(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】スクリーンユニット
(51)【国際特許分類】
E06B 9/42 20060101AFI20240716BHJP
E06B 9/66 20060101ALI20240716BHJP
【FI】
E06B9/42 A
E06B9/66
(21)【出願番号】P 2020152103
(22)【出願日】2020-09-10
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】相澤 雅也
(72)【発明者】
【氏名】相馬 剛
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭亮
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-30974(JP,A)
【文献】特開平8-60959(JP,A)
【文献】実開平2-122894(JP,U)
【文献】実開平2-122893(JP,U)
【文献】実開平2-122892(JP,U)
【文献】実開平2-122891(JP,U)
【文献】実開平2-11998(JP,U)
【文献】実開平2-11997(JP,U)
【文献】実開平2-11996(JP,U)
【文献】実開昭57-93596(JP,U)
【文献】米国特許第8944132(US,B1)
【文献】独国実用新案第9213660(DE,U1)
【文献】独国特許出願公開第10023630(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 1/00-11/08
E04F 10/00-10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋外に設けられるスクリーンユニットであって、
上方に引き上げられるスクリーンと、
前記スクリーンが収容され、上部に前記スクリーンが引き出されるスリットを備えた収容ケースと、
を有し、
前記スリットに隣接する位置には、当該スリットより低い位置に底を有し、前記収容ケース内とは仕切られている溝が形成されていることを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項2】
請求項1に記載のスクリーンユニットであって、
前記溝は、前記スリットと交差する交差方向に隣接して形成されていることを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスクリーンユニットであって、
前記溝は、前記スリットの両側に形成されていることを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のスクリーンユニットであって、
前記スクリーンは、回転軸に巻き付けられ前記収容ケースに収容されていることを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載のスクリーンユニットであって、
前記スリットと交差する交差方向における前記スリットの両側にて、前記収容ケースを各々保持する一対の保持部材を有しており、
前記溝は、前記収容ケースと前記一対の保持部材とにより形成されていることを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項6】
請求項5に記載のスクリーンユニットであって、
前記収容ケースは、前記スクリーンが収容される収容部から離れる方向に延出され前記底をなし前記保持部材に固定される固定部を有しており、
前記固定部に、前記溝内と前記収容部の外側とを連通する開口が設けられていることを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項7】
請求項5または請求項6に記載のスクリーンユニットであって、
前記溝に各々挿入されて前記底に載置される挿入片を有し、前記一対の保持部材間に架け渡されて前記溝上を覆うカバー部材を有し、
前記挿入片には、当該挿入片の前記保持部材側と前記収容ケース側とを連通する連通部を有していることを特徴とするスクリーンユニット。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれかに記載のスクリーンユニットであって、
前記スクリーンの上端部には、前記収容ケースの上端に当接して前記スリット上を覆う覆い部と、前記スリットの両側にて前記覆い部から下方に延出された下方延出部と、
