(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】画像処理装置、及び画像処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06T 7/49 20170101AFI20240716BHJP
G06T 7/60 20170101ALI20240716BHJP
【FI】
G06T7/49
G06T7/60 200K
(21)【出願番号】P 2020125837
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-06-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深沢 茂臣
(72)【発明者】
【氏名】菊池 亮人
(72)【発明者】
【氏名】松原 道彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 正人
(72)【発明者】
【氏名】菅田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 康如
(72)【発明者】
【氏名】杉山 和也
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102169(JP,A)
【文献】特開2013-008310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00- 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地の画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記画像に対してエッジ検出処理を行い、前記画像に対応するエッジ画像を生成するエッジ検出部と、
前記エッジ画像に対して、予め設定した矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、矩形領域を複数含む矩形領域画像を生成する生成部と、
前記生成部により生成された前記矩形領域画像に含まれる各矩形領域に対して位置情報を付与する位置情報付与部と、
前記位置情報付与部により得られた前記位置情報を用いて、グリッド線候補を複数生成するグリッド線候補生成部と、
任意の2つの前記グリッド線候補を選択し、その交点を表す消失点候補を生成することを繰り返し、複数の前記消失点候補を生成する消失点候補生成部と、
複数の前記消失点候補の中央値、又は平均値に相当する点を消失点として設定する消失点設定部と、
前記消失点から、複数の前記矩形領域に対してグリッド線を引くグリッド線生成部と、
前記グリッド線に応じて、前記矩形領域画像内の複数の前記矩形領域に位置を再設定する矩形領域設定部と、
を含む画像処理装置。
【請求項2】
前記目地は、建築物外壁のタイル目地である請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地の画像を取得し、
取得された前記画像に対してエッジ検出処理を行い、前記画像に対応するエッジ画像を生成し、
前記エッジ画像に対して、予め設定した矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、矩形領域を複数含む矩形領域画像を生成し、
生成された前記矩形領域画像に含まれる各矩形領域に対して位置情報を付与し、
得られた前記位置情報を用いて、グリッド線候補を複数生成し、
任意の2つの前記グリッド線候補を選択し、その交点を表す消失点候補を生成することを繰り返し、複数の前記消失点候補を生成し、
複数の前記消失点候補の中央値、又は平均値に相当する点を消失点として設定し、
前記消失点から、複数の前記矩形領域に対してグリッド線を引き、
前記グリッド線に応じて、前記矩形領域画像内の複数の前記矩形領域に位置を再設定する、
処理をコンピュータに実行させるための画像処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、及び画像処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、構造物の壁面をカメラ等で撮像し、それにより得られた画像を用いて壁面等を検出する技術が知られている。
【0003】
例えば、鳥瞰画像からビルの窓領域候補を抽出し、抽出した窓領域候補から窓パターンを特定し、窓パターン及び窓領域候補の位置情報を用いて当該ビルの消失点を導出して、鳥瞰画像を正面化、及び欠損窓を補完する技術が知られている(特許文献1)。
【0004】
また、長方形を有した構造物を斜めから撮影したパノラマ画像において、パノラマ画像に映っている長方形を用いて、斜めから撮影したパノラマ画像から正置画像を生成する技術が知られている(特許文献2)。
【0005】
また、平面上に描かれた2組の斜交した平行線からなる焦点距離較正用パターンを撮影して得られた画像から2組の斜交した平行線の消失点を算出し、消失点から焦点距離を導出する技術が知られている(特許文献3)。
【0006】
