(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】撮影支援装置、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/08 20120101AFI20240716BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240716BHJP
G06T 11/80 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
G06Q50/08
G06Q50/10
G06T11/80 B
(21)【出願番号】P 2020114277
(22)【出願日】2020-07-01
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】399035766
【氏名又は名称】エヌ・ティ・ティ・コミュニケーションズ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】520240638
【氏名又は名称】スリーアイ インコーポレイティド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】キム ケン
【審査官】加舎 理紅子
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-045404(JP,A)
【文献】特開2008-002980(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0268565(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06T 11/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影対象となる空間における撮影位置の基準点を、前記空間の二次元座標平面の上に設定する基準点設定部と、
設定された前記基準点と前記二次元座標平面を表す情報とに基づいて、
前記基準点から撮影された画像と接続したときに連続する撮影画像を生成可能な距離の範囲を前記二次元座標平面上に設定し、設定した前記距離の範囲内に次の撮影推奨位置を設定する推奨位置設定部と、
設定された前記撮影推奨位置を撮影者に提示するための情報を生成し出力する出力部と
を具備
し、
前記二次元座標平面を表す情報は、前記空間のレイアウトと、前記レイアウトに応じて設定された撮影必要エリアまたは撮影不要エリアとを表す二次元座標情報を含み、
前記推奨位置設定部は、前記二次元座標平面を表す情報に含まれる前記撮影必要エリアまたは撮影不要エリアを表す二次元座標情報を参照して、前記撮影推奨位置を前記撮影不要エリアに設定しないようにする
撮影支援装置。
【請求項2】
前記出力部は、前記撮影者が使用する撮影装置から出力される前記空間の撮影画像に、前記撮影推奨位置を表す図形パターンを表示した撮影支援画像を生成し、生成された前記撮影支援画像を出力する、請求項1に記載の撮影支援装置。
【請求項3】
前記撮影者の前記基準点からの移動量および移動方向を表す情報を取得する移動情報取得部と、
取得された前記移動量および前記移動方向を表す情報と前記撮影推奨位置とに基づいて、移動後の前記撮影者の位置が前記撮影推奨位置を含む所定の範囲内に含まれるか否かを判定する判定部と、
前記判定部による判定結果に基づいて、前記撮影者に対する撮影支援動作を実行する支援動作実行部と
さらに具備する、請求項1に記載の撮影支援装置。
【請求項4】
前記支援動作実行部は、前記判定結果を前記撮影者に報知するための情報を生成して出力する、請求項
3に記載の撮影支援装置。
【請求項5】
前記支援動作実行部は、前記判定部により前記撮影者の前記位置が前記所定の範囲内に含まれないと判定され、この状態で前記撮影者による撮影動作が行われた場合、前記撮影動作が不適切である旨を表す情報を生成し出力する、請求項
4に記載の撮影支援装置。
【請求項6】
前記支援動作実行部は、前記判定部により前記撮影者の前記位置が前記所定の範囲内に含まれないと判定され、この状態で前記撮影者による撮影動作が行われた場合、当該撮影動作により得られた撮影画像を廃棄する、請求項
4に記載の撮影支援装置。
【請求項7】
プロセッサおよびメモリを備える情報処理装置が実行する撮影支援方法であって、
撮影対象となる空間における撮影位置の基準点を、前記空間の二次元座標平面の上に設定する過程と、
設定された前記基準点と前記二次元座標平面を表す情報とに基づいて、
前記基準点から撮影された画像と接続したときに連続する撮影画像を生成可能な距離の範囲を前記二次元座標平面上に設定し、設定した前記距離の範囲内に次の撮影推奨位置を設定する過程と、
設定された前記撮影推奨位置を撮影者に提示するための情報を生成し出力する過程と
を具備し、
