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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】車両用ヒートポンプシステム
(51)【国際特許分類】
   B60H 1/22 20060101AFI20240716BHJP
   B60H 1/32 20060101ALI20240716BHJP
   B60H 1/00 20060101ALI20240716BHJP
   F25B 1/00 20060101ALI20240716BHJP
   F25B 27/02 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B60H1/22 651A
B60H1/22 671
B60H1/32 621B
B60H1/00 101A
B60H1/32 621C
B60H1/22 611C
B60H1/32 613A
F25B1/00 399Y
F25B1/00 331E
F25B1/00 311Z
F25B27/02 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020008512
(22)【出願日】2020-01-22
(65)【公開番号】P2021037931
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2022-08-12
(31)【優先権主張番号】10-2019-0107881
(32)【優先日】2019-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】591251636
【氏名又は名称】現代自動車株式会社
【氏名又は名称原語表記】HYUNDAI MOTOR COMPANY
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(73)【特許権者】
【識別番号】500518050
【氏名又は名称】起亞株式会社
【氏名又は名称原語表記】KIA CORPORATION
【住所又は居所原語表記】12, Heolleung-ro, Seocho-gu, Seoul, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100210790
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大策
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジェヨン
(72)【発明者】
【氏名】チョ、ワンジェ
【審査官】町田 豊隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-104485(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0117991(US,A1)
【文献】特開2015-101180(JP,A)
【文献】特開2011-255879(JP,A)
【文献】特開2019-085102(JP,A)
【文献】特開2019-119369(JP,A)
【文献】特開2001-041601(JP,A)
【文献】特開2018-043741(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60H 1/22
B60H 1/32
B60H 1/00
F25B 1/00
F25B 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷却水ラインに連結されるラジエータ、第1ウォータポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置;
前記リザーバタンクと第2バルブを通じて連結されるバッテリー冷却水ラインと、前記バッテリー冷却水ラインに連結される第2ウォータポンプ、およびバッテリーモジュールを含み、前記バッテリーモジュールに冷却水を循環させるバッテリー冷却装置;
冷却水を利用して車室内を暖房するように前記冷却水ラインと第3バルブを通じて連結される暖房ラインと、前記暖房ラインに備えられる第3ウォータポンプ、およびヒーターを含む暖房装置;および
前記第2バルブを通じて前記バッテリー冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを通じて連結され、前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと前記分岐ラインを連結する連結ラインと、前記分岐ラインを通じて選択的に流入する冷却水を前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラー;を含み、
前記エアコン装置に備えられ、前記暖房装置を循環する冷却水が通過するように前記暖房ラインと連結されたコンデンサを通過した冷媒中の一部の冷媒を圧縮機にバイパスさせて、前記冷媒ラインを循環する冷媒の流量を増大させるガスインジェクション部;
をさらに含み、
前記連結ラインの一端は前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと連結され、前記連結ラインの他端は前記第2バルブと前記チラーとの間で前記分岐ラインに連結され、
前記ヒーターは、前記エアコン装置に含まれているHVACモジュールの内部に備えられ、
前記バッテリーモジュールを昇温する場合、
前記第1バルブの作動により前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記連結ラインが開放され、
前記分岐ラインは、前記第2バルブの作動により開放され、
前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、
前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って冷却水が循環し、
前記暖房装置では、前記第3バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結され、前記冷却装置で前記電装品の廃熱によって温度が上昇した冷却水が、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインを循環し、
前記暖房ラインから前記冷却水ラインに流入した高温の冷却水は、前記冷却水ラインから前記連結ラインを通じて前記分岐ラインに流入し、前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインを通じて連結された前記バッテリーモジュールに供給される、車両用ヒートポンプシステム。
【請求項2】
冷却水ラインに連結されるラジエータ、第1ウォータポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置;
前記リザーバタンクと第2バルブを通じて連結されるバッテリー冷却水ラインと、前記バッテリー冷却水ラインに連結される第2ウォータポンプ、およびバッテリーモジュールを含み、前記バッテリーモジュールに冷却水を循環させるバッテリー冷却装置;
冷却水を利用して車室内を暖房するように前記冷却水ラインと第3バルブを通じて連結される暖房ラインと、前記暖房ラインに備えられる第3ウォータポンプ、およびヒーターを含む暖房装置;および
前記第2バルブを通じて前記バッテリー冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを通じて連結され、前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと前記分岐ラインを連結する連結ラインと、前記分岐ラインを通じて選択的に流入する冷却水を前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラー;を含み、
前記エアコン装置に備えられ、前記暖房装置を循環する冷却水が通過するように前記暖房ラインと連結されたコンデンサを通過した冷媒中の一部の冷媒を圧縮機にバイパスさせて、前記冷媒ラインを循環する冷媒の流量を増大させるガスインジェクション部;
をさらに含み、
前記エアコン装置は、
前記冷媒ラインを通じて連結される蒸発器と、車両の冷房、暖房、および除湿モードに応じて、前記蒸発器を通過した外気が前記ヒーターに選択的に流入するように調節する開閉ドアが内部に備えられたHVACモジュール;
内部に暖房回路を通過する冷却水が循環し、前記冷媒ラインを通じて供給された冷媒を冷却水と熱交換させるコンデンサ;
前記蒸発器と前記コンデンサとの間で前記冷媒ラインを通じて連結される圧縮機;
前記コンデンサと前記蒸発器との間で前記冷媒ラインに備えられる熱交換器;
前記熱交換器と前記蒸発器との間で前記冷媒ラインに備えられる第1膨張バルブ;
前記冷媒連結ラインに備えられる第2膨張バルブ;
前記蒸発器と前記圧縮機との間で前記冷媒ラインに備えられ、前記冷媒連結ラインと連結されるアキュムレータ;および
前記コンデンサと前記熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられる第3膨張バルブ;を含む、車両用ヒートポンプシステム。
【請求項3】
前記熱交換器は、
前記第3膨張バルブの選択的な作動により、前記コンデンサで凝縮した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮または蒸発させる、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項4】
前記第2膨張バルブは、
冷媒と熱交換された冷却水を利用して前記バッテリーモジュールを冷却する場合、前記冷媒連結ラインを通じて流入する冷媒を膨張させて、前記チラーに流入させる、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項5】
前記第3膨張バルブは、
車両の暖房モードと、暖房/除湿モードで前記熱交換器に流入する冷媒を選択的に膨張させる、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項6】
前記ガスインジェクション部は、
前記コンデンサと前記熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられる板状熱交換器;
一端は、前記コンデンサと前記板状熱交換器との間で前記冷媒ラインに連結され、他端は、前記板状熱交換器を通過して前記圧縮機に連結されるバイパスライン;および
前記板状熱交換器の前段で前記バイパスラインに備えられる第4膨張バルブ;を含む、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項7】
前記第4膨張バルブは、
車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで前記コンデンサを通過して前記バイパスラインに流入する前記冷媒を膨張させる、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項8】
前記ガスインジェクション部は、
前記コンデンサと前記熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられ、前記コンデンサを通過した冷媒中、気体冷媒と液体冷媒を分離して選択的に排出するフラッシュタンク;
前記フラッシュタンクと前記圧縮機を連結し、前記フラッシュタンクから気体状態の冷媒を前記圧縮機に選択的に供給するバイパスライン;
前記バイパスラインに備えられるバイパスバルブ;および
前記コンデンサと前記フラッシュタンクとの間で前記冷媒ラインに備えられる第4膨張バルブ;を含む、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項9】
前記第4膨張バルブは、
車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで前記コンデンサを通過した前記冷媒を膨張させる、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項10】
前記HVACモジュールは、
前記ヒーターを通過した外気を選択的に加熱するように前記ヒーターを挟んで、前記蒸発器の反対側に備えられる空気加熱器をさらに含み、
前記空気加熱器は、前記ヒーターに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒーターを通過した外気の温度を上昇させるために作動する、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項11】
車両の冷房モードで前記バッテリーモジュールを冷却する場合、
前記冷却装置では、前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、
前記連結ラインが前記第1バルブの作動により閉鎖され、
前記バッテリー冷却装置では、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記第2ウォータポンプの作動により前記チラーを通過した冷却水が前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って前記バッテリーモジュールに供給され、
前記暖房装置では、前記第3バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結されて前記冷却装置から冷却水が供給され、
前記エアコン装置では、前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放された状態で、前記冷媒ラインと前記冷媒連結ラインに沿って冷媒が循環し、
