(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】自動倉庫システム、自動倉庫システムの制御方法及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
B65G 1/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
B65G1/00 511H
B65G1/00 501C
(21)【出願番号】P 2020062511
(22)【出願日】2020-03-31
【審査請求日】2023-02-15
(73)【特許権者】
【識別番号】503002732
【氏名又は名称】住友重機械搬送システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】日野 克美
(72)【発明者】
【氏名】柴田 裕輔
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-026318(JP,A)
【文献】特開2016-050106(JP,A)
【文献】特開2013-023320(JP,A)
【文献】特開2013-249159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 1/00- 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
荷を保管可能な自動倉庫システムであって、
第1方向に延在し、複数の荷を保管する保管列と、
荷を搭載可能であり、前記保管列内を前記第1方向に沿って移動する台車と、
前記保管列に保管された荷の所定位置からの位置ずれを検知する検知手段と、
を備え、
前記荷は、パレット上に載置され、
前記検知手段は、
前記台車の上部に上向きに設けられ、前記保管列に保管された荷の画像を取得する第1撮像手段
と、
前記第1撮像手段が取得した画像に基づいて、前記パレットからの荷のはみ出し量を検出し、当該み出し量に基づいて前記荷の位置ずれの有無を判定する第1判定手段と、
を含む、
自動倉庫システム。
【請求項2】
前記検知手段の検知結果を出力させるか又は記憶部に記憶させる出力手段を備え
る、
請求項1に記載の自動倉庫システム。
【請求項3】
荷を搭載可能であり、前記保管列内を前記第1方向に沿って移動する台車を備え、
前記保管列は、上下方向に沿って複数層設けられ、
前記検知手段は、
前記台車の下部に下向きに設けられ、当該台車が移動する保管列よりも下層の保管列内の荷の画像を取得する第2撮像手段と、
前記第2撮像手段が取得した画像から荷の配列を検出し、当該配列と予め記憶された荷の配列パターンとの照合により前記荷の位置ずれの有無を判定する第2判定手段と、
を含む、
請求項1又は請求項2に記載の自動倉庫システム。
【請求項4】
前記保管列は、前記第1方向と水平面内で交差する第2方向に沿って複数設けられ、
前記台車を搭載して前記第2方向に移動可能な親台車を備える、
請求項2又は請求項3に記載の自動倉庫システム。
【請求項5】
前記検知手段の検知結果を出力させるか又は記憶部に記憶させる出力手段を備え、
前記検知手段及び前記出力手段を制御し、前記荷の位置ずれの検知及びその検知結果の出力又は記憶を行う荷ずれ検知動作を実行する制御手段を備える、
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の自動倉庫システム。
【請求項6】
前記制御手段は、前記荷ずれ検知動作を、前記保管列への荷の入出庫を行う入出庫動作と併せて実行する、
請求項5に記載の自動倉庫システム。
【請求項7】
前記制御手段は、前記荷ずれ検知動作を、前記保管列への荷の入出庫を行う入出庫動作を行っていないときに、ユーザ操作に基づいて又は自動で実行する、
請求項5に記載の自動倉庫システム。
【請求項8】
荷を保管可能な自動倉庫システムの制御方法であって、
前記自動倉庫システムは、
第1方向に延在し、複数の荷を保管する保管列と、
荷を搭載可能であり、前記保管列内を前記第1方向に沿って移動する台車と、
制御手段と、を備え、
前記荷は、パレット上に載置され、
