(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-07-12
(45)【発行日】2024-07-23
(54)【発明の名称】手術器具
(51)【国際特許分類】
A61B 18/12 20060101AFI20240716BHJP
【FI】
A61B18/12
(21)【出願番号】P 2020169985
(22)【出願日】2020-10-07
【審査請求日】2023-07-14
(73)【特許権者】
【識別番号】514063179
【氏名又は名称】株式会社メディカロイド
(74)【代理人】
【識別番号】100104433
【氏名又は名称】宮園 博一
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 薫
(72)【発明者】
【氏名】臼木 優
【審査官】滝沢 和雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2014-513570(JP,A)
【文献】特開2020-031773(JP,A)
【文献】特表2021-515659(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0079884(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0282291(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 18/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボットアームに取り付けられる手術器具であって、
エンドエフェクタと、
前記エンドエフェクタを第1軸回りに回動可能に支持する導電性の遠位支持体と、
前記遠位支持体を第2軸回りに回動可能に支持する導電性の近位支持体と、
前記近位支持体に接続される筒状のシャフトと、
前記近位支持体に当接するとともに、少なくとも一部が導電性を有するシール機構と、
前記エンドエフェクタ側の端部が前記シール機構に接続され、前記シール機構、前記近位支持体、および、前記遠位支持体を介して前記エンドエフェクタに電気エネルギーを供給する電線と
、を備え
、
前記シール機構は、前記シャフトの内部を密封するシール部材と、前記シャフトにより押圧されて前記シール部材の前記シャフト側の面を押圧する保持部材と、を含み、
前記シール部材は、前記電線を通すための貫通孔を設けないように構成されている、手術器具。
【請求項2】
前記シール機構は、前記シャフトと前記近位支持体との間に配置されている、請求項1に記載の手術器具。
【請求項3】
前記保持部材は、導電性を有しており、
前記電線は、前記エンドエフェクタ側の端部が前記保持部材に接続されることにより、前記保持部材、前記近位支持体、および、前記遠位支持体を介して前記エンドエフェクタに電気エネルギーを供給している、請求項
1または2に記載の手術器具。
【請求項4】
前記シール部材は、絶縁性を有している、請求項
3に記載の手術器具。
【請求項5】
前記シール部材は、導電性を有し、
前記電線は、前記保持部材に接続されることにより、前記保持部材、前記シール部材、前記近位支持体、および、前記遠位支持体を介して前記エンドエフェクタに電気エネルギーを供給している、請求項
3に記載の手術器具。
【請求項6】
前記電線の前記エンドエフェクタ側の端部には、前記シール機構に接続されるコネクタ部が設けられており、
前記保持部材は、前記コネクタ部の先端部がカシメられる貫通孔を有する、請求項
3~
5のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項7】
前記シール部材のシャフト側の面には、前記エンドエフェクタ側に向かって窪むとともに、前記コネクタ部の先端部を回避するように収容する収容凹部が形成されている、請求項
6に記載の手術器具。
【請求項8】
前記近位支持体は、前記シャフトの軸方向において、前記シャフト側の端部から前記エンドエフェクタ側に窪む切り欠きを含み、
前記保持部材は、前記切り欠き内に配置されるとともに、前記シャフトに押圧される被押圧部を含み、
前記保持部材は、前記シャフトにより前記被押圧部が押圧された状態で、前記切り欠きと、前記被押圧部とが当接している、請求項1~7のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項9】
前記保持部材の前記被押圧部の前記エンドエフェクタ側の面は、前記近位支持体の前記切り欠きの前記エンドエフェクタ側の内面と面接触している、請求項8に記載の手術器具。
【請求項10】
前記シール機構は、前記シャフトの内部を密封する導電性のシール部材を含み、
前記電線は、前記シール部材に接続されることにより、前記シール部材、前記近位支持体、および、前記遠位支持体を介して前記エンドエフェクタに電気エネルギーを供給している、請求項1または2に記載の手術器具。
【請求項11】
前記シール部材は、弾性変形可能である、請求項
10に記載の手術器具。
【請求項12】
前記シール部材には、カーボンが含有されている、請求項
10または
11に記載の手術器具。
【請求項13】
前記シール機構は、前記シャフトにより押圧されて前記シール部材の前記シャフト側の面を押圧する絶縁性の保持部材を含む、請求項
10~
12のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項14】
前記電線の前記エンドエフェクタ側の端部には、前記シール機構に接続されるコネクタ部が設けられており、
前記電線の前記コネクタ部は、前記シール部材内に先端部が埋め込まれることにより、前記シール部材に接続されている、請求項
10~
13のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項15】
前記コネクタ部は、前記シャフトの軸方向に延びるコネクタ本体部と、前記コネクタ本体部から前記シャフトの軸方向と交差する方向に延びる抜け止め部を有する、請求項
14に記載の手術器具。
【請求項16】
前記シール部材は、前記電線の前記コネクタ部と一体成形されている、請求項
14または
15に記載の手術器具。
【請求項17】
前記近位支持体に対して前記遠位支持体を軸部回りに回転駆動させるための細長要素をさらに備え、
前記近位支持体は、前記軸部を支持する軸孔を含み、前記遠位支持体が前記細長要素により前記シャフト側に引っ張られた状態で、前記軸孔の内面と前記軸部とが接触することにより、前記遠位支持体を介して前記エンドエフェクタと電気的に接続されている、請求項1~
16のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項18】
前記遠位支持体、前記近位支持体、および、前記シール機構を、前記シャフトの径方向の外側から覆う絶縁性のカバーをさらに備える、請求項1~
17のいずれか1項に記載の手術器具。
【請求項19】
単一の前記電線を有するモノポーラの電気手術器具である、請求項1~
18のいずれか1項に記載の手術器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、手術器具に関し、特に、電気手術器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、導電性の遠位クレビスと、導電性の近位クレビスと、導電性のエンドエフェクタを備える電気手術器具が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1の手術器具は、シャフトと、シールと、電線とを備えている。
【0004】
上記特許文献1のエンドエフェクタは、遠位クレビスに回転可能に取り付けられている。遠位クレビスは、近位クレビスに回転可能に取り付けられている。近位クレビスは、シャフトの遠位端部(先端部)に接続されている。シールは、シャフトの内部に配置されている。詳細には、シールは、シャフトの遠位端部(エンドエフェクタ側の端部)と近位クレビスとの間に配置されている。電線には、エンドエフェクタに電気エネルギーを供給するための電気が流れている。電線のエンドエフェクタ側の端部は、近位クレビスに接続されている。
【0005】
上記特許文献1の手術器具では、電線を流れる電気は、近位クレビスおよび遠位クレビスを介してエンドエフェクタに供給されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1の手術器具では、電線を近位クレビスで終端させているため、シャフトの遠位端部と近位クレビスとの間に設けられたシールを貫通するように電線を配置させている。このため、上記特許文献1の手術器具では、シールに電線を挿入するための貫通孔を設けているので、シールの密封性が低下するという問題点がある。
【0008】
この発明は、シール機構による密封性を向上することが可能な手術器具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一の局面による手術器具は、ロボットアームに取り付けられる手術器具であって、エンドエフェクタと、エンドエフェクタを第1軸回りに回動可能に支持する導電性の遠位支持体と、遠位支持体を第2軸回りに回動可能に支持する導電性の近位支持体と、近位支持体に接続される筒状のシャフトと、近位支持体に当接するとともに、少なくとも一部が導電性を有するシール機構と、エンドエフェクタ側の端部がシール機構に接続され、シール機構、近位支持体、および、遠位支持体を介してエンドエフェクタに電気エネルギーを供給する電線と、を備え、シール機構は、シャフトの内部を密封するシール部材と、シャフトにより押圧されてシール部材のシャフト側の面を押圧する保持部材と、を含み、シール部材は、電線を通すための貫通孔を設けないように構成されている。
【0010】
この発明の一の局面による手術器具では、上記のように、近位支持体に当接するとともに、少なくとも一部が導電性を有するシール機構と、エンドエフェクタ側の端部がシール機構に接続された電線とを設ける。これにより、電線のエンドエフェクタ側の端部を近位支持体に接続することなく、電線からシール機構を介して近位支持体に電気を流すことができるので、電線がシール機構を貫通する必要がない。その結果、シール機構に電線を通すための貫通孔を形成する必要がないので、シール機構による密封性を向上させることができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、手術器具のシール機構による密封性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第1~第4実施形態によるロボット手術システムの概略を示した図である。
