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特許7520619インクジェット記録装置及びカートリッジ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置及びカートリッジ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/175 20060101AFI20240716BHJP
   B05C 5/00 20060101ALI20240716BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240716BHJP
   B41J 2/02 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
B41J2/175 161
B41J2/175 175
B05C5/00 101
B05C11/10
B41J2/02
B41J2/175 119
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020129781
(22)【出願日】2020-07-30
(65)【公開番号】P2022026363
(43)【公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】100098187
【弁理士】
【氏名又は名称】平井 正司
(72)【発明者】
【氏名】井▲高▼ 護
(72)【発明者】
【氏名】宮内 洋
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-134430(JP,A)
【文献】特開2019-171736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0047881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B41J 2/01-2/215
B65D 35/44-35/54
39/00-55/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体にインク又は溶剤を補充するためのカートリッジと、
前記装置本体に設けられ且つ前記カートリッジの装着を受け入れて該カートリッジのボトルの口部を受け入れる受け口と、
前記装置本体に設けられ、前記ボトルの軸線と同軸上に起立する中空針であって、前記受け口に前記口部が受け入れられたときに該口部に突き刺さってボトルの内部に侵入することにより前記カートリッジの内容液体を取り出すことができる中空針と、
前記ボトルの内部空間と前記口部を連通する管路が形成された当該口部に連なる基部に設けられ、少なくとも前端部が、ボトル軸線と交差する横方向に移動可能な可動部材と、
前記可動部材又は前記基部に設けられた記憶媒体と、
前記可動部材の前記少なくとも前端部を前記ボトル軸線から離れる方向に付勢する付勢部材と、
前記基部又は前記可動部材に設けられた記憶媒体に接続され且つ前記可動部材の前端面に設けられた第1端子と、
前記装置本体に設けられ、前記カートリッジが装着された状態の時に前記第1端子と接触する本体側端子と、
該本体側端子の上方に且つ近傍に位置する汚染防止庇と、
ユーザが前記ボトルを前記ボトル軸線に沿って装着する又は取り外す作業を行っている最中、前記可動部材が前記汚染防止庇を通過する過程において、前記可動部材の前記少なくとも前端部を前記付勢部材の付勢力に抗して退避させて前記汚染防止庇と干渉するのを防止できる退避位置に前記可動部材を維持する退避位置保持機構と、
ユーザが前記ボトルを前記ボトル軸線に沿って装着する又は取り外す作業を行っている最中、前記可動部材が前記汚染防止庇の下方領域を通過する過程において、前記可動部材の前記少なくとも前端部を前記付勢部材によって前進させて、前記第1端子が前記本体側端子と接触できる接触位置に前記可動部材を維持する接触位置保持機構とを有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記退避位置保持機構と前記接触位置保持機構が、前記装置本体の駆動カム部と、前記可動部材のカムフォロワ部とで構成されている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記駆動カム部が、前記汚染防止庇の庇ピークと、該庇ピークに連なる上方カム面及び下方カム面とで構成され、
前記上方カム面が前記庇ピークよりも上方に位置し且つ下方に向かうに従って前記ボトル軸線に接近する第1傾斜面で構成され、
前記下方カム面が前記庇ピークよりも下方に位置し且つ下方に向かうに従って前記ボトル軸線から遠ざかる第2傾斜面で構成されている、請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記可動部材のカムフォロワ部が、上下方向に延びる中間部分と、該中間部分の上方に位置する上端部分と、前記中間部分の下方に位置する下端部分とを有し、
前記上端部分は、その上端が下端よりも前記ボトル軸線に近い位置に位置する第1傾斜面で構成され、
前記下端部分は、その上端が下端よりも前記ボトル軸線から遠い位置に位置する第2傾斜面で構成されている、請求項3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記退避位置保持機構が、前記基部に設けられた揺動レバーと、前記可動部材に設けられたロック部とで構成されたロック機構で構成されている、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記退避位置保持機構が、前記揺動レバーの係合部を前記ロック部の被係合部と係合させる方向に付勢する付勢部材を更に有し、
