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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】建設機械
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/52 20060101AFI20240716BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B66C13/52 Z
E02F9/00 Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020086175
(22)【出願日】2020-05-15
(65)【公開番号】P2021178730
(43)【公開日】2021-11-18
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000140719
【氏名又は名称】株式会社加藤製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】加藤 雄一
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-248607(JP,A)
【文献】特開2018-053530(JP,A)
【文献】特開2015-009939(JP,A)
【文献】特開2013-122153(JP,A)
【文献】特開2002-061225(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第01162318(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 13/52
E02F 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前輪及び後輪を備える走行車体と、
前記走行車体の鉛直上側に前記走行車体に対して旋回可能に連結される旋回体と、
前記走行車体において前記鉛直上側に凹むとともに、前記前輪が配置される空間を地面との間に形成するフロントフェンダーと、
前記走行車体において前記フロントフェンダーに対して後方側の部位で前記鉛直上側に凹むとともに、前記後輪が配置される空間を前記地面との間に形成するリアフェンダーと、
前記走行車体において前記フロントフェンダーから前記リアフェンダーまで前記後方側へ延設され、前記フロントフェンダーと前記リアフェンダーとの間を中継する中継フレームと、
前記中継フレームに形成され、グリースガンを収納可能なガン収納空洞が内部に形成されるガン収納箱と、
前記走行車体において前記ガン収納箱とは異なる位置に設けられ、前記グリースガン以外の工具を内部に収納可能な工具箱と、
を具備し、
前記走行車体の前記ガン収納箱は、
前記走行車体の幅方向の外側から前記ガン収納空洞に隣接する外側壁と、
前記走行車体の前記幅方向の内側から前記ガン収納空洞に隣接し、前記ガン収納空洞を間に挟んで前記外側壁と対向する内側壁と、
前記ガン収納空洞において前記走行車体の前記幅方向の前記内側へ前記外側壁から突出する支持突起と、
を備え、
前記グリースガンは、ガン本体が前記支持突起によって鉛直下側から支持され、かつ、前記ガン本体が前記走行車体の前記幅方向について前記支持突起と前記内側壁との間で挟まれた状態で、前記ガン収納空洞に収納される、
建設機械。
【請求項2】
前記走行車体は、前記後輪に対して前記後方側の部位に設置されるエンジンを備える、請求項1の建設機械。
【請求項3】
前記走行車体の前記ガン収納箱は、前記鉛直下側から前記ガン収納空洞に隣接する底壁を備え、
前記ガン収納箱の前記底壁は、前記底壁の他の部位に比べて前記鉛直下側へ突出する底壁突出部を備え、
前記底壁突出部は、前記ガン収納空洞において前記鉛直下側へ凹む溝を形成し、
前記支持突起は、前記ガン収納空洞において、前記走行車体の前後方向について前記溝が形成される範囲内に配置され、
前記グリースガンは、ハンドルが前記ガン本体に対して閉じることにより、ノズルからグリースを吐出し、
前記グリースガンは、前記ハンドルが前記底壁突出部によって形成される前記溝に配置され、かつ、前記支持突起及び前記溝によって前記ハンドルが前記ガン本体に対して開かれた状態で、前記ガン収納空洞に収納される、
請求項1又は2の建設機械。
【請求項4】
前記走行車体の前記ガン収納箱は、前記走行車体の前後方向に沿う回動軸を中心として回動することにより開く又は閉じる扉を備え、
前記ガン収納空洞は、前記扉が開いた状態において、少なくとも前記鉛直上側に向かって開口する、
請求項1乃至のいずれか1項の建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、建設機械としてクレーンが開示されている。このクレーンは、走行車体と、走行車体の鉛直上側に走行車体に対して旋回可能に連結される旋回体と、を備える。また、旋回体には、ブームが起伏可能に連結され、ブームは、旋回体と一緒に走行車体に対して旋回する。また、走行車体上には、工具箱が設置される。工具箱の内部には、クレーンのメンテナンスに用いられる工具等のクレーンに関連する工具が、収納される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-318991号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1のクレーン等の建設機械では、工具の1つとしてグリースガンが用いられる。建設機械のメンテナンスでは、グリースガンを用いて、対応する作動部分にグリースが供給される。例えば、メンテナンスにおいてグリースガンを用いてブームにグリースが定期的に供給されることにより、ブームが円滑に伸縮作動される。前述のようにグリースガンが工具の1つとして用いられる建設機械では、グリースガン及びグリースガン以外の工具を含む工具が円滑に収納されることが求められている。また、ブーム等の作業装置及び旋回体との干渉を抑制する観点等から、工具の収納部分の大型化を最小限に抑えることが、求められている。
