(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】生体電極、及び生体電極ユニット
(51)【国際特許分類】
A61B 5/259 20210101AFI20240716BHJP
A61B 5/296 20210101ALI20240716BHJP
A61B 5/395 20210101ALI20240716BHJP
【FI】
A61B5/259
A61B5/296
A61B5/395
(21)【出願番号】P 2020157337
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2019183802
(32)【優先日】2019-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000230962
【氏名又は名称】日本光電工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000383
【氏名又は名称】弁理士法人エビス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾▲高▼ 龍吾
(72)【発明者】
【氏名】西脇 重弘
(72)【発明者】
【氏名】吉原 弘
(72)【発明者】
【氏名】岩田 俊治
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-508400(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0129771(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/05-5/0538
5/24-5/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体の筋肉を刺激する第1電極と、
前記第1電極により刺激された筋肉から生じる生体信号を検出する第2電極、及び第3電極と、
前記第1電極と前記第2電極の間、又は前記第2電極と前記第3電極の間に配設される接続部と、
を備え、
前記第1電極、前記第2電極、前記第3電極の順に長軸方向に配置され、
前
記接続部は、
複数の長軸方向延在部を接続し、配線方向が変化する第1方向変化部を有することにより、前記第1電極と前記第2電極との距離
、又は前記第2電極と前記第3電極の間の距離を変更可能となっていることを特徴とする生体電極。
【請求項2】
前記接続部は、2つの前記第1方向変化部の組を複数有していることを特徴とする請求項1に記載の生体電極。
【請求項3】
前記第1電極と前記第2電極の間に配設される第1接続部と、前記第2電極と前記第3電極の間に配設される第2接続部を有し、前記第2接続部は配線方向が変化する第2方向変化部を有し、
前記第1接続部と前記第2接続部のいずれか一方は、前記長軸方向延在部を有した前記接続部であり、
前記第1方向変化部と前記第2方向変化部は、異なる方向に変化していることを特徴とする請求項1または2に記載の生体電極。
【請求項4】
前記第1接続部は、前記第1方向変化部を有し、
前記第2接続部は、前記第2方向変化部を有し、
前記第2方向変化部で
複数の短軸方向延在部を接続し、配線方向が変化することにより、
前記第2電極と前記第3電極との距離
を変更可能となっていることを特徴とする請求項
3に記載の生体電極。
【請求項5】
前記第1電極が配置され、接着性を有する第1電極配置部と、
前記第2電極が配置され、接着性を有する第2電極配置部と、
前記第3電極が配置され、接着性を有する第3電極配置部と、
を備え、
前記第1接続部は、
前記第1電極配置部と、前記第2電極配置部とを接続し、接着性を有さず、
前記第2接続部は、
前記第2電極配置部と、前記第3電極配置部とを接続し、接着性を有しないことを特徴とする請求項
3または4に記載の生体電極。
【請求項6】
前記長軸方向延在部の側方に、前記生体電極に流れるノイズを除去するニュートラル電極を備えていることを特徴とする請求項
4に記載の生体電極。
【請求項7】
請求項1乃至請求項
6に何れか記載の生体電極と、
前記生体電極が貼着される剥離シートと、
を備え、
前記剥離シートは、前記接続部に対応する位置に切り離し及び/または折り曲げ容易な加工が施されていることを特徴とする生体電極ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体情報を測定する際に用いられる生体電極や、生体電極ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生体電極は、粘着ゲルが設けられている面が剥離シートに接着された状態で提供される。そして、生体電極を使用する際には、剥離シートから生体電極を剥離し、粘着ゲルが設けられている面を生体(被験者)に接着して使用することとなる。
【0003】
ここで、基材シートの表面に、複数の電極が配置された生体電極が知られている(例えば、特許文献1)。このような生体電極によれば、複数の電極が1枚の基材シートに離間して複数配置されているので、所定の間隔を保持させたまま各電極を生体に接着することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような生体電極は、1枚の基材シートに対して複数の電極がパターン印刷されている。このため、複数の電極は、予め定められた位置に配設されることとなる。そうすると、例えば、被験者の手に生体電極を接着する場合に、被験者の手の大きさによっては、所望する位置に生体電極を接着することが困難となってしまうという問題点あった。
【0006】