また、任意の入射角からカメラによって撮影された画像から画像に存在する4つの(物理的、プロットされた、又は印刷された輪郭)パターンを抽出し、当該パターンの相対位置から幾何学的な変形を算出して、原データを生成する技術が知られている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2013-008310号公報
【文献】特許6467612号公報
【文献】特公平7-99327号公報
【文献】特開2007-531094号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地を画像処理によって認識することができれば、様々な対象物に適用可能であり有用である。
【0009】
例えば、実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地の一例として、建築物のタイル壁面の目地が挙げられる。建築物のタイル壁面のタイル浮きを精度よく検出しようとする場合には、目地により形成されている1枚1枚のタイルを事前に認識しておく必要がある。
【0010】
この点、上記特許文献1から上記特許文献4の技術は、消失点を利用して画像中の対象領域を認識する(例えば、特許文献1の請求項1、特許文献2の段落0069、特許文献3の請求項1、及び特許文献4の段落0065等を参照)。
【0011】
しかし、例えば、撮像された画像には様々なノイズが含まれており、そのような画像から推定された消失点の確度は低いと考えられる。また、消失点の確度は、その算出する際に用いられる情報(例えば、特許文献1の「各窓領域候補の位置情報」等)の精度にも依存する。
【0012】
このため、上記特許文献1から上記特許文献4の技術を端に用いたとしても、画像に映っている目地から形成されている矩形領域を精度よく認識することができない、という課題がある。
【0013】
そこで、本件発明は、実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地の画像から、当該画像に映っている目地から形成されている矩形領域を精度良く認識することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地の画像を取得する取得部と、前記取得部により取得された前記画像に対してエッジ検出処理を行い、前記画像に対応するエッジ画像を生成するエッジ検出部と、前記エッジ画像に対して、予め設定した矩形テンプレートによるマッチング処理を行い、矩形領域を複数含む矩形領域画像を生成する生成部と、前記生成部により生成された前記矩形領域画像に含まれる各矩形領域に対して位置情報を付与する位置情報付与部と、前記位置情報付与部により得られた前記位置情報を用いて、グリッド線候補を複数生成するグリッド線候補生成部と、任意の2つの前記グリッド線候補を選択し、その交点を表す消失点候補を生成することを繰り返し、複数の前記消失点候補を生成する消失点候補生成部と、複数の前記消失点候補の中央値、又は平均値に相当する点を消失点として設定する消失点設定部と、前記消失点から、複数の前記矩形領域に対してグリッド線を引くグリッド線生成部と、前記グリッド線に応じて、前記矩形領域画像内の複数の前記矩形領域に位置を再設定する矩形領域設定部と、を含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、タイル浮きを検出する際に、1枚1枚のタイルを事前に精度良く認識することができる、という効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本実施形態に係るタイル画像生成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本実施形態に係るタイル画像生成装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態に係る画像の生成の説明に供する目地画像及び矩形領域画像の一例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るアドレッシングの説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
【
図5】本実施形態に係る消失点の候補の生成の説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
【
図6】本実施形態に係るグリッド線の補正の説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
【
図7】本実施形態に係る欠損領域の推定の説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
【
図8】本実施形態に係るグリッド線の推定の説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
【
図9】本実施形態に係るタイル画像生成処理の一例を示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[本発明の実施形態]
以下、図面を参照して、本発明の実施形態のタイル画像生成装置について説明する。タイル画像生成装置は、本発明の画像処理装置の一例である。
【0018】
