(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】コネクタ取付け構造
(51)【国際特許分類】
H01R 13/52 20060101AFI20240716BHJP
H01R 13/73 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
H01R13/52 301H
H01R13/73 F
(21)【出願番号】P 2019111433
(22)【出願日】2019-06-14
【審査請求日】2022-05-18
【審判番号】
【審判請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】和田 康太郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 旭
(72)【発明者】
【氏名】永山 雅隆
(72)【発明者】
【氏名】柴田 久哉
【合議体】
【審判長】小川 恭司
【審判官】中屋 裕一郎
【審判官】鎌田 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-129078(JP,A)
【文献】実開昭63-23836(JP,U)
【文献】実開昭60-99787(JP,U)
【文献】実開昭61-6062(JP,U)
【文献】特開2004-297016(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/52
H01R 13/73
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハウジング、及び、当該ハウジングの外周面から板状に延出して取付け対象に固定するためのネジが貫通する取付け孔が設けられた取付け部、を有するコネクタと、
外壁に、前記ハウジングが貫通する貫通孔、及び前記ネジが螺入するネジ孔が設けられた筐体と、
前記コネクタと前記外壁の間に介在し、前記貫通孔からの浸水を抑える防水部材と、
前記取付け部における前記取付け孔と前記ハウジングの外周面とで挟まれる位置に設けられる係合部、及び、前記外壁に設けられて前記係合部が係合する被係合部、を有し、前記ネジが貫通する前記取付け孔の中心軸回りの前記コネクタの回転を規制する規制構造と、
を備え、
前記取付け部が、前記ハウジングとは別部品として形成されて当該ハウジングに固定される部材であり、
前記ハウジングの外周面には、周方向に延在する圧入溝が形成され、
前記取付け部が、所定形状の板部材における外周縁の一部から、前記ハウジングにおける中心軸に対する直交断面の形状に応じて切り欠かれた形状に形成され、切欠きの内側に前記ハウジングが収まるように前記切欠きの内周縁が前記圧入溝に圧入されるものであることを特徴とするコネクタ取付け構造。
【請求項2】
前記係合部が、前記取付け部から突出した突起であり、
前記被係合部が、前記外壁に設けられて前記突起が嵌入する嵌入穴であることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ取付け構造。
【請求項3】
前記ネジ孔が複数設けられ、
前記取付け孔が、複数の前記ネジ孔に一対一に重なるように複数設けられ、
前記係合部が、複数の前記取付け孔それぞれについて1つずつ複数設けられ、
前記被係合部が、複数の前記係合部それぞれについて1つずつ複数設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ取付け構造。
【請求項4】
前記係合部が、前記取付け部の外周縁のうち前記取付け孔に最も近い縁部分に対し、当該取付け孔よりも遠くなる位置に設けられていることを特徴とする請求項1~3のうち何れか一項に記載のコネクタ取付け構造。
【請求項5】
前記防水部材が、前記外壁における前記貫通孔の内縁と前記ハウジングの外周面との間に介在することを特徴とする請求項1~
4のうち何れか一項に記載のコネクタ取付け構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタを筐体に固定するためのコネクタ取付け構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
