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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】景品獲得ゲーム装置
(51)【国際特許分類】
   A63F 9/30 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
A63F9/30 502C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020087519
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021180756
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-02-17
(73)【特許権者】
【識別番号】306014714
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコアミューズメント
(73)【特許権者】
【識別番号】517173422
【氏名又は名称】株式会社バンダイナムコテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100090387
【弁理士】
【氏名又は名称】布施 行夫
(74)【代理人】
【識別番号】100090398
【弁理士】
【氏名又は名称】大渕 美千栄
(72)【発明者】
【氏名】笹島 幸志
【審査官】柳 重幸
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-024170(JP,A)
【文献】特開2005-080891(JP,A)
【文献】特開2013-165767(JP,A)
【文献】特開2019-129854(JP,A)
【文献】登録実用新案第3023096(JP,U)
【文献】台湾実用新案公告第M567129(TW,U)
【文献】中国実用新案第210186420(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63F 9/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
景品を保持する景品保持機構と、
前記景品保持機構の上方に連結された掴み部を支持する回転盤と、
前記回転盤の上方に設けられ、開閉動作により前記掴み部を把持可能なアーム部と、
前記回転盤及び前記アーム部の動作を制御する制御部と、
プレーヤによる操作を受け付ける操作部とを含み、
前記制御部は、
前記操作部に対する第1の操作があった場合に、前記回転盤の回転を停止し、前記アーム部を下降させた後、前記アーム部を開閉動作させ、前記アーム部を上昇させる制御を行い、
前記景品保持機構は、前記アーム部に把持された前記掴み部とともに上昇した場合に、解放動作を行って前記景品を解放し、
前記回転盤は、複数の前記掴み部を支持し、
前記制御部は、
前記回転盤の駆動装置に備わるエンコーダからの信号に基づき前記回転盤の停止時の回転角度を算出し、算出した回転角度に基づき前記アーム部の真下に最も近い位置で停止した前記掴み部を特定し、特定した前記掴み部に連結された前記景品保持機構に保持される景品の重さの設定情報に基づいて、前記アーム部の把持力を変更することを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記景品保持機構は、前記アーム部に把持された前記掴み部とともに上昇して前記回転盤に当接した場合に、解放動作を行って前記景品を解放することを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記制御部は、
前記操作部に対する第2の操作があった場合に、前記アーム部の下降を停止し、前記アーム部を開閉動作させることを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、
複数の前記掴み部の少なくとも一部は、形状が互いに異なることを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【請求項5】
請求項4において、
複数の前記掴み部の少なくとも一部は、前記アーム部が把持可能な上下方向の位置が互いに異なることを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項において、
前記掴み部の上部と下部とで摩擦抵抗が異なることを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項において、