前記二次元座標平面を表す情報は、前記空間のレイアウトと、前記レイアウトに応じて設定された撮影必要エリアまたは撮影不要エリアとを表す二次元座標情報を含み、
前記推奨位置を設定する過程は、前記二次元座標平面を表す情報に含まれる前記撮影必要エリアまたは撮影不要エリアを表す二次元座標情報を参照して、前記撮影推奨位置を前記撮影不要エリアに設定しないようにする
撮影支援方法。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれかに記載の撮影支援装置が具備する前記各部の処理を、前記撮影支援装置が備えるプロセッサに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明の実施形態は、例えば撮影者の撮影行動を支援する撮影支援装置、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、事業所やオフィス、住居等の施設を撮影された画像を用いて管理する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、建物内の三次元空間を異なる複数の位置でそれぞれ全方位(360°)を撮影してその撮影画像を記憶媒体に記録し、記録された各全方位画像を接続することにより上記施設内を示す三次元(3D)画像を生成する技術が記載されている。この技術を用いると、例えば施設の管理者または利用者は、現場に出向かなくても施設の状態を3D画像により遠隔的に把握することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許出願公開2018/0075652号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来提案されているシステムでは、三次元空間のどこを撮影するかは撮影者の判断に依存している。このため、重要な場所の撮影漏れを生じたり、3D画像を再生する際に再生画像に不連続な箇所が発生するおそれがある。
【0005】
この発明は上記事情に着目してなされたもので、撮影位置の最適化を図る技術を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためにこの発明に係る撮影支援装置又は撮影支援方法の第1の態様は、撮影対象となる空間における撮影位置の基準点を、前記空間の二次元座標平面の上に設定し、設定された前記基準点と前記二次元座標平面を表す情報とに基づいて、前記基準点から撮影された画像と接続したときに連続する撮影画像を生成可能な距離の範囲を前記二次元座標平面上に設定し、設定した前記距離の範囲内に次の撮影推奨位置を設定し、設定された前記撮影推奨位置を撮影者に提示するための情報を生成し出力する。
また、前記二次元座標平面を表す情報は、前記空間のレイアウトと、前記レイアウトに応じて設定された撮影必要エリアまたは撮影不要エリアとを表す二次元座標情報を含み、
前記推奨位置を設定する過程は、前記二次元座標平面を表す情報に含まれる前記撮影必要エリアまたは撮影不要エリアを表す二次元座標情報を参照して、前記撮影推奨位置を前記撮影不要エリアに設定しないようにするようにしたものである。
【発明の効果】
【0007】
すなわちこの発明の一態様によれば、撮影者に対し撮影推奨位置を提示することが可能となるので、撮影位置の最適化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、この発明の一実施形態に係る撮影支援装置として動作するサーバ装置を含むシステムの概略構成図である。
【
図2】
図2は、
図1に示したシステムにおけるサーバ装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、
図1に示したシステムにおけるサーバ装置のソフトウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、
図3に示したサーバ装置による撮影支援動作の処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、平面図データ上に設定された撮影ポイントの基準点および撮影推奨位置を示す点の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、カメラから出力されるファインダ画像に表示される、撮影推奨位置を表すガイド情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照してこの発明に係わる実施形態を説明する。
[一実施形態]
(構成例)
(1)システム
図1は、この発明の一実施形態に係るシステムの概略構成図である。
このシステムは、撮影支援装置として動作するサーバ装置SVを備えている。そして、このサーバ装置SVと、ユーザが使用するユーザ端末MT,UT1~UTnとの間で、ネットワークNWを介してデータ通信が可能に構成されている。