該付勢部材によって、前記係合部と前記被係合部とが係合したロック状態が保持される、請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記ロック部のロック状態を解除するロック解除突起を更に有し、
該ロック解除突起が前記装置本体に設けられて、前記ボトルを押し下げる過程で、前記揺動レバーが前記ロック解除突起と当接することで前記ロック状態が解除される、請求項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体に設けられたカートリッジ受け部に挿入され、当該装置本体にインク又は溶剤を補充するためのカートリッジであって、
インク又は溶剤が収容される内部空間を有する本体部と、
前記本体部からの第1の方向に沿って延びて、前記内部空間と連通する管路を有する管部と、
前記カートリッジに取り付けられ、当該カートリッジに関する情報を記録する記憶媒体と、
前記記憶媒体と電気的に接続され、前記インクジェット記録装置の装置本体によりアクセスされる第1端子と、
前記第1の方向と交差する第2の方向において前記第1端子及び前記記憶媒体を前記管路から離反させるように付勢するバネ力を有するスプリングと、
前記第2の方向にスライド可能に前記管部に取り付けられ、前記第1端子及び前記記憶媒体を前記スプリングのバネ力によって付勢された状態で保持する保持部と、を備えることを特徴とするカートリッジ。
【請求項9】
前記保持部は、前記第1端子の変位を、前記第2の方向にガイドするために当該第2の方向に延びるガイド部を備え
前記保持部は、前記ガイド部により前記第2の方向にスライド可能に前記管部に取り付けられることを特徴とする請求項に記載のカートリッジ。
【請求項10】
前記管部には、前記ガイド部をスライド可能に取り付けるために前記第2の方向に延びるガイド溝が形成されていることを特徴とする請求項に記載のカートリッジ。
【請求項11】
前記カートリッジは、前記第1端子の変位を規制するロック機構を備え、
前記ロック機構がロックされることにより、前記保持部の前記第2の方向の変位が規制され、
前記ロック機構がロック解除されることにより、前記保持部の前記第2の方向の変位が許容される、請求項又は10に記載のカートリッジ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
ワークの表面に文字や図形を印字するのにインクジェット記録装置が用いられている。特許文献1は、カートリッジ式のインクジェット記録装置を詳細に説明している。インク又は溶剤を補充するためのカートリッジは、装置本体のリザーバに装着される。リザーバには、カートリッジの口部を受け入れる受け口が設けられ、この受け口の中心部分に中空針が起立して配置されている。カートリッジは口部を封止するゴム栓を有している。ユーザがカートリッジを装着する押し下げ操作をすることによって、中空針がゴム栓を貫通して中空針によって内容液体を取り出すことができる状態を作ることができる。この状態ではカートリッジのボトルの軸線が中空針と整合した状態になる。カートリッジの取り外しは、その逆の持ち上げ操作を行う。
【0003】
カートリッジは記憶媒体部を有し、この記憶媒体部はボトル側端子(以下、「ボトル側端子」又は「第1端子」という。)を含む。他方、リザーバには、装置本体側の端子(以下、「リザーバ端子」という。)が設けられている。カートリッジを装着すると、第1端子つまりボトル側端子と装置本体側の端子つまりリザーバ端子とが接続された状態となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2015-134431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示のカートリッジ式インクジェット記録装置では、ユーザが単にカートリッジ(ボトル)を中空針の軸線に沿って押し下げ又は引き上げることにより装着又は取り外すことができる。そして、ユーザが押し下げ又は引き上げ操作を行うことで、ボトル側端子とリザーバ端子とを接続又は離脱させることができる。ここで、リザーバ端子は、リザーバの側壁面においてリザーバの内側に突出した状態で配置され、カートリッジ挿入方向から見て視認できる状態になっていることから、外部からの塵や埃が付着しやすい。他にも、リザーバ端子にインク又は溶剤が付着してリザーバ端子が汚れる(汚染されてしまう)可能性もある。ユーザは、リザーバ端子に汚れが付着すると、その汚れを拭き取る等のクリーニング作業を行っていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本願発明者らは、リザーバ端子の汚染を極力防止し、ユーザによるクリーニング作業の負担を減らすために、まず、リザーバ端子の上方に隣接して庇を設けることを考案した。また、リザーバ端子に隣接して庇を設けた場合、カートリッジの装着又は取り外しの際にボトル側端子が庇と干渉する。これに対してカートリッジの装着又は取り外しの際に、庇と干渉しないようにカートリッジを操作することをユーザに求めることも可能である。しかし、これを求めることは、カートリッジの簡単な着脱操作に馴れたユーザにとって好ましくなく、カートリッジの使い勝手を低下させてしまう。
【0007】
本発明の目的は、リザーバの汚れ付着を軽減するとともに、使い勝手の良いインクジェット記録装置及びカートリッジを提供することにある。
【0008】
上記の技術的課題は、本発明の第1の観点によれば、
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体にインク又は溶剤を補充するためのカートリッジと、