電気機器や電子機器等の装置の筐体の多くには、ワイヤハーネス等を接続するためのコネクタが設けられている。このようなコネクタを筐体に固定するためのコネクタ取付け構造としては、従来、コネクタの取付け孔を介して筐体のネジ孔にネジが螺入されることで、コネクタを筐体にネジ固定する構造が知られている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。この構造では、コネクタにおける筒状のハウジングの外周面から延出するようにフランジが設けられ、このフランジに取付け孔が設けられている。筐体の外壁には、コネクタのハウジングが貫通する貫通孔が設けられている。コネクタのハウジングがこの貫通孔を貫通すると、フランジが貫通孔の周囲の壁面に重ねられる。そして、この壁面に、フランジにおける取付け孔と重なって開口するようにネジ孔が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-204597号公報
【文献】特開2012-174506号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、コネクタのハウジングが筐体の外壁における貫通孔を貫通して筐体に固定される構造では、貫通孔からの浸水を抑える防水部材が、コネクタと筐体の外壁との間に介在するように設けられる場合がある。このとき、フランジにおける取付け孔の周囲への、螺入中のネジの接触等に起因して、コネクタには、そのネジが貫通した取付け孔の中心軸回りの回転力が作用することがある。そして、この回転力によってコネクタが回転すると、コネクタや筐体の外壁に防水部材が片寄って接触してしまい、防水性能を低下させてしまう場合がある。
【0005】
従って、本発明は、上記のような問題に着目し、防水性能の低下を抑えてコネクタを筐体に固定することができるコネクタ取付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、第1のコネクタ取付け構造は、筒状のハウジング、及び、当該ハウジングの外周面から板状に延出して取付け対象に固定するためのネジが貫通する取付け孔が設けられた取付け部、を有するコネクタと、外壁に、前記ハウジングが貫通する貫通孔、及び前記ネジが螺入するネジ孔が設けられた筐体と、前記コネクタと前記外壁の間に介在し、前記貫通孔からの浸水を抑える防水部材と、前記取付け部における前記取付け孔と前記ハウジングの外周面とで挟まれる位置に設けられる係合部、及び、前記外壁に設けられて前記係合部が係合する被係合部、を有し、前記ネジが貫通する前記取付け孔の中心軸回りの前記コネクタの回転を規制する規制構造と、を備え、前記取付け部が、前記ハウジングとは別部品として形成されて当該ハウジングに固定される部材であり、前記ハウジングの外周面には、周方向に延在する圧入溝が形成され、前記取付け部が、所定形状の板部材における外周縁の一部から、前記ハウジングにおける中心軸に対する直交断面の形状に応じて切り欠かれた形状に形成され、切欠きの内側に前記ハウジングが収まるように前記切欠きの内周縁が前記圧入溝に圧入されるものであることを特徴とする。
【0007】
また、上記課題を解決するために、第2のコネクタ取付け構造は、筒状のハウジング、及び、当該ハウジングの外周面から板状に延出し、当該ハウジングを取付け対象に固定するための複数のネジが貫通する複数の取付け孔が設けられた取付け部、を有するコネクタと、外壁に、前記ハウジングが貫通する貫通孔、及び前記複数のネジが螺入する複数のネジ孔が設けられた筐体と、前記コネクタと前記外壁の間に介在し、前記貫通孔からの浸水を抑える防水部材と前記取付け部における前記複数の取付け孔の少なくとも2つの取付け孔それぞれの内縁から突出した凸部、及び、前記外壁に設けられて前記凸部が嵌入する凹部、を有し、前記ネジが貫通する前記取付け孔の中心軸回りの前記コネクタの回転を規制する規制構造と、を備え、前記取付け部が、前記ハウジングとは別部品として形成されて当該ハウジングに固定される部材であり、前記ハウジングの外周面には、周方向に延在する圧入溝が形成され、前記取付け部が、所定形状の板部材における外周縁の一部から、前記ハウジングにおける中心軸に対する直交断面の形状に応じて切り欠かれた形状に形成され、切欠きの内側に前記ハウジングが収まるように前記切欠きの内周縁が前記圧入溝に圧入されるものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
第1及び第2のコネクタ取付け構造によれば、コネクタ側の係合部と筐体側の被係合部とを有する規制構造、又はコネクタ側の凸部と筐体側の凹部とを有する規制構造によって、ネジが貫通する取付け孔の中心軸回りのコネクタの回転が規制される。この規制により防水部材の片寄りが抑えられて、防水性能の低下が抑えられることとなる。このように、本発明の第1及び第2のコネクタ取付け構造によれば、防水性能の低下を抑えてコネクタを筐体に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態にかかるコネクタ取付け構造を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されているコネクタの分解斜視図である。
