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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】心電図検査のためのシステム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/318 20210101AFI20240716BHJP
   A61B 5/25 20210101ALI20240716BHJP
【FI】
A61B5/318
A61B5/25
【請求項の数】 3
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019230057
(22)【出願日】2019-12-20
(65)【公開番号】P2020099697
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】16/230,654
(32)【優先日】2018-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロン・エフラス
【審査官】藤原 伸二
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-076117(JP,A)
【文献】国際公開第2014/051590(WO,A1)
【文献】特表平09-508293(JP,A)
【文献】特開2011-098199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0344392(US,A1)
【文献】特表2009-509571(JP,A)
【文献】特表2016-510683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
A61B 5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
心電図(ECG)検査を行い、ECG信号の測定に対するノイズとなるインピーダンスの影響を除去して心臓の電気信号を識別する心電図検査のためのシステムであって、
前記ECG信号を捕捉するために被験者の体表および体内に取り付けるための複数の誘導と、
捉された前記ECG信号を処理する信号プロセッサと、
前記信号プロセッサで処理された前記ECG信号を出力する出力装置と、
前記被験者の心臓内に挿入されてバーストパルスを提供するカテーテル電極と、
前記被験者の体表に配置され、前記バーストパルスを吸収する複数のインピーダンスパッドと、
を備え、
前記ECG信号が測定されていない期間中に、前記カテーテル電極が前記ECG信号と同じ周波数の前記バーストパルスを提供し、前記複数のインピーダンスパッドによって吸収された前記バーストパルスにより決定された前記インピーダンス基づいて、前記ECG信号の前記測定に対する前記インピーダンス監視され、前記信号プロセッサは捕捉された前記ECG信号を処理する際に前記インピーダンス影響を除去する、システム。
【請求項2】
前記バーストパルスが、100マイクロアンペア以上1ミリアンペア未満である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記測定に対する前記インピーダンス、前記複数の誘導の対にわたって測定されている、請求項1に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本明細書ではECGと呼ばれ、EKGと呼ばれる場合もある心電図検査に関するものである。より具体的には、本発明は、ECGのノイズを防止するためにバーストパルスを使用したインピーダンス測定に関連する。
【背景技術】
【0002】
現在、心電図検査(本明細書ではECGと呼ばれ、EKGと呼ばれる場合もある)は、患者の身体のインピーダンスによって、プローブを患者の身体に接続するための接触のインピーダンスによって、及び接続自体からのインピーダンスによって、影響を受ける。ECGを理解して読み取るために、このインピーダンスを考慮する必要がある。医師がECGを使用して心臓の活動を分析するとき、心臓からの電気信号を効果的に分離するために、インピーダンスを考慮する必要性が生じる。インピーダンスを決定するための従来の試みは、周波数多重化を使用して行われてきた。これらの周波数多重化の試みでは、インピーダンスを測定するために他の周波数が使用される。これらの他の周波数は、概して高周波であり、心臓からの電気信号の測定に干渉しない。しかしながら、著しく異なる周波数を使用することは、インピーダンスの測定の精度に影響する。すなわち、その応答は、信号の周波数によって変化することがあり、周波数の差により、周波数多重化は精度に影響を及ぼす傾向がある。したがって、インピーダンスを測定する改善された方法を提供する必要性が存在し、これによってそのようなインピーダンスの影響をECG分析から除去することができ、それによって心臓の電気信号をより明確に識別することができる。