【0005】
本発明は前記課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、工具の収納部分の大型化が抑制され、グリースガンを含む工具を円滑に収納可能な建設機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するため、本発明のある態様の建設機械は、前輪及び後輪を備える走行車体と、前記走行車体の鉛直上側に前記走行車体に対して旋回可能に連結される旋回体と、前記走行車体において前記鉛直上側に凹むとともに、前記前輪が配置される空間を地面との間に形成するフロントフェンダーと、前記走行車体において前記フロントフェンダーに対して後方側の部位で前記鉛直上側に凹むとともに、前記後輪が配置される空間を前記地面との間に形成するリアフェンダーと、前記走行車体において前記フロントフェンダーから前記リアフェンダーまで前記後方側へ延設され、前記フロントフェンダーと前記リアフェンダーとの間を中継する中継フレームと、前記中継フレームに形成され、グリースガンを収納可能なガン収納空洞が内部に形成されるガン収納箱と、前記走行車体において前記ガン収納箱とは異なる位置に設けられ、前記グリースガン以外の工具を内部に収納可能な工具箱と、を備え、前記走行車体の前記ガン収納箱は、前記走行車体の幅方向の外側から前記ガン収納空洞に隣接する外側壁と、前記走行車体の前記幅方向の内側から前記ガン収納空洞に隣接し、前記ガン収納空洞を間に挟んで前記外側壁と対向する内側壁と、前記ガン収納空洞において前記走行車体の前記幅方向の前記内側へ前記外側壁から突出する支持突起と、を備え、前記グリースガンは、ガン本体が前記支持突起によって鉛直下側から支持され、かつ、前記ガン本体が前記走行車体の前記幅方向について前記支持突起と前記内側壁との間で挟まれた状態で、前記ガン収納空洞に収納される
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、工具の収納部分の大型化が抑制され、グリースガンを含む工具を円滑に収納可能な建設機械を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1の実施形態に係るクレーンを、走行車体及び旋回体のそれぞれを幅方向の一方側から視た状態で示す図である。
図2図2は、第1の実施形態に係るクレーンを、走行車体及び旋回体のそれぞれを幅方向について図1とは反対側から視た状態で示す図である。
図3図3は、第1の実施形態に係るクレーンに関連する工具の1つであるグリースガンを示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係るクレーンの走行車体において、ガン収納箱及びその近傍の構成を示す斜視図である。
図5図5は、第1の実施形態に係るガン収納箱を、扉が閉じた状態で示す斜視図である。
図6図6は、図5の断面A1を示す断面図である。
図7図7は、第1の実施形態に係るガン収納箱を、扉が開いた状態で示す斜視図である。
図8図8は、第1の実施形態に係るガン収納箱の箱本体を示す斜視図である。
図9図9は、第1の実施形態に係るガン収納箱の箱本体を、鉛直上側から視た状態で示す図である。
図10図10は、第1の実施形態に係るガン収納箱の箱本体を、走行車体の幅方向の外側から視た状態で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態について図面を参照して説明する。
【0010】
(第1の実施形態)
図1及び図2は、実施形態の一例として第1の実施形態に係るクレーン1を示す。建設機械であるクレーン1は、走行車体2と、走行車体2の鉛直上側に連結される旋回体3と、を備える。旋回体3は、鉛直方向に平行又は略平行な旋回軸P1を中心として、走行車体2に対して旋回可能である。走行車体2では、鉛直方向(矢印Z1及び矢印Z2で示す方向)に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向(矢印X1及び矢印X2で示す方向)、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向(図1及び図2において紙面に垂直又は略垂直な方向)が、規定される。また、旋回体3でも、鉛直方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)前後方向、及び、鉛直方向及び前後方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)幅方向が規定される。
【0011】
図1及び図2のそれぞれでは、走行車体2の前後方向が旋回体3の前後方向と一致又は略一致する状態、すなわち、走行車体2の前方側(矢印X1側)が旋回体3の前方側と一致又は略一致する状態で、クレーン1を示す。また、図1では、走行車体2及び旋回体3のそれぞれを、幅方向の一方側から視た状態、すなわち、左方側から視た状態で示す。そして、図2では、走行車体2及び旋回体3のそれぞれを、幅方向について図1とは反対側から視た状態、すなわち、右方側から視た状態で示す。
【0012】
旋回体3は、運転室5備える。運転室5では、作業者によってクレーン1の操作等が行われる。また、旋回体3には、ブーム6の後方端部が連結される。ブーム6は、旋回体3に対して起伏可能であるとともに、旋回体3と一緒に走行車体2に対して旋回軸P1を中心として旋回する。また、ブーム6は、旋回体3の幅方向について、運転室5に対して並んで配置される。ブーム6は、多段ブームであり、ブーム6の長手方向について伸縮可能である。