【
図3】Oリング付きのコネクタが筐体に外側から取り付けられてネジによって固定される様子を、筐体の外側から見た斜視図である。
【
図4】Oリング付きのコネクタが筐体に外側から取り付けられてネジによって固定される様子を、筐体の内側から見た斜視図である
【
図5】
図1に示されているコネクタ取付け構造の、
図1中のV11-V11線に沿った断面図である。
【
図6】第2実施形態にかかるコネクタ取付け構造について、Oリング付きのコネクタが筐体に外側から取り付けられてネジによって固定される様子を、筐体の外側から見た斜視図である。
【
図7】
図6に示されているコネクタ取付け構造について、Oリング付きのコネクタが筐体に外側から取り付けられてネジによって固定される様子を、筐体の内側から見た斜視図である。
【
図8】
図6及び
図7に示されているコネクタ取付け構造について、
図5と同様の断面を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、コネクタ取付け構造の一実施形態について説明する。まず、第1実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態にかかるコネクタ取付け構造を示す斜視図である。尚、この
図1では、コネクタ110が取り付けられる筐体120については、その外壁121の一部のみが模式的に示されている。この点については、後に参照する他の
図3~
図8においても同様である。
【0012】
本実施形態のコネクタ取付け構造1は、コネクタ110を筐体120の外壁121に2本のネジ130で固定する構造となっている。このコネクタ取付け構造1において、コネクタ110は次のような構成を有している。尚、ここでは特定しないが、筐体120としては、例えば車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)等といった電気電子機器の筐体が挙げられる。コネクタ110は、このような電気電子機器の内部回路と外部電源や外部機器との電気的な接続に用いられるものとなっている。
【0013】
図2は、
図1に示されているコネクタ110の分解斜視図である。
【0014】
コネクタ110は、ハウジング111、複数のコネクタ端子112、及び取付け部113、を備えている。
【0015】
ハウジング111は、樹脂で矩形筒状に形成されており、その内部に複数のコネクタ端子112を収容して保持している。コネクタ端子112は、オス型端子であって、金属製のピンの一端がハウジング111の内部に位置し、このコネクタ110に接続される相手側コネクタにおけるメス型端子に嵌合する。コネクタ端子112の他端は、L字型に曲げられており、筐体120の内部に設置された回路基板のランドに挿入されてはんだ付け固定される。
【0016】
取付け部113は、ハウジング111の外周面111aから板状に延出して取付け対象たる筐体120に固定するためのネジ130が貫通する取付け孔113aが2箇所に設けられた部位である。この取付け部113は、筐体120の外壁121が金属製であるのに合わせて、樹脂製のハウジング111とは別部品として形成されてハウジング111に固定される金属製の部材となっている。ハウジング111の外周面111aには、この取付け部113が圧入される圧入溝111bが、
図2中の上面、及び一対の側面に亘って形成されている。取付け部113は、長方形板における一方の長辺側を矩形状に切り欠いた形状、即ち平面視でC字状となるように形成され、切欠きの内側にハウジング111が収まるように圧入溝111bに圧入される。また、取付け部113には、その長手方向の両端部に1つずつネジ130が貫通する取付け孔113aが設けられている。
【0017】
ここで、ハウジング111の外周面111aには、上記の圧入溝111bの他に、防水部材としてのOリング140を取付けるためのOリング取付け溝111cが形成されている。Oリング取付け溝111cは、ハウジング111の外周面111aに一周に亘って形成されており、Oリング140は、このOリング取付け溝111cに嵌め込まれるようになっている。このようなOリング140付きのコネクタ110が筐体120に外側から取り付けられてネジ130によって固定される。
【0018】
図3は、Oリング付きのコネクタが筐体に外側から取り付けられてネジによって固定される様子を、筐体の外側から見た斜視図である。
図4は、Oリング付きのコネクタが筐体に外側から取り付けられてネジによって固定される様子を、筐体の内側から見た斜視図である。また、