本発明は、係る問題点に鑑み、所望する位置に電極を接着することが可能な生体電極、及び生体電極ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような課題を解決するために、本発明に係る生体電極は、生体の筋肉を刺激する第1電極と、前記第1電極により刺激された筋肉から生じる生体信号を検出する第2電極、及び第3電極と、前記第1電極と、前記第2電極との間に配設される第1接続部と、前記第1電極または第2電極と、前記第3電極との間に配設される第2接続部と、を備え、前記第1接続部は、少なくとも一カ所に方向が変化する第1方向変化部を有することにより、前記第1電極と前記第2電極との距離及び角度の少なくとも一方を変更可能となっていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明における生体電極において、前記第2接続部は、少なくとも一カ所に方向が変化する第2方向変化部を有することにより、前記第1電極または前記第2電極と前記第3電極との距離及び角度の少なくとも一方を変更可能となっていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明における生体電極において、前記第1電極、前記第2電極、及び前記第3電極は、列状に配設されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明における生体電極において、前記第1方向変化部と、前記第2方向変化部とは、異なる方向に変化していることを特徴とする。
【0011】
また、本発明における生体電極において、前記第1方向変化部は、長軸方向に変化しており、前記第2方向変化部は、短軸方向に変化していることを特徴とする。
【0012】
また、本発明における生体電極は、前記第1電極が配置され、接着性を有する第1電極配置部と、前記第2電極が配置され、接着性を有する第2電極配置部と、前記第3電極が配置され、接着性を有する第3電極配置部と、を備え、前記第1接続部は、前記第1電極配置部と、前記第2電極配置部とを接続し、接着性を有さず、前記第2接続部は、前記第2電極配置部と、前記第3電極配置部とを接続し、接着性を有しないことを特徴とする。
【0013】
また、本発明における生体電極において、前記生体電極に流れるノイズを除去するニュートラル電極を備えていることを特徴とする。
【0014】
また、本発明における生体電極において、前記第1電極は、負極からなる負極刺激電極と、陽極からなる陽極刺激電極と、を備える構成であり、前記ニュートラル電極は、前記負極刺激電極の近位に配置されることを特徴とする。
【0015】
また、本発明における生体電極において、前記第1電極は、負極からなる負極刺激電極と、陽極からなる陽極刺激電極と、を備える構成であり、前記ニュートラル電極は、前記負極刺激電極よりも上部に配置されることを特徴とする。
【0016】
また、本発明における生体電極において、前記ニュートラル電極は、前記負極刺激電極と、前記第2電極との間に配置されることを特徴とする。
【0017】
また、本発明における生体電極において、前記ニュートラル電極は、前記負極刺激電極の中心と、前記第2電極の中心とを結ぶ線分上に配置されることを特徴とする。
【0018】
また、本発明における生体電極ユニットは、請求項1乃至請求項11に何れか記載の生体電極と、前記生体電極が貼着される剥離シートと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、所望する位置に電極を接着することが可能な生体電極、及び生体電極ユニットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】生体電極ユニットの使用態様を示す図である。
【
図5】生体電極ユニットの使用態様を示す図である。
【
図6】第1接続部、第2接続部の変形例を示す図である。
【
図7】ニュートラル電極の第1変形例を示す図である。
【
図9】ニュートラル電極の第2変形例を示す図である。
【
図10】ニュートラル電極の第3変形例を示す図である。
【
図11】ニュートラル電極の第4変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、
図1~
図5を用いて本発明の一実施形態について説明を行う。
【0022】
(生体電極1の構造)
まず、
図1を用いて、生体電極1の構造について説明を行う。なお、
図1(A)は、生体電極1の表面図である。また、
図1(B)は、生体電極1の裏面図である。
【0023】
本実施形態における生体電極1は、生体(具体的には、生体電極1を使用する被験者)の筋肉に繋がる神経を刺激して、反応した筋肉の生体信号に基づいて、筋肉の弛緩度を監視する際に用いられる。例えば、生体電極1は、0.5秒ごとに筋刺激を4連発行い、この4連発の筋刺激を15秒ごとに繰り返し行うTOF(Train Of Four)法により、生体の筋肉の弛緩度を監視する際に用いられる。
【0024】
本体部2には、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5と、ニュートラル電極6とが配置される。また、本体部2は、基準電極5が配置される島上部2aと、活性電極4が配置される島中間部2bと、刺激電極3や、ニュートラル電極6が配置される島下部2cと、活性電極4が配置される島中間部2bと、刺激電極3が配置される島下部2cとの間に配設される第1接続部2dと、基準電極5が配置される島上部2aと、活性電極4が配置される島中間部2bとの間に配設される第2接続部2eとを備えている。
【0025】
第1接続部2dは、第1接続部2dの方向を変化させる第1方向変化部2fを有している。ここで、第1接続部2dは、第1方向変化部2fを有していることにより、刺激電極3と、活性電極4との距離、または角度の少なくとも一方を変更可能となっている。
【0026】
また、第2接続部2eは、第2接続部2eの方向を変化させる第2方向変化部2gを有している。ここで、第2接続部2eは、第2方向変化部2gを有していることにより、活性電極4と、基準電極5との距離、または角度の少なくとも一方を変更可能となっている。
【0027】
そして、第1方向変化部2fは、複数の長軸方向延在部を接続し、第1接続部2dを長軸方向に変化させている。また、第2方向変化部2gは、複数の短軸方向延在部を接続し、第2接続部2eを短軸方向に変化させている。即ち、第1方向変化部2fと、第2方向変化部2gとは、第1接続部2dと、第2接続部2eとをそれぞれ異なる方向に変化させている。
【0028】
ここで、第1方向変化部2fが第1接続部2dを長軸方向に変化させているのは、生体電極1を被験者に接着した場合に、第1接続部2dが立ち上がることによって、当該部分が被験者の手首に当接し、痛覚を刺激してしまうことを防止するためである。
【0029】
一方で、第2方向変化部2gが第2接続部2eを短軸方向に変化させているのは、生体電極1を被験者に接着した場合に、第2接続部2eが立ち上がることによって、当該部分が被験者の小指球に当接し、痛覚を刺激してしまうことを防止するためである。