膨張した冷媒が前記蒸発器と前記チラーにそれぞれ供給されるように前記第1膨張バルブ、および第2膨張バルブは冷媒を膨張させ、
前記第3膨張バルブは、前記コンデンサから供給された冷媒を前記熱交換器に流入させ、
前記ガスインジェクション部は作動が中断される、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項12】
前記暖房装置は、前記第3ウォータポンプの作動により前記冷却装置から供給された冷却水を前記コンデンサに供給し、
前記コンデンサは冷却水との熱交換により冷媒を凝縮させ、前記熱交換器は、前記コンデンサから流入した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮させる、請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項13】
車両の暖房モードで外気熱源と前記電装品、および前記バッテリーモジュールの廃熱を回収する場合、
前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、
前記冷却装置では、前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過した冷却水が前記ラジエータを通過せず、開放された前記連結ラインを通じて前記チラーに供給され、
前記バッテリー冷却装置では、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインと前記バッテリー冷却水ラインがそれぞれ開放され、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリーモジュールを通過した冷却水が前記分岐ラインを通じて前記チラーに供給され、
前記冷却水ラインと前記暖房ラインは、前記第3バルブの作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し、
前記暖房装置では、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、
前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブの作動により前記コンデンサと前記蒸発器を連結する冷媒ラインが閉鎖され、
前記冷媒連結ラインは前記第2膨張バルブの作動により開放され、
前記第2膨張バルブは、前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給し、
前記第3膨張バルブは、前記コンデンサから供給された冷媒を膨張させて前記熱交換器に供給し、
前記ガスインジェクション部が作動する、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項14】
車両の暖房/除湿モードで、
前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、
前記冷却装置では、前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過した冷却水が前記ラジエータを通過せず、開放された前記連結ラインを通じて前記チラーに供給され、
前記バッテリー冷却装置では、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結される前記バッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、
前記チラーから排出された冷却水は前記分岐ラインと、開放された前記バッテリー冷却水ラインを通じて前記リザーバタンクに流入し、
前記冷却水ラインと前記暖房ラインは、前記第3バルブの作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し、
前記暖房装置では、前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、
前記エアコン装置では、前記第1膨張バルブ、および第2膨張バルブの作動により開放された前記冷媒ラインと前記冷媒連結ラインに沿って冷媒がそれぞれ循環し、
膨張した冷媒が前記蒸発器と前記チラーにそれぞれ供給されるように前記第1膨張バルブ、および第2膨張バルブは冷媒を膨張させ、
前記ガスインジェクション部が作動する、請求項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項15】
冷却水を利用して前記電装品と前記バッテリーモジュールを冷却する場合、
前記連結ラインと前記分岐ラインは、前記第1バルブ、および第2バルブの作動により閉鎖され、
前記ラジエータで冷却されて前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水は、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品に供給され、
前記第2バルブの作動により前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインには前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水が循環しながら、前記バッテリーモジュールに供給される、請求項1または2に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項16】
冷却水ラインに連結されるラジエータ、第1ウォータポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置;
前記リザーバタンクと第2バルブを通じて連結されるバッテリー冷却水ラインと、前記バッテリー冷却水ラインに連結される第2ウォータポンプ、およびバッテリーモジュールを含み、前記バッテリーモジュールに冷却水を循環させるバッテリー冷却装置;
冷却水を利用して車室内を暖房するように前記冷却水ラインと第3バルブを通じて連結される暖房ラインと、前記暖房ラインに備えられる第3ウォータポンプ、およびヒーターを含む暖房装置;および
前記第2バルブを通じて前記バッテリー冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを通じて連結され、前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと前記分岐ラインを連結する連結ラインと、前記分岐ラインを通じて選択的に流入する冷却水を前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラー;を含み、
前記エアコン装置に備えられ、前記暖房装置を循環する冷却水が通過するように前記暖房ラインと連結されたコンデンサを通過した冷媒中の一部の冷媒を圧縮機にバイパスさせて、前記冷媒ラインを循環する冷媒の流量を増大させるガスインジェクション部;
をさらに含み、
車両の暖房モードで、前記エアコン装置の作動なしに前記電装品の廃熱を利用する場合、
前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、
前記冷却装置では、前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、
前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結される前記バッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、
前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータを通過せず、前記第3バルブを通じて連結された前記暖房ラインに沿って前記ヒーターに供給され、
前記ヒーターから排出された冷却水は前記暖房ライン、前記第3バルブ、および前記冷却水ライン、前記連結ライン、および前記分岐ラインに沿って前記チラーに供給され、
前記チラーから排出された冷却水は前記分岐ラインと、開放された前記バッテリー冷却水ラインを通じて前記リザーバタンクに流入する、車両用ヒートポンプシステム。
【請求項17】
前記第1バルブは、
前記電装品が過熱される場合、前記ラジエータと連結される前記冷却水ラインを開放して前記電装品を通過した冷却水中の一部の冷却水を前記連結ラインに流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータに流入させる、請求項1に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【請求項18】
前記ガスインジェクション部は、
車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで作動する、請求項1、2及び16のいずれか一項に記載の車両用ヒートポンプシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ヒートポンプシステムに関し、より詳しくは、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラーを用いてバッテリーモジュールの温度を調節し、電装品から発生した廃熱を利用して暖房性能および効率を向上させる車両用ヒートポンプシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、自動車用空気調和システムは、自動車の室内を暖房または冷房するために冷媒を循環させるエアコン装置を含む。
【0003】
このようなエアコン装置は、外部温度の変化に関係なく自動車の室内温度を適正な温度に維持して快適な室内環境を保つためのものであって、圧縮機の駆動によって吐出される冷媒が凝縮器、レシーバードライヤー、膨張バルブおよび蒸発器を経て再び圧縮機に循環する過程で凝縮器および蒸発器による熱交換によって自動車の室内を暖房または冷房するように構成される。
【0004】
つまり、エアコン装置は、夏季の冷房モード時には圧縮機から圧縮された高温、高圧の気相冷媒が凝縮器を通して凝縮した後、レシーバードライヤーおよび膨張バルブを経て蒸発器での蒸発により室内の温度および湿度を低くする。
【0005】
一方、最近、エネルギー効率と環境汚染問題などに対する関心が日増しに高まるにつれ、内燃機関自動車を実質的に代替可能な環境に優しい自動車の開発が求められており、このような環境に優しい自動車は、通常、燃料電池や電気を動力源として駆動される電気自動車と、エンジンとバッテリーを用いて駆動されるハイブリッド自動車とに区分される。
【0006】
このような環境に優しい車両のうち、電気自動車またはハイブリッド車両には、一般車両の空気調和装置とは異なり、別途のヒーターを使わず、環境に優しい車両に適用される空気調和装置は、通常、ヒートポンプシステムという。
【0007】
また、電気自動車の場合、酸素と水素との化学的反応エネルギーを電気エネルギーに転換して駆動力を発生させるようになり、この過程で燃料電池内の化学的反応によって熱エネルギーが発生するため、発生した熱を効果的に除去することは燃料電池の性能の確保において必須である。
【0008】
そして、ハイブリッド自動車においても、一般的な燃料で作動するエンジンと共に、前記燃料電池や電気バッテリーから供給される電気を用いてモータを駆動させて駆動力を発生させるため、燃料電池やバッテリー、およびモータから発生する熱を効果的に除去しなければモータの性能を確保しにくくなる。
【0009】
これにより、従来技術によるハイブリッド車両や電気自動車においてはモータ、電装品、および燃料電池を含むバッテリーの発熱を防止するため、冷却手段およびヒートポンプシステムと共に、バッテリー冷却システムはそれぞれ別途の密閉回路で構成しなければならない。
【0010】
したがって、車両の前方に配置されるクーリングモジュールの大きさおよび重量が増加し、エンジンルームの内部でそれぞれのヒートポンプシステム、冷却手段およびバッテリー冷却システムに冷媒または冷却水を供給する連結配管のレイアウトが複雑になる短所がある。
【0011】
また、バッテリーが最適な性能を発揮できるよう、車両の状態によりバッテリーを昇温または冷却するためのバッテリー冷却システムを別途に備えているため、各連結配管と連結するための複数のバルブが適用され、該バルブの頻繁な開閉作動による騒音および振動が車室内に伝達されて乗車感が低下する短所もある。
【0012】
また、車室内を暖房する場合には熱源不足により暖房性能が低下し、電気ヒーターの使用により電気消耗量が増加し、圧縮機の消耗動力が増大するなどの短所もある。
【0013】
この背景技術部分に記載された事項は、本発明の背景に対する理解を増進させるために作成されたものであり、該技術の属する分野における通常の知識を有する者に一般的に知られている従来技術でない事項を含むことができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
したがって、本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、本発明の目的は、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラーを用いてバッテリーモジュールの温度を調節し、電装品とバッテリーモジュールから発生した廃熱を回収して室内暖房に使うことによって、暖房性能および効率を向上させる車両用ヒートポンプシステムを提供することにある。
【0015】
また、本発明は、車両の暖房モード、または除湿/暖房モードで作動するガスインジェクション部を適用して冷媒の流量を増大させることによって、暖房性能を極大化させることができる車両用ヒートポンプシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