【0013】
走行車体2は、一対のフロントアウトリガ7A,7B、及び、一対のリアアウトリガ8A,8Bを備える。走行車体2では、左方側部において前方側の部位にフロントアウトリガ7Aが設けられ、右方側部において前方側の部位にフロントアウトリガ7Bが設けられる。そして、走行車体2では、左方側部において後方側の部位にリアアウトリガ8Aが設けられ、右方側部において後方側の部位にリアアウトリガ8Bが設けられる。したがって、走行車体2では、前方側の部位に一対のフロントアウトリガ7A,7Bが設けられ、後方側の部位に一対のリアアウトリガ8A,8Bが設けられる。
【0014】
走行車体2は、車体フレーム(車体シャーシ)11、前輪12A,12B及び後輪13A,13Bを備える。前輪12A,12B及び後輪13A,13Bは、車体フレーム11に取付けられる。本実施形態では、前輪12Aが左方側前輪となり、前輪12Bが右方側前輪となる。そして、後輪13Aが左方側後輪となり、後輪13Bが右方側後輪となる。また、本実施形態では、前輪(12A,12B)は、一対のみ設けられ、左方側前輪(12A)及び右方側前輪(12B)のそれぞれが、1つのみ設けられる。そして、後輪(13A,13B)は、一対のみ設けられ、左方側後輪(13A)及び右方側後輪(13B)のそれぞれが、1つのみ設けられる。
【0015】
走行車体2は、一対のフロントフェンダー15A,15B、及び、一対のリアフェンダー16A,16Bを備える。フロントフェンダー15A,15B及びリアフェンダー16A,16Bのそれぞれは、車体フレーム11に取り付けられ、鉛直上側(矢印Z1側)に凹む。そして、フロントフェンダー15A,15B及びリアフェンダー16A,16Bのそれぞれと地面との間には、空間が形成される。
【0016】
走行車体2では、左方側部において前方側の部位にフロントフェンダー15Aが設けられ、右方側部において前方側の部位にフロントフェンダー15Bが設けられる。そして、走行車体2では、左方側部において後方側の部位にリアフェンダー16Aが設けられ、右方側部において後方側の部位にリアフェンダー16Bが設けられる。したがって、走行車体2では、前方側の部位に一対のフロントフェンダー15A,15Bが設けられ、後方側の部位に一対のリアフェンダー16A,16Bが設けられる。このため、フロントフェンダー15A,15Bは、リアフェンダー16A,16Bに対して、走行車体2の前方側に形成される。
【0017】
また、フロントフェンダー15A及びリアフェンダー16Aは、走行車体2の幅方向の一方側の端部で、すなわち、左方側の端部で、車体フレーム11に取付けられる。そして、走行車体2では、フロントフェンダー15A及びリアフェンダー16A等によって、幅方向の一方側の縁面、すなわち、左方側の縁面が、形成される。また、フロントフェンダー15B及びリアフェンダー16Bは、走行車体2の幅方向についてのフロントフェンダー15A及びリアフェンダー16Aとは反対側の端部で、すなわち、右方側の端部で、車体フレーム11に取付けられる。そして、走行車体2では、フロントフェンダー15B及びリアフェンダー16B等によって、幅方向についてフロントフェンダー15A及びリアフェンダー16Aとは反対側の縁面、すなわち、右方側の縁面が、形成される。
【0018】
走行車体2では、フロントフェンダー15A,15Bは、フロントアウトリガ7A,7Bに対して、後方側に配置され、リアフェンダー16A,16Bは、リアアウトリガ8A,8Bに対して、前方側に配置される。このため、走行車体2の左方側部(幅方向について一方側の側部)では、走行車体2の前後方向についてフロントアウトリガ7Aとリアアウトリガ8Aとの間に、フロントフェンダー15A及びリアフェンダー16Aが形成される。そして、走行車体2の左方側部では、リアフェンダー16Aがフロントフェンダー15Aに対して後方側(矢印X2側)に配置される。また、走行車体2の右方側部(幅方向について他方側の側部)では、走行車体2の前後方向についてフロントアウトリガ7Bとリアアウトリガ8Bとの間に、フロントフェンダー15B及びリアフェンダー16Bが形成される。そして、走行車体2の右方側部では、リアフェンダー16Bがフロントフェンダー15Bに対して後方側に配置される。
【0019】
本実施形態では、旋回体3の旋回軸P1は、走行車体2の前後方向について、フロントフェンダー15A,15Bとリアフェンダー16A,16Bとの間を通過する。したがって、走行車体2では、旋回軸P1は、フロントフェンダー15A,15Bに対して後方側で、かつ、リアフェンダー16A,16Bに対して前方側を通過する。また、走行車体2では、フロントフェンダー15Aと地面との間に形成される空間に、左方側前輪(12A)が配置され、フロントフェンダー15Bと地面との間に形成される空間に、右方側前輪(12B)が配置される。そして、走行車体2では、リアフェンダー16Aと地面との間に形成される空間に、左方側後輪(13A)が配置され、リアフェンダー16Bと地面との間に形成される空間に、右方側後輪(13B)が配置される。
【0020】
また、走行車体2の車体フレーム11上には、エンジン17及び排気系統18が設置される。排気系統18は、後処理装置(図示しない)を備える。排気系統18では、エンジン17からの排気ガスが後処理装置によって無害化処理等された後に、排気ガスが大気に排気される。走行車体2では、エンジン17及び排気系統18は、後輪13A,13Bに対して後方側の部位に設置される。
【0021】
