先端部をカートターミナルの上面に被らせない機能が、デザイン変更等によって損なわれる形態に設計されたカートターミナルにおいても、カートターミナルに配置されるナースカートのトップボード先端が、当該カートターミナルに衝突せず、また、対面配置されたナースカート同士のトップボードが、互いに干渉することのない構造を備えたカートターミナルを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明カートターミナルの構成は、
前後方向に延びる水平な足部と該足部の長さ方向略中央から略垂直に立上がる支柱部により側面視略逆T状に形成されたサイドフレームと、左右方向に離間して配した前記サイドフレームの対面する上部の間を繋ぐ上部連結フレームを備えるナースカートターミナルにおいて、前記サイドフレームの対面する下部の間に、前記ナースカートターミナルの前面側と後面側に接近して対面配置されるナースカートのトップボード同士が干渉しないように前記ナースカートの接近位置を規制するバンパーを架設したことを特徴とする。
【0012】
前記バンパーは、平行に配置する少なくとも2本の鋼管部材の両端部を結合
部材で連結し平面視略長方形の外形に形成したものである。なお、前記バンパーには、平面視略長方形の鋼板の長辺側の縁部、又は長辺側と短辺側の縁部を、断面略コ状又は略逆L状に曲げて形成したものを用いることができる。
【0013】
前記バンパーは、前記結合部材と前記サイドフレームの間、又は前記短辺側と前記サイドフレーム間に、取付部材を介在させて前記サイドフレームに結合する取付形態がある。
【0014】
本発明における上部連結フレームは、縦長の略逆凹状断面又は縦長の略ロ状断面を有し、その上面又は前後両面に、電源コンセントを含む電気コネクタを備えている。
【0015】
また、前記上部連結フレームは、当該上部連結フレームが有する天板支持部材を介して前記上部連結フレームの上に載置した一枚天板を備え、前記一枚天板に電源コンセントを含む電気コネクタを備えたものがある。
【0016】
本発明ナースカートターミナルにおいては、上面に電気コネクタを備えた前記上部連結フレームが、その上部連結フレームの上端部を挟む形で2枚の天板を、天板支持部材を介して備えたものもある。
【0017】
また、前記2枚の天板を支持する天板支持部材は、前記支柱部の前後面に設けた天板支持部材の装着部に着脱式で設けられる。
【0018】
さらに、前記2枚の天板用の天板支持部材の装着部は、前記支柱部の前後面の上半部に天板支持部材の高さを選択して装着できるように設けている。
【0019】
本発明では、支柱部の前後面において高さを違えて装着した天板支持部材に、2枚の天板を夫々に支持させた形態のカートターミナルに形成できる。
【0020】
また、前記サイドフレームの支柱部は、平断面形状が横向き略凹状の強度部材と該強度部材の開放面を塞ぐ着脱式のカバー部材を備えたもので形成してもよい。
【0021】
支柱部が上記構造のものでは、前記2枚の天板用の天板支持部材の装着部を、前記支柱部の強度部材に設ける。
【0022】
さらに前記上部連結フレームと下部連結フレームの前面と後面には、幕板を含むパネル部材を着脱式又は開閉式で設けることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明カートターミナルは、ナースカートが接近できる限度を規定するバンパーを、左右のサイドフレームの下部に設けたから、カートターミナルの前後幅が小さくデザインされたカートターミナルであっても、ナースカートのキャスタ付の足が、トップボードがカートターミナルに届くより先にバンパーに当接するから、対面したナースカートのトップボード同士の干渉を回避し、トップボード先端がカートターミナルに衝突することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図4】
図1のカートターミナルにナースカートが配置された例の側面図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、図を参照して本発明カートターミナルの実施形態の一例について説明する。
図1~
図4において、1は前後方向に延びた水平な足部、1aは足部1の下面両端に設けたアジャスタ、2は前記足部1の長さ方向の略中央において垂直に立上がった姿勢で設けた支柱部である。前記支柱部2は、
図5,6に示した従来のカートターミルの支柱部の前後幅に比べ、デザイン上の要請によりかなり細く形成されている。
【0026】
前記足部1とこの足部1に立接された支柱部2は、側面視略逆T状を呈するサイドフレームSFを形成する。図示したサイドフレームSFにおける支柱部2は、その長さ(高さ)が後述する天板6,7が設けられる高さより大きく形成されている。
本発明によるカートターミナルには、図示しないが、
図1の天板6,7の上面と略同じ高さの支柱部2や、
図1に示した支柱部2の高さよりも高い支柱部2を使用したカートターミナルもある。
【0027】
前記サイドフレームSFは、その2つを左右方向で離間して配置し、配置した左右のサイドフレームSFの対向面における上部に、上部連結フレーム3を架設して結合することにより、前記左右のサイドフレームSFとこのサイドフレームSFに結合された上部連結フレーム3を備えるカートターミナルCTの一形態例に構成される。
【0028】
上部連結フレーム3は、一例として断面形状が縦長略凹状の連結フレーム本体3aで形成されている。連結フレーム本体3aは、その上面開口に着脱可能に被せた蓋部を有するものもある。前記連結フレーム本体3aの前後幅は、前記支柱部2の前後幅と同等の大きさで、前後幅を小さく(厚さを薄く)形成している。これはデザイン上の要請によってカートターミナルCTの前後幅を薄く(スマートに)見せるためである。
【0029】
上記連結フレーム本体3aは、断面形状が上記の縦長略凹状のものに限られず、例えば断面が横向き凹状の部材を対面させた組合せ部材や縦長の断面略□状部材を用いることができる。