上記目的を達成するための本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムは、冷却水ラインに連結されるラジエータ、第1ウォータポンプ、第1バルブ、およびリザーバタンクを含み、前記冷却水ラインに備えられる少なくとも1つの電装品を冷却するように前記冷却水ラインに冷却水を循環させる冷却装置;前記リザーバタンクと第2バルブを通じて連結されるバッテリー冷却水ラインと、前記バッテリー冷却水ラインに連結される第2ウォータポンプ、およびバッテリーモジュールを含み、前記バッテリーモジュールに冷却水を循環させるバッテリー冷却装置;冷却水を利用して車室内を暖房するように前記冷却水ラインと第3バルブを通じて連結される暖房ラインと、前記暖房ラインに備えられる第3ウォータポンプ、およびヒーターを含む暖房装置;および前記第2バルブを通じて前記バッテリー冷却水ラインと連結される分岐ラインに備えられ、エアコン装置の冷媒ラインと冷媒連結ラインを通じて連結され、前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと前記分岐ラインを連結する連結ラインと、前記分岐ラインにより選択的に流入する冷却水を前記エアコン装置から選択的に供給された冷媒と熱交換させて冷却水の温度を調節するチラー;を含み、前記エアコン装置に備えられ、前記暖房装置を循環する冷却水が通過するように前記暖房ラインと連結されたコンデンサを通過した冷媒中、一部の冷媒を圧縮機にバイパスさせて前記冷媒ラインを循環する冷媒の流量を増大させるガスインジェクション部;をさらに含むことができる。
【0017】
前記連結ラインの一端は前記第1バルブを通じて前記冷却水ラインと連結され、前記連結ラインの他端は前記第2バルブと前記チラーとの間で前記分岐ラインに連結され、前記ヒーターは前記エアコン装置に含まれているHVACモジュールの内部に備えられる。
【0018】
前記バッテリーモジュールを昇温させる場合、前記第1バルブの作動により前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記連結ラインが開放され、前記分岐ラインは前記第2バルブの作動により開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って冷却水が循環し、前記暖房装置では前記第3バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインとが連結され、前記冷却装置で前記電装品の廃熱によって温度が上昇した冷却水が前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインを循環し、前記暖房ラインから前記冷却水ラインに流入した高温の冷却水は、前記冷却水ラインから前記連結ラインを通じて前記分岐ラインに流入され、前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインを通じて連結された前記バッテリーモジュールに供給される。
【0019】
前記エアコン装置は、前記冷媒ラインを通じて連結される蒸発器と、車両の冷房、暖房、および除湿モードに応じて、前記蒸発器を通過した外気が前記ヒーターに選択的に流入するように調節する開閉ドアが内部に備えられるHVACモジュール;内部に前記暖房回路を通過する冷却水が循環し、前記冷媒ラインを通じて供給された冷媒を冷却水と熱交換させるコンデンサ;前記蒸発器と前記コンデンサとの間で前記冷媒ラインを通じて連結される圧縮機;前記コンデンサと前記蒸発器との間で前記冷媒ラインに備えられる熱交換器;前記熱交換器と前記蒸発器との間で前記冷媒ラインに備えられる第1膨張バルブ;前記冷媒連結ラインに備えられる第2膨張バルブ;前記蒸発器と前記圧縮機との間で前記冷媒ラインに備えられ、前記冷媒連結ラインと連結されるアキュムレータ;および前記コンデンサと前記熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられる第3膨張バルブ;を含むことができる。
【0020】
前記熱交換器は、前記第3膨張バルブの選択的な作動により、前記コンデンサで凝縮した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮または蒸発させることができる。
【0021】
前記第2膨張バルブは、冷媒と熱交換された冷却水を利用して前記バッテリーモジュールを冷却する場合、前記冷媒連結ラインを通じて流入する冷媒を膨張させて前記チラーに流入させることができる。
【0022】
前記第3膨張バルブは、車両の暖房モードと、暖房/除湿モードで前記熱交換器に流入する冷媒を選択的に膨張させることができる。
【0023】
前記ガスインジェクション部は、前記コンデンサと前記熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられる板状熱交換器;一端は前記コンデンサと前記板状熱交換器との間で前記冷媒ラインに連結され、他端は前記板状熱交換器を通過して前記圧縮機に連結されるバイパスライン;および前記板状熱交換器の前段で前記バイパスラインに備えられる第4膨張バルブ;を含むことができる。
【0024】
前記第4膨張バルブは、車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで前記コンデンサを通過して前記バイパスラインに流入する前記冷媒を膨張させることができる。
【0025】
前記ガスインジェクション部は、前記コンデンサと前記熱交換器との間で前記冷媒ラインに備えられ、前記コンデンサを通過した冷媒中、気体冷媒と液体冷媒を分離して選択的に排出するフラッシュタンク;前記フラッシュタンクと前記圧縮機を連結し、前記フラッシュタンクから気体状態の冷媒を前記圧縮機に選択的に供給するバイパスライン;前記バイパスラインに備えられるバイパスバルブ;および前記コンデンサと前記フラッシュタンクとの間で前記冷媒ラインに備えられる第4膨張バルブ;を含むことができる。
【0026】
前記第4膨張バルブは、車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで前記コンデンサを通過した前記冷媒を膨張させることができる。
【0027】
前記HVACモジュールは、前記ヒーターを通過した外気を選択的に加熱するように前記ヒーターを挟んで、前記蒸発器の反対側に備えられる空気加熱器をさらに含み、前記空気加熱器は、前記ヒーターに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒーターを通過した外気の温度を上昇させるために作動され得る。
【0028】
車両の冷房モードで前記バッテリーモジュールを冷却する場合、前記冷却装置では前記第1ウォータポンプの作動により前記冷却水ラインに冷却水が循環し、前記連結ラインが前記第1バルブの作動により閉鎖され、前記バッテリー冷却装置では前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖された状態で、前記第2ウォータポンプの作動により前記チラーを通過した冷却水が前記バッテリー冷却水ラインと前記分岐ラインに沿って前記バッテリーモジュールに供給され、前記暖房装置では前記第3バルブの作動により前記冷却水ラインと前記暖房ラインが連結されて前記冷却装置から冷却水が供給され、前記エアコン装置では前記第2膨張バルブの作動により前記冷媒連結ラインが開放された状態で、前記冷媒ラインと前記冷媒連結ラインに沿って冷媒が循環し、膨張した冷媒が前記蒸発器と前記チラーにそれぞれ供給されるように前記第1、および第2膨張バルブは冷媒を膨張させ、前記第3膨張バルブは前記コンデンサから供給された冷媒を前記熱交換器に流入させ、前記ガスインジェクション部は作動が中断される。
【0029】
前記暖房装置は、前記第3ウォータポンプの作動により前記冷却装置から供給された冷却水を前記コンデンサに供給し、前記コンデンサは、冷却水との熱交換により冷媒を凝縮させ、前記熱交換器は、前記コンデンサから流入した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮させることができる。
【0030】
車両の暖房モードで外気熱源と、前記電装品および前記バッテリーモジュールの廃熱を回収する場合、前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、前記冷却装置では前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過した冷却水が前記ラジエータの通過なしに開放された前記連結ラインを通じて前記チラーに供給され、前記バッテリー冷却装置では前記第2バルブの作動により前記分岐ラインと前記バッテリー冷却水ラインがそれぞれ開放され、前記第2ウォータポンプの作動により前記バッテリーモジュールを通過した冷却水が前記分岐ラインを通じて前記チラーに供給され、前記冷却水ラインと前記暖房ラインは前記第3バルブの作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し、前記暖房装置では前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、前記エアコン装置では前記第1膨張バルブの作動により前記コンデンサと前記蒸発器を連結する冷媒ラインが閉鎖され、前記冷媒連結ラインは前記第2膨張バルブの作動により開放され、前記第2膨張バルブは前記冷媒連結ラインに供給される冷媒を膨張させて前記チラーに供給し、前記第3膨張バルブは前記コンデンサから供給された冷媒を膨張させて前記熱交換器に供給し、前記ガスインジェクション部が作動し得る。
【0031】
車両の暖房/除湿モードで、前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、前記冷却装置では前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過した冷却水が前記ラジエータの通過なしに開放された前記連結ラインを通じて前記チラーに供給され、前記バッテリー冷却装置では前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結される前記バッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、前記チラーから排出された冷却水は前記分岐ラインと、開放された前記バッテリー冷却水ラインを通じて前記リザーバタンクに流入し、前記冷却水ラインと前記暖房ラインは前記第3バルブの作動によりそれぞれ独立した密閉回路を形成し、前記暖房装置では前記第3ウォータポンプの作動により前記暖房ラインに沿って冷却水が循環し、前記エアコン装置では前記第1、および2膨張バルブの作動により開放された前記冷媒ラインと前記冷媒連結ラインに沿って冷媒がそれぞれ循環し、膨張した冷媒が前記蒸発器と前記チラーにそれぞれ供給されるように前記第1、および第2膨張バルブは冷媒を膨張させ、前記ガスインジェクション部が作動し得る。
【0032】
冷却水を利用して前記電装品と前記バッテリーモジュールを冷却する場合、前記連結ラインと前記分岐ラインは前記第1、および第2バルブの作動により閉鎖され、前記ラジエータで冷却されて前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水は前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品に供給され、前記第2バルブの作動により前記リザーバタンクと連結された前記バッテリー冷却水ラインには前記リザーバタンクに貯蔵された冷却水が循環しながら、前記バッテリーモジュールに供給され得る。
【0033】
車両の暖房モードで前記エアコン装置の作動なしに前記電装品の廃熱を利用する場合、前記第1バルブの作動により前記連結ラインが開放され、前記冷却装置では前記連結ラインを基準にして前記ラジエータと連結された前記冷却水ラインと、前記ラジエータと前記リザーバタンクを連結する前記冷却水ラインが閉鎖され、前記第2バルブの作動により前記分岐ラインが開放され、前記分岐ラインを基準にして前記リザーバタンクと連結される前記バッテリー冷却水ラインを除いた残りの前記バッテリー冷却水ラインが閉鎖され、前記第1ウォータポンプの作動により前記電装品を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータの通過なしに前記第3バルブを通じて連結された前記暖房ラインに沿って前記ヒーターに供給され、前記ヒーターから排出された冷却水は、前記暖房ライン、前記第3バルブ、および前記冷却水ライン、前記連結ライン、および前記分岐ラインに沿って前記チラーに供給され、前記チラーから排出された冷却水は、分岐ラインと、開放された前記バッテリー冷却水ラインを通じて前記リザーバタンクに流入し得る。
【0034】
前記第1バルブは前記電装品が過熱される場合、前記ラジエータと連結される前記冷却水ラインを開放して前記電装品を通過した冷却水中の一部の冷却水を前記連結ラインに流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータに流入させることができる。
【0035】
前記ガスインジェクション部は、車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで作動し得る。
【0036】
上述のように本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムによれば、冷却水と冷媒が熱交換される1つのチラーを用いて車両のモードによりバッテリーモジュールの温度を調節し、冷却水を利用して車室内の暖房を実現することによって、全体システムの簡素化および単純化を図ることができる。
【0037】
また、本発明は、電装品から発生した廃熱を回収して室内暖房に使うことによって、暖房効率を向上させることができる。
【0038】