【0030】
刺激電極3は、活性電極4や、基準電極5よりも長軸方向でコネクタ12から近い位置に設けられており、生体の筋肉に繋がる神経(例えば、尺骨神経)に対して電気刺激を付与するために設けられている。また、刺激電極3は、負極からなる負極刺激電極3aと、陽極からなる陽極刺激電極3bとを備える構成となっている。
【0031】
活性電極4は、刺激電極3と、基準電極5との間に設けられており、刺激電極3により付与された電気刺激に反応した筋肉から生じる生体信号を検出するために設けられている。また、本実施形態において、活性電極4は、負極からなる。ここで、活性電極4は、例えば、小指外転筋に対応して配置される。
【0032】
基準電極5は、刺激電極3や、活性電極4よりも長軸方向でコネクタ12から離れた位置に設けられており、刺激電極3により付与された電気刺激に反応した筋肉から生じる生体信号を検出するために設けられている。また、本実施形態において、基準電極5は、陽極からなる。ここで、基準電極5は、例えば、小指外転筋に対応して配置される。
【0033】
ニュートラル電極6は、生体電極1に流れるノイズを遮断するために設けられている。また、ニュートラル電極6は、負極刺激電極3aの近位に配置されている。換言すると、ニュートラル電極6は、負極刺激電極3aよりも上部(具体的には、負極刺激電極3aを基準として活性電極4に向かう方向、コネクタ12を基準として活性電極4に向かう方向)に配置されているといえる。また、ニュートラル電極6は、負極刺激電極3aと、活性電極4との間の領域に配置されているともいえる。これにより、負極からなる負極刺激電極3aと、負極からなる活性電極4とが近接した場合に生じるノイズを遮断し易くなっている。
【0034】
負極刺激電極用配線部7は、負極刺激電極3aとコネクタ12とを接続するために設けられている。これにより、負極刺激電極3aは、電気刺激装置(図示せず)が操作されたことに基づいて、負極刺激電極用配線部7を介して、生体に対して刺激を付与する。
【0035】
陽極刺激電極用配線部8は、陽極刺激電極3bとコネクタ12とを接続するために設けられている。これにより、陽極刺激電極3bは、電気刺激装置が操作されたことに基づいて、陽極刺激電極用配線部8を介して、生体に対して刺激を付与する。
【0036】
活性電極用配線部9は、活性電極4とコネクタ12とを接続するために設けられている。これにより、活性電極4は、生体の生体信号を検出したことに基づいて、活性電極用配線部9を介して、電気刺激装置に対して生体信号を出力する。なお、活性電極用配線部9の一部は、第1接続部2dに配置される。
【0037】
基準電極用配線部10は、基準電極5とコネクタ12とを接続するために設けられている。これにより、基準電極5は、生体の生体信号を検出したことに基づいて、基準電極用配線部10を介して、電気刺激装置に対して生体信号を出力する。なお、基準電極用配線部10の一部は、第2接続部2eに配置される。
【0038】
ニュートラル電極用配線部11は、ニュートラル電極6とコネクタ12とを接続するために設けられている。
【0039】
コネクタ12は、各電極に接続された各配線部を接続するために設けられている。具体的には、コネクタ12には、負極刺激電極3aに接続された負極刺激電極用配線部7と、陽極刺激電極3bに接続された陽極刺激電極用配線部8と、活性電極4に接続された活性電極用配線部9と、基準電極5に接続された基準電極用配線部10と、ニュートラル電極6に接続されたニュートラル電極用配線部11とが接続されている。また、コネクタ12は、電気刺激装置と接続される。なお、コネクタ12には、何れの配線部とも接続されていない予備の接続部が設けられている。
【0040】
粘着ゲル13は、各電極を生体に装着するために設けられており、各電極の裏面に覆設されている。具体的には、粘着ゲル13は、負極刺激電極3aの裏面に覆設される負極刺激電極用粘着ゲル13aと、陽極刺激電極3bの裏面に覆設される陽極刺激電極用粘着ゲル13bと、活性電極4の裏面に覆設される活性電極用粘着ゲル13cと、基準電極5の裏面に覆設される基準電極用粘着ゲル13dと、ニュートラル電極6の裏面に覆設されるニュートラル電極用粘着ゲル13eとを備える構成となっている。
【0041】
接着テープ14は、後述の剥離シート100に生体電極1を接着するために設けられており、接着性を有している。また、接着テープ14は、
図1(B)に示す通り、島下部2cの裏面であって、負極刺激電極用粘着ゲル13aや、陽極刺激電極用粘着ゲル13b、ニュートラル電極用粘着ゲル13eの周囲に設けられた刺激電極用接着テープ14aと、島中間部2bの裏面であって、活性電極用粘着ゲル13cの周囲に設けられた活性電極用接着テープ14bと、島上部2aの裏面であって、基準電極用粘着ゲル13dの周囲に設けられた基準電極用接着テープ14cとを備える構成となっている。
【0042】
なお、接着テープ14に代わって、例えば、糊が島上部2a、島中間部2b、及び島下部2cに付着され、剥離シート100と接着される構成であってもよい。すなわち、島上部2a、島中間部2b、及び島下部2cに接着性を持たせるような加工がなされていればよい。ここで、「接着性」とは、剥離シート100、または被験者の皮膚に吸着して離れない程度の粘度を有することを意味する。
【0043】
ここで、第1接続部2dの裏面、及び第2接続部2eの裏面は、接着テープが設けられていない。即ち、第1接続部2dの裏面、及び第2接続部2eの裏面は、接着性を有していない。このため、刺激電極用接着テープ14a、活性電極用接着テープ14b、基準電極用接着テープ14cを被験者に接着するときに、意図しない位置に接着してしまうことを防止することができる。
【0044】
(生体電極ユニットU)
次に、
図2を用いて、生体電極ユニットUについて説明を行う。なお、
図2(A)は、生体電極ユニットUの分解斜視図である。また、
図2(B)は、生体電極ユニットUの斜視図である。
【0045】
図2(A)に示す通り、生体電極ユニットUは、
図1を用いて説明した生体電極1と、剥離シート100とを有する。
【0046】
剥離シート100は、生体電極1が接着されるシートであって、透過性を有している。これにより、生体電極ユニットUの製造過程において、粘着ゲル13が各電極の裏面に覆設されているか否かを容易に確認することができる。
【0047】