【図面の簡単な説明】
【0003】
より詳細な理解は、添付の図面と併せて実例として示される下記の説明文より得ることができる。
図1】ノイズを防止するためにバーストパルスを使用してインピーダンス測定を実行するためのECG装置のブロック図を示す。
図2図1の装置と併せてインピーダンスを測定するためのインピーダンスパッドを使用したインピーダンス構成の描写を示す。
図3図1の装置と併せて使用する誘導構成の描写を示す。
図4】単極構成におけるバーストパルスを使用したインピーダンスを測定するための本発明の方法を示す。
図5】双極構成におけるインピーダンスを測定するための本発明の方法を示す。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本明細書でECGと呼ばれ、EKGと呼ばれる場合もある心電図検査は、皮膚上に配置された電極を使用してある期間にわたった心臓の電気的活動を、又は特殊なカテーテルを使用して心臓内部の電気的活動(すなわち心内ECG)を記録するプロセスである。これらの電極は、各心拍中の心筋の脱分極の電気生理学的パターンから発生する小さい電位変化を検出する。ECGは、心臓検査で一般的又は日常的に行われている。
【0005】
心臓内電位図(ICEG)は、いくつかの追加の心内誘導(すなわち、心臓の内部にある)を備えたECGである。そのような電位図は、従来の12誘導心電図と組み合わせて又は代わりに、利用されてもよい。従来の12誘導ECGでは、患者の四肢及び胸部の表面に10個の電極が配置される。次に、心臓の電位の全体の大きさが12の異なる角度(「誘導」)から測定され、ある期間にわたって記録される。この手技の時間の長さは、数十分~数時間で異なり得る。各手技中に、通常は、数十回のアブレーションセッションがあり、各セッションは、例えば、数秒から最長で約1分続く。例として、従来の12誘導ECGは、例えば10秒間といった期間にわたって行うことができる。このようにして、心臓の電気的脱分極の全体の大きさ及び方向が、心周期の全体を通じた各瞬間に捕捉される。この医療手技によって得られる時間に対する電圧のグラフは、心電図と呼ばれる。
【0006】
各心拍の間、健康な心臓は規則的な脱分極の進行過程を経る。この規則的な脱分極のパターンは、特徴的なECGトレーシングを生じる。ECGは、訓練された医師に、心臓の構造及びその電気的伝導システムの機能についての大量の情報を伝えるものである。とりわけ、ECGは、心拍の速度及びリズム、心腔の大きさ及び位置、心臓の筋細胞又は伝導システムの損傷の存在、心臓病の薬剤の作用、並びに植え込まれたペースメーカーの機能を測定するために使用することができる。ECGの解釈は、基本的には心臓の電気的伝導システムを理解することに関する。通常の伝導は、予測可能なパターンで開始及び伝播し、このパターンからの逸脱は通常の変動であるか又は病気によるものであり得る。
【0007】
しかしながら、心臓の電気伝導系からの信号を確認するためには、測定された信号は、任意の不必要で偽性の信号又はノイズを除去するために、フィルタにかけられる必要がある。
【0008】
心電図(ECG)における複数の誘導のうちの1つ又は2つ以上のインピーダンスを測定するための、システム及び方法が開示される。このシステム及び方法は、複数の誘導を患者の身体に適用することと、複数のインピーダンスパッドを患者の身体に適用することと、ECGのカテーテル電極からバーストパルスを提供することと、複数のインピーダンスパッド及び複数の誘導のうちのいくつかにわたるインピーダンス信号を測定することと、測定されたインピーダンス信号から1つ又は2つ以上の誘導に対するインピーダンスを決定することと、を含み得る。この複数のインピーダンスパッドは、患者の胸部右側から患者の胸部左側までの第1の軸を画定する。この複数のインピーダンスパッドは、患者の胸部上側領域から患者の下腹部領域までの第2の軸を画定する。この複数のインピーダンスパッドは、患者の背中の中心から患者の胸部の中心までの第3の軸を画定する。この複数の誘導は、3つの四肢誘導と、冠状面においてスポーク状に配置された3つの増高肢誘導と、鉛直横断面上に構成された6つの胸部誘導と、を含む標準的な12誘導ECGを含む。
【0009】
このシステム及び方法は、代替的に、複数の誘導を患者の身体に適用することと、ECG測定間の期間中に複数の誘導のうちの対になった誘導にわたるインピーダンス信号を測定することと、を含んでもよい。この複数の誘導は、3つの四肢誘導と、冠状面においてスポーク状に配置された3つの増高肢誘導と、鉛直横断面上に構成された6つの胸部誘導と、を含む標準的な12誘導ECGを含む。この複数の誘導はそれぞれ、複数の誘導のうちの隣接する誘導と対になっている。