を有する端部バーが設けられていることを特徴とするスクリーンユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋外に設けられ、スクリーンを引き上げて使用するスクリーンユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
スクリーンを引き上げて使用するスクリーンユニットとしては、例えば、スクリーンを引き下げて使用する従来周知のロールブラインドを逆さにして窓の下部に固定したロールブラインドが知られている(例えば、特許文献1参照)。このロールブラインドは、遮蔽布の下端を固着した巻取り軸を収納配設したヘッドボックスを、窓の下部に固定し、遮蔽布の上端に固定されたボトムレールを回転装置により上昇させることにより遮蔽布がヘッドボックスから引き出されるように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記ロールブラインドは、遮蔽布をヘッドボックスから上方に引き上げるため、遮蔽布が収容されるヘッドボックスの上部に、遮蔽布が引き出される開口が設けられている。このようなロールブラインドが屋外に設けられると、開口からヘッドボックス内に埃や雨水等が進入し、収容されている遮蔽布が汚れてしまうという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、屋外に設けられ引き上げて使用されるスクリーンが汚れにくいスクリーンユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、屋外に設けられるスクリーンユニットであって、上方に引き上げられるスクリーンと、前記スクリーンが収容され、上部に前記スクリーンが引き出されるスリットを備えた収容ケースと、を有し、前記スリットに隣接する位置には、当該スリットより低い位置に底を有し、前記収容ケース内とは仕切られている溝が形成されていることを特徴とするスクリーンユニットである。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、屋外に設けられ引き上げて使用されるスクリーンが汚れにくいスクリーンユニットを提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係るロールスクリーンユニットが取り付けられている状態を示す縦断面図である。
【
図2】本実施形態に係るロールスクリーンユニットが取り付けられている状態を示す平面図である。
【
図3】本実施形態に係るロールスクリーンユニットが取り付けられている状態を示す斜視図である。
【
図7】カバー部材を取り外した状態を示す平面図である。
【
図8】カバー部材を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図9】端部バーを係止部材に係止した状態を示縦断面図である。
【
図11】カバー部材上から建物側へ移動する水等の経路を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係るスクリーンユニットについて図面を参照して説明する。
【0010】
本実施形態においては、スクリーンユニットとして、スクリーンが、回転軸に巻き付けられて収容ケースに収容されている、所謂ロールスクリーンユニットを例に挙げて説明する。本実施形態に係るロールスクリーンユニット1は、
図1に示すように、例えば、建物2と、建物2の屋外側に設けられているデッキ3との間に設けられている。より具体的には、建物2が備える掃き出し窓用の建具4の下枠41と、建物2の屋外側に設けられているデッキ床3aとの間に設けられている。そして、デッキ床3aの高さから例えば遮光性を有するスクリーン11を上方に引き上げて使用するように構成されている。
【0011】
以下の説明においては、ロールスクリーンユニット1が設置された状態で、上下となる方向を上下方向、室内側から見たときに左右となる方向を左右方向、屋内外に出入りする方向を見込み方向として示す。ロールスクリーンユニット1の各部位であっても、また、ロールスクリーンユニット1を構成する各部材については単体の状態であっても、設置された状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0012】
デッキ床3aは、
図1~
図3に示すように、下枠41の屋外側に隣接する部分には設けられておらず、デッキ床3aと下枠41との間にロールスクリーンユニット1を設置する設置空間が確保されている。設置空間の左右方向における両脇には、建物2の外壁と隣接する位置までデッキ床3aが設けられている。設置空間の両脇に位置するデッキ床3aの端部には、断面がL字状のアングル材3bが設けられている。アングル材3bは、
図4、
