(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】シートにより被覆される切除部を有するパッケージ
(51)【国際特許分類】
B65D 75/58 20060101AFI20240716BHJP
B65D 5/02 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D5/02 Z
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019135308
(22)【出願日】2019-07-23
【審査請求日】2019-07-23
【審判番号】
【審判請求日】2022-07-14
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】506329306
【氏名又は名称】アマゾン テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】チー チャン
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 亮
(72)【発明者】
【氏名】小坂 裕一
(72)【発明者】
【氏名】内田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 進
(72)【発明者】
【氏名】石黒 茂和
(72)【発明者】
【氏名】岸本 彩加
【合議体】
【審判長】筑波 茂樹
【審判官】藤井 眞吾
【審判官】稲葉 大紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-129445(JP,A)
【文献】特開2018-087029(JP,A)
【文献】特開2002-002683(JP,A)
【文献】特公昭46-018957(JP,B1)
【文献】実開昭46-081333(JP,U)
【文献】特開2010-120646(JP,A)
【文献】特開2012-041060(JP,A)
【文献】特開2014-046982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 75/58
B65D 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用に部材を保持するためのパッケージであって、
下面および上面を有し、単一片の板紙から成形されている本体であって、
前記板紙は、第1のリップと、第2のリップと、前記第1のリップから延びる第1のフラップと、前記第2のリップから延びる前記下面とを含み、
前記第1のリップおよび前記第2のリップは、切除部を画成する前記上面の少なくとも一部を形成し、
前記第2のリップは、前記切除部の一辺に沿って配置され、前記第1のリップは、前記切除部の他辺のそれぞれに沿って配置され、
前記上面は、前記切除部から、
隣接するリッ
プの境界に沿って、前記上面の外縁まで延びる折り目を有し、
前記第1のフラップは、折り曲げられて前記下面に貼り付けられる、
本体と、
前記第1のリップおよび前記第2のリップに貼り付けられて前記切除部を被覆しており、搬送中に当該パッケージ中の前記部材を拘束するために当該パッケージ中の前記部材の上に伸張可能なポリマシートと、
を含む、パッケージ。
【請求項2】
前記本体は、
前記部材を保護するためのクッションが追加されていない板紙から形成されている、請求項1記載のパッケージ。
【請求項3】
スチールローラコンベア上での前記板紙の外向き面は、JIS K 7125規格に準拠して測定された、少なくとも0.43の静止摩擦の最小係数を有している、請求項2記載のパッケージ。
【請求項4】
前記板紙は、JIS P 8125規格に準拠して測定された、少なくとも28mN・mの剛性およびJIS P 8118:2014規格に準拠して測定された、少なくとも464μmの厚さの少なくとも1つを有している、請求項2または3記載のパッケージ。
【請求項5】
前記板紙の基本重量は、少なくとも360g/m
2である、請求項2から4までのいずれか一項記載のパッケージ。
【請求項6】
前記板紙は、JIS P 8125規格に準拠して測定された、少なくとも35mN・mの剛性およびJIS P 8118:2014規格に準拠して測定された580μmの最小厚さの少なくとも1つを有している、請求項2から5までのいずれか一項記載のパッケージ。
【請求項7】
前記板紙の基本重量は、少なくとも450g/m
2である、請求項2から4までのいずれか一項記載のパッケージ。
【請求項8】
前記ポリマシートは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリ塩化ビニリデンのうちの少なくとも1つを含む材料から形成されている、請求項2から
7までのいずれか一項記載のパッケージ。