また、剥離シート100は、島上部2aの基準電極用接着テープ14cが接着される剥離シート上部100aと、島中間部2bの活性電極用接着テープ14bが接着される剥離シート中間部100bと、島下部2cの刺激電極用接着テープ14aが接着される剥離シート下部100cとを有している。そして、剥離シート100は、第1加工部101と、第2加工部102と、第1切欠部103と、第2切欠部104と、アール部105と、位置決め孔106と、模様部107とを備えている。
【0048】
第1加工部101は、剥離シート上部100aと、剥離シート中間部100bとを切り離し及び/または折り曲げ容易な加工が施されている。
【0049】
第2加工部102は、剥離シート中間部100bと、剥離シート下部100cとを切り離し及び/または折り曲げ容易な加工が施されている。
【0050】
ここで、本実施形態における第1加工部101と、第2加工部102とは、剥離シート100を切り離し及び/または折り曲げ可能な態様としてミシン目加工を適用しているが、これに限定されることはなく、剥離シート100を切り離し及び/または折り曲げ可能であればどのような態様であってもよい。例えば、第1加工部101と、第2加工部102とは、剥離シート100の厚さの一部を断裁するハーフカット加工を適用することとしてもよい。具体的には、剥離シート100の厚み(例えば、75μm程度)に対して、この剥離シート100の厚み未満の所定の厚み(例えば、50μm程度)断裁することにより、剥離シート100を切り離し及び/または折り曲げ可能とすることとなる。
【0051】
なお、本実施形態において、第1加工部101は、生体電極1が剥離シート100に接着されている場合における島中間部2bの下端と、島下部2cの上端との間の第1の範囲100dの範囲内であれば、どの位置に設けられていてもよい。同様に、第2加工部102は、生体電極1が剥離シート100に接着された場合における島上部2aの下端と、島中間部2bの上端との間の第2の範囲100eの範囲内であれば、どの位置に設けられていてもよい。
【0052】
第1切欠部103は、第1加工部101の両側端に設けられている。また、本実施形態において、第1切欠部103は、
図2に示す通り、第1加工部101の右側端に設けられた第1右切欠部103aと、第1加工部101の左側端に設けられた第1左切欠部103bとを備える構成となっており、それぞれが略半円状の形状となっている。
【0053】
第2切欠部104は、第2加工部102の両側端に設けられている。また、本実施形態において、第2切欠部104は、
図2に示す通り、第2加工部102の右側端に設けられた第2右切欠部104aと、第2加工部102の左側端に設けられた第2左切欠部104bとを備える構成となっており、それぞれが略半円状の形状となっている。
【0054】
ここで、第1加工部101の幅は、第1切欠部103が設けられていることによって、剥離シート100の幅よりも短くなっている。同様に、第2加工部102の幅は、第2切欠部104が設けられていることによって、剥離シート100の幅よりも短くなっている。これらにより、第1加工部101に沿って剥離シート上部100aと、剥離シート中間部100bとを切り離すときや、第2加工部102に沿って剥離シート中間部100bと、剥離シート下部100cとを切り離すときに、切り離す途中で第1接続部2dや、第2接続部2eが緩みなく張ってしまい、剥離シート100を最後まで切り離すことができなくなってしまうことを防止することができる。
【0055】
また、第1切欠部103の形状と、第2切欠部104の形状とは、略半円状に限定されず、第1加工部101の幅を剥離シート100の幅よりも短くすることや、第2加工部102の幅を剥離シート100の幅よりも短くすることが可能な形状であれば、どのような形状であってもよい。
【0056】
アール部105は、第1切欠部103と、第2切欠部104の端部に設けられている。ここで、アール部105が設けられていることにより、第1加工部101に沿って剥離シート100を切り離すときや、第2加工部102に沿って剥離シート100を切り離すときに、角が立ってしまい、怪我をしてしまうことを防止することができる。
【0057】
位置決め孔106は、生体電極ユニットUの製造工程において、剥離シート100を固定するために設けられている。
【0058】
模様部107は、剥離シート100の長軸方向に、線状に設けられている。ここで、模様部107が設けられていることにより、透過性を有する剥離シート100を床に落とした場合であっても、剥離シート100を認識し易くなるので、剥離シート100を踏んで、滑って怪我をしてしまうことを防止することができる。なお、模様部107は、剥離シート100を認識し易い模様であれば、どのような模様であってもよい。
【0059】
(生体電極ユニットUの側面)
次に、
図3を用いて、生体電極ユニットUの側面図について説明を行う。
【0060】
図3に示す通り、生体電極1は、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とが一連の形状となっている。具体的には、活性電極4が配置される島中間部2bと、刺激電極3が配置される島下部2cとは、第1接続部2dにより接続されている。また、基準電極5が配置される島上部2aと、活性電極4が配置される島中間部2bとは、第2接続部2eにより接続されている。従って、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とが一連の形状となる。
【0061】
(生体電極ユニットUの使用態様)
次に、
図4~
図5を用いて、生体電極ユニットUの使用態様について説明を行う。
【0062】
上述した通り、生体電極1は、剥離シート100に接着されている。このため、生体電極1を使用する場合には、まず、
図4(A)に示す通り、剥離シート100を矢印Ar1の方向に移動させることにより、剥離シート下部100cと、刺激電極用接着テープ14aとの接着を剥離する。この結果、剥離シート100は、第2加工部102まで剥離される。
【0063】
次に、
図4(B)に示す通り、剥離シート100を矢印Ar2の方向に移動させることにより、剥離シート100を第2加工部102に沿って折り曲げる。なお、第2加工部102が切り離し可能なミシン目である場合、図示しないものの第2加工部102に沿って剥離シート下部100cを剥離シート100から切り離してしまっても構わない。