図5に示すように、L字状をなす2つの板部が、デッキ床3aの上面と、デッキ床3aの設置空間に望む見込面とにそれぞれ対向するように配置されている。
【0013】
ロールスクリーンユニット1は、
図6に示すように、回転軸12に巻き付けられたスクリーン11と、スクリーン11が巻き付けられた回転軸12が収容される収容ケース13と、スクリーン11の上端が固定される端部バー14と、下枠41に固定されて収容ケース13を保持する枠側保持部材15と、デッキ床3aに固定されて収容ケース13を保持するデッキ側保持部材16と、下枠41とデッキ3との間において収容ケース13を覆うカバー部材17と、を有している。回転軸12は、左右方向に沿って配置されており、見込方向は、回転軸12と交差する交差方向となる。ここで、枠側保持部材15およびデッキ側保持部材16が、回転軸12と交差する交差方向における、後述するスリット13bの両側にて収容ケース13を各々保持する一対の保持部材に相当する。
【0014】
スクリーン11は、巻き取られる方向に付勢されて回転軸12に巻き付けられており、付勢力に抗して繰り出し可能である。スクリーン11が収容ケース13に収容された状態では、端部バー14が収容ケース13上に配置される。
【0015】
収容ケース13は、下枠41よりも長く、左右方向の両側において下枠よりも突出している。収容ケース13は、押し出し成形により製造されたケース本体18と、ケース本体18の左右を各々塞ぐ2枚の平板状の端部プレート19と、を有している。収容ケース13は、ケース本体18の押し出し方向が左右方向に沿わされ、下枠41とデッキ床3aとの間に配置される。
【0016】
収容ケース13の内部は、スクリーン11が巻き付けられた回転軸12が収容される収容部13aをなし、その上端にスクリーン11が引き出されるスリット13bが設けられている。収容ケース13内に収容された回転軸12は、両端が端部プレート19に回動自在支持されている。
【0017】
ケース本体18は、下端側にて見込方向に間隔を空けて対向する一対の下対向壁部18aと、上端側にて見込方向に間隔を空けて対向する一対の上対向壁部18bと、下枠41側とデッキ3側とにおいて各々、下対向壁部18aの上端と、上対向壁部18bの下端とを繋ぐ傾斜壁部18cと、各傾斜壁部18cから水平方向に延出された固定部18dと、上対向壁部18bの下端からケース本体18の外側に向かい水平方向に延出されたケース延出片18eと、を有している。
【0018】
一対の下対向壁部18aの間隔は、一対の上対向壁部18bの間隔よりも広く形成されており、一対の上対向壁部18bの上端が、スクリーン11が引き出されるスリット13bをなしている。スリット13bは、一対の下対向壁部18a間の上方において、見込方向における中央に位置しており、傾斜壁部18cは、下方に向かって間隔が広がるように傾斜している。尚、一対の下対向壁部18aの下端部間は開放されている。
【0019】
固定部18dは、各傾斜壁部18cの上下方向におけるほぼ中央から、収容部13aから離れる方向に向かい水平方向に延出された板状の部位であり、下対向壁部18aよりも外側まで延出されている。固定部18dの下対向壁部18aよりも外側に延出されている部位には、収容ケース13を枠側保持部材15またはデッキ側保持部材16に固定する皿ねじが挿通される皿もみ孔18fが、左右方向に互いに間隔を空けて複数設けられている。
【0020】
また、固定部18dの傾斜壁部18c側には、
図7、
図8に示すように、上下方向に貫通する開口としての、左右方向に長い長孔18gが、左右方向に互いに間隔を空けて複数設けられている。各皿もみ孔18fは、左右方向において隣り合う長孔18gの間に位置している。ケース延出片18eは、固定部18dと上下方向に重ならない程度に延出されており、収容ケース13を着脱するときに把持される部位である。尚、
図6においては、長孔18gに相当する部分をグレーに着色して示している。
【0021】
端部バー14は、押し出し成形により製造された部材であり、スクリーン11の幅方向に沿って、スクリーン11の幅より長く当該スクリーン11の両側に突出している。端部バー14は、スクリーン11が回転軸12に巻取られて収容ケース13内に収容されたときにスリット13bを覆う覆い部14aと、覆い部14aの見込方向における両端から各々下方に延出された下方延出部14bと、2つの下方延出部14bの間に全長に亘って設けられ、下方に突出する下方突出部14cとを有している。
【0022】
覆い部14aは、平板状の部位でありスクリーン11が収容されると、下面が一対の上対向壁部18bの上端に架け渡されるように当接し、下方延出部14bが収容部13aの外側で一対の上対向壁部18bと見込方向に対面する状態となる。すなわち、上部にスリット13bを備えた収容ケース13が端部バー14により蓋をされた状態となる。