走行車体2は、一対の中継フレーム21A,21Bを備える。走行車体2では、中継フレーム21A,21Bのそれぞれは、車体フレーム11に取付けられる。走行車体2では、左方側部においてフロントフェンダー15Aとリアフェンダー16Aとの間に中継フレーム21Aが設けられ、右方側部においてフロントフェンダー15Bとリアフェンダー16Bとの間に中継フレーム21Bが設けられる。中継フレーム21Aの前方端は、フロントフェンダー15Aに接続され、中継フレーム21Aの後方端は、リアフェンダー16Aに接続される。このため、走行車体2の左方側部では、中継フレーム21Aは、フロントフェンダー15Aからリアフェンダー16Aまで後方側へ延設され、フロントフェンダー15Aとリアフェンダー16Aとの間を中継する。また、中継フレーム21Bの前方端は、フロントフェンダー15Bに接続され、中継フレーム21Bの後方端は、リアフェンダー16Bに接続される。このため、走行車体2の右方側部では、中継フレーム21Bは、フロントフェンダー15Bからリアフェンダー16Bまで後方側へ延設され、フロントフェンダー15Bとリアフェンダー16Bとの間を中継する。
【0022】
また、中継フレーム21Aは、走行車体2の幅方向の一方側の端部で、すなわち、左方側の端部で、車体フレーム11に取付けられる。そして、走行車体2では、中継フレーム21Aは、フロントフェンダー15A及びリアフェンダー16A等とともに、幅方向の一方側の縁面、すなわち、左方側の縁面を、形成する。また、中継フレーム21Bは、走行車体2の幅方向について中継フレーム21Aとは反対側の端部で、すなわち、右方側の端部で、車体フレーム11に取付けられる。そして、走行車体2では、中継フレーム21Bは、フロントフェンダー15B及びリアフェンダー16B等とともに、幅方向について中継フレーム21Aとは反対側の縁面、すなわち、右方側の縁面を、形成する。
【0023】
中継フレーム21Aには、ガン収納箱22が形成される。このため、ガン収納箱22は、走行車体2の左方側部に形成される。そして、ガン収納箱22は、走行車体2の前後方向についてフロントフェンダー15A,15Bとリアフェンダー16A,16Bとの間に配置される。また、走行車体2には、工具箱23,25が設置される。工具箱23は、中継フレーム21Bに取付けられる。このため、工具箱23は、走行車体2の右方側部に形成され、走行車体2の前後方向についてフロントフェンダー15A,15Bとリアフェンダー16A,16Bとの間に配置される。工具箱25は、後輪13A,13Bに対して後方側の部位で、車体フレーム11上に設置される。前述のようにガン収納箱22及び工具箱23,25が配置されるため、走行車体2では、ガン収納箱22及び工具箱23,25は、互いに対して離れた位置、すなわち、互いに対して異なる位置に配置される。
【0024】
図3は、クレーン1に関連する工具の1つであるグリースガン27を示す。本実施形態では、ガン収納箱22の内部に、図3のグリースガン27を収納可能である。また、工具箱23,25のそれぞれの内部には、グリースガン27以外の工具が収納可能である。工具箱23の内部には、グリースガン27以外の工具の中で比較的小型の工具が収納される。一方、工具箱25の内部には、グリースガン27以外の工具の中で比較的大型の工具が収納される。
【0025】
図3に示すように、グリースガン27は、ガン本体31、ハンドル32及びノズル33を備える。ガン本体31は、中心軸C1に沿って延設される。グリースガン27では、ガン本体31の中心軸C1に沿う方向が、長手方向として規定される。グリースガン27では、長手方向に沿った寸法が、長手方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)方向に沿った寸法に比べて、遥かに大きい。ガン本体31では、グリースガン27の長手方向について一方側の端部に、ジョイント部35が形成される。ハンドル32及びノズル33のそれぞれは、ジョイント部35でガン本体31に接続される。ノズル33は、グリースガン27の長手方向についてガン本体31が位置する側とは反対側へ向かって、ジョイント部35から延設される。このため、グリースガン27では、ノズル33は、長手方向の一方側へガン本体31から突出する。
【0026】
ハンドル32は、ジョイント部35への接続位置を通る回動軸C2を中心として、ガン本体31に対して回動可能である。回動軸C2に沿う方向は、グリースガン27の長手方向(中心軸C1に沿う方向)に対して交差する(垂直又は略垂直である)。また、ハンドル32は、グリースガン27の長手方向、及び、回動軸C2に沿う方向の両方に対して交差する(垂直又は略垂直な)方向について、ガン本体31に対して並んで配置される。ハンドル32が回動軸C2を中心として回動することにより、ハンドル32は、ガン本体31に対して開く又は閉じる。ハンドル32がガン本体31に対して最も開いた状態等では、ハンドル32は、グリースガン27の長手方向に対して傾斜する状態で、延設される。そして、ガン本体31に対して開いた状態のハンドル32では、グリースガン27の長手方向についてジョイント部35から離れた部位ほど、ガン本体31との間の隙間が大きくなる。なお、回動軸C2に沿う方向は、グリースガン27の長手方向及びハンドル32の開閉方向の両方に対して、交差する(垂直又は略垂直である)。
【0027】
ガン本体31には、グリースカートリッジ(図示しない)を取付け可能であり、グリースカートリッジは、ガン本体31の内部に収納された状態でガン本体31に取付けられる。グリースガン27では、グリースカートリッジがガン本体31に取付けられた状態において、ハンドル32を開いた状態からガン本体31に対して閉じることにより、ノズル33の先端(突出端)からグリースが吐出される。クレーン1のメンテナンスでは、グリースガン27を用いて、対応する作動部分に、ノズル33から吐出されたグリースが供給される。例えば、メンテナンスにおいてグリースガン27を用いてブーム6にグリースが定期的に供給されることにより、ブーム6の長手方向にブーム6が円滑に伸縮作動される。
