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  • 特許-反応性スパッタ装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】反応性スパッタ装置
(51)【国際特許分類】
   C23C 14/50 20060101AFI20240716BHJP
   C23C 14/34 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
C23C14/50 E
C23C14/34 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020017843
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021123749
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-01-17
【審判番号】
【審判請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500036831
【氏名又は名称】アリオス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】有屋田 修
(72)【発明者】
【氏名】大泉 武司
(72)【発明者】
【氏名】藤井 貴大
【合議体】
【審判長】粟野 正明
【審判官】土屋 知久
【審判官】池渕 立
(56)【参考文献】
【文献】特開平5-148650(JP,A)
【文献】特開平3-140628(JP,A)
【文献】実開平2-99961(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C14/34
C23C14/50
H01L21/31
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に薄膜を成膜する反応性スパッタ装置であって、
スパッタ室と、
前記スパッタ室に隔壁を介して隣接したヒータ室と、
前記隔壁以外の部分で、前記スパッタ室及び前記ヒータ室にそれぞれ開口し、前記スパッタ室と前記ヒータ室とを連通する連通管と、
を備え、
前記スパッタ室は、
ターゲットが取り付けられるスパッタカソードと、
当該スパッタ室に活性ガスを導入する第1導入ポートと、
真空排気ポンプに接続された排気ポートと、
を備え、
前記ヒータ室は、
前記スパッタ室内に配置された前記基板を、前記隔壁を介して加熱するヒータと、
当該ヒータ室に不活性ガスを導入する第2導入ポートと、
を備え、
前記真空排気ポンプによって、前記排気ポートから前記スパッタ室を排気すると、前記連通管から前記ヒータ室も同時に排気される
ことを特徴とする、反応性スパッタ装置。
【請求項2】
前記連通管は、前記スパッタ室と前記ヒータ室とを常時連通している
ことを特徴とする、請求項1記載の反応性スパッタ装置。
【請求項3】
前記連通管は、前記スパッタ室に不活性ガスが導入された状態で、前記スパッタ室の圧力がヒータ室の圧力の1/10以下となるコンダクタンスを有する
ことを特徴とする、請求項1又は2記載の反応性スパッタ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反応性スパッタ装置に係り、より詳細には、基板加熱用ヒータをスパッタ室から隔離するヒータ室を設けた反応性スパッタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
スパッタ装置においては、通常、スパッタ室(チャンバ)内にアルゴンガスなどの不活性ガスを導入し、マグネトロン放電によるプラズマを用いてターゲット材料をスパッタし、放出されたターゲット物質を基板に蒸着させて薄膜を形成する。特に、反応性スパッタ装置においては、不活性ガスに加えて、酸素などの活性ガスをスパッタ室に導入し、ターゲット物質と活性ガスとが反応して生成した化合物を基板に蒸着させて薄膜を形成する。
【0003】
スパッタリング時の基板の加熱温度は、薄膜形成を制御するうえで重要な要素であるため、スパッタ装置は、通常、基板加熱ヒータを備えている。基板の加熱温度が500℃程度以下の場合には、基板加熱ヒータとして、ニクロム線などのヒータ線がスパッタ室外の大気側に配置された熱板ヒータが多く使用されている。
