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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】簡易構造物
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/00 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
E04B1/00 501F
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020152109
(22)【出願日】2020-09-10
(65)【公開番号】P2022046185
(43)【公開日】2022-03-23
【審査請求日】2023-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】東海 光喜
(72)【発明者】
【氏名】吉田 孝宏
(72)【発明者】
【氏名】山田 航之介
(72)【発明者】
【氏名】川嶋 賢
(72)【発明者】
【氏名】笹島 淳志
(72)【発明者】
【氏名】中村 誠也
【審査官】須永 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-305406(JP,A)
【文献】特開平10-082091(JP,A)
【文献】実開平07-023102(JP,U)
【文献】実開昭56-020802(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00-1/36
E04H 1/12
E04H 9/00-9/16
E04F 11/00-11/18
E04F 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床材と、床材の躯体側端部を支持する床材支持具とを備え、
床材支持具は、躯体に固定される躯体取付材及び屋根に載置される屋根載置材の二つの部材から成り、
屋根載置材は、根太掛けの下部に隣接する位置に屋根載置部を有するものであり、
床材支持具の上面が、床材支持具に隣接する根太の上面と略同一面となっており、
床材は、床材支持具の上面と床材支持具に隣接する根太の上面に載置されていることを特徴とする簡易構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
簡易構造物としては、下記非特許文献1に記載されているように、屋根置き型のバルコニーが知られている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】三協立山株式会社三協アルミ社、2020年2月発行の「ウォールエクステリアカタログ2020-2021(STW0564A)」p.856。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述の屋根置き型のバルコニーが設けられる建物は、窓の下枠の下端と屋根の上面との間の寸法が様々であり、この寸法が小さい場合に作業スペースが小さくなるため、屋根置き型のバルコニーのような簡易構造物の施工が困難となる。
このことから、窓の下枠の下端と屋根の上面との間の寸法が小さい場合でも施工が容易である簡易構造物が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために請求項1記載による簡易構造物は、床材と、床材の躯体側端部を支持する床材支持具とを備え、 床材支持具は、躯体に固定される躯体取付材及び屋根に載置される屋根載置材の二つの部材から成り、屋根載置材は、根太掛けの下部に隣接する位置に屋根載置部を有するものであり、床材支持具の上面が、床材支持具に隣接する根太の上面と略同一面となっており、床材は、床材支持具の上面と床材支持具に隣接する根太の上面に載置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、以上の構成により、窓の下枠の下端と屋根の上面との間の寸法が小さい場合でも施工が容易である簡易構造物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る簡易構造物の正面図である。
図2図1の側面図である。
図3図1の平面図である。
図4図3の(4)-(4)線一部切欠拡大断面図である。
図5】(a)は図4の(5a)-(5a)線断面図であり、(b)は図4の(5b)-(5b)線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明に係る実施形態の簡易構造物Aを説明する。
以下の説明で、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
また、図1において間口方向を左右方向とし、図2において出幅方向を前後方向とする。
【0009】
本実施形態で示す簡易構造物Aは、図1図3に示すように、躯体bの2階部分から望む1階部分の下向き傾斜状の屋根b1上に設置されるバルコニーであり、2階の窓b2から出入りできるようにされている。
また、簡易構造物Aは、後述の躯体b側の床材2が窓b2の下端と屋根b1の躯体b側の端部との間に配置され、この位置の床材2から屋根b1の前側の端部に向かって水平な床面となるように、複数の床材1、2が敷設されている。
なお、本実施形態では、躯体b側に配置された一枚を床材2とし、これ以外に配置される複数枚を床材1とする。
【0010】
簡易構造物Aは、図1図3に示すように、屋根b1の前側の左右に載置された支柱cと、支柱c間に架設された桁dと、柱cから躯体bに向かって設けられた左右の妻梁eと、桁d及び妻梁eの上方と笠木fとの間に立設された複数の格子材f1と、前述の床材1、2と、床材1、2を支持する根太3と、床材2を支持する床材支持具4とを備えている。
【0011】
支柱cの下端には、図1図2図4図5(a)に示すように、屋根b1を傷つけないように当接するクッション材c1を備えた角度調整機能を有する支持脚c2が取り付けられている。
支持脚c2は、図1において、支柱cの下端に対して左右方向の軸を中心に回転自在に取り付けられており、図4に示すように、所定の角度にてねじ止めにより固定されている。
この支持脚c2によって、屋根b1の角度に応じて調整することで、簡易構造物Aを屋根b1上に対して正常に載置することができる。
桁dの内側には、図4に示すように、根太受けc3が設けられており、この根太受けc3と後述する屋根載置材6の前側に取り付けられた根太掛け6cとにわたるように根太3が架設されている。
【0012】
桁dの内側には、図4に示すように、樋d1が設けられており、この樋d1の上方に床材1の端部が載置されている。
妻梁eは、図2に示すように、妻梁eと支柱cとにわたって設けられた支持部材c4によって支えられている。