前記制御部は、
待機状態において前記回転盤を回転させることを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【請求項8】
請求項1乃至のいずれか1項において、
複数の前記掴み部は、外観が互いに異なることを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【請求項9】
請求項1乃至のいずれか1項において、
筐体内部を照らす光源として、指向性の低い光源と、指向性の高い光源とを更に含み、
前記指向性の高い光源は、前記掴み部を照らすことを特徴とする景品獲得ゲーム装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、景品獲得ゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プレーヤがアーム部を操作して景品を掴み取る景品獲得ゲーム装置(クレーンゲーム機)が知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2005-205169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のクレーンゲーム機は、第1のボタンと第2のボタンによりアーム部の左右方向及び奥行方向の位置を決め、その後、アーム部が自動的に下降し、景品を保持・搬送した後に解放するものであり、それ以外のゲーム性をもったクレーンゲーム機は殆ど提案されていなかった。
【0005】
本発明は、以上のような課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、従来のクレーンゲームにない新しいゲーム性を実現することが可能な景品獲得ゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明は、景品を保持する景品保持機構と、前記景品保持機構の上方に連結された掴み部を支持する回転盤と、前記回転盤の上方に設けられ、開閉動作により前記掴み部を把持可能なアーム部と、前記回転盤及び前記アーム部の動作を制御する制御部と、プレーヤによる操作を受け付ける操作部とを含み、前記制御部は、前記操作部に対する第1の操作があった場合に、前記回転盤の回転を停止し、前記アーム部を下降させた後、前記アーム部を開閉動作させ、前記アーム部を上昇させる制御を行い、前記景品保持機構は、前記アーム部に把持された前記掴み部とともに上昇した場合に、解放動作を行って前記景品を解放することを特徴とする景品獲得ゲーム装置に関する。
【0007】
本発明によれば、プレーヤによる第1の操作により回転盤が停止してアーム部が下降し、アーム部が回転盤に支持された掴み部を把持して上昇することで当該掴み部に連結された景品保持機構が上昇した場合に、当該景品保持機構に保持された景品が解放されるといった従来のクレーンゲームにない新しいゲーム性を実現することができる。
【0008】
(2)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、前記景品保持機構は、前記アーム部に把持された前記掴み部とともに上昇して前記回転盤に当接した場合に、解放動作を行って前記景品を解放してもよい。
【0009】
本発明によれば、プレーヤによる第1の操作により回転盤が停止してアーム部が下降し、アーム部が回転盤に支持された掴み部を把持して上昇することで当該掴み部に連結された景品保持機構が上昇して回転盤に当接した場合に、当該景品保持機構に保持された景品が解放されるといった従来のクレーンゲームにない新しいゲーム性を実現することができる。
【0010】
(3)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、前記制御部は、前記操作部に対する第2の操作があった場合に、前記アーム部の下降を停止し、前記アーム部を開閉動作させてもよい。
【0011】
本発明によれば、プレーヤによる第1の操作により回転盤が停止してアーム部が下降し、プレーヤによる第2の操作によりアーム部の下降が停止し、アーム部が回転盤に支持された掴み部を把持して上昇することで当該掴み部に連結された景品保持機構が上昇した場合に、当該景品保持機構に保持された景品が解放されるといった従来のクレーンゲームにない新しいゲーム性を実現することができる。
【0012】
(4)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、前記回転盤は、複数の前記掴み部を支持し、複数の前記掴み部の少なくとも一部は、形状が互いに異なっていてもよい。