【
図2】第1~第4実施形態によるロボット手術システムの制御的な構成を示したブロック図である。
【
図3】第1~第4実施形態によるロボットアームにアダプタを介して手術器具が取り付けられた状態を示した斜視図である。
【
図4】第1~第4実施形態によるロボットアームにアダプタを介して手術器具が取り付けられる状態を示した分解斜視図である。
【
図5】第1~第4実施形態による手術器具を示した斜視図である。
【
図6】第1~第4実施形態によるアダプタを示した斜視図である。
【
図7】第1~第4実施形態によるシャフトおよびエンドエフェクタを示した斜視図である。
【
図8】第1実施形態による手術器具をY2方向側から見た分解斜視図である。
【
図9】第1実施形態によるシャフトの斜視図である。
【
図10】第1実施形態による手術器具をY1方向側から見た分解斜視図である。
【
図11】第1実施形態によるリテーナの斜視図である。
【
図12】第1実施形態による手術器具のシャフトと、近位クレビスとの接続部分を示した断面図である。
【
図13】第1実施形態によるシール部材の斜視図である。
【
図14】第1実施形態による手術器具の近位クレビスと、リテーナとの電気的な接続、および、近位支持体と、遠位クレビスとの電気的な接続を示した模式図である。
【
図15】第1実施形態による手術器具のシャフトからエンドエフェクタまでの接続を示した断面図である。
【
図16】第1実施形態による手術器具の遠位クレビスと、エンドエフェクタとの電気的な接続を示した模式図である。
【
図17】第2実施形態による手術器具のシャフトと、近位クレビスとの接続部分を示した断面図である。
【
図18】第3実施形態による手術器具のシャフトと、近位クレビスとの接続部分を示した断面図である。
【
図19】第4実施形態による手術器具のシャフトと、近位クレビスとの接続部分を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
[第1実施形態]
図1~
図16を参照して、本発明の第1実施形態による手術器具の構成について説明する。
【0015】
(ロボット手術システムの構成)
まず、
図1および
図2を参照して、ロボット手術システム100の構成について説明する。
【0016】
図1に示すように、ロボット手術システム100は、遠隔操作装置1と、患者側装置2とを備えている。遠隔操作装置1は、患者側装置2に設けられた医療器具(medical equipment)を遠隔操作するために設けられている。患者側装置2によって実行されるべき動作態様指令が術者(surgeon)である操作者Oにより遠隔操作装置1に入力されると、遠隔操作装置1は、動作態様指令を患者側装置2に送信する。そして、患者側装置2は、遠隔操作装置1から送信された動作態様指令に応答して、ロボットアーム21に取り付けられた手術器具(surgical instrument)4、および、ロボットアーム22に取り付けられた内視鏡50等の医療器具を操作する。これにより、低侵襲手術が行われる。
【0017】
患者側装置2は、患者Pが横たわる手術台3の傍らに配置される。患者側装置2は、遠隔操作装置1からの入力に応じて、患者Pに対して手術を行うインターフェースを構成する。患者側装置2は、複数のロボットアーム21と、ロボットアーム22と、プラットホーム23と、ポジショナ24と、コントローラ(図示せず)とを含んでいる。
【0018】
ロボットアーム21は、複数の関節を有している。ロボットアーム21の複数の関節は、サーボモータを含む駆動部(図示せず)と、エンコーダ等の位置検出器とを有している。ロボットアーム21は、コントローラを介して与えられた駆動信号によりロボットアーム21に取り付けられた医療器具が所望の動作を行うように制御されるように構成されている。なお、ロボットアーム22は、ロボットアーム21と同様の構成を有している。
【0019】
ロボットアーム21には、先端部に医療器具としての手術器具4が取り外し可能に取り付けられる。患者側装置2を用いた手術において、ロボットアーム21は、患者Pの体表に留置したカニューラ(トロッカ)を介して患者Pの体内に手術器具4を導入する。
【0020】
手術器具4は、ロボットアーム21に取り付けられるハウジング41(
図3参照)と、細長形状のシャフト42(
図3参照)と、シャフト42の先端部(遠位端部)に設けられたエンドエフェクタ43(
図3参照)とを備えている。そして、手術器具4のエンドエフェクタ43は、手術部位(施術部)の近傍に配置される。
【0021】
ロボットアーム22には、先端部に医療器具としての内視鏡50が取り外し可能に取り付けられる。内視鏡50は、患者Pの体腔内を撮影するものであり、撮影した画像は、遠隔操作装置1に対して出力される。内視鏡50として、3次元画像を撮影することができる3D内視鏡若しくは2D内視鏡が用いられる。患者側装置2を用いた手術において、ロボットアーム22は、患者Pに体表に留置したトロッカを介して患者Pの体内に内視鏡50を導入する。そして、内視鏡50が手術部位の近傍に配置される。
【0022】
プラットホーム23は、ロボットアーム21およびロボットアーム22を共通に支持している。ポジショナ24は、手術室の床の上に載置され、プラットホーム23を支持している。ポジショナ24は、鉛直方向に調整可能な昇降軸を有する柱部24aと、柱部24aに連結され、車輪を備え床面を移動可能なベース24bとを有している。
【0023】
遠隔操作装置1は、操作者Oとのインターフェースを構成する。遠隔操作装置1は、ロボットアーム21の手術器具4およびロボットアーム22の内視鏡50を操作者Oが操作するための装置である。すなわち、遠隔操作装置1は、操作者Oによって入力された手術器具4および内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令をコントローラを介して患者側装置2へ送信可能に構成されている。遠隔操作装置1は、たとえば、マスタの操作をしながらも患者Pの様子がよく見えるように手術台3の傍らに設置される。なお、遠隔操作装置1は、例えば動作態様指令を無線で送信するようにし、手術台3が設置された手術室とは別室に設置することも可能である。
【0024】
手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、手術器具4の動作(一連の位置および姿勢)および手術器具4個別の機能によって実現される動作の態様である。たとえば、手術器具4が把持鉗子である場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、エンドエフェクタ43の手首のロール回転位置およびピッチ回転位置と、ジョーの開閉を行う動作である。また、手術器具4が高周波ナイフである場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、高周波ナイフの振動動作、具体的には高周波ナイフに対する電流の供給であり得る。また、手術器具4がスネアワイヤである場合には、手術器具4によって実行されるべき動作態様とは、束縛動作および束縛状態の解放動作であり得る。また、バイポーラやモノポーラに電流を供給することによって手術対象部位を焼き切る動作であり得る。
【0025】
内視鏡50によって実行されるべき動作態様とは、たとえば、内視鏡50先端の位置および姿勢を移動させる動作態様、またはズーム倍率を設定する動作態様である。
【0026】
遠隔操作装置1は、
図1および
図2に示すように、操作ハンドル11と、操作ペダル部12と、表示部13と、制御装置14とを備えている。
【0027】
操作ハンドル11は、ロボットアーム21および22に取り付けられた医療器具(手術器具4、内視鏡50)を遠隔で操作するために設けられている。具体的には、操作ハンドル11は、医療器具を操作するための操作者Oによる操作を受け付ける。操作ハンドル11は、水平方向に沿って2つ設けられている。つまり、2つの操作ハンドル11のうち一方の操作ハンドル11は、操作者Oの右手により操作され、2つの操作ハンドル11のうち他方の操作ハンドル11は、操作者Oの左手により操作される。
【0028】
また、操作ハンドル11は、遠隔操作装置1の後方側から、前方側に向かって延びるように配置されている。操作ハンドル11は、所定の3次元の操作領域内で動かすことができるように構成されている。すなわち、操作ハンドル11は、上下方向、左右方向、および前後方向に動かすことができるように構成されている。
【0029】
遠隔操作装置1と患者側装置2とは、ロボットアーム21およびロボットアーム22の動作の制御においては、マスタスレーブ型のシステムを構成する。すなわち、操作ハンドル11は、マスタスレーブ型のシステムにおけるマスタ側の操作部を構成している。操作ハンドル11は、医療器具が取り付けられたロボットアーム21およびロボットアーム22はスレーブ側の動作部を構成している。そして、操作ハンドル11を操作者Oが操作すると、操作ハンドル11の動きをロボットアーム21の先端部(手術器具4のエンドエフェクタ43)またはロボットアーム22の先端部(内視鏡50)がトレースして移動する。このように、ロボットアーム21またはロボットアーム22の動作が制御される。
【0030】
また、患者側装置2は、設定された動作倍率に応じてロボットアーム21の動作を制御するよう構成されている。たとえば、動作倍率が1/2倍に設定されている場合、手術器具4のエンドエフェクタ43は、操作ハンドル11の移動距離の1/2の移動距離を移動するよう制御される。これによって、精細な手術を精確に行うことができる。
【0031】
操作ペダル部12は、医療器具に関する機能を実行するための複数のペダルを含んでいる。複数のペダルは、凝固ペダルと、切断ペダルと、カメラペダルと、クラッチペダルと、を含んでいる。また、複数のペダルは、操作者Oの足により操作される。
【0032】
凝固ペダルは、手術器具4を用いて手術部位を凝固させる操作を行うことができる。具体的には、凝固ペダルは、操作されることにより、手術器具4に凝固用の電圧が印加されて、手術部位の凝固が行われる。切断ペダルは、手術器具4を用いて手術部位を切断させる操作を行うことができる。具体的には、切断ペダルは、操作されることにより、手術器具4に切断用の電圧が印加されて、手術部位の切断が行われる。
