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特許7520671太陽電池モジュールの設置方法、太陽電池モジュール
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】太陽電池モジュールの設置方法、太陽電池モジュール
(51)【国際特許分類】
   H02S 40/34 20140101AFI20240716BHJP
   H02S 30/10 20140101ALI20240716BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240716BHJP
【FI】
H02S40/34
H02S30/10
H02S20/23 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020165210
(22)【出願日】2020-09-30
(65)【公開番号】P2022057116
(43)【公開日】2022-04-11
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大江 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】山口 裕之
(72)【発明者】
【氏名】後藤 直樹
【審査官】吉岡 一也
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-156209(JP,A)
【文献】特開2000-031517(JP,A)
【文献】特開2014-090007(JP,A)
【文献】特開2000-345672(JP,A)
【文献】特開2001-182264(JP,A)
【文献】中国実用新案第203722544(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02S 20/00-40/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の太陽電池セルに対して電気的に接続されたことで発電された電流を取り出す端子箱と、前記端子箱から延びる集電ケーブルと、前記複数の太陽電池セルを囲むように外縁部に位置するフレームと、を備える太陽電池モジュールを設置場所に設置する、太陽電池モジュールの設置方法において、
前記集電ケーブルの長手方向における中間部を前記フレームに対して、少なくとも一時的に固定する中間部固定工程と、
前記集電ケーブルの端部を前記フレームと前記端子箱との間の領域に位置させ、前記フレームと前記端子箱との間に前記集電ケーブルの前記端部に設けられているコネクタを挟み込んで保持する端部処理工程と、を実施するものであって、
前記中間部固定工程及び前記端部処理工程が、前記太陽電池モジュールを前記設置場所に持ち運ぶ前にあらかじめ実施されることを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項2】
前記太陽電池モジュールを傾斜させて設置して、前記端子箱を前記太陽電池モジュールにおける下部に位置させることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項3】
前記太陽電池モジュールを傾斜させて設置して、前記端子箱を前記太陽電池モジュールにおける上部に位置させることを特徴とする、請求項1に記載の太陽電池モジュールの設置方法。
【請求項4】
複数の太陽電池セルに対して電気的に接続されたことで発電された電流を取り出す端子箱と、前記端子箱から延びる集電ケーブルと、前記複数の太陽電池セルを囲むように外縁部に位置するフレームと、を備える太陽電池モジュールにおいて、
前記フレームに対して着脱可能であって、前記集電ケーブルの中間部を少なくとも一時的に前記フレームに固定することで前記フレームの内方に保持するケーブル保持具を更に備え
更に、前記フレームと前記端子箱との間に前記集電ケーブルの端部に設けられているコネクタを挟み込んで保持可能に構成されていることを特徴とする太陽電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池セルが集合した太陽電池モジュールの設置方法、及び、この太陽電池モジュールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電設備を設ける際、設置場所にて、架台上に太陽電池モジュールが置かれる。一方、太陽電池モジュールからは集電ケーブルが延びている。太陽電池モジュールから延びる集電ケーブルは、例えば、特許文献1に記載されている。設置場所にて、集電ケーブルを接続して電気配線を構築することで、太陽電池モジュールで発電された電流を集めて利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-70346号公報(図13