図1は、本実施形態に係るタイル画像生成装置10のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、本実施形態に係るタイル画像生成装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、モニタ16、及び通信インターフェース(通信I/F)17を含んで構成されている。CPU11、ROM12、RAM13、ストレージ14、入力部15、モニタ16、及び通信I/F17の各々はバス18により相互に接続されている。
【0019】
CPU11は、タイル画像生成装置10の全体を統括し、制御する。ROM12は、本実施形態で用いるタイル画像生成プログラムを含む各種プログラム及びデータ等を記憶している。RAM13は、各種プログラムの実行時のワークエリアとして用いられるメモリである。CPU11は、ROM12に記憶されたプログラムをRAM13に展開して実行することにより、タイル画像生成処理を行う。ストレージ14は、一例としてHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリ等である。なお、ストレージ14には、タイル画像生成プログラム等を記憶してもよい。入力部15は、文字の入力等を受け付けるキーボード及びマウス等である。モニタ16は、画像データ等を表示する。通信I/F17は、データの送受信を行う。
【0020】
次に、
図2を参照して、タイル画像生成装置10の機能構成について説明する。
図2は、本実施形態に係るタイル画像生成装置10の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
【0021】
図2に示すように、タイル画像生成装置10は、取得部21、エッジ検出部22、生成部23、位置情報付与部24、グリッド線候補生成部25、消失点候補生成部26、消失点設定部27、グリッド線生成部28、及び矩形領域設定部29を有する。CPU11がタイル画像生成プログラムを実行することで取得部21、エッジ検出部22、生成部23、位置情報付与部24、グリッド線候補生成部25、消失点候補生成部26、消失点設定部27、グリッド線生成部28、及び矩形領域設定部29として機能する。
【0022】
取得部21は、ユーザによって撮影された実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地(例えば、建築物外壁のタイル目地)の画像(以下、「目地画像」という。)を取得する。目地画像は、例えば、赤外線カメラによって撮像される画像である。
【0023】
エッジ検出部22は、取得部21により取得された目地画像に対してエッジ検出処理を行い、目地画像から、タイル目地に対応するエッジを含んだ画像(以下、「エッジ画像」という。)を生成する。
【0024】
生成部23は、エッジ検出部22によって生成されたエッジ画像を用いて、エッジ画像に含まれるエッジと、予め定められた矩形テンプレートとをマッチングさせ、複数の矩形領域を含む画像(以下、「矩形領域画像」という。)を生成する。生成部23は、既知の画像処理技術を用いて矩形領域画像を生成する。
【0025】
位置情報付与部24は、生成部23により生成された矩形領域画像に含まれる各々の矩形領域に対して位置情報を付与する。具体的には、位置情報付与部24は、矩形領域画像に含まれる任意の矩形領域からX軸方向、及びY軸方向への相対的な位置を示す座標を各々の矩形領域に設定し、矩形領域の四隅の座標を各々の矩形領域に設定する。なお、本実施形態では、相対的な位置を示す座標、及び矩形領域の四隅の座標を位置情報として説明する。また、本実施形態では、幅方向をX軸、高さ方向をY軸として説明する。
【0026】
グリッド線候補生成部25は、位置情報付与部24により設定された位置情報を用いて、グリッド線の候補を複数生成する。具体的には、グリッド線候補生成部25は、矩形領域画像からX軸方向、及びY軸方向に隣接した4つの矩形領域を抽出し、隣接した4つの矩形領域の各々に設定されている四隅の座標を用いて、4つの矩形領域の代表点を導出する。グリッド線候補生成部25は、導出した代表点を用いて、X軸方向、及びY軸方向にグリッド線の候補を生成する。ここで、グリッド線の候補は、代表点を用いて最小二乗法によって導出された回帰直線である。
【0027】
消失点候補生成部26は、2点透視図法に基づいて、グリッド線候補生成部25によって生成されたX軸方向、又はY軸方向の複数のグリッド線の候補から任意の2つのグリッド線の候補を選択し、2つのグリッド線の候補の交点を消失点の候補として設定する。ここで、消失点の候補は、X軸方向、及びY軸方向の2方向に各々設定される。なお、X軸方向の消失点の候補とは、X軸方向に設定された2つのグリッド線の候補の交点であり、Y軸方向の消失点の候補とは、Y軸方向に設定された2つのグリッド線の候補の交点である。また、消失点の候補の設定の実行回数は、グリッド線の候補の全ての組み合わせであってもよいし、予め定められた組み合わせの数(例えば、一万通り)であってもよい。つまり、グリッド線の候補の全ての組み合わせの数、又は予め定められた組み合わせの数と同数の消失点の候補が設定される。
【0028】
消失点設定部27は、消失点候補生成部26によって設定された複数の消失点の候補を用いて、X軸方向、及びY軸方向の消失点を各々設定する。消失点設定部27は、複数の消失点の候補の座標を取得し、複数の消失点の候補の中央値を導出して、消失点を設定する。具体的には、消失点設定部27は、各々の消失点の候補のX座標、及びY座標の値を用いて、X座標、及びY座標の中央値を導出し、導出した値を消失点のX座標、及びY座標として設定する。