前記装置本体に設けられ且つ前記カートリッジの装着を受け入れて該カートリッジのボトルの口部を受け入れる受け口と、
前記装置本体に設けられ、前記ボトルの軸線と同軸上に起立する中空針であって、前記受け口に前記口部が受け入れられたときに該口部に突き刺さってボトルの内部に侵入することにより前記カートリッジの内容液体を取り出すことができる中空針と、
前記ボトルの内部空間と前記口部を連通する管路が形成された当該口部に連なる基部に設けられ、少なくとも前端部が、ボトル軸線と交差する横方向に移動可能な可動部材と、
前記可動部材又は前記基部に設けられた記憶媒体と、
前記可動部材の前記少なくとも前端部を前記ボトル軸線から離れる方向に付勢する付勢部材と、
前記基部又は前記可動部材に設けられた記憶媒体に接続され且つ前記可動部材の前端面に設けられた第1端子と、
前記装置本体に設けられ、前記カートリッジが装着された状態の時に前記第1端子と接触する本体側端子と、
該本体側端子の上方に且つ近傍に位置する汚染防止庇と、
ユーザが前記ボトルを前記ボトル軸線に沿って装着する又は取り外す作業を行っている最中、前記可動部材が前記汚染防止庇を通過する過程において、前記可動部材の前記少なくとも前端部を前記付勢部材の付勢力に抗して退避させて前記汚染防止庇と干渉するのを防止できる退避位置に前記可動部材を維持する退避位置保持機構と、
ユーザが前記ボトルを前記ボトル軸線に沿って装着する又は取り外す作業を行っている最中、前記可動部材が前記汚染防止庇の下方領域を通過する過程において、前記可動部材の前記少なくとも前端部を前記付勢部材によって前進させて、前記第1端子が前記本体側端子と接触できる接触位置に前記可動部材を維持する接触位置保持機構とを有することを特徴とするインクジェット記録装置を提供することにより達成される。
【0009】
本発明のインクジェット記録装置によれば、ユーザが単に中空針に向けてカートリッジのボトルを押し下げ又は持ち上げる従来と同じ着脱操作を行うことで、この操作に機械的に連動して第1端子つまりボトル側端子が退避位置と接触位置をとることから、汚染防止庇との干渉防止と共に第1端子とリザーバ端子とを確実に電気的に接続させることができる。
【0010】
上記の技術的課題は、本発明の第2の観点によれば、
コンティニュアス式のインクジェット記録装置の装置本体に設けられたカートリッジ受け部に挿入され、当該装置本体にインク又は溶剤を補充するためのカートリッジであって、
インク又は溶剤が収容される内部空間を有する本体部と、
前記本体部からの第1の方向に沿って延びて、前記内部空間と連通する管路を有する管部と、
前記カートリッジに取り付けられ、当該カートリッジに関する情報を記録する記憶媒体と、
前記記憶媒体と電気的に接続され、前記インクジェット記録装置の装置本体によりアクセスされる第1端子と、
前記第1の方向と交差する第2の方向において前記第1端子及び前記記憶媒体を前記管路から離反させるように付勢するバネ力を有するスプリングと、
前記第2の方向にスライド可能に前記管部に取り付けられ、前記第1端子及び前記記憶媒体を前記スプリングのバネ力によって付勢された状態で保持する保持部と、を備えることを特徴とするカートリッジを提供することにより達成される。
【0011】
第2の観点による本発明のカートリッジは、下記の実施例で使用した参照符号を付した図13を参照して、可動部材816がボトル口部に連なる基部814に取り付けられ、この可動部材816がボトル軸線と交差する横方向に変位可能であってもよい。ここに、第1端子又はボトル側端子の変位方向に関する「横方向」という用語は、最も好ましくはボトル軸線Axと直交する方向であるが、これに限定されない。「横方向」はボトル軸線Axと直交する方向だけでなく、ボトル軸線Axと斜めに交差する方向を含む。
【0012】
図13に示す参照符号Lcは、後に詳しく説明するようにロック機構を示す。好ましくは、ボトル基部814と可動部材816との間にロック機構Lcが設けられる。ロック機構Lcをロックさせることにより可動部材816はボトル基部814に対してロック状態になる。他方、ロック機構Lcをロック解除することにより、可動部材816はボトル基部814から解放されて、可動部材816は付勢部材820によって変位することができる。
【0013】
付勢部材820は、圧縮スプリングで構成してもよいし、引っ張りスプリングで構成してもよい。
【0014】
変形例として、図14を参照して、可動部材816が2つの部分で構成され、第1の部分816(1)がボトル口部の基部814に取り付けられる。第1の部分816(1)はボトル基部814と一体成形されていてもよいが、第1の部分816(1)を例えば接着剤によってボトル基部814に固定されていてもよい。他方、第2の部分816(2)は横方向に変位可能である。好ましくは、第1の部分816(1)と第2の部分816(2)との間にロック機構Lcが設けられる。第1、第2の部分816(1)、816(2)の間に付勢部材820が介装される。付勢部材820は、圧縮スプリングで構成してもよいし、引っ張りスプリングで構成してもよい。
【0015】
ロック機構Lcのロック、アンロック動作は、実施例で説明するようにボトルの装着、取り外しに連動させる機構によって自動的に行うようにしてもよいが、例えばロック機構Lcを構成する部材に紐又はワイヤを連結して、ユーザが紐又はワイヤを操作することでロック機構Lcをロック動作又はアンロック動作させるようにしてもよい。
【0016】
本発明の作用効果及び他の目的は、以下の本発明の好ましい実施例の詳細な説明から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施例のカートリッジ式インクジェットプリンタを含む自動印字システムの全体構成図である。