【0004】
ところで、反応性スパッタリングでは、800℃~1000℃の高い基板温度を必要とすることがある。一方、ヒータ線が大気側に配置された熱板ヒータでは、かかる高い基板温度まで基板を加熱することが困難である。このため、かかる高い基板温度を必要とする場合には、ヒータをスパッタ室内に配置することが多い。
【0005】
ところが、反応性スパッタ装置のスパッタ室内にヒータを配置すると、活性ガスによってヒータが酸化等のダメージを受けやすい。このため、反応性スパッタ装置において安定的に長時間の成膜プロセスを行うためには、ヒータを活性ガスから保護する必要があった。
【0006】
スパッタ室内のヒータを活性ガスから保護するために、ヒータをスパッタ室内の活性ガス雰囲気に曝すことなく、基板を加熱できるスパッタ装置として、特許文献1には、スパッタ室から気密に仕切られたヒータ室を設け、ヒータ室内に基板加熱用のヒータを配置したスパッタ装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】実開平2-99961号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載の装置のように、ヒータ室をスパッタ室(反応室)と別個に設けた場合、高温となるヒータが配置されたヒータ室もスパッタ室とは別の真空排気系によって排気したり、ヒータ室内の空気を不活性ガスで置換したりする必要がある。
【0009】
特に、ヒータ室をスパッタ室とは別の真空排気系によって排気する場合には、ヒータ室用の真空排気系が必要となるため、装置のコストが高くなる。そのうえ、スパッタ室とヒータ室との差圧が大きくなると、隔壁として両室を隔てている石英等の部材が破損する危険性がある。このため、ヒータ室及びスパッタ室を大気圧から排気する初期段階から差圧が発生しないよう差動排気を制御する必要があった。
【0010】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、基板加熱用のヒータを活性ガスから保護しつつ、排気制御が容易な反応性スパッタ装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するため、本発明の反応性スパッタ装置は、基板に成膜する反応性スパッタ装置であって、スパッタ室と、前記スパッタ室に隔壁を介して隣接したヒータ室と、前記隔壁以外の部分で、前記スパッタ室及び前記ヒータ室にそれぞれ開口し、前記スパッタ室と前記ヒータ室とを連通する連通管と、を備え、前記スパッタ室は、ターゲットが取り付けられるスパッタカソードと、当該スパッタ室に活性ガスを導入する第1導入ポートと、真空ポンプに連通した排気ポートと、を備え、前記ヒータ室は、前記スパッタ室内に配置された前記基板を、前記隔壁を介して加熱するヒータと、当該ヒータ室に不活性ガスを導入する第2導入ポートと、を備え、前記真空排気ポンプによって、前記排気ポートから前記スパッタ室を排気すると、前記連通管から前記ヒータ室も同時に排気されることを特徴としている。
【0012】
本発明の反応性スパッタ装置は、スパッタ室に隔壁を介して隣接したヒータ室内に基板加熱用のヒータが配置されている。これにより、ヒータがスパッタ室内の活性ガスから隔壁によって隔離されて保護される。
【0013】
さらに、本発明の反応性スパッタ装置は、スパッタ室とヒータ室とを連通する連通管を備えている。
これにより、ヒータ室の排気が連通管を通じて行われる。すなわち、排気ポートからスパッタ室を排気すると、連通管からヒータ室も同時に排気される。このため、本発明の反応性スパッタ装置においては、ヒータ室の排気用に別個の排気系を設ける必要がなく、装置のコストダウンを図ることができる。そのうえ、連通管を通じて、ヒータ室とスパッタ室が同時に排気されるため、ヒータ室とスパッタ室との差圧が大きくなることがない。これにより、差圧により両室間の隔壁が破損する恐れがなくなるとともに、排気時に難しい制御が不要となる。
【0014】
また、スパッタ室への不活性ガスの導入も連通管を通じて行われる。スパッタプロセスを行う場合には、アルゴンガス等不活性ガスが、第2導入ポートから先ずヒータ室へ導入され、連通管を通じて、スパッタ室へ導入される。したがって、スパッタ室へ不活性ガスを導入する際に、ヒータ室内の空気も不活性ガスで置換される。