また、本発明は、バッテリーモジュールの温度を効率的に調節することによって、バッテリーモジュールの最適な性能を発揮することができ、効率的なバッテリーモジュールの管理を通して車両の全体的な走行距離を増加させることができる。
【0039】
また、本発明は、暖房回路に適用される冷却水加熱器を利用してバッテリーモジュールをウォームアップするかまたは室内暖房の補助として使うことができるので、コストおよび重量を節減できる。
【0040】
また、本発明は、車両の暖房モードで外気熱源と、電装品およびバッテリーモジュールの廃熱を選択的に利用することによって、暖房効率を向上させることができる。
【0041】
また、本発明は、コンデンサと熱交換器を利用して冷媒の凝縮または蒸発性能を増大させることによって、冷房性能を向上させ、圧縮機の消耗動力を減らすことができる。
【0042】
また、本発明は、ガスインジェクション部を適用して暖房モード、または暖房/除湿モードで冷媒の流量を増大させることによって、暖房性能を極大化させることができる。
【0043】
さらに、本発明は、全体システムの簡素化により製作コストの節減および重量縮小が可能で、空間活用性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
図1】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムのブロック構成図である。
図2】本発明の他の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムに適用されるガスインジェクション部のブロック構成図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで冷却水を利用した電装品とバッテリーモジュールの冷却時の作動状態図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の冷房モード時に冷媒を利用してバッテリーモジュールを冷却するときの作動状態図である。
図5】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房モードによる、外気熱源と、電装品およびバッテリーモジュールの廃熱回収に対する作動状態図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房/除湿モードに対する作動状態図である。
図7】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の暖房モード時に電装品の廃熱回収および冷却に対する作動状態図である。
図8】本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムでバッテリーモジュールの昇温に対する作動状態図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
【0046】
これに先立ち、本明細書に記載された実施形態および図面に示された構成は、本発明の最も好ましい一実施形態に過ぎず、本発明の技術的な思想を全て代弁するものではないので、本出願時点においてこれらを代替できる多様な均等物と変形例があることを理解しなければならない。
【0047】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0048】
図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明が必ずしも図面に示されたところに限定されず、様々な部分および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。
【0049】
そして、明細書全体において、ある部分がある構成要素を“含む”とする時、これは特に反対となる記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0050】
また、明細書に記載された“...ユニット”、“...手段”、“...部”、“...部材”などの用語は、少なくとも1つの機能や動作をする包括的な構成の単位を意味する。
【0051】
図1は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムのブロック構成図である。
【0052】
本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムは、冷媒と冷却水が熱交換される1つのチラー30を利用してバッテリーモジュール24の温度を調節し、電装品15および前記バッテリーモジュール24の廃熱と、ガスインジェクション部70を利用して暖房性能、および効率を向上させることができる。
【0053】
ここで、前記ヒートポンプシステムは、電気自動車で前記電装品15を冷却するための冷却装置10、前記バッテリーモジュール24を冷却するためのバッテリー冷却装置20、冷却水を利用して室内を暖房するための暖房装置40、および室内を冷房および暖房するための空調装置であるエアコン装置50が相互連動され得る。
【0054】
つまり、図1を参照すると、前記ヒートポンプシステムは、前記冷却装置10、前記バッテリー冷却装置20、前記チラー30、および前記暖房装置40を含む。
【0055】
図1を参照すると、前記熱管理システムは、冷却装置10、バッテリー冷却装置20、チラー30、および暖房装置40を含むことができる。
【0056】
まず、前記冷却装置10は、冷却水ライン11に連結されるラジエータ12、第1ウォータポンプ14、第1バルブV1、およびリザーバタンク16を含む。
【0057】
前記ラジエータ12は車両の前方に配置され、後方にはクーリングファン13が備えられ、前記クーリングファン13の作動および外気との熱交換により冷却水を冷却することになる。
【0058】
また、前記電装品15は、電力制御装置(Electric Power Control Unit、EPCU)、モータ、インバータ、または充電器(On Board Charger、OBC)を含むことができる。
【0059】
このように構成される前記電装品15は前記冷却水ライン11に備えられ、水冷式で冷却される。
【0060】
これにより、車両の暖房モードで前記電装品15の廃熱を回収する場合、前記電力制御装置、モータ、インバータ、または充電器から発生した熱を回収することができる。
【0061】
このような冷却装置10は、前記冷却水ライン11に備えられる前記電装品15に冷却水が供給されるように、前記冷却水ライン11に冷却水を循環させることができる。
【0062】
前記バッテリー冷却装置20は、前記リザーバタンク16と第2バルブV2を通じて連結されるバッテリー冷却水ライン21と、前記バッテリー冷却水ライン21に連結される第2ウォータポンプ22、およびバッテリーモジュール24を含む。
【0063】
このようなバッテリー冷却装置20は、前記第2ウォータポンプ22の作動により前記バッテリーモジュール24に選択的に冷却水を循環させることができる。
【0064】
一方、前記バッテリーモジュール24は前記電装品15に電源を供給し、前記バッテリー冷却水ライン21に沿って流動する冷却水で冷却される水冷式で形成される。
【0065】
ここで、前記第1、および第2ウォータポンプ14、22は電動式ウォータポンプであり得る。
【0066】
本実施形態で、前記チラー30は、前記第2バルブV2を通じて前記バッテリー冷却水ライン21と連結される分岐ライン31に備えられる。
【0067】
このようなチラー30は、エアコン装置50の冷媒ライン51と、冷媒連結ライン61を通じて連結される。つまり、前記チラー30は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換器であり得る。
【0068】
これにより、前記チラー30は、前記第1バルブV1を通じて前記冷却水ライン11と前記分岐ライン31を連結する連結ライン35と、前記分岐ライン31に選択的に供給された冷却水を、前記エアコン装置50から選択的に供給された冷媒と熱交換させて、冷却水の温度を調節することができる。
【0069】
ここで、前記連結ライン35の一端は前記第1バルブV1を通じて前記冷却水ライン11に連結される。前記連結ライン35の他端は前記第2バルブV2と前記チラー30との間で前記分岐ライン31に連結される。
【0070】
このような連結ライン35は、前記第1バルブV1と前記第1ウォータポンプ14の作動により選択的に開閉され得る。また、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により前記冷却水ラインと前記分岐ライン31を連結することができる。
【0071】
そして、前記暖房装置40は、前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水が供給されるように前記冷却水ライン11と第3バルブV3を通じて連結される暖房ライン41と、前記暖房ライン41に備えられる第3ウォータポンプ42、およびヒーター52aを含むことができる。
【0072】
前記ヒーター52aは、前記エアコン装置50に含まれているHVACモジュール52の内部に備えられる。
【0073】
ここで、前記第3ウォータポンプ42と前記ヒーター52aとの間で前記暖房ライン41には、前記暖房ライン41を循環する冷却水を選択的に加熱するための冷却水加熱器43が備えられる。
【0074】
前記冷却水加熱器43は車両の暖房モードで前記ヒーター52aに供給される冷却水の温度が目標温度より低い場合、ON作動して前記暖房ライン41で循環する冷却水を加熱することによって、温度が上昇した冷却水を前記ヒーター52aに流入させることができる。
【0075】
このような冷却水加熱器43は、電源供給により作動する電気式ヒーターであり得る。
【0076】
一方、本実施形態では、前記冷却水加熱器43が前記暖房ライン41に備えられた場合を一実施形態にして説明しているが、これに限定されず、前記冷却水加熱器43の代わりに車両の室内に流入する外気の温度を上昇させるための空気加熱器45を適用することができる。
【0077】
前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気を選択的に加熱するように前記HVACモジュール52の内部で車両の室内に向かって前記ヒーター52aの後方に配置し得る。
【0078】
つまり、前記暖房装置40には前記冷却水加熱器43と前記空気加熱器45のうちのいずれか1つが適用され得る。
【0079】
このように構成される暖房装置40は、車両の暖房モードで前記冷却装置10から前記暖房ライン41に流入した高温の冷却水、または前記暖房ライン41を循環しながら温度が上昇した冷却水を、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記ヒーター52aに供給することによって、車室内を暖房することができる。
【0080】
ここで、前記第1、第2、および第3ウォータポンプ14、26、42は、電動式ウォータポンプであり得る。
【0081】
本実施形態で、前記エアコン装置50は、前記冷媒ライン51を通じて連結される前記HVACモジュール(Heating、Ventilation、and Air Conditioning)52、コンデンサ53、熱交換器54、第1膨張バルブ55、蒸発器56、および圧縮機59を含む。
【0082】
まず、前記HVACモジュール52は、前記冷媒ライン51を通じて連結される前記蒸発器56と、車両の冷房、暖房、および暖房/除湿モードに応じて、前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒーター52aに選択的に流入するように調節する開閉ドア52bとが内部に備えられる。
【0083】
つまり、前記開閉ドア52bは、車両の暖房モードで前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒーター52aに流入するように開放される。反対に、車両の冷房モードで前記開閉ドア52bは、前記蒸発器56を通過しながら冷却された外気が車両内部に直ちに流入するように前記ヒーター52a側を閉鎖することになる。
【0084】
ここで、前記暖房装置40が前記冷却水加熱器43を備えていない場合、前記HVACモジュール52に備えられる前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを挟んで前記蒸発器56の反対側に備えられる。
【0085】
このような空気加熱器45は、前記ヒーター52aに供給された冷却水の温度が室内暖房の目標温度より低い場合、前記ヒーター52aを通過した外気の温度を上昇させるために作動され得る。
【0086】
一方、前記空気加熱器45は、前記暖房ライン41が前記冷却水加熱器43を備えていない場合、前記HVACモジュール52の内部に備えられる。
【0087】
つまり、本発明に係るヒートポンプシステムにおいて、前記冷却水加熱器43と前記空気加熱器45のうちの1つだけ適用され得る。
【0088】
本実施形態で、前記コンデンサ53は、前記冷媒ライン51と連結されて冷媒が通過し、前記暖房装置40を循環する冷却水が通過するように、前記暖房ライン41と連結される。
【0089】
このようなコンデンサ53は、前記暖房ライン41を通じて供給された冷却水との熱交換により冷媒を凝縮させることができる。つまり、前記コンデンサ53は、内部に冷却水が流入する水冷式熱交換器であり得る。
【0090】
このように構成される前記コンデンサ53は、前記圧縮機59から供給された冷媒を前記暖房装置40で供給される冷却水と熱交換させて冷媒を凝縮させることができる。
【0091】
本実施形態で、前記熱交換器54は、前記コンデンサ53と前記蒸発器56との間で前記冷媒ライン51に備えられる。
【0092】