【請求項9】
輸送に適したパッケージと部材との組合せであって、
下面および上面を有し、単一片の板紙から成形されている本体であって、
前記板紙は、第1のリップと、第2のリップと、前記第1のリップから延びる第1のフラップと、前記第2のリップから延びる前記下面とを含み、
前記第1のリップおよび前記第2のリップは、切除部を画成する前記上面の少なくとも一部を形成し、
前記第2のリップは、前記切除部の一辺に沿って配置され、前記第1のリップは、前記切除部の他辺のそれぞれに沿って配置され、
前記上面は、前記切除部から、
隣接するリッ
プの境界に沿って、前記上面の外縁まで延びる折り目を有し、
前記第1のフラップは、折り曲げられて前記下面に貼り付けられる、
本体と、
該本体の前記下面の外向き表面を含み、前記第1のリップおよび前記第2のリップに貼り付けられて前記切除部を被覆しており、搬送中に前記パッケージ中の前記部材を拘束するために前記パッケージ中の前記部材の上に伸張可能なポリマシートと、
前記本体の前記下面と前記ポリマシートとの間に、前記本体の前記下面の内向き表面に対して前記ポリマシートが前記部材を保持するように配置された部材と、
前記部材に関するパッケージ配送情報を含む、前記本体の前記下面の外向き表面および前記ポリマシートの外向き表面の少なくとも一方と、
を有する、パッケージと部材との組合せ。
【請求項10】
前記本体は、
前記部材を保護するためのクッションが追加されていない板紙から形成されている、請求項
9記載のパッケージと部材との組合せ。
【請求項11】
前記部材は、該部材を取り囲んで予め梱包された
クッションを含む、請求項
9記載のパッケージと部材との組合せ。
【請求項12】
スチールローラコンベア上での前記板紙の外向き面は、JIS K 7125規格に準拠して測定された、少なくとも0.43の静止摩擦の最小係数を有している、請求項
9から
11までのいずれか一項記載のパッケージと部材との組合せ。
【請求項13】
前記板紙は、JIS P 8125規格に準拠して測定された、少なくとも35mN・mの剛性およびJIS P 8118:2014規格に準拠して測定された580μmの最小厚さ、および360g/m
2の基本重量の少なくとも1つを有している、請求項
9から
12までのいずれか一項記載のパッケージと部材との組合せ。
【請求項14】
部材を包装しかつ輸送する方法であって、
(a)
前記部材を、該部材の上に伸張させられると共に本体に形成された切除部の上にも伸張させられるフィルムにより、板紙のパッケージ本体に前記部材が保持されるように、請求項1から
8までのいずれか一項記載のパッケージに封入するステップと、
(b)コンベアの金属ローラ上で前記本体の板紙の外向きの接触表面を運搬するステップと、
(c)受取人へ、前記パッケージを外箱無しで搬送するステップと、
を有する、方法。
【請求項15】
前記運搬するステップには、前記金属ローラ上での接触表面の運搬が含まれ、前記金属ローラと前記接触表面との間の静止摩擦係数は、JIS K 7125規格に準拠して測定された、少なくとも0.43である、請求項
14記載の方法。
【請求項16】
さらに、前記搬送するステップの前に、前記パッケージに配送アドレスを添付するステップを含む、請求項
14または
15記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パッケージ、より詳細にはシートにより被覆される切除部を有するパッケージに関する。
【0002】
サービスセンターにおける、消費者配送用の消費者製品の包装は、世界中で大規模に生じている。製品は、製品の製造者から梱包された状態で、サービスセンターにおいて受け取られることが多く、これには、製品を保護するための箱内のクッションまたは別の外側容器が含まれていることが多い。
【0003】
消費者用のパッケージ群を搬送するために使用される貯蔵容器および袋等の搬送インフラストラクチャは、地域および物流プロバイダにより異なる。したがって、1つの地域の中での処理および搬送に適したパッケージは‐クッションが不足するか、またはクッションが無駄で余分になり‐他国での処理および搬送には適さないことがある。例えば、特定の地域における搬送インフラストラクチャは、多くの国よりも比較的厳しくない、またはパッケージを損傷する傾向がある。
【図面の簡単な説明】
【0004】
【
図1】本発明の態様を示すパッケージを上から見た斜視図である。
【
図2】
図1に示したパッケージを形成するために打ち抜かれた板紙を示す図である。
【
図3】パッケージ中に含まれた薄形の部材、破線で図示された比較的厚い部材および伸張されたシートを共に示す、パッケージの横断面図である。
【
図4】パッケージの1つの択一的な実施形態を示す斜視図である。
【
図5】
図4に示した択一的な実施形態のパッケージの横断面図である。
【0005】