【0028】
図4は、走行車体2においてガン収納箱22及びその近傍の構成を示す。図5乃至図7は、ガン収納箱22を示す。図4乃至図7に示すように、ガン収納箱22は、箱本体36、及び、箱本体36に対して開閉可能な扉37を備える。箱本体36は、グリースガン27を収納可能なガン収納空洞38を、ガン収納箱22の内部に規定する。扉37は、回動軸P2を中心として回動可能な状態で、箱本体36に取付けられる。回動軸P2は、扉37の箱本体36への連結部分を通り、走行車体2の前後方向に沿う。ここで、図5及び図6は、扉37が閉じた状態を示し、図6は、図5の断面A1を示す。また、図7は、扉37が開いた状態を示す。また、図5乃至図7は、グリースガン27がガン収納空洞38に収納された状態を示す。
【0029】
図8乃至図10は、ガン収納箱22の箱本体36を示す。ここで、図4乃至図9では、走行車体2の幅方向は、矢印W1及び矢印W2で示される。図8は、斜視図であり、図9は、鉛直上側から視た状態を示す。また、図10は、走行車体2の幅方向の外側(矢印W1側)から視た状態を示す。図5乃至図10に示すように、箱本体36は、前方壁41、後方壁42、外側壁43、内側壁45、底壁46及び接続板47を備える。前方壁41は、ガン収納空洞38に走行車体2の前方側から隣接し、後方壁42は、ガン収納空洞38に走行車体2の後方側から隣接する。前方壁41及び後方壁42は、走行車体2の前後方向について、互いに対して離れて配置される。そして、後方壁42は、走行車体2の後方側へ前方壁41から離れて配置され、ガン収納空洞38を間に挟んで前方壁41と対向する。
【0030】
外側壁43は、走行車体2の幅方向の外側からガン収納空洞38に隣接し、内側壁45は、走行車体2の幅方向の内側(矢印W2側)からガン収納空洞38に隣接する。外側壁43及び内側壁45は、走行車体2の幅方向について、互いに対して離れて配置される。そして、内側壁45は、走行車体2の幅方向の内側へ外側壁43から離れて配置され、ガン収納空洞38を間に挟んで外側壁43と対向する。外側壁43及び内側壁45のそれぞれは、前方壁41から後方壁42まで、走行車体2の前後方向に沿って延設される。また、前方壁41及び後方壁42のそれぞれは、外側壁43から内側壁45まで、走行車体2の幅方向に沿って延設される。
【0031】
底壁46は、鉛直下側からガン収納空洞38に隣接する。前方壁41、後方壁42、外側壁43及び内側壁45のそれぞれの鉛直下側の端は、底壁46に接続される。そして、前方壁41、後方壁42、外側壁43及び内側壁45のそれぞれは、底壁46から鉛直上側へ向かって延設される。また、接続板47は、内側壁45の鉛直上側の端から、走行車体2の幅方向の内側に向かって突出する。また、接続板47の前方端は、内側壁45と前方壁41との境界部分に接続され、接続板47の後方端は、内側壁45と後方壁42との境界部分に接続される。接続板47の厚さ方向は、鉛直方向と一致又は略一致する。ガン収納箱22は、接続板47が固定ねじ48等を介して車体フレーム11に接続された状態で、車体フレーム11に取付けられる(図4等参照)。
【0032】
前方壁41と後方壁42との間の距離は、外側壁43と内側壁45との間の距離、及び、底壁46と内側壁45の鉛直上側の端(接続板47)との間の距離のそれぞれに比べて、遥かに大きい。このため、走行車体2の前後方向に沿ったガン収納空洞38の寸法は、走行車体2の幅方向に沿ったガン収納空洞38の寸法、および、鉛直方向に沿ったガン収納空洞38の寸法のそれぞれに比べて、遥かに大きい、したがって、走行車体2の前後方向に沿ったガン収納箱22の寸法は、走行車体2の幅方向に沿ったガン収納箱22の寸法、および、鉛直方向に沿ったガン収納箱22の寸法のそれぞれに比べて、遥かに大きい。
【0033】
また、ガン収納箱22では、外側壁43の内表面に1つ以上の支持突起51が形成される。本実施形態では、支持突起51は2つ設けられる。支持突起51のそれぞれは、ガン収納空洞38において、走行車体2の幅方向の内側へ外側壁43から突出する。本実施形態では、支持突起51のそれぞれの鉛直下側の端は、底壁46に接続され、支持突起51のそれぞれは、底壁46から鉛直上側へ延設される。また、本実施形態では、支持突起51は、走行車体2の前後方向について互いに対して離れて配置される。そして、支持突起51のそれぞれは、後方壁42に比べて前方壁41に近い位置に、配置される。また、支持突起51のそれぞれは、走行車体2の幅方向の外側へ、内側壁45から離れて配置される。このため、ガン収納空洞38では、支持突起51のそれぞれの突出端と内側壁45との間に隙間が形成される。
【0034】
支持突起51のそれぞれは、傾斜面54を備える。支持突起51のそれぞれでは、傾斜面54が鉛直上側を向き、傾斜面54によって鉛直上側の端が形成される。傾斜面54のそれぞれは、走行車体2の幅方向に対して傾斜する状態に、延設される。傾斜面54のそれぞれでは、走行車体2の幅方向について内側の部位ほど、鉛直下側に位置する。すなわち、傾斜面54のそれぞれは、内側壁45に近づくほど鉛直下側に位置する状態に、延設される。
【0035】
また、ガン収納箱22の箱本体36の底壁46には、底壁突出部52が設けられる。底壁突出部52は、底壁46の他の部位に比べて、鉛直下側へ突出する。本実施形態では、底壁突出部52は、走行車体2の前後方向について底壁46の前方側の端部から、走行車体2の後方側へ向かって延設される。そして、底壁46では、走行車体2の前後方向について後方側の部位には、底壁突出部52は形成されない。したがって、底壁突出部52は、走行車体2の前後方向について、底壁46の前方側の端部から底壁46の中央部に渡って、連続して形成される。また、底壁突出部52では、走行車体2の前方側の部位ほど、突出量が大きい。すなわち、底壁突出部52では、走行車体2の前後方向について前方端(一端)に近いほど、突出量が大きい。