前記制御手段が、
前記保管列に保管された荷の所定位置からの位置ずれを検知する検知工程を実行し、
前記検知工程では、
前記台車の上部に上向きに設けられた第1撮像手段により、前記保管列に保管された荷の画像を取得
し、
前記第1撮像手段により取得した画像に基づいて、前記パレットからの荷のはみ出し量を検出し、当該み出し量に基づいて前記荷の位置ずれの有無を判定する、
自動倉庫システムの制御方法。
【請求項9】
荷を保管可能な自動倉庫システムの制御プログラムであって、
前記自動倉庫システムは、
第1方向に延在し、複数の荷を保管する保管列と、
荷を搭載可能であり、前記保管列内を前記第1方向に沿って移動する台車と、
制御手段と、を備え、
前記荷は、パレット上に載置され、
前記制御手段を、
前記保管列に保管された荷の所定位置からの位置ずれを検知する検知手段、
として機能させ、
前記検知手段は、
前記台車の上部に上向きに設けられた第1撮像手段により、前記保管列に保管された荷の画像を取得
し、
前記第1撮像手段により取得した画像に基づいて、前記パレットからの荷のはみ出し量を検出し、当該み出し量に基づいて前記荷の位置ずれの有無を判定する、
自動倉庫システムの制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動倉庫システム、自動倉庫システムの制御方法及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
少ないスペースで多数の荷を収容・保管可能な自動倉庫システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
この種の自動倉庫システムでは、例えば地震等の荷崩れのおそれがある事象が発生した場合、システムを停止させたうえで人が各層に立ち入って荷崩れの有無を確認する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、人が倉庫内に立ち入って実際に荷崩れの有無を確認するのは、安全面や作業効率面で改善の余地がある。そのため、荷崩れが生じやすくなる荷ずれ(所定の位置からの荷の位置ずれ)を予め好適に認識できることが望ましい。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、荷の位置ずれを好適にユーザに認識させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、荷を保管可能な自動倉庫システムであって、
第1方向に延在し、複数の荷を保管する保管列と、
荷を搭載可能であり、前記保管列内を前記第1方向に沿って移動する台車と、
前記保管列に保管された荷の所定位置からの位置ずれを検知する検知手段と、
を備え、
前記荷は、パレット上に載置され、
前記検知手段は、
前記台車の上部に上向きに設けられ、前記保管列に保管された荷の画像を取得する第1撮像手段と、
前記第1撮像手段が取得した画像に基づいて、前記パレットからの荷のはみ出し量を検出し、当該み出し量に基づいて前記荷の位置ずれの有無を判定する第1判定手段と、
を含む。
【0007】
また、本発明は、荷を保管可能な自動倉庫システムの制御方法であって、
前記自動倉庫システムは、
第1方向に延在し、複数の荷を保管する保管列と、
荷を搭載可能であり、前記保管列内を前記第1方向に沿って移動する台車と、
制御手段と、を備え、
前記荷は、パレット上に載置され、
前記制御手段が、
前記保管列に保管された荷の所定位置からの位置ずれを検知する検知工程を実行し、
前記検知工程では、
前記台車の上部に上向きに設けられた第1撮像手段により、前記保管列に保管された荷の画像を取得し、
前記第1撮像手段により取得した画像に基づいて、前記パレットからの荷のはみ出し量を検出し、当該み出し量に基づいて前記荷の位置ずれの有無を判定する。
【0008】
また、本発明は、荷を保管可能な自動倉庫システムの制御プログラムであって、
前記自動倉庫システムは、
第1方向に延在し、複数の荷を保管する保管列と、
荷を搭載可能であり、前記保管列内を前記第1方向に沿って移動する台車と、
制御手段と、を備え、