【0013】
本発明によれば、アーム部が把持し易そうな形状の掴み部を狙って操作を行うといったゲーム性を実現することができる。
【0014】
(5)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、複数の前記掴み部の少なくとも一部は、前記アーム部が把持可能な上下方向の位置が互いに異なっていてもよい。
【0015】
本発明によれば、所望の掴み部の形状に応じた操作を行うといったゲーム性を実現することができる。
【0016】
(6)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、前記掴み部の上部と下部とで摩擦抵抗が異なっていてもよい。
【0017】
本発明によれば、掴み部の把持され易さを適切に調整することができる。
【0018】
(7)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、前記制御部は、待機状態において前記回転盤を回転させてもよい。
【0019】
本発明によれば、待機状態においても、回転盤を回転させて景品保持機構に保持された景品を動かして見せることで、顧客吸引力を向上させることができる。
【0020】
(8)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、前記制御部は、前記景品保持機構に保持される景品の重さの設定情報に基づいて、前記アーム部の把持力を変更してもよい。
【0021】
本発明によれば、景品保持機構に保持される景品の重さに応じてアーム部の把持力を適切に調整することができる。
【0022】
(9)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、前記回転盤は、複数の前記掴み部を支持し、複数の前記掴み部は、外観が互いに異なっていてもよい。
【0023】
本発明によれば、複数の掴み部のそれぞれを容易に識別できるようにして、プレーヤが掴み部を狙い易くすることができる。
【0024】
(10)また本発明に係る景品獲得ゲーム装置では、筐体内部を照らす光源として、指向性の低い光源と、指向性の高い光源とを更に含み、前記指向性の高い光源は、前記掴み部を照らしてもよい。
【0025】
本発明によれば、指向性の低い光源により筐体内部の空間を照らして顧客吸引力を向上
させるとともに、指向性の高い光源により回転盤を照らして掴み部を視認し易くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本実施形態の景品獲得ゲーム装置を示す斜視図。
図2】回転盤の上面図。
図3】連結棒を介して接続された景品保持機構及び掴み部の側面図。
図4】連結棒を介して接続された景品保持機構及び掴み部の側面図。
図5】景品保持機構の部分透視図。
図6】本実施形態の景品獲得ゲーム装置の機能ブロック図の一例を示す図。
図7】本実施形態の景品獲得ゲーム装置の処理の流れを示すフローチャート。
図8】掴み部の側面図。
図9】景品獲得ゲーム装置を背面側から見た斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必要構成要件であるとは限らない。
【0028】
図1は、本実施形態の景品獲得ゲーム装置を示す斜視図である。景品獲得ゲーム装置1は、2つのステーション2から構成され、2人のプレーヤで1台の景品獲得ゲーム装置1を利用して、2人のプレーヤが同時にゲームプレイできるように構成されている。
【0029】
景品獲得ゲーム装置1(ステーション2)は、筐体10と、景品保持機構20と、回転盤30と、アーム部40と、プレーヤ用操作部50とを含む。
【0030】
筐体10は、その正面及び側面が、透明板11(例えば、アクリル板)で構成され、筐体10の内部にゲーム空間12が形成されている。ゲーム空間12の下面側であってアーム部40の下方には、景品を落下させるエリアとして機能する開口エリア13が形成されている。開口エリア13は、筐体10の下部正面に設けられた景品取出口14に連通しており、開口エリア13に落下した景品をプレーヤが取り出し可能に形成されている。
【0031】
景品保持機構20は、景品を保持する機構である。なお、図1では、景品保持機構20に保持される景品を図示していない。景品保持機構20の上方には、連結棒60を介して掴み部61が連結されている。景品保持機構20の詳細については後述する。
【0032】