【0023】
下方突出部14cは、スクリーン11が収容され覆い部14aが一対の上対向壁部18bの上端に当接されると、スリット13b内に挿入される。下方突出部14cは、覆い部14aと繋がって断面がほぼ矩形状の中空部14dを形成しており、見込方向の幅はスリット13bの幅よりも僅かに狭く形成されている。下方突出部14cの下面には、左右方向の全長に亘って、見込方向における中央に、中空部14dの内外を連通し、スクリーン11の上端が挿入されるスクリーン挿入口14eが設けられている。中空部14d内には、スクリーン挿入口14eから挿入されたスクリーン11の上端に固定されたプレート14fを端部バー14に保持するスクリーン保持空間14gが設けられている。
【0024】
スクリーン11は、
図9に示すように、端部バー14の両端部にてスクリーン挿入口14eに、建物側、たとえば建具4に設けられた係止部材5を係合して、端部バー14が係止されることにより、引き出された状態で保持される。スクリーン11は、係止部材5の上下方向における取り付け位置を変更可能な構成とすることにより、端部バー14が係止される位置を変えることができるので、スクリーン11により窓開口4aが覆われる領域を変更することが可能である。
【0025】
枠側保持部材15は、
図6に示すように、下枠41の最も屋外側に位置する見付け面を形成する下枠屋外壁部41aにねじにより固定されるねじ固定部15aと、ねじ固定部15aから下方に延出された枠側延出部15bと、枠側延出部15bの下端近傍から屋外側に向けてほぼ水平に延出された屋外延出部15cと、枠側延出部15bの下端から下方及び屋内側に延出されて下枠41に当接される下枠当接部15dとを有している。
【0026】
ねじ固定部15aは、下枠屋外壁部41aの屋内側に配置され、屋外側から下枠屋外壁部41aを貫通するねじが螺合されるように構成されている。枠側延出部15bは、ねじ固定部15aよりも屋外側に配置され、屋外側の面が下枠屋外壁部41aよりも僅かに屋外側に位置しており、ねじ固定部15aに螺合されるねじの頭部の屋外側への突出量が小さくなるように構成されている。屋外延出部15cには、収容ケース13の固定部18dに設けられている皿もみ孔18fを挿通した皿ねじが螺合されるねじ穴が形成されている。下枠当接部15dには、上下方向に貫通し左右方向に長い長孔でなる水抜き穴15eが、左右方向に互いに間隔を空けて複数設けられており、下枠41の下方に至った水等が屋外に排出されるように構成されている。尚、
図6においては水抜き穴15eに相当する部分をグレーに着色して示している。
【0027】
デッキ側保持部材16は、デッキ床3aの上面に載置されて固定されるデッキ固定部16aと、デッキ固定部16aの屋内側の端から下方に延出されたデッキ側延出部16bと、デッキ側延出部16bの下端から屋内側に向けてほぼ水平に延出された屋内延出部16cと、を有している。デッキ側保持部材16は、デッキ側延出部16bが、デッキ床3aの屋内側の端面に当接または近接して対面した状態でデッキ固定部16aがデッキ床3aの上面に固定される。屋内延出部16cには、収容ケース13の固定部18dに設けられている皿もみ孔18fを挿通した皿ねじが螺合されるねじ穴が形成されている。
【0028】
枠側保持部材15とデッキ側保持部材16とが取り付けられた状態で、枠側延出部15bとデッキ側延出部16bとの間隔は、収容ケース13が備える2つの固定部18dの先端同士の見込方向の間隔より僅かに広く設定されている。また、枠側保持部材15とデッキ側保持部材16とが取り付けられた状態で、屋外延出部15cと屋内延出部16cとは、同一の水平面を形成するように設定されており、屋外延出部15cの先端と屋内延出部16cの先端の見込方向における間隔は、収容ケース13が備える一対の下対向壁部18aにおける外側面同士の間隔よりも僅かに大きく設定されている。
【0029】
収容ケース13は、下枠41及びデッキ床3aに取り付けられた枠側保持部材15の屋外延出部15cとデッキ側保持部材16の屋内延出部16cとの上に固定部18dが載置され、皿ねじにより固定される。すなわち、収容ケース13は、枠側保持部材15及びデッキ側保持部材16を介して下枠41とデッキ床3aとの間に取り付けられる。
【0030】
下枠41とデッキ床3aとの間に収容ケース13が取り付けられると、収容ケース13が備えるスリット13bの、交差方向における両側の隣接する位置に、収容ケース13の固定部18dが底をなし、収容ケース13内とは仕切られている溝20が形成される。溝20は、スリット13bに沿って、スリット13bの長さとほぼ同じ長さに形成されている。また、溝20は、底をなす固定部18dに設けられている長孔18gにより溝20内と、溝20の下であって収容ケース13の外側の空間とが連通している。