【0064】
次に、
図4(C)に示す通り、負極刺激電極用粘着ゲル13a、及び陽極刺激電極用粘着ゲル13bが被験者の尺骨神経に対応するように、刺激電極用接着テープ14aを接着する。
【0065】
次に、
図4(D)に示す通り、剥離シート100を矢印Ar3の方向に移動させることにより、剥離シート中間部100bと、活性電極用接着テープ14bとの接着を剥離する。この結果、剥離シート100は、第1加工部101まで剥離される。
【0066】
次に、
図5(A)に示す通り、剥離シート100を矢印Ar4の方向に移動させることにより、剥離シート100を第1加工部101に沿って折り曲げる。なお、第1加工部101が切り離し可能なミシン目である場合、図示しないものの第1加工部101に沿って剥離シート中間部100bを剥離シート上部100aから切り離してしまっても構わない。
【0067】
次に、
図5(B)に示す通り、活性電極用粘着ゲル13cが被験者の小指外転筋に対応するように、活性電極用接着テープ14bを接着する。
【0068】
このとき、第1接続部2dには、少なくとも刺激電極3と、活性電極4との距離や、角度を変化可能な第1方向変化部2fが設けられているので、第1接続部2dは、矢印Ar5の方向に延伸する。
【0069】
次に、
図5(C)に示す通り、剥離シート100を矢印Ar6の方向に移動させることにより、剥離シート上部100aと、基準電極用接着テープ14cとの接着を剥離する。この結果、剥離シート100は、生体電極1から剥離される。
【0070】
次に、
図5(D)に示す通り、基準電極用粘着ゲル13dが被験者の小指外転筋に対応するように、基準電極用接着テープ14cを接着する。
【0071】
このとき、第2接続部2eには、少なくとも活性電極4と、基準電極5との距離や、角度が変化可能な第2方向変化部2gが設けられているので、第2接続部2eは、矢印Ar7の方向に延伸する。
【0072】
このように、本実施形態における第1接続部2dには、第1方向変化部2fが設けられていることから、第1接続部2dが延伸可能となっている。また、本実施形態における第2接続部2eには、第2方向変化部2gが設けられていることから、第2接続部2eが延伸可能となっている。これらにより、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とが一連の形状となっている生体電極1において、被験者の手が大きい場合であっても、刺激電極3が配置される島下部2cと、活性電極4が配置される島中間部2bと、基準電極5が配置される島上部2aとを所望する位置に接着することができる。
【0073】
なお、本実施形態における生体電極1は、第1接続部2dが延伸可能であることや、第2接続部2eが延伸可能であることにより、刺激電極3が配置される島下部2cと、活性電極4が配置される島中間部2bと、基準電極5が配置される島上部2aとを被験者の手や腕に接着して使用するだけでなく、被験者の足に接着して使用することもできる。
【0074】
一方で、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とが一連の形状となっている生体電極1を、手が小さな被験者に使用する場合においても、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とを所望する位置に接着し難いという問題点がある。
【0075】
これに対して、本実施形態における第1接続部2dには、第1方向変化部2fが設けられているので、第1接続部2dが短縮可能となっている。また、本実施形態における第2接続部2eには、第2方向変化部2gが設けられているので、第2接続部2eが短縮可能となっている。これらにより、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とが一連の形状となっている生体電極1において、被験者の手が小さい場合であっても、刺激電極3が配置される島下部2cと、活性電極4が配置される島中間部2bと、基準電極5が配置される島上部2aとを所望する位置に接着することができる。
【0076】
ここで、被験者の手が小さい場合において、第1方向変化部2fにより第1接続部2dが短縮されると、負極からなる負極刺激電極3aと、負極からなる活性電極4とが近接することとなる。そうすると、検出される生体信号がノイズによって不安定となることが考えられるが、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aの近位に設けられているので、負極刺激電極3aと、活性電極4とが近接した場合であっても、効率的にノイズを遮断することができるので、検出される生体信号を安定させることができる。
【0077】
(第1接続部2d、第2接続部2eの変形例)
次に、
図6を用いて、第1接続部2d、第2接続部2eの変形例について説明を行う。なお、
図6(A)~
図6(C)は、変形例における第1接続部2d、第2接続部2eを示す図である。
【0078】
図6(A)は、変形例における第1接続部2d、第2接続部2eの変形例の第1態様である。ここで、変形例の第1態様における第1接続部2d、第2接続部2eは、第1方向変化部2f、第2方向変化部2gが2ヶ所ずつ設けられており、それぞれを斜め方向に変化させている。
【0079】
図6(B)は、変形例における第1接続部2d、第2接続部2eの変形例の第2態様である。ここで、変形例の第2態様における第1接続部2d、第2接続部2eは、第1方向変化部2f、第2方向変化部2gが6ヶ所ずつ設けられており、それぞれを長軸方向に変化させている。
【0080】
図6(C)は、変形例における第1接続部2d、第2接続部2eの変形例の第3態様である。ここで、変形例の第3態様における第1接続部2d、第2接続部2eは、第1方向変化部2f、第2方向変化部2gが1ヶ所ずつ設けられており、それぞれを回転方向に変化させている。
【0081】
このように、第1方向変化部2fにより第1接続部2dが変化する方向や、第2方向変化部2gにより第2接続部2eが変化する方向は、適宜設定可能である。
【0082】
また、第1接続部2dが有している第1方向変化部2fの数は、少なくとも1ヶ所に設けられていればよく、適宜設定可能である。
【0083】
同様に、第2接続部2eが有している第2方向変化部2gの数は、少なくとも1ヶ所に設けられていればよく、適宜設定可能である。