前記荷は、パレット上に載置され、
前記制御手段を、
前記保管列に保管された荷の所定位置からの位置ずれを検知する検知手段、
として機能させ、
前記検知手段は、
前記台車の上部に上向きに設けられた第1撮像手段により、前記保管列に保管された荷の画像を取得し、
前記第1撮像手段により取得した画像に基づいて、前記パレットからの荷のはみ出し量を検出し、当該み出し量に基づいて前記荷の位置ずれの有無を判定する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、荷の位置ずれを好適にユーザに認識させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る自動倉庫システムを概略的に示す平面図である。
【
図2】実施形態に係る自動倉庫システムを概略的に示す側面図である。
【
図4】実施形態に係る台車の(a)平面図、(b)正面図である。
【
図5】実施形態に係るドーリーの(a)平面図、(b)正面図である。
【
図6】実施形態に係る自動倉庫システムの概略の制御構成を示すブロック図である。
【
図7】実施形態に係る荷ずれ検知動作を説明するための図である。
【
図8】実施形態に係る荷ずれ検知動作を説明するための図である。
【
図9】実施形態に係る荷ずれ検知動作の検知結果の出力例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[自動倉庫システムの構成]
図1及び
図2は、本実施形態に係る自動倉庫システム1を概略的に示す平面図及び側面図である。
なお、以下の説明では、水平面内で互いに直交する2方向をX方向及びY方向、これらと直交する鉛直方向(上下方向)をZ方向という。また、X方向、Y方向及びZ方向は、互いに略90度で交差していれば、直交していなくともよい。
図1及び
図2に示すように、自動倉庫システム1は、多数の荷Lを保管可能な保管庫20と、荷Lを搬送する台車30と、台車30を運ぶ親台車のドーリー40とを備える。
【0013】
<保管庫>
保管庫20は、多数の荷Lを保管可能な、いわば高密度保管型の保管スペースである。保管庫20は、上下方向に層状に重ねられた複数層(本実施形態では3階層)の保管棚群21を有する。
各階層の保管棚群21は、X方向に沿って延在する移動通路23と、移動通路23を挟んでY方向の両側に設けられた2つの保管棚部22とを含む。
移動通路23は、ドーリー40の走行路であり、保管棚部22の端部近傍にX方向に沿って延設される。移動通路23には、第2レール231と給電部232とが、当該移動通路23に沿ってX方向に延設される。第2レール231は、ドーリー40が走行するための走行路であり、互いに離隔して走行方向に延びるように対をなして設けられる。この一対の第2レー231ルの間には、床板などが設けられていてもよいし、空間が介在していてもよい。
【0014】
各保管棚部22は、X方向に沿って並設された複数の保管列24を含み、各保管列24はY方向に沿って配列された複数の保管部26を含む(
図1、2では、1つの保管列24のみに複数の保管部26を図示)。保管部26は、荷Lを保管する単位である。各保管列24の第2レール231側の間口は、保管棚部22の間口であって、ドーリー40から台車30が出入りする出入口として機能する。
【0015】
各保管列24には、第1レール241と荷置台242(
図7(a)等参照)とがY方向に沿って延設される。
第1レール241は、台車30が走行するための走行路であり、互いに離隔して走行方向に延びるように対をなして設けられる。この一対の第1レール241の間は、空間を空けて開口している。ただし、この一対の第1レール241の間には、例えば透明な素材で構成された床板などが設けられてもよい。
【0016】
図3は、保管庫20に収容・保管される荷Lを示す図であって、(a)が斜視図、(b)が平面図である。
図3(a)に示すように、本実施形態において、各保管部26に配置される荷Lは、小さい複数の小荷物L1がパレットL2上に積載されてなる荷載パレットである。具体的に、本実施形態の荷Lは、平面視略正方形状に配列されてなる各段の複数(例えば8個)の小荷物L1が、複数段(例えば7段)に積載されて構成される。