【0033】
カメラペダルは、体腔内を撮像する内視鏡50の位置および姿勢を操作するために用いられる。具体的には、カメラペダルは、内視鏡50の操作ハンドル11による操作を有効にする。つまり、カメラペダルが押されている間は、操作ハンドル11により内視鏡50の位置および姿勢を操作することが可能である。たとえば、内視鏡50は、左右の操作ハンドル11の両方を用いることにより操作される。具体的には、左右の操作ハンドル11の中間点を中心に左右の操作ハンドル11を回動させることにより、内視鏡50が回動される。また、左右の操作ハンドル11を共に押し込むことにより、内視鏡50が奥に進む。また、左右の操作ハンドル11を共に引っ張ることにより、内視鏡50が手前に戻る。また、左右の操作ハンドル11を共に上下左右に移動させることにより、内視鏡50が上下左右に移動する。
【0034】
クラッチペダルは、ロボットアーム21および22と、操作ハンドル11との操作接続を一時切断し手術器具4の動作を停止させる場合に用いられる。具体的には、クラッチペダルが操作されている間は、操作ハンドル11を操作しても、患者側装置2のロボットアーム21および22が動作しない。たとえば、操作により操作ハンドル11が移動可能な範囲の端部近傍に来た場合に、クラッチペダルが操作されることにより、操作接続を一時切断して、操作ハンドル11を中央位置付近に戻すことができる。そして、クラッチペダルの操作を中止するとロボットアーム21および22と操作ハンドル11とが再び接続され、中央付近で操作ハンドル11の操作を再開することができる。
【0035】
表示部13は、内視鏡50が撮像した画像を表示することができるものである。表示部13は、スコープ型表示部または非スコープ型表示部からなる。スコープ型表示部とは、たとえば、覗き込むタイプの表示部である。また、非スコープ型表示部とは、通常のパーソナルコンピュータのディスプレイのような覗き込むタイプではない平坦な画面を有する開放型の表示部を含む概念である。
【0036】
スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置2のロボットアーム22に取り付けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。非スコープ型表示部が取り付けられた場合にも、患者側装置2に設けられた内視鏡50により撮像された3D画像が表示される。なお、非スコープ型表示部が取り付けられた場合、患者側装置2に設けられた内視鏡50により撮像された2D画像が表示されてもよい。
【0037】
図2に示すように、制御装置14は、例えば、CPU等の演算器を有する制御部141と、ROMおよびRAM等のメモリを有する記憶部142と、画像制御部143とを含んでいる。制御装置14は、集中制御する単独の制御装置により構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御装置により構成されてもよい。
【0038】
制御部141は、操作ハンドル11により入力された動作態様指令を、操作ペダル部12の切替状態に応じて、手術器具4によって実行されるべき動作態様指令であるか、または、内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であるかを判断する。そして、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が手術器具4によって実行されるべき動作態様指令であると判断すると、動作態様指令をロボットアーム21に対して送信する。これによって、ロボットアーム21が駆動され、この駆動によってロボットアーム21に取り付けられた手術器具4の動作が制御される。
【0039】
また、制御部141は、操作ハンドル11に入力された動作態様指令が内視鏡50によって実行されるべき動作態様指令であると判定すると、当該動作態様指令をロボットアーム22に対して送信する。これによって、ロボットアーム22が駆動され、この駆動によってロボットアーム22に取り付けられた内視鏡50の動作が制御される。
【0040】
記憶部142には、例えば手術器具4の種類に応じた制御プログラムが記憶されている。制御部141は、取り付けられた手術器具4の種類に応じてこれらの制御プログラムを読み出すことにより、遠隔操作装置1の操作ハンドル11および操作ペダル部12の少なくともいずれかの動作指令が個別の手術器具4に適合した動作をさせることができる。
【0041】
画像制御部143は、内視鏡50が取得した画像を表示部13に伝送する。画像制御部143は、必要に応じて画像の加工修正処理を行う。
【0042】
(手術器具、アダプタ、ドレープおよびロボットアームの構成)
図3~
図6を参照して、手術器具4、アダプタ5、ドレープ6およびロボットアーム21の構成について説明する。
【0043】
ここで、手術器具4の延びる方向(シャフト42の延びる方向)をY方向とし、Y方向のうち手術器具4の遠位端側(エンドエフェクタ43側)をY1方向とし、Y1方向の反対側であって手術器具4の近位端側(ハウジング41側)をY2方向とする。手術器具4とアダプタ5とが隣接する方向をZ方向とし、Z方向のうち手術器具4側をZ1方向とし、Z1方向の反対側をZ2方向とする。また、Y方向およびZ方向に直交する方向をX方向とし、X方向のうち一方側をX1方向とし、X方向のうち他方側をX2方向とする。また、シャフト42の径方向をD方向とし、シャフト42の周方向をR方向とする。
【0044】
図3および
図4に示すように、手術器具4は、ロボットアーム21にアダプタ5を介して取り外し可能に接続される。アダプタ5は、ロボットアーム21を覆うための滅菌処理されたドレープ6をロボットアーム21との間に挟み込むためのドレープアダプタである。つまり、アダプタ5は、ドレープ6を取り付け可能に構成されている。
【0045】
手術器具4は、アダプタ5のZ1方向側に取り付けられる。アダプタ5は、ロボットアーム21のZ1方向側に取り付けられる。
【0046】
ロボットアーム21は、清潔区域において使用されるため、ドレープ6により覆われる。ここで、手術室では、手術により切開した部分および医療機器が病原菌や異物などにより汚染されることを防ぐため、清潔操作が行われる。この清潔操作においては、清潔区域および清潔区域以外の区域である汚染区域が設定される。手術部位は、清潔区域に配置される。操作者Oを含む手術チームのメンバーは、手術中、清潔区域に殺菌されている物体のみが位置するよう配慮し、かつ、汚染区域に位置している物体を清潔区域に移動させるときは、この物体に滅菌処理を施す。同様に、操作者Oを含む手術チームの補助者がその手を汚染区域に位置させたときは、清潔区域に位置している物体に直接接触する前に、手の滅菌処理を行う。清潔区域において用いられる器具は、滅菌処理が行われる、または、滅菌処理されたドレープ6により覆われる。
【0047】
図4に示すように、ドレープ6は、ロボットアーム21を覆う本体部61と、ロボットアーム21とアダプタ5との間に挟み込まれる取付部62とを備えている。本体部61は、フィルム状に形成された可撓性フィルム部材により構成されている。可撓性フィルム部材は、熱可塑性ポリウレタンやポリエチレンなどの樹脂材料からなる。本体部61には、ロボットアーム21とアダプタ5とが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。本体部61の開口部には、開口部を塞ぐように取付部62が設けられている。取付部62は、樹脂成形部材により構成されている。樹脂成形部材は、ポリエチレンテレフタレートなどの樹脂材料からなる。取付部62は、本体部61に比べて硬く(撓みにくく)形成されている。取付部62は、ロボットアーム21とアダプタ5とが互いに係合可能なように、開口部が設けられている。取付部62の開口部は、ロボットアーム21とアダプタ5との係合する部分に対応するように設けられていてもよい。また、取付部62の開口部は、ロボットアーム21とアダプタ5との複数の係合する部分に対応するように複数設けられていてもよい。
【0048】
図4および
図5に示すように、手術器具4は、複数(4個)の被駆動部材4aを有している。被駆動部材4aは、ハウジング41内に設けられ、Z方向に延びる回転軸線Gを中心に回転可能に設けられている。複数の被駆動部材4aは、エンドエフェクタ43を操作(駆動)するために設けられている。たとえば、被駆動部材4aは、シャフト42内に挿通された後述する第2細長要素W2により、エンドエフェクタ43と接続されている。これにより、被駆動部材4aの回転に応じて第2細長要素W2が駆動されるとともに、第2細長要素W2の駆動に応じてエンドエフェクタ43が操作(駆動)される。また、たとえば、被駆動部材4aは、ギア(図示せず)を介してシャフト42に接続されている。これにより、被駆動部材4aの回転に応じてシャフト42が回転されるとともに、シャフト42の回転に応じてエンドエフェクタ43が操作される。
【0049】
複数の被駆動部材4aの各々は、ロボットアーム21からの駆動力をエンドエフェクタ43に伝達させるために、アダプタ5の後述する駆動伝達部材51と係合する係合凸部441を含んでいる。係合凸部441は、被駆動部材4aのZ2方向側の表面からアダプタ5側(Z2方向側)に向かって突出している。また、係合凸部441は、直線状に並んだ複数の凸部を含み、アダプタ5の係合凹部511(
図4参照)に対応する形状を有している。また、各係合凸部441は、線対称な形状を有している。
【0050】
図4および
図6に示すように、アダプタ5は、複数(4個)の駆動伝達部材51を有している。駆動伝達部材51は、ロボットアーム21からの駆動力を手術器具4の被駆動部材4aに伝達するように構成されている。つまり、駆動伝達部材51は、手術器具4の被駆動部材4aに対応するように設けられている。駆動伝達部材51は、Z方向に延びる回転軸線Bを中心に回転可能に設けられている。
【0051】
図4に示すように、複数の駆動伝達部材51は、各々、手術器具4の被駆動部材4aの係合凸部441と係合する係合凹部511を含んでいる。係合凹部511は、駆動伝達部材51の手術器具4側(Z1方向側)に設けられているとともに、駆動伝達部材51のZ1方向側の表面から手術器具4側とは反対側(Z2方向側)に向かって窪んでいる。また、各係合凹部511は、線対称な形状を有している。