前記第1膨張バルブ55は、前記熱交換器54と前記蒸発器56との間で前記冷媒ライン51に備えられる。前記第1膨張バルブ55は前記熱交換器54を通過した冷媒が供給されて、冷媒を膨張させる。
【0093】
前記アキュムレータ57は、前記蒸発器56と前記圧縮機59との間で前記冷媒ライン51に備えられ、前記冷媒連結ライン61と連結される。
【0094】
このようなアキュムレータ57は、前記圧縮機59に気体状態の冷媒のみを供給することによって、前記圧縮機59の効率および耐久性を向上させる。
【0095】
本実施形態で、前記冷媒連結ライン61の一端は前記熱交換器54と前記第1膨張バルブ55との間で前記冷媒ライン51に連結される。そして、前記冷媒連結ライン61の他端は前記アキュムレータ57に連結される。
【0096】
ここで、前記アキュムレータ57は、前記冷媒連結ライン61を通じて供給された冷媒中、気体冷媒を前記圧縮機59に供給することができる。
【0097】
一方、前記冷媒連結ライン61には第2膨張バルブ63が備えられ、前記コンデンサ53と前記熱交換器54との間で前記冷媒ライン51には第3膨張バルブ65が備えられる。
【0098】
前記第2膨張バルブ63は、冷媒で前記バッテリーモジュール24を冷却する場合、前記冷媒連結ライン61を通じて流入する冷媒を膨張させて、前記チラー30に流入させることができる。
【0099】
ここで、前記第2膨張バルブ63は、車両の暖房モード、および暖房/除湿モードで前記電装品15、または前記バッテリーモジュール24の廃熱を回収する場合にも作動し得る。
【0100】
このような第2膨張バルブ63は、前記冷媒連結ライン61を通じて流入する冷媒を選択的に膨張させて前記チラー30に流入させることができる。
【0101】
つまり、前記第2膨張バルブ63は、前記熱交換器54から排出された冷媒を膨張させ、その温度を低下させた状態で前記チラー30に流入させることによって、前記チラー30の内部を通過する冷却水の水温をさらに低下させることができる。
【0102】
これにより、前記バッテリーモジュール24には前記チラー30を通過しながら水温が低くなった冷却水が流入してより効率的に冷却される。
【0103】
前記第3膨張バルブ65は、車両の暖房モードと、暖房/除湿モードで前記熱交換器54に流入する冷媒を選択的に膨張させることができる。
【0104】
ここで、前記熱交換器54は、前記第3膨張バルブ65の選択的な作動により、前記コンデンサ53で凝縮した冷媒を外気との熱交換によりさらに凝縮または蒸発させることができる。
【0105】
つまり、前記熱交換器54は、前記ラジエータ12の前方に配置されて、内部に流入した冷媒を外気と相互熱交換させる。
【0106】
一方、前記熱交換器54が冷媒を凝縮する場合、前記熱交換器54は、前記コンデンサ53で凝縮した冷媒をさらに凝縮させることによって、冷媒のサブクールを増大させることができ、これによって、圧縮機の所要動力対比冷房能力の係数COP(Coefficient Of Performance)を向上させることができる。
【0107】
前記圧縮機59は、前記蒸発器56と前記コンデンサ53との間で前記冷媒ライン51を通じて連結される。このような圧縮機59は気体状態の冷媒を圧縮させ、圧縮された冷媒を前記コンデンサ53に供給することができる。
【0108】
一方、本実施形態で、前記ヒートポンプシステムは、ガスインジェクション部70をさらに含むことができる。
【0109】
前記ガスインジェクション部70は、前記エアコン装置50に備えられる。このようなガスインジェクション部70は、前記コンデンサ53を通過した冷媒中の一部の冷媒を前記圧縮機59にバイパスさせて、前記冷媒ライン51を循環する冷媒の流量を増大させることができる。
【0110】
このように構成される前記ガスインジェクション部70は、車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで作動し得る。
【0111】
これとは反対に、前記ガスインジェクション部70は、車両の冷房モードで作動が中断されることがある。
【0112】
ここで、前記ガスインジェクション部70は、板状熱交換器71、バイパスライン73、および第4膨張バルブ75を含むことができる。
【0113】
まず、前記板状熱交換器71は、前記コンデンサ53と前記熱交換器54との間で前記冷媒ライン51に備えられる。
【0114】
前記バイパスライン73の一端は前記コンデンサ53と前記板状熱交換器71との間で前記冷媒ライン51に連結される。このようなバイパスライン73の他端は前記板状熱交換器71を通過して前記圧縮機59に連結される。
【0115】
つまり、前記コンデンサ53を通過した冷媒中、一部の冷媒は前記バイパスライン73に流入し、残りの冷媒は、前記冷媒ライン51を通じて前記板状熱交換器71に流入する。
【0116】
そして、前記第4膨張バルブ75は、前記板状熱交換器71の前段で前記バイパスライン73に備えられる。
【0117】
このような第4膨張バルブ75は、車両の暖房モード、または、暖房/除湿モードで前記コンデンサ53を通過して前記バイパスライン73に流入する冷媒を膨張させて、前記板状熱交換器71に供給することができる。
【0118】
これにより、前記板状熱交換器71は、前記バイパスライン73に流入し、前記第4膨張バルブ75の作動により膨張した冷媒と、前記コンデンサ53から排出された冷媒を相互熱交換させることができる。
【0119】
つまり、前記バイパスライン73は、前記板状熱交換器71を通過しながら熱交換された冷媒中、気体状態の冷媒を前記圧縮機59に選択的に供給することができる。
【0120】
このように構成される前記ガスインジェクション部70においては、前記コンデンサ53を通過した冷媒中の一部の冷媒が前記バイパスライン73に流入する。
【0121】
前記バイパスライン73に流入した冷媒は、前記第4膨張バルブ75の作動により膨張した状態で、前記板状熱交換器71で前記コンデンサ53から前記冷媒ライン51を通じて流入した残りの冷媒と熱交換されながら気体状態となる。
【0122】
気体状態の冷媒は、開放された前記バイパスライン73を通じて前記圧縮機59に供給される。
【0123】
つまり、前記ガスインジェクション部70は、前記板状熱交換器71をそれぞれ通過しながら熱交換された気体状態の冷媒を、前記バイパスライン73を通じて前記圧縮機59に再び流入させることによって、前記冷媒ライン51を循環する前記冷媒の流量を増大させることができる。
【0124】
一方、本発明の他の実施形態に係るガスインジェクション部170を、添付した図2を参照して説明する。
【0125】
図2は、本発明の他の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムに適用されるガスインジェクション部のブロック構成図である。
【0126】
図2を参照すると、本発明の他の実施形態に係る前記ガスインジェクション部170は、前記エアコン装置50に備えられる。
【0127】
このようなガスインジェクション部170は、前記コンデンサ53を通過した冷媒中、一部の冷媒を前記圧縮機59にバイパスさせて、前記冷媒ライン51を循環する冷媒の流量を増大させることができる。
【0128】
このように構成される前記ガスインジェクション部170は、車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで作動し得る。
【0129】
これとは反対に、前記ガスインジェクション部170は、車両の冷房モードで作動が中断されることがある。
【0130】
ここで、前記ガスインジェクション部170は、フラッシュタンク171、バイパスライン173、バイパスバルブ175、および第4膨張バルブ177を含む。
【0131】
まず、前記フラッシュタンク171は、前記コンデンサ53と前記熱交換器54との間で前記冷媒ライン51に備えられる。
【0132】
このようなフラッシュタンク171は、前記コンデンサ53を通過しながら熱交換が完了した冷媒中、気体冷媒と液体冷媒を分離して選択的に排出することができる。
【0133】
前記バイパスライン173は、前記フラッシュタンク171と前記圧縮機59とを連結する。このようなバイパスライン173は、前記フラッシュタンク171から気体状態の冷媒を前記圧縮機59に選択的に供給することができる。
【0134】
つまり、前記バイパスライン173は、前記フラッシュタンク171を通過した気体冷媒が前記圧縮機59に選択的に流入するように前記フラッシュタンク171と前記圧縮機59とを連結することができる。
【0135】
本実施形態で、前記バイパスバルブ175は、前記バイパスライン173に備えられる。このようなバイパスバルブ175は、車両のモードにより前記バイパスライン173を選択的に開放することができる。
【0136】
ここで、前記フラッシュタンク171は、前記バイパスバルブ175の作動により開放された前記バイパスライン173を通じて気体冷媒を前記圧縮機59に供給することができる。また、前記フラッシュタンク171は、液体冷媒を前記熱交換器54に供給することができる。
【0137】
そして、前記第4膨張バルブ177は、前記コンデンサ53と前記フラッシュタンク171との間で前記冷媒ライン51に備えられる。
【0138】
ここで、前記第4膨張バルブ177は、車両の暖房モード、または暖房/除湿モードで前記コンデンサ53を通過した冷媒を膨張させて、前記フラッシュタンク171に供給することができる。
【0139】
本実施形態で、前記第1、第2、および第3膨張バルブ55、63、65と、前記第4膨張バルブ(75または177)は、前記冷媒ライン51、または前記冷媒連結ライン61、または前記バイパスライン73を通過する冷媒の流動流れを制御しながら、冷媒を選択的に膨張させる電子式膨張バルブであり得る。
【0140】
また、前記第1、および第2バルブV1、V2は、流量分配が可能な3-Wayバルブであり、前記第3バルブV3は、4-Wayバルブであり得る。
【0141】
以下、上記のように構成される本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムの作動および作用について、図3図8を参照して詳しく説明する。
【0142】
まず、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムにおいて、冷却水を利用した前記電装品15、および前記バッテリーモジュール24の冷却時の作動について、図3を参照して説明する。
【0143】
図3は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで冷却水を利用した電装品とバッテリーモジュールの冷却時の作動状態図である。
【0144】
図3を参照すると、前記分岐ライン31と前記連結ライン35は前記第1、および第2バルブV1、V2の作動により閉鎖される。
【0145】
また、前記バッテリー冷却水ライン21は、前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16と連結される。
【0146】
このような状態で、前記冷却装置10では前記電装品15の冷却のために前記第1ウォータポンプ14が作動する。これにより、前記電装品15には前記ラジエータ12で冷却され、前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水が供給される。
【0147】
前記バッテリー冷却装置20では前記バッテリーモジュール24の冷却のために前記第2ウォータポンプ22が作動する。
【0148】
そうすると、前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水は、前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリー冷却水ライン21に循環しながら、前記バッテリーモジュール24に供給される。
【0149】
つまり、前記ラジエータ12で冷却され、前記リザーバタンク16に貯蔵された冷却水は、前記第1、および第2ウォータポンプ14、22の作動により前記冷却水ライン11と前記バッテリー冷却水ライン21をそれぞれ循環しながら、前記電装品15と前記バッテリーモジュール24をそれぞれ冷却することによって、前記電装品15、および前記バッテリーモジュール24を効率的に冷却することができる。
【0150】
前記エアコン装置50および前記ガスインジェクション部70は、車両の冷房モードが作動しないため、作動しない。
【0151】
一方、本実施形態では、冷却水で前記電装品15と前記バッテリーモジュール24を全て冷却する場合を説明しているが、これに限定されず、前記電装品15と前記バッテリーモジュール24のうちのいずれか1つを別途に冷却する場合、前記第1、および第2ウォータポンプ14、22を選択的に作動させることができる。
【0152】
車両の冷房モードで前記バッテリーモジュール24を冷却する場合に対する作動を、図4を参照して説明する。
【0153】
図4は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の冷房モード時に冷媒を利用してバッテリーモジュールを冷却するときの作動状態図である。
【0154】
図4を参照すると、前記冷却装置10では前記第1ウォータポンプ14の作動により前記冷却水ライン11に冷却水が循環する。これにより、前記電装品15には前記ラジエータ12で冷却された冷却水が循環する。
【0155】
ここで、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0156】
前記暖房装置40では前記第3バルブV3の作動により前記冷却水ライン11と前記暖房ライン41が連結され、前記冷却装置10から供給された冷却水が循環する。
【0157】
これにより、前記ラジエータ12で冷却された冷却水は、前記第1、および第3ウォータポンプ14、42の作動により前記コンデンサ53に供給される。
【0158】