本実施形態の荷Lは、最上段では、
図3(b)に示すような配列で複数の小荷物L1が配列されている。この小荷物L1の規定の配列パターンT(荷ずれが起きていないときの配列パターン)の画像が、後述する制御装置50の記憶部54に予め記憶されている。
【0017】
<台車>
図4(a)、(b)は、台車30の平面図及び正面図である。
この図に示すように、台車30は、主に荷Lを搬送するために、保管列24の中で第1レール241上をY方向に走行する。台車30は、保管部26に対して荷Lを出し入れする。台車30は、ドーリー40に乗降するために、ドーリー40上をY方向に走行する。台車30は、各階層の保管棚群21に一台ずつ配置される。
【0018】
台車30は、車体31と、載置台部32と、モータ33と、バッテリ34と、上側カメラ35と、下側カメラ36とを備える。
車体31は、上下方向に偏平な略直方体形状の輪郭を有する。車体31は、モータ33、バッテリ34及びその他の機能ブロックを包囲する外殻として機能する。車体31は、複数(例えば4つ)の車輪31aに支持される。複数の車輪31aは、第1レール241上及びドーリー40上を転動する。モータ33は、複数の車輪31aを駆動する。バッテリ34は、モータ33など車体31に設けられる各構成要素に電力を供給する。本実施形態のバッテリ34は、繰り返し充電可能なリチウムイオンバッテリなどの二次電池であり、ドーリー40上に載置された状態で、ドーリー40によって充電される。
【0019】
載置台部32は、荷Lを持上げて保持する部分である。載置台部32は、リフト機構32aによって昇降される(
図4(b)の二点鎖線が上昇状態、実線が下降状態)。リフト機構32aは、載置台部32を上昇させ、荷Lを保管部26の荷置台242から持上げることができる。また、リフト機構32aは、載置台部32を降下させて荷Lを保管部26の荷置台242に降ろすことができる。
【0020】
上側カメラ35は、車体31の上部に上向きに設けられ、保管列24の荷Lを下方から撮像する。本実施形態の上側カメラ35は、X方向に沿って複数台(例えば3台)設けられ、当該複数台により荷LのX方向の全幅を撮影可能なラインカメラである。上側カメラ35が撮影する荷Lは、当該上側カメラ35を搭載した台車30が走行する保管列24に保管されたものである。なお、上側カメラ35は、当該保管列24の荷LのX方向の全幅を撮影可能であれば、その数量等は特に限定されない。また、上側カメラ35は、当該上側カメラ35を搭載した台車30よりも上側の荷Lを撮影するものであればよく、1段上の階層の保管列24の荷Lを撮影してもよいし、2段以上上の階層の保管列24の荷Lを撮影してもよい。また、上側カメラ35は載置台部32に設けられてもよい。
また、上側カメラ35の近傍には上側照射部351(
図6参照)が設けられている。上側照射部351は、上側カメラ35が撮影する荷Lに対して照射光を照射する。
【0021】
下側カメラ36は、車体31の下部に下向きに設けられ、台車30の下段の保管列24の荷Lを上方から撮像する。本実施形態の下側カメラ36は、X方向に沿って複数台(例えば3台)設けられ、当該複数台により荷LのX方向の全幅を撮影可能なラインカメラである。ここで、下側カメラ36が撮影する荷Lは、当該上側カメラ35を搭載した台車30が走行する保管列24の下方の保管列24に保管されたものである。なお、下側カメラ36は、当該保管列24の荷LのX方向の全幅を撮影可能であれば、その数量等は特に限定されない。また、下側カメラ36は、1段下の階層の保管列24の荷Lを撮像してもよいし、2段以上下の階層の保管列24の荷Lを撮像してもよい。
また、下側カメラ36の近傍には下側照射部361(
図6参照)が設けられている。下側照射部361は、下側カメラ36が撮影する荷Lに対して照射光を照射する。
【0022】
なお、上側カメラ35と下側カメラ36は、少なくともいずれか一方が設けられていればよい。上側カメラ35と下側カメラ36とでは、上側カメラ35が設けられているのが好ましく、さらに下側カメラ36も設けられているのがより好ましい。下側カメラ36のみが設けられている場合、最上階の保管棚群21よりも上層に、最上階の荷Lの位置ずれを検知するための台車30及びドーリー40を走行させる第1レール241及び第2レール231等が設けられるのが好ましい。