【0030】
連結フレーム本体3aは、その下面側から電気コードを内部に通し、その電気コードを上面側へ引出せるコード挿通構造を備えている。
【0031】
4は、左右のサイドフレームSFの対向面の下部に架設したバンパーである。図示したバンパー4は、外側寸法の離間幅を200~300mm程度に設定した2本の鋼管部材によるバンパー本体4aと、2本の鋼管部材の少なくとも両端を繋いで一体化する結合部材4bにより平面視の輪郭が略横向き長方形状のバンパーに形成されている。このバンパー4は、両端の結合部材4bにおいて前記サイドフレームSFの対向した内面にボルトナットやビス止め等により結合(固着)される。
前記バンパー本体4aは、2本以上の鋼管部材を使用してもよく、鋼管部材に角パイプ又は丸パイプの何れを用いるかは任意である。前記鋼管部材に代えて断面略コ状等にチャンネル材をバンパー本体4aに用いることができる。結合部材4bは、両端部の2つだけでもよく、或は両端部を含み4つ以上であってもよい。
【0032】
上記バンパー4は、足部1と平行方向における幅(前後幅)が上記200~300mmであれば、略長方形の鋼板部材を、その長辺側の縁、又は長辺側と短辺側の縁を断面が略コ状や略逆L状に曲げて平面視の輪郭が略長方形状のバンパー4に形成したものでもよい。
なお、鋼板部材で形成したバンパー4において長さ方向の左右側に縁が曲げられないバンパー4は、当該バンパー4とサイドフレームSF(支柱部2)の内面の結合のため、前記バンパー4の左右側端部と左右のサイドフレームSFの対向した内面の間に、図示しない取付部材を介在させることがある。前記取付部材は、他の形態のバンパー4とサイドフレームSFの内面の結合において用いることもある。
【0033】
上述したいずれのバンパー4も、その前後幅を支柱部2の前後幅(足部1と平行な向きの幅)よりも大きく形成している。これは先に述べたように支柱部1の前後幅が細く、この幅に合わせてカートターミナル全体の前後幅が小さめに形成されているため、バンパー4を設けないとカートターミナルに対向配置されるナースカートのトップボード同士の干渉が起きるからである。因みに、
図5、
図6に示した従来のカートターミナルCTにおいては、サイドフレームSFの支柱部の前後幅とターミナル本体をなす筐体部Sbの前後幅が同等に形成されていたから幅広であり、この幅によって対面配置するナースカートでもトップボード同士の干渉は生じなかった。なお、
図5、
図6において、
図1~
図4のカートターミナルCTと同じ部材には、同じ符号を付けている。
【0034】
本発明では、上記足部1と支柱部2を備える左右のサイドフレームSFと、両サイドフレームSFを結合する上部連結フレーム3と、サイドフレームSFの下部に架設したバンパー4によって、最も基本的な形態の本発明カートターミナルCTに構成される。
【0035】
図1~
図4に図示した実施形態例は、上記の基本形態の本発明カートターミナルCTに、以下に説明する構成を付加したものである。
【0036】
基本形態の本発明カートターミナルCTにおいて、上部連結フレーム3と下部のバンパー4の間には、2枚の幕板状のパネル部材5が、左右の支柱部2の前後両面において着脱可能に設置されている。2枚のパネル部材5の間は、電気コードの挿通部や余長コードに保留部を形成する空間として利用できる。
【0037】
また、基本形態の本発明カートターミナルCTにおいては、
図1に示すように、上部連結フレーム本体3aの上面に1枚天板6が載置されている。前記天板6の上面には、前記電気コードに接続された電源コンセントを含む電気コネクタ6aが、図の例では4個が等ピッチで配置されている。前記1枚天板6の裏面の手前縁近傍には、USBポート等の電気コネクタ6aが配置されている。
本発明には、蓋を有する上部連結フレーム本体3aの上面を挟む形で2枚の天板を設けたカートターミナルCTもある。
【0038】
前記1枚天板6は、左右のサイドフレームSFにおける夫々の支柱部2に設けたブラケット状の天板支持部材7,8によって支承されている。前記1枚天板6は、図示しないが、上部連結フレーム3の中間部に設けた天板支持部材(図に表われず)によっても支持される。
【0039】
図1~
図4示した本発明カートターミナルCTでは、左右のサイドフレームSFの支柱部2に、上端が天板6,7の高さより高く位置する上部側2aを有する支柱部材を使用している。これは、左右の支柱部2の上部側2aの対向面間にディスプレイパネル等を係止する支持バー部材9を架設するためである。
【0040】
本発明カートターミナルCTは以上の通りであって、カートターミナルCTを形成する左右のサイドフレームSFの下部に設けたバンパー4は次の作用効果を奏する。
すなわち、
図4に例示するように、ナースカートNCをカートターミナルCTに接近させるとき、ナースカートNCのトップボードN1の先端Naが、カートターミナルCTに衝突することが無い。ナースカートNCのキャスタN3を備えた足N2の先端部Nbが先にバンパー4に当接するからである。この結果、左右の支柱部2と上部連結フレーム3とパネル部材5によるターミナル本体の前後幅を小さく設計したカートターミナルCTであっても、ナースカートNCのトップボード先端Naがターミナル本体Tbに衝突することがない(
図4参照)。
【0041】
また、ナースカートNCのトップボードN1が、カートターミナルCTの上面より高い位置にある場合でも、前記トップボードN1がカートターミナルCTの上面に被さることは無いから、対面配置したナースカートNCのトップボードN1同士が互いに干渉することは無く、夫々のトップボードN1の上に置いたPCの操作等が対向側のナースカートNCの存在によって阻害されることがない。
図4において、N4はナースカートNCの支柱、N5は支柱N4に設けた棚、N6は押し引き用のハンドルである。
【符号の説明】
【0042】
CT カートターミナル(ナースカート用什器)
SF サイドフレーム
1 足部
2 支柱部
3 上部連結フレーム
4 バンパー