【0031】
カバー部材17は、収容ケース13よりも僅かに長く、押し出し成形により製造されたカバー本体21と、カバー本体21の左右の端部を各々塞ぐ2枚の平板状をなす端部カバー22と、を有している。
【0032】
カバー本体21は、
図6、
図10に示すように、下枠41とデッキ床3aとの間を覆う上カバー21aと、上カバー21aの見込方向における両端から下方に各々延出された一対のカバー延出部21bと、一対のカバー延出部21bの下端から各々、互いに対向する側に僅かに延出された下延出片21cと、を有している。
【0033】
上カバー21aの上面には、左右方向に沿い全長に亘って複数の線状をなす窪み21dが設けられている。一対のカバー延出部21bの外側面の間隔は、枠側延出部15bとデッキ側延出部16bとの間隔よりも僅かに狭く形成されている。すなわち、一対のカバー延出部21bは、枠側延出部15bまたはデッキ側延出部16bと、近接して対面しており、それらの間には僅かな隙間が設けられている。
【0034】
一対のカバー延出部21bおよび各カバー延出部21bと繋がった下延出片21cには、各カバー延出部21bの下側の部位から下延出片21cが切り欠かれた切欠部21eが左右方向に間隔を空けて複数設けられている。
【0035】
図6に示すように、下枠41とデッキ床3aとの間にスクリーン11を備えた収容ケース13が取り付けられた状態でカバー部材17を配置すると、下延出片21cが溝20の底をなす固定部18d上に載置され、上カバー21aの上面が、デッキ側保持部材16のデッキ固定部16aとほぼ同じ高さに配置される。このとき、カバー部材17は、枠側保持部材15とデッキ側保持部材16との間に架け渡されて、溝20上を覆い、上カバー21aは、端部バー14よりも上に位置しており、一対のカバー延出部21bと枠側延出部15bまたはデッキ側延出部16bとの間の隙間と、溝20内におけるカバー延出部21bの上対向壁部18b側とが切欠部21eにより連通している。ここで、カバー延出部21bおよび下延出片21cが、溝20に各々挿入されて底をなす固定部18dに載置される挿入片に相当し、切欠部21eが、挿入片の保持部材側と収容ケース側とを連通する連通部に相当する。
【0036】
図5に示すように、下枠41とデッキ床3aとの間に配置されたカバー部材17の左右方向の両端に設けられた端部カバー22は、デッキ床3aに設けられたアングル材3bのと、僅かに間隔を空けて対向している。すなわち、端部カバー22と、デッキ床3aに設けられたアングル材3bとの間には、デッキ床3aの上の空間と、デッキ床3aの下の空間とを連通する隙間が形成されている。
【0037】
ロールスクリーンユニット1は、スクリーン11を使用するときには、カバー部材17を外して、端部バー14を引き上げることによりスクリーン11を引き出し、
図9に示すように、建具4に設けられた係止部材5にスクリーン挿入口14eを係合して端部バー14を係止する。スクリーン11を収納するときには、端部バー14を係止部材5から外して、回転軸12の付勢力によりスクリーン11を巻き取り、
図6に示すように、端部バー14の下方突出部14cをスリット13bに挿入し、覆い部14aを一対の上対向壁部18b上に載置する。このとき、スクリーン11は、収容ケース13内に収容され、2つの下方延出部14bは、スリット13bの外側で、一対の上対向壁部18bと見込方向に対向している。
【0038】
スクリーン11を収容ケース13に収容した後に、カバー部材17の一対のカバー延出部21bおよび下延出片21cを、スリット13bの両側に設けられた溝20に挿入して、カバー部材17を載置する。
【0039】
本実施形態のロールスクリーンユニット1によれば、スクリーン11が収容されている収容ケース13の、スクリーン11が引き出されるスリット13bの両側にスリット13bより低い位置に底を有する溝20が設けられているので、交差方向からスリット13bに進入しようとする水や埃等を溝20に移動させることができる。このため、スリット13bには水や埃等が入り難いので収容ケース13に収容されているスクリーン11が汚れることを防止することが可能である。このため、屋外に設けられ引き上げて使用されるスクリーン11が汚れにくいロールスクリーンユニット1を提供することが可能である。
【0040】
また、スリット13bの両側に設けられている溝20は、収容ケース13の固定部18dを、枠側保持部材15の屋外延出部15cとデッキ側保持部材16の屋内延出部16cとに固定することにより形成されるので、収容ケース13を枠側保持部材15およびデッキ側保持部材16により取り付けるだけでスリット13bの、交差方向における両側に溝20を備えることが可能である。