【0036】
また、中継フレーム21Aは、カバーフレーム24を備える。カバーフレーム24は、底壁突出部52に対して走行車体2の幅方向の外側に並んで配置される。このため、底壁突出部52は、走行車体2の幅方向の外側から、カバーフレーム24で覆われる。したがって、底壁突出部52は、走行車体2の幅方向の外側に露出しない。
【0037】
ガン収納空洞38では、底壁突出部52によって、底壁46の一部が鉛直下側へ凹む溝53が形成される。ガン収納空洞38では、溝53は、走行車体2の前後方向に沿って延設され、走行車体2の前後方向に沿った寸法が大きい長溝状に形成される。溝53は、走行車体2の前後方向について、底壁突出部52が形成される範囲に渡って形成される。このため、溝53は、走行車体2の前後方向について、ガン収納空洞38の前方側の端部からガン収納空洞38の中央部に渡って、連続して形成される。そして、ガン収納空洞38(底壁46)では、走行車体2の前後方向について後方側の部位に、溝53は形成されない。
【0038】
また、ガン収納空洞38では、支持突起51は、走行車体2の前後方向について溝53が形成される範囲内に、配置される。ただし、ガン収納空洞38では、溝53は、支持突起51の突出端に対して、走行車体2の幅方向の内側に形成される。したがって、溝53は、走行車体2の幅方向について、支持突起51のそれぞれの突出端と内側壁45との間に配置される。
【0039】
溝53は、溝底部(溝底面)55、段差端面56及び溝側面57,58を備える。溝底部55は、走行車体2の前後方向について、溝53の前方端(一端)から溝53の後方端(他端)まで延設される。段差端面56は、走行車体2の前後方向について溝53の前方端(一端)に、形成される。また、溝53では、溝側面57が、走行車体2の幅方向の外側の側面を形成し、溝側面58が、走行車体2の幅方向の内側の側面を形成する。このため、溝側面57,58は、走行車体2の幅方向について互いに対して離れて配置され、溝側面57,58の間に、溝底部55が形成される。段差端面56及び溝側面57,58は、溝53の溝底部55と底壁46の内表面の溝53以外の部位との間に、段差を形成する。このため、溝53の前方端(一端)には、段差端面56による段差が形成される。ただし、走行車体2の前後方向について溝53の段差端面56とは反対側の端(後方端)には、段差が形成されない。
【0040】
溝底部55は、溝53の前方端から溝53の後方端まで、走行車体2の前後方向に対して傾斜する状態に、延設される。溝底部55では、走行車体2の前方側の部位ほど、鉛直下側に位置する。すなわち、溝底部55では、段差端面56(溝53の一端)に近い部位ほど、鉛直下側に位置する。このため、溝53では、走行車体2の前方側の部位ほど、凹み量が大きく、深さが深い。すなわち、溝53では、段差端面56(溝53の前方端)に近い部位ほど、深さが深い。そして、溝53では、段差端面56(前方端)が最も深い位置となり、段差端面56とは反対側の端(後方端)が最も浅い位置となる。したがって、段差端面56は、溝53の最も深い位置において、溝底部55から鉛直上側に向かって延設される。なお、段差端面56とは反対側の端での溝53の深さは、ゼロ又は略ゼロになる。
【0041】
グリースガン27は、グリースガン27の長手方向(中心軸C1に沿う方向)が走行車体2の前後方向と一致又は略一致する状態で、ガン収納箱22のガン収納空洞38に収納される。そして、グリースガン27は、ノズル33がガン本体31に対して走行車体2の後方側に位置し、かつ、ハンドル32がガン本体31に対して鉛直下側に位置する状態で、ガン収納空洞38に収納される。
【0042】
ガン収納空洞38にグリースガン27が収納された状態では、支持突起51のそれぞれの傾斜面54がガン本体31に鉛直下側から当接し、ガン本体31は支持突起51によって鉛直下側から支持される。また、ガン収納空洞38にグリースガン27が収納された状態では、ガン本体31は、支持突起51のそれぞれから走行車体2の幅方向の内側へ押圧され、内側壁45から走行車体2の幅方向の外側へ押圧される。このため、グリースガン27は、ガン本体31が走行車体2の幅方向について支持突起51と内側壁45との間で挟まれた状態で、ガン収納空洞38に収納される。前述のようにグリースガン27が収納されるため、ガン収納空洞38では、ガン本体31が支持突起51を超えて鉛直下側へ移動することが規制され、ガン本体31が溝53に挿入されることが防止される。
【0043】
また、グリースガン27は、ハンドル32が溝53に配置された状態で、ガン収納空洞38に収納される。前述のように、ガン本体31に対して最も開いた状態のハンドル32では、グリースガン27の長手方向についてジョイント部35から離れた部位ほど、ガン本体31との間の隙間が大きくなる。そして、溝53では、段差端面56(溝53の前方端)に近い部位ほど、深さが深い。このため、ハンドル32が溝53に配置され、かつ、支持突起51がガン本体31の移動を前述のように規制することにより、ハンドル32は、ガン本体31に対して最も開いた状態で維持される。したがって、グリースガン27は、支持突起51及び溝53によってハンドル32がガン本体31に対して開かれた状態で、ガン収納空洞38に収納される。
【0044】