図5は、
図1に示されているコネクタ取付け構造の、
図1中のV11-V11線に沿った断面図である。
【0019】
コネクタ取付け構造1における筐体120は、金属製の外壁121に、コネクタ110のハウジング111が貫通する長方形状の貫通孔121a、及び2本のネジ130が螺入する2つのネジ孔121bが設けられている。
【0020】
コネクタ110の筐体120への取付けに当っては、まず、Oリング140が取付けられたコネクタ110は、ハウジング111が外壁121の貫通孔121aに、取付け部113が外壁121に重なる位置まで挿入される。これにより、Oリング140は、コネクタ110におけるハウジング111の外周面111aと貫通孔121aの内周面121a-1との間に一周に亘って介在して、貫通孔121aからの浸水を抑える防水部材の役割を担う。
【0021】
上記のようにコネクタ110が挿入されると取付け部113における2つの取付け孔113aが2つのネジ孔121bに一対一に重なる。そして、2本のネジ130が、2つの取付け孔113aを貫通して2つのネジ孔121bに螺入されてコネクタ110が筐体120に固定される。
【0022】
ここで、各ネジ130の螺入の最終段階ではネジ頭が取付け孔113aの周辺部を摺擦しつつネジ130が回転することとなる。このとき、ネジ130におけるネジ頭との摩擦により、取付け部113、即ちコネクタ110は、そのネジ130が貫通する取付け孔113aの中心軸113a-1回りの回転力を受ける。この回転力を受けてコネクタ110が回転すると、ハウジング111の外周面111aや貫通孔121aの内周面121a-1にOリング140が片寄って接触してしまい、防水性能を低下させてしまう恐れが生じる。
【0023】
そこで、このコネクタ取付け構造1には、以下に説明するように、ネジ130が貫通する取付け孔113aの中心軸113a-1回りのコネクタ110の回転を規制する規制構造150が設けられている。この規制構造150は、コネクタ110の取付け部113に設けられる係合部151と、筐体120の外壁121に設けられる被係合部152と、を備えている。
【0024】
係合部151は、取付け部113の、筐体120側の面113bにおける、取付け孔113aとは異なる位置に設けられる、取付け部113の当該面113bから突出した突起である。この係合部151は、2つの取付け孔113aそれぞれに1つずつ隣り合うように2つ設けられている。また、各係合部151は、取付け部113の外周縁113cのうち、隣り合う取付け孔113aに最も近い縁部分113dに対し、当該取付け孔113aよりも遠くなる位置に設けられている。
【0025】
被係合部152は、筐体120の外壁121における外面121cに設けられ、上記の係合部151が嵌入して係合する嵌入穴である。この被係合部152は、2つのネジ孔121bそれぞれに1つずつ隣り合って係合部151が嵌入されるように2つ設けられている。
【0026】
この規制構造150では、ネジ止めの際に上記の回転力を受けてコネクタ110が回転しようとすると、2つの係合部151が2つの被係合部152と干渉することでその回転が直ちに止められる。規制構造150は、係合部151と被係合部152とのこのような干渉によりコネクタ110の回転を規制する。
【0027】
以上に説明したように、第1実施形態のコネクタ取付け構造1によれば、規制構造150によって、ネジ130が貫通する取付け孔113aの中心軸113a-1回りのコネクタ110の回転が規制される。この規制によりOリング140の片寄りが抑えられて、防水性能の低下が抑えられることとなる。このように、本実施形態のコネクタ取付け構造1によれば、防水性能の低下を抑えてコネクタ110を筐体120に固定することができる。
【0028】
ここで、本実施形態では、係合部151が、コネクタ110の取付け部113から突出した突起であり、被係合部152が、筐体120の外壁121に設けられた嵌入穴となっている。
【0029】
コネクタ110と筐体120とでは、その大きさや形状の複雑さ等の点で筐体120の方がコネクタ110よりも加工が困難になりがちである。本実施形態では、コネクタ110における係合部151が突起で、筐体120における被係合部152が、突起に比べて形成が簡単な嵌入穴となっている。従って、本実施形態によれば、規制構造150を設けるに当たっての困難さを低減することができる。
【0030】
また、本実施形態では、係合部151が、2つの取付け孔113aそれぞれについて1つずつ2つ設けられ、被係合部152が、2つの係合部113aそれぞれについて1つずつ2つ設けられている。本実施形態によれば、2つの係合部151と2つの被係合部152とによってコネクタ110の回転を強固に規制することができるので、防水性能の低下を一層強く抑えることができる。