図示の実施形態の詳細な説明
本明細書に開示するクラムシェル状のパッケージ10は、資源の有効利用になる一方でパッケージ内のアイテムの安全な保持をもたらし、かつ運搬および搬送を改善する特徴を有している。パッケージ10は、板紙である一方の(底)面と、ポリマシートを含む反対側の面とを有している。板紙は、従来の金属ローラコンベア上での運搬に板紙を適合させる特性に応じて選択される。ポリマシートは、底面とは反対側の切除部の上に配置されている。静止状態において扁平なパッケージ10の寸法よりも厚い部材を保持する場合には、底面の板紙に部材を保持するために、ポリマシートが伸張される。
【0006】
これに関して、搬送用に部材を保持するためのパッケージは、下面および上面を有し、板紙から形成されており、上面は切除部を含む本体、および切除部を被覆しており、搬送中にパッケージ中の部材を拘束するためにパッケージ中の部材の上に伸張可能なポリマシートを含んでいる。ポリマシートは、本体の下面の内側表面に、不均一な形状の種々様々な複数の部材を保持するために適合されている。
【0007】
パッケージ本体は、好適にはパッドが追加されていない板紙から形成されていて、板紙の外向き面を有しており、従来の(亜鉛めっき鋼といった)スチールローラコンベア上で測定した場合、JIS K 7125規格に準拠して測定された、少なくとも0.43の静止摩擦の最小係数を有している。さらに、板紙は好適には、JIS P 8125規格に準拠して測定された、少なくとも28mN・mの剛性、JIS P 8118:2014規格に準拠して測定された、少なくとも464μmの厚さ、および/または少なくとも360g/m2の基本重量のうちの少なくとも1つを有している。さらに板紙は、JIS P 8125規格に準拠して測定された、少なくとも35mN・mの剛性、JIS P 8118:2014規格に準拠して測定された580μmの最小厚さ、および/または少なくとも450g/m2の基本重量のうちの少なくとも1つを有していてもよい。
【0008】
上面は、切除部の周囲に少なくとも25mmの寸法を有するリップを有していてよい。本体は、打ち抜かれた板紙の単一片から成形され得、下面は、板紙に形成された単一の折り目により、上面から分割されている。ポリマシートは、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリ塩化ビニリデンのうちの少なくとも1つを含む材料から形成され得る。
【0009】
搬送中にパッケージ中の部材を拘束するために、パッケージ中の部材の上にポリマシートを伸張させてまた伸張可能にして部材を保持する、上記各段落のいずれかに記載したようなパッケージも提供される。本体の下面の外向き表面には、部材に関する配送情報が含まれていてよい。部材は種々様々な形状であってよく、シートは、異なる形状およびサイズに適合するように伸張されると共に、部材を板紙に保持する。パッドまたはクッションを必要とする部材については、好適には部材自体がパッド内に包み込まれている、つまり、パッドにより予め梱包されている。
【0010】
部材を包装しかつ輸送する方法は、(a)種々様々な形状の部材のうちの1つを、部材の上に伸張させられると共に本体に形成された切除部の上にも伸張させられるフィルムにより、板紙のパッケージ本体に部材が保持されるように、1つのパッケージに封入するステップ、(b)コンベアの金属ローラ上で本体の板紙の外向きの接触表面を運搬するステップ、および(c)受取人へ、パッケージを外箱無しで搬送するステップを有している。運搬ステップには、金属ローラ上での接触表面の運搬が含まれていてよく、金属ローラと接触表面との間の静止摩擦係数は、JIS K 7125規格に準拠して測定された、少なくとも0.43である。当該方法は、搬送ステップ(c)の前に、パッケージに配送アドレスを添付するステップを含んでいてもよい。
【0011】
図1から
図3を参照すると、パッケージ10は折り目60a、60b、60c、60dを介してつながっている下面20と上面30とを有している。下面20には、内側または内向き表面22と、外側に面したまたは外向きの表面24とが含まれる。上面30には、開口または切除部40を形成する周縁リムまたはリップ36が含まれる。リップ36は、内向き表面32と、外側に面した外向き表面34とを有している。リップ36から延びるフラップ70a、70b、および70cは、パッケージを閉じるように下面20に付着されている。
【0012】
参照符号54のところで、リップ36の外向き表面32にはポリマシート50が、好適には切除部40を取り囲むように連続して付着されている。
図3に最も良く示されているように、シート50は、それ自体が薄形の部材90に対して、リップ36と共にほぼ平面的であってよい。