【0010】
ECGを行い、インピーダンスを測定するためのシステムは、電気信号を捕捉するために被験者に取り付けるための複数の誘導と、その捕捉された電気信号を処理する信号プロセッサと、その処理捕捉された電気信号を出力する出力装置と、を含み、測定のインピーダンスが監視され、信号プロセッサは、処理捕捉された電気信号からインピーダンスを除去する。このシステムは、測定に対するインピーダンス情報を提供するように構成された複数のインピーダンスパッドを含んでもよい。カテーテル電極は、インピーダンス情報の測定を可能にするために、バーストパルスを提供することができる。このシステムは、代替的に、複数の電極の対にわたるインピーダンス情報を測定してもよい。
【0011】
図1は、バーストパルスを使用したインピーダンス測定を利用し得る装置100のブロック図を示す。装置100は、ECG機械の形態をとってもよい。装置100は、単一の多重化入力115にまとめられた一連の誘導110を有している。一連の誘導110は、ヒト被験者105の体表に配置することができる。追加の誘導107は、一連の誘導110に含まれてもよく、又は(図に示されるように)これとは別の心内誘導107であってもよい。
【0012】
心内誘導107は、患者105の心臓126内の電位をマッピングするためなど、診断又は治療処置に使用することができる。また、心内誘導107は、必要な変更を加えて、心臓又は他の体内の臓器において他の治療及び/又は診断目的で使用することもできる。
【0013】
心内誘導107は、心内誘導107の遠位端132が患者の心臓126の心腔内に入るように、患者105の脈管系内に挿入されてもよい。図1は、単一の位置センサを有する単一の誘導107を示しているが、本発明の実施形態は、複数の位置センサを有するプローブを利用してもよい。
【0014】
一連の誘導110からの信号は、入力マルチプレクサ120を介してアナログフロントエンド125に入力される。アナログフロントエンド125は、プロセッサ130へ供給され、プロセッサ130によって制御される。図に示されるように、プロセッサ130は、ビデオコントローラ135、デジタル信号プロセッサ140、マイクロプロセッサ145、及びマイクロコントローラ150を含むことができる。プロセッサ130は、データ格納部155に連結されている。データポート及びプリンタ160をプロセッサ130に連結することができる。他の入力/出力装置165もプロセッサ130に連結することができる。ディスプレイ170を用いてECGの信号の出力を与えることができる。装置100が動作するための電力を供給するために、電力/電池管理システム175を備えていてもよい。
【0015】
一連の誘導110は、一般に使用される形態の電極を含み、また、ECG処置に使用される誘導も含み得る。一連の誘導110のそれぞれは、心電計と電気回路を形成する身体105と接触した導電性パッドを有することができる。標準的な12誘導ECGでは、誘導110は10本のみである。一連の誘導110は、四肢、増高肢、及び前胸部の3群に分類され得る。一般に、12誘導ECGは、冠状面(垂直面)内で車輪のスポークのように配置された合計3つの肢誘導及び3つの増高肢誘導、並びに鉛直横断面(水平面)上にある6つの胸部誘導を有する。
【0016】
アナログフロントエンド125は、一連の誘導110からの信号を受信し、信号のフィルタリングなどのアナログ処理を行う。
【0017】
データ格納部155は、情報を記録する任意の装置である。データ格納部は、装置100に含まれる信号の記憶媒体及び格納されるプロセッサ130の計算用の場所を与え得る。
【0018】
マイクロプロセッサ145は、コンピュータの中央演算装置(CPU)の機能を1個の集積回路(IC)又は数個の集積回路上に組み込んだコンピュータプロセッサとすることができる。マイクロプロセッサ145は、汎用型のクロック駆動式レジスタベースのプログラム可能な電子装置とすることができ、デジタル又はバイナリデータを入力として受理し、これをメモリ又はデータ格納部155に格納された命令に従って処理し、結果を出力として与える。マイクロプロセッサ145は、組み合わせ論理及び順序デジタル論理の両方を含んでいる。
【0019】
マイクロコントローラ150は、1個の集積回路上の1つ又は2つ以上の小型コンピュータとすることができる。マイクロコントローラ150は、1つ又は2つ以上のCPUと共にメモリ及びプログラム可能な入力/出力周辺機器を有することができる。強誘電性のRAM、NORフラッシュ、又はOTP ROMの形態のプログラムメモリ、及び少量のRAMもまた、チップ上にしばしば含まれる。マイクロコントローラは、パーソナルコンピュータ又は様々な個別のチップで構成された他の汎用用途で使用されるマイクロプロセッサとは対照的に、組み込み型用途に合わせた設計を有する。