前記バッテリー冷却装置20では前記第2バルブV2の作動により前記分岐ライン31が開放される。そして、前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリー冷却水ライン21は閉鎖される。
【0159】
このような状態で、前記チラー30を通過した冷却水は、前記第2ウォータポンプ22の作動により前記リザーバタンク16の通過なしに前記分岐ライン31、および前記分岐ライン31と連結された前記バッテリー冷却水ライン21に沿って循環しながら、前記バッテリーモジュール24に供給される。
【0160】
つまり、前記バッテリー冷却装置20では前記第2バルブV2の作動により前記リザーバタンク16との連結が閉鎖された状態で、開放された前記分岐ライン31が前記バッテリー冷却水ライン21と連結されて独立して冷却水が循環する密閉回路を形成することができる。
【0161】
前記エアコン装置50では車室内を冷房するために各構成要素が作動する。これにより、冷媒は前記冷媒ライン51に沿って循環する。
【0162】
ここで、前記熱交換器54と前記蒸発器56を連結する前記冷媒ライン51は、前記第1膨張バルブ55の作動により開放される。前記冷媒連結ライン61は、前記第2膨張バルブ63の作動により開放される。
【0163】
そうすると、前記熱交換器54を通過した冷媒は、前記冷媒ライン51と前記冷媒連結ライン61に沿って循環できる。
【0164】
ここで、前記第1、および第2膨張バルブ55、63は、膨張した冷媒が前記蒸発器56と前記チラー30にそれぞれ供給されるように冷媒を膨張させることができる。そして、前記第3膨張バルブ65は、前記コンデンサ53から供給された冷媒を膨張させず、前記熱交換器54に流入させることができる。
【0165】
一方、前記暖房装置40は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記冷却装置10から供給された冷却水を前記コンデンサ53に供給する。
【0166】
これにより、前記コンデンサ53は、前記暖房ライン41に沿って流動する冷却水を利用して前記冷媒を凝縮させる。そして、前記熱交換器54は、前記第3膨張バルブ65の作動により前記コンデンサ53から流入した冷媒を、外気との熱交換によりさらに凝縮させることができる。
【0167】
一方、前記チラー30を通過した冷却水は、前記第2ウォータポンプ22の作動により前記バッテリーモジュール24を冷却するように、前記リザーバタンク16の通過なしに、前記バッテリー冷却水ライン21、および前記分岐ライン31を循環する。
【0168】
前記チラー30を通過した冷却水は、前記チラー30に供給される膨張した冷媒との熱交換により、冷却される。前記チラー30で冷却された冷却水は、前記バッテリーモジュール24に供給される。これにより、前記バッテリーモジュール24は冷却された冷却水によって冷却される。
【0169】
つまり、前記第2膨張バルブ63は、膨張した冷媒を前記チラー30に供給するように、前記熱交換器54を通過した冷媒中の一部の冷媒を膨張させ、前記冷媒連結ライン61を開放する。
【0170】
したがって、前記熱交換器54から排出された一部の冷媒は、前記第2膨張バルブ63の作動により膨張して低温低圧の状態となり、前記冷媒連結ライン61と連結される前記チラー30に流入する。
【0171】
その後、前記チラー30に流入した冷媒は冷却水と熱交換され、前記冷媒連結ライン61を通じて前記アキュムレータ57を通過した後、前記圧縮機59に流入する。
【0172】
前記バッテリーモジュール24を冷却しながら温度が上昇した冷却水は、低温低圧の冷媒との前記チラー30の内部での熱交換により冷却される。冷却された冷却水は、前記バッテリー冷却水ライン21と前記分岐ライン31を通じて再びバッテリーモジュール24に供給される。
【0173】
つまり、冷却水は前記過程を繰り返し行いながら、前記バッテリーモジュール24を効率的に冷却することができる。
【0174】
一方、前記熱交換器54から排出された残りの冷媒は、車両の室内を冷房するように前記冷媒ライン51を通じて流動され、前記第1膨張バルブ55、前記蒸発器56、前記圧縮機59、および前記コンデンサ53を順次に通過する。
【0175】
ここで、前記HVACモジュール52に流入した外気は、前記蒸発器56に流入した低温状態の冷媒によって前記蒸発器56を通過しながら冷却される。
【0176】
この際、前記開閉ドア52bは、冷却された外気が前記ヒーター52aを通過しないように、前記ヒーター52aを通過する部分は閉鎖する。したがって、冷却された外気は、車両の内部に直接流入することによって、車室内を冷房することができる。
【0177】
一方、前記蒸発器56には、前記コンデンサ53と前記熱交換器54を順次に通過しながら凝縮量が増加した冷媒が膨張して供給されることによって、冷媒をより低い温度で蒸発させることができる。
【0178】
つまり、本実施形態では前記コンデンサ53が冷媒を凝縮し、前記熱交換器54がさらに冷媒を凝縮させることによって、冷媒のサブクール形成が有利になる。
【0179】
そして、サブクールが形成された冷媒が、前記蒸発器56でより低い温度で蒸発することによって、前記蒸発器56を通過する外気の温度をさらに下げることができて、冷房性能および効率を向上させることができる。
【0180】
一方、前記ガスインジェクション部70は作動が中断される。
【0181】
前記過程を繰り返し行いながら、冷媒は車両の冷房モードで室内を冷房すると同時に、前記チラー30を通過しながら熱交換により冷却水を冷却することができる。
【0182】
前記チラー30で冷却された低温の冷却水は、前記バッテリーモジュール24に流入する。これにより、前記バッテリーモジュール24は、供給された低温の冷却水によって効率的に冷却されることができる。
【0183】
本実施形態で、車両の暖房モードで、外気熱源と、前記電装品15および前記バッテリーモジュール24の廃熱を回収する場合に対する作動を、図5を参照して説明する。
【0184】
図5は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房モードによる、外気熱源と、電装品およびバッテリーモジュールの廃熱回収に対する作動状態図である。
【0185】
図5を参照すると、前記ヒートポンプシステムは、前記電装品15の廃熱が不足した車両の初期始動空回転(IDLE)状態または初期走行時に、前記電装品15、および前記バッテリーモジュール24の廃熱と共に外気から外気熱源を吸収することができる。
【0186】
まず、前記冷却装置10で前記第1ウォータポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。
【0187】
ここで、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により開放される。これと同時に、前記連結ライン35を基準にして前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と、前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16を連結する前記冷却水ライン11は、前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0188】
このような状態で、前記電装品15を通過した冷却水は、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記ラジエータ12を通過せず、開放された前記連結ライン35に沿って前記チラー30に供給される。
【0189】
一方、前記バッテリー冷却装置20では前記第2バルブV2の作動により前記分岐ライン31と前記バッテリー冷却水ライン21がそれぞれ開放される。前記バッテリーモジュール24を通過した冷却水は、前記第2ウォータポンプ22の作動により前記分岐ライン31に沿って前記チラー30に供給される。
【0190】
つまり、前記冷却装置10では開放された前記連結ライン35を通じて前記冷却水ライン11が前記分岐ライン31と連結される。そして、前記バッテリー冷却装置20では、前記分岐ライン31を基準にして、前記バッテリーモジュール24と連結された前記バッテリー冷却水ライン21と、前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリー冷却水ライン21が、前記分岐ライン31とそれぞれ連結される。
【0191】
そうすると、前記電装品15を通過した冷却水は、前記ラジエータ12を通過せず、前記冷却水ライン11、前記連結ライン35、および前記分岐ライン31に沿って循環し続け、前記電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0192】
また、前記バッテリーモジュール24を通過した冷却水は、前記バッテリー冷却水ライン21と前記分岐ライン31に沿って循環し続けながら、前記バッテリーモジュール24から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0193】
温度が上昇した冷却水は、前記分岐ライン31に備えられた前記チラー30に供給される。つまり、前記電装品15と前記バッテリーモジュール24から発生した廃熱は、前記冷却水ライン11と前記バッテリー冷却水ライン21をそれぞれ循環する冷却水の温度を上昇させる。
【0194】
前記暖房装置40では、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記暖房ライン41に沿って冷却水が循環する。
【0195】
ここで、前記冷却水ライン11と前記暖房ライン41は前記第3バルブV3の作動により、それぞれ独立した密閉回路を形成することができる。
【0196】
これにより、前記暖房ライン41を循環する冷却水は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記ヒーター52aを通過した後、前記コンデンサ53に供給される。
【0197】
ここで、前記冷却水加熱器43は、前記暖房ライン41に沿って循環する冷却水の温度が目標温度より低い場合に作動して、前記暖房ライン41で循環する冷却水を加熱することができる。
【0198】
一方、前記冷却水加熱器43の代わりに前記空気加熱器45が適用される場合、前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して、車両の室内に流入する外気を加熱することができる。
【0199】
前記エアコン装置50では車室内を暖房するため、各構成要素が作動する。これにより、冷媒は前記冷媒ライン51に沿って循環する。また、前記ガスインジェクション部70が作動する。
【0200】
ここで、前記コンデンサ53と前記蒸発器56を連結する前記冷媒ライン51は、前記第1膨張バルブ55の作動により閉鎖される。
【0201】
前記冷媒連結ライン61は、前記第2膨張バルブ63の作動により開放される。
【0202】
前記第2膨張バルブ63は、前記熱交換器54から前記冷媒連結ライン61に供給される冷媒を膨張させて、前記チラー30に供給することができる。
【0203】
また、前記第3膨張バルブ65は、前記コンデンサ53から供給された冷媒を膨張させて、前記熱交換器54に供給することができる。
【0204】
これにより、前記熱交換器54は、膨張した冷媒を外気との熱交換により蒸発させながら外気熱源を回収する。
【0205】
そして、前記電装品15と前記バッテリーモジュール24の廃熱を吸収して温度が上昇した冷却水は、前記第1、および第2ウォータポンプ14の作動により前記チラー30を通過しながら、前記チラー30に供給された冷媒の温度を上昇させながら回収される。
【0206】
つまり、前記チラー30は、前記熱交換器54から供給されて前記第2膨張バルブ63の作動により膨張した冷媒であって、前記冷媒連結ライン61を通じて供給された冷媒を、前記電装品15と前記バッテリーモジュール24をそれぞれ通過しながら温度が上昇した冷却水との熱交換により蒸発させることによって、前記電装品15、および前記バッテリーモジュール24の廃熱を回収することができる。
【0207】
その後、前記チラー30を通過した冷媒は、前記冷媒連結ライン61に沿って前記アキュムレータ57に供給される。
【0208】
前記アキュムレータ57に供給された冷媒は、気体と液体に分離される。気体と液体に分離された冷媒中、気体冷媒は前記圧縮機59に供給される。
【0209】
前記圧縮機59から高温高圧の状態で圧縮された冷媒は、前記コンデンサ53に流入する。
【0210】
ここで、前記コンデンサ53に供給された冷媒は、前記暖房ライン41を循環する冷却水と熱交換しながら冷却水の温度を上昇させることができる。温度が上昇した冷却水は、前記ヒーター52aに供給される。
【0211】
前記開閉ドア52bは、前記HVACモジュール52に流入して前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒーター52aを通過するように開放される。
【0212】
これにより、外部から流入した外気は、冷媒が供給されない前記蒸発器56を通過する際、冷却されない室温状態で流入する。流入した外気が、前記ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内の暖房が具現され得る。
【0213】
一方、前記ガスインジェクション部70が作動すると、前記コンデンサ53を通過した冷媒中の一部の冷媒は、前記バイパスライン73に流入する。
【0214】
前記バイパスライン73に流入した冷媒は、前記第4膨張バルブ75の作動により膨張した状態で前記板状熱交換器71に流入する。
【0215】
そうすると、前記バイパスライン73を通じて流入した膨張した冷媒は、前記コンデンサ53から前記冷媒ライン51を通じて前記板状熱交換器71に流入した残りの冷媒と熱交換されながら気体状態となる。
【0216】