【0029】
なお、本実施形態では、消失点の候補の中央値を消失点に設定する形態について説明した。しかし、これに限定されない。例えば、消失点の候補の座標を用いて、消失点の中点、又は平均値を導出してもよいし、消失点の候補に重みを付けて、消失点候補の重心を導出して設定してもよい。また、消失点の候補の座標毎に頻出回数を計測して頻出回数の平均値、又は中央値を導出して、該当する消失点の候補から消失点を選択して設定してもよい。
【0030】
グリッド線生成部28は、消失点設定部27によって設定された消失点から、複数の矩形領域に対してグリッド線を引いて生成する。具体的には、グリッド線生成部28は、グリッド線の候補が消失点設定部27によって設定された消失点を通るように、グリッド線の候補の傾きを変更して、グリッド線を生成する。より詳細には、例えば、グリッド線生成部28は、回帰直線であるグリッド線の候補上の任意の1点を起点として、消失点を通るようにグリッド線の候補の傾きを変更する。
【0031】
矩形領域設定部29は、グリッド線生成部28によって生成されたグリッド線に囲まれた矩形領域に対して、位置情報を再設定して矩形領域を設定する。例えば、矩形領域設定部29は、4つの矩形領域の代表点がグリッド線を通るように、各矩形領域の位置情報を再設定して矩形領域を設定する。
【0032】
次に、タイル画像生成装置10の作用について説明する前に、
図3から
図8を参照して、本実施形態に係るタイルを認識する手法について説明する。
【0033】
まず、
図3を参照して、矩形領域画像の生成について説明する。
図3は、本実施形態に係る画像の生成の説明に供する目地画像及び矩形領域画像の一例を示す図である。
図3(a)は、タイル画像生成装置10に入力される目地画像の一例を示す図であり、
図3(b)は、タイル画像生成装置10によって生成される矩形領域画像の一例を示す図である。
【0034】
一例として、
図3(a)に示す目地画像を取得した場合、タイル画像生成装置10は、目地画像に対して平滑化(例えば、ガウス平滑化)を行い、輝度の勾配を算出して、エッジを検出する。タイル画像生成装置10は、エッジが途切れている箇所の補強、及び目地ではない余分なエッジを取り除く等のノイズの除去を行い、エッジ画像を生成する。
【0035】
タイル画像生成装置10は、エッジ画像に含まれるエッジと、予め定められた矩形テンプレートとのパターンマッチングを行い、エッジに対して矩形テンプレートを適応して、
図3(b)に示すように、複数の矩形領域を含む矩形領域画像を生成する。
【0036】
なお、本実施形態では、目地画像を用いて、矩形領域画像を生成する形態について説明した。しかし、これに限定されない。物体の温度分布を示した画像(例えば、サーモグラフィ、及び熱画像等)を用いて、矩形領域画像を生成してもよい。
【0037】
次に、
図4を参照して、矩形領域に応じて設定される代表点について説明する。
図4は、本実施形態に係るアドレッシングの説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
【0038】
一例として、
図4に示すように、タイル画像生成装置10は、矩形領域画像に含まれる各々の矩形領域31に対して、矩形領域画像に含まれる任意の矩形領域31からX軸方向、及びY軸方向への相対的な位置を示す座標を設定する。また、タイル画像生成装置10は、矩形領域31の四隅の座標を各々の矩形領域31に設定する。
【0039】
タイル画像生成装置10は、矩形領域画像に含まれる矩形領域31の各々に位置情報を付与した場合、破線矩形32に囲まれた、X軸方向、及びY軸方向に隣接した4つの矩形領域31を抽出する。
【0040】
タイル画像生成装置10は、各々の矩形領域31に設定されている四隅の座標を用いて、隣接した4つの矩形領域31の代表点を導出する。ここで、代表点を導出する場合、タイル画像生成装置10は、破線矩形32の中心に近い各々の矩形領域31の四隅の座標を用いる。例えば、破線矩形32に囲まれた矩形領域31の代表点を導出する場合において、座標(0,10)の矩形領域31の場合は、右上に位置する隅の座標、座標(0,11)の矩形領域31の場合は、右下に位置する隅の座標を用いる。なお、本実施形態では、矩形領域31の四隅の座標を用いて、代表点を導出する形態について説明した。しかし、これに限定されない。矩形領域31の中心の座標を用いて、代表点を導出してもよい。
【0041】
次に、
図5を参照して、消失点の候補の生成について説明する。
図5は、本実施形態に係る消失点候補の生成の説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
【0042】
一例として、
図5に示すように、タイル画像生成装置10は、各々の矩形領域31に設定されている四隅の座標を用いて、隣接した4つの矩形領域31の代表点33を複数導出する。
【0043】
タイル画像生成装置10は、複数の代表点33を用いて、最小二乗法によって複数の代表点における回帰直線を導出し、導出された回帰直線をグリッド線の候補34として設定する。
【0044】