図2】インクジェットプリンタの主要な要素であるプリンタ本体の全体構成図である。
図3】正面ドアを取り外した状態のプリンタ本体を示し、インクカートリッジ及び溶剤カートリッジを装着する前の夫々のリザーバが空の状態を説明するための図である。
図4】正面ドアを取り外した状態のプリンタ本体を示し、各々のリザーバにインクカートリッジと溶剤カートリッジを挿入した状態を説明するための図である。
図5】正面ドアを取り外した状態のプリンタ本体を示し、各々のリザーバにインクカートリッジと溶剤カートリッジの装着が完了した状態を説明するための図である。
図6A】インクカートリッジ又は溶剤カートリッジの装着操作によるボトルの下降移動に連動してカムフォロワ部の下端部分が上方カム面の上端に当接した状態を示す説明図である。
図6B】カムフォロワ部の下端部分が、上方カム面の上端に当接した状態を示す説明図である。
図6C】カムフォロワ部のボトル軸線と平行に上下方向に延びる中間部分が汚染防止庇の庇ピークと当接しながら下降する状態を示す説明図である。
図6D】ボトルが更に下降して、カムフォロワ部の上端部分が汚染防止庇と当接した状態を示す説明図である。
図6E】カムフォロワ部の上端部分が下方カム面に当接した状態を示す説明図である。
図6F】ボトルが下限位置に到達してボトル側端子(端子プレート)がリザーバ端子と接する接触位置に位置決めされた状態を示す説明図である。
図7図6Aの要部を拡大した部分拡大図である。
図8】インクカートリッジ又は溶剤カートリッジの装着又は取り外し操作によるボトルの中空針に向けた下降又は上昇移動に伴うボトル側端子(端子プレート)の移動軌跡を説明するための図である。
図9】連動機構に関する第2実施例に含まれる揺動レバーなどを説明するためのボトルの口部の拡大図であり、ボトル側端子(端子プレート)は退避位置に位置している。
図10図9とは別の角度から見た図である。
図11】連動機構に関する第2実施例に含まれる揺動レバーなどを説明するためのボトルの口部の拡大図であり、ボトル側端子(端子プレート)は接触位置に位置している。
図12A】連動機構に関する第2実施例の作用を説明するための図であり、退避位置でロックされた状態でボトルが下方移動することを説明するための図である。
図12B】連動機構に関する第2実施例の作用を説明するための図であり、ボトル装着完了直前に可動部材がロック解除されることを説明するための図である。
図12C】連動機構に関する第2実施例の作用を説明するための図であり、ボトル装着完了時にボトル側端子(端子プレート)が接触位置に位置してリザーバ端子と電気的に接続された状態を示す図である。
図13】第2の観点による本発明に従うカートリッジの一つの概念を説明するための図である。
図14】第2の観点による本発明に従うカートリッジの他の概念を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例
【0018】
以下に、添付の図面に基づいて本発明の好ましい実施例を説明する。
【0019】
<自動印字システム及びインクジェットプリンタ>
図1は、インクジェット記録装置を含む自動印字システムの一例の概略を示す図である。図示の自動印字システム1は、実施例のインクジェット記録装置2、ワーク検出センサ4、搬送速度センサ6及びディスプレイ装置8などで構成されている。
【0020】
インクジェット記録装置2は一般的に「インクジェットプリンタ」と呼ばれている。このインクジェットプリンタ2はインクを連続的に噴射するコンティニュアス式のプリンタである。インクジェットプリンタ2は、ワーク搬送ライン10に設置されてワーク搬送ライン10を流れるワークWに文字や図形を印字する。印字対象物であるワークWは、例えば電子部品、プラスチック袋などである。ワーク検出センサ4は、ワークWの有無を検出して印字を開始するトリガを出力する。このトリガ信号を受けてインクジェットプリンタ2は印字を開始する。
【0021】
インクジェットプリンタ2は、プリンタ本体200とヘッド300とを有し、プリンタ本体200とヘッド300とは可撓性ホース12によって連結されている。プリンタ本体200とヘッド300との間で速乾性のインク液が循環され、ヘッド300によって印字が実行される。
【0022】
図2は、インクジェットプリンタ2の全体構成の概要を示すブロック図である。プリンタ本体200は、その内部にメインタンク202を有し、このメインタンク202に速乾性のインク液が蓄えられている。メインタンク202内のインク液は第1ポンプ(インク供給ポンプ)204によってヘッド300のノズル302に供給される。ノズル302へのインク液の供給は常時継続され、ノズル302から吐出されたインク粒のうち、ワークWの印字に使用されないインク粒はガター304によって受け止められる。ガター304に滴下したインク粒はガターポンプ206によって吸引され、そしてメインタンク202に回収される。図中、Fはフィルタを示す。
【0023】
インクジェットプリンタ2へのインク及び溶剤の補充はカートリッジ式である。プリンタ本体200には、インクカートリッジ400と溶剤カートリッジ500とが着脱可能に装着される。インクカートリッジ400には、メインタンク202に補充するためのインク液が収容されている。溶剤カートリッジ500には、インク液の粘度を一定に保持するための溶剤である例えばメチルエチルケトン(MEK)が収容されている。
【0024】