【0084】
(ニュートラル電極6の第1変形例)
次に、
図7を用いて、ニュートラル電極6の第1変形例について説明を行う。
【0085】
上述した実施形態において、ニュートラル電極6は、負極刺激電極3aの近位に設けられているが、ニュートラル電極6が設けられる位置は、生体電極1に流れるノイズを遮断することが可能であれば、適宜設定可能である。以下において、ニュートラル電極6が設けられる位置の好適な一例を説明する。
【0086】
第1変形例におけるニュートラル電極6は、
図7に示す通り、刺激電極3よりもコネクタ12に近い位置に設けられている。コネクタ12との距離が近くなることから、ニュートラル電極用配線部11を短くすることができるので、製造コストの削減を図ることができる。
【0087】
また、島上部2aや、島中間部2bにニュートラル電極6を設けた場合には、第1接続部2dや、第2接続部2eにニュートラル電極用配線部11の一部を設ける必要があるため、第1接続部2dや、第2接続部2eを太くする必要性が生じてしまい、第1接続部2dや、第2接続部2eを太くする分だけ製造コストが増加してしまう。このため、島上部2aや、島中間部2bにニュートラル電極6を設けた場合と比較しても製造コストを削減することができる。
【0088】
(活性電極4の電位波形)
次に、
図8を用いて、活性電極4の電位波形について説明を行う。
【0089】
まず、
図8のタイミングTaは、生体電極1に刺激電流を流す前のタイミングである。ここで、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とのそれぞれの間にインピーダンスがあるものの、生体電極1に刺激電流が流れているわけではないので、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とのそれぞれの間に電位差はない。
【0090】
次に、
図8のタイミングTbは、生体電極1に刺激電流を流し始めたタイミングである。ここで、生体電極1に刺激電流が流れると、負極刺激電極3aと、陽極刺激電極3bとの間に電位差が生じることとなる。具体的には、生体電極1に流れる刺激電流と、負極刺激電極3aと、陽極刺激電極3bとの間のインピーダンスとを積算した値の電位差が生じる。
【0091】
また、生体電極1は、
図5(D)に示す通り人体に貼着されると、皮膚や皮下のインピーダンスを伝って負極刺激電極3aと活性電極4との間や、負極刺激電極3aと基準電極5との間にも電位差が生じることとなる。なお、この電位差は、刺激電流を流している間(具体的には、タイミングTbからタイミングTcの間)に生じることとなる。
【0092】
次に、
図8のタイミングTcは、生体電極1に刺激電流を流し終えたタイミングである。ここで、生体電極1に刺激電流が流し終えると、活性電極4と、基準電極5とから負極刺激電極3aに向けて電荷が放電されることとなる。
【0093】
次に、
図8のタイミングTdは、アーチファクトノイズの検出を開始するタイミングである。ここで、アーチファクトノイズは、活性電極4と、基準電極5とから負極刺激電極3aに向けて電荷が放電される放電時間が早ければ早いほど小さくなる。
【0094】
また、放電の速度は、コンデンサCと、抵抗Rとを積算した値であるCR時定数に反比例する。このため、ニュートラル電極6が、活性電極4や、基準電極5の近位に配置されると、人体を介して活性電極4から負極刺激電極3aに抜けていく電荷と、活性電極4から電気刺激装置の内部回路を介してニュートラル電極6から負極刺激電極3aに抜けていく電荷とに分離する。
【0095】
そして、インピーダンスは、人体表面上の距離と正の相関があるため、第1変形例におけるニュートラル電極6の位置(
図7参照)のように、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aから離れた場所に配置されると、ニュートラル電極6と、負極刺激電極3aとの間のインピーダンスが大きくなる。そうすると、電気刺激装置の内部回路を介して抜けていく電荷の量が小さくなり、放電の速度が遅くなるので、アーチファクトノイズが大きくなる。これらのことから、ニュートラル電極6は、アーチファクトノイズを低減するという観点からいうと、負極刺激電極3aの近位に配置されていることが望ましい。
【0096】
また、ニュートラル電極6は、負極刺激電極3aや、陽極刺激電極3bの下部に配置すると、人体を介して活性電極4から負極刺激電極3aに抜けていく電荷と、活性電極4から電気刺激装置の内部回路を介してニュートラル電極6から負極刺激電極3aに抜けていく電荷とに分離し難くなる。このため、ニュートラル電極6は、負極刺激電極3aや、陽極刺激電極3bの下部に配置するよりも、負極刺激電極3aや、陽極刺激電極3bよりも上部に配置されていることが望ましい。
【0097】
なお、筋電図の測定は、タイミングTdの後に行われることとなる。具体的には、1200μs以降の第1のタイミングで筋電図の測定が開始され、第1のタイミング以降の第2のタイミングで筋電図の測定が終了することとなる。
【0098】
(ニュートラル電極6の第2変形例)
次に、
図9を用いて、ニュートラル電極6の第2変形例について説明を行う。
【0099】
図9に示す通り、第2変形例におけるニュートラル電極6は、島下部2cに配置されている。また、第2変形例におけるニュートラル電極6は、負極刺激電極3aよりも上部に配置されている。すなわち、第1変形例におけるニュートラル電極6が配置されている位置と比較すると、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aの近位に配置されている。
【0100】
そうすると、ニュートラル電極6が、負極刺激電極3aや、陽極刺激電極3bの下部に配置されている場合と比較して、ニュートラル電極6と負極刺激電極3aとの間のインピーダンスが小さくなる。そして、電気刺激装置の内部回路を介して抜けていく電荷の量が大きくなり、放電の速度が速くなるので、アーチファクトノイズを低減することができる。
【0101】
また、第2変形例におけるニュートラル電極6は、負極刺激電極3aの中心と、活性電極4の中心とを結ぶ線分L上に配置されている。これにより、上述した実施形態における生体電極1(