【0052】
図6に示すように、複数の駆動伝達部材51は、各々、ロボットアーム21の係合凸部211と係合する係合凹部512を含んでいる。係合凹部512は、駆動伝達部材51のロボットアーム21側(Z2方向側)に設けられている。係合凹部512は、駆動伝達部材51のZ2方向側の表面からロボットアーム21側とは反対側(Z1方向側)に向かって窪んでいる。なお、複数の駆動伝達部材51の各々は、互いに実質的に同様の構成を有している。また、各係合凹部512は、線対称な形状を有している。
【0053】
図4に示すように、ロボットアーム21は、フレーム21aと、複数(4個)の駆動部21bとを有している。複数の駆動部21bの各々は、フレーム21aに取り付けられている。複数の駆動部21bは、アダプタ5の複数(4個)の駆動伝達部材51に対応するように設けられている。複数の駆動部21bの各々は同様の構成を有しているので、以下では、複数の駆動部21bのうちの1つを参照して説明する。
【0054】
駆動部21bは、係合凸部211と、アクチュエータ212とを含んでいる。
【0055】
係合凸部211は、駆動伝達部材51の係合凹部512(
図6参照)と係合する。係合凸部211は、駆動部21bのZ1方向側の表面からZ1方向側(アダプタ5側)に向かって突出している。また、各係合凸部211は、線対称な形状を有している。
【0056】
アクチュエータ212は、モータを有している。アクチュエータ212は、係合凸部211をZ方向に延びる回転軸線A回りに回転させるように構成されている。これにより、係合凸部211と係合したアダプタ5の駆動伝達部材51をZ方向に延びる回転軸線B回りに回転させることができるとともに、駆動伝達部材51と係合した手術器具4の被駆動部材4aを回転軸線G回りに回転させることができる。なお、回転軸線A、回転軸線Bおよび回転軸線Gは、同軸に配置されている。
【0057】
(手術器具の詳細な説明)
図7~
図16を参照して、手術器具4に関してより詳細に説明する。第1実施形態の手術器具4は、腹腔などの手術を行う際、手術器具4が挿入される施術部から体腔内に充填された気体(二酸化炭素など)が漏れにくいように後述するシール部材246によりシャフト42の内部が密封されている。すなわち、手術器具4は、体腔内に充填された気体が手術器具4内に漏れにくくすることにより、手術器具4内を通過して体外に出にくくするように構成されている。
【0058】
図7および
図8に示すように、手術器具4は、例えばモノポーラカーブドシザーズなどの電気手術器具(Electrosurgical Instrument)であり、導電性のエンドエフェクタ43と、エンドエフェクタ43を第1軸A1回りに回動可能に支持する導電性の遠位クレビス44と、遠位クレビス44を第2軸A2回りに回動可能に支持する導電性の近位クレビス45とを備えている。手術器具4は、近位クレビス45に接続される円筒状のシャフト42と、シャフト42と近位クレビス45との間に近位クレビス45に当接するように配置されるとともに、少なくとも一部が導電性を有するシール機構46とを備えている。また、手術器具4は、エンドエフェクタ43側の端部(遠位端部)がシール機構46に接続され、シール機構46、近位クレビス45、および、遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給する電線47を備えている。遠位クレビス44は遠位支持体の一例であり、近位クレビス45は近位支持体の一例である。
【0059】
手術器具4は、近位クレビス45に当接するとともに、少なくとも一部が導電性を有するシール機構46と、Y1方向側(エンドエフェクタ43側)の端部がシール機構46に接続された電線47と、を備えている。これにより、電線47からシール機構46、近位クレビス45、及び遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気を流すことができる。ここで、シール機構46を貫通することなく、電線47をシール機構46で終端させるように構成することにより、シール機構46による密封性を向上させることができる。
【0060】
図7に示すように、エンドエフェクタ43は、複数(2個)のエンドエフェクタ部材43aを有している。各エンドエフェクタ部材43aは、たとえばステンレス鋼等の導電性部材から成るジョー部材である。
【0061】
各エンドエフェクタ部材43aは、プーリ部43bを有している。各エンドエフェクタ部材43aは、プーリ部43bに架け渡される第2細長要素W2の移動に伴って姿勢を変化させるように構成されている。より詳細には、各エンドエフェクタ部材43aのプーリ部43bに第2細長要素W2の円柱形状の留め具(不図示)が係合しており、第2細長要素W2が移動することにより、プーリ部43bが後述する第1軸A1回りに回転し、その結果、エンドエフェクタ部材43aが第1軸A1回りに回転する。ここで、エンドエフェクタ43は、シザーズであることを例示したが、シザーズ以外のエンドエフェクタであってもよい。また、エンドエフェクタ43は、複数のエンドエフェクタ部材43aを有していなくともよい。例えば、エンドエフェクタ43は、フックやスパチュラであってもよい。
【0062】
遠位クレビス44は、プーリ部44aと、第1プーリ群44bと、第2プーリ群44cと、第1軸部44dと、第2軸部44eと、第3軸部44fとを有している。なお、第2軸部44eは、軸部の一例である。
【0063】
遠位クレビス44の遠位端側(エンドエフェクタ43側)には、各エンドエフェクタ部材43aのプーリ部43bを回転可能に支持する第3軸部44fが挿入される一対の軸孔44gが形成されている。第3軸部44fは、第1軸A1に沿った方向に延びる円柱形状の軸部材であり、導電性を有する。第3軸部44fは、一対の軸孔44gに支持されている。第1軸A1は、Y方向に略直交する方向に沿って延びている。
【0064】
プーリ部44aは、遠位クレビス44の近位端側(シャフト42側)に設けられており、第2軸A2回りに回転可能に近位クレビス45に支持されている。より詳細には、プーリ部44aは、近位クレビス45に支持された第2軸部44eに回転可能に支持されている。第2軸A2は、Y方向に略直交する方向に沿って延び、かつ第1軸A1に沿った方向に略直交する方向に沿って延びている。プーリ部44aは、第2軸A2の周方向に沿って形成されたプーリ溝を有している。遠位クレビス44は、プーリ部44aに架け渡される後述する第1細長要素W1の移動に伴って姿勢を変化させるように構成されている。より詳細には、プーリ部44aに第1細長要素W1の円柱形状の留め具W1a(
図15参照)が係合しており、第2細長要素W2が移動することにより、プーリ部44aが第2軸A2回りに回転し、その結果、遠位クレビス44が第2軸A2回りに回転する。
【0065】
第1プーリ群44bは、第1軸部44dに回転可能に支持されている。第2プーリ群44cは、第2軸部44eに回転可能に支持されている。第1プーリ群44bおよび第2プーリ群44cは、エンドエフェクタ部材43aのプーリ部43bに係合した第2細長要素W2をガイドしている。第1プーリ群44bは、第2軸A2と第1軸A1との間に配置されている。第2プーリ群44cは、第2軸A2上に配置されている。
【0066】
第1軸部44dは、第2軸A2に略平行な回転中心軸線に沿って延びている。第2軸部44eは、第2軸A2に沿った方向に延びる円柱形状の軸部材であり、導電性を有する。第2軸部44eは、近位クレビス45の後述する一対の軸孔245aに挿入されて支持されている。
【0067】
ここで、第1細長要素W1および第2細長要素W2は、ワイヤまたはケーブルにより構成されている。第1細長要素W1および第2細長要素W2は、ステンレスまたはタングステンなどの金属により構成されている。第1細長要素W1は、プーリ部44aの数量に対応して1本設けられている。第2細長要素W2は、エンドエフェクタ部材43aの数量に対応して複数(2本)設けられている。なお、第1細長要素W1および第2細長要素W2は、ロッドなどにより構成されていてもよい。
【0068】
図7および
図8に示すように、近位クレビス45は、シャフト42に接続される接続基部45aを含んでいる。
【0069】
接続基部45aは、略円筒形状に形成されている。接続基部45aは、シャフト42に接続されている。詳細には、シャフト42のY1方向側の端部(遠位端部)に、接続基部45aのY2方向側の端部(近位端部)が挿入されて接続されている。接続基部45aは、R方向に沿って設けられた周壁部45bと、エンドエフェクタ43側の端部(Y1方向側の端部)に設けられた隔壁部452とを含む。周壁部45bには、Y方向(シャフト42の軸方向)において、シャフト42側の端部(近位端部)からエンドエフェクタ43側(遠位端側)に窪んだ切り欠き451が設けられている。切り欠き451は、後述するシャフト42の突出部42aに対応するように、D方向に対向する位置に複数(2個)設けられている。
【0070】
接続基部45aは、遠位クレビス44を回転可能に支持する一対の支持部145aを有している。一対の支持部145aは、Z方向に対向するように設けられている。各支持部145aは、接続基部45aのY1方向側の端部からY1方向(遠位方向)に突出している。各支持部145aには、第2軸部44eが挿入される軸孔245aが形成されている。第2軸部44eは、第2軸A2に沿った方向に延びる円柱形状の軸部材であり、一対の軸孔245aに支持されている。
【0071】
接続基部45aは、周壁部45bと隔壁部452とに囲まれた内部空間45dを含む。ここで、接続基部45aの内部空間45dは、Y2方向(近位方向)に開放されている。
【0072】
隔壁部452は、接続基部45aの内部空間45dと外部空間とを仕切るように構成されている。隔壁部452には、接続基部45aの内部空間45dと接続基部45aの外部空間とを連通する連通孔453が形成されている。ここで、隔壁部452には、X1方向側に配置された連通孔453(以下、第1連通孔453a(
図10参照))と、X2方向側に配置された連通孔453(以下、第2連通孔453b(
図10参照))とが形成されている。第1連通孔453aおよび第2連通孔453bは、それぞれ、Y方向側から視て略T字状に形成されている。
【0073】
図9および