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、集電ケーブルは一定長さを有した柔軟なものであるから、集電ケーブルがぶら下がった状態で太陽電池モジュールを持ち運ぶと、設置場所にて、架台上に太陽電池モジュールを置く際に、太陽電池モジュールの外縁部に位置するフレームと架台との間に集電ケーブルが挟まれてしまうことがある。そうなると、集電ケーブルに断線等の破損が生じることがあるので不都合である。
【0005】
そこで本発明は、設置時に集電ケーブルを破損しにくい太陽電池モジュールの設置方法、及び、この太陽電池モジュールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、複数の太陽電池セルに対して電気的に接続されたことで発電された電流を取り出す端子箱と、前記端子箱から延びる集電ケーブルと、前記複数の太陽電池セルを囲むように外縁部に位置するフレームと、を備える太陽電池モジュールを設置場所に設置する、太陽電池モジュールの設置方法において、前記集電ケーブルの長手方向における中間部を前記フレームに対して、少なくとも一時的に固定する中間部固定工程と、前記集電ケーブルの端部を前記フレームと前記端子箱との間の領域に位置させる端部処理工程と、を実施することを特徴とする太陽電池モジュールの設置方法である。
【0007】
この構成によれば、集電ケーブルの長手方向における中間部はフレームに対して固定され、集電ケーブルの端部はフレームと端子箱との間の領域で保持される。このため、集電ケーブルの位置をフレームに対して定めることができる。よって、集電ケーブルの位置が定まらないことで、集電ケーブルがフレームと架台とに挟まれて損傷することを抑制できる。
【0008】
また本発明は、複数の太陽電池セルに対して電気的に接続されたことで発電された電流を取り出す端子箱と、前記端子箱から延びる集電ケーブルと、前記複数の太陽電池セルを囲むように外縁部に位置するフレームと、を備える太陽電池モジュールにおいて、前記フレームに対して着脱可能であって、前記集電ケーブルを少なくとも一時的に前記フレームに固定することで前記フレームの内方に保持するケーブル保持具を更に備えることを特徴とする太陽電池モジュールである。
【0009】
この構成によれば、集電ケーブルの長手方向における中間部はケーブル保持具によりフレームに対して固定される。このため、集電ケーブルの位置をフレームに対して定めることができる。よって、集電ケーブルの位置が定まらないことで、集電ケーブルがフレームと架台とに挟まれて損傷することを抑制できる。また、ケーブル保持具はフレームに対して着脱可能なため、一時的、恒久的いずれの固定も可能である。
【0010】
そして、前記太陽電池モジュールを傾斜させて設置して、前記端子箱を前記太陽電池モジュールにおける下部に位置させるものとできる。
【0011】
この構成によれば、集電ケーブルが端子箱から垂れ下がり、フレームをまたいでしまうことを抑制できる。
【0012】
そして、前記太陽電池モジュールを傾斜させて設置して、前記端子箱を前記太陽電池モジュールにおける上部に位置させるものとできる。
【0013】
この構成によれば、垂れ下がった集電ケーブルが作業者の邪魔になることを抑制できる。
【発明の効果】
【0014】
本発明は、集電ケーブルの位置が定まらないことで、集電ケーブルがフレームと架台とに挟まれて損傷することを抑制できる。よって、設置時に集電ケーブルを破損しにくい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係る太陽電池モジュールの設置要領を示す分解斜視図である。
図2】前記太陽電池モジュールを単体で示す平面図である。
図3】前記太陽電池モジュールを単体で示す底面図である。
図4】前記太陽電池モジュールの、底面側での要部拡大斜視図である。
図5】前記太陽電池モジュールを単体で示す底面図であって、ケーブルが環状の形態とされる前の状態を示す。
図6】前記太陽電池モジュールに備えられるケーブル保持具を単体で示す背面、底面、左側面側からの斜視図である。
図7】前記太陽電池モジュールに備えられるケーブル保持具を単体で示す正面図である。