図1参照)と比較すると、負極刺激電極3aの中心とニュートラル電極6の中心とを結ぶ線が短くなることから、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aの近位となる。
【0102】
そうすると、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aの中心と、活性電極4の中心とを結ぶ線分L上に配置されていない場合と比較して、ニュートラル電極6と、負極刺激電極3aとの間のインピーダンスが小さくなる。そして、電気刺激装置の内部回路を介して抜けていく電荷の量が大きくなり、放電の速度が速くなるので、アーチファクトノイズを低減することができる。
【0103】
(ニュートラル電極6の第3変形例)
次に、
図10を用いて、ニュートラル電極6の第3変形例について説明を行う。
【0104】
第3変形例におけるニュートラル電極6は、
図9に示す通り、負極刺激電極3aよりも上部であって、島中間部2bに配置されている。また、第3変形例におけるニュートラル電極6は、負極刺激電極3aの中心と、活性電極4の中心とを結ぶ線分L上に配置されている。
【0105】
これにより、ニュートラル電極6を島中間部2bであって、線分L上以外の位置に配置した場合と比較すると、負極刺激電極3aの中心とニュートラル電極6の中心とを結ぶ線が短くなることから、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aの近位となる。
【0106】
そうすると、ニュートラル電極6と、負極刺激電極3aとの間のインピーダンスが小さくなる。そして、電気刺激装置の内部回路を介して抜けていく電荷の量が大きくなり、放電の速度が速くなるので、アーチファクトノイズを低減することができる。
【0107】
なお、第2変形例や、第3変形例で示したように、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aや、陽極刺激電極3bの上部であって、線分L上に配置されているときは、他の位置にニュートラル電極6が配置されている場合と比較して、アーチファクトノイズを効率よく低減することができる。
【0108】
(ニュートラル電極6の第4変形例)
次に、
図11を用いて、ニュートラル電極6の第4変形例について説明を行う。
【0109】
第4変形例における生体電極1は、
図11(A)に示す通り、第1接続部2dの右側に島右部2hが設けられている。そして、この島右部2hにニュートラル電極6が配置される。換言すると、ニュートラル電極6は、負極刺激電極3aよりも上部に配置されている。これにより、生体電極1に生じるアーチファクトノイズを低減することができる。また、第4変形例における生体電極1は、負極刺激電極3aと活性電極4の間の島右部2hにニュートラル電極6が配置されているので、負極刺激電極3aと活性電極4との間の領域以外にニュートラル電極6が配置された場合と比較して、生体電極1に生じるアーチファクトノイズを低減することができる。
【0110】
なお、
図11(B)に示す通り、第1接続部2dの左側に島左部2iを設け、この島左部2iにニュートラル電極6を配置してもよい。この場合においても、
図11(A)で示した生体電極1と同様に、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aよりも上部に配置されているので、生体電極1に生じるアーチファクトノイズを低減することができる。また、島左部2iにニュートラル電極6を配置した場合においても、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aと活性電極4の間の領域に配置されているといえるので、負極刺激電極3aと活性電極4との間の領域以外にニュートラル電極6が配置された場合と比較して、生体電極1に生じるアーチファクトノイズを低減することができる。
第4変形例では、生体電極に流れるノイズを除去するニュートラル電極6は、長軸方向延在部の側方に、備えられている。
【0111】
(その他の変形例)
以下において、その他の変形例について説明を行う。
【0112】
上述した実施形態における生体電極1は、刺激電極3の中心と、活性電極4の中心と、基準電極5の中心とを結ぶ線が一直線となるように配置されているが、刺激電極3と、活性電極4と、基準電極5とは、短軸方向にずれて配置されていてもよい。
【0113】
また、上述した実施形態における生体電極1は、基準電極5が島上部2aに配置され、活性電極4が島中間部2bに配置されているが、活性電極4を島上部2aに配置し、基準電極5を島中間部2bに配置することとしてもよい。
【0114】
また、上述した実施形態における生体電極1は、負極刺激電極3aが陽極刺激電極3bよりもコネクタ12から離れた位置に配置され、陽極刺激電極3bが負極刺激電極3aよりもコネクタ12から近い位置に配置されているが、陽極刺激電極3bが配置される位置と、負極刺激電極3aが配置される位置は逆であってもよい。
【0115】
また、上述した実施形態において、第1方向変化部2fは、第1接続部2dを長軸方向に変化させているが、第1接続部2dを短軸方向に変化させてもよい。同様に、第2方向変化部2gは、第2接続部2eを短軸方向に変化させているが、第2接続部2eを長軸方向に変化させてもよい。
【0116】
また、上述した実施形態において、第1方向変化部2fと、第2方向変化部2gとは、第1接続部2dと、第2接続部2eとをそれぞれ異なる方向に変化させているが、第1接続部2dと、第2接続部2eとを同じ方向に変化させてもよい。
【0117】
また、上述した実施形態において、第1加工部101、及び第2加工部102の具体例としてミシン目加工と、ハーフカット加工とについて説明したが、これに限定されることはない。例えば、第1加工部101や、第2加工部102の両側端を点止めし、点止めされた両側端の間を切り離す点止め加工を適用してもよい。また、第1加工部101や、第2加工部102の少なくとも一方の側端に切り込みを設ける態様を適用してもよい。
【0118】
また、上述した実施形態において、第1加工部101、及び第2加工部102は、剥離シート100を切り離し及び/または折り曲げ可能な態様として同一の加工を採用しているが、それぞれ異なる加工を採用してもよい。例えば、第1加工部101にミシン目加工を採用し、第2加工部102にハーフカット加工を採用することとしてもよい。
【0119】