インクジェットプリンタ2では、インク循環系の立ち上げ時や立ち下げ時に、ヘッド300のノズル302内を洗浄する洗浄処理が行われる。ノズル302の洗浄時には、溶剤カートリッジ500内の溶剤が溶剤ポンプ212によって直接的にヘッド300のノズル302に供給される。そして、ノズル302から吐出された溶剤はガター304で受け止められる。ガター304が受け取った溶剤はガターポンプ206によって吸引され、コンディショニングタンク210へ送られる。コンディショニングタンク210内の溶剤は補充・循環ポンプ216により必要に応じてメインタンク202に供給され、これにより回収した溶剤の再利用が行われる。
【0025】
補充・循環ポンプ216は、また、インクカートリッジ400内の補充用インク液を必要に応じてメインタンク202へ送出すると共にメインタンク202内のインクを循環させる機能を有し、この補充・循環ポンプ216によってメインタンク202内のインク液は常時循環される。メインタンク202には粘度計218が付設され、この粘度計218によってメインタンク202内のインク液の粘度を検出し、この粘度計218によって検出した粘度に応じてコンディショニングタンク210から溶剤をメインタンク202に供給することでメインタンク202内のインク液の粘度が一定に維持される。
【0026】
図3図5は、正面ドアを取り外した状態のプリンタ本体200を示す。図3は、インクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500を取り外した状態を示す。この図3を参照して、プリンタ本体200は、インクカートリッジ400と溶剤カートリッジ500とを受け入れる2つのリザーバ600を有し、リザーバ600は、インクカートリッジ400用と溶剤カートリッジ500用とが実質的に同じ構成である。リザーバ600は揺動可能である。リザーバ600が横軸を中心に揺動することにより、インクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500は、第1に、鉛直方向に起立した状態(図5参照)と、第2に、鉛直方向からプリンタ本体200の外側に所定角度傾斜した状態(図4参照)と、の2つの姿勢をとることができる。
【0027】
図4に示す状態は、インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500を装着又は取り外すときの状態を示す。図4に示すように、インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500をプリンタ本体200の外側に所定角度傾斜した状態にすることで、インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500の着脱操作を容易に行うことができる。
【0028】
図5は使用状態のインクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500を示す。使用状態では、インクカートリッジ400及び溶剤カートリッジ500が垂直方向に延びた状態でプリンタ本体200に収納される。
【0029】
インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500は共通のボトル800で構成されている。図6Aを参照して、ボトル口部812はゴム栓812aで封止されている。基部814には可動部材816が設けられ、この可動部材816は基部814に例えば含まれる水平面814aなどのガイド面によって案内されて、ボトル軸線Axと好ましくは直交する方向に移動可能である。なお、ガイド面は、作図上の理由で図面に現れていないが、基部814の左右の側面にも形成されている。可動部材816と基部814との間にはスプリング820が配設され、このスプリング820によって可動部材816はボトル軸線Axから離れる方向に付勢されている。すなわち、スプリング820は、可動部材816と基部814のそれぞれに取り付けられて、スプリング820の復元力によって、可動部材816がボトル軸線Axから離れる方向に付勢されている。
【0030】
なお、ボトル800は、インク又は溶剤が収容される内部空間を有する本体部の一例である。また、基部814及び口部812は、ボトル800からボトル軸線Axの方向に沿って延びて、ボトル800の内部空間と連通する管路を有しており、管路部の一例である。このことを、図6Aを参照して補足的に説明すると、ボトル800は、インク又は溶剤を収容する内部空間を備えたボトル本体800boと、その長手方向一端に設けられた管路部800coとを有し、管路部800coはボトル本体800boから第1の方向に延びている。管路部800coは上述した口部812及びその基部814によって構成される。ボトル本体800boの中のインク又は溶剤は、管路部800coで構成される管路を通じてインクジェット記録装置2の内部に供給される。この管路部800coの延び方向つまり第1の方向は、ボトル800の中心軸線によって規定され、そして、ボトル軸線Axを実質的に構成する。
【0031】
可動部材816には、記憶媒体として、特許文献1に開示の不揮発メモリであるEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)が搭載されている。EEPROMは図6Aなどにおいて図示を省略してある。変形例として、EEPROMをボトル基部814に設けてもよい。EEPROMには、カートリッジ固有のロット番号、メーカ識別番号、カートリッジバージョン、製造者識別番号、インクまたは溶剤の種別、シリアル番号、(インク又はカートリッジ)製造年月日などの情報の他に、ボトル800の中に入っているインクまたは溶剤の残量が記録されている。また、EEPROMには、好ましくは、EEPROMを取り付けるインクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500の固有の識別番号(又はシリアル番号)を記録させ、そして、この識別番号に基づいてプリンタ本体200側で当該インクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500のインク又は溶剤の残量を管理するようにしてもよい。プリンタ本体200との情報交信のために、可動部材816の前端面には縦長の第1端子つまりボトル側端子プレート830が横並びに複数配置されている。なお、ボトル側端子プレート830は、インクジェットプリンタ2のプリンタ本体200によりアクセスされる第1の端子の一例である。