回転盤30は、上下(垂直)方向に延びる支持棒31に固定的に取り付けられ、支持棒31の中心軸を回転軸として支持棒31とともに回転する円盤型部材である。支持棒31は、回転盤30(円盤)の中心に接続している。回転盤30は、複数(ここでは、8個)の掴み部61を支持し、各掴み部61の下方に連結された各景品保持機構20を吊り下げ支持する。
【0033】
図2に、回転盤30の上面図を示す。回転盤30には、上下方向に貫通する複数の開口部32が形成されている。開口部32の径は、連結棒60の径よりも大きく、掴み部61の径(水平方向の最大長さ)よりも小さい。連結棒60は回転盤30の開口部32を貫通し、連結棒60の上端に連結された掴み部61が回転盤30の上面に当接することで、掴み部61は回転盤30に支持され、連結棒60の下端に連結された景品保持機構20は回転盤30に吊り下げ支持される。回転盤30の複数の開口部32は、回転盤30(支持棒31)の中心から等距離の円CR上に互いに所定距離だけ離間して配置されている。円CRの半径は、回転盤30中心からアーム部40までの水平方向の距離と等しく、複数の開
口部32(複数の掴み部61)は、回転盤30が回転している状態でアーム部40の真下を通過する位置に配置されている。
【0034】
図1の説明に戻ると、アーム部40は、回転盤30の上方に設けられ、複数(ここでは、3つ)の把持爪41を備える。把持爪41は、アーム部40に備わるモータにより開閉動作し、把持爪41を閉じることで掴み部61を把持可能に、把持爪41を開くことで把持した掴み部61を解放可能に構成されている。把持爪41は、樹脂製であっても金属製であってもよいが、樹脂製(例えば、ABS等の硬化樹脂製)とすることで、軽量化して掴み部61を把持し易くすることができ、また、回転盤30を傷つけ難くすることができる。更に、図1に示すように把持爪41の先端部を丸い形状とし、当該先端部の素材をゴムやシリコンなどの弾性体としてもよい。このようにすると、掴み部61を掴み易くするとともに、回転盤30だけでなく掴み部61を傷つけ難くし、回転盤30や掴み部61へのダメージを軽減することができる。
【0035】
アーム部40は、筐体10の上面部からワイヤで吊り下げ支持され、ワイヤの送り出しと巻き取りを行うモータにより昇降可能に構成されている。アーム部40は、回転盤30に向かって下降し、把持爪41の開閉動作により回転盤30上の掴み部61を把持し、掴み部61を把持した状態で上昇することで、掴み部61及び景品保持機構20を上昇させる(掴み上げる)ことが可能に構成されている。景品保持機構20は、アーム部40によって把持された掴み部61とともに上昇して回転盤30の下面に当接した場合に、解放動作を行って保持した景品を解放する。
【0036】
プレーヤ用操作部50は、回転盤30の回転を停止するための回転停止ボタン51と、アーム部40の下降を停止するための下降停止ボタン52とを含む。
【0037】
景品獲得ゲーム装置1の待機状態(ゲーム開始前)において、回転盤30は一定速度で一定方向に回転している。待機状態においても回転盤30を回転させて景品保持機構20に保持された景品を動かして見せることで、顧客吸引力を向上させることができる。また、待機状態において、アーム部40は、最大限上昇した位置をホームポジションとして、把持爪41を開いた状態で静止している。コインの投入によりゲームが開始されると、回転盤30の回転速度が上がる。そしてプレーヤにより回転停止ボタン51が操作される(第1の操作が行われる)と、回転盤30は回転を停止し、アーム部40は下降を開始する。プレーヤは、所望の掴み部61(所望の景品を保持する景品保持機構20の上方に連結された掴み部61)がアーム部40の真下で停止するように、タイミングを図って回転停止ボタン51を操作する。アーム部40の下降中にプレーヤにより下降停止ボタン52が操作される(第2の操作が行われる)か、下降停止ボタン52が操作されずにアーム部40が回転盤30に到達すると、アーム部40は下降を停止し、把持爪41の閉動作を行う。その後、アーム部40は上昇し、ホームポジションに到達した後、所定時間経過後に把持爪41の開動作を行う。アーム部40が掴み部61を把持した状態を維持したまま上昇して所定の高さに到達すると、当該掴み部61の下方に連結された景品保持機構20が回転盤30の下面に当接し、当該景品保持機構20は解放動作を行って景品を解放する。景品保持機構20から解放された景品は開口エリア13に落下する。その後、把持爪41の開動作により、当該掴み部61はアーム部40から解放され、回転盤30上に落下する。そして、待機モードに移行し、回転盤30の回転が再開される。
【0038】