図10に示すように、シャフト42は、たとえばエポキシ樹脂等の絶縁性材料から成り、Y方向に沿って延びる円筒形状に形成されている。シャフト42内の空間には、第1細長要素W1および第2細長要素W2が収容されている。シャフト42は、シャフト42のY1方向側の端部(遠位端部)からY1方向(エンドエフェクタ43側(近位方向側))に突出する突出部42aを含んでいる。突出部42aは、D方向に対向する位置に複数(2個)設けられており、各突出部42aは近位クレビス45の対応する切り欠き451に挿入されている。
【0074】
(シール機構)
シール機構46は、リテーナ146と、シャフト42の内部空間を密封するためのシール部材246とを有している。シール部材246は、シール部材の一例である。また、リテーナ146は、保持部材の一例である。
【0075】
〈リテーナ〉
また、
図11および
図12に示すように、リテーナ146は、シール部材246のシャフト42側(Y2方向側(近位方向側))の面246dに当接し、D方向において、シール部材246のシャフト42側(Y2方向側(近位方向側))の面246dにおける中心部分を除く部分を押圧する押圧面146dを含んでいる。
【0076】
リテーナ146は、シール部材246のシャフト42側の面246dを押圧する力の偏りを抑えるように構成されている。すなわち、リテーナ146は、シャフト42から伝達される押圧力をシール部材246のシャフト42側の面246dに対し略均一に付与するように構成されている。リテーナ146は、たとえば、ステンレス鋼などの金属材料により形成されており、導電性を有している。なお、リテーナ146は、ステンレス鋼に限られず、他の導電性材料により形成されてもよい。
【0077】
具体的には、リテーナ146は、略板状の本体部146aと、被押圧部146bと、貫通孔146cとを有している。本体部146aは、Y1方向側(エンドエフェクタ43側)の押圧面146dと、Y2方向側(シャフト42側)の被押圧面146eとを含む。ここで、押圧面146dは第1面の一例であり、被押圧面146eは第2面の一例である。
【0078】
押圧面146dは、リテーナ146の遠位端側の面により構成されており、シール部材246のシャフト42側(近位端側)の面246dに当接している。より詳細には、押圧面146dは、D方向に沿って延び、シール部材246のシャフト42側の面246dに対しD方向の中心部分を除く部分に面接触するとともに、シール部材246のシャフト42側の面246dを押圧している。
【0079】
被押圧面146eは、リテーナ146の近位端側の面により構成されており、押圧面146dに対しY2方向側(近位方向側)に配置されている。
【0080】
被押圧部146bは、シャフト42の突出部42aに対応して複数(2つ)設けられており、各被押圧部146bは、シャフト42の突出部42aにより押圧されるように構成されている。2つの被押圧部146bは、本体部146aに対し線対称に設けられている。具体的に、2つの被押圧部146bは、本体部146aのD方向における外側の両端部からD方向の外側に突出するように設けられている。被押圧部146bのシャフト42側(Y2方向側(近位方向側))の面は、被押圧面146eと面一に設けられている。
【0081】
貫通孔146cは、Y方向においてリテーナ146を貫通している。貫通孔146cは、D方向において、リテーナ146の中心部分に配置されている。貫通孔146cは、電線47の後述するコネクタ部247の先端部(Y1方向の端部(遠位端部))が挿入可能な大きさを有している。
【0082】
〈シール部材〉
図12および
図13に示すように、シール部材246は、近位クレビス45の内部に配置され、患者Pの体腔内に充填した気体が施術部からシャフト42を介して体外に漏れることを抑制するように構成されている。
【0083】
具体的には、シール部材246は、弾性変形可能な絶縁性材料で形成されている。シール部材246は、たとえばシリコンゴムなどのエラストマにより形成されている。シール部材246は、Y方向において厚みを有している。シール部材246は、近位クレビス45の内部空間45dのY1方向側(遠位方向側)の端部において圧縮されている。シール部材246は、近位クレビス45の隔壁部452および周壁部45bに密着する。
【0084】
シール部材246は、近位クレビス45の第1連通孔453aおよび第2連通孔453bを塞いでいる。加えて、シール部材246は、第1細長要素W1を遠位クレビス44に取り付けるとともに第2細長要素W2をエンドエフェクタ43に取り付けた後、第1細長要素W1および第2細長要素W2を取付可能に構成されている。
【0085】
具体的には、シール部材246は、第1挿入孔246aと、第2挿入孔246bと、切り込み246cとを含んでいる。第1挿入孔246aには、第1細長要素W1が挿入される。第1挿入孔246aは、シール部材246をY方向に貫通する貫通孔である。第1挿入孔246aは、シール部材246に複数(2個)形成されている。第2挿入孔246bには、第2細長要素W2が挿入される。第2挿入孔246bは、シール部材246をY方向に貫通する貫通孔である。第2挿入孔246bは、シール部材246に複数(4個)形成されている。
【0086】
切り込み246cは、シール部材246の外周面246fと第1挿入孔246a、および外周面246fと第2挿入孔246bを繋げる(接続する)ために形成されている。
【0087】
また、シール部材246のY2方向側(近位方向側)の面246d(シャフト42側の面)には、収容凹部246eが形成されている。
【0088】
収容凹部246eは、シール部材246のY2方向側(近位方向側(シャフト42側))の面246dからY1方向(遠位方向(エンドエフェクタ43側))に窪む凹部である。すなわち、収容凹部246eは、シール部材246を貫通していない。収容凹部246eは、Y2方向側から見て、円形状を有している。収容凹部246eの直径は、Y2方向側から見て、電線47のコネクタ部247の先端部の直径よりも大きい。収容凹部246eは、シャフト42の回転中心軸線上に配置されている。収容凹部246eは、電線47と同軸上に配置されている。収容凹部246eは、シール部材246のY2方向側の面246dの中心に1個形成されている。詳しくは後述するが、収容凹部246eは、電線47のコネクタ部247の先端部とシール部材246との接触を回避するための逃げ部である。
【0089】
(電線)
図12に示すように、電線47のエンドエフェクタ43側の端部(Y1方向の端部)147には、シール機構46に接続されるコネクタ部247が設けられている。
【0090】
この構成によると、コネクタ部247により、電線47と、シール機構46とを確実に接続することができるので、エンドエフェクタ43に安定して電気エネルギーを供給することができる。
【0091】
電線47のコネクタ部247の先端部(Y1方向の端部、(遠位端部))は、リテーナ146の貫通孔146cに挿入されてカシメ固定されている。すなわち、電線47の遠位端部(エンドエフェクタ側の端部)147は、リテーナ146で終端している。
【0092】
これにより、コネクタ部247をリテーナ146に容易に密着した状態で固定することができるので、電線47とリテーナ146とを確実に電気的に接続した手術器具4を得ることができる。
【0093】
また、電線47のコネクタ部247の先端部は、シール部材246と接触しないようにシール部材246の収容凹部246eに収容されている。換言すれば、収容凹部246eは、電線47のコネクタ部247を回避するようにシール部材246に設けられている。ここで、収容凹部246eは、シール部材246を貫通していないので、シール機構46には電線47を通すための貫通孔は形成されていない。
【0094】
この構成によると、電線47のコネクタ部247の先端部がシール部材246を押圧しないため、シール部材246のY2方向側(シャフト42側)の面246dと、リテーナ146の押圧面146dとの間に隙間が形成されないようにすることができる。この結果、リテーナ146によるシール部材246の押圧を確実に行うことができるので、シール部材246による密封性を向上させることができる。
【0095】
なお、電線47のY2方向の端部(近位端部)は、ハウジング41に取り付けられた電極部49に接続されている(
図3参照)。電極部49は、ロボット手術システム100のジェネレータ(不図示)に電源ケーブルを介して接続される。
【0096】
(電気的な接続)
ここで、手術器具4において、電線47からエンドエフェクタ43までの電気的な接続について説明する。
【0097】
シール機構46は、近位クレビス45とシャフト42との間に配置されるシール部材246と、シャフト42により押圧されてシール部材246のシャフト42側の面246dを押圧する導電性のリテーナ146とを含んでいる。電線47は、コネクタ部247がリテーナ146に接続されることにより、リテーナ146、近位クレビス45、および、遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給している。
【0098】
この構成によると、シール部材246をシャフト42側から押圧するリテーナ146に電線47を接続させるため、シール部材246に電線47用の貫通孔を形成する必要がなく、リテーナ146により電線47と近位クレビス45、遠位クレビス44、およびエンドエフェクタ43とを電気的に接続することができる。この結果、シール部材246による密封性を向上させることができる。また、シール部材246を配置した後に、電線47が接続されたリテーナ146を配置することができるため、シール部材246の近位クレビス45への組み付けを容易に行うことができる。
【0099】
詳細には、電線47と、リテーナ146とは、電気的に接続されている。前述したようにコネクタ部247のエンドエフェクタ43側の端部は、貫通孔146cにカシメられている。これにより、コネクタ部247は、電線47と導電性を有するリテーナ146とを電気的に接続している。
【0100】
図14に示すように、リテーナ146と、近位クレビス45とは、電気的に接続されている。
【0101】
詳細には、近位クレビス45は、Y方向(シャフト42の軸方向)において、シャフト42側の端部からエンドエフェクタ43側に窪む切り欠き451を含んでいる。リテーナ146は、切り欠き451内に配置されるとともに、シャフト42に押圧される被押圧部146bを含んでいる。リテーナ146は、シャフト42により被押圧部146bが押圧された状態で、切り欠き451の内面451aと、被押圧部146bとが接触(当接)している。これにより、電線47は、リテーナ146を介して近位クレビス45と電気的に接続されている。