【0031】
また、本実施形態では、係合部151が、取付け部113の外周縁113cのうち取付け孔113aに最も近い縁部分113dに対し、当該取付け孔113aよりも遠くなる位置に設けられている。本実施形態によれば、係合部151が、取付け部113の縁部分113dに対し、取付け孔113aよりも遠くなる位置に設けられるので、取付け孔113aと縁部分113dとの間に係合部151を設けるためのスペースが不要である。このようなスペースが不要であるので、係合部151の設置による取付け部113(つまりは、コネクタ110)の大型化を抑えることができる。
【0032】
次に第2実施形態について説明する。この第2実施形態は、コネクタ取付け構造においてコネクタの回転を規制する規制構造が、上述の第1実施形態と異なっている。以下では、第2実施形態について、第1実施形態との相違点に注目して説明を行う。
【0033】
図6は、第2実施形態にかかるコネクタ取付け構造について、Oリング付きのコネクタが筐体に外側から取り付けられてネジによって固定される様子を、筐体の外側から見た斜視図である。
図7は、
図6に示されているコネクタ取付け構造について、Oリング付きのコネクタが筐体に外側から取り付けられてネジによって固定される様子を、筐体の内側から見た斜視図である。また、
図8は、
図6及び
図7に示されているコネクタ取付け構造について、
図5と同様の断面を示す断面図である。尚、
図6~
図8では、
図3~
図5に示されている第1実施形態の構成要素と同等な構成要素には、
図3~
図5と同じ符号が付されており、以下では、それら同等な構成要素については重複説明を省略する。
【0034】
尚、上述の第1実施形態と同様、第2実施形態でも特定しないが、筐体220としては、例えば車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)等といった電気電子機器の筐体が挙げられる。コネクタ210は、このような電気電子機器の内部回路と外部電源や外部機器との電気的な接続に用いられるものとなっている。
【0035】
第2実施形態のコネクタ取付け構造2では、コネクタ210を筐体220にネジ止め固定する際の、コネクタ210の回転を規制する規制構造250が、コネクタ210側の凸部251と、筐体220側の凹部252と、を備えている。
【0036】
凸部251は、取付け部213における2つの取付け孔213aそれぞれの内縁から突出した部位であり、具体的には、各取付け孔213aの内縁の全周から突出した円筒状凸部となっている。一方の凹部252は、筐体220の外壁221に設けられて凸部251が嵌入する部位であり、具体的には、2つのネジ孔221bそれぞれにおけるネジ130の螺入口を、円筒状凸部となった凸部251が嵌入可能な径に拡げたザグリ穴となっている。ネジ孔221bは、ザグリ穴となった凹部221bの底から外壁221の内面にかけて形成されている。
【0037】
Oリング140付きのコネクタ110の筐体220への取付けに当っては、まず、コネクタ110のハウジング111が筐体220の外壁221における貫通孔121aに挿入される。すると、取付け部213における2つの取付け孔213aが2つのネジ孔221bに一対一に重なるとともに、2つの凸部251が2つの凹部221bに嵌入される。そして、2本のネジ130が、2つの取付け孔213aを貫通して2つのネジ孔221bに螺入されてコネクタ210が筐体220に固定される。
【0038】
規制構造250では、一の取付け孔213aについてネジ止めが行われる際にその取付け孔213aの中心軸213a-1回りにコネクタ210が回転しようとすると、他の取付け孔213aについて設けられた凸部251及び凹部252が互いに干渉する。この干渉により、コネクタ210の回転が直ちに止められる。規制構造250は、凸部251と凹部252とのこのような干渉によりコネクタ210の回転を規制する。
【0039】
以上に説明したように、第2実施形態のコネクタ取付け構造2によれば、規制構造250によって、ネジ130が貫通する取付け孔213aの中心軸213a-1回りのコネクタ210の回転が規制される。この規制によりOリング140の片寄りが抑えられて、防水性能の低下が抑えられることとなる。このように、本実施形態のコネクタ取付け構造2によれば、防水性能の低下を抑えてコネクタ210を筐体220に固定することができる。
【0040】