【0032】
図6Aは、ボトル800の口部812がリザーバ600の中に入り込んだ状態を示す。リザーバ600は平面視矩形の壁を有し、その一つの壁にバネ性の金属棒を折り曲げることにより形成された複数のリザーバ端子602を有している。各リザーバ端子602は、上述したボトル側端子(端子プレート)830に対応する位置に配置されている。リザーバ600は、特許文献1に詳述されているように、上方に向けて開放した受け口610を有し、この受け口610にボトル口部812が嵌入される。受け口610にはその底部の中心部分に中空針612が直立した状態で配置されている。なお、ボトル800は、インク又は溶剤が収容される内部空間を有する本体部の一例である。
【0033】
中空針612はボトル軸線Axと同軸上に起立している。インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500をリザーバ600に装着して中空針612に向けて押し下げることにより、ボトル軸線Axと中空針612が整合した状態で中空針612がボトル口部812のゴム栓812aを貫通する。インクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500の内容液体は中空針612を通じて取り出すことができる。リザーバ600は、リザーバ端子602の上方且つ近傍に汚染防止庇620を有し、庇ピーク620aはリザーバ端子602よりも突出して該リザーバ端子602がインクや溶剤によって汚染されるのを防止する。
【0034】
<連動機構に関する第1実施例(図6A図6F図7)>
図7は、図6Aの要部部分拡大図である。図7を参照して、汚染防止庇620は、庇ピーク620aを挟んでその上方に上方カム面630を有し、下方に下方カム面640を有している。
【0035】
上方カム面630は、下方に向かうに従ってボトル軸線Axに接近する第1傾斜面で構成され、上方カム面630の下端は汚染防止庇620に接している。下方カム面640は、汚染防止庇620から下方に向かうに従ってボトル軸線Axから遠ざかる第2傾斜面で構成されている。すなわち、庇ピーク620aは上方カム面630の下端と下方カム面640の上端を構成している。そして、上方カム面630、庇ピーク620a、下方カム面640は、プリンタ本体200側の駆動カム部650を構成している。駆動カム部650は、汚染防止庇620とは別部材で構成してもよい。
【0036】
図7を参照して、上記駆動カム部650に関連したカムフォロワ部840が可動部材816に設けられている。このカムフォロワ部840は、可動部材816と一体成形してもよいし、別部材として可動部材816に取り付けてもよい。カムフォロワ部840はボトル側端子(端子プレート)830に関連してその上下に亘って延びている。カムフォロワ部840は、中間部分840aがボトル側端子(端子プレート)830よりも前方に突出した位置に位置している。すなわち、中間部分840aは、ボトル側端子(端子プレート)830よりもボトル軸線Axから遠ざかる位置に位置している。
【0037】
カムフォロワ部840の中間部分840aはボトル軸線Axと平行に上下方向に延びている。カムフォロワ部840の上端部分840b、下端部分840cは傾斜面で構成されている。上端部分840bは上端が下端よりもボトル軸線Axに近い位置に位置する前下がりの第1傾斜面で構成されている。下端部分840cは上端が下端よりもボトル軸線Axに遠い位置に位置する斜め下方に向いた第2傾斜面で構成されている。
【0038】
駆動カム部650、カムフォロワ部840は、スプリング820の付勢力に抗して可動部材816を退却させて汚染防止庇620と干渉するのを防止できる退避位置RPに可動部材816を維持する退避位置保持機構と、スプリング820の付勢力によって可動部材816を前進させて、端子プレート830がリザーバ端子602と接触できる接触位置CPに可動部材816を維持する接触位置保持機構とを構成する。なお、本実施例におけるスプリング820は、可動部材816やアーム部816aを、ボトル軸線Axと略直交する方向に(ボトル軸線Axから離反する方向に)付勢する付勢部の一例である。
【0039】
<第1実施例の作用>
図6A図6Fは、インクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500をプリンタ本体200に装着する一連の過程を示す。インクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500の装着はボトル800を押し下げることによって行われる。ボトル800の下降動作の過程において、図6Aは、カムフォロワ部840の下端部分840cが、上方カム面630の上端に当接した状態を示す。ボトル800が更に下降すると、図6Bに示すように、カムフォロワ部840の下端部分840cが上方カム面630と当接しながら下降する。上方カム面630は、上述したように、下方に向かうに従ってボトル軸線Axに接近する傾斜面で構成されているため、可動部材816は、スプリング820のバネ力に抗して、ボトル軸線Axに接近する方向つまり退避する方向に移動する。
【0040】