図8】前記ケーブル保持具を単体で示す背面図である。
図9】前記ケーブル保持具を単体で示す平面図である。
図10】前記ケーブル保持具を単体で示す底面図である。
図11】前記ケーブル保持具を単体で示す右側面図である。
図12】前記ケーブル保持具を単体で示す、図7のXII-XII拡大断面図である。
図13】前記ケーブル保持具を単体で示す、図7のXIII-XIII拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明につき、一実施形態を取り上げて、図面とともに以下説明を行う。本実施形態の太陽電池モジュール1は、例えば図1に示すように、複数が地面や建築物の屋根または屋上面に配置された架台2上に並べられて設置される。太陽電池モジュール1の単体は、図2に示すように、複数の太陽電池セル11~11が集合して封止されたことにより、1枚の板状の形態とされたものである。本実施形態の太陽電池セル11は、異種のシリコンを組み合わせて構成されたヘテロタイプであるが、組み合わせを行わない単結晶タイプであってもよい。また、本実施形態の太陽電池モジュール1はガラスで封止されているが、樹脂フィルム等、他の材料で封止されていてもよい。なお、太陽電池モジュール1がガラス封止された場合、実際には底面視でも太陽電池セル11が視認できるが、図3では太陽電池セル11の図示を省略している。本実施形態の太陽電池モジュール1は平面視で長方形に形成されている。太陽電池セル11は、例えば、長辺側で8枚、短辺側で6枚の48枚が集合している(数量及び並びは限定されない)。なお、太陽電池モジュール1の形状は長方形に限定されず、種々の形状とできる。
【0017】
本実施形態の太陽電池モジュール1は、図3及び図4に示すように、主に、端子箱12、集電ケーブル13、フレーム14、ケーブル保持具15を備える。
【0018】
端子箱12は、複数の太陽電池セル11~11に対して電気的に接続されたことで発電された電流を取り出す部分である。詳細を図示していないが、複数の太陽電池セル11~11が接続された電極が端子箱12に露出しており、ここに集電ケーブル13が接続されている。端子箱12は、太陽電池モジュール1の底面側に突出している。具体的には、図2に示すように、各太陽電池セル11の複数のバスバー電極111~111が延長されて、1本または、前記複数のバスバー電極111~111よりも少ない本数にまとめられた集電電極112が端子箱12に導入されている。本実施形態では、図3または図5に示すように、長辺方向の一方側に位置する短辺(図3では上辺)に沿う直線上に複数の端子箱12~12が並べられて配置されている。本実施形態の端子箱12は、1枚の太陽電池モジュール1当たりで3個である(数量は限定されない)。集電ケーブル13は、両端の2個の端子箱12,12からそれぞれ延びている。つまり、集電ケーブル13は、太陽電池モジュール1における幅方向(短辺に沿う方向)中央から偏った位置に設けられている。また、端子箱12は、太陽電池セル11とは太陽電池モジュール1の厚み方向で重ならない位置に設けられており、発電効率が低下しないようにされている。
【0019】
集電ケーブル13は、端子箱12から延びる電線である。基端部は端子箱12に取り付けられており、先端部には他の太陽電池モジュール1の集電ケーブル13、または、他の電線と接続することのできるコネクタ131が形成されている。なお厳密には、図3または図5に示した左右のコネクタ131,131は、相互に差し込めるような異なる形状とされているが、図示では同一形状で簡略示している。
【0020】
フレーム14は、太陽電池モジュール1の四辺における外縁部に位置しており、複数の太陽電池セル11~11を囲むように設けられている。フレーム14はアングル状、つまり、平面視方向における切断面形状が「コの字形状」とされている。フレーム14の素材は特に限定されないが、フレーム14をアースに利用するためには導電体であることが好ましい。本実施形態ではアルミニウム合金製である。本実施形態では、図1に示す設置時における下側で、フレーム14における前記アングル状の刃の部分141、つまり、前記「コの字形状」の横辺部分と、複数の太陽電池セル11~11が封止されたガラスの表面(設置時における下面)との間に隙間(空間)が設けられている。この隙間のうち端子箱12とフレーム14との間の領域に、図3に示すように、集電ケーブル13のコネクタが挟まれるように配置される。
【0021】