【0010】
ユーザ端末MT,UT1~UTnには、全方位画像の登録を行うユーザが使用するユーザ端末MTと、登録された画像を閲覧するユーザが使用するユーザ端末UT1~UTnとがあり、いずれも例えばスマートフォンやダブレット型端末等の携帯情報端末により構成される。なお、ユーザ端末としてはノート型のパーソナルコンピュータやデスクトップ型のパーソナルコンピュータを用いてもよく、またネットワークNWへの接続インタフェースについても無線に限らず有線を使用してもよい。
【0011】
ユーザ端末MTは、カメラCMとの間で例えば信号ケーブルまたはBluetooth(登録商標)等の小電力無線データ通信インタフェースを介してデータ伝送が可能となっている。カメラCMは、全方位を撮影可能なカメラからなり、例えば高さ位置を一定に保持することが可能な三脚に固定されている。カメラCMは、撮影された全方位画像データを、上記小電力無線データ通信インタフェースを介してユーザ端末MTへ送信する。
【0012】
またユーザ端末MTは、例えばGPS(Global Positioning System)または無線LAN(Local Area Network)から送信される信号を利用して現在位置を測定する機能を有する。またユーザ端末MTは、例えば建物内のように上記位置測定機能を使用できない場合に備え、ユーザが基準点となる位置座標を手動入力する機能を有している。
【0013】
ユーザ端末MTは、上記カメラCMから一つの位置で撮影された全方位画像データを受信するごとに、当該撮影位置を表す位置座標を、上記基準点の位置座標と、内蔵する動きセンサ(例えば加速度センサとジャイロセンサ)により計測された移動距離および移動方向とをもとに算出する。そして、受信された上記全方位画像データを、計算された上記撮影位置座標と撮影日時を表す情報と共に、ネットワークNWを介してサーバ装置SVへ送信する。これらの処理は、事前にインストールされた専用のアプリケーションにより実行される。
【0014】
ユーザ端末UT1~UTnは、例えばブラウザを有する。そして、上記ブラウザによりサーバ装置SVにアクセスし、ユーザの入力操作に応じて、所望の施設およびフロアの、所望の日時における所望の場所の画像をダウンロードして、ディスプレイに表示する機能を有している。
【0015】
なお、ネットワークNWは、インターネットを含むIP網と、このIP網にアクセスするためのアクセスネット網とから構成される。アクセス網としては、例えば公衆有線網や携帯電話網、有線LAN(Local Area Network)、無線LAN、CATV(Cable Television)等が用いられる。
【0016】
(2)サーバ装置SV
図2および
図3は、それぞれサーバ装置SVのハードウェア構成およびソフトウェア構成を示すブロック図である。
サーバ装置SVは、クラウド上またはWeb上に設置されたサーバコンピュータからなり、中央処理ユニット(Central Processing Unit:CPU)等のハードウェアプロセッサを有する制御部1を備える。そして、この制御部1に対しバス4を介して記憶部2および通信インタフェース(通信I/F)3を接続したものとなっている。
【0017】
通信I/F3は、制御部1の制御の下、ネットワークNWを介して上記ユーザ端末MT,UT1~UTnとの間でデータの送受信を行うもので、例えば有線ネットワーク用のインタフェースが用いられる。
【0018】
記憶部2は、例えば、主記憶媒体としてHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等の随時書込みおよび読出しが可能な不揮発性メモリを使用する。なお、記憶媒体としては、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を組み合わせて使用してもよい。
【0019】
記憶部2の記憶領域には、プログラム記憶領域とデータ記憶領域が設けられている。プログラム記憶領域には、OS(Operating System)等のミドルウェアに加えて、この発明の一実施形態に係る各種制御処理を実行するために必要なプログラムが格納される。
【0020】
データ記憶領域には、一実施形態を実施する上で必要な記憶部として、平面図データ記憶部21と、ガイド画像記憶部22と、撮影画像記憶部23が設けられ、さらに制御部1による各種処理に必要な作業用の記憶部が設けられている。
【0021】
平面図データ記憶部21は、上記対象施設の各フロアの二次元座標平面を表す平面図データを記憶するために用いられる。上記二次元座標平面はフロアの部屋や設備等の配置を表すレイアウトが反映されたもので、撮影が必要なエリアまたは撮影が不要なエリアを指定した情報を含んでいる。
【0022】
ガイド画像記憶部22は、撮影推奨位置を表示するための図形パターンを記憶するために用いられる。図形パターンは、例えばリング状をなし、かつフロアの床の色とは異なる色に着色されている。
【0023】