【0023】
また、台車30は、通信部38と、制御部39とを備える(
図6参照)。
通信部38は、制御部39からの制御指令に基づいて、後述の制御装置50と通信して情報を送受信する。本実施形態の通信部38は、特に限定はされないが、近距離通信用の無線通信により制御装置50と通信する。
【0024】
制御部39は、台車30の動作を統合制御する。具体的に、制御部39は、後述の制御装置50からの制御指令や所定の制御プログラムに基づいて、載置台部32を昇降させ、モータ33を駆動し、上側カメラ35及び下側カメラ36により荷Lを撮影し、通信部38により情報を送受信したりする。
また、制御部39は、台車30の位置情報を取得する位置情報取得手段として機能する。本実施形態では、各保管部26にアドレス情報を示すバーコード表示部(不図示)が設けられ、制御部39は、例えば上側カメラ35により当該バーコード表示部を読み取り、保管部26のアドレス情報を位置情報として取得する。このアドレス情報は、複数の保管部26それぞれを特定しうる特定情報や、二次元又は三次元の座標情報であってもよい。あるいは、台車30に設けたGPSセンサ(Global Positioning System sensor)により台車30の位置情報を取得してもよい。その他の方法として、荷LやパレットL2の数をカウントし、そのカウント数から位置情報を算出するようにしてもよいし、保管列24に沿って設けられたエンコーダによって位置情報を取得するようにしてもよい。制御部39は、取得した台車30の位置情報を、通信部38により後述の制御装置50に送信する。
【0025】
<ドーリー(親台車)>
図5(a)、(b)は、ドーリー40の平面図及び側面図である。
この図に示すように、本実施形態のドーリー40は、第2レール231をX方向に走行する台車として機能する。ドーリー40は、空荷の状態又は荷Lを搭載した状態の台車30を搬送する親台車である。ドーリー40は、各段の保管棚群21に一台ずつ配置される。
【0026】
ドーリー40は、ベース41と、台車搭載部42と、第1端部カバー43と、第2端部カバー44と、集電ユニット45とを備える。
ベース41は、ドーリー40の各構成要素を搭載するための基台である。ベース41は、複数(例えば4個)の車輪41aに支持される。第1、第2端部カバー43、44は、ドーリー40のX方向の各端部においてベース41上に設けられる。第1端部カバー43は、車輪41aを駆動するモータ46及びギヤ装置47を収納するケーシングとして機能する。第2端部カバー44は、2つの車輪41aを収納するケーシングとして機能する。
【0027】
台車搭載部42は、台車30を搭載するための部分で、ドーリー40のX方向の中央部においてベース41上に設けられる。台車搭載部42は、台車30をガイドする一対のガイド部42aを有する。
【0028】
集電ユニット45は、移動通路23の給電部232(
図1参照)に接触して電力の供給を受ける。ドーリー40は、集電ユニット45を介して給電部232から電力を受け取る。ドーリー40は、受け取った電力によって、モータ46を駆動したり、台車30のバッテリを充電したりする。
【0029】
また、ドーリー40は、通信部48と、制御部49とを備える(
図6参照)。
通信部48は、制御部49からの制御指令に基づいて、後述の制御装置50と通信して情報を送受信する。本実施形態の通信部48は、特に限定はされないが、近距離通信用の無線通信により制御装置50と通信する。
【0030】
制御部49は、ドーリー40の動作を統合制御する。具体的に、制御部49は、後述の制御装置50からの制御指令や所定の制御プログラムに基づいて、モータ46を駆動したり、通信部38により情報を送受信したりする。
【0031】
<制御構成>
続いて、自動倉庫システム1の制御構成について説明する。
図6は、自動倉庫システム1の概略の制御構成を示すブロック図である。
この図に示すように、自動倉庫システム1は、制御装置50を備える。
