(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】システム、処理装置、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/16 20060101AFI20240716BHJP
G06F 9/48 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G06F11/16 633
G06F9/48 370
(21)【出願番号】P 2020097779
(22)【出願日】2020-06-04
【審査請求日】2022-11-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】大橋 洋介
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋祐
(72)【発明者】
【氏名】松山 貴紀
【審査官】坂東 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-193112(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0332464(US,A1)
【文献】特開2005-182532(JP,A)
【文献】特開2007-011673(JP,A)
【文献】特開2016-139883(JP,A)
【文献】再公表特許第2013/051131(JP,A1)
【文献】特開2012-050011(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 11/16
G06F 9/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された処理要求に従って所定の処理を実行する複数の処理装置を含むシステムであって、
前記複数の処理装置の各々は、少なくとも一つの他の処理装置と情報を伝達可能に接続されており、
前記処理要求は、前記複数の処理装置のいずれかに接続された外部装置により入力され、
前記複数の処理装置の各々は、他の処理装置のうち当該処理装置を介して前記外部装置からの情報を受け取るすべての処理装置が前記所定の処理を正常に完了したことに基づいて、前記所定の処理を開始
し、
前記所定の処理は、前記複数の処理装置による協調動作を行うために必要な処理装置間のペアリングを登録または解消する処理である、
システム。
【請求項2】
前記複数の処理装置のうち、前記外部装置が接続される処理装置を除く処理装置の各々は、他の処理装置を介して受け取った前記外部装置からの情報に基づいて実行した前記所定の処理の実行結果を、当該他の処理装置に伝達する、
請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記複数の処理装置の各々は、入力された前記処理要求を、当該処理要求をまだ受け取っていない少なくとも一つの他の処理装置に伝達する、
請求項1または請求項2のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項4】
前記複数の処理装置のうち、前記外部装置が接続される処理装置を除く処理装置の各々は、生成した乱数を含む確認要求を前記外部装置からの情報を当該処理装置に伝達した他の処理装置に入力し、当該他の処理装置から前記乱数を用いて行った演算の結果を含む確認応答を受け取り、前記確認応答に基づいて当該他の処理装置の真正性が認められた場合、前記所定の処理を実行する、
請求項1から請求項
3までのいずれか一項に記載のシステム。
【請求項5】
複数の同種の装置と接続され、処理要求に従って所定の処理を実行する処理装置であって、
前記処理要求は、外部装置により前記複数の同種の装置のいずれかに入力され、
前記複数の同種の装置のうち当該処理装置を介して前記外部装置からの情報を受け取るすべての同種の装置が前記所定の処理を正常に完了したことに基づいて、前記所定の処理を開始する処理部、
を備
え、
前記所定の処理は、前記複数の処理装置による協調動作を行うために必要な処理装置間のペアリングを登録または解消する処理である、
処理装置。
【請求項6】
コンピュータを、
複数の同種の装置と接続され、処理要求に従って所定の処理を実行する処理装置、として機能させ、
前記処理要求は、外部装置により前記複数の同種の装置のいずれかに入力され、
前記処理装置に、
前記複数の同種の装置のうち当該処理装置を介して前記外部装置からの情報を受け取るすべての同種の装置が前記所定の処理を正常に完了したことに基づいて、前記所定の処理を開始さ
せ、