図3では、比較的厚い部材90’を取り囲むように伸張させられたシート50’を図示するために、破線が用いられている。これに関して、部材90は、輸送を所望されたあらゆる製品または物品であり得る。シート50を破線位置50’に伸張させることができるようにする、厚さを含むシート50の特性は、特定の適用パラメータに応じて選択され得る。
【0013】
以下は、
図2に示した寸法の例示的な値(mm)である。
【0014】
【0015】
本発明の1つの態様では、従来のローラコンベアの金属ローラと、下面20の外向き表面24の板紙との間の静止摩擦係数は、JIS K 7125規格に準拠して測定された、少なくとも0.43である。金属ローラの材料は、一般にローラコンベア用に使用されているような、亜鉛めっき表面仕上げされた、材料コードSTKM11A等の鋼である。
【0016】
下面20およびリップ36の板紙は、記載した規格を用いると、好適には以下の最小値を有している。
【0017】
【0018】
発明者は、特定のローラまたはパッケージが遭遇し得る別のパラメータに応じて、表2の値を20パーセント減少させることができると推測している。よって、板紙の剛性は、JIS P 8125規格に準拠して測定された(テーバーテスターを使用してよい)、少なくとも28mN・m(ミリニュートンメートル)になり得、最小厚さは、JIS P 8118:2014規格に準拠して測定された、少なくとも464μmになり得、厚紙の基本重量は、少なくとも360g/m2になり得る。
【0019】
シート50は、あらゆる適当な材料のあらゆる伸張可能なシートであり得る。例えばシート50は、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、およびポリ塩化ビニリデンのいずれか1つであってよく、単層でも、層と組成物の組合わせであってもよい。さらに、シート50はその機能を補助するための、UV抑制剤等のあらゆる添加剤、あらゆるタイプのバリヤ等を有していてよい。
【0020】
図4および
図5は、パッケージ110の別の実施形態であり、パッケージ110は、下面120、切除部140を有する上面130、側壁180、およびポリマシート150を有している。パッケージ110は、部材190を保持した状態で図示されており、上述したように広げられるように形成されている。
【0021】
下面120、上面130、切除部140、およびシート150は、第1の実施形態のパッケージ10の下面20、上面30、切除部40、およびシート50に関して説明した通りであってよい。側壁180は、パッケージ110に深さを加える鉛直方向の側壁である。側壁180の鉛直方向の寸法は、パッケージ110が運ぼうとする特定の部材に応じて選択され得る。
【0022】
発明者は、搬送インフラストラクチャに存在する注意レベルに応じて、パッケージ素材のコストを最適化することができると判断した。具体的には、板紙で形成する部分20および36は、好適には波形にされておらず、クッションまたはパッドが追加されていない単層である。「追加」とは、クッションまたはパッドに関して、板紙自体が少量のクッションを提供すると解されるため、板紙に層を追加することを意味する。好適なシート50もクッションまたはパッド無しであり、好適なシート50は単層または多重薄層等のシングルシートであり、かつ好適には気泡緩衝材等ではない。部材90が追加パッドを必要とする場合には、部材90をパッケージ10に入れる前に予め包むことができる。
【0023】
使用時に、パッケージ10は折り目60a~60dを折り曲げかつフラップ70a、70b、および70cを下面20の対応する部分に接着することにより、組み立てられてよい。シート50は、リップ36の表面32に接着されて取り付けられる。少なくとも1つのフラップを最終接着する前に、パッケージ10中に部材90を置く。部材90の厚さに応じて、シート50は、下面20の内向き表面22に対して部材90を保持するために、必要に応じて伸張する(
図3の参照符号50’により図示)。パッケージ10は、下面20の外向き表面24において運搬され得る(金属ローラコンベアによる運搬を含む)。部材90の意図された受取人の住所ラベル等の配送情報は、金属ローラコンベアでの運搬の前または後に、下面の外向き表面24に配置され得る。ロゴ、広告情報、装飾等のしるしは、リップ36の外向き表面34に予め印刷されてよい、または表面34に貼り付けられるラベルを有していてよい、またはその両方であってよい。下面およびリップにおけるラベルまたは情報は、必要に応じて機械により読取り可能であってよい。
【0024】
本発明は、好適な構造および機能を説明することにより、特定の問題および先行技術との関連において明らかになる。本発明は、本明細書中で説明した実施形態の特定の構造および/または機能に限定されるものではなく、本明細書に開示した全ての問題または先行技術の欠点を解決するものでもない。むしろ、本発明に特許請求の範囲全体が与えられていることを意図している。