ボトル800が更に下降すると、図6Cに示すように、カムフォロワ部840のボトル軸線Axと平行に上下方向に延びる中間部分840aが庇ピーク620aと当接しながら下降する。この過程では、可動部材816は、最もボトル軸線Axに近づいた位置を保ちながら下降する。カムフォロワ部840の中間部分840aはボトル側端子プレート830よりも前方に突出した位置に存在しているため、第1端子つまりボトル側端子プレート830は汚染防止庇620の庇ピーク620aよりも相対的にボトル軸線Axに近い位置つまり退避位置RPを維持し続ける。これにより端子プレート830が汚染防止庇620を通過する過程において、端子プレート830が汚染防止庇620と干渉するのを防止できる。
【0041】
図6Dは、ボトル800が更に下降して、カムフォロワ部840の上端部分840bが庇ピーク620aと当接した状態を示す。この時点では、ボトル側端子プレート830が庇ピーク620aを通過して庇ピーク620aよりも下方に位置している。このタイミングで、中空針612がボトル口部812のゴム栓812aに突き刺さった状態になる。
【0042】
ボトル800が更に下降すると、図6Eに示すように、カムフォロワ部840の上端部分840bが下方カム面640に当接した状態になる。下方カム面640は、上述したように、下方に向かうに従ってボトル軸線Axから遠ざかる傾斜面で構成されているため、可動部材816は、スプリング820のバネ力によってボトル軸線Axから遠ざかる方向つまり前進方向に移動する。これによりボトル側端子プレート830はリザーバ端子602に接近する方向に移動する。また、この過程で、中空針612がボトル口部812の中に深く侵入する。
【0043】
そして、ボトル800が下限位置に到達すると、ボトル側端子プレート830はリザーバ端子602と接する接触位置CPに位置決めされる(図6F)。図6Fはボトル800の下限位置での状態を示し、ボトル800を下限位置に位置させることでインクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500の装着が完了する。図6Fに示す参照符号STはストッパを示す。ストッパSTはリザーバ600に一体成形されており、ボトル800の肩部がストッパSTに当接することによりボトル800の下限位置が規定される。下限位置において、可動部材816はスプリング820のバネ力によって付勢された状態のままである。また、スプリング820のバネ力によって可動部材816は、そのカムフォロワ部840の上端部分840bが下方カム面640に圧接した状態が維持されている。
【0044】
ボトル800を下限位置に位置決めすることにより端子プレート830と本体側のリザーバ端子602とが電気的に接続された状態になる。そして、このボトル装着完了の状態では、ボトル口部812の中に入り込んだ中空針612を通じてインクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500の内容液体を取り出すことができる。上述したボトル側端子プレート830の移動軌跡を図8に示す。
【0045】
逆に、空のボトル800を取り外すためにユーザがボトル800を引き上げる操作を行うと、駆動カム部650とカムフォロワ部840との連携作用によって、図8に示す移動軌跡に沿って、図6Fに図示の状態から図6E図6D・・・図6Aの状態に戻る。この取り外し工程においても、図6Cに示すように、スプリング820のバネ力に抗して可動部材816がボトル軸線Axに近づく方向に退却することで端子プレート830が汚染防止庇620と干渉しない退避位置RPをとる。このことから、ユーザはボトル800をボトル軸線Axに沿って持ち上げるだけで、端子プレート830が汚染防止庇620と干渉することなく、空のボトル800を取り外すことができる。なお、図6Dに示すように、端子プレート830が退避位置RPにあるとき、ボトル軸線Axから端子プレート830までの距離は、約25mmである。一方で、図6Fに示すように、端子プレート830が接触位置CPにあるとき、ボトル軸線Axから端子プレート830までの距離は、約33mmである。つまり、端子プレート830が退避位置RPから接触位置CPに変位する変位量は、約8mmとなる。言い換えると、端子プレート830は、ボトル軸線Axまでの距離(約25mm)を基準としたときに、ボトル軸線Axから離れる方向に、約30%の距離だけ変位する。
【0046】
<連動機構に関する第2実施例(図9図11)>
連動機構に関する第2実施例の説明において、第1実施例(図6A図6F図7)と共通する部材には同じ参照符号を付してその説明を省略する。第1実施例と同様に、可動部材816がスプリング820(図9)によって付勢されているが、図10図11にはスプリング820が作図上の理由から図面に現れていない。
【0047】
図9図11に図示の可動部材816は左右一つのアーム部816aを有している。図11から最も良く分かるように、ボトル基部814の左右の側面には、ボトル軸線Axと直交する方向に延びるガイド溝814aが形成されている。可動部材816のアーム部816aはガイド溝814aに摺動可能に配置され、可動部材816はガイド溝814aよって横方向に変位可能である。なお、可動部材816やアーム部816aは、端子プレート830や記憶媒体を保持する保持部の一例である。また、可動部材816のアーム部816aは、端子プレート830の変位を、ボトル軸線Axと略直交する方向にガイド(案内)するガイド部を構成する一例である。また、基部814の外周面に形成されたガイド溝814aは、可動部材816のアーム部816aを、基部814にスライド可能に取り付けるための構成要素である。
【0048】