景品獲得ゲーム装置1(ステーション2)は、筐体10内部(ゲーム空間12)を照らす光源70,71を備える。光源70は、指向性の低い電球型の光源(例えば、拡散レンズと組み合わされたLED光源)であり、筐体10内部の複数個所に設けられ、筐体10内部の空間を広範囲に照らす。光源70により筐体10内部の空間を照らすことで、景品獲得ゲーム装置1の見栄えを良くして顧客吸引力を向上させることができる。光源71は
、指向性の高いハロゲン型の光源(例えば、集光レンズと組み合わされたLED光源)であり、回転盤30の上方に設けられ、回転盤30を上方から照らす。光源71により回転盤30を照らすことで、掴み部61を視認し易くすることができる。また、光源70,71は、発光色を変更可能に構成されている。
【0039】
図3図4は、連結棒60を介して接続された景品保持機構20及び掴み部61の側面図であり、図3は、景品保持機構20が景品を保持しているとき(解放動作前)の状態を示し、図4は、景品保持機構20が景品を解放したとき(解放動作後)の状態を示す。
【0040】
図3に示すように、掴み部61がアーム部40によって掴み上げられていない場合、掴み部61の下端部が回転盤30の上面に当接することで、掴み部61は回転盤30に支持される。掴み部61は、多面体形状をなしており、上部部材62と下部部材63とから形成されている。上部部材62は、上方に先細りになるテーパー形状をなし、下部部材63は、下方に先細りになるテーパー形状を有している。アーム部40(把持爪41)の閉動作により、把持爪41が下部部材63の先細り部分に侵入すると、掴み部61は、アーム部40によって把持される。なお、上部部材62と下部部材63の摩擦抵抗を異ならせることで、掴み部61の把持され易さを調整するようにしてもよい。例えば、下部部材63を摩擦抵抗や粘度の高い素材で形成したり、下部部材63にシボ加工やヘアライン加工を施したりすることで、掴み部61が把持され易くなるようにすることができる。掴み部61は、平面視において第1方向の長さと第2方向(第1方向と直交する方向)の長さが異なる不均一な形状となっている(図2参照)。そのため、掴み部61の回転盤30上での向きによって、アーム部40に把持され易かったり把持され難かったりする。
【0041】
景品保持機構20は、上部筐体21と、下部筐体22と、フック状部材23と、フック受部材24とを有する。フック状部材23は、景品を吊り下げて保持するための可動部材である。フック受部材24は、フック状部材23が閉じた状態において、フック状部材23の先端部(一端部)を受け入れる固定部材である。景品を景品保持機構20に保持させる場合、フック状部材23が開いた状態において、景品に取り付けられたループ状部材などをフック状部材23に引っ掛けた後、フック状部材23を手動で閉じる。
【0042】
図4に示すように、掴み部61がアーム部40によって掴み上げられ、景品保持機構20の上部筐体21が回転盤30の下面に当接して、上部筐体21が下部筐体22側に押し込まれると、フック状部材23の先端部がフック受部材24から離れる方向に回動して開き、景品保持機構20に保持された景品が解放される。
【0043】
図5に、景品保持機構20の部分透視図を示す。景品保持機構20の筐体(上部筐体21、下部筐体22)の内部には、可動部材25が収容されている。可動部材25は、バネにより図中反時計回りの方向に付勢されている。また、フック状部材23は、バネ26により図中反時計回りの方向(開く方向)に付勢されているが、上部筐体21が下部筐体22側に押し込まれていない状態において、フック状部材23の他端部(先端部の反対側の端部)に設けられた爪部27(図4参照)が可動部材25に設けられた凹部に挿入されていることで、閉じた状態を維持している。また、上部筐体21は、2つのバネ28により上方向に付勢されている。上部筐体21を2つのバネ28で付勢することで、上部筐体21が回転盤30の下面に当接して下部筐体22側に押し込まれるときに、上部筐体21の状態を水平状態に保つことができる。上部筐体21が回転盤30の下面に当接して下部筐体22側に押し込まれると、可動部材25が図中時計回りに回動する。すると、フック状部材23の爪部27が可動部材25の凹部から脱落することで、フック状部材23は図中反時計回りに回動して開く(解放動作を行う)。
【0044】
図6に、本実施形態の景品獲得ゲーム装置1の機能ブロック図の一例を示す。なお本実
施形態の景品獲得ゲーム装置1は図6の構成要素(各部)の一部を省略した構成としてもよい。景品獲得ゲーム装置1は、処理部100と、操作部110と、コイン検知部120と、張力センサ130と、記憶部140と、駆動部150と、通信部160とを含む。
【0045】