また、上述した実施形態において、第1加工部101と、第2加工部102とは、剥離シート100を水平方向に切り離し及び/または折り曲げ可能となっているが、これに限定されることはなく、剥離シート100を切り離し及び/または折り曲げ可能な方向は、どのような方向であってもよい。例えば、第1加工部101と、第2加工部102とは、それぞれ剥離シート100を斜め方向に切り離し及び/または折り曲げ可能な態様であってもよい。
【0120】
また、上述した実施形態において、第1切欠部103と、第2切欠部104とは、それぞれの両側端に設けられていることとしているが、これに限定されることはなく、第1切欠部103や、第2切欠部104は、右側端、または左側端の何れか一方のみに設けられていることとしてもよい。
【0121】
また、上述した実施形態においては、各電極と、電気刺激装置とは、各電線部を介して接続されているが、各電極と、電気刺激装置とは、無線機能を介して接続されることとしてもよい。
【0122】
また、上述した実施形態や変形例において、ニュートラル電極6は、島下部2cや、島中間部2b、島右部2h、島左部2iに配置されることを説明したが、これに限定されることはなく、島上部2aに配置することとしてもよい。この場合においても、ニュートラル電極6が負極刺激電極3aよりも上部に配置されているので、生体電極1に生じるアーチファクトノイズを低減することができる。
【0123】
また、上述した実施形態において、生体電極ユニットUの使用態様として、
図4~
図5を用いて説明したが、生体電極ユニットUの使用態様は、以下の第1使用態様~第3使用態様とすることもできる。これにより、生体電極ユニットUの使用態様に幅を持たせることができるので、医療従事者が生体電極ユニットUを使用する際の選択肢を付与することができる。
【0124】
(第1使用態様)
第1使用態様は、まず、第1加工部101に沿って剥離シート下部100cを切り離し、島下部2cを剥離シート下部100cから剥離し、刺激電極用接着テープ14aを被験者に接着する。次に、第2加工部102に沿って剥離シート中間部100bを切り離し、島中間部2bを剥離シート中間部100bから剥離し、活性電極用接着テープ14bを被験者に接着する。次に、島上部2aを剥離シート上部100aから剥離し、基準電極用接着テープ14cを被験者に接着する使用態様である。
【0125】
(第2使用態様)
第2使用態様は、まず、島上部2aを剥離シート上部100aから剥離し、剥離シート100を第2加工部102に沿って折り曲げ、基準電極用接着テープ14cを被験者に接着する。次に、島中間部2bを剥離シート中間部100bから剥離し、剥離シート100を第1加工部101に沿って折り曲げ、活性電極用接着テープ14bを被験者に接着する。次に、島下部2cを剥離シート下部100cから剥離し、刺激電極用接着テープ14aを被験者に接着する使用態様である。
【0126】
(第3使用態様)
第3使用態様は、まず、第2加工部102に沿って剥離シート上部100aを切り離し、島上部2aを剥離シート上部100aから剥離し、基準電極用接着テープ14cを被験者に接着する。次に、第1加工部101に沿って剥離シート中間部100bを切り離し、島中間部2bを剥離シート中間部100bから剥離し、活性電極用接着テープ14bを被験者に接着する。次に、島下部2cを剥離シート下部100cから剥離し、刺激電極用接着テープ14aを被験者に接着する使用態様である。
【0127】
このように、本発明における生体電極1は、刺激電極3、活性電極4、基準電極5を備えている。また、刺激電極3と、活性電極4の間には、第1接続部2dが配設されており、活性電極4と、基準電極5との間には、第2接続部2eが配設されている。そして、第1接続部2dは、少なくとも方向を変化する第1方向変化部2fを有しており、刺激電極3と活性電極との距離及び角度の少なくとも一方を変更可能となっている。これにより、第1接続部2dは、延伸、及び短縮することが可能になるので、所望する位置に電極を接着することが可能な生体電極、及び生体電極ユニットを提供することができる。
【0128】
刺激電極3は第1電極、活性電極4は第2電極、基準電極5は第3電極の例であり、島下部2cは第1電極配置部、島中間部2bは第2電極配置部、島上部2aは第3電極配置部の例である。そして、刺激電極3(第1電極)、活性電極4(第2電極)、基準電極5(第3電極)の順に長軸方向に配置されている。
【0140】
なお、本発明の実施について図面を用いて説明したが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても本発明に含まれる。また、各図面で示した実施形態は、その目的及び構成等に矛盾や問題がない限り、互いの記載内容を組み合わせることが可能である。また、各図面の記載内容はそれぞれ独立した実施形態になり得るものであり、本発明の実施形態は各図面を組み合わせた一つの実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0141】
1 :生体電極
2 :本体部
2a :島上部
2b :島中間部
2c :島下部
2d :第1接続部
2e :第2接続部
2f :第1方向変化部
2g :第2方向変化部
2h :島右部
2i :島左部
3 :刺激電極
3a :負極刺激電極
3b :陽極刺激電極
4 :活性電極
5 :基準電極
6 :ニュートラル電極
7 :負極刺激電極用配線部
8 :陽極刺激電極用配線部
9 :活性電極用配線部
10 :基準電極用配線部
11 :ニュートラル電極用配線部
12 :コネクタ
13 :粘着ゲル
13a :負極刺激電極用粘着ゲル
13b :陽極刺激電極用粘着ゲル
13c :活性電極用粘着ゲル
13d :基準電極用粘着ゲル
13e :ニュートラル電極用粘着ゲル
14 :接着テープ
14a :刺激電極用接着テープ
14b :活性電極用接着テープ
14c :基準電極用接着テープ
100 :剥離シート
100a :剥離シート上部
100b :剥離シート中間部
100c :剥離シート下部
100d :第1の範囲
100e :第2の範囲
101 :第1加工部
102 :第2加工部
103 :第1切欠部
103a :第1右切欠部
103b :第1左切欠部
104 :第2切欠部
104a :第2右切欠部
104b :第2左切欠部
105 :アール部
106 :位置決め孔
107 :模様部
U :生体電極ユニット