【0102】
この構成によると、シャフト42がリテーナ146を押圧することにより、リテーナ146の被押圧部146bと、切り欠き451の内面451aとを強固に接触させることができるので、リテーナ146を介して電線47と近位クレビス45とを確実に電気的に接続することができる。
【0103】
ここで、切り欠き451のエンドエフェクタ43側の内面451aは、被押圧部146bのエンドエフェクタ43側の面146fと面接触可能な形状を有している。たとえば、切り欠き451のエンドエフェクタ43側の内面451aおよび被押圧部146bのエンドエフェクタ43側の面146fは、シャフト42の軸方向(Y方向)に直交する方向(X方向、D方向)に平坦な面をそれぞれ有し、これらの平坦面が互いに面接触している。
【0104】
これにより、リテーナ146と、近位クレビス45との接触面積を十分に確保することができるので、電線47からリテーナ146および近位クレビス45を介してエンドエフェクタ43に安定して電気エネルギーを供給することができる。
【0105】
ここで、切り欠き451のエンドエフェクタ43側の内面451aとは、切り欠き451の内面のうちのY1方向側の端面である。被押圧部146bは、D方向から見て、略矩形形状を有している。被押圧部146bのエンドエフェクタ43側の面146fとは、被押圧部146bのY1方向側の面である。切り欠き451のエンドエフェクタ43側の内面451aは、被押圧部146bのエンドエフェクタ43側の面146fに対応する形状を有している。このように、切り欠き451のエンドエフェクタ43側の内面451aは、被押圧部146bのエンドエフェクタ43側の面146fと略同じ形状を有している。すなわち、切り欠き451のエンドエフェクタ43側の内面451aおよび被押圧部146bのエンドエフェクタ43側の面146fは、シャフト42の軸方向(Y方向)に直交する方向(X方向、D方向)に平坦な面をそれぞれ有し、これらの平坦面が互いに面接触している。なお、切り欠き451のエンドエフェクタ43側の内面451aおよび被押圧部146bのエンドエフェクタ43側の面146fは、シャフト42の軸方向(Y方向)に直交する方向(X方向)に平坦な面を有していなくともよい。
【0106】
シャフト42の突出部42aによりY2方向側からY1方向側に向かって被押圧部146bが押圧されることにより、切り欠き451のエンドエフェクタ43側の内面451aと、被押圧部146bのエンドエフェクタ43側の面146fとが密着する(
図14のF1部分を参照)。これにより、リテーナ146から近位クレビス45へと電気が流れる(
図14の矢印参照)。
【0107】
図14および
図15に示すように、近位クレビス45と、遠位クレビス44とは、電気的に接続されている。
【0108】
詳細には、手術器具4は、近位クレビス45に対して遠位クレビス44を第2軸部44e回りに回転駆動させるための第1細長要素W1を備えている。近位クレビス45は、第2軸部44eを支持する一対の軸孔245aを含んでいる。近位クレビス45は、遠位クレビス44が第1細長要素W1によりシャフト42側に引っ張られた状態で、軸孔245aのシャフト42側の内面245cと、第2軸部44eのシャフト42側の面44hとが接触することにより、遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43と電気的に接続されている。
【0109】
この構成によると、第1細長要素W1の張力を利用して、近位クレビス45と、遠位クレビス44とを接触させることができるので、専用の構造を用いて、近位クレビス45と、遠位クレビス44とを接触させる場合と比較して、手術器具4の部品点数の増加を抑制することができる。
【0110】
ここで、軸孔245aは、D方向(X方向)から見て、略円形状を有している。軸孔245aのシャフト42側の内面245cとは、軸孔245aのY方向における中心よりもY2方向側の部分である。軸孔245aのシャフト42側の内面245cは、D方向から見て、円弧形状を有している。第2軸部44eは、D方向から見て、略円形状を有している。第2軸部44eのシャフト42側の面44hとは、第2軸部44eのY方向における中心よりもY2方向側の部分である。第2軸部44eのシャフト42側の面44hは、D方向から見て、円弧形状を有している。このように、軸孔245aのシャフト42側の内面245cは、第2軸部44eのシャフト42側の面44hと略同じ形状を有している。
【0111】
第1細長要素W1によりY1方向側からY2方向側に向かってプーリ部44aが引っ張られることにより、軸孔245aのシャフト42側の内面245cと、第2軸部44eのシャフト42側の面44hとが確実に密着している(
図14のF2部分を参照)。これにより、近位クレビス45から遠位クレビス44へと電気が流れる(
図15の矢印参照)。
【0112】
図15および
図16に示すように、遠位クレビス44と、エンドエフェクタ43とは、電気的に接続されている。
【0113】
詳細には、エンドエフェクタ43は、第2細長要素W2によりシャフト42側に引っ張られた状態で、第3軸部44fのシャフト42側の面430と、遠位クレビス44の軸孔44gのシャフト42側の内面440とが接触(当接)することにより、遠位クレビス44を介して近位クレビス45とエンドエフェクタ43とを電気的に接続している。
【0114】
ここで、第3軸部44fは、D方向(シャフト42の径方向、X方向)から見て、略円形状を有している。第3軸部44fのシャフト42側の面430とは、第3軸部44fのY方向における中心よりもY2方向側の部分である。第3軸部44fのシャフト42側の面430は、D方向から見て、円弧形状を有している。遠位クレビス44の軸孔44gは、D方向(X方向)から見て、略円形状を有している。遠位クレビス44の軸孔44gのシャフト42側の内面440とは、遠位クレビス44の軸孔44gのY方向における中心よりもY2方向側の部分である。遠位クレビス44の軸孔44gのシャフト42側の内面440は、D方向から見て、円弧形状を有している。このように、遠位クレビス44の軸孔44gのシャフト42側の内面440は、第3軸部44fのシャフト42側の面430と略同じ形状を有している。
【0115】
第2細長要素W2によりY1方向側からY2方向側に向かってエンドエフェクタ43のプーリ部43bが引っ張られることにより、第3軸部44fのシャフト42側の面430と、遠位クレビス44の軸孔44gのシャフト42側の内面440とが確実に密着している(
図16のF3部分を参照)。これにより、近位クレビス45から第3軸部44fを介して遠位クレビス44へと電気が流れる(
図15および
図16の矢印参照)。
【0116】
(絶縁カバー)
手術器具4は、
図3および
図15に示すように、導電性の遠位クレビス44と、導電性の近位クレビス45と、導電性を有するシール機構46とを、D方向(X方向)の外側から覆う絶縁性のカバー48を備えている。なお、
図4および
図7においては、絶縁性のカバー48を取り外した状態の手術器具4を示している。
【0117】
この構成によると、遠位クレビス44、近位クレビス45、および、シール機構46のリテーナ146から外部に電気エネルギーが伝わらないようにすることができる。
【0118】
具体的には、カバー48は、円筒状の本体部と先細の先端部とを有する略円錐台形状を有している。カバー48は、絶縁性の部材である。カバー48は、シリコンゴムなどのエラストマにより構成されている。カバー48は、弾性変形可能に構成されている。カバー48は、シャフト42のY1方向側の部分、近位クレビス45、遠位クレビス44およびエンドエフェクタ43のプーリ部43bを覆っている。
【0119】
上記した手術器具4は、単一の電線47を有するモノポーラの電気手術器具である。
【0120】
この構成によると、モノポーラの電気手術器具において、シール機構46による密封性を向上させることができる。
【0121】
[第2実施形態]
図17を参照して、第2実施形態による手術器具604の構成について説明する。第2実施形態では、第1実施形態とは異なり、シール部材646aが、導電性を有している。なお、第2実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0122】
図17に示すように、第2実施形態の手術器具604は、エンドエフェクタ43と、エンドエフェクタ43を第1軸A1回りに回動可能に支持する導電性の遠位クレビス44と、遠位クレビス44を第2軸A2回りに回動可能に支持する導電性の近位クレビス45とを備えている。手術器具604は、近位クレビス45に接続される円筒状のシャフト42と、近位クレビス45に当接するとともに、少なくとも一部が導電性を有するシール機構646とを備えている。手術器具604は、エンドエフェクタ43側の端部がシール機構646に接続され、シール機構646、近位クレビス45、および、遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給する電線47とを備えている。
【0123】
この構成によると、上記第1実施形態と同様に、手術器具604のシール機構646よる密封性を向上することができる。
【0124】
ここで、手術器具604の延びる方向(シャフト42の延びる方向)をY方向とし、Y方向のうち手術器具604の先端側(エンドエフェクタ43側)をY1方向とし、Y1方向の反対側をY2方向とする。また、シャフト42の径方向をD方向とし、シャフト42の周方向をR方向とする。
【0125】
(シール機構)
シール機構646は、シール部材646aと、リテーナ146とを有している。シール部材646aは、シール部材の一例である。また、リテーナ146は、保持部材の一例である。
【0126】
〈リテーナ〉
リテーナ146は、たとえば、ステンレス鋼などの金属材料により形成されており、導電性を有している。また、リテーナ146は、シール部材646aのシャフト42側(Y2方向側)の面246dに当接し、D方向において、シール部材646aのシャフト42側の面246dにおける中心部分を除く部分を押圧する押圧面146dを含んでいる。
【0127】
〈シール部材〉
シール部材646aは、近位クレビス45の内部に配置され、患者Pの体腔内に充填した気体が施術部からシャフト42を介して体外に漏れることを抑制するように構成されている。
【0128】