操作部110は、プレーヤ用操作部50と、メンテナンス用操作部111とを含む。プレーヤ用操作部50は、回転停止ボタン51と下降停止ボタン52により実現され、プレーヤからの操作入力を受け付け、操作信号を処理部100に出力する。メンテナンス用操作部111は、オペレータからの操作入力(例えば、景品の重さを入力する操作)を受け付け、操作信号を処理部100に出力する。
【0046】
コイン検知部120(コインセレクタ)は、筐体10に設けられたコイン投入口へのコインの投入を検知し、検出信号を処理部100に出力する。
【0047】
張力センサ130は、アーム部40が下降して回転盤30に到達したときのワイヤの弛みを検出し、検出信号を処理部100に出力する。
【0048】
記憶部140は、処理部100の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムや各種データを記憶するとともに、処理部100のワーク領域として機能し、その機能はハードディスク、RAMなどにより実現できる。
【0049】
駆動部150は、回転盤30、アーム部40及び光源70,71の駆動装置であり、回転盤30(支持棒31)を回転させるモータ、アーム部40を昇降させるモータ、把持爪41を開閉させるモータ、及び、光源70,71を発光させるドライバを含む。
【0050】
通信部160は、他の景品獲得ゲーム装置1との間で通信を行うための各種制御を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ又は通信用ASICなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0051】
処理部100(プロセッサ)は、操作部110からの操作信号、コイン検知部120及び張力センサ130からの検出信号、通信部160を介して受信したデータ、プログラムなどに基づいて、景品獲得ゲーム装置1を制御する各種処理を行う。処理部100の機能は各種プロセッサ(CPU、DSP等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムにより実現できる。処理部100は、動作制御部101(制御部)と、設定部102とを含む。
【0052】
動作制御部101は、プレーヤ用操作部50からの操作信号、コイン検知部120及び張力センサ130からの検出信号、プログラムなどに基づいて、駆動部150に制御信号を出力して、回転盤30、アーム部40及び光源70,71の動作を制御する。また、動作制御部101は、他の景品獲得ゲーム装置1に制御信号を送信して(或いは、他の景品獲得ゲーム装置1から送信された制御信号に基づいて)、複数の景品獲得ゲーム装置1間で光源70,71の動作を同期させる(発光色を同一にする、同一タイミングで発光色を変更する)ように制御してもよい。
【0053】
設定部102は、メンテナンス用操作部111からの操作信号に基づいて、記憶部140に記憶された設定情報を更新する。動作制御部101は、景品保持機構20に保持される景品の重さの設定情報に基づいてアーム部40の把持力を変更し、設定された景品の重さが大きいほどアーム部40の把持力が大きくなるように制御する。
【0054】
図7は、本実施形態の景品獲得ゲーム装置1の処理の流れを示すフローチャートである。
【0055】
待機状態において、回転盤30は、回転速度V1で回転している。まず、動作制御部101は、コイン検知部120によってコインの投入が検出されたか否かを判断し(ステップS10)、コインの投入が検出された場合(ステップS10のY)には、回転盤30の回転速度を上げて、回転盤30を回転速度V2(V2>V1)で回転させる(ステップS11)。
【0056】
次に、動作制御部101は、回転停止ボタン51が操作されたか否かを判断し(ステップS12)、回転停止ボタン51が操作された場合(ステップS12のY)には、回転盤30の回転を停止し(ステップS13)、アーム部40の下降を開始する(ステップS14)。次に、動作制御部101は、下降停止ボタン52が操作されたか否かを判断し(ステップS15)、下降停止ボタン52が操作されていない場合(ステップS15のN)には、張力センサ130からの検出信号に基づいてアーム部40が回転盤30に到達したか否かを判断する(ステップS16)。下降停止ボタン52が操作された場合(ステップS15のY)、アーム部40が回転盤30に到達した場合(ステップS16のY)には、動作制御部101は、アーム部40の下降を停止し(ステップS17)、アーム部40(把持爪41)を閉動作させる(ステップS18)。ステップS18において、動作制御部101は、記憶部140に記憶された設定情報(景品の重さの設定情報)に基づいて、閉動作時のアーム部40の把持力を制御する。