タイル画像生成装置10は、任意の2つのグリッド線の候補34を選択して、2つのグリッド線の候補34の交点を消失点の候補35として設定する。タイル画像生成装置10は、X軸方向、及びY軸方向の消失点の候補35を設定する処理をグリッド線の候補34の組み合わせの数だけ行う。
【0045】
タイル画像生成装置10は、複数の消失点の候補の座標を用いて、消失点の候補の中央値を導出し、中央値点を消失点として設定する。タイル画像生成装置10は、導出した消失点を通るようにグリッド線の候補34(回帰直線)の傾きを変更して、グリッド線を再設定する。例えば、グリッド線生成部28は、グリッド線の候補34上の任意の代表点33を起点とし、消失点を通るようにグリッド線の候補34の傾きを変更して、グリッド線を再設定する。
【0046】
次に、
図6、及び
図7を参照して、欠損した矩形領域の補完について説明する。
図6は、本実施形態に係るグリッド線の補正の説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
図7は、本実施形態に係る欠損領域37の推定の説明に供する矩形領域画像の一例を示す模式図である。
【0047】
タイル画像生成装置10は、再設定されたグリッド線による矩形領域と、位置情報が付与された矩形領域画像おける矩形領域31と、が対応するように位置情報を再設定する。
【0048】
一例として、
図6に示すように、矩形領域画像に対してグリッド線、及び位置情報を再設定した場合、矩形領域画像には、消失点から引かれたグリッド線36と、位置情報が付与された矩形領域31が表示される。
【0049】
タイル画像生成装置10は、矩形領域画像から矩形領域が欠損している領域(以下、「欠損領域」という。)37を推定して、矩形領域画像を補完する。例えば、グリッド線36によって囲まれた領域、かつ位置情報が付与されていない領域がある場合、タイル画像生成装置10は、欠損領域37であると判定し、位置情報を付与する。なお、本実施形態では、欠損領域37は、位置情報が付与されていない領域である形態について説明した。しかし、これに限定されない。例えば、グリッド線36によって囲まれた領域、かつ位置情報が付与されていない領域が連続して2つ以内である場合、欠損領域37であると判定してもよい。つまり、位置情報が付与されていない領域が連続して3つ以上ある場合、タイルが設置されていないと判定する。これにより、タイルが設置されていない領域、及び壁面に機器が設置されている領域等が検出される。なお、本実施形態では、位置情報が付与されていない領域が連続して2つ以内である場合、欠損領域37である形態について説明した。しかし、これに限定されない。位置情報が付与されていない領域が1つであってもよいし、3つ以上連続してもよいし、いくつ連続していてもよい。
【0050】
欠損領域37を推定して位置情報を付与することによって、一例として、
図7に示すように、矩形領域画像が補完され、タイルの位置情報が精度よく設定される。
【0051】
なお、本実施形態では、グリッド線36に囲まれた領域を欠損領域37として、矩形領域、及び位置情報を補完する形態について説明した。しかし、これに限定されない。グリッド線36を補完してもよい。
【0052】
例えば、矩形領域31が広い範囲で検出されなかった場合、当該範囲ではグリッド線36が設定されないため、欠損領域37の推定が行われない。そこで、設定されたグリッド線36を用いて、矩形領域31が検出されなかった範囲におけるグリッド線を推定することで、欠損領域37を推定して矩形領域画像を補完する。
【0053】
次に、
図8を参照して、グリッド線の推定について説明する。
図8は、本実施形態に係るグリッド線の推定の説明に供するタイル画像の一例を示す模式図である。
【0054】
一例として、
図8に示すように、タイル画像生成装置10は、各々のグリッド線36から消失点38までの距離(以下、距離」という。)diを導出する。本実施形態に係る距離diは、矩形領域画像に含まれる2つの消失点のうち、一方の消失点38を通るように引かれたグリッド線36と、他方の消失点38との間の最短距離である。例えば、X軸方向に設定されたグリッド線36の場合、距離diは、X軸方向に設定されたグリッド線36からY軸方向に設定された消失点38までの最短距離を示している。
【0055】
タイル画像生成装置10は、各々のグリッド線36と消失点38との間の距離diを用いて、グリッド線36が設定されていない範囲のグリッド線(以下、「欠損グリッド線」という。)39を推定する。欠損グリッド線39は、以下に示す式によって表される。
【0056】
【0057】
【0058】
ここで、diは、i番目のグリッド線と消失点38との間の距離である。また、rは、隣接するn番目のグリッド線と消失点38との間の距離dnと、m番目のグリッド線と消失点38との間の距離dmと、の比率である。また、d(i-1)は、i番目のグリッド線に隣接するi-1番目のグリッド線と消失点38との間の距離である。また、dnは、n番目のグリッド線と消失点38との間の距離であり、dmは、m番目のグリッド線と消失点38との間の距離であり、i、n、及びmは任意の整数である。
【0059】
上述した式(1)に示すように、i番目の距離diは、隣接するi-1番目の距離d(i-1)に、比率rを掛けて導出される。比率rは、上述した式(2)に示すように、任意の2つの距離dn、及びdmを用いて、導出される。