具体的には、シール部材646aは、弾性変形可能な導電性材料で形成されている。シール部材646aは、シリコンゴムなどのエラストマにカーボンなどを含有させることにより構成されている。シール部材646aは、Y方向において厚みを有している。シール部材646aは、近位クレビス45の内部空間45dのY1方向側の端部において圧縮されている。シール部材646aは、近位クレビス45の接続基部45aの隔壁部452および周壁部45bに密着する。なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0129】
(電気的な接続)
ここで、手術器具604において、電線47からエンドエフェクタ43までの電気的な接続について説明する。
【0130】
シール部材646aは、導電性を有している。電線47は、コネクタ部247がリテーナ146に接続されることにより、リテーナ146、シール部材646a、近位クレビス45、および遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給している。
【0131】
これにより、リテーナ146だけでなく、上記第1実施形態とは異なり、シール部材646aを介しても近位クレビス45に電気を流すことができるので、より安定してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給することができる。
【0132】
詳細には、電線47と、リテーナ146とは、電気的に接続されている。コネクタ部247のエンドエフェクタ43側の端部が、貫通孔146cにカシメられている。すなわち、電線47のエンドエフェクタ43側の端部(Y1方向側の端部)147は、リテーナ146で終端している。これにより、電線47からリテーナ146へと電気が流れる。
【0133】
リテーナ146と、シール部材646aとは、電気的に接続されている。導電性を有するシール部材646aと、リテーナ146とは、シャフト42に押圧されることにより密着することによって、接続されている。これにより、リテーナ146からシール部材646aへと電気が流れる(
図17の矢印参照)。
【0134】
導電性を有するシール部材646aと近位クレビス45とは、シャフト42によりリテーナ146を介してシール部材646aが押圧されることにより、近位クレビス45の接続基部45aの隔壁部452にシール部材646aが密着することによって、電気的に接続されている。導電性を有するシール部材646aと近位クレビス45とは、シャフト42によりリテーナ146を介してシール部材646aが押圧されてシール部材646aが圧縮されることにより、近位クレビス45の接続基部45aの周壁部45bにシール部材646aが密着することによって、電気的に接続されている。これにより、シール部材646aから近位クレビス45へと電気が流れる(
図17の矢印参照)。
【0135】
また、シール部材646aが導電性を有することにより、シール部材646aと接触する第1細長要素W1および第2細長要素W2にも電気が流れ得る。これにより、第1細長要素W1から遠位クレビス44へと電気が流れる。また、第2細長要素W2からエンドエフェクタ43へと電気が流れる。
【0136】
なお、近位クレビス45からエンドエフェクタ43までの電気的な接続は、第1実施形態と同様なので説明は省略する。
【0137】
[第3実施形態]
図18を参照して、第3実施形態による手術器具704の構成について説明する。第3実施形態では、第1実施形態とは異なり、電線747が、シール部材746aに接続されている。なお、第3実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0138】
図18に示すように、第3実施形態の手術器具704は、エンドエフェクタ43と、エンドエフェクタ43を第1軸A1回りに回動可能に支持する導電性の遠位クレビス44と、遠位クレビス44を第2軸A2回りに回動可能に支持する導電性の近位クレビス45とを備えている。手術器具704は、近位クレビス45に接続されるシャフト42と、近位クレビス45に当接するとともに、導電性を有するシール機構746とを備えている。手術器具704は、エンドエフェクタ43側の端部がシール機構746に接続され、シール機構746、近位クレビス45、および、遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給する電線747とを備えている。ここで、シール機構746は、上記第1および第2実施形態と異なり、リテーナ146を有しておらず、シール部材746aのみを有している。
【0139】
この構成によると、手術器具704のシール部材746aの密封性を向上することができる。
【0140】
ここで、手術器具704の延びる方向(シャフト42の延びる方向)をY方向とし、Y方向のうち手術器具704の先端側(エンドエフェクタ43側)をY1方向とし、Y1方向の反対側をY2方向とする。また、シャフト42の径方向をD方向とし、シャフト42の周方向をR方向とする。
【0141】
(シール機構)
前述したように、シール機構746は、リテーナ146を有しておらず、シール部材746aのみを有している。シール部材746aは、シール部材の一例である。
【0142】
〈シール部材〉
シール部材746aは、近位クレビス45の内部に配置され、患者Pの体腔内に充填した気体が施術部からシャフト42を介して体外に漏れることを抑制するように構成されている。
【0143】
具体的には、シール部材746aは、弾性変形可能な導電性材料で形成されている。シール部材746aには、カーボンが含有されている。
【0144】
これにより、シール部材746aを容易に電気を流すことが可能な部材として形成することができるので、シール部材746aから近位クレビス45に確実に電気を流すことができる。
【0145】
詳細には、シール部材746aは、シリコンゴムなどのエラストマにカーボンなどを含有させることにより構成されている。シール部材746aは、Y方向において厚みを有している。シール部材746aは、近位クレビス45の内部空間45dのY1方向側の端部において圧縮されている。シール部材746aは、近位クレビス45の接続基部45aの隔壁部452および周壁部45bに密着する。
【0146】
(電線)
図18に示すように、電線747のエンドエフェクタ43側の端部147には、シール部材746aに接続されるコネクタ部247が設けられている。
【0147】
コネクタ部247は、シール部材746a内に先端部(エンドエフェクタ43側の端部)が埋め込まれることにより、シール部材746aに電気的に接続されている。すなわち、電線747のエンドエフェクタ43側の端部(Y1方向側の端部)147は、シール部材746aで終端している。
【0148】
これにより、コネクタ部247と、シール部材746aとを密着させて接続することができるので、電線747からシール部材746aに確実に電気を流すことができる。
【0149】
コネクタ部247は、シャフト42の軸方向(Y方向)において、シール部材746aからシャフト42側(Y2方向側)への抜け止めをする抜け止め部747aを有する。コネクタ部247は、抜け止め部747aにより抜け止めされた状態で、シール部材746aと一体成形されている。
【0150】
これにより、抜け止め部747aにより、コネクタ部247がシール部材746aから抜けることを効果的に抑制することができるので、コネクタ部247と、シール部材746aとの接続をより確実に保持することができる。また、シール部材746aの形成後にコネクタ部247を接続する場合と異なり、シール部材746aの樹脂成形時にシール部材746aとコネクタ部247との接続を行うことができるので、シール部材746aとコネクタ部247との接続工程を簡略化することができる。
【0151】
詳細には、電線747と、シール部材746aとは、コネクタ部247をシール部材746aにインサート成形することにより、一体成形されている。これにより、シール部材746aと、コネクタ部247とは、密着している。また、コネクタ部247は、Y方向に沿った断面において、略T字形状を有している。具体的には、コネクタ部247は、シャフト42の軸方向(Y方向)に延びるコネクタ本体部247aと、コネクタ本体部247aの先端部(Y1方向の端部)からシャフト42の軸方向と交差する方向に延びる抜け止め部747aとを有する。抜け止め部747aは、コネクタ本体部247aの先端部からY方向に直交する方向(D方向、X方向)に突出している。なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0152】
(電気的な接続)
ここで、手術器具704において、電線747からエンドエフェクタ43までの電気的な接続について説明する。
【0153】
シール機構746は、シャフト42により押圧されるリテーナ146を含まずに、近位クレビス45とシャフト42との間に配置される導電性のシール部材746aを含んでいる。電線747は、コネクタ部247がシール部材746aに接続されることにより、シール部材746a、近位クレビス45、および、遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給している。
【0154】
この構成によると、リテーナ146を含まないことにより、手術器具704の部品点数を減らしつつ、シール部材746aによる密封性を向上させて、エンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給することができる。
【0155】
詳細には、電線747と、シール部材746aとは、コネクタ部247とシール部材746aとが一体成形されることにより密着されており、それによって、電気的に接続されている。これにより、電線747からシール部材746aへと電気が流れる(
図18の矢印参照)。
【0156】
シール部材746aは、シャフト42に押圧されることにより、近位クレビス45の接続基部45aの隔壁部452に密着している。これにより、シール部材746aと近位クレビス45とは、電気的に接続されている。また、シール部材746aは、シャフト42に押圧されることにより、圧縮されて近位クレビス45の接続基部45aの周壁部45bに密着している。これによって、シール部材746aと近位クレビス45とは、電気的に接続されている。これらにより、シール部材746aから近位クレビス45へと電気が流れる(
図18の矢印参照)。
【0157】