前記所定の処理は、前記複数の処理装置による協調動作を行うために必要な処理装置間のペアリングを登録または解消する処理である、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、処理装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、複数の装置の協調により動作するシステムが多く開発されている。例えば、特許文献1では、マスターと複数のスレーブを備えるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のようなシステムでは、複数の装置が順に処理を実行する場合においていずれかの装置でエラーが発生した場合、当該エラーが発生する以前に別の装置が行った処理が無駄になることや、当該処理が実行される前の状態に装置を復帰しなくてはならないことがある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、複数の装置による一連の処理をより確実に完遂することが可能な仕組みを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、入力された処理要求に従って所定の処理を実行する複数の処理装置を含むシステムであって、前記複数の処理装置の各々は、少なくとも一つの他の処理装置と情報を伝達可能に接続されており、前記処理要求は、前記複数の処理装置のいずれかに接続された外部装置により入力され、前記複数の処理装置の各々は、他の処理装置のうち当該処理装置を介して前記外部装置からの情報を受け取るすべての処理装置が前記所定の処理を正常に完了したことに基づいて、前記所定の処理を開始する、システムが提供される。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、複数の同種の装置と接続され、処理要求に従って所定の処理を実行する処理装置であって、前記処理要求は、外部装置により前記複数の同種の装置のいずれかに入力され、前記複数の同種の装置のうち当該処理装置を介して前記外部装置からの情報を受け取るすべての同種の装置が前記所定の処理を正常に完了したことに基づいて、前記所定の処理を開始する処理部、を備える、処理装置が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、複数の同種の装置と接続され、処理要求に従って所定の処理を実行する処理装置、として機能させ、前記処理要求は、外部装置により前記複数の同種の装置のいずれかに入力され、前記処理装置に、前記複数の同種の装置のうち当該処理装置を介して前記外部装置からの情報を受け取るすべての同種の装置が前記所定の処理を正常に完了したことに基づいて、前記所定の処理を開始させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、複数の装置による一連の処理をより確実に完遂することが可能な仕組みが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
【
図2】同実施形態に係る処理装置10の構成例を示すブロック図である。
【
図3】比較対象システム8による処理の流れを示すシーケンス図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るシステム
1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.実施形態>
<<1.1.システム構成例>>
まず、本開示の一実施形態に係るシステム1の構成例について述べる。
図1は、本開示の一実施形態に係るシステム1の構成例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係るシステム1は、複数の処理装置10を備える。また、複数の処理装置10のうちいずれか一つには、外部装置20が接続される。
【0013】
(処理装置10)
本実施形態に係る処理装置10は、入力された処理要求に従って所定の処理を実行する情報処理装置である。本実施形態に係る複数の処理装置10の各々は、少なくとも一つの他の処理装置と情報を伝達可能に接続される。
【0014】
また、本実施形態に係るシステム1においては、上記の処理要求は、複数の処理装置10のいずれかに接続された外部装置20により入力される。
【0015】
また、本実施形態に係る複数の処理装置10の各々は、入力された処理要求を、当該処理要求をまだ受け取っていない少なくとも一つの他の処理装置に伝達してもよい。
【0016】
例えば、
図1には、本実施形態に係るシステム1が、4つの処理装置10a~10dを備える場合が例示されている。また、
図1に示す一例では、処理装置10aに外部装置20が接続される。
【0017】
この場合、処理装置10aは、他の処理装置10b~10dのうち、処理装置10bと情報を伝達可能に接続される。処理装置10aは、外部装置20から入力された処理要求を含む情報を、処理装置10bに伝達する。
【0018】
また、処理装置10bは、他の処理装置10a、10cおよび10dと情報を伝達可能に接続される。処理装置10bは、処理装置10aを介して受け取った外部装置20からの情報を、処理装置10cおよび10dに伝達する。
【0019】
また、処理装置10cは、他の処理装置10a、10b、10dのうち、処理装置10bと情報を伝達可能に接続される。処理装置10cは、処理装置10aおよび10bを介して外部装置20からの情報を受け取る。
【0020】
同様に、処理装置10dは、他の処理装置10a~10cのうち、処理装置10bと情報を伝達可能に接続される。処理装置10dは、処理装置10aおよび10bを介して外部装置20からの情報を受け取る。
【0021】
本実施形態に係る複数の処理装置10の各々は、上記のような情報伝達により、外部装置20が発行する処理要求を含む情報を受け取り、当該情報に基づいて所定の処理を実行する。
【0022】
本実施形態に係る処理装置10の一例としては、例えば、超広帯域(UWB:Ultra-Wide Band)の周波数を用いた無線通信を行う通信装置などが挙げられる。
【0023】
なお、
図1では、本実施形態に係るシステム1が4つの処理装置10a~10dを備える場合を例示したが、本実施形態に係るシステム1が備える処理装置10の数は係る例に限定されない。本実施形態に係るシステム1は、2つ以上の任意の数の処理装置10を備えることができる。
【0024】
また、
図1に示す複数の処理装置10の間における情報の伝達関係はあくまで一例である。本実施形態に係るシステム1において、複数の処理装置10の間における情報の伝達関係は、任意に構成可能である。
【0025】
例えば、本実施形態に係る複数の処理装置10は、直列に情報を伝達するように接続されてもよい。
【0026】
一例として、システム1が4つの処理装置10a~10dを備える場合、外部装置20によりシステム1に入力される情報は、処理装置10a、10b、10c、10dの順に伝達されていってもよい。
【0027】
また、例えば、本実施形態に係る複数の処理装置10は、外部装置20から直接的に入力された情報に基づいてマスターとして動作する単一の処理装置10と、当該マスターとして動作する処理装置10を介して外部装置20からの情報を取得し、スレーブとして動作するその他の処理装置10と、に分類されてもよい。
【0028】
一例として、システム1が4つの処理装置10a~10dを備える場合、マスターとして動作する処理装置10aは外部装置20から直接的に入力された情報に基づいて、スレーブとして動作する処理装置10b~10dを制御してもよい。また、この場合、スレーブとして動作する処理装置10b~10dのそれぞれは、処理装置10aを介して外部装置20からの情報を受け取り、当該情報に基づいて処理を行ってもよい。
【0029】
以上、本実施形態に係るシステム1の構成例について述べた。上述したように、本実施形態に係るシステム1では、外部装置20から入力された処理要求を含む情報が、複数の処理装置10の間で伝達され、複数の処理装置10の各々は、受け取った情報に基づいて所定の処理を実行する。
【0030】
ここで、本実施形態に係る複数の処理装置10の各々は、他の処理装置10のうち、当該処理装置10を介して外部装置20からの情報を受け取るすべての処理装置が所定の処理を正常に完了したことに基づいて、所定の処理を開始する、ことを特徴の一つとする。
【0031】
上記の特徴によれば、複数の装置による一連の処理をより確実に完遂することが可能となる。本実施形態に係る複数の処理装置10が有する機能の詳細については別途後述する。
【0032】
(外部装置20)
本実施形態に係る外部装置20は、システム1が備える複数の処理装置10のうちのいずれかに処理要求を含む情報を入力する装置である。本実施形態に係る外部装置20は、有線通信または無線通信のいずれかにより複数の処理装置10のうちのいずれかと情報を伝達可能に接続される。
【0033】
<<1.2.処理装置10の機能構成例>>
次に、本実施形態に係る処理装置10の機能構成例について述べる。
図2は、本実施形態に係る処理装置10の機能構成例を示すブロック図である。
図2に示すように、本実施形態に係る処理装置10は、処理部110、記憶部120、および通信部130を少なくとも備える。
【0034】
(処理部110)
本実施形態に係る処理部110は、入力される情報に基づいて各種の処理を実行する。例えば、本実施形態に係る処理部110は、入力された処理要求に基づいて、当該処理要求に対応する所定の処理を実行する。
【0035】
また、本実施形態に係る処理部110は、システム1が備える複数の処理装置10のうち、当該処理装置10を介して外部装置20からの情報を受け取るすべての処理装置10が所定の処理を正常に完了したことに基づいて、所定の処理を開始する、ことを特徴の一つとする。
【0036】
処理部110の機能は、各種のプロセッサにより実現される。本実施形態に係る処理部110が有する機能の詳細については別途後述する。
【0037】
(記憶部120)
本実施形態に係る記憶部120は、処理装置10による処理に用いられる各種の情報等を記憶する。例えば、記憶部120は、処理部110が用いるプログラム等を記憶する。
【0038】
(通信部130)
本実施形態に係る通信部130は、少なくとも一つの他の処理装置10との間において情報通信を行う。例えば、通信部130は、少なくとも一つの処理装置10に対し、外部装置20からの情報を伝達するか、あるいは、外部装置20からの情報を他の処理装置10を介して取得する。また、本実施形態に係る通信部130は、外部装置20との間において情報通信を行ってもよい。この場合、通信部130は、処理要求を含む情報を外部装置20から受信する。
【0039】
以上、本実施形態に係る処理装置10の機能構成例について述べた。なお、
図2を用いて説明した上記の機能構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る処理装置10の機能構成は係る例に限定されない。本実施形態に係る処理装置10の機能構成は仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0040】
<<1.3.処理の流れ>>
次に、本実施形態に係るシステム1による処理の流れについて詳細に説明する。本実施形態に係るシステム1においては、外部装置20により入力される処理要求を含む情報が、データの流れに沿って、複数の処理装置10の間で伝達される。
【0041】
また、複数の処理装置10の各々は、データの流れに沿って取得した処理要求に基づいて所定の処理を実行する。
【0042】
上記所定の処理の一例としては、例えば、複数の処理装置10による協調動作に係る処理が挙げられる。
【0043】
上記複数の処理装置10による協調動作に係る処理は、例えば、当該協調動作を行うために必要な処理装置10間のペアリングを登録する処理、またはペアリングを解消する処理であってもよい。
【0044】
係る処理の流れによれば、データの流れに沿って外部装置20からの情報を取得した複数の処理装置10が、順にペアリングの登録や解消を行うことができ、全体としての処理効率を向上させることができる。
【0045】
しかし、本実施形態に係るシステム1のように複数の装置が順に処理を実行するシステムにおいて、いずれかの装置でエラーが発生した場合、当該エラーが発生する以前に別の装置が行った処理が無駄になることや、当該処理が実行される前の状態に装置を復帰しなくてはならないことがある。
【0046】
ここで、本実施形態に係るシステム1が有する特徴について詳細に説明するために、まず、比較対象システム8による処理の流れについて述べる。
【0047】
図3は、比較対象システム8による処理の流れを示すシーケンス図である。
図3に示す一例において、比較対象システム8は、本実施形態に係る処理装置10に対応する3つの処理装置80a~80cを備える。
【0048】
なお、
図3においては、処理装置80aが本実施形態に係る外部装置20に対応する外部装置90と接続されるものとする。また、
図3においては、処理装置80aと処理装置80b、処理装置80bと処理装置80cが、それぞれ情報伝達が可能に接続されるものとする。
【0049】
また、以下においては、処理要求に従って処理装置80の各々が実行する所定の処理が、上述したペアリングを登録または解消する処理である場合について述べる。
【0050】
この場合、比較対象システム8による処理においては、まず、処理装置80aに外部装置90から処理要求が入力される(S102)。
【0051】
次に、処理装置80aの処理部810aは、ステップS102において入力された処理要求が処理装置80bに伝達されるよう制御を行う(S104)。
【0052】
次に、処理装置80bの処理部810bは、ステップS104において入力された処理要求に基づいて、乱数の生成を行う(S106)。
【0053】
また、処理装置80bの処理部810bは、ステップS106において生成した乱数を含む確認要求が処理装置80aに入力されるよう制御を行う(S108)。
【0054】
次に、処理装置80aの処理部810aは、ステップS108において入力された確認要求に含まれる乱数に基づく演算を実行する(S110)。
【0055】
また、処理装置80aの処理部810aは、ステップS110において行った演算の結果を含む確認応答が処理装置80bに入力されるよう制御を行う(S112)。
【0056】
次に、処理装置80bの処理部810bは、ステップS112において入力された確認応答に含まれる演算結果に基づく照合を行う(S114)。例えば、処理部810bは、ステップS106において生成した乱数と予め処理装置80aおよび80bの間で共有されるコードとを用いた演算の結果と、上記確認応答に含まれる演算結果とが一致するか否かを判定してもよい。
【0057】
ここで、確認応答に含まれる演算結果に基づく照合の結果、処理装置80aの真正性が認められた場合、処理装置80bの処理部810bは、ステップS104において入力された処理要求に従って、処理装置80aと処理装置80bとの間におけるペアリングの登録または解消に係る処理を行う(S116)。
【0058】
また、処理装置80aの処理部810aも、同様にペアリングの登録または解消に係る処理を行う(S118)。
【0059】
次に、ステップS116において所定の処理を実行した処理装置80bの処理部810bが、ステップS104において入力された処理要求が、処理装置80cに伝達されるよう制御を行う(S120)。
【0060】
次に、処理装置80cの処理部810cは、ステップS120において入力された処理要求に基づいて、乱数の生成を行う(S122)。
【0061】
また、処理装置80cの処理部810cは、ステップS122において生成した乱数を含む確認要求が処理装置80bに入力されるよう制御を行う(S124)。
【0062】
次に、処理装置80bの処理部810bは、ステップS124において入力された確認要求に含まれる乱数に基づく演算を実行する(S126)。
【0063】
また、処理装置80bの処理部810bは、ステップS126において行った演算の結果を含む確認応答が処理装置80cに入力されるよう制御を行う(S128)。
【0064】
次に、処理装置80cの処理部810cは、ステップS128において入力された確認応答に含まれる演算結果に基づく照合を行う(S130)
【0065】
ここで、確認応答に含まれる演算結果に基づく照合の結果、処理装置80bの真正性が認められた場合、処理装置80cの処理部810cは、ステップS120において入力された処理要求に従って、処理装置80bと処理装置80cとの間におけるペアリングの登録または解消に係る処理を行う(S132)。
【0066】
また、処理装置80bの処理部810bも、同様にペアリングの登録または解消に係る処理を行う(S134)。
【0067】
以上、比較対象システム8による処理の流れについて説明した。なお、上記では、乱数を用いた演算結果に基づいて処理装置80aおよび80bの真正性が共に認められる場合の流れを述べた。
【0068】
しかし、例えば、ステップS130において、ステップS126における演算結果が有効ではなく、処理装置80bの真正性が認められなかった場合を想定する。また、ここで、所定の処理がペアリングの解消に係る処理である場合、処理装置80bと処理装置80cとの間におけるペアリングが残ったまま、処理装置80aと処理装置80bとの間におけるペアリングが解消される結果となる。
【0069】
この場合、外部装置20から入力される処理要求の伝達に基づいて処理装置80bと処理装置80cとの間のペアリングを解消することが不可能となるため、処理装置80bおよび処理装置80cの部品交換を行うことが必要となってしまう。
【0070】
本発明の技術思想は上記の点に着目して発想されたものであり、複数の装置による一連の処理をより確実に完遂することを可能とする。このために、本発明の一実施形態に係る複数の処理装置10の各々は、他の処理装置10のうち当該処理装置10を介して外部装置20からの情報を受け取るすべての処理装置10が所定の処理を正常に完了したことに基づいて、所定の処理を開始する、ことを特徴の一つとする。
【0071】
以下、上記の特徴を有する複数の処理装置10を備えるシステム1の処理の流れについて詳細に説明する。
【0072】
図4は、本実施形態に係るシステム
1による処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4に示す一例において、システム1は、3つの処理装置10a~10cを備える。
【0073】
なお、
図4においては、処理装置10aが外部装置20と接続されるものとする。また、
図4においては、処理装置10aと処理装置10b、処理装置10bと処理装置10cが、それぞれ情報伝達が可能に接続されるものとする。
【0074】
また、以下においては、処理要求に従って処理装置10の各々が実行する所定の処理が、上述のペアリング登録または解消に係る処理である場合について述べる。
【0075】
この場合、本実施形態に係るシステム1による処理においては、まず、処理装置10aに外部装置20から処理要求が入力される(S202)。
【0076】
次に、処理装置10aの処理部110aは、ステップS202において入力された処理要求が処理装置10bに伝達されるよう制御を行う(S204)。
【0077】
次に、処理装置10bの処理部110bは、ステップS204において入力された処理要求に基づいて、乱数の生成を行う(S206)。
【0078】
また、処理装置10bの処理部110bは、ステップS206において生成した乱数を含む確認要求が処理装置10aに入力されるよう制御を行う(S208)。
【0079】
次に、処理装置10aの処理部110aは、ステップS208において入力された確認要求に含まれる乱数に基づく演算を実行する(S210)。
【0080】
また、処理装置10aの処理部110aは、ステップS210において行った演算の結果を含む確認応答が処理装置10bに入力されるよう制御を行う(S212)。
【0081】
次に、処理装置10bの処理部110bは、ステップS212において入力された確認応答に含まれる演算結果に基づく照合を行う(S214)。例えば、処理部110bは、ステップS206において生成した乱数と予め処理装置10aおよび10bの間で共有されるコードとを用いた演算の結果と、上記確認応答に含まれる演算結果とが一致するか否かを判定してもよい。
【0082】
ここで、確認応答に含まれる演算結果に基づく照合の結果、処理装置10aの真正性が認められた場合、処理装置10bの処理部110bは、ペアリングの登録または解消に係る処理を実行せずに、ステップS204において入力された処理要求が処理装置10cに伝達されるように制御する(S216)。
【0083】
次に、処理装置10cの処理部110cは、ステップS216において入力された処理要求に基づいて、乱数の生成を行う(S218)。
【0084】
また、処理装置10cの処理部110cは、ステップS218において生成した乱数を含む確認要求が処理装置10bに入力されるよう制御を行う(S220)。
【0085】
次に、処理装置10bの処理部110bは、ステップS220において入力された確認要求に含まれる乱数に基づく演算を実行する(S222)。
【0086】
また、処理装置10bの処理部110bは、ステップS222において行った演算の結果を含む確認応答が処理装置10cに入力されるよう制御を行う(S224)。
【0087】
次に、処理装置10cの処理部110cは、ステップS224において入力された確認応答に含まれる演算結果に基づく照合を行う(S226)。
【0088】
ここで、確認応答に含まれる演算結果に基づく照合の結果、処理装置10bの真正性が認められた場合、処理装置10cの処理部110cは、ステップS216において入力された処理要求に従って、処理装置10bと処理装置10cとの間におけるペアリングの登録または解消に係る処理を行う(S228)。
【0089】
このように、本実施形態に係る複数の処理装置10の各々は、他の処理装置10のうち当該処理装置10を介して外部装置20からの情報を受け取るすべての処理装置10が所定の処理を正常に完了したこと、に加え、乱数に基づく照合を併せて実施してもよい。
【0090】
例えば、処理装置10の各々は、照合の結果、当該処理装置10に処理要求を伝達した他の処理装置10の真正性が認められない場合には、それ以上の処理要求の伝達を行わず、処理を終了してもよい。
【0091】
すなわち、本実施形態に係る複数の処理装置10のうち、外部装置20が接続される処理装置10を除く処理装置10の各々は、当該処理装置10を介して外部装置20からの情報を受け取るすべての処理装置10が所定の処理を正常に完了した場合、かつ生成した乱数を含む確認要求を外部装置20からの情報を当該処理装置10に伝達した他の処理装置に入力し、当該他の処理装置から乱数を用いて行った演算の結果を含む確認応答を受け取り、当該確認応答に基づいて当該他の処理装置10の真正性が認められた場合に、所定の処理を実行してもよい。
【0092】
上記の処理によれば、処理要求が不正に入力された場合であっても、当該処理要求を棄却することができ、セキュリティ性をより高めることができる。
【0093】
また、処理装置10cの処理部110cは、ステップS228におけるペアリングの登録または解消に係る処理が正常に完了したことを示す処理報告が処理装置10bに伝達されるよう制御を行う(S230)。
【0094】
このように、本実施形態に係るシステム1が備える複数の処理装置10のうち、外部装置20が接続される処理装置10を除く処理装置10の各々は、他の処理装置10を介して受け取った外部装置20からの情報に基づいて実行した所定の処理の実行結果を、当該他の処理装置10に伝達してもよい。
【0095】
上記の情報伝達によれば、所定の処理の実行結果を受け取った他の処理装置10が、当該処理装置10を介して外部装置20からの情報を受け取る処理装置10が所定の処理を正常に完了したか否かを把握することが可能となる。
【0096】
具体的には、
図4に示す一例の場合、処理装置10bの処理部110bは、ステップS230において入力された処理報告に基づいて処理装置10cによるペアリングの登録または解消に係る処理が正常に完了したことを把握することができる。
【0097】
また、
図4に示す一例では、処理装置10cの他に、処理装置10bを介して外部装置20からの情報を受け取る処理装置10が存在しないことから、処理装置10bの処理部110bは、ステップS204において入力された処理要求に従い、ペアリングの登録または解消に係る処理を開始する(S232)。
【0098】
なお、処理装置10bの処理部110bは、ステップS232において、処理装置10bと処理装置10cとの間におけるペアリングの登録または解消に係る処理と、処理装置10aと処理装置10bとの間におけるペアリングの登録または解消に係る処理と、をそれぞれ開始してもよい。
【0099】
また、処理装置10bの処理部110bは、ステップS232におけるペアリングの登録または解消に係る処理が正常に完了したことを示す処理報告が処理装置10aに伝達されるよう制御を行う(S234)。
【0100】
次に、処理装置10aの処理部110aは、ステップS234において入力された処理報告に基づいて、処理装置10aを介して外部装置20からの情報を受け取るすべての処理装置10(ここでは、処理装置10bおよび処理装置10c)がペアリングを登録または解消する処理を正常に完了したことに基づいて、当該処理を開始する(S236)。
【0101】
以上、本実施形態に係るシステム1による処理の流れの一例を示した。なお、
図4では、システム1が3つの処理装置10a~処理装置10cを備え、処理装置10aと処理装置10b、処理装置10bと処理装置10cが、それぞれ情報を伝達可能に接続される場合を示した。
【0102】
一方、上記はあくまで一例に過ぎず、上述したように、本実施形態に係るシステム1において、複数の処理装置10の間における情報の伝達関係は多様な形態を取り得る。
【0103】
例えば、
図1に示す一例の場合、処理装置10bは、処理装置10cおよび10dからそれぞれ処理報告を受信し、処理装置10cおよび10dの両方が所定の処理を正常に完了したことを確認した場合に、所定の処理を実行してよい。
【0104】
また、この場合、処理装置10aは、処理装置10bから処理報告を受信し、処理装置10b~10cのすべてが所定の処理を正常に完了したことを確認した場合に、所定の処理を実行してよい。
【0105】
上記のような処理の流れによれば、いずれかの処理装置10による照合においてエラーが認められた場合であっても、部品の交換を行うことなく再度処理を実行することができ、一連の処理をより確実に完遂することが可能となる。
【0106】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0107】
また、本明細書において説明した各装置による一連の処理は、ソフトウェア、ハードウェア、及びソフトウェアとハードウェアとの組合せのいずれを用いて実現されてもよい。ソフトウェアを構成するプログラムは、例えば、各装置の内部又は外部に設けられる記録媒体(非一時的な媒体:non-transitory media)に予め格納される。そして、各プログラムは、例えば、コンピュータによる実行時にRAMに読み込まれ、CPUなどのプロセッサにより実行される。上記記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリ等である。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信されてもよい。
【符号の説明】
【0108】
1:システム、10:処理装置、110:処理部、120:記憶部、130:通信部、20:外部装置