ここで、本実施形態では、規制構造250の凸部251が、各取付け孔213aの内縁の全周から突出した円筒状凸部であり、凹部252が、各ネジ孔221bの螺入口を拡げたザグリ穴となっている。この規制構造250によれば、例えば取付け孔213aの内縁の一部から棒状に突出した凸部等を設ける場合に比べて高強度で回転を規制することができる。また、ザグリ穴としての凹部252は加工が簡単であることから、規制構造250を設けるに当たっての加工上の困難さを低減することができる。
【0041】
また、本実施形態では、規制構造250の凸部251が、2つの取付け孔213aそれぞれの内縁から突出するように2つ設けられ、凹部252が、2つの凸部251に一対一に対応するように2つ設けられている。この規制構造250によれば、2つの凸部251と2つの凹部252とによってコネクタ210の回転を強固に規制することができるので、防水性能の低下を一層強く抑えることができる。
【0042】
また、上述の第1及び第2実施形態の何れにおいても、コネクタ取付け構造1,2の取付け部113,213が、樹脂製のハウジング111とは別部品として形成されて当該ハウジング111に圧入により固定される。この構造によれば、筐体120,220の外壁121,221に接する取付け部113,213を、筐体120,220の外壁121,221と同様に金属製とすることができるので、両者の摩耗等を抑えることができる。
【0043】
また、第1及び第2実施形態の何れにおいても、防水部材であるOリング140が、筐体120,220の外壁121,221における貫通孔121aの内縁とハウジング111の外周面111aとの間に介在する。この構造によれば、コネクタ110,210の取付け時にはOリング140が筐体120,220の外壁121,221における貫通孔121a,221aに収まる状態となることから、コネクタ取付け構造2の小型化を図ることができる。
【0044】
尚、以上に説明した実施形態はコネクタ取付け構造の代表的な形態を示したに過ぎず、コネクタ取付け構造は、これに限定されるものではなく種々変形して実施することができる。
【0045】
例えば、上述した第1及び第2実施形態では、次のようなコネクタ取付け構造1,2が例示されている。即ち、このコネクタ取付け構造1,2では、コネクタ110,210の取付け部113,213に取付け孔113a,213aが2つ設けられ、筐体120の外壁121,221にネジ孔121a,221aが2つ設けられている。しかしながら、コネクタ取付け構造は、これに限るものではなく、コネクタの取付け部における取付け孔や筐体の外壁におけるネジ孔の具体的な数を問うものではない。
【0046】
また、上述した第1及び第2実施形態では、コネクタの一例として、回路基板のランドにコネクタ端子112におけるL字型に曲げられた一端がはんだ付け固定される基板搭載型のコネクタ110,210が例示されている。しかしながら、コネクタは、基板搭載型に限るものではなく、例えばコネクタ端子の一端が電線を介して内部機器に接続されるものであってもよい。また、基板搭載型であっても、コネクタ端子の一端がL字型に曲げられたものに限るものでもなく、全長に亘ってストレート形状のコネクタ端子を有するものであってもよい。また、上述した第1及び第2実施形態では、コネクタの一例として、矩形筒状のハウジング111を有するコネクタ110,210が例示されている。しかしながら、コネクタにおけるハウジングの形状は、矩形筒状に限るものではなく、例えば円筒状等であってもよい。このように、コネクタは、筒状のハウジングと、ネジが貫通する取付け孔が設けられた取付け部と、を有するものであれば、具体的なコネクタ態様を問うものではない。
【0047】
また、上述した第1実施形態では、規制構造の一例として、係合部151がコネクタ110の取付け部113から突出した突起であり、被係合部152が筐体120の外壁121に設けられた嵌入穴となった規制構造150が例示されている。しかしながら、規制構造は、これに限るものではなく、例えば、コネクタ側の係合部が嵌入穴で、筐体側の被係合部が突起となった構造であってもよい。ただし、コネクタ110側の係合部151を突起とし、筐体120側の被係合部152を嵌入穴とすることで、規制構造150を設けるに当たっての困難さを低減することができる点は上述した通りである。
【0048】