妻梁eの内側には、図5に示すように、樋e1が設けられており、この樋e1の上方の開放部e10に前後方向に並べられる床材2の端部が挿入されている。
【0013】
床材支持具4は、図4及び図5に示すように、躯体bにおける窓b2の下方、且つ屋根b1の躯体b側の端部との間に固定された躯体取付材5と、屋根b1に載置された屋根載置材6とを備えている。
【0014】
躯体取付材5は、図4に示すように側面略L型に形成されていると共に、図5に示すように、長手方向を左右方向として形成されている。
躯体取付材5は、縦側の面を躯体b1に固定される固定面5aとし、前方へ水平に突出する面を屋根載置材6の後述の床材支持面6bが載置される支持面5bとしている。
固定面5aは、図4に示すように、窓b2の下端と屋根b1の後側(躯体b側)の端部上面との間のスペース(以下取付面b3という)以下の長さを有しており、この取付面b3の範囲内で固定できるようにされている。
躯体取付材5は、簡易構造物Aの左右方向の略全域に対応する長さの長尺なものであってもよいし、簡易構造物Aの左右方向に沿って部分的に複数配置される短尺なものであってもよい。
【0015】
屋根載置材6は、図4に示すように側面略L型に形成されていると共に、図5に示すように、長手方向を左右方向とするものであり、簡易構造物Aの左右方向の略全域に対応する長さとして形成されている。
屋根載置材6は、縦側の面を屋根b1に載置される載置部6aとし、後方へ水平に突出する面を前述の床材支持面6bとしている。
【0016】
載置部6aの下端には、図4に示すように、屋根b1を傷つけないように当接するクッション材5cが取り付けられている。
載置部6aには、前述のように根太掛け6cが取り付けられており、床材支持具4を屋根b1に設置することで、根太掛け6cを設けることができるため、簡易構造物Aの施工時において、根太掛け取付作業を省略することができ、これによって、施工の容易性を高めることができる。
根太掛け6cは、載置部6aにあらかじめ取り付けた構成以外にも、載置部6aと一体形成されている構成としてもよいし、載置部6aに後付けとしてもよい。
【0017】
床材支持面6bは、図4及び図5に示すように、躯体取付材5の支持面5bの上面に載置されていると共に、支持面5bに対してねじ止めにより固定されており、この床材支持面6bの上面60bが、根太3の上面3aと略同一面にされている。
床材支持面6bの後側の端部には、上面60bから段差を介して設けられたねじ止め部61bが設けられており、このねじ止め部61bが 支持面5bに上方から載置された状態でビス100により上方から固定されている。
床材支持面6bの上面60bとねじ止め部61bとの間の段差は、ねじ止め部61bの上面と床材2の下面との間に、ビス100の頭が床材支持面6bの上面60bから上方へ突出しない高さの空間を確保できる程度のものであり、これによって、ビス100の頭が床材2の下面に干渉しないようにすることができる。
床材支持面6bの下面には、前後方向に間隔を空けて並列する複数のリブ62bが垂設されており、リブ62bの先端が支持面5bの上面に当接している。
リブ62bは、ねじ止め部61bを確保するための前述の段差によって生じる床材支持面6bの下面と支持面5bの上面との間の空間を埋めて、人が床材2を踏んだ際の床材支持面6bの変形を防ぐようにしている。
また、隣合うリブ62b同士の間及び最前部のリブ62bと対面する載置部6aとの間が、後述するビス101の貫通用の空間として確保されている。
【0018】
図4及び図5に示すように、床材1、2は、根太3の上面3aと屋根載置材6における床材支持面6bの上面60bに載置されている。
【0019】
床材支持具4は、図4に示すように、躯体取付材5と屋根載置材6と別体にされており、躯体取付材5に対して屋根載置材6を前後方向にずらすことができる。
これによって、躯体取付材5に対して屋根載置材6を前後方向にずらすことで、屋根b1の角度に応じて、載置部6aの位置及び床材支持面6bの位置を調整することができ、簡易構造物Aの前後方向の長さを調整することができる。
また、根太2の前後長さが、床材1と床材2とを連結する際に根太2にねじ込まれるビス101の位置が根太2から外れる長さである場合、屋根載置材6を前方にずらすことで調整する。
このとき、床材支持面6bの上面60bをビス101と対向する位置に至らせると共に、根太掛け6cを根太3の下面に至らせることで、床材1と床材2とを連結するビス101を床材支持面6bの上面60bにねじ込むことができ、根太3を根太掛け6cに載置固定することができる。
これによって、床材1、2の固定及び根太3を固定できる。
なお、載置部6aを高さ方向の長さを調節自在な構成とすることで、屋根b1の角度に対応することができる。
【0020】
次に、簡易構造物Aの施工方法を説明する。
先ず、躯体取付材5を躯体bの取付面b3に前方からねじ止めにより固定する。
このとき、躯体取付材5の固定面5aの上下長さが取付面b3の上下長さ以下であるので、取付面b3の上下長さにかかわらず、容易に取り付けることができる。
次に、屋根載置材6を屋根b1に載置すると共に、床材支持面6bを支持面5bの上面に載置して支持面5bに対して上方からねじ止めにより固定する。
この二つの部材を取付けることで、床材支持具4が構成されると共に、躯体b及び屋根b1に取付けられ、同時に根太掛け6cが設置される。
このとき、屋根b1上には、簡易構造物Aの構成部材が何もないので、躯体取付材5及び屋根載置材6の取付作業を容易に行うことができる。
床材支持具4が構成された後に、妻梁e及び桁dを取付けた支柱c、根太3、床材1、格子f1、笠木fを順次組み立てることで簡易構造物Aを構築することができる
【0021】
以上の構成とする簡易構造物Aは、窓b2の下方の取付面b3の上下長さにかかわらず、床材支持具4を容易に取付けることができ、これによって、簡易構造物Aを容易に構築することができる。
【0022】
以上、本発明に係る実施形態の簡易構造物Aを、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0023】
また、前述の各実施形態は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0024】
A:簡易構造物
1:床材
2:床材
3:根太
4:床材支持具
5:躯体取付材
6:屋根載置材
3a:上面
5a:固定面
5b:支持面
6b:床材支持面
6a:載置部
5c:クッション材
6c:根太掛け
60b:上面
b:躯体
b1:屋根
b2:窓
b3:取付面
c:支柱
d:桁
e:妻梁
f:笠木
f1:格子
c1:クッション材
c2:支持脚
c3:根太受け
c4:支持部材
d1:樋
e1:樋
e10:開放部
図1
図2
図3
図4
図5