ケーブル保持具15は、フレーム14に対して着脱可能であって、集電ケーブル13を少なくとも一時的にフレーム14に固定することでフレーム14の内方(太陽電池モジュール1の四辺に位置するフレーム14に囲まれた内側の方向)に保持する。ケーブル保持具15は、図6図12に示すように、金属板等の板材が折り曲げられて形成されており、フレーム取付部151とケーブル保持部152とを一体に備える。ケーブル保持具15の素材は特に限定されない。ただし、フレーム14への固定と集電ケーブル13の保持ができるばね力を発揮できる材料とすることが好ましい。
【0022】
フレーム取付部151において、板材が対向する部分の対向距離は、開口側部分1511が狭く、奥側部分1512が広く形成されている。開口側部分1511における板材の対向距離は、フレーム14(刃の部分141)の厚さ寸法よりも小さく、奥側部分1512における板材の対向距離は、フレーム14(刃の部分141)の厚さ寸法と大きいか同じである。開口側部分1511を押し広げ、ばね力を発生させることで、図4に示すように、フレーム取付部151にフレーム14の一部である刃の部分(平板状の部分)141を嵌め込むことができる。フレーム取付部151において、板材が対向する部分では、図11及び図12に示すように、一方の板材から他方の板材に対して膨らむ突起153が形成されている。この突起153により、フレーム取付部151において対向する板材を挟まれたフレーム14によって更に広げることができ、前記ばね力をより効果的に発生させることができる。
【0023】
ケーブル保持部152は、フレーム取付部151における板材の折り返しとは逆方向に板材が折り返され、断面形状が円形である集電ケーブル13を保持できるように、縦断面形状が略U字状または略Ω字状とされている。ケーブル保持部152において、板材が対向する部分の対向距離は、開口側部分1521が狭く、奥側部分1522が広く形成されている。開口側を通過させて奥側に配置することで、外力がかからない状態では集電ケーブル13を奥側に保持できる。ケーブル保持部152は、複数の太陽電池セル11~11が封止されたガラスの表面(設置時における下面)との間の隙間に配置される。
【0024】
次に、この太陽電池モジュール1の設置方法の主な工程について説明する。1番目の工程は、図5に示す、集電ケーブル13が自由状態(各端子箱12からぶら下がった状態)とされた太陽電池モジュール1につき、集電ケーブル13の長手方向における中間部をフレーム14に対して、少なくとも一時的に固定する中間部固定工程である。2番目の工程は、集電ケーブル13の端部(端子箱12から遠い方である先端部)をフレーム14と端子箱12との間の領域に位置させる端部処理工程である。
【0025】
中間部固定工程では、まず、ケーブル保持具15のフレーム取付部151をフレーム14の刃の部分141に挟むことで、フレーム14にケーブル保持具15を取り付ける。具体的には、設置時における下側で、フレーム14における刃の部分141、つまり、前記「コの字形状」の横辺部分にケーブル保持具15を取り付ける。そして、ケーブル保持具15におけるケーブル保持部152に集電ケーブル13を挟み込む。集電ケーブル13でケーブル保持部152に挟み込まれる位置は、端子箱12から出た最基端と最先端との全長の基端寄り長さ1/3の位置から先端側寄りの位置とすることが好ましく、全長の1/2よりも先端側寄りの位置とすることがより好ましい。ただし、集電ケーブル13の最先端は、コネクタ131があるため、挟み込みの位置から除外される。
【0026】
端部処理工程では、フレーム14における前記アングル状の刃の部分141と端子箱12との間に集電ケーブル13のコネクタ131を挟み込む(前記刃の部分141と端子箱12の外面とに当接させる)、または、フレーム14における前記「コの字形状」の横辺部分と、太陽電池セル11を封止するガラスの表面との間の空間にコネクタ131を、余裕を持った状態で差し込む。後者の場合、コネクタ131は前記空間内で多少ずれることがあるものの、施工の実施上、大きな問題は生じない。
【0027】
前記各工程を実施することで、集電ケーブル13の長手方向における中間部はフレーム14に対して固定され、集電ケーブル13の端部(コネクタ131)はフレーム14と端子箱12との間の領域で、大きなずれが生じないように保持される。その結果、本実施形態では、集電ケーブル13が図4に示すように、フレーム14に対して一重の環状の形態でまとめられる。このため、集電ケーブル13の位置をフレーム14に対して大きくずれないように定めることができる。よって、集電ケーブル13の位置が定まらないことで、図5のようにぶらぶらした状態となった集電ケーブル13がフレーム14と架台2とに挟まれて損傷することを抑制できる。集電ケーブル13は、太陽電池モジュール1における幅方向中央から偏った位置に設けられているため、まとまられた状態の集電ケーブル13は、太陽電池モジュール1における長辺から幅方向中央寄りの領域に位置する。本実施形態では、太陽電池モジュール1の短辺と長辺との間の隅部(図示左右の隅部)に、まとめられた集電ケーブル13が位置する。