また、上述した第1実施形態では、規制構造の一例として、係合部151が、2つの取付け孔113aそれぞれについて1つずつ設けられ、被係合部152が、2つの係合部151それぞれについて1つずつ2つ設けられた規制構造150が例示されている。しかしながら、規制構造は、これに限るものではなく、係合部が、複数の取付け孔の一部についてのみ設けられ、被係合部が、このような係合部が係合するように設けられたものであってもよい。また、規制構造は、係合部が一の取付け孔について複数設けられ、被係合部が、このような複数の係合部が係合するように設けられたものであってもよい。ただし、係合部151が各取付け孔113aについて1つずつ設けられ、被係合部152が、このような係合部151が係合するように設けられていることで、防水性能の低下を一層強く抑えることができる点も上述した通りである。
【0049】
また、上述した第1実施形態では、規制構造の一例として、係合部151が、取付け孔113aに最も近い縁部分113dに対し、当該取付け孔113aよりも遠くなる位置に設けられている規制構造150が例示されている。しかしながら、規制構造は、これに限るものではなく、係合部が、取付け孔に最も近い縁部分に対し、取付け孔よりも近くなる位置に係合部が設けられたものであってもよい。ただし、上記の縁部分113dに対し、取付け孔113aよりも遠くなる位置に係合部151が設けられることで、係合部151の設置による取付け部113の大型化を抑えることができる点も上述した通りである。
【0050】
また、上述した第2実施形態では、規制構造の一例として、凸部251が取付け孔213aの内縁の全周から突出した円筒状凸部であり、凹部252がネジ孔221bの螺入口を拡げたザグリ穴となった規制構造250が例示されている。しかしながら、規制構造は、これに限るものではなく、例えば凸部が取付け孔の内縁の一部から突出した棒状凸部であり、凹部がこのような棒状凸部が嵌入する嵌入穴となったもの等であってもよい。ただし、凸部251を円筒状凸部、凹部252をザグリ穴とすることで、高強度でコネクタの回転を規制することができ、加工の困難さを低減することができる点も上述した通りである。
【0051】
また、上述した第2実施形態では、規制構造の一例として、凸部251が、2つの取付け孔213aそれぞれの内縁から突出するように2つ設けられ、凹部252が、2つの凸部251に一対一に対応するように2つ設けられた規制構造250が例示されている。しかしながら、規制構造は、これに限るものではなく、凸部が、複数の取付け孔の一部についてのみ設けられ、凹部が、このような凸部が対応するように設けられたものであってもよい。ただし、凸部251が各取付け孔213aについて1つずつ設けられ、凹部252が、このような凸部251が対応するように設けられていることで、防水性能の低下を一層強く抑えることができる点も上述した通りである。
【0052】
また、上述した第1及び第2実施形態では、取付け部の一例として、ハウジング111とは別部品として形成されて当該ハウジング111に固定される取付け部113,213が例示されている。しかしながら、取付け部は、これに限るものではなく、樹脂でハウジングと一体成形されるもの等であってもよい。ただし、取付け部113,213をハウジング111とは別部品として形成されるものとすることで、取付け部の摩耗を抑えることができる点も上述した通りである。
【0053】
また、上述した第1及び第2実施形態では、ハウジングとは別部品として形成される取付け部の一例として、平面視でC字状となるように形成された取付け部113,213が例示されている。しかしながら、取付け部は、これに限るものではなく、その形状は任意に設定し得るものである。
【0054】
また、上述した第1及び第2実施形態では、防水部材の一例として、筐体120,210の外壁121,221における貫通孔121aの内縁とハウジング111の外周面111aとの間に介在するOリング140が例示されている。しかしながら、防水部材は、これに限るものではなく、例えば、コネクタにおける取付け部の筐体側を向く面と、筐体の外壁の外面と、の間に介在するパッキン等であってもよく、具体的な配置位置や部材態様を問うものではない。ただし、防水部材として、筐体120,210の外壁121,221における貫通孔121aに収まるOリング140を採用することで、コネクタ取付け構造1,2の小型化を図ることができる点も上述した通りである。
【符号の説明】
【0055】
1,2 コネクタ取付け構造
110,210 コネクタ
111 ハウジング
111a 外周面
111b 圧入溝
111c Oリング取付け溝
112 コネクタ端子
113,213 取付け部
113a,213a 取付け孔
113a-1,213a-1 中心軸
113b 面
113c 外周縁
113d 縁部分
120,220 筐体
121,221 外壁
121a 貫通孔
121a-1 内周面
121b,221b ネジ孔
121c 外面
130 ネジ
140 Oリング
150,250 規制構造
151 係合部
152 被係合部
251 凸部
252 凹部