【0020】
デジタル信号プロセッサ140は、デジタル信号処理を行って種々様々の信号処理演算を行ってもよい。このようにして処理された信号は、時間、空間、又は周波数などのドメイン内の連続変数のサンプルを表す一連の数値である。デジタル信号処理は、線形又は非線形演算を含み得る。非線形信号処理は、非線形システム識別と密接に関連しており、時間、周波数、及び時空間ドメイン内で実行することができる。デジタルコンピューテーションの信号処理への応用は、送信のエラー検出及び補正、並びにデータ圧縮などの多くの用途でアナログ処理と比較して多くの利点を得ることができる。DSPは、ストリーミングデータ及びスタティック(格納)データの両方に適用することができる。
【0021】
図2は、図1の装置と併せてインピーダンスを測定するためのインピーダンスパッドを使用したインピーダンス構成200の描写を示す。構成200は、患者250に対する3つの軸のそれぞれにおけるインピーダンスを測定するように構成された一連のインピーダンスパッドを含む。第1の軸の第1のインピーダンスパッド205は、患者250の胸部の右側に配置され得る。パッド205は、患者250の胸部の左側に位置する第1の軸の第2のインピーダンスパッド210を伴う軸(第1の軸)(図2に水平に示される)を形成することができる。
【0022】
第2のインピーダンス軸(第2の軸)(図2に垂直に示される)は、第2の軸の第1のインピーダンスパッド215及び第2の軸の第2のインピーダンスパッド220によって画定され得る。第2の軸の第1のインピーダンスパッド215は、患者250の胸部上側又は喉に配置され得る。第2の軸の第2のインピーダンスパッド220は、患者250の腹部に位置し得る。
【0023】
第3のインピーダンス軸(第3の軸)(図2のページで入口と出口として示される)は、第3の軸の第1のインピーダンスパッド225と第3の軸の第2のインピーダンスパッド230とによって画定され得る。第3の軸の第1のインピーダンスパッド225は、患者250の背中の中心に配置され得る。第3の軸の第2のインピーダンスパッド230は、患者250の胸部の中心に配置され得る。
【0024】
ECG検査でインピーダンス測定を調整するための本システムは、カテーテル電極(図2には図示せず)から患者250の体表の6つのパッド205、210、215、220、225、230へと伝送される電気信号を利用して、インピーダンスを測定する。ECG処置に習熟している当業者には理解されるように、カテーテル電極は、患者の心臓内に直接位置してもよい。例えば、カテーテルは、患者の心臓内に挿入されてもよい。カテーテル電極は、例えば、カテーテルのシャフトの先端に収容されてもよい。カテーテル電極は、1ミリアンペア未満から100マイクロアンペアまでの低周波電気信号のバーストパルスを発し、これは、患者250の身体上の6つのパッド205、210、215、220、225、230によって吸収される。一般に、パッド205、210、215、220、225、230及びカテーテル電極の使用は、単極測定である。バーストパルスは、インピーダンスの測定及び除去における周波数誤差があればそれを除去するために、ECG中に測定される信号と同じ、又はほぼ同じ周波数であってもよい。
【0025】
あくまで一例として、ECG検査における各チャネルは、1/640秒の測定時間で毎秒20,000回サンプリングされ得る。これにより、測定間の約わずか1/20000秒未満の時間で、時間多重化を用いてインピーダンスを測定することができる。より具体的には、この実施例では、測定間の時間は1/19200秒であり得る。
【0026】
カテーテルからのバーストパルスは、ECGが心臓から電気信号をサンプリングしていないときに提供され得る。この時間多重化は、ECG読み取り値との干渉を回避する。このシステムは時間多重化(周波数多重化ではない)を使用するため、バーストパルスには任意の周波数を使用することができる。これにより、インピーダンスを測定するために使用される周波数と同じ又はほぼ同じ周波数での信号を使用することができる。心臓からの電気信号は、連続的にサンプリングされず、単に多重でサンプリングされる。したがって、カテーテル電極は、心臓からの電気信号がサンプリングされていないときに使用され得る。典型的な値は、約100~200オームである。
【0027】
図3は、図1の装置と併せて使用する誘導構成300の描写を示す。誘導構成300は、患者350に関する電気信号を測定するように構成された一連の誘導を含む。一般に、身体の特定の部分に接続された10個の誘導が存在する。この誘導は、6つの胸部誘導325及び4つの周辺誘導335の2つの群である。
【0028】