【0028】
太陽電池モジュール1を設置場所に設置するに当たり、図1に示すように、太陽電池モジュール1を設置場所の水平面に対して傾斜させて設置して、端子箱12を太陽電池モジュール1における下部に位置させることができる。こうすることで、集電ケーブル13が端子箱12から垂れ下がり、フレーム14をまたいでしまうことを抑制できる。
【0029】
また、太陽電池モジュール1の設置位置での傾斜角度を大きくした場合(本実施形態では、水平面に対して5度で設定している)、太陽光線の当たり方により、端子箱12の影が他の太陽電池モジュール1における太陽電池セル11にかかってしまい、発電効率が低下してしまうことがある。これに対し、端子箱12を太陽電池モジュール1における下部に位置させると、端子箱12の影が他の太陽電池モジュール1にかかる可能性を小さくできるため、発電効率の低下を抑制できる。
【0030】
更に、端子箱12を太陽電池モジュール1における下部に位置させると、降雨により土砂等の汚れが付着しても、汚れの付着する領域が端子箱よりも下方の限られた領域となるため、汚れによる発電効率の低下を抑制できる。
【0031】
架台2(正確には架台2上に配置された受け金具3)に太陽電池モジュール1を置いた後は、押さえ金具4をねじで架台2に固定することで、フレーム14を架台2に対して固定する。その後、ケーブル保持具15をフレーム14及び集電ケーブル13から取り外す。その後、集電ケーブル13の接続作業が行われ、設置作業は完了する。
【0032】
なお、ケーブル保持具15をフレーム14に残したまま太陽電池モジュール1の設置を終えてもよい。この場合、集電ケーブル13の中間部分はフレーム14に恒久的に固定され、フレーム14の一部分となる。また、ケーブル保持具15をフレーム14から外した場合には、ケーブル保持具15を再利用することが可能となる。この場合のケーブル保持具15は、太陽電池モジュール1の設置の際に一時的に用いる治具と位置づけられる。
【0033】
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明してきたが、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0034】
例えば、前記実施形態ではケーブル保持具15を用いたが、中間部固定工程にて、集電ケーブル13の長手方向における中間部をフレーム14に対して固定する際には、例えば、市販のクリップ、結束バンド、粘着テープ、針金等の、一般的に入手容易な結束用資材を用いることもできる。
【0035】
また、前記実施形態では、端子箱12を太陽電池モジュール1における下方に位置させるものであったが、逆に、端子箱12を太陽電池モジュール1における上方に位置させるものであってもよい。この場合であっても、垂れ下がった集電ケーブル13が架台2等に引っ掛かるのを抑制できる。
【0036】
また、前記実施形態では、中間部固定工程及び端部処理工程を実施することで、図3に示すように、集電ケーブル13が一重の環状の形態とされた。しかし、集電ケーブル13をまとめた形態はこれに限られず、多重(二重以上)の環状、8の字状、上下に多重に折り返した形態等、種々の形態とできる。集電ケーブル13をまとめた形態は、集電ケーブル13が端子箱12から垂れ下がること(施工に影響の出る程度の垂れ下がり)を抑制できるものであればよい。
【0037】
また、端部処理工程は、例えば、中間部固定工程で集電ケーブル13の先端近くをフレーム14に対して固定した場合には省略することもできる。
【符号の説明】
【0038】
1 太陽電池モジュール
11 太陽電池セル
111 バスバー電極
112 集電電極
12 端子箱
13 集電ケーブル
131 コネクタ
14 フレーム
141 刃の部分
15 ケーブル保持具
151 フレーム取付部
1511 開口側部分(フレーム取付部)
1512 奥側部分(フレーム取付部)
152 ケーブル保持部
1521 開口側部分(ケーブル保持部)
1522 奥側部分(ケーブル保持部)
153 突起
2 架台
3 受け金具
4 押さえ金具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13