制御装置50は、操作部51、表示部52、通信部53、記憶部54、制御部55を備える。制御部55と、台車30の上側カメラ35及び下側カメラ36の少なくとも一方とは、本発明に係る検知手段の一例である。
【0032】
操作部51は、ユーザ(オペレータ)からの入力操作を受け付ける。操作部51は、図示しないキーボードやポインティングデバイス等を備えており、押下されたキーボード上のキーの位置やマウスでの操作等に対応する入力信号を制御部55に出力する。
表示部52は、図示しないディスプレイを備えており、制御部55から入力される表示信号に基づいて各種情報をディスプレイに表示する。
通信部53は、制御部55からの制御指令に基づいて、台車30の通信部38やドーリー40の通信部48と通信して情報を送受信する。本実施形態の通信部53は、特に限定はされないが、近距離通信用の無線通信により台車30やドーリー40と通信する。
【0033】
記憶部54は、自動倉庫システム1の各種機能を実現するためのプログラムやデータを記憶するとともに、制御部55の作業領域としても機能するメモリである。
制御部55は、自動倉庫システム1の動作を中央制御する。具体的に、制御部55は、操作部51に対するユーザ操作や、所定の制御プログラムに基づいて、台車30及びドーリー40の動作を制御し、荷Lの移動を制御したり、荷Lの位置ずれの有無を確認したりする。
【0034】
[自動倉庫システムの動作]
続いて、自動倉庫システム1の動作について説明する。
【0035】
<入出庫動作>
まず、保管庫20への入出庫を行う入出庫動作について説明する。
入出庫動作では、制御部55は、台車30によって保管列24に対する荷Lの入出庫が行われるように自動倉庫システム1の各部を制御する。
自動倉庫システム1には、倉庫外部からの荷Lを搬入するための入庫口28と、倉庫外部へ荷Lを搬出するための出庫口29とが移動通路23の近傍に設けられている。
【0036】
入庫動作では、倉庫外部からの荷Lはフォークリフトなどによって入庫口28に搬入される。入庫口28に搬入された荷Lは、台車30及びドーリー40によって所定の保管部26に搬送されて保管される。
【0037】
出庫動作では、所定の保管部26で保管されていた荷Lは、台車30及びドーリー40によって出庫口29に搬送される。出庫口29に搬送された荷Lは、フォークリフトなどによって倉庫外部に搬出される。
【0038】
<荷ずれ検知動作>
続いて、荷Lの位置ずれを検知する荷ずれ検知動作について説明する。
図7及び
図8は、荷ずれ検知動作を説明するための図である。
荷ずれ検知動作は、荷L(小荷物L1)の位置ずれの発生有無を確認するものである。荷ずれ検知動作は、自動倉庫システム1が稼働していない時間(例えば夜間)に、ユーザ操作に基づいて又は自動で実行される。この荷ずれ検知動作は、制御部55が記憶部54から所定のプログラムを読み出して展開することで実行される。
なお、以下では、便宜上、制御装置50の制御部55を処理の主たる実行主体として記載するが、台車30及びドーリー40の動作制御は、通信部を通じた各々の制御部39、49との連携により適宜実行される。
【0039】
荷ずれ検知動作が実行されると、制御部55は、各階層の台車30及びドーリー40を制御し、台車30を保管列24に走行させる。そして、制御部55は、台車30を走行させつつ、上側カメラ35及び下側カメラ36により荷Lの位置ずれを検知する。
【0040】
具体的に、まず制御部55は、上側カメラ35により、当該台車30が走行する階層の荷Lの位置ずれを検知する。
より詳しくは、台車30の制御部39が、
図7(a)に示すように、上側カメラ35により荷Lの画像を取得しつつ、台車30の位置情報を取得する。撮影時には上側照射部351により撮影対象の荷Lを照明する。そして、制御部39は、取得した荷Lの画像と台車30の位置情報とを対応付けて、通信部38により制御装置50に送信する。
制御装置50の制御部55は、台車30から受信したデータを記憶部54に記憶させるとともに、画像データを処理して荷Lの位置ずれを検知する。
【0041】
このとき取得される画像は、荷Lを下側から見たもの、つまり荷L(小荷物L1)の位置ずれが起きていなければパレットL2のみが写った画像である。そこで、この画像処理では、