6つの胸部誘導325は、一般に、患者350の胸郭に対して配置される。第1の胸部誘導325は、患者350の胸部の中心付近に位置する。側部誘導325は、患者350の身体の側面に位置する。他の胸部誘導325、325、325、325は、第1の胸部誘導325と側胸部誘導325との間に位置する。単に情報として、胸部誘導325は、患者350の第4肋間腔と胸骨との交点に位置する。胸部誘導325は、鎖骨の中央に揃い、第5肋間腔内に位置する。胸部誘導325は、胸部誘導325と胸部誘導325との中間に配置され得る。胸部誘導325は、腋窩下領域の第5肋間腔内に位置し得る。
【0029】
4つの周辺誘導335は、左右の手首及び左右の脚部で信号を捕捉するように位置し得る。腕及び脚からの信号を参照している間、これらの誘導は、肩部及び腹部(図に示す)に、又は四肢上に直接位置してもよい。例えば、誘導335RAは、患者350の右肩に位置してもよく、誘導335LAは、患者350の左肩に位置してもよく、誘導335RLは、患者350の右下腹部に位置してもよく、335RLは患者350の左下腹部に位置してもよい。個別に、誘導は、各誘導が単独で動作する単極構成で説明されるように利用することができる。このような誘導は、例えば、一緒にされ、接地又はパッドに結び付けられてもよい。
【0030】
あるいは、誘導は、双極構成で使用されてもよい。すなわち、誘導は、誘導間で収集された信号と共に対で使用されてもよい。例えば、仮想のアイントホーフェンの三角形を横切る誘導が使用されてもよい。
【0031】
インピーダンスは、1つの誘導から別の誘導に送信することによって測定することができる。このようなインピーダンス測定は、患者350の身体に既に含まれている誘導325を利用することができ、したがって、図2に関して示され、説明されたパッドを必要としない場合がある。2つの誘導間のインピーダンスの測定は、インピーダンスの双極測定と呼ばれる。
【0032】
双極測定における誘導の使用は、直近の測定から最も遠い誘導がインピーダンスを測定するために使用され得るという、更なる利益を提供することができる。例えば、心臓の電気信号が誘導1及び2上で測定されている場合、インピーダンスは誘導16及び17で測定され得る。誘導は、2つの電極間のリンクとして定義されてもよい。例えば、誘導1は、誘導335LAと誘導335RAとの間のリンクであると定義され得る。誘導2は、誘導335RAと誘導335LLとの間のリンクを含み得る。誘導3は、誘導335LAと誘導335LLとの間のリンクを含み得る。使用され得る1つのパターンは、例えば、ある電極を隣接する電極に接続して対を形成することである。本明細書に含まれる開示に基づいて当業者には明らかであるように、電極の組み合わせから形成される他の誘導も使用することができる。
【0033】
双極動作中、最小20kHzのサンプリングで双極インピーダンス測定を行う機会の範囲は、電極当たり50μsが提供される。この測定を達成するために、マルチプレクサは、2つの電極間のインピーダンスを3μsにわたって測定する接続を提供することができる。最大200kHzまでのサンプリングを利用することができる。所与の機会の範囲の間に、単一の誘導のみが接続され、N-1個の誘導は接続されていない。
【0034】
図4は、単極構成で実行され得る方法400を示す。方法400は、工程410で複数の誘導を適用することを含む。工程420において、方法400は、複数のインピーダンスパッドを適用することを含む。工程430において、カテーテル電極からバーストパルスを印加することによって、単極インピーダンス測定が行われ得る。工程440において、複数のインピーダンスパッド及び複数の誘導のうちのいくつかにわたって、複数の測定が行われ得る。工程450において、1つ又は2つ以上の誘導のインピーダンスは、複数の測定値から決定され得る。
【0035】
図5は、双極構成で実行され得る方法500を示す。方法500は、工程510で複数の誘導を適用することを含む。工程520において、ECG測定間に、誘導の対のうちのいくつかにわたって双極インピーダンス測定が行われ得る。
【0036】
本方法は、汎用コンピュータ、プロセッサ、又はプロセッサコアにおいて実施することができる。好適なプロセッサとしては、例として、汎用プロセッサ、専用プロセッサ、従来型プロセッサ、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、複数のマイクロプロセッサ、DSPコアと関連する1つ若しくは2つ以上のマイクロプロセッサ、コントローラ、マイクロコントローラ、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)回路、任意の他の種類の集積回路(IC)、及び/又は状態機械が挙げられる。このようなプロセッサは、処理されたハードウェア記述言語(HDL)命令、及びネットリスト等の他の中間データ(このような命令は、コンピュータ可読媒体に格納することが可能である)の結果を用いて製造プロセスを構成することにより、製造することが可能である。このような処理の結果はマスクワークであり得、このマスクワークを次に半導体製造プロセスにおいて用いて、本開示の特徴を実施するプロセッサを製造する。