また、ガン収納箱22では、扉37が開いた状態において、ガン収納空洞38の開口部63が形成される。本実施形態では、ガン収納空洞38は、鉛直上側に向かって開口するとともに、走行車体2の幅方向の外側へ向かって開口する。また、扉37が開いた状態では、開口部63は、前方壁41から後方壁42まで、走行車体2の前後方向に沿って連続して延設される。開口部63において鉛直上側へ開口する部分は、接続板47に対して走行車体2の幅方向の外側に隣接して形成される。そして、開口部63において走行車体2の幅方向の外側へ開口する部分は、外側壁43に対して鉛直上側に隣接して形成される。
【0045】
扉37は、走行車体2の前後方向に垂直又は略垂直な断面において、L字形状又は略L字形状になる。扉37は、延設板部61,62を備える。扉37が閉じた状態では、ガン収納空洞38の開口部63が、扉37によって塞がれる。扉37が閉じた状態では、扉37は、前方壁41から後方壁42まで、走行車体2の前後方向に沿って連続して延設される。そして、扉37が閉じた状態では、延設板部61は、鉛直上側からガン収納空洞38に隣接し、延設板部62は、走行車体2の幅方向について外側からガン収納空洞38に隣接する。また、扉37が閉じた状態では、延設板部61は、接続板47に対して走行車体2の幅方向の外側に隣接し、延設板部62は、外側壁43に対して鉛直上側に隣接する。
【0046】
本実施形態では、前述のように、走行車体2の左方側部においてフロントフェンダー15Aとリアフェンダー16Aとの間の中継フレーム21Aに、ガン収納箱22が設けられる。そして、走行車体2では、工具箱23,25は、ガン収納箱22とは異なる位置に設けられる。したがって、本実施形態では、グリースガン27以外の工具を収納する工具箱23,25とは別に、グリースガン27専用の収納箱としてガン収納箱22が設けられる。グリースガン27がグリースガン27以外の工具とは別の収納部分に収納されるため、グリースガン27及びグリースガン27以外の工具を円滑に収納可能になる。
【0047】
また、グリースガン27がグリースガン27以外の工具とは別の収納部分に収納されることにより、工具の収納部分となるガン収納箱22及び工具箱23,25のそれぞれの大型化が、抑制される。これにより、旋回体3の旋回動作及びブーム6の起伏動作等のそれぞれにおいて、ガン収納箱22及び工具箱23,25のそれぞれのブーム6等の作業装置及び旋回体3との干渉が、有効に抑制される。グリースガン27がグリースガン27以外の工具とは別の収納部分に収納されることにより、工具が収納されている状態において、グリースガン27以外の工具へのグリースガン27から漏れたグリースの付着等が、有効に防止される。
【0048】
また、本実施形態では、前述のように、フロントフェンダー15Aとリアフェンダー16Aとの間の中継フレーム21Aに、ガン収納箱22が形成されるとともに、エンジン17及び排気系統18は、走行車体2において後輪13A,13B(リアフェンダー16A,16B)に対して後方側の部位に設置される。このため、走行車体2では、ガン収納箱22は、エンジン17及び排気系統18から大きく離れて配置される。したがって、グリースガン27がガン収納箱22のガン収納空洞38に収納された状態において、エンジン17及び排気系統18からの熱によるグリースの溶融等が、有効に防止される。
【0049】
グリースガン27では、長手方向に沿った寸法は大きいが、長手方向に対して交差する(垂直又は略垂直な)方向に沿った寸法は小さい。そして、グリースガン27は、グリースガン27の長手方向が走行車体2の前後方向と一致又は略一致する状態で、ガン収納箱22のガン収納空洞38に収納される。このため、走行車体2の幅方向に沿ったガン収納箱22の寸法、及び、鉛直方向に沿ったガン収納箱22の寸法が、小さくなる。これにより、ガン収納箱22の大型化が適切に抑制される。
【0050】
また、フロントフェンダー15Aとリアフェンダー16Aとの間の中継フレーム21Aにガン収納箱22を設けることにより、走行車体2の前後方向に沿ったガン収納箱22(ガン収納空洞38)の寸法を大きく確保可能になる。したがって、長手方向に沿った寸法が大きいグリースガン27であっても、グリースガン27の長手方向が走行車体2の前後方向と一致又は略一致する状態で収納することにより、グリースガン27がガン収納空洞38に適切に収納される。
【0051】
また、本実施形態では、ガン収納空洞38にグリースガン27が収納された状態において、支持突起51によって、ガン本体31が支持突起51を超えて鉛直下側へ移動することが規制され、ハンドル32が溝53に配置される。前述のようにグリースガン27が収納されるため、走行車体2の幅方向に沿ったガン収納空洞38の寸法は、回動軸C2に沿う方向についてのガン本体31の寸法より、大きければよい。すなわち、支持突起51及び底壁突出部52(溝53)をガン収納箱22に形成することにより、走行車体2の幅方向に沿ったガン収納空洞38の寸法をさらに小さくすることが可能になる。したがって、中継フレーム21Aにおいて、ガン収納箱22が占めるスペースをさらに小さくすることが可能になる。
【0052】
また、本実施形態では、ハンドル32が溝53に配置され、かつ、支持突起51がガン本体31の溝53への移動を規制することにより、ハンドル32は、ガン本体31に対して最も開いた状態で維持される。このため、グリースガン27がガン収納空洞38に収納された状態では、最も開いた状態からハンドル32がガン本体31に対して閉じることが、有効に防止される。このため、グリースガン27がガン収納空洞38に収納された状態において、グリースがグリースガン27から漏れることが、有効に防止される。
【0053】