撮影画像記憶部23は、撮影位置ごとに上記カメラCMにより撮影された全方位画像を、撮影日時および撮影位置を表す情報と関連付けた状態で記憶するために用いられる。
【0024】
制御部1は、この発明の一実施形態に係る制御処理機能として、基準点設定支援部11と、撮影推奨位置設定部12と、撮影ガイド情報生成・出力部13と、移動位置取得部14と、撮影位置判定部15と、撮影支援制御部16と、撮影画像取得部17とを備えている。これらの処理部11~17は、何れも記憶部2内のプログラム記憶領域に格納されたプログラムをハードウェアプロセッサに実行させることにより実現される。
【0025】
基準点設定支援部11は、ユーザ端末MTに対し撮影対象となるフロアの平面図データを送信し、この平面図データをもとにユーザが手動設定した撮影位置(撮影ポイントとも云う)の基準点を示す位置座標データを取得し、制御部1内の記憶領域に保存する処理を行う。
【0026】
撮影推奨位置設定部12は、設定された上記基準点の位置座標データと、平面図データ記憶部21に記憶された撮影対象フロアの平面図データの二次元座標とをもとに、次の撮影推奨位置を算出し設定する処理を行う。
【0027】
撮影ガイド情報生成・出力部13は、上記撮影推奨位置設定部12により設定された撮影推奨位置をユーザに提示するために、カメラCMから出力される撮影前のファインダ画像に、ガイド画像記憶部22から読み出したガイド画像を合成することにより、拡張現実(Augmented Reality;AR)画像からなる撮影ガイド情報を生成し、生成された撮影ガイド情報をユーザ端末MTへ送信する処理を行う。
【0028】
移動位置取得部14は、ユーザの撮影位置の移動を管理するために、ユーザ端末MTにおいて距離センサ(例えば加速度センサとジャイロセンサ)により計測されたユーザの移動距離および移動方向を表す移動情報を、ユーザ端末MTから取得する処理を行う。
【0029】
撮影位置判定部15は、取得された上記移動情報をもとに移動後のユーザの位置座標を算出し、算出された位置座標を上記撮影推奨位置設定部12により設定された撮影推奨位置の座標と比較する。そして、移動位置の座標が撮影推奨位置の座標を含む所定の範囲内に含まれているか否かを判定する処理を行う。
【0030】
撮影支援制御部16は、撮影位置判定部15の判定結果に基づいて、当該判定結果をユーザに報知するための報知情報を生成してユーザ端末MTへ送信する処理と、移動位置の座標が撮影推奨位置の座標を含む所定の範囲内に入っていない状態で撮影が行われた場合に、その旨をユーザ端末MTへ送信してユーザに報知すると共に、このとき撮影された撮影画像を破棄する処理を行う。
【0031】
撮影画像取得部17は、ユーザ端末MTから、各撮影推奨位置で撮影された撮影画像データが送られるごとに、この撮影画像データを通信I/F3を介して受信し、受信された上記撮影画像データを、当該画像データと共に受信された撮影位置座標および撮影日時を表す情報と関連付けて撮影画像記憶部23に記憶させる処理を行う。
【0032】
(動作例)
次に、以上のように構成されたサーバ装置SVの動作例を説明する。
図4はその処理手順と処理内容の一例を示すフローチャートである。
【0033】
(1)基準点の取得
撮影対象フロアに対する撮影を開始するために、ユーザ端末MTから撮影開始要求が送信されると、サーバ装置SVはステップS10により上記撮影開始要求を検出し、基準点を取得するための処理を以下のように実行する。
【0034】
すなわち、サーバ装置SVは、基準点設定支援部11の制御の下、先ずステップS11により平面図データ記憶部21から撮影対象フロアの平面図データを読み出し、読み出された平面図データを通信I/F3から要求元のユーザ端末MTへ送信する。この平面図データはユーザ端末MTで受信されてディスプレイに表示される。
【0035】
この状態で、ユーザは撮影対象フロアの平面図データを用いて、フロアの撮影を開始しようとする位置を基準点として定める。例えば、いま撮影対象フロアの平面図データが
図5に示すものだったとすると、図中BPに示す位置を基準点に設定する。そして、ユーザはこの基準点の位置座標を上記平面図データの座標系から求め、ユーザ端末MTに入力する。ユーザ端末MTは、入力された上記基準点の位置座標を保存すると共に、サーバ装置SVへ送信する。なお、上記基準点の設定は、撮影対象フロア内のどの位置に設定してもよい。
【0036】
サーバ装置SVは、上記ユーザ端末MTから上記基準点の位置座標データが送信されると、基準点設定支援部11の制御の下、ステップS12において、上記基準点の位置座標データを通信I/F3を介して受信し、制御部1内の記憶領域に保存する。
【0037】
また、上記基準点BPの設定後、ユーザが上記基準点BPにおいてカメラCMにより撮影操作を行うと、カメラCMにより全方位に渡り撮影された撮影画像データがユーザ端末MTへ送信され、このユーザ端末MTからサーバ装置SVへ送信される。サーバ装置SVは、撮影画像取得部17の制御の下、上記撮影画像データを通信I/F3を介して受信し、撮影日時および撮影位置座標(基準点の座標)と関連付けられて撮影画像記憶部23に記憶される。