気体状態の冷媒は、開放された前記バイパスライン73を通じて前記圧縮機59に供給される。
【0217】
つまり、前記ガスインジェクション部70は、前記板状熱交換器71をそれぞれ通過しながら熱交換された気体状態の冷媒を、前記バイパスライン73を通じて前記圧縮機59に再び流入させることによって、前記冷媒ライン51を循環する冷媒の流量を増大させることができる。
【0218】
そして、前記板状熱交換器71から前記冷媒ライン51を通じて排出された冷媒は、前記第3膨張バルブ65の作動により開放された前記冷媒ライン51に沿って、前記熱交換器54に流入する。
【0219】
つまり、前記ガスインジェクション部70で、前記板状熱交換器71は、前記バイパスライン73を通じて流入した冷媒と前記冷媒ライン51を通じて流入した冷媒とを相互熱交換させ、気体状態の冷媒を、前記バイパスライン73を通じて前記圧縮機59にバイパスさせることができる。
【0220】
その後、冷媒が、前記熱交換器54で外気との熱交換によりさらに凝縮されることによって、冷媒の凝縮量を増大させることができる。
【0221】
そして、凝縮量が増大した冷媒は、前記チラー30で前記電装品15と前記バッテリーモジュール24を通過しながら温度が上昇した冷却水から円滑に廃熱を回収することができて、暖房性能および効率を向上させることができる。
【0222】
つまり、本実施形態に係るヒートポンプシステムは、車両の初期始動空回転(IDLE)状態または初期走行状態で暖房が要求される場合に、前記熱交換器54で外気熱源を吸収し、前記電装品15および前記バッテリーモジュール24の廃熱を利用して冷媒の温度を上昇させるのに利用することによって、前記圧縮機59の動力消耗を減らし、暖房効率を向上させることができる。
【0223】
また、本発明は、別途の電気ヒーターの使用量を最少化しながら、暖房効率および性能を向上させることができる。
【0224】
さらに、前記ガスインジェクション部70が前記冷媒ライン51を循環する冷媒の流量を増大させることによって、暖房性能を極大化させることができる。
【0225】
一方、本実施形態では前記電装品15と前記バッテリーモジュール24の廃熱を共に回収する場合を一実施形態にして説明しているが、これに限定されず、前記バッテリーモジュール24の廃熱は選択的に回収することができる。
【0226】
つまり、前記バッテリーモジュール24の廃熱を回収しない場合、前記バッテリー冷却装置20では前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリー冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリー冷却水ライン21が閉鎖され、前記第2ウォータポンプ22は作動が停止し得る。
【0227】
本実施形態で、車両の暖房/除湿モードによる前記電装品15の廃熱を回収する場合に対する作動を、図6を参照して説明する。
【0228】
図6は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで暖房/除湿モードに対する作動状態図である。
【0229】
図6を参照すると、前記ヒートポンプシステムは、車両の暖房/除湿モードで前記電装品15の廃熱を回収して室内暖房に利用することができる。
【0230】
ここで、車室内の温度が低温の場合、前記ヒートポンプシステムは、前記電装品15の廃熱と共に外気熱源を回収することができる。反面、車室内の温度が高温の場合には前記電装品15の廃熱のみを回収して車両の室内暖房に利用することができる。
【0231】
まず、前記冷却装置10で前記第1ウォータポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。
【0232】
ここで、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により開放される。これと同時に、前記連結ライン35を基準にして前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と、前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16を連結する前記冷却水ライン11は、前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0233】
このような状態で、前記電装品15を通過した冷却水は、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記ラジエータ12を通過せず、開放された前記連結ライン35に沿って前記チラー30に供給される。
【0234】
一方、前記バッテリー冷却装置20では前記第2バルブV2の作動により、前記分岐ライン31が開放され、前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリー冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリー冷却水ライン21が閉鎖される。
【0235】
つまり、前記第2ウォータポンプ22と前記バッテリーモジュール24を連結する前記バッテリー冷却水ライン21は閉鎖され、前記第2ウォータポンプ22の作動が中止される。
【0236】
このような状態で、前記電装品15を通過した冷却水は、前記ラジエータ12を通過せず、前記冷却水ライン11、前記連結ライン35、および前記分岐ライン31に沿って循環し続け、前記電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0237】
温度が上昇した冷却水は、前記分岐ライン31に備えられた前記チラー30に供給される。
【0238】
前記チラー30から排出された冷却水は、前記分岐ライン31と、開放された前記バッテリー冷却水ライン21とを通じて前記リザーバタンク16に流入する。その後、冷却水は、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記リザーバタンク16から再び前記冷却水ライン11に沿って前記電装品15を通過して前記連結ライン35に流入し得る。
【0239】
つまり、前記電装品15から発生した廃熱は、前記冷却水ライン11、前記連結ライン35、前記分岐ライン31、および開放された前記バッテリー冷却水ライン21を循環する冷却水の温度を上昇させる。
【0240】
前記暖房装置40では前記第3ウォータポンプ42の作動により前記暖房ライン41に沿って冷却水が循環する。
【0241】
ここで、前記冷却水ライン11と前記暖房ライン41は、前記第3バルブV3の作動により、それぞれ独立した密閉回路を形成することができる。
【0242】
これにより、前記暖房ライン41を循環する冷却水は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記ヒーター52aを通過した後、前記コンデンサ53に供給される。
【0243】
ここで、前記冷却水加熱器43は、前記暖房ライン41に沿って循環する冷却水の温度が目標温度より低い場合に作動して、前記暖房ライン41で循環する冷却水を加熱することができる。
【0244】
一方、前記冷却水加熱器43の代わりに前記空気加熱器45が適用される場合、前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して、車両の室内に流入する外気を加熱することができる。
【0245】
本実施形態で、前記エアコン装置50では車室内を暖房するために各構成要素が作動する。これにより、冷媒は前記冷媒ライン51に沿って循環する。また、前記ガスインジェクション部70が作動する。
【0246】
ここで、前記コンデンサ53と前記蒸発器56を連結する前記冷媒ライン51は、前記第1膨張バルブ55の作動により開放される。
【0247】
前記冷媒連結ライン61は、前記第2膨張バルブ63の作動により開放される。
【0248】
ここで、前記第1、および第2膨張バルブ55、63は、膨張した冷媒が前記蒸発器56と前記チラー30にそれぞれ供給されるように、前記熱交換器54から前記冷媒連結ライン61と前記冷媒ライン51に供給される冷媒を膨張させることができる。
【0249】
また、前記第3膨張バルブ65は、車室内の温度が低い場合、前記コンデンサ53から供給された冷媒を膨張させて、前記熱交換器54に流入させることができる。
【0250】
これにより、前記熱交換器54は、膨張した冷媒を外気との熱交換により蒸発させながら外気熱源を回収する。
【0251】
これとは反対に、前記第3膨張バルブ65は車室内の温度が高い場合、前記コンデンサ53から供給された冷媒を膨張させない状態で、前記熱交換器54に流入させることができる。
【0252】
これにより、前記熱交換器54は、冷媒を外気との熱交換により凝縮させることができる。
【0253】
そして、前記電装品15の廃熱を吸収して温度が上昇した冷却水は、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記チラー30を通過しながら、前記チラー30に供給された冷媒の温度を上昇させながら回収される。
【0254】
つまり、前記チラー30は、前記熱交換器54から供給されて前記第2膨張バルブ63の作動により膨張した冷媒であって、前記冷媒連結ライン61を通じて供給された冷媒を、前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水との熱交換により蒸発させることによって、前記電装品15の廃熱を回収することができる。
【0255】
その後、前記チラー30を通過した冷媒は、前記冷媒連結ライン61に沿って前記アキュムレータ57に供給される。
【0256】
前記アキュムレータ57に供給された冷媒は、気体と液体に分離される。気体と液体に分離された冷媒中、気体冷媒は前記圧縮機59に供給される。
【0257】
前記圧縮機59から高温高圧の状態で圧縮された冷媒は、前記コンデンサ53に流入する。
【0258】
ここで、前記コンデンサ53に供給された冷媒は、前記暖房ライン41を循環する冷却水と熱交換しながら冷却水の温度を上昇させることができる。温度が上昇した冷却水は、前記ヒーター52aに供給される。
【0259】
一方、前記第1膨張バルブ55の作動により前記蒸発器56に供給された膨張した冷媒は、前記蒸発器56を通過する外気と熱交換した後、前記冷媒ライン51に沿って前記アキュムレータ57を経て前記圧縮機59に供給される。
【0260】
つまり、前記蒸発器56を通過した冷媒は、前記冷媒連結ライン61を通じて前記アキュムレータ57に流入した冷媒と一緒に前記圧縮機59に供給される。
【0261】
そして、前記圧縮機59から高温高圧の状態で圧縮された冷媒は、前記コンデンサ53に流入する。
【0262】
ここで、前記開閉ドア52bは、前記HVACモジュール52に流入して、前記蒸発器56を通過した外気が前記ヒーター52aを通過するように開放される。
【0263】
つまり、前記HVACモジュール52に流入した外気は、前記蒸発器56に流入した低温状態の冷媒によって前記蒸発器56を通過しながら除湿される。その後、前記ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内を暖房および除湿することになる。
【0264】
一方、前記ガスインジェクション部70が作動すると、前記コンデンサ53を通過した冷媒中の一部の冷媒は、前記バイパスライン73に流入する。
【0265】
前記バイパスライン73に流入した冷媒は、前記第4膨張バルブ75の作動により膨張した状態で前記板状熱交換器71に流入する。
【0266】
そうすると、前記バイパスライン73を通じて流入した膨張した冷媒は、前記コンデンサ53から前記冷媒ライン51を通じて前記板状熱交換器71に流入した残りの冷媒と熱交換されながら気体状態となる。
【0267】
気体状態の冷媒は、開放された前記バイパスライン73を通じて前記圧縮機59に供給される。
【0268】
つまり、前記ガスインジェクション部70は、前記板状熱交換器71をそれぞれ通過しながら熱交換された気体状態の冷媒を、前記バイパスライン73を通じて前記圧縮機59に再び流入させることによって、前記冷媒ライン51を循環する冷媒の流量を増大させることができる。
【0269】
そして、前記板状熱交換器71から前記冷媒ライン51を通じて排出された冷媒は、前記第3膨張バルブ65の作動により開放された前記冷媒ライン51に沿って、前記熱交換器54に流入する。
【0270】
つまり、前記ガスインジェクション部70で、前記板状熱交換器71は、前記バイパスライン73を通じて流入した冷媒と前記冷媒ライン51を通じて流入した冷媒とを相互熱交換させ、気体状態の冷媒を、前記バイパスライン73を通じて前記圧縮機59にバイパスさせることができる。
【0271】
その後、冷媒が、前記熱交換器54で外気との熱交換によりさらに凝縮されることによって、冷媒の凝縮量を増大させることができる。
【0272】
そして、凝縮量が増大した冷媒は、前記チラー30で前記電装品15と前記バッテリーモジュール24を通過しながら温度が上昇した冷却水から円滑に廃熱を回収することができて、暖房性能および効率を向上させることができる。
【0273】
つまり、本実施形態に係るヒートポンプシステムは、車両の暖房/除湿モードで前記電装品15から発生する廃熱と共に、車両の室内温度により外気熱源を選択的に吸収して冷媒の温度を上昇させるのに利用することによって、前記圧縮機59の動力消耗を減らし、暖房効率を向上させることができる。
【0274】
さらに、前記ガスインジェクション部70が前記冷媒ライン51を循環する冷媒の流量を増大させることによって、暖房性能を極大化させることができる。
【0275】
本実施形態で、車両の暖房モードで前記エアコン装置50の作動なしに前記電装品15の廃熱を利用する場合に対する作動を、図7を参照して説明する。
【0276】