また、ガン収納箱22の底壁46では、底壁突出部52によってハンドル32が配置される溝53が形成され、底壁突出部52以外の部位では、底壁46は鉛直下側へ突出しない。そして、溝53では、ガン本体31に対して最も開いた状態でのハンドル32の形状に対応して深さが調整され、段差端面56(溝53の前方端)に近い部位ほど、深さが深い。このため、底壁突出部52では、走行車体2の前後方向について前方端(一端)に近いほど、突出量が大きい。前述のように底壁46及び底壁突出部52が形成されるため、ガン収納箱22の近傍において、周辺機器を配置するスペースが適切に確保される。
【0054】
また、ガン収納箱22では、扉37が開いた状態において、ガン収納空洞38の開口部63は、鉛直上側へ開口する。このため、グリースガン27を用いたクレーン1のメンテナンス作業等において、作業者は、走行車体2上に昇った状態で、ガン収納空洞38からグリースガン27を取出すことが可能になる。そして、作業者は、走行車体2上に昇った状態で、ガン収納空洞38へグリースガン27を収納可能になる。これにより、クレーン1のメンテナンス作業等において、走行車体2上へ作業者が昇る回数及び走行車体2上から作業者が降りる回数等が減少し、作業効率が向上する。
【0055】
(変形例)
なお、ある変形例では、扉37が開いた状態において、ガン収納空洞38の開口部63は、走行車体2の幅方向の外側へは開口せず、鉛直上側へのみ開口してもよい。この場合も、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0056】
また、ある変形例では、底壁突出部52は、走行車体2の前後方向について底壁46の後方側の端部から、走行車体2の後方側へ向かって延設される。そして、底壁46では、走行車体2の前後方向について前方側の部位には、底壁突出部52は形成されない。したがって、底壁突出部52は、走行車体2の前後方向について、底壁46の後方側の端部から底壁46の中央部に渡って、連続して形成される。また、本変形例の底壁突出部52では、走行車体2の前後方向について後方端(一端)に近いほど、突出量が大きい。
【0057】
また、本変形例でも、底壁突出部52によって、ガン収納空洞38に溝53が形成される。そして、本変形例では、溝53は、走行車体2の前後方向について、ガン収納空洞38の後方側の端部からガン収納空洞38の中央部に渡って、連続して形成される。そして、ガン収納空洞38(底壁46)では、走行車体2の前後方向について前方側の部位に、溝53は形成されない。本変形例でも、ガン収納空洞38では、支持突起51は、走行車体2の前後方向について溝53が形成される範囲内に、配置される。したがって、支持突起51は、前方壁41に比べて後方壁42に近い位置に、配置される。
【0058】
また、本変形例では、溝53の後方端(一端)に、段差端面56が形成される。そして、走行車体2の前後方向について溝53の段差端面56とは反対側の端(前方端)には、段差が形成されない。また、本変形例の溝53では、段差端面56(溝53の後方端)に近い部位ほど、深さが深い。そして、溝53では、段差端面56(後方端)が最も深い位置となり、段差端面56とは反対側の端(前方端)が最も浅い位置となる。
【0059】
本変形例でも、グリースガン27は、グリースガン27の長手方向(中心軸C1に沿う方向)が走行車体2の前後方向と一致又は略一致し、かつ、ハンドル32がガン本体31に対して鉛直下側に位置する状態で、ガン収納空洞38に収納される。ただし、本変形例では、グリースガン27は、ノズル33がガン本体31に対して走行車体2の前方側に位置する状態で、ガン収納空洞38に収納される。このため、本変形例でも、ハンドル32が溝53に配置され、かつ、支持突起51がガン本体31の溝53への移動を規制した状態で、グリースガン27がガン収納空洞38に収納される。これにより、グリースガン27がガン収納空洞38に収納された状態では、ハンドル32は、ガン本体31に対して最も開いた状態で維持される。したがって、本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0060】
また、ある変形例では、走行車体2の右方側部の中継フレーム21Bに、ガン収納箱22が形成されてもよい。この場合、中継フレーム21Aにガン収納箱22が形成される前述の実施形態等と同様に、中継フレーム21Bにガン収納箱22が形成される。本変形例でも、グリースガン27以外の工具が収納される工具箱23,25は、走行車体2においてガン収納箱22とは異なる位置に、設けられる。ガン収納箱22が中継フレーム21Bに形成される場合、例えば、工具箱23は、走行車体2の左方側部の中継フレーム21Aに取付けられ、工具箱25は、後輪13A,13Bに対して後方側の部位で、車体フレーム11上に設置される。本変形例でも、前述の実施形態等と同様の作用及び効果を奏する。
【0061】
また、前述の実施形態等では、クレーン1を例に挙げて説明したが、前述したガン収納箱22の構造、及び、走行車体2におけるガン収納箱22及び工具箱23,25の配置は、走行車体2及び旋回体3を備える建設機械であれば、適用可能である。前述の実施形態等の構成が適用されるクレーン1以外の建設機械としては、例えば、油圧ショベル等が挙げられる。
【0062】
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
【符号の説明】
【0063】
1…クレーン、2…走行車体、3…旋回体、11…車体フレーム、12A,12B…前輪、13A,13B…後輪、15A,15B…フロントフェンダー、16A,16B…リアフェンダー、17…エンジン、21A,21B…中継フレーム、22…ガン収納箱、23,25…工具箱、27…グリースガン、31…ガン本体、32…ハンドル、33…ノズル、36…箱本体、37…扉、38…ガン収納空洞、43…外側壁、45…内側壁、46…底壁、51…支持突起、52…底壁突出部、53…溝。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10