【0037】
本明細書に提供される方法又はフローチャートは、汎用コンピュータ又はプロセッサによる実施のために非一時的コンピュータ可読記憶媒体に組み込まれるコンピュータプログラム、ソフトウェア、又はファームウェアにおいて実施することができる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体の例としては、読み取り専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、レジスタ、キャッシュメモリ、半導体メモリ装置、磁気媒体、例えば内蔵ハードディスク及びリムーバブルディスク、磁気光学媒体、並びに光学媒体、例えば、CD-ROMディスク及びデジタル多用途ディスク(DVD)が挙げられる。
【0038】
〔実施の態様〕
(1) 心電図(ECG)における複数の誘導のうちの1つ又は2つ以上のインピーダンスを測定するための方法であって、
複数の誘導を患者の身体に適用することと、
複数のインピーダンスパッドを前記患者の身体に適用することと、
前記ECGのカテーテル電極からバーストパルスを提供することと、
前記複数のインピーダンスパッド及び前記複数の誘導のうちのいくつかにわたるインピーダンス信号を測定することと、
前記測定されたインピーダンス信号から1つ又は2つ以上の誘導に対するインピーダンスを決定することと、
を含む、方法。
(2) 前記複数のインピーダンスパッドが、前記患者の胸部右側から前記患者の胸部左側までの第1の軸を画定する、実施態様1に記載の方法。
(3) 前記複数のインピーダンスパッドが、前記患者の胸部上側領域から前記患者の下腹部領域までの第2の軸を画定する、実施態様1に記載の方法。
(4) 前記複数のインピーダンスパッドが、前記患者の背中の中心から前記患者の胸部の中心までの第3の軸を画定する、実施態様1に記載の方法。
(5) 前記複数の誘導が、標準的な12誘導ECGを含む、実施態様1に記載の方法。
【0039】
(6) 前記複数の誘導が、3つの四肢誘導を含む、実施態様1に記載の方法。
(7) 前記複数の誘導が、冠状面においてスポーク状に配置された3つの増高肢誘導を含む、実施態様1に記載の方法。
(8) 前記複数の誘導が、鉛直横断面上に構成された6つの胸部誘導を含む、実施態様1に記載の方法。
(9) 心電図(ECG)における複数の誘導のうちの1つ又は2つ以上のインピーダンスを測定するための方法であって、
複数の誘導を患者の身体に適用することと、
ECG測定間の期間中に前記複数の誘導のうちの対になった誘導にわたるインピーダンス信号を測定することと、
を含む、方法。
(10) 前記複数の誘導が、標準的な12誘導ECGを含む、実施態様9に記載の方法。
【0040】
(11) 前記複数の誘導が、3つの四肢誘導を含む、実施態様9に記載の方法。
(12) 前記複数の誘導が、冠状面においてスポーク状に配置された3つの増高肢誘導を含む、実施態様9に記載の方法。
(13) 前記複数の誘導が、鉛直横断面上に構成された6つの胸部誘導を含む、実施態様9に記載の方法。
(14) 前記複数の誘導のうちのいくつかがそれぞれ、前記複数の誘導のうちの隣接する誘導と対になっている、実施態様9に記載の方法。
(15) 前記対が、前記複数の誘導のうちの前記いくつかのそれぞれに対して2つのインピーダンス測定値を提供する、実施態様14に記載の方法。
【0041】
(16) 前記2つのインピーダンス測定値が平均化されて、前記誘導のインピーダンスを提供する、実施態様15に記載の方法。
(17) 心電図(ECG)を行い、インピーダンスを測定するためのシステムであって、
電気信号を捕捉するために被験者に取り付けるための複数の誘導と、
前記捕捉された電気信号を処理する信号プロセッサと、
前記処理捕捉された電気信号を出力する出力装置と、
を備え、
測定のインピーダンスが監視され、前記信号プロセッサは、前記処理捕捉された電気信号からインピーダンスを除去する、システム。
(18) 前記測定に対するインピーダンス情報を提供するように構成された複数のインピーダンスパッドを更に備える、実施態様17に記載のシステム。
(19) カテーテル電極が、前記インピーダンス情報の測定を可能にするために、バーストパルスを提供する、実施態様18に記載のシステム。
(20) 前記測定に対する前記インピーダンス情報が、前記複数の電極の対にわたって測定されている、実施態様17に記載のシステム。
図1
図2
図3
図4
図5