図7は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムで車両の暖房モード時に電装品の廃熱回収および冷却に対する作動状態図である。
【0277】
図7を参照すると、前記ヒートポンプシステムは、前記電装品15の廃熱を利用して車室内の暖房に使用することができる。
【0278】
まず、前記冷却装置10で前記第1ウォータポンプ14は、冷却水の循環のために作動する。この際、前記エアコン装置50および前記ガスインジェクション部70は作動が中断される。
【0279】
ここで、前記連結ライン35は、前記第1バルブV1の作動により開放される。
【0280】
これにより、前記冷却装置10では、前記連結ライン35を基準にして前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と、前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16を連結する前記冷却水ライン11が、前記第1バルブV1の作動により閉鎖される。
【0281】
前記分岐ライン31は前記第2バルブV2の作動により開放され、前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリー冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリー冷却水ライン21が閉鎖される。
【0282】
つまり、前記第2ウォータポンプ22と前記バッテリーモジュール24を連結する前記バッテリー冷却水ライン21は閉鎖され、前記第2ウォータポンプ22の作動が中止される。
【0283】
このような状態で、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータ12の通過なしに前記第3バルブV3を通じて連結された前記暖房ライン41に沿って前記ヒーター52aに供給される。
【0284】
ここで、前記暖房ライン41に流入した冷却水は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記ヒーター52aを通過する。この際、前記冷却水加熱器43は、前記暖房ライン41に沿って循環する冷却水の温度が目標温度より低い場合に作動して、前記暖房ライン41で循環する冷却水を加熱することができる。
【0285】
一方、前記冷却水加熱器43の代わりに前記空気加熱器45が適用される場合、前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気の温度により選択的に作動し得る。
【0286】
つまり、前記空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過した外気の温度が目標温度より低い場合に作動して、車両の室内に流入する外気を加熱することができる。
【0287】
このような空気加熱器45は、前記ヒーター52aを通過しながら高温の冷却水と熱交換が完了した外気の温度が、設定温度、または暖房の目標温度より低い場合に作動する。
【0288】
つまり、前記空気加熱器45が作動すると、外気は前記空気加熱器45を通過しながら加熱されて温度が上昇した状態で車室内に流入することができる。
【0289】
本実施形態で、前記ヒーター52aから排出された冷却水は、前記暖房ライン41と前記第3バルブV3を経て前記冷却水ライン11に流入した後、前記連結ライン35と前記分岐ライン31に沿って前記チラー30に供給される。
【0290】
ここで、前記チラー30に供給された冷却水は、前記チラー30に冷媒が流入しないため、冷媒と熱交換なしに前記チラー30を通過することができる。
【0291】
前記チラー30から排出された冷却水は、前記分岐ライン31と開放された前記バッテリー冷却水ライン21を順次に経て、再び前記リザーバタンク16に流入する。
【0292】
つまり、前記電装品15を通過した冷却水は、前記ラジエータ12を通過せず、前記冷却水ライン11、前記暖房ライン41、連結ライン35、前記分岐ライン31、および一部の前記バッテリー冷却水ライン21に沿って循環し続け、前記電装品15から廃熱を吸収して温度が上昇する。
【0293】
温度が上昇した冷却水は、前記第3バルブV3の作動により前記冷却水ライン11と連結された前記暖房ライン41に流入する。その後、前記暖房ライン41に流入した高温の冷却水は前記ヒーター52aに供給される。
【0294】
ここで、前記開閉ドア52bは、前記HVACモジュール52に流入した外気が、前記ヒーター52aを通過するように開放される。
【0295】
これにより、外部から流入した外気は、冷媒が供給されない前記蒸発器56を通過する際、冷却されない室温状態で流入する。流入した外気は、前記ヒーター52aを通過しながら高温状態に変換されて車室内に流入することによって、車室内の暖房が具現され得る。
【0296】
つまり、本発明は前記過程を繰り返し行いながら、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に利用することによって、使用電力を減らし、全体的な暖房効率を向上させることができる。
【0297】
一方、前記電装品15の廃熱を冷却水を利用して回収して車室内を暖房する過程で、前記電装品15が過熱されると、前記第1バルブV1の作動により前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11と前記ラジエータ12と前記リザーバタンク16を連結する前記冷却水ライン11が開放される。
【0298】
これにより、前記ヒーター52aに供給されない残りの冷却水は、前記ラジエータ12を通過しながら冷却される。
【0299】
冷却が完了した冷却水は、前記連結ライン35、前記分岐ライン31、および一部の前記バッテリー冷却水ライン21を通じて前記リザーバタンク16に流入した冷却水と一緒に、前記電装品15を通過しながら廃熱を回収すると同時に、前記電装品15を効率的に冷却することができる。
【0300】
つまり、前記第1バルブV1は前記電装品15が過熱される場合、前記ラジエータ12と連結される前記冷却水ライン11を開放して前記電装品15を通過した冷却水中の一部の冷却水を前記連結ライン35に流入させ、残りの冷却水を前記ラジエータ12に流入させることができる。
【0301】
これにより、前記ラジエータ12で冷却された一部の冷却水が前記電装品15に供給されることによって、前記電装品15が過熱されることを防止することができる。
【0302】
したがって、本発明は、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に利用することによって、使用電力を減らし、全体的な暖房効率を向上させることができる。
【0303】
これと同時に、本発明は、流量分配が可能な前記第1バルブV1の作動制御により一部の冷却水を前記ラジエータ12に流入させて冷却した後、前記電装品15に供給することによって、前記電装品15の効率的な冷却が可能になると同時に、前記電装品15の冷却性能を確保することができる。
【0304】
そして、前記バッテリーモジュール24を昇温させる場合に対する作動を、図8を参照して説明する。
【0305】
図8は、本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムでバッテリーモジュールの昇温に対する作動状態図である。
【0306】
図8を参照すると、前記ヒートポンプシステムは、前記電装品15の廃熱を回収して前記バッテリーモジュール24を昇温させることができる。
【0307】
まず、前記冷却装置10では、前記第1バルブV1の作動により前記ラジエータ12と連結された前記冷却水ライン11が閉鎖された状態で、前記連結ライン35が開放される。ここで、前記エアコン装置50および前記ガスインジェクション部70は作動が中断される。
【0308】
前記分岐ライン31は、前記第2バルブV2の作動により開放される。そして、前記分岐ライン31を基準にして前記リザーバタンク16と連結された前記バッテリー冷却水ライン21を除いた残りの前記バッテリー冷却水ライン21が開放される。
【0309】
結果的に、前記リザーバタンク16と連結される前記バッテリー冷却水ライン21は閉鎖され、前記バッテリーモジュール24と連結された残りの前記バッテリー冷却水ライン21は開放される。
【0310】
つまり、前記バッテリー冷却装置20で、前記第2ウォータポンプ22と前記バッテリーモジュール24を連結する前記バッテリー冷却水ライン21は、前記分岐ライン31と連結されるように開放される。
【0311】
これにより、前記バッテリー冷却装置20では、前記第2ウォータポンプ22の作動により開放された前記バッテリー冷却水ライン21と前記分岐ライン31に沿って冷却水が循環する。
【0312】
前記バッテリーモジュール24を通過した冷却水中の一部の冷却水は、前記第2バルブV2を通じて連結された前記リザーバタンク16に流入し、残りの冷却水は前記分岐ライン31に流入し得る。
【0313】
一方、前記暖房装置40では、前記第3バルブV3の作動により前記冷却水ライン11と前記暖房ライン41が連結される。
【0314】
このような状態で、前記第1ウォータポンプ14の作動により前記電装品15を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記ラジエータ12を通過せず、前記第3バルブV3を通じて連結された前記暖房ライン41に流入する。
【0315】
つまり、前記冷却装置10で前記電装品15の廃熱によって温度が上昇した冷却水は、前記第3ウォータポンプ42の作動により前記暖房ライン41を循環することができる。
【0316】
ここで、前記冷却水加熱器43は、前記暖房ライン41を循環する冷却水の温度が設定温度より低い場合、冷却水を加熱するように作動し得る。そうすると、前記暖房ライン41で循環する冷却水は、前記冷却水加熱器43を通過しながら温度が上昇する。
【0317】
前記冷却水加熱器43を通過しながら温度が上昇した冷却水は、前記暖房ライン41から前記第3バルブV3を通じて前記冷却水ライン11に流入する。その後、高温の冷却水は、前記冷却水ライン11から前記連結ライン35を通じて前記分岐ライン31に流入する。
【0318】
前記分岐ライン31に流入した高温の冷却水は、前記バッテリー冷却水ライン21と前記分岐ライン31を通じて連結された前記バッテリーモジュール24に供給される。
【0319】
これにより、高温の冷却水は、前記バッテリーモジュール24の温度を上昇させることができる。
【0320】
つまり、本発明は、前記過程を繰り返し行いながら、前記バッテリーモジュール24の温度を迅速に上昇させることができ、前記バッテリーモジュール24の効率的な温度管理が可能になる。
【0321】
したがって、上述のように本発明の実施形態に係る車両用ヒートポンプシステムによると、冷却水と冷媒が熱交換される1つの前記チラー30を利用して車両のモードに応じて前記バッテリーモジュール24の温度を調節し、冷却水を利用して車室内の暖房を実現することによって、全体システムの簡素化および単純化を図ることができる。
【0322】
また、本発明は、前記電装品15から発生した廃熱を回収して室内暖房に使うことによって、暖房効率を向上させることができる。
【0323】
また、本発明は、前記バッテリーモジュール24の温度を効率的に調節することによって、前記バッテリーモジュール24の最適な性能を発揮することができ、効率的な前記バッテリーモジュール24の管理によって車両の全体的な走行距離を増加させることができる。
【0324】
また、本発明は、前記暖房回路40に適用される前記冷却水加熱器43を利用して前記バッテリーモジュール24をウォームアップするか、または室内暖房に補助として使用することができ、コストおよび重量を節減することができる。
【0325】
また、本発明は、車両の暖房モードで外気熱源と、前記電装品15およびバッテリーモジュール24の廃熱を選択的に利用することによって、暖房効率を向上させることができる。
【0326】
また、本発明は、前記コンデンサ53と前記熱交換器54を利用して冷媒の凝縮または蒸発性能を増大させることによって、冷房性能を向上させ、圧縮機の消耗動力を減らすことができる。
【0327】
また、本発明は、ガスインジェクション部70を適用して暖房モード、または暖房/除湿モードで冷媒の流量を増大させることによって、暖房性能を極大化させることができる。
【0328】
さらに、本発明は、全体システムの簡素化により製造コストの節減および重量縮小が可能で、空間活用性を向上させることができる。
【0329】
以上、本発明はたとえ限定された実施形態と図面によって説明されたが、本発明はこれによって限定されず、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者によって、本発明の技術思想と下記の特許請求の範囲の均等範囲内で多様な修正および変形が可能であることはもちろんである。
【符号の説明】
【0330】
10:冷却装置
11:冷却水ライン
12:ラジエータ
13:クーリングファン
14、22:第1、および第2ウォータポンプ
15:電装品
16:リザーバタンク
20:バッテリー冷却装置
21:バッテリー冷却水ライン
24:バッテリーモジュール
31:分岐ライン
35:連結ライン
40:暖房装置
41:暖房ライン
43:冷却水加熱器
45:空気加熱器
50:エアコン装置
51:冷媒ライン
52:HVACモジュール
53:コンデンサ
54:熱交換器
55:第1膨張バルブ
56:蒸発器
59:圧縮機
61:冷媒連結ライン
63、65:第2、および第3膨張バルブ
70、170:ガスインジェクション部
71:板状熱交換器
73、173:バイパスライン
75、177:第4膨張バルブ
175:バイパスバルブ
V1、V2、V3:第1、第2、および第3バルブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8