【0041】
また、収容ケース13に設けられて枠側保持部材15およびデッキ側保持部材16に固定される固定部18dに、溝20内と収容部13aの外側とを連通する長孔18gが設けられているので、固定部18dがなす溝20の底に設けられた長孔18gから、溝20に進入した水や埃等を収容部13a外に排出することが可能である。
【0042】
また、枠側保持部材15およびデッキ側保持部材16に間に架け渡されて溝20上を覆うカバー部材17において、溝20に挿入されて底をなす固定部18dに載置されるカバー延出部21bおよび下延出片21cに、枠側延出部15b側とデッキ側延出部16b側とを連通する切欠部21eが設けられているので、
図6に示すように、カバー部材17によりカバーされた状態で、カバー部材17の外側を、カバー延出部21bを伝って溝20内に進入する水や埃等を切欠部21eから枠側延出部15b側とデッキ側延出部16bに進入させ、長孔18gから収容部13a外に排出させることが可能である。尚、
図6においては、水が排出される経路を二点鎖線により示している。
【0043】
また、カバー部材17の長手方向(左右方向)の端部においては、
図5に示すように、カバー部材17の両端部に設けられている端部カバー22と、デッキ床3aに設けられたアングル材3bとの間から下方に水等が排出され、また、カバー部材17において建具4よりも左右方向に各々突出している部位上に至った水等は、
図11に示すように、建物2側に移動して建具4とアングル材3bとの間から下方に排出される。尚、
図5、
図11においては、水が排出される経路を二点鎖線により示している。
【0044】
また、スクリーン11の上端部には、収容ケース13が備える一対の上対向壁部18bの上端に当接してスリット13b上を覆う覆い部14aを備える端部バー14が設けられているので、スクリーン11が収容されている状態ではスリット13bが覆い部14aにより覆われている。このため、カバー部材17を外した状態であっても、水や埃等が収容ケース13内に進入することを防止することが可能である。また、覆い部14aには下方に延出された下方延出部14bが、スリット13bの両側に設けられているので、溝20内の水の水位が上昇したとしても、溝20内に溜まった水のスリット13b内への進入を抑制することが可能である。
【0045】
上記実施形態においては、スリット13bの、交差方向における両側に形成されている溝20が、スリット13bの長さとほぼ同じ長さに形成されている例について説明したが、これに限るものではない。例えば、溝は、スリットの長手方向に、スリットよりも長く形成され、交差方向においてスリットと隣接していない位置まで設けられていても構わない。また、溝がスリットよりも短く形成されている、或いは、溝が、スリットの交差方向においてスリットと隣接していない位置のみに設けられている形態であっても構わない。
【0046】
上記実施形態においては、スリット13bの、交差方向における両側に、溝20が設けられている例について説明したが、これに限らず、たとば、溝はスリットの、交差方向における少なくとも一方側のみに設けられていれば、水や埃等がスリットを通して収容ケース内に進入することを抑制することが可能である。
【0047】
上記実施形態においては、スクリーンユニットとして、ロールスクリーンユニット1を例に挙げて説明したが、これに限るものではない。スクリーンユニットは、例えば、蛇腹状に折り畳まれているなどの状態で、スクリーンが収容ケースに収容され、収容ケースの上部に設けられたスリットから引き上げられる形態であれば構わない。
【0048】
上記実施形態においては、ロールスクリーンユニット1が、建物2とデッキ3との間に設けられている例について説明したが、スクリーンを上方に引き上げて使用するように設置可能であれば設置場所は、これに限るものではない。
【0049】
上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0050】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
屋外に設けられるスクリーンユニットであって、上方に引き上げられるスクリーンと、前記スクリーンが収容され、上部に前記スクリーンが引き出されるスリットを備えた収容ケースと、を有し、前記スリットに隣接する位置には、当該スリットより低い位置に底を有し、前記収容ケース内とは仕切られている溝が形成されていることを特徴とするスクリーンユニットである。
【0051】