図7(b)に示すように、パレットL2のエッジ(外形)を検出し、その外側にはみ出る小荷物L1のエッジの有無を検知する。そして、制御部55は、パレットL2のエッジからはみ出る小荷物L1のはみ出し量に基づいて、荷L(小荷物L1)の位置ずれの有無を判定する。つまり、制御部55は、小荷物L1が検出されない(はみ出し量ゼロ)場合には荷Lの位置ずれは起きていないと判定し、小荷物L1がパレットL2からはみ出ていた場合には荷L(小荷物L1)の位置ずれが起きていると判定する。
【0042】
またこのとき、制御部55は、下側カメラ36により、当該台車30が走行する階層よりも一段下の階層の荷Lの位置ずれを検知する。
より詳しくは、台車30の制御部39が、
図8(a)に示すように、下側カメラ36により荷Lの画像を取得しつつ、台車30の位置情報を取得する。撮影時には下側照射部361により撮影対象の荷Lを照明する。そして、制御部39は、取得した荷Lの画像と台車30の位置情報とを対応付けて、通信部38により制御装置50に送信する。
制御装置50の制御部55は、台車30から受信したデータを記憶部54に記憶させるとともに、画像データを処理して荷Lの位置ずれを検知する。
【0043】
このとき取得される画像は、荷Lを上側から見たもの、つまり荷L(小荷物L1)の位置ずれが起きていなければ、複数の小荷物L1が所定の配列パターンTで配列された画像である。そこで、この画像処理では、
図8(b)に示すように、小荷物L1のエッジ(外形)を検出し、その配列を、記憶部54に予め記憶された小荷物L1の配列パターンTの画像と照合するパターンマッチングを行う(
図8(b)では1つの小荷物L1が配列パターンTからずれている例を図示)。そして、制御部55は、検出した小荷物L1の配列が配列パターンTと合致した場合には荷Lの位置ずれは起きていないと判定し、合致しなかった場合には荷L(小荷物L1)の位置ずれが起きていると判定する。配列が合致したか否かの判定では許容範囲(位置ずれ量の判定閾値)を適宜設定できる。
あるいは、小荷物L1のエッジからその重心位置Pを検出し、この重心位置Pを本来あるべき規定位置P0と照合してもよい。この場合、例えば小荷物L1のエッジから、検出した重心位置Pと対応するその規定位置P0を求め、この重心位置と規定位置との距離に基づいて、荷L(小荷物L1)の位置ずれの発生有無を判定すればよい。この場合の判定は3段階以上の複数段階に分けてもよい。
【0044】
なお、上側カメラ35では、当該台車30が走行する階層よりも上の階層の荷Lの位置ずれを検知してもよい。同様に、下側カメラ36では、当該台車30が走行する階層よりも二段以上下の階層の荷Lの位置ずれを検知してもよい。この場合、画像処理等により、いずれの階層の荷Lの画像であるかが特定すればよい。
【0045】
制御部55は、上述した荷Lの位置ずれ検知を、各階層において全ての保管列24に対して行う。そして、制御部55は、例えば
図9に示すように、検知結果をまとめて表示部52に表示させる。
図9の例では、1~3段目までの各階層における所定の保管列24(保管棚部22)の各保管部26での荷ずれ(荷Lの位置ずれ)の有無が、「〇」:荷ずれ無し、「△」:中程度の荷ずれあり、「×」:大きな荷ずれあり、の3段階で判定され出力されている。
ただし、この出力態様(判定態様)は特に限定されない。例えば「〇(可)」か「×(否)」かの2段階評価でもよい。また、保管庫20は保管部26が三次元的に構成されているので、判定結果も三次元的に表示させてもよい。あるいは、操作部51でのユーザ操作に応じて、ユーザ(オペレータ)所望の断面において、
図9のような側面視で表示させてもよいし、平面視で特定の階層のみを表示させてもよい。この場合、ユーザ操作により表示断面を適宜変更できるのが好ましい。また、特に重要度の高い「×」(又はさらに「△」):荷ずれありの位置だけを表示させてもよい。
その後、ユーザ(オペレータ)は、出力された検知結果を見て、「△」や「×」の荷ずれありとされた保管部26の荷Lの画像(荷ずれ有無の判定に用いた画像)を実際に見て確認する。ユーザは、この画像の確認で問題なし(荷ずれは起きていない、もしくは許容範囲内)と判断できた場合、操作部51を操作し、該当する保管部26の「×」判定を「〇」判定に修正する。