また、シール部材746aが導電性を有することにより、シール部材746aと接触する第1細長要素W1および第2細長要素W2にも電気が流れる。これにより、第1細長要素W1から遠位クレビス44へと電気が流れる。また、第2細長要素W2からエンドエフェクタ43へと電気が流れる。
【0158】
なお、近位クレビス45からエンドエフェクタ43までの電気的な接続は、第1実施形態と同様なので説明は省略する。
【0159】
[第4実施形態]
図19を参照して、第4実施形態による手術器具804の構成について説明する。第4実施形態では、第1実施形態とは異なり、シール部材846aが、導電性を有しているとともに、リテーナ946が導電性を有していない。なお、第4実施形態では、第1実施形態と同じ構成については、説明を省略する。
【0160】
図19に示すように、第4実施形態の手術器具804は、エンドエフェクタ43と、エンドエフェクタ43を第1軸A1回りに回動可能に支持する導電性の遠位クレビス44と、遠位クレビス44を第2軸A2回りに回動可能に支持する導電性の近位クレビス45とを備えている。手術器具804は、近位クレビス45に接続される円筒状のシャフト42と、近位クレビス45に当接するとともに、少なくとも一部が導電性を有するシール機構846とを備えている。手術器具804は、エンドエフェクタ43側の端部がシール機構846に接続され、シール機構846、近位クレビス45、および、遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給する電線847とを備えている。
【0161】
この構成によると、上記第1実施形態と同様に、手術器具804のシール機構846よる密封性を向上することができる。
【0162】
ここで、手術器具804の延びる方向(シャフト42の延びる方向)をY方向とし、Y方向のうち手術器具804の先端側(エンドエフェクタ43側)をY1方向とし、Y1方向の反対側をY2方向とする。また、シャフト42の径方向をD方向とし、シャフト42の周方向をR方向とする。
【0163】
(シール機構)
シール機構846は、シール部材846aと、リテーナ946とを有している。シール部材846aは、シール部材の一例である。また、リテーナ946は、保持部材の一例である。
【0164】
〈リテーナ〉
リテーナ946は、樹脂材料により形成されており、導電性を有していない。また、リテーナ946は、シール部材846aのシャフト42側(Y2方向側)の面246dに当接し、D方向において、シール部材846aのシャフト42側の面246dにおける中心部分を除く部分を押圧する押圧面146dを含んでいる。
【0165】
このように、シール機構846は、シャフト42により押圧されてシール部材846aのシャフト42側の面246dを押圧する絶縁性のリテーナ946を含んでいる。
【0166】
この構成によると、近位クレビス45に密着しているシール部材846aを介して電線847と近位クレビス45とを電気的に接続することができるので、電線847から近位クレビス45に安定して電気を流すことができる。
【0167】
〈シール部材〉
シール部材846aは、近位クレビス45の内部に配置され、患者Pの体腔内に充填した気体が施術部からシャフト42を介して体外に漏れることを抑制するように構成されている。
【0168】
具体的には、シール部材846aは、弾性変形可能な導電性材料で形成されている。シール部材846aは、シリコンゴムなどのエラストマにカーボンなどを含有させることにより構成されている。シール部材846aは、Y方向において厚みを有している。シール部材846aは、近位クレビス45の内部空間45dのY1方向側の端部において圧縮されている。シール部材846aは、近位クレビス45の接続基部45aの隔壁部452および周壁部45bに密着する。
【0169】
(電線)
図19に示すように、電線847のエンドエフェクタ43側の端部147には、シール部材846aに接続されるコネクタ部247が設けられている。
【0170】
コネクタ部247は、シール部材846a内に先端部(エンドエフェクタ43側の端部)が埋め込まれることにより、シール部材846aに電気的に接続されている。すなわち、電線847のエンドエフェクタ43側の端部(Y1方向側の端部)147は、シール部材846aで終端している。
【0171】
コネクタ部247は、シャフト42の軸方向(Y方向)において、シール部材846aからシャフト42側(Y2方向側)への抜け止めをする抜け止め部847aを有する。コネクタ部247は、抜け止め部847aにより抜け止めされた状態で、シール部材846aと一体成形されている。
【0172】
詳細には、電線847と、シール部材846aとは、コネクタ部247をシール部材846aにインサート成形することにより、一体成形されている。これにより、シール部材846aと、コネクタ部247とは、密着している。また、コネクタ部247は、Y方向に沿った断面において、略T字形状を有している。具体的には、コネクタ部247は、シャフト42の軸方向(Y方向)に延びるコネクタ本体部247aと、コネクタ本体部247aの先端部(Y1方向の端部)からシャフト42の軸方向と交差する方向に延びる抜け止め部847aとを有する。抜け止め部847aは、コネクタ本体部247aの先端部からY方向に直交する方向(D方向、X方向)に突出している。なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0173】
(電気的な接続)
ここで、手術器具804において、電線847からエンドエフェクタ43までの電気的な接続について説明する。
【0174】
シール部材846aは、導電性を有している。電線47は、コネクタ部247がシール部材846aに接続されることにより、シール部材846a、近位クレビス45、および、遠位クレビス44を介してエンドエフェクタ43に電気エネルギーを供給している。ここで、リテーナ946は絶縁性であるので、電線847からリテーナ946には電気が流れない。
【0175】
導電性を有するシール部材846aと近位クレビス45とは、シャフト42によりリテーナ946を介してシール部材846aが押圧されることにより、近位クレビス45の接続基部45aの隔壁部452にシール部材846aが密着することによって、電気的に接続されている。導電性を有するシール部材846aと近位クレビス45とは、シャフト42によりリテーナ946を介してシール部材846aが押圧されてシール部材846aが圧縮されることにより、近位クレビス45の接続基部45aの周壁部45bにシール部材846aが密着することによって、電気的に接続されている。これにより、シール部材846aから近位クレビス45へと電気が流れる(
図19の矢印参照)。
【0176】
また、シール部材846aが導電性を有することにより、シール部材846aと接触する第1細長要素W1および第2細長要素W2にも電気が流れ得る。これにより、第1細長要素W1から遠位クレビス44へと電気が流れる。また、第2細長要素W2からエンドエフェクタ43へと電気が流れる。
【0177】
なお、近位クレビス45からエンドエフェクタ43までの電気的な接続は、第1実施形態と同様なので説明は省略する。
【0178】
[変形例]
なお、今回開示された第1~第4実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した第1~第4実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更(変形例)が含まれる。
【0179】
たとえば、上記第1~第4実施形態では、電線47(747、847)は、コネクタ部247を含む例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、電線は、コネクタ部を有していなくてもよい。
【0180】
また、第1および第2実施形態では、リテーナ146(保持部材)は、コネクタ部247の先端部がカシメられる貫通孔を有する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、保持部材と、コネクタ部とは、カシメ以外の方法で接続されてもよい。
【0181】
また、上記第3および第4実施形態では、コネクタ部247は、シール部材746a(846a)内に先端部が埋め込まれることにより、シール部材746a(846a)に電気的に接続されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コネクタ部は、シール部材に当接することにより、シール部材に電気的に接続されていてもよい。
【0182】
また、上記第3および第4実施形態では、コネクタ部247は、Y方向(シャフト42の軸方向)において、シール部材746a(846a)からシャフト42側への抜け止めをする抜け止め部747a(847a)を有している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、コネクタ部は、抜け止め部を有していなくてもよい。
【0183】
また、上記第2~第4実施形態では、シール部材646a(746a、846a)には、カーボンが含有されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、シール部材に金属繊維を含有させることにより、導電性を有するシール部材を作成してもよい。
【0184】
また、上記第1~第4実施形態では、手術器具4は、D方向(シャフト42の径方向の外側)から覆う絶縁性のカバー48を備える例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、手術器具は、絶縁性のカバー以外の方法で絶縁していてもよい。
【符号の説明】
【0185】
4:手術器具、21、22:ロボットアーム、42:シャフト、43:エンドエフェクタ、44:遠位クレビス(遠位支持体)、44e:第2軸部(軸部)、45:近位クレビス(近位支持体)、46、646、746、846:シール機構、47、747、847:電線、48:カバー、146、946:リテーナ(保持部材)、146c:被押圧部、146d:貫通孔、245a:軸孔、246、646a、746a、846a:シール部材、246d:面(シール部材のシャフト側の面)、246e:収容凹部、247:コネクタ部、430:(軸部のシャフト側の)面、440:(軸孔のシャフト側の)内面、451:切り欠き、451a:(切り欠きのエンドエフェクタ側の)内面、747a,847a:抜け止め部、A1:第1軸、A2:第2軸、W1:第1細長要素(細長要素)