【0057】
次に、動作制御部101は、アーム部40をホームポジションまで上昇させ(ステップS19)、所定時間経過後に、アーム部40(把持爪41)を開動作させる(ステップS20)。このとき、アーム部40が所定の高さに到達するまで掴み部61を把持した状態を維持した(景品保持機構20の上部筐体21が回転盤30の下面に当接することで、上部筐体21が下部筐体22側に押し込まれた)場合には、景品保持機構20の解放動作により、景品が景品保持機構20から解放されて開口エリア13に落下し、その後、アーム部40の開動作により、掴み部61がアーム部40から解放されて回転盤30に落下する。次に、動作制御部101は、待機モードに移行し、回転盤30を回転速度V1で回転させる(ステップS21)。
【0058】
本実施形態の景品獲得ゲーム装置1によれば、回転盤30に支持された所望の掴み部61がアーム部40の真下で停止するようにタイミングを図って回転停止ボタン51を操作して回転盤30の回転を停止させ(掴み部61の位置決めを行い)、その後アーム部40が下降して掴み部61を把持し、当該掴み部61を把持したまま所定の高さまで上昇すると、当該掴み部61に連結された景品保持機構20が解放動作を行って景品を解放して当該景品を獲得できる、といった従来のクレーンゲームにない新しいゲーム性を実現することができる。アーム部40が掴み部61を把持できなかった場合や、アーム部40の上昇中に(アーム部40が所定の高さに到達する前に)アーム部40から掴み部61が脱落してしまった場合には、景品保持機構20の解放動作は行われず、プレーヤは景品を獲得することができない。掴み部61の停止位置がアーム部40の真下に近い(アーム部40の垂直軸と掴み部61の垂直軸間の距離が短い)ほど、当該掴み部61はアーム部40に把持され易くなり、且つアーム部40の上昇中においてアーム部40が掴み部61を把持する状態が維持され易くなる。一方、掴み部61の停止位置がアーム部40の真下から遠いほど、掴み部61はアーム部40に把持され難くなり、アーム部40が掴み部61を把持したとしても、アーム部40は掴み部61を安定的に把持できず、掴み部61(連結棒60)が傾いた状態で上昇する等して、掴み部61はアーム部40から脱落し易くなる。なお、アーム部40の把持力がある程度大きければ、アーム部40が安定的に掴み部61を把持できなくても、アーム部40が掴み部61を把持したまま所定の高さに到達することがあり得る。
【0059】
従来のクレーンゲームは、アーム部が直接景品を把持する仕組みであるため、景品を掴み上げることがそもそも難しく、プレーヤの景品獲得への期待感を高めることが難しかった。本実施形態のクレーンゲームは、アーム部40が掴み部61(アーム部40に把持される部材として専用に設計された部材)を把持する仕組みであるため、掴み部61をある程度の精度で位置決めすれば、ある程度までは掴み部61を掴み上げることができるため、プレーヤの景品獲得への期待感を高めることができる。
【0060】
アーム部40の把持力が同じである場合、景品保持機構20に保持される景品が重いほど当該景品保持機構20に連結された掴み部61を把持するアーム部40にかかる荷重は大きくなるため、当該掴み部61はアーム部40から脱落し易くなる。本実施形態では、オペレータによって入力された景品の重さの設定情報に基づきアーム部40の把持力を制御することで、景品の重さに応じてアーム部40の把持力を適切に調整することができる。なお、複数の景品保持機構20に保持される複数の景品の重さがそれぞれ異なる場合、オペレータが複数の景品保持機構20(複数の掴み部61)ごとに景品の重さを入力して設定できるようにしてもよい。この場合、動作制御部101は、回転盤30の駆動装置に備わるエンコーダからの信号に基づき回転盤30の停止時の回転角度を算出し、算出した回転角度に基づき特定される掴み部61(アーム部40の真下に最も近い位置で停止した掴み部61)に対応する景品の重さの設定情報に基づいて、アーム部40の把持力を変更するようにしてもよい。なお、アーム部40の把持力はアーム部40の上昇中において一定であってもよいし、アーム部40の上昇に従って把持力を徐々に小さく(或いは大きく)するようにしてもよい。
【0061】
複数の掴み部61は同一の形状であってもよいし、複数の掴み部61の全部又は一部の形状が互いに異なっていてもよい。複数の掴み部61の形状を異ならせることで、プレーヤは、アーム部40が掴み易そうな形状の掴み部61を狙って回転停止ボタン51を操作したり、アーム部40が掴み難そうな形状ではあるが所望の景品を獲得可能な掴み部61を狙って回転停止ボタン51を操作したりするプレイを楽しむことができる。