また、この画像を見ても荷ずれ無しと判断できない場合、ユーザは、操作部51で該当保管部26を指定して台車30を当該保管部26に向かわせ、そのときの実際の荷Lの状態を上側カメラ35又は下側カメラ36で確認する。それでも荷ずれ有無を判断できなければ、該当する保管部26にユーザが実際に行って確認する。その後、ユーザが判断結果を制御装置50に入力する。このとき、入力された判断結果に基づいて、荷ずれの検知判定に用いた閾値を学習させてもよい。
なお、制御部55は、荷Lの位置ずれの検知結果を出力させるか、記憶部54に記憶させるかの少なくとも一方を行えばよい。
【0046】
[本実施形態の技術的効果]
以上のように、本実施形態によれば、保管列24に保管された荷Lの所定位置からの位置ずれが検知され、その検知結果が表示部52に出力されるか記憶部54に記憶される。
これにより、ユーザは保管庫20に立ち入る必要なく、表示部52を見るか記憶部54から検知結果を読み出すだけで、荷崩れ発生の可能性がある荷Lの位置ずれを好適に認識することができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、台車30に設けられた上側カメラ35及び下側カメラ36により、台車30よりも上下両側の荷Lの状態を同時に確認できる。
【0048】
[その他]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限られない。
例えば、上記実施形態では、保管部26に保管される荷Lが荷載パレットであることとしたが、当該発明に係る荷は、画像に基づいて位置ずれを検知できるものであれば特に限定されず、例えばパレットがない単品の荷物(又はそれが積まれたもの)などであってもよい。
【0049】
また、上記実施形態では、荷Lの画像を取得する撮像手段(第1撮像手段又は第2撮像手段)として、ラインカメラである上側カメラ35及び下側カメラ36を挙げて説明した。しかし、当該撮像手段は、荷の画像を取得するものであればラインカメラに限定されず、例えばエリアカメラや三次元カメラなどであってもよい。さらに、当該撮像手段は、隣の保管列の荷を撮像する横向きのカメラであってもよい。
また、本発明に係る検知手段は、保管列に保管された荷の位置ずれを検知できるものであればよく、撮像手段を備えなくともよい。
【0050】
また、上記実施形態では、荷Lの画像から小荷物L1のエッジ(外形)を検出してその位置ずれを検知することとしたが、このエッジ(外形)検出に代えて、小荷物L1の表面の図柄・模様を検出してもよい。この場合、検出結果と照合される図柄・模様が予め記憶部54に記憶されている必要があるのは勿論である。
【0051】
また、上記実施形態では、荷ずれ検知動作を夜間に実行することとしたが、定期的に自動で実行させてもよいし、入出庫動作時に併せて実行してもよいし、例えば地震発生時などの荷ずれ発生のおそれがある特定事象後に実行することとしてもよい。地震等の検知は例えば通信部によればよい。入出庫動作時(通常運用時)に実行する場合には、上側カメラ35及び下側カメラ36を起動しておき、荷ずれ検知を随時行って、検知結果のデータベースを随時更新していくこととしてもよい。
【0052】
また、保管庫20は、少なくとも台車30により複数の荷Lを搬送して収容・保管可能なものであれば、その具体構成は特に限定されない。
その他、上記実施形態で示した細部は、発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 自動倉庫システム
20 保管庫
21 保管棚群
22 保管棚部
23 移動通路
24 保管列
26 保管部
30 台車
35 上側カメラ
36 下側カメラ
38 通信部
39 制御部
40 ドーリー
48 通信部
49 制御部
50 制御装置
51 操作部
52 表示部
53 通信部
54 記憶部
55 制御部
231 第2レール
241 第1レール
L 荷
L1 小荷物
L2 パレット
T 配列パターンT