【0060】
つまり、
図8に示すように、欠損グリッド線39と消失点38との間の距離diは、グリッド線36の距離d(i-1)に比率rを乗じて導出され、消失点を通る距離diのグリッド線を生成することによって、欠損グリッド線39が推定される。欠損グリッド線39の距離diを用いて、さらに、欠損グリッド線39の距離d(i+1)を導出し、新たな欠損グリッド線39を推定することによって、矩形領域31が検出されなかった範囲であっても、グリッド線が設定される。
【0061】
したがって、X軸方向、及びY軸方向に設定されたグリッド線36から欠損グリッド線39が推定され、欠損グリッド線39に囲まれた領域に欠損領域37が推定され、矩形領域画像が補完される。
【0062】
次に、
図9を参照して、本実施形態に係るタイル画像生成装置10の作用について説明する。
図9は、本実施形態に係るタイル画像生成処理の一例を示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14からタイル画像生成プログラムを読み出し、実行することによって、
図9に示すタイル画像生成プログラムが実行される。
図9に示すタイル画像生成プログラムは、例えば、ユーザによって、目地画像が入力された場合、タイル画像生成プログラムが実行される。
【0063】
ステップS101において、CPU11は、ユーザによって入力された目地画像を取得する。
【0064】
ステップS102において、CPU11は、取得した目地画像から矩形領域画像を生成する。
【0065】
ステップS103において、CPU11は、パターンマッチングを用いて、矩形領域画像に矩形領域31を設定し、矩形領域31に位置情報、及び矩形領域31の四隅の座標を付与する。
【0066】
ステップS104において、CPU11は、矩形領域31に付与された四隅の座標を用いて、X軸方向、Y軸方向に隣接する4つの矩形領域31の代表点33を導出する。
【0067】
ステップS105において、CPU11は、矩形領域画像において、導出した代表点33を用いて、複数のグリッド線の候補34を設定する。
【0068】
ステップS106において、CPU11は、任意の2つのグリッド線の候補34の交点を導出し、複数の消失点の候補35を設定する。
【0069】
ステップS107において、CPU11は、複数の消失点の候補35を用いて、消失点の候補35の中央値を導出する。
【0070】
ステップS108において、CPU11は、矩形領域画像において、消失点の候補35から導出された中央値を消失点38に設定する。
【0071】
ステップS109において、CPU11は、矩形領域画像において、グリッド線の候補35が消失点38を通るように、グリッド線の候補35の傾きを補正して、グリッド線36を再設定する。
【0072】
ステップS110において、CPU11は、矩形領域画像において、グリッド線36に囲まれた領域に位置情報を再設定する
【0073】
ステップS111において、CPU11は、矩形領域画像において、グリッド線36に囲まれた領域から欠損領域37を推定する。
【0074】
ステップS112において、CPU11は、各々のグリッド線36の距離を導出する。
【0075】
ステップS113において、CPU11は、グリッド線36の距離からグリッド線の距離の比率を導出する。
【0076】
ステップS114において、CPU11は、各々のグリッド線36の距離、及びグリッド線の距離の比率を用いて、欠損グリッド線39を推定する。
【0077】
ステップS115において、CPU11は、欠損グリッド線39に囲まれた欠損領域37を推定する。
【0078】
ステップS116において、CPU11は、欠損領域37に位置情報を付与する。
【0079】
以上、説明したように、本実施形態に係るタイル画像生成装置10によれば、実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地の画像の一例である目地画像から当該画像に映っている目地から形成されているタイルを精度良く認識することができる。また、壁面のタイルの位置情報を精度良く認識することができる。
【0080】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変形や応用が可能である。
【0081】
本実施形態では、タイルが縦横に規則正しく並べられた芋目地を撮影した目地画像を用いた形態について説明した。しかし、これに限定されない。実空間において2方向の直線群によって一様に区画される目地であれば、どのようなものであってもよい。例えば、馬目地を撮影した目地画像であってもよいし、規則正しく周期的に並べられたタイルであれば如何なる目地画像であってもよい。
【符号の説明】
【0082】
10 タイル画像生成装置
11 CPU
12 ROM
13 RAM
14 ストレージ
15 入力部
16 モニタ
18 バス
21 取得部
22 エッジ検出部
23 生成部
24 位置情報付与部
25 グリッド線候補生成部
26 消失点候補生成部
27 消失点設定部
28 グリッド線生成部
29 矩形領域設定部
31 矩形領域
32 破線矩形
33 代表点
34 グリッド線の候補
35 消失点の候補
36 グリッド線
37 欠損領域
38 消失点
39 欠損グリッド線