【0062】
複数の掴み部61の形状を異ならせる場合、アーム部40が把持可能な上下方向の位置が異なるようにしてもよい。例えば、図8に示すように、複数の掴み部61として、アーム部40が把持可能な位置PS(アーム部40の閉動作時に把持爪41が侵入可能な先細り部分)が低い位置(回転盤30に近い位置)にある掴み部61aと、アーム部40が把持可能な位置PSが掴み部61aよりも高い位置(回転盤30から遠い位置)にある掴み部61bとが混在していてもよい。この場合、掴み部61aをアーム部40で把持するには、アーム部40を低い位置で停止させる必要があり、掴み部61bをアーム部40で把持するには、アーム部40を高い位置で停止させる必要がある。このようにすると、プレーヤは、所望の掴み部61の形状(把持可能な位置PS)に応じて、アーム部40が所望の掴み部61を把持できるようにアーム部40の下降中にタイミングを図って下降停止ボタン52を操作するといったプレイを楽しむことができる。
【0063】
また、複数の掴み部61を容易に識別できるようにする(掴み部61を狙い易くする)ために、複数の掴み部61の外観(色など)を互いに異ならせるようにしてもよい。また、回転盤30上の掴み部61(開口部32)それぞれの近傍に数字やマーク等の識別標識を付加することで、複数の掴み部61を容易に識別できるようにしてもよい。例えば、回転盤30が8個の掴み部61を支持する場合、回転盤30上の8個の掴み部61それぞれの近傍に「1」~「8」の数字を付加する(例えば、数字を印刷したシールを貼付する)ようにしてもよい。
【0064】
複数台の景品獲得ゲーム装置1を配置(レイアウト)する場合、複数台の景品獲得ゲーム装置1を左右方向に並べて配置することもできるし、2台の景品獲得ゲーム装置1を上
下方向に積み上げて配置することもできる。また、2台の景品獲得ゲーム装置1を背中合わせに並べて配置することもできる。この場合、筐体10の上部背面に備わる脱着可能な背面板15(図9参照)を取り外した上で、2台の景品獲得ゲーム装置1を背中合わせに配置する。このようにすると、プレーヤは手前側の景品獲得ゲーム装置1のゲーム空間12を通して奥側の景品獲得ゲーム装置1のゲーム空間12を見通すことができ、プレーヤが感じる圧迫感を軽減することができる。
【0065】
本発明は、上記実施形態で説明したものに限らず、種々の変形実施が可能である。例えば、明細書又は図面中の記載において広義や同義な用語として引用された用語は、明細書又は図面中の他の記載においても広義や同義な用語に置き換えることができる。
【0066】
例えば、上記実施形態では、掴み部61が回転盤30の上面に直接当接し、景品保持機構20(上部筐体21)が回転盤30の底面に直接当接する例について説明したが、回転盤30の開口部32の上下の周囲に中空状の筒状部材(樹脂製のハトメや、開口部32の周縁を補強するリブ等)を別パーツとして挟み込んだり締結して取り付けることで、掴み部61が当該筒状部材を介して回転盤30の上面に当接し、景品保持機構20が当該筒状部材を介して回転盤30の底面に当接するようにしてもよい。このようにすると、回転盤30の摩耗や破損を防ぐことができ、また、筒状部材が破損しても交換が容易である。また、回転盤30底面の開口部32の周囲に取り付ける筒状部材の高さを変えることで、難易度調整を行うことができる。すなわち、当該筒状部材の高さを大きくするほど、景品保持機構20が回転盤30底面の筒状部材に当接して解放動作を行うまでの上昇距離が短くなるため、難易度は低くなる。
【符号の説明】
【0067】
1…景品獲得ゲーム装置、2…ステーション、10…筐体、11…透明板、12…ゲーム空間、13…開口エリア、14…景品取出口、15…背面板、20…景品保持機構、21…上部筐体、22…下部筐体、23…フック状部材、24…フック受部材、25…可動部材、26…バネ、27…爪部、28…バネ、30…回転盤、31…支持棒、32…開口部、40…アーム部、41…把持爪、50…プレーヤ用操作部、51…回転停止ボタン、52…下降停止ボタン、60…連結棒、61…掴み部、62…上部部材、63…下部部材、70,71…光源、100…処理部、101…動作制御部、102…設定部、110…操作部、111…メンテナンス用操作部、120…コイン検知部、130…張力センサ、140…記憶部、150…駆動部、160…通信部
図1
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図5
図6
図7
図8
図9