このようなスクリーンユニットによれば、スクリーンが収容されている収容ケースの、スクリーンが引き出されるスリットに隣接する位置には、当該スリットより低い位置に底を有する溝が設けられているので、スリットに進入しようとする水や埃を溝に移動させることができる。このため、スリットには水や埃等が入り難いので収容ケースに収容されているスクリーンが汚れることを防止することが可能である。このため、屋外に設けられ引き上げて使用されるスクリーンが汚れにくいスクリーンユニットを提供することが可能である。
【0052】
かかるスクリーンユニットであって前記溝は、前記スリットと交差する交差方向に隣接して形成されていることを特徴とする。
【0053】
このようなスクリーンユニットによれば、スリットと交差する交差方向からスリット内に、水や埃が進入することを防止することが可能である。
【0054】
かかるスクリーンユニットであって、前記溝は、前記スリットの両側に形成されていることを特徴とする。
【0055】
このようなスクリーンユニットによれば、交差方向の両側からスリットに進入しようとする水や埃を、スリットの、交差方向における両側において、それぞれ溝に移動させることができる。このため、水や埃等はスリット上を通過する可能性が低いので、水や埃等がスリットから進入することをより確実に防止することが可能である。
【0056】
かかるスクリーンユニットであって、前記スクリーンは、回転軸に巻き付けられ前記収容ケースに収容されていることを特徴とする。
【0057】
このようなスクリーンユニットによれば、回転軸に巻き付けられて収容ケースに収容されているスクリーンが汚れにくい、所謂ロールスクリーンユニットを提供することが可能である。
【0058】
かかるスクリーンユニットであって、前記回転軸と交差する交差方向における前記スリットの両側にて、前記収容ケースを各々保持する一対の保持部材を有しており、前記溝は、前記収容ケースと前記一対の保持部材とにより形成されていることを特徴とする。
【0059】
このようなスクリーンユニットによれば、スクリーンユニットを保持部材により取り付けるだけでスリットの交差方向における両側に溝を備えることが可能である。
【0060】
かかるスクリーンユニットであって、前記収容ケースは、前記スクリーンが収容される収容部から離れる方向に延出され前記底をなし前記保持部材に固定される固定部を有しており、前記固定部に、前記溝内と前記収容部の外側とを連通する開口が設けられていることを特徴とする。
【0061】
このようなスクリーンユニットによれば、収容ケースに設けられて保持部材に固定される固定部に、溝内と収容部の外側とを連通する開口が設けられているので、固定部がなす溝の底に設けられた開口から、溝に進入した水や埃等を収容部外に排出することが可能である。
【0062】
かかるスクリーンユニットであって、前記溝に各々挿入されて前記底に載置される挿入片を有し、前記一対の保持部材間に架け渡されて前記溝上を覆うカバー部材を有し、前記挿入片には、当該挿入片の前記保持部材側と前記収容ケース側とを連通する連通部を有していることを特徴とする。
【0063】
このようなスクリーンユニットによれば、一対の保持部材間を覆うカバー部材の溝に挿入されて底に載置される挿入片に、保持部材側と収容ケース側とを連通する連通部が設けられているので、カバー部材によりカバーされた状態で、カバー部材の外側を、挿入片を伝って溝内に進入する水や埃等を連通部から溝内における収容ケース側に進入させ、開口から収容部外に排出させることが可能である。
【0064】
かかるスクリーンユニットであって、前記スクリーンの前記上端部には、前記収容ケースの上端に当接して前記スリット上を覆う覆い部と、前記スリットの両側にて前記覆い部から下方に延出された下方延出部と、を有する端部バーが設けられていることを特徴とする。
【0065】
このようなスクリーンユニットによれば、スクリーンの上端部に設けられた端部バーは、収容ケースの上端に当接してスリット上を覆う覆い部を有しているので、スクリーンが収容されている状態ではスリットが覆い部により覆われている。このため、カバー部材を外した状態であっても、水や埃が収容ケース内に進入することを防止することが可能である。また、覆い部には下方に延出された延出片が、スリットの両側に設けられているので、溝内の水の水位が上昇したとしても、溝内に溜まった水のスリット内への進入することを抑制することが可能である。
【符号の説明】
【0066】
1 ロールスクリーンユニット、11 スクリーン、12 回転軸、
13 収容ケース、13a 収容部、13b スリット、14 端部バー、
14a 覆い部、14b 下方延出部、15 枠側保持部材、
16 デッキ側保持部材、17 カバー部材、18d 固定部、18g 長孔、
20 溝、21b カバー延出部、21c 下延出片、21e 切欠部、