図9図11はボトル口部812を拡大した図であり、図9図10とでは見る角度が異なっている。ボトル基部814には支軸850を中心に揺動する揺動レバー852が取り付けられている。支軸850は、揺動レバー852の長手方向中間部分に配置されている。横方に延びる揺動レバー852のボトル側端部には上方に向けて突出した係合突起854が設けられている。
【0049】
可動部材816のアーム部816aは、揺動レバー852のボトル側端部に対応する位置にロック部860を有している。可動部材816のロック部860と、ボトル側の前記揺動レバー852は、ロック機構Lcを構成している。ロック機構Lcの一部を構成するロック部860は、その下面に、上記係合突起854を受け入れる係止凹所862が形成され、この係止凹所862で、係合突起854に対する被係合部が構成されている。図9図10は、係止凹所862に係合突起854が入り込んだロック状態が図示されている。このロック状態では、可動部材816のボトル側端子プレート830が退避位置RPで位置固定される。
【0050】
可動部材816は、揺動レバー852に関連してバネ支持部870と圧縮バネ872とを有している。圧縮バネ872は係合突起854と同じ側つまりボトル側に配置され、これにより、揺動レバー852は、圧縮バネ872の付勢力によってロック方向に付勢される。図12Aはロック状態の揺動レバー852を示す。このロック状態では、ボトル側端子プレート830は、前述した退避位置RPをとる。
【0051】
図11は、ロック解除状態の揺動レバー852を示す。このロック解除状態では、圧縮バネ872の付勢力に抗して揺動レバー852が揺動して係止凹所862が係合突起854から離れたロック解除状態になる。これにより、可動部材816はスプリング820(図9)の付勢力によって前進し、ボトル側端子プレート830は、前述した接触位置CPをとる。揺動レバー852のロック解除は、リザーバ600の上方に向けて延びるロック解除突起660によって行われる(図12B図12C
【0052】
<第2実施例の作用>
図12A図12Cは、インクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500の装着操作に関連した時系列の状態変化を図示している。ボトル800の下降動作の過程において、端子プレート830が庇ピーク620aよりも下に位置するまで可動部材816はロック状態が維持される。したがって、インクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500の装着において、ボトル側端子プレート830(図9)は、端子プレート830が汚染防止庇620よりも下に位置するまで退避位置RPに位置している(図12A)。
【0053】
ボトル800が更に下降すると、図12Bに示すように、揺動レバー852がロック解除突起660によってロック解除方向に揺動される。この揺動レバー852の揺動によって係合突起854が係止凹所862から脱出する。これにより可動部材816のロック状態が解除され、スプリング820(図9)のバネ力によって可動部材816がボトル軸線Axから遠ざかる方向に変位する。そして、可動部材816のカムフォロワ部の上端部分840bが、汚染防止庇620の前述した下方カム面640と係合する。可動部材816の前進位置は、汚染防止庇620の下方カム面640によって規定される。
【0054】
ボトル800が更に下降して下端位置に達すると、図12Cに示すように、端子プレート830は接触位置CPをとって、端子プレート830(図9)とリザーバ端子602とが接触した状態になる。このボトル装着完了の状態では、ボトル口部812の中に入り込んだ中空針612を通じてインクカートリッジ400、溶剤カートリッジ500の内容液体を取り出すことができる。
【0055】
次に空のボトル800を取り外す際の動作を説明する。図12Cから図12B、そして図12Aに図示の状態になる。図12C(ロック解除状態)から図12B、そして、図12Bから図12A(ロック状態)に至るボトル800の上方移動は、可動部材816のカムフォロワ部の上端部分840bが、汚染防止庇620の前述した下方カム面640と係合した状態が維持され、下方カム面640の作用によって、可動部材816は、強制的に退避動作し、そして、図12Aの退避位置RPまで戻ると、揺動レバー852がロック部860によって固定される。このロック状態は圧縮バネ872の付勢力によって維持された状態でインクカートリッジ400又は溶剤カートリッジ500が取り外される。
【符号の説明】
【0056】
2 実施例のインクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)
400 インクカートリッジ
500 溶剤カートリッジ
600 リザーバ
602 リザーバ端子(本体側端子)
610 受け口
612 中空針
620 汚染防止庇
620a 庇ピーク
630 駆動カム部の上方カム面(第1傾斜面)
640 駆動カム部の下方カム面(第2傾斜面)
650 駆動カム部
660 ロック解除突起
800 ボトル
Ax ボトル軸線
812 ボトル口部
812a ゴム栓
814 ボトル口部の基部
816 可動部材
820 スプリング
830 ボトル側端子プレート(第1端子)
840 可動部材に関連したカムフォロワ部
840a カムフォロワ部の中間部分
840b カムフォロワ部の上端部分(第1傾斜面)
840c カムフォロワ部の下端部分(第2傾斜面)
Lc ロック機構
852 揺動レバー
854 揺動レバーの係合突起(係合部)
860 可動部材のロック部
862 係止凹所(被係合部)
872 圧縮バネ
RP 端子プレートの退避位置
CP 端子プレートの接触位置
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
図13
図14