【0015】
一方、活性ガスは、第1導入ポートからスパッタ室へ導入される。スパッタ室に開口した排気ポートから真空排気されるため、ヒータ室の圧力はスパッタ室よりも高くなっている。このため、活性ガスは、スパッタ室から連通管を通じてヒータ室へは実質的に導入されない。その結果、スパッタ室に活性ガスが導入されても、ヒータ室内のヒータは、不活性ガス雰囲気下のままであり、活性ガスから保護される。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、基板加熱用のヒータを活性ガスから保護しつつ、排気制御が容易な反応性スパッタ装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の第1実施形態による反応性スパッタ装置の概略図である。
図2】本発明の第2実施形態による反応性スパッタ装置の概略図である。
図3】本実施形態の反応性スパッタ装置における成膜プロセスのためのガス導入手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態による反応性スパッタ装置を説明する。
[第1実施形態]
図1に、本発明の第1実施形態の反応性スパッタ装置の概略図を示す。同図に示すように、本実施形態の反応性スパッタ装置は、基板Bに成膜する反応性スパッタ装置であって、スパッタ室1と、スパッタ室1に隔壁3を介して隣接したヒータ室2と、スパッタ室1とヒータ室2とを連通する細長い連通部としての連通管4とを備えている。
【0019】
スパッタ室1は、ターゲット(図示せず)が取り付けられるスパッタカソード11と、スパッタ室1に活性ガスを導入する第1導入ポート12と、真空排気ポンプ7に接続され排気ポート13とを備えている。
第1導入ポート12からは、活性ガスとして、例えば、酸素ガス(O)が導入される。第1導入ポート12からスパッタ室1に活性ガスが導入されても、隔壁3によって隔てられたヒータ室2には活性ガスは導入されない。
【0020】
排気ポート13からスパッタ室1を排気すると、連通管4を通じてヒータ室も同時に排気される。このため、ヒータ室2の排気用に別個の排気系を設ける必要がなく、装置のコストダウンを図ることができる。そのうえ、連通管4を通じて、ヒータ室2とスパッタ室1が同時に排気されるため、ヒータ室2とスパッタ室1との差圧が大きくなることがない。これにより、差圧により両室間の隔壁が破損する恐れがなくなって安全性が向上するとともに、排気時の難しい制御が不要となる。これにより、研究用などの比較的安価な小型手動装置でも、高度な反応性スパッタを行うことができる。
【0021】
スパッタカソード11には、高周波電源(RF電源)5からマッチングボックス(M-BOX)6を介して直流電圧又は高周波電力が印加されるようになっている。電力印加によって、スパッタカソード11上に放電プラズマが形成される。
そして、隔壁3のスパッタ室1側の表面には、スパッタカソード11と対向するように基板Bが取り付けられる。基板は、隔壁3の表面に直接取り付けてもよいし、間接的に取り付けてもよい。
【0022】
ヒータ室2は、スパッタ室1内に配置された基板Bを、隔壁3を介して加熱するヒータ21を備えている。ヒータ室2内のヒータ21は、隔壁3によってスパッタ室1内の活性ガスから隔離されているため、活性ガスによる酸化等のダメージを受けず、活性ガスから保護されている。
ヒータ21としては、例えば、電流によって発熱するカーボンヒータを用いることができる。なお、図1では、ヒータ21に電流を供給する電源及び電源までの配線の図示を省略している。
【0023】
また、ヒータ室2は、ヒータ室2に不活性ガスを導入する第2導入ポート22を備えている。不活性ガスとしては、例えば、アルゴンガス(Ar)が挙げられる。第2導入ポート22からヒータ室2へ導入された不活性ガスは、連通管4を通ってスパッタ室1にも導入される。不活性ガスは、スパッタ室1内において、プラズマ放電を発生させるプロセスガスとして機能するとともに、ヒータ室2において、高温となるヒータ21を保護する置換ガスとしても機能する。
【0024】