【0038】
(2)撮影推奨位置の設定と提示
上記基準点の位置座標データの取得を終了すると、サーバ装置SVは撮影推奨位置設定部12の制御の下、ステップS12において、次の撮影推奨位置を設定する。撮影推奨位置は、上記基準点の位置座標データと、平面図データ記憶部21に記憶された撮影対象フロアの平面図データの二次元座標データとに基づいて設定される。より具体的には、撮影推奨位置は、基準点BPから予め設定された距離の範囲内、つまり基準点BPにおいて撮影された全方位画像と接続したときに連続する3D画像を生成することが可能な距離の範囲内となるように設定される。また、撮影推奨位置の設定に際し、撮影対象フロアの撮影不要エリアは除外される。これは、平面図データに含まれる、撮影対象フロアの部屋や設備等を表すレイアウトに応じて設定された撮影が必要なエリアまたは撮影が不要なエリアの指定情報を参照することにより可能となる。
図5中のRPは、上記のように設定された撮影推奨位置の一例を示している。
【0039】
上記撮影推奨位置が設定されると、サーバ装置SVは続いて撮影ガイド情報生成・出力部13の制御の下、上記撮影推奨位置をユーザに提示するための情報を生成する。すなわち、撮影ガイド情報生成・出力部13は、先ずステップS14において、カメラCMから出力されるファインダの表示画像をユーザ端末MTから受信する。そして、ステップS15において、ガイド画像記憶部22から撮影推奨位置を表す図形パターンを読み出し、読み出された図形パターンを上記ファインダ表示画像内の該当する位置に合成することにより、AR画像からなる撮影ガイド情報を生成する。このとき図形パターンは、例えばリング状をなし、フロアの床の色とは異なる色に着色されている。このため、ファインダ表示画像において撮影推奨位置はフロア内の他の部分と区別されて明確に表示することが可能である。
【0040】
撮影ガイド情報生成・出力部13は、生成されたAR画像からなる上記撮影ガイド情報を、通信I/F3からユーザ端末MTへ送信する。この結果、ユーザ端末MTのディスプレイには、上記サーバ装置SVから送られた撮影ガイド情報がファインダ表示画像の代わりに表示される。
図6は、上記撮影ガイド情報の表示例を示すもので、図中GDが撮影推奨位置を表す図形パターンである。従って、ユーザは上記撮影ガイド情報の図形パターンGDにより、次の撮影推奨位置を正確に認識することが可能となる。
【0041】
(3)撮影位置の適否判定とその結果に基づく撮影支援処理
ユーザが上記撮影推奨位置GDに向かって移動すると、ユーザ端末MTでは距離センサ(例えば加速度センサとジャイロセンサ)によりユーザの移動距離と移動方向が検出され、検出された移動距離および移動方向を表す移動情報がユーザ端末MTからサーバ装置SVへ送信される。
【0042】
サーバ装置SVは、移動位置取得部14の制御の下、ステップS16において、上記ユーザ端末MTから送信された移動情報を通信I/F3を介して受信する。続いてサーバ装置SVは、撮影位置判定部15の制御の下、ステップS17において、受信された上記移動情報をもとに移動後のユーザの位置座標を算出し、算出された位置座標を上記撮影推奨位置設定部12により設定された撮影推奨位置GDの座標と比較する。そして、ユーザの移動後の位置座標が、撮影推奨位置GDの座標を含む所定の範囲内に含まれているか否かを判定する。
【0043】
この判定の結果、ユーザの移動後の位置座標が、撮影推奨位置GDの座標を含む所定の範囲内に含まれていたとする。この場合サーバ装置SVは、撮影支援制御部16の制御の下、ステップS18において、撮影許可情報を生成して通信I/F3からユーザ端末MTへ送信する。この結果ユーザ端末MTでは、例えば撮影可能になったことを示すマークまたはメッセージがディスプレイに表示される。
【0044】
そして、この状態でユーザにより撮影操作が行われ、その撮影画像データがユーザ端末MTから送信されたとする。サーバ装置SVは、撮影画像取得部17の制御の下、ステップS19において、上記ユーザ端末MTから送信される撮影画像データをもとに撮影が実行されたか否かを判定する。そして、撮影が行われた場合撮影画像取得部17は、ステップS20において、上記撮影画像データを通信I/F3を介して受信して撮影画像記憶部23に記憶させる。
【0045】
またサーバ装置SVは、上記撮影推奨位置GDで撮影された撮影画像が取得されると、ステップS21により基準位置を上記撮影推奨位置GDに更新する。
【0046】
一方、ユーザの移動後の位置座標が、撮影推奨位置GDの座標を含む所定の範囲内に未到達か或いは通り過ぎたとする。この場合サーバ装置SVは、撮影支援制御部16の制御の下、ステップS23において、ユーザ端末MTから送信される撮影画像データをもとに撮影が実行されたか否かを判定する。そして、この状態のまま撮影が実行された場合には、撮影支援制御部16の制御の下、ステップS24において、撮影不可情報を生成して通信I/F3からユーザ端末MTへ送信する。