ヒータ室2の材料は、ヒータ21によって高温となるため、ヒータ室2の材料からのアウトガスやメタルコンタミ(金属汚染)が、不活性ガスとともに連通管4を通ってスパッタ室1に導入されないように選定される。そのような材料として、例えば、石英、アルミナ、カーボン、SUS-304ステンレス、又は、高融点金属であるタンタルやモリブデンが挙げられる。本実施形態では、ヒータ室2は、隔壁3を含め石英で構成されている。
【0025】
図1に示すように、連通管4は、隔壁3以外の部分で、スパッタ室1及びヒータ室2にそれぞれ開口している。
連通管4は、成膜中にスパッタ室1とヒータ室2の差圧をつけるため、細長い配管で形成されている。ヒータ室2からスパッタ室1へ約10sccmの不活性ガスが連通管4を流れる場合において、真空引きされたスパッタ室1の圧力が1Pa程度であるとき、差圧をつけるためにヒータ室2の圧力は10Pa程度であることが望ましく、このときの連通管4のコンダクタンスが、スパッタ室に不活性ガスが導入された状態で、ヒータ室の圧力がスパッタ室の圧力に対して一桁以上高くなるように、すなわち、スパッタ室の圧力がヒータ室の圧力の1/10以下となるように、設定されることが好ましい。本実施形態では、例えば、0.002m/s(2L/s)程度となるように、連通管4の寸法形状を設計した。
本実施形態では、連通管4は、内径3/8インチ(約9.5mm)、長さ約300mmの寸法形状を有し、SUS304で形成されている。
なお、連通管4のコンダクタンスは、排気ポート13や第2導入ポート22を流れるガス流量により適宜計算された値にするのが好ましい。
【0026】
また、スパッタ室1内でプラズマ放電を発生させるためには、アルゴンガス等の不活性ガスが必要であり、スパッタを行う際には、プロセスガスとして不活性ガスが必ず導入される。このため、連通管4にバルブを設ける必要はない。本実施形態では、連通管4は、スパッタ室1とヒータ室2とを常時連通している。
なお、第1導入ポート12からスパッタ室1に活性ガスが導入されている間、スパッタ室1は排気ポート13から排気されているため、成膜プロセス中、スパッタ室1は、通常、ヒータ室2に対して陰圧となっている。このため、スパッタ室1とヒータ室2とが常時連通されていても、活性ガスはスパッタ室1から連通管4を通ってヒータ室2へ実質的に進入しない。
【0027】
[第2実施形態]
次に、図2に、本発明の第2実施形態の反応性スパッタ装置の概略図を示す。同図に示すように、本実施形態の反応性スパッタ装置は、基板Bに成膜する反応性スパッタ装置であって、スパッタ室1と、スパッタ室1に隔壁3を介して隣接したヒータ室2と、スパッタ室1とヒータ室2とを連通する連通部として隔壁3を貫通した連通孔4aとを備えている。本実施形態の反応性スパッタ装置は、連通部が連通管4ではなく連通孔4aである点を除いて、上述した第1実施系のものと同じ構成を有する。このため、第1実施形態における構成要素と同一のものについては、同一の符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0028】
連通孔4aの開口形状は、例えば、円形でもよいしスリット状でもよい。開口面積は、固定でもよいし、可変でもよい。また、本実施形態では、連通孔4aによって、スパッタ室1とヒータ室2とは常時連通している。
なお、本実施形態においても、第1導入ポート12からスパッタ室1に活性ガスが導入されている間、スパッタ室1は排気ポート13から排気されているため、スパッタ室1は、通常、ヒータ室2に対して陰圧となっている。このため、スパッタ室1とヒータ室2とが常時連通されていても、成膜プロセス中、活性ガスはスパッタ室1から連通孔4aを通ってヒータ室2へ実質的に進入しない。さらに、好ましくは、連通孔4aのコンダクタンスは、スパッタ室1に不活性ガスが導入された状態で、ヒータ室2の圧力がスパッタ室の圧力に対して一桁以上高くなるように、すなわち、スパッタ室の圧力がヒータ室の圧力の1/10以下となるように、設定されるとよい。これにより、成膜プロセス中、スパッタ室1から連通孔4aを通ってヒータ室2への活性ガスの進入が確実に阻止される。
【0029】
次に、図3に示すフローチャートを参照して、上述した第1及び第2実施形態の反応性スパッタ装置における成膜プロセスのための共通のガス導入手順の一例を説明する。
まず、排気ポート13のバルブ130を開き、真空排気ポンプ7によって、排気ポート13からスパッタ室1を高真空(例えば、10-4Pa程度)まで排気する(ステップS1)。このとき、連通管4を通じてヒータ室2も同時に排気される。
【0030】
次に、第2導入ポート22のバルブ220を開き、第2導入ポート22からヒータ室2に不活性ガスとしてアルゴンガスを5sccm程度で導入する(ステップS2)。スパッタ室1が排気されているため、第2導入ポート22からヒータ室2へ導入されたアルゴンガスは、連通管4を通ってスパッタ室1にも導入される。
【0031】
次に、ヒータ21に通電して、基板Bを加熱する(ステップS3)。ここでは、ヒータ21によって基板温度が800℃~1000℃になるまで、隔壁3を介して基板Bを加熱する。
【0032】
次に、第1導入ポート12のバルブ120を開いて、第1導入ポート12からスパッタ室1へ活性ガスとして酸素ガスを5sccm程度で導入する(ステップS4)。第1導入ポート12からスパッタ室1に活性ガスが導入されても、スパッタ室1から隔壁3によって隔てられたヒータ室2には活性ガスは導入されないため、ヒータ21は活性ガスから保護されている。
【0033】
次に、高周波電源5からマッチングボックス6を介してスパッタカソード11に13.56MHzの高周波電力を印加して、スパッタカソード11上に、プラズマ放電を発生させる(ステップS5)。
【0034】
このようにして、基板温度1000℃で数時間作動させて薄膜を成膜する(ステップS6)。成膜プロセス後にヒータ21を調べたところ、ヒータ21のカーボンは、酸化等のダメージを受けなかった。したがって、反応性スパッタ装置において、安定的に長時間の成膜プロセスを行うことができる。
【0035】
成膜プロセスが完了すると(ステップS7)、先ず、高周波電源5を停止してプラズマの発生を停止する(ステップS8)。
続いて、第1導入ポート12のバルブ120を閉じてスパッタ室1への活性ガス(酸素ガス)の導入を停止する(ステップS9)。これにより、排気ポート13からのスパッタ室1の排気と、第2導入ポート22からのヒータ室2へのアルゴンガスの導入が継続しているので、連通部(連通管4又は連通孔4a)を通じてスパッタ室1がアルゴン雰囲気となる。
次に、第2導入ポート22のバルブ220を閉じてヒータ室2への不活性ガス(アルゴンガス)の導入を停止する(ステップS10)。
次に、排気ポート13のバルブ130を閉じてスパッタ室1からの真空排気を停止する。スパッタ室1及びヒータ室2を大気開放するにあたっては、パージバルブ(図示せず)を開き、窒素ガス又は空気を大気圧まで導入する。なお、空気を導入する際には、ヒータ21の酸化によるダメージを回避するため、ヒータ室2が100℃以下になってからパージバルブを開く。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明の範囲内で種々の変更及び変形を行うことができる。上述した実施形態では、不活性ガスとしてアルゴンガスを導入し、活性ガスとして酸素ガスを導入した例を説明したが、本発明では、不活性ガス及び活性ガスの種類はこれらに限定されない。また、上述した実施形態では、カーボンヒータを使用した例を説明したが、本発明では、ヒータの種類はこれに限定されない。また、本実施形態では、ほぼU字形状の連通管を図1に示したが、本発明では、連通管の配管形状はこれに限定されない。また、高周波電源によるプラズマ放電の例を説明したが、高周波の周波数は、13.56MHzに限定されず、他の周波数でもよく、また、直流電流(DC)又はパルスを用いたプラズマ放電でもよい。また、スパッタ室の真空度、不活性ガスの流量、活性ガスの流量、及び基板加熱温度も、実施形態中の数値に限定されない。また、本発明は、連通部にバルブ等の遮断手段を設ける必要はないものの、連通部に遮断手段を設けることを妨げるものではない。
【符号の説明】
【0037】
1 スパッタ室
2 ヒータ室
3 隔壁
4 連通管
4a 連通孔
5 高周波電源(RF電源)
6 マッチングボックス(M-BOX)
7 真空排気ポンプ
11 スパッタカソード
12 第1導入ポート
13 排気ポート
21 ヒータ
22 第2導入ポート
120、130、220 バルブ
B 基板
図1
図2
図3