【0047】
この結果ユーザ端末MTでは、例えばいま行われた撮影は不適切であることを示すマークまたはメッセージがディスプレイに表示される。なお、上記撮影不適の提示手段として、例えばバイブレータを振動させたり、フラッシュを点灯させる手段を使用してもよい。
【0048】
またサーバ装置SVは、撮影支援制御部16の制御の下、撮影画像記憶部23に記憶された、上記撮影推奨位置GD以外の不適切な位置において撮影された撮影画像データを削除する。
【0049】
サーバ装置SVは、ステップS22において、撮影対象フロアに対するすべての撮影が終了した旨の通知を検出するまで、以上述べた一連の撮影支援処理を撮影推奨位置ごとに繰り返し実行する。
【0050】
(作用・効果)
以上のように、一実施形態では、撮影対象フロアの平面図の二次元座標平面上に設定された基準点をもとに撮影推奨位置を順次設定し、設定された撮影推奨位置を表す図形パターンを、カメラCMから出力されるファインダ表示画像に合成してAR画像からなる撮影ガイド情報を生成し、生成された撮影ガイド情報をユーザ端末MTへ送信して表示させるようにしている。さらに、ユーザの移動位置が撮影推奨位置を含む所定の範囲内に入っているか否かを判定し、所定範囲内に入らない状態で撮影が行われた場合には、その旨をメッセージの表示やバイブレータの振動により報知すると共に、このとき撮影された画像データを破棄するようにしている。
従って、ユーザに対し適切な撮影推奨位置を提示することができ、これにより重要な場所の撮影漏れや不連続のない3Dツアー画像を生成することが可能となる。
【0051】
また、撮影推奨位置の設定に際し、平面図データに含まれる、撮影対象フロアの部屋や設備等を表すレイアウトに応じて設定された撮影必要エリアまたは撮影不要エリアの指定情報を参照することにより、撮影推奨位置が撮影不要エリアに設定されないようにしている。このため、撮影不要エリアに対し無駄な撮影が行われないようにすることができ、これによりユーザの作業負荷の軽減を図ると共に、不要な撮影画像データが撮影画像記憶部23に記憶されないようにして、サーバ装置SVの処理負荷の低減とメモリ容量の節減を図ることが可能となる。
【0052】
[その他の実施形態]
(1)前記一実施形態では、1つの撮影推奨位置における撮影画像が得られるごとにその次の撮影推奨位置を設定して提示するようにしたが、例えば基準点または一つの撮影推奨位置が設定されると、その次の撮影推奨位置とそれ以降の複数の撮影推奨位置をファインダ表示画像の範囲内ですべて設定し、同時に提示するようにしてもよい。
【0053】
(2)撮影推奨位置を表す図形パターンとしては、リング状の図形以外に、単なる円、楕円、多角形、方形等の形状を任意に選択し使用することができる。また、図形パターンのサイズについても任意に設定することができる。特に、図形パターンのサイズを撮影推奨位置を含む所定範囲に合わせて設定すると、ユーザに対し適切な撮影位置の範囲を視覚的に明示することができる。
【0054】
(3)前記一実施形態では、ユーザ端末MTにおいて計測された移動距離および移動方向を表す移動情報をサーバ装置SVへ送信し、当該移動情報をもとにサーバ装置SVがユーザの移動位置を算出するようにした。しかし、これに限るものではなく、計測された移動距離および移動方向をもとに、ユーザ端末MTがフロアの平面図データにおける二次元座標平面上の移動位置を算出し、算出された移動位置をサーバ装置SVへ送信するようにしてもよい。
【0055】
(4)前記一実施形態は、撮影支援装置の機能をサーバ装置SVに設けた場合を例にとって説明したが、エッジルータ等のネットワーク間接続装置やユーザ端末MTに設けてもよい。また、制御部と記憶部とを別々のサーバ装置または端末装置に分散して設け、これらを通信回線またはネットワークを介して接続するようにしてもよい。
【0056】
(5)その他、撮影支援装置の構成や撮影支援動作の処理手順および処理内容等についても、この発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施可能である。
【0057】
要するにこの発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【符号の説明】
【0058】
SV…サーバ装置
MT,UT1~UTn…ユーザ端末
NW…ネットワーク
CM…カメラ
1…制御部
2…記憶部
3…通信I/F
4…バス
11…基準点設定支援部
12…撮影推奨位置設定部
13…撮影ガイド情報生成・出力部
14…移動位置取得部
15…撮影位置判定部
16…撮影支援制御部
17…撮影画像取得部
21…平面図データ記憶部
22…ガイド画